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めぇでるコラム 2019年1月アーカイブ

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[2]言語に関する問題 (1) 

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第28
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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★★入試問題を分析する★★
[2] 言語に関する問題 (1)  
 
毎年、松屋銀座で開催されている「東京私立小学校児童作品展“ほら、できた
よ”」、今年は1月30日(水)から2月4日(月)に行われると松屋のホーム
ページに出ていました。毎年、意欲的な作品が多く展示され、各校の教育方針
の一端を伺うこともできます。間もなく主催者側からホームページで「今年の
テーマ」などが公表されますから、ご覧になって参加されてはいかがでしょう
か。
 
言語に関する問題は、面接、お話作り、類似差異、しりとり、同頭語や同尾語、
反対語、復唱、逆唱、同音異義語、拗音、促音、長音など発音の問題と、言葉
に関するだけに、広範囲にわたっています。
 
[面 接]
親も参加する面接ではなく、制作や絵を描いているテストの中で、
「お名前を教えてください」
「住んでいるところと、電話番号を教えてください」
といった質問があります。
 
面白い話を聞きました。
名前を聞かれた子が、
「私の名前は、○○イチロウと申します」
普段、子どもがこのように言うわけはありませんから、先生は、びっくりした
そうです。
教え込むと、こういった不自然な言葉遣いになりがちですね。
 
しかし、本当に話せない子どもたちがいます。
親子の会話が、弾んでいないのでしょうね。言葉は使わなくては、肝心なとき
に役に立ちません。お母さんが一方的に話さずに聞き手に回りましょう。お子
さんに話をさせることです。
「うちの子は、口が重いのですよ」とおっしゃるお母さん方は、「こうなんでし
ょう」「ああいうことなのね」と、お子さんが口を開く前に先回りをして、話を
しきっている場合が多いのではないでしょうか。
聞くことの上手なお母さんは、話上手な子を育てます。
 
緊張して話せない場合は、先生方も無理に話しかけません。雰囲気になれるま
で待ってくれるようですが、限度がありますから、尋ねられた場合は、自分の
思っていることを恥ずかしがらずに話すことを教えてください。
「こんなことを言うと笑われるかな」と思っている子ども達が、案外、多いも
のです。
「そんなことはありませんよ」と自信を持たせることです。
 
[お話作り] 
★この絵を見て、どんなことを考えますか。お話してください。
★この3枚の絵を順番に並べて、お話を作り、先生に話してください。
★「電車」「お父さん」「新聞」の三つの言葉を使って、お話を作ってください。
 
これも難しいですね、絵を見て話を作るからです。
話の内容から、お子さんの情緒の発達状況もわかります。
以前にもお話しましたが、未分化であった「喜び」「愛情」「恐れ」「心配」「怒
り」といった情緒が分化する時期だからです。
ダンボールに入れて捨てられている子猫の絵を見て、子どもはどう思うでしょ
うか。
これは情緒の分野ですから、大人の思惑を押し付けずに、子どもの感性に心を
傾けることが大切です。
 
私の現役時代、かなり前の話ですが、この問題の指導には手を焼きました。
月齢の差が激しく出る時期でもありますから、子ども自身の発想を引き出すの
は、本当に難しいですね。
ある国立大学附属小学校で作文の時間に、「『お母さん、あのね!』と、お母さ
んに話しかけるように書きましょう」と指導している話を聞き、早速、取り入
れたのですが、これは効果がありました。
お母さんに話しかける気持ちで作ると、話を聞いてくれる対象が決まりますか
らリラックスでき、何を伝えたいかを考え、発想も豊かになるようです。
もちろん、「お父さん、あのね!」でも、同じ効果を発揮します。
 
大人もそうですが、経験していないことはわかりません。それでも大人は、今
まで積んできたよく似たような経験や、本などで読んだことなどから想像して、
何とか答えられます。
しかし、子どもは、まだ経験の範囲も狭く、読書量も少ないですから、おかし
な話になりがちです。そこでお母さんが教え込むと、大人の考えが顔を出して
いる話になりがちです。
「いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのようにというように、筋道立て
て作らなければいけないのでしょうか」などとおっしゃるお母さん方がいます
が、まだ、幼児には無理な注文です。小学校でも、高学年にならないとできま
せんし、そんなことを強制していると、国語の嫌いな子になります。
国語は、すべての勉強の基礎ですから、大変なことになりかねません。
こういった鋳型にはめ込むようなことを無理強いしても、子どもらしい発想は、
湧き上がってきません。お子さんの感性を大切にしてあげましょう。
しかし、どう考えても妥当でないと思える場合は、全部、否定するのではなく、
お子さんの話をよく考えてあげ、修正することが大切です。
認めてあげることでやる気を起こさせ、そこから子どもの力は伸びていくから
です。
 
問題集を買って、「話づくりのテクニック」なるものを教え込む前に、やるべき
ことがあります。 
本をたくさん読んであげ、子どもの話に耳を傾けることです。
そして、身の周りのことに、こだわりましょう。
花瓶にいけてある季節折々の花、道端に咲くたんぽぽの花、投げ捨てられた空
き缶1個からでも、話を作るきっかけになります。
「これ、どう思う?」
一緒に考えて、思ったこと、感じたことを話し合うことも大切です。
とにかく、言葉は使わなければどうにもなりません。
しかし、遊びの感覚で取り組まなくては、子どもは嫌がります。
お母さんの顔をチラッチラッと見ながら話すようでは、止めましょう。
お母さんの期待する話に展開しないため、不満気な顔になっているはずだから
です。
 
最近は、「話を聞き、どう感じたか」、「その後の展開はどうなるか」といったこ
とを話したり、絵で表現し、描いた絵について質問をされたり、みんなの前で
発表するなどの試験も行われています。
ある年の慶應義塾幼稚舎で、ドラえもんの縫いぐるみを着た先生が、水色のド
アの前に来て、ドアを開け、「行きたいところの絵を描きなさい!」といった試
験がありました。「どこでもドア」ですが、学校側は、何を評価したかったので
しょうか。
 
絵は、心で感じたことを表したものですから、言葉で表現できるはずです。一
枚の絵から、どんな世界が表現されてくるか、耳を傾けましょう。また、絵を
描かせるのは、絵の巧拙だけを見ているのではありません。どう感じたか、感
性の世界です。感性は、体験を積み重ねて育まれたものであることを忘れては
ならないでしょう。         
オーバーかもしれませんが、特定のテーマに関し肯定側と否定側に分かれ行う
議論、ディベートの苦手な私たち日本人は、小さい頃から、こういった経験が
少ないことにも原因があるのではないでしょうか。
 
[類似差異の問題]
★「チューリップと桜を比べて、似ているところと違うところを先生
  に教えてください」
       
何回もお話しましたが、幼児の頭の働きは、ものを見て、比べ、同じところ、
違うところを見つけることから始まります。
大人の観察力と違っているところがあります。チューリップと桜では、大人は
木に咲く花、球根から育つ、花の大きさなど目で見えるものなど、理科の領域
内で考えます。
 
こういう子がいました。
「チューリップは、『親指姫』のお話に出てきて、桜は、『花さかじいさん』に
出てくるから、話に出てくるところが同じです」
童話の世界です、いいではありませんか。
 
「チューリップは食べられませんが、桜は食べられます」
桜餅のことで、食文化の世界です。食べたときの食感が残っていたのでしょう。
桜の葉は、何ともいえない香りが、ほのかにします。
また、落ち葉にも、同じような香りが残っていますが、この子は、それを知っ
ていたのでしょう。おそらく、落葉の頃に、公園で拾った桜の葉の匂いをかい
だのかも知れません。
好奇心と観察力をほめてあげるべきです。こういう発想は、頭が堅くなった大
人には無理でしょう。これで、いいわけです。
「子どもが考えて、自分の言葉で発表できる」、これは素晴らしいことです。そ
して話を聞き、なるほどとうなずける内容であれば、正解と認めてあげましょ
う。
しかし、塩化ビニールの葉っぱでくるまれた桜餅では、こういった発想は生ま
れませんね。
また、落ち込みそうです。
 
この問題は、自分の考えを言葉で表現しますから、やるべきです。お母さんと
二人でできます。ただし、教え込まないことです。子どもの発想を無視せずに、
きちんと聞いてあげることです。そして、子どもの考え方に妥当性があれば、
それで正解です。しかし、「これはおかしい」と思う場合は、やさしく訂正して
あげましょう。
 
かつて、アメリカでベストセラーになった「人生で必要な知恵はすべて幼稚園
の砂場で学んだ」(河出書房新社 刊)の第1章 私の生活信条?クレド?(1
9ページ)に、こう書いてあります。
 
「『不思議だな』と思う気持ちを大切にすること。(中略)デイックとジェーン
を主人公にした子供の本で最初に覚えた言葉を思い出そう。何よりも大切な意
味を持つ言葉。“見てごらん”」(“  ”は引用者)
 
「見て(自然に目に入るseeではなく意識して見るwatch)、考え、そして類似
と差異に気づくこと」、こういった感性を大切に育んであげたいものです。
 
 (次回は、「言語に関する問題(2)」についてお話ししましょう)

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>独り立ちの準備(4)家事、やらせなさい(1)

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2020さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第11号
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(4)家事、やらせなさい(1)
 
3歳過ぎから旺盛になってくる好奇心、これを上手に利用したいものです。
女の子は、お母さんのお手伝いを始めます。
手伝わせましょう。
 
洗濯物などを一緒にたたみ、自分の物をしまわせる、女の子はやります。
しかも、楽しそうです。
台所にも、顔を出します。
包丁を使っていると、やりたそうに見ているでしょう。
一人で包丁を持たせるのは危険です。
しかし、興味を持ったときがチャンスです。
3歳になれば、はしを使って食事をし、はさみも使えるようになります。
かなり、手先も器用になるものです。
子ども用の包丁があります。
それで練習すれば、いいのではないでしょうか。
禁止や命令だけ出していると、お母さんのいないときに、そっとやりかねませ
ん。
 
果物などを洗わせるのも、いいでしょう。
これなら男の子もやりたがります。
いちごやみかんは、水に浮くのはわかるのですが、かぼちゃは、沈むはずだと
思っている子、います。
すいかなどは、絶対に浮かないと言い張ります。
見た経験がないからです。
私の子どもの頃は、冷蔵庫といっても、今のように電気で冷やすのではなく、
氷の冷気で冷やしていました。
氷が溶けてしまうと、温蔵庫に代わる不思議な代物です。
そういった冷蔵庫でも高嶺の花、贅沢品でしたから、縄でしばって井戸に放り
込んで冷やしていたので、すいかは沈まないものだと知っていました。
今は、すいかを丸ごと一個買うでしょうか。
半分か四分の一でしょう。
水に浮かばせる機会もありません。
 
名門小学校の入学試験に、こんな問題があります。
水槽の中に、いろいろなものが浮かんだり沈んだりしている絵があって、その
中でおかしいものに×をつける問題です。
年長さんでさえ、沈んでいるすいかを見ても、不思議に思わない子がいます。
こういったことを、入学試験用の問題集を買って、机の上で教えるのですから、
子どもも大変です。
こんなことばかりやっていると、暗記することが勉強だと思わないでしょうか。
この種の問題は、一回見せてあげれば理解できます。
学校側も、知識として知っているかを見ているわけではないでしょう。
生活体験です。
家事の手伝いをしていると、こういう経験をするはずです。
そこを見ていると思います。
 
「受験用の知識や礼儀作法なるものを泥縄式に詰め込んで、『受験準備、事足れ
り』とお考えでしたら、それは誤りであることに気づいてほしい」
とある名門小学校の校長先生が、学校説明会でおっしゃっていました。
やがて皆さんも、入園説明会へ足を運ぶことになりますが、多いところでは、
何と五百名以上のご父母が集まります。
「泥縄式、その言やよし」ですね。
泥棒を捕まえてから、縛る縄をなうのですから、後手、後手です。
こんなことして、合格するわけはありません。
いろいろなことを泥縄式にさせられて、困るのはお子さん自身です。
受験のためではなく、ご両親は信念を持ってお子さんを育てることが大切です。
 
ところで、お手伝いでも、上手にできない場合があります。
たとえば、ガラスのコップをテーブルの上に運んでいる時に、落として割った
とします。
お母さんは、どうしますか。
「危ないから、じっとしていなさい!」
第一声は、これでしょう。
子どもは、びっくりしています。
やさしく言わないと、こんな時、何をするかわからないのが子どもです。
頭の中は真っ白になっていますから、何はさておき、じっとさせることですね。
手早く割れたコップの破片を取り除き、後始末です。
それから、落とした原因を聞きます。
子どもなりに考えます。
「ぬれていたので、すべってしまったの!」
それもあるでしょう、いろいろあります。
それで、いいのです。
考えることで、次に同じ失敗をしなければ、いいのですから。
 
駄目なお母さんは、ここで怒ります。
「ちゃんと持たないと駄目だと言っているでしょう、何を聞いているの、この
子は!」
「この子は」は、余計です。
駄目押ししているのです。
顔も、キッチリ駄目を出しているのですから、子どもは恐がっています。
こうやってしまっては、もう手を出さなくなります。
意欲をなくします。
いいではありませんか、コップの1つや2つ。
次からきちんとできれば、安いものでしょう。
 
お母さんも、こんな経験をしたことはありませんか。
お母さんは、家事のプロフェッショナルですが、お母さんも人間ですからたま
には失敗する時もあるでしょう。
例えば、本当に例えばの話ですが、お父さんが大切にしていたコーヒーカップ
を割ったとします。
訳を話して謝った、その時に、
「あなたは慌て者だから、気をつけないと駄目だと、いつも言っているだろ
う!」
などと言われたら、お母さんはどんな気持ちになりますか。
「フン、何、言っているの! わざと割ったのではありません。滑ってしまっ
たの!」
ふてくされ、いや、気分が悪くなりませんか。
子どもも同じです。
 
失敗した時、むやみに怒らないことです。
正しく状況を判断して、怒る理由があるときは、キッチリと怒りなさい。
それからでも遅くないのですから。
そうしたら、冷静に怒れます。
「冷静に怒れる?」、何やらおかしな言葉ですね。
冷静とは、その場の感情に動かされないことです。
冷静であれば、怒るでしょうか。
怒りませんね。
「叱る」と「怒る」の違いです。
そうすると、状況を客観的に把握でき、感情的にならずに対応できます。
これは、とても大切なことです。
なぜなら、単に失敗しただけでは叱らないという「叱る基準」が、きちんと決
まっているからです。
けじめのある子になります。
これが名門幼稚園側のいう育児の姿勢、ご家庭の教育方針です。
ご家庭と幼稚園の教育方針が限りなく近いことが、幼稚園を選ぶポイントにな
ります。
 
もっとおかしなお母さんがいます。
「また割られると困るから、ガラスのコップは止めて、アルミのコップに代え
ましょう。これなら落としても割れませんから」  
こんなことをすると何回も割りますし、無神経な、がさつな子になります。
教育の意味がわかっていません。
教育とは、読んで字のごとく、教え育てることです、しかも、意図的に。
絶好のチャンスを逃しています。
小学生になると、給食の時間に食器を乱暴に扱うようになるでしょう。
多くの場合、給食に使う食器類、ガラスや瀬戸物ではありませんから。
 
最後に一言。
以前、ある青少年犯罪係の偉い方が講演会で、「家事の好きな女の子に、非行少
女は、いません」とおっしゃったことがありましたが、一理あると思います。
お母さんが、いいお手本を見せているはずだからです。
きょう日のお母さん、こういいます。
「お手伝いなんかしなくていいの。そんな暇があるのなら勉強をしなさい!」
中学や高校受験になると、こうなるようです。
はっきりいって、これは間違いです。
味覚や服装のセンスは、母親が子に伝えるものです。
特に、料理です。
「おふくろの味」というではありませんか。
お母さんと一緒に台所に立って、お母さんの手さばきや料理の段取りを見て、
実地研修しながら、味付けを覚えたのではなかったでしょうか。
これも、一朝一夕に身につくものではありません。
お母さんは意図的に教え、子どもは習い、学ぶものです。
お子さんが大きくなった時には、きちんと教えてあげましょう。
1時間も2時間も台所に入りびたりになるのではありませんから。
これは勉強ではなくて、習い学ぶこと、学習です。
その心は、お母さんのようになりたい、そうではないでしょうか。
 
学習について、わかりやすい話があります。
キリスト、マホメット、お釈迦さまと共に世界の4大聖人の一人である孔子さ
まは、「論語物語」にある「うぐいすの声」でこういっています。
「『ホーホッケキョ!』ときれいに鳴く親鳥と、『ケキョ?』と不器用にしか鳴
けないひな鳥の声を聞きながら、ひな鳥は、親の鳴き声を一所懸命に聞き、繰
り返し、繰り返し練習をして、今に一人前に鳴けるようになる。その心は親鳥
のように鳴きたい。これを学習といって、『習い学ぶ』のは素晴らしいことだ」
と、息子に教える話です。
よいお手本を見て、一所懸命に学ぶ、これが幼児期の大切な学習です。
 
しかし、「お母さんのようになりたくない!」などと言われたら、これは、お母
さんの重大な責任です。
早期教育やお受験などで、知的な能力を高めることだけにこだわっていると、
こうなりがちではないでしょうか。
 
かつて、城山三郎氏の小説に「素直な戦士たち」(新潮社 刊)がありました。
この本では、中学受験を目指すお母さんは、典型的なマニュアルタイプで、もの
すごい子育てをしていますが、そういったお母さんにならないでほしいと思いま
す。
気になることがありましたら、ぜひ、この本をお読みになって下さい。
20数年前に発売された本ですが、いま読み返しても考えさせられてしまいま
す。
 (次回は、独り立ちの準備 (4)家事、やらせなさい (2)についてお話し
ましょう)

さわやかお受験のススメ<保護者編>第3章(2)何といっても正月ですね 睦月

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2020さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第11号
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第3章(2)何といってもお正月ですね  睦月
 
今年で34回を迎える「東京私立小学校児童作品展 ほら、できたよ」は、1
月30日(水)から2月4日(月)まで、銀座の松屋で開催されます。毎年、
意欲的な作品が展示されますのでぜひ足を運んでみてください。
 
◇お節料理◇
お雑煮を食べながらいただくのがお節料理です。木製できれいな絵や模様で飾
られ、二重から五重に積み重ね最上段にふたのある重箱にいろいろな料理を詰
めます。お節料理は、元旦の朝に神さまと一緒にお祝いをして、家族が健康で
良いことがたくさんあるように、お祈りをするための食事ですから、縁起もの
しか選ばれません。
 
「三つ肴」または「祝い肴」といって、この三種でお節料理を代表するものが
ある。三は完全を意味し、全体を一つにまとめる働きをしている。三つ肴とは、
関東では黒豆、数の子、五万米(ごまめ)をいい、関西では、黒豆、数の子、敲
き牛蒡(たたきごぼう)をいう。
      (年中行事を『科学』する 永田 久 著 日本経済社 刊 P9)
 
黒は魔除けの色といわれ悪魔が嫌う色、豆は「まめに生きる」、真面目に健康に
生きる願いが、数の子は、鰊(にしん)の卵巣で、数万の卵があることから「数
多い子」、子孫繁栄の意味で縁起がよいといわれ、「春告魚」とも書き「春よ、
早く来い!」と願い、ごまめは「五万米」とも書くことで豊作を、牛蒡(ごぼ
う)は、お米がたくさん取れた時に飛んでくるといわれる黒い瑞鳥を表したも
のです。
この三つは、必ず食べたそうで、私は、きんとん、だて巻き、かまぼこ、海老
や鯛、八つ頭(里芋の一種)こんにゃくなどを食べていました。きんとんは「金
団」と書いて「金の塊」のこと、だて巻の「伊達」は「粋で美しいさま」、かま
ぼこの赤は黒と同様に「魔よけ」、白は「清浄」を表し、八つ頭は「人の頭に立
つ人になってほしいことを願っている」といったように、お節料理は縁起を担
いだ食べ物からできています。
 
正式なお節料理は、四段重ねです。上から一の重、二の重といい、一の重には
三つの肴、黒豆、数の子、ごまめ、二の重は「口取り」といい金団、ゆず玉、
だて巻などオードブルが、三の重は海老や鮑、鯛などの「海の幸」を、四の重
は「与の重」といい、八つ頭、はす、くわい、里芋などの「山の幸」を入れ、
詰める品数は奇数がよいとされ、ここまでこだわります。  
料理の中心は煮物ですが、素材をそのまま煮炊きできませんから、下ごしらえ
に手間がかかり、味付けで素材の持ち味が決まる料理ですから、暮の台所はま
さに戦場で、今のようにお節を買って済ませる時代ではなく、全部自前でこし
らえていましたから大変な騒ぎであったことを覚えています。お節料理は、三
が日の間、お母さん方から料理する手間を開放してあげる配慮があったと聞き
ましたが、その通りではなかったでしょうか。
 
ところで、祝いの膳に欠かせない尾頭付きの鯛ですが、徒然草では鯉が「やん
ごとなき魚なり」と紹介されています。世界の四大聖人の一人、孔子の子息の
名前は「鯉」といいますが、王さまからお祝いに鯉を頂いたことから命名され
たそうで、当時、中国での魚の王さまは鯉でした。ところが、江戸時代になる
と鯛が祝い膳のトップに躍進し、今に至ってもその座を他の魚に許していませ
ん。「めでたい」の語呂だけではなく、姿、形がよく、色鮮やかで、生でも焼い
ても汁にしてもうまい、これでしょうね。しかし、親父は「鯛はいつでも食べ
られるから旬がなく、その分、損しとるのや」と言っていましたが、今では鰹
や秋刀魚も、いつでも食卓に上がります。食生活は豊かになりましたが、その
ために失ったものもたくさんあります。季節感が希薄になったのも、その一つ
でしょう。魚に限らず旬のものは、その時にしっかりと食べ、季節感を味わい
ましょう。
 
◇屠 蘇◇
読み方からしてやっかいですが、「とそ」といって、山椒、肉桂(にっけい)、
桔梗(ききょう)、ぼうふうなどの薬草を、砕いて調合した屠蘇散をひたした味
醂のことで、これが正月のセレモニーの主役でした。これを杯に注いで、「おめ
でとうございます」と父が言わないことには、新年の朝祝いは始まりません。
これは不老長寿の効き目があると言われ、正月の祝い酒でした。山椒はうなぎ
を食べるときに使うものですし、肉桂はにっきのことで刺激が強く、桔梗は根
を干したものはせき止めの薬で、ぼうふうはセリの仲間です。聞いただけで飲
むのを遠慮したくなりませんか。親父からちょっとなめさせてもらいましたが、
大人は、なぜ、こんなまずいものを飲みたがるのか不思議な気がしました。 
 
しかし、何事も訳ありです。
屠蘇は、「鬼気を屠絶し、人魂を蘇生させる」という意味があり、「その年の邪
気を払い、寿命をのばす働きがある」と信じられ、正月には欠かせない祝い酒
でもあったのです。屠蘇で乾杯して大人はお酒です。子どもはお節料理を食べ
ながら、お雑煮を頂きますが、両親とも着物です。母は着物の上に、袖付きの
前掛けというのでしょうか、割烹着をつけていました。親父は立派に見え、母
はきれいだと思ったものです。そして、なぜか子どもたちも新しい服を着せら
れていました。新しい年神さまを、誠心誠意でお迎えした雰囲気がありました
ね。
 
当時は、4本足の座卓、ちゃぶ台で、正座をして食事をしていました。姿勢が
崩れると父が、恐い顔してにらみますから、おかしないい方ですが、真剣に、
真面目に食べていました。ですから姿勢もよくなり、マナーも身についたもの
です。現代っ子は、姿勢の悪い子もいますし、妙なはしの持ち方の子もいます。
ご飯をぼろぼろとこぼしても平気な子もいます。食事中はテレビを消しましょ
う。4、5歳の子には、「食べながら見る」といった二つの作業をこなすのは難
しいものです。私の子ども時代と最も違ったのは食事ではないでしょうか。テ
レビはありませんから、食事は人が中心で、一家団欒の一時であり、家族の会
話があったような気がします。しかし、椅子とテーブルになって、子どもたち
の足が長くなりスタイルもよくなりましたが、子どもに教えるべき生活習慣や
しつけの面で失ったものも、数々あります……。昔から守られてきたよき習慣、
礼儀作法などが姿を消してしまったのも、私たち親が選択したのであり、子ど
もたちの責任ではありません。「現代っ子は……」という前に、反省すべきは、
そういう環境を作ってきた私たち、大人であることを、肝に銘じておきたいも
のです。
 
そして、年の順にお年玉を貰いますが、これが楽しみでした。でも、わずかで
したね。
現代っ子は、銀行に預けるほど貰えるようですが、これは不労所得です。汗水
を流さずに、お金をたくさんもらうのは、決してよいことではありません。子
ども時代にこそ、「分相応の精神」をしっかりと理解させるべきではないでしょ
うか。
 
★★初詣★★
朝祝いが済むと、近所の氏神さまへお参りをします。全国的に有名な神社、仏
閣に参拝しているようですが、生まれた土地の神さま、産土(うぶすな)神社
へ、神さまに失礼にならない服装に着替え、出かけるべきではないでしょうか。
そして、お子さんにも神前で、静かに頭を下げ、新年の希望や誓いなどをさせ
ましょう。目に見えない大いなる存在に畏怖を抱くのは、決して悪いことでは
ありません。親が、きちんと礼拝をする姿を見せれば、それで十分なのです。
 
我々日本人は畏怖することを忘れ、目に見えないものを敬うことを忘れ始めた
ような気がしてなりません。(「平成お徒歩日記」 宮部 みゆき 著 新潮社 
刊 P193)
   
神戸で起きた小学生殺人事件の容疑者が逮捕されたときの作者の言葉ですが、
忘れられない一言となっています。今でも「透明な存在である自分」なのか聞
いてみたい。2015年6月に発売された「絶歌」、元少年A(33歳)は、10
0万部売れると豪語したとか。それにしても、いつまで元少年Aで過ごすのか。
(憤怒)
 
帰りには、不幸をもたらす悪魔を払う「破魔矢」や、七転び八起きを願う「だ
るま」などの縁起物を買い、そのいわれを話してあげ部屋に飾っておきましょ
う。子どもなりに夢を育てるものです。
 
また、「初日の出」を拝む習慣がありますが、普段でも海上から昇る朝日や夕焼
けの山間に沈む夕日には、何ともいえぬ感動を覚えるものです。ましてや、そ
の年の初日の出となると感慨もひとしおでしょう。では、「日本でいちばん最初
に初日の出を拝めるのはどこか」ですが、国土全体では日本の最東端にあたる
南鳥島、島を除けば富士山頂で、平地では犬吠崎です。しかし、南鳥島は一般
の人は立ち入り禁止で、そこにいる防衛庁と気象庁の職員しか拝めませんし、
富士山頂は氷点下何十度という所ですから、誰でもは無理ということで、正解
は小笠原諸島の乳房山で、何と1月1日が海開きに当たり海水浴も楽しめるそ
うです。
 
ところで、ジャズのスタンダード・ナンバーに「The world is waiting for the 
sunrise」(世界は日の出を待っている)があります。アメリカ人に「太陽遥拝」
の信仰があるのではなく、第一次世界大戦後の不況から脱出したい願いをこめ
て作られた曲です。ジャズの演奏スタイルは時代と共に変わりましたが、大雑
把に分けるとデキシーランド、スイング、モダンの3つがあり、デキシーラン
ドには、ニューオーリンズ派とシカゴ派があります。ニューオーリンズ派の名
クラリネット奏者、ジョージ・ルイスの率いるバンドが、オハイオ州立大学で
行ったコンサートの中に、この曲の名演奏が入っています。バンジョーの名手、
ローレンス・マレロが、正確無比なビートで最高にスイングするソロを聴かせ
てくれます。沈んだ夕日が昇ってくるのではと思うほどアグレッシブな演奏で、
モノラルで音はよくありませんが、いつ聴いても感動を新たにさせてくれる、
ご機嫌な演奏です。私の正月は、これを聴くことから始まったものでした。
ジョージ・ルイスの素晴らしい音色を絶賛したのは、前衛ジャズの大御所、サ
ックス奏者のジョン・コルトレーン。ルイスの作曲した“Burgundy Street Blues”
(バーガンディ・ストリート・ブルース)ではなかったでしょうか。音楽に新
しい古いはないと思います、自前の感性に訴えるものがあれば、いいのですか
ら。私はドラムを少しやっていますが、学生時代、ある黒人のドラム奏者に、
「なぜ、そんなにスイングできるのですか」とあほみたいな質問をしたところ、
「なぜ、あなた方は、フォークソング(民謡)をあんなにうまく歌え、踊れる
のか」と言われ、ジャズのリズム(4ビート 若い皆さんが乗れるリズムは8
ビート)に抱いていた劣等感を拭い去ることができたような気がしました。そ
れぞれの民族は、長い時空を経て培われたリズム感があるということです。そ
れから、下手の横好きですが、私流のリズムを刻むことを覚えました。
ジョージ・ルイス(George Lewis)の演奏はYouTubeで視聴できます。“Burgundy 
Street Blues”は、黒人独特の哀愁を奏でた名演で、いつ聴いても涙ぐんでし
まいますね(笑)。
 
平成19年の暮れ、体力の限界を感じバンドを解散しました。何と47年間も
やっていた、とてつもない道楽でしたが、演奏の醍醐味を忘れることができず、
また23年から始めてしまい、24年11月の「新宿ジャズ祭り」で、普段は
プロしか演奏しないライブハウス、ピットインでトリを取ってしまいました 
(笑) 。再びトリを目指して頑張る予定でしたが、25年9月にバンドリーダー
の丸山が亡くなり実現しませんでした。彼とは53年来の付き合いで、彼がい
たからジャズの醍醐味を味わえたと感謝しています。26年5月に、演奏会の
度に香港から駆けつけてくれたバンジョーの名手、菅原さんが、ご自分のバン
ドを率いて「春の新宿ジャズ祭り」に来日した折、ドラムの方が参加できず、
ピンチヒッターでお手伝いさせてもらいました。かなりのテクニシャンである
外人の方が3名いて、緊張している私に、「ジャズは自分で楽しむものだよ!」
とまたしても教えられ、楽しいひと時を過ごせました。しかも、これは偶然だ
ったのですが、会場も、時間も、丸山と最後の演奏となった時と全く同じで、
追悼演奏ができたと感無量でした。冥界入りして5年、あちこち痛みの出てき
た私ですが、夢に出てくる彼は、全く年をとっていないので、うらやましくな
りますね(笑)。
 
★★正月の遊び★★
たこ上げ、羽根つき、カルタにすご六、福笑いが、正月の遊びの定番でした。
今の子どもは、やらないでしょう。テレビゲームやDSのようなポータブルゲ
ーム等、一人で遊べるゲームに人気があります。これが問題ではないでしょう
か。小学校時代に友だちと遊ぶことの楽しさを覚えないと、社会性は育ちませ
ん。社会性が育たないと、共に生きる共生の心も育まれません。人は一人では
生きられないことを、もっと教える必要があります。個性を育てるのとわがま
まを助長するのは、紙一重の差です。我慢をすることのできない子が増えてい
ます。「訓練されていない個性は野性である」と国府台女子学院の平田学院長は
おっしゃっていますが、勘違いすると後で困るのは、お子さん自身であること
を真剣に考えましょう。
 
ところで、昔の遊びの中にもいいものもあります。例えば、すご六です。サイ
コロを振り、出た目だけ動かなければなりません。しかも前後左右に進んだり
戻ったりしますから、混乱しがちです。5、6歳の子にとって、出た数だけ上
下、左右に移動するのは難しいものです。いわゆる「位置の確認」で、こうい
う遊びで覚えるのが効果的なのですが……。
 
このサイコロですが、2つ使うと最高12までの足し算ができます。二人で1
個ずつ振り、数の大きさで勝ち負けを競えば、引き算になります。数字を使い
ませんが、出た目を数えるだけで、簡単に答えが出ます。その上をいく優れ物
が、トランプです。ゲームは勝敗が伴いますから、真剣に遊びます。カードに
はマークと数字がありますから、算数の学習、数感の学習になっています。
 
トランプの絵札は、11はJ、12はQ、13はKとアルファベットで表され
ています。
Kはキングで王さま、Qはクイーンで女王さまですが、Jは何を表しているか
ご存じですか。
Jは「ジャック」という人名の頭文字からとったもので、イギリスでは、ごく
ありふれた名前の代名詞として使われ、日本でいえば「太郎」にあたり、よく
耳にする名前を付けることで、名もない一兵士を象徴させているのです。4つ
のマークは、ハートは僧侶、スペードは軍人、ダイヤは商人、クラブは農民と
身分階級を表していますが、何事も訳ありなのですね。ところで、中学生にな
り英語を習ったときの教材は「JACK AND BETTY」でしたが、べ
ティは「花子」にあたるのでしょうか(笑)。
 
                ★★春の七草★★   
言葉だけが、一人歩きしているようです。
七草は、せり、なずな、御形(ごぎょう 母子草)、はこべら(はこべ)、仏の
座(たびら子の別称)、すずな(かぶ あおな)、すずしろ(大根 鏡草)のこ
とです。昔は、春を告げる七草を親子で摘み、お節料理やお餅を食べすぎて、
お腹の調子が少し悪くなった時に、消化のよいお粥に七草を入れて食べ、春を
実感していたのでしょう。ちなみに、セリは解毒・食欲増進・神経痛・リュウ
マチに、なずなは高血圧・貧血・食欲増進に、御形は咳止め・痰切り・利尿作
用に、はこべらは歯槽膿漏・催乳・健胃整腸に、仏の座は体質改善に、すずな、
すずしろは骨粗鬆症・腸内環境改善に良いという説があるそうです。(三島函南
農業協同組合「七草がゆセット」のしおり より)
 
この七草に関して、覚えやすい歌があります。
  せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、
  すずな、すずしろ、これぞ七草      左大臣 四辻 善成(平安時
代)
 
最後に、おもしろい話を紹介しましょう。
 
大根は、野菜の王様で消化によく、食べあたりしない。大根役者とは、当たら
ない役者のことである。「千六本」というのは、大根を細長く刻んだものである
が、大根を中国では「繊蘿蔔」といい、これを唐宋音でローポと発音した。細長
く刻んだ大根=繊蘿蔔(センローポ)が日本でセンロッポンと訛って千六本と書
いた。千という字によって「たくさんの」という意味を感じて細かく切り刻んで
しまう人もいれば、「人参を千六本に切って」などと料理教室で教える先生もい
る。六本というのをどう解釈しているのかと考えると、ふきだしたくなる。  
(年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P35)
 
最近はニンジンを切る時にも使われているようですが、語源を知っていると永
田先生でなくても笑えますね。
     (次回は、「1月に読んであげたい本」についてお話しましょう)
 
 市原悦子さんが亡くなりました。先に冥界入りした常田富士男さんとの名コ
ンビ、アニメ「日本昔ばなし」で子どもたちにたくさんの思い出を残してくれ
たお二人に感謝しています。ご冥福をお祈りいたします。(合掌)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★(1)巧緻性に関する問題

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第27
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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★★入試問題を分析する★★
(1)巧緻性に関する問題
 
聞き慣れない言葉です。
「きめこまかく上手にできていること」という意味ですが、11月に詳しくお
話しました「手は第二の脳」(11号から14号)を思い出してください。重複
するところもありますが、大切な問題ですから繰り返します。巧緻性に関して
は、「塗る・折る・切る・貼る・結ぶ・摘む・包む」といった手作業、何かを作
ったり、絵を描いたり、手本と同じものを描いたりする問題があります。なぜ、
出題されるのでしょうか。手作業は、誰の手も借りず
に、指示されたことができるかどうかで、自立の状態がわかるからです。
 
[制 作]
 課題制作と自由制作があります。
 
 ◆課題制作
 ★「今から、動物の起き上がりこぼしを作ります。
   このように、画用紙を半分に折り、折り目のところが背中になるよ
   うに動物を描きます。描けたら動物を、このように切り抜きます。そして、
   別の紙を筒のようにまるめ、それに動物をホチキスで止めます。最後に、
   セロテープで粘土を筒の中に貼り、出来上がりです。」
 
先生が、やっているのを見てから制作に取り組みます。
 
 ◆自由制作
 ★(空き箱、画用紙、色紙、折り紙、セロハン、リボン、ひも、モール、
   輪ゴムなどの材料や、はさみ、のり、ホチキス、クレヨンなどが置かれて
   います。)
   「ここにあるものを自由に使って、自分の好きなものを作りなさい。」
 
まず、注意しておきましょう。
子どもたちの大好きな制作ですから張り切りますが、先生の説明中に手を出す
子がいます。待てないのです。きちんと聞いておかなければ、手順がわかりま
せんから、途中でギブアップすることになりかねません。
普段の生活態度が、そのまま正直に出がちです。お子さんに何かを頼んだとき
など、最後まできちんと聞いているでしょうか。聞いていれば心配ありません
が、何といっても「話を聞き、指示どおりに行動できるか」がポイントだから
です。
幼稚園は自由保育ですが、小学校は一斉授業ですから自分勝手にやるわけには
いきません。
しかも試験ですから、規則違反にチェックが入ります。
 
なお、制作を苦手とするお子さんの場合は、もう一度、「鍛えてほしい第二の脳」
をお読みになり、早いうちに対処しておきましょう。基本作業は、幼児教室の
先生にお任せではなく、家庭できちんと身につけるものです。これをおざなり
にしていると、制作に興味をもてなくなりがちで、行動観察型のテストが苦手
になることを、しっかりと胸に刻んでおきましょう。
 
[模 写]
★お手本と同じように描きましょう。
 
模写は、文字通り、お手本と同じものをまねて写すことです。
点図形と線や図形の模写があります。点図形は、対称図形が多く、見た目もき
れいですから面白そうですね。簡単なものも手抜きをせず、きちんと線を引く
ことが大切です。
しかも、大人が考えるより難しい作業です。どこから始めたらよいのか迷って
しまうものや、必ずしも点と点を結ぶとは限らず、野球でいえばサードとショ
ートの間を抜くヒットのように、点と点の間を抜けていくのもあります。これ
は、納得するのに時間がかかります。
「点と点を結ぶのに、何で抜かすのですか? そんなのずるいですよ!」
と不満に思っている子がいますが、こだわるから仕掛けに気づいて間違わない
わけです。
そして、この問題も根気がいります。どこがどうなっているのか、試行錯誤を
積み重ねた方が、後で効果が表れます。観察力と集中力、そして持久力や忍耐
力も身につきますね。さらに、全体のバランス感覚を養うのにも役立ちます。
なぜなら、隅から隅まで、全体をきちんと見なければならないからです。それ
が絵を描くときにも生きてきます。
 
模写の問題で見逃せないのは、性格まで姿を表すことでしょう。
点と点をつなぐ直線がよじれたり、脱線をしたり、通過すべき点を無視する子
は、何をやっても雑なところがありますね。スピードを競っているようですが、
描けていればいいのではありません。完成度から美醜の感覚、基本的な生活習
慣、しつけ、育児の姿勢まで判定することも可能です。最初が、肝心です。ゆ
っくりと丁寧に、時間をかけて、美しく描くことが基本です。そして、忘れが
ちなことですが、姿勢が悪ければ描く線も乱れます。背筋をきちんと伸ばし、
左手でペーパーをしっかりと押さえ、筆記用具をきちんと持って描く習慣を身
につけましょう。
 
線の模写
はじめに、点線などで手本が示されていますから、それを指でなぞり、どのよ
うにすればスムーズに描けるか、必ず確かめましょう。
指で何回もなぞり、脳に一筆で描ける感覚をしっかりと学習させることが大切
です。
三角形が連続する鮫の歯のような直線や、半円が上下に反転しながら連続する
もの、曲線では、筆記体のアルファベットの小文字「エル」の連続したものも
あり、上下が逆になると、ぶどうの房のように見えますが、「エル」は下から上
に左回りで描きますから、それに従い連続して描き、上からの場合は、上から
下へ右回り、時計回りで描きます。房の長さや間隔が乱れないように注意を促
しましょう。
しかし、いずれも難しい作業でなかなかうまく描けませんから、根気よく取り
組むことが大切です。
 
図形の模写
これは、難しいですね。
線の模写と違い、四角、三角、円、菱形、ハートなどさまざまな図形が、いろ
いろな組み合わせで出題されますから、それを描く子どもたちには、至難の業
だと思います。やってみるとわかりますが、全体の配置状態、バランスをつか
むことは容易ではありません。
 
以前にもお話しましたが、図形の○△□は、書写、運筆の基礎トレーニングで
すから、正確に描けるようにすることが大切です。
○は、下から時計まわりで描きます。上から左回りに描くのは数字のゼロです。
△は、頂点から左斜め下へ、そこから頂点に戻って右斜め下へ、最後に左から
右へ底辺を描きます。
左斜め下から、いきなり右方向へ底辺を描き、今度は左斜め上の頂点を目指し
て描くのは、大人の使う簡略法で、子どもにとっては書写違反です。
□は、漢字の国がまえと同じです。
左から下におりて、そのまま戻らずに、左回りで一周する子がいますが、これ
も書写違反になります。
文字には筆順がありますから、こういった図形をきちんと描ける子は、きれい
な字を書けるようになります。
 
基本的なトレーニングとしてお勧めしたいのは、例えば、大きな○を描き、そ
の中に、それより小さな形をどんどん描くことです。□△◇も同じようにやっ
てみましょう。前のものより小さく描き、その微妙な差を脳に教えることがで
きるからです。線の模写と同様、難しいですから、お子さんはうまく描けずに
嫌がると思います。あせらず、じっくりと時間をかけ、丁寧に描けるように導
いてあげましょう。
 
ところで、頼りない線を引く子がいますが、多くの場合、鉛筆を正しく持てて
いないからで、おそらく、はしの持ち方もおかしいのではないでしょうか。こ
れを解決してから挑戦しましょう。ただし、はしの持ち方は、食事の時にうる
さく言わないことです。       朝、昼、晩と三度、同じことを言われ
ていては、気が滅入りますから、以下のようなトレーニングがいいのではない
でしょうか。
Bか2Bの鉛筆で、直線や円などを殴り描きさせると効果が表れるものです。
これは、スピードを上げてもかまいません。なぜなら、速く描くには、鉛筆を
しっかりと持たねばなりませんし、どの辺を持てばよいかもわかるからです。
力み過ぎは、手首を疲れさせるだけですが、力配分やバランスも、やっている
うちにわかってきます。 
そして、ボール遊び、縄跳び、鉄棒など両手を使う運動をやることで握力をつ
けましょう。
机の上だけではないトレーニングにも、目を向けてください。はしの持ち方に
も変化が出てくるはずです。
 
[はしを使った問題]
 
★(角砂糖ぐらいの大きさのプラスチックの立方体が、たくさんお椀の
中にあり、はしと空のお椀が用意されている)
「お椀の中のものを、別のお椀にはしを使って、一つずつ移してくだ
さい。」
 
「摘む」手作業の試験です。豆の他に、はしでスーパーボールや玩具のミニチ
ュアの果物、落花生、金平糖をつかむ問題が出ています。
 
豆を買ってきて、割りばしを使い、懸命に練習をする話を聞きますが、何かお
かしな気がします。これは、試験のために練習をして身につけるものでしょう
か。体や筋肉の運動的な発達に関わることですし、基本的な生活習慣の大切な
課題ですから、しつけと関係があります。一応の目安として、3歳ぐらいから
はしを使えるようになり、5歳頃には、巧みに使えるようになるといわれてい
ます。生活習慣とは、「誰の手も借りずに自力で生活していくために身につける
もの」であることを忘れては、受験準備どころではないのではと思います。
 
第14号で紹介しました、立教女学院小学校の説明会での話を思い出してくだ
さい。教頭先生は、こうおっしゃっていました。
 
「鉛筆の持ち方やはしの持ち方は、一度悪い癖がつくと直しにくいので、家
庭で正しい持ち方、使い方を身につけさせてほしい。あえてこの場で申し上げますが、
今年度もテストの中ではしを使う場面がございましたら、はしで物を運ぶ速さを競っ
ているのではなく、正しいはしの持ち方ができているかを見ていることをご理解いた
だきたい。テストの主旨はそこにあります。日本の文化でもあるはしの使い
方を、きちんと身につけてほしいと考えています」
 
幼稚園児が、ペーパーテストに強くても、正しくはしを持って、ご飯を食べら
れない方が、よほど恐い話です。「九九、八十一!」とそらんじている子が、お
母さんに靴をはくのを手伝ってもらっているようでは、やはり、おかしいです
ね。練習しなければ、うまくはけないのは当たり前です。それを手伝うのです
から、脳から司令は出ませんし、筋肉も反応しません。手をかけた分、脳も筋
肉も楽をしているのですから、不器用になるわけです。手を貸し過ぎているこ
とはありませんか。モンテッソーリの「敏感期」ではありませんが、幼児期に
は、これから使う筋肉を鍛えなければならない大切な時期があります。赤ちゃ
んは、なぜ、はいはいをするのか思い出してください。
 
ある私立の名門校では、鉛筆を削るのに「肥後守」(ひごのかみ)を使っている
話を聞きました。「肥後守」とは、刃を収めるさやに「肥後守」と銘のある折り
畳み式の小刀(こがたな)のことです。私たちの子どもの頃は、鉛筆削り器な
どありませんでしたから、小刀で鉛筆を削るのは、誰もが練習をし、身につけ
る、当たり前のことでした。しかし、全神経を手先に集中しなければ、けがを
しかねない大変な作業でした。危険を伴う作業は、大げさにいえば、幼いなり
に危機管理が必要であることを学習していたのではないかと思います。使い方
を誤れば凶器になることを教えずに、ただむやみに禁止するのは、教育的な配
慮に欠けますが、こういったことはお父さん方が使って見せることもいいので
はないでしょうか。
 
脱線しましたが、その他に、折り紙を折ったり、はさみで線や線と線の間を切
らせたり、ひもを結ばせたり、積み木をハンカチで包ませる問題もあります。
ひも結びやハンカチでものを包むのも苦手ですね、特に、男の子は。やったこ
とがないからできないのだと思います。普段、お母さん方も風呂敷で物を包む
ことなど、ほとんどないでしょう。お弁当をハンカチで包むようにすれば、解
決できます。第二の脳を活用すれば知力も向上しますから、一石二鳥にもなり
ます。
 
巧緻性の問題には、お子さんの生活環境までわかる要素も含まれています。乱
暴な線や心細い線を引くような場合、その原因は、日常生活の中で、いろいろ
な形でサインが出ていると思います。口うるさく注意する前に、どのようなサ
インが出ているかチェックしてみましょう。
   (次回は、「言語の問題」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>独り立ちの準備(3)あいさつも大事です

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2020さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第10号
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独り立ちの準備 
(3)あいさつも大事です
 
あいさつも大事です。
しつけと同じで、習慣です。
日常の積み重ねですから、小さい時から、絶対に手を抜かないことです。
 
聞いてみましょう。
お母さん、朝、お父さんと目を合わせたとき、「おはようございます!」と、元
気よくあいさつをしていますか。
お父さんも、きちんと答えていますか。
やっていれば、お子さんもあいさつは、できているはずです。
 
お父さんに聞きましょう。
食事の時は、「いただきます」「お代わり」「ご馳走様」と元気よくやっています
か。
新聞片手に、ボソボソ食べて、ニューッとお茶わんだけ出して、お代わりをし
ていませんか。
それだけは、やめましょう。
テレビも消したいものです。
お子さんの生活習慣に、よくありません。
テレビを見ながらご飯を食べていると、集中力に欠けますから、ポロポロとこ
ぼしますし、ダラダラと時間もかかりがちです。
幼稚園へ行っても、同じことをします。
手のかかる子は、幼稚園でも歓迎されません。
 
会社へ行く時や外出する時に「行ってくるよ」、帰ってきたら「ただいま」と、
やっていますか。
「お休み」をいってから寝ていますか。
「ありがとう」と感謝の気持ち、大切にしていますか。
やっているのなら心配ありません。
あいさつ、礼儀作法は、何といってもご両親がお手本、親の率先垂範です。
できない子どもに、責任はありません。
これこそ、絶対に付け焼刃は、効きません。
小さい時からの積み重ねです。
「まだ、小さいし、その内できるようになるから無理をしない」とは、一見理
にかなっているようですが、手抜きをしていると、後で後悔することになりま
す。
基本的な生活習慣やしつけに関しては、何もせずに、その内できることなどは
ありません。
 
外で、ご近所の方と会った時は、少しばかりオーバーになって、「こんにちは」
とあいさつをしましょう。
だからといって、子どもがあいさつのできない時に、「ゴアイサツハ!」と強制
するのは、止めた方がいいですね。
条件反射になって、いわれなければできなくなることもあるからです。
もっと、すごいお母さんになると、「ごあいさつしなさい!」といって、頭をグ
イッとばかりに押さえ込みにかかります。
頭を押さえられている子どもの気持ちになってみましょう。
これは、恥ずかしいものです。
 
2、3歳頃までは、無邪気に頭を下げて、あいさつをしていたと思います。
「おう、坊や、偉いな!」
「さすが、お嬢ちゃんだね。女の子は、これだからかわいい!」
 褒められて嬉しいですから、あいさつをしていたのでしょう。
 
しかし、何やら妙な意識が働いて、そう単純にいかない場合もあります。
今までなかった戸惑いとでもいうのでしょうか。
本人は、「あいさつをしなくては」と思っていることは思っているらしいのです
が、タイミングの合わないこともあります。
そこで頭を押さえつけられて、さらに、「ゴアイサツハ!」と命令されるのです
から、子どもにとって面白いはずがありません。
子どもの自尊心、プライドは、どうなりますか。 
「子どもに自尊心があるのですか?」
冗談は抜きにしてください。
あります、いろいろな情緒が芽生えてくる時期です。
これを認めないと、お子さんの心は曲がっていきます。
 
3歳に入ると自立が始まるといいましたが、自立が始まると共に、さまざまな
感情も、いろいろなことを経験することにより、一緒に培われてきます。
それが、情緒です。
この情緒が、五歳頃になると、分化されていくといわれています。
今までは、おもちゃ箱の中に、おもちゃが雑然と入っていたのが、「自動車は、
ここ」、「ぬいぐるみは、こっち」、「ままごと道具は、あっち」というように、
きちんと整理されて入っていく状態になるらしいのです。
まだ、整然とは、いきませんが。
未分化だった情緒が分化して、大人に見られるような情緒が表れてくるそうで
す。
はにかみ、恐れ、心配、怒り、嫉妬、失望、不快、愛情、望み、喜び、快いと
いった「情緒」です。
 
あいさつができなくなるのも、羞恥心といった、はにかむ心の表れとは考えら
れないでしょうか。
そこで、頭をグイッとばかりに押さえられてごらんなさい。
お子さんは恥をかかされ、頭に来て、不快感の塊になっています。
自尊心は、グチャグチャです。
はえ叩きで、ハエを叩き殺すのと同じです。
はえ叩きとは古すぎますが、でも、一発で仕留めるのですから、必殺技です、
強烈です。
 
あいさつだけではありません。
結構、親は、はえ叩きのようなことをしています。
胸に手を当てて考えてみましょう。
思い当たることがありませんか、それもかなりです。
特に、気分が悪くて、イライラする時があるでしょう。
普段は、腹が立たないのに、怒り散らすことがありませんか。
後で後悔することがあると思います……、それです。
原因がわからないで怒られるほど、不愉快なことはありません。
子どもも、ムッとなります。
でも、力関係で逆らえませんから、我慢せざるをえないのです。
 
お母さん方も、こういった経験はありませんでしたか。
会社から帰ってきたお父さん、何やらご機嫌がよろしくないのです。
お母さんは、心配ですから気をきかせて聞くと、
「うるさいな、何でもないんだから!」
こういわれたら、腹も立つでしょう。
子どもも同じです。
因果関係がウヤムヤで、感情的になられるのは、いやなものです。
 
4、5歳になると、こういった情緒も分化してきます。
3歳は、こういう時期を迎える準備期間でもあるのですから、ストレスがたま
るように仕向けないことです。
あいさつができなかったら、ただ「ごあいさつは」と強制するだけではなく、
「どうしてできなかったのかな」と考えてあげましょう。
「考えてあげる」、これは思いやりです。
思いやりを欠かしては、心のやさしい子には育ちません。
 
しかし、思いやりと、ベタベタした親に都合のよい身勝手な過剰な愛情とは違
います。
ベタベタは、お子さん自身にとっても、うとましくてやりきれないようになり
ます。
子どもは、お母さんの所有物ではありません。
幼いといえども、意志と感情を持つ、独立した生き物です。
さめた目で、わが子を見つめることも大切ではないでしょうか。
お子さんは、そういう時期にさしかかっているのです。
未分化であった情緒の分化が始まっていること、忘れないでほしいと思います。
(次回は、独り立ちの準備(4)家事、やらせなさいについてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<保護者編>第3章(1)何といっても正月ですね 睦月

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2020さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第10号
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第3章(1)何といっても正月ですね 睦月
 
物の本によれば、睦月(むつき)のいわれには、正月は身分の上下、老若男女、
分け隔てなく行き来し、親族一同、仲よく「睦み合う」という説が有力だそう
で、その他にも「元つ月」、草木が萌えいずる「萌(もゆ)月」、春陽が発生す
る「生む月」、稲の実を初めて水に浸す「実(み)月」なのだとする説もあるよ
うです。
 
  お正月の歌
   ♪もういくつ寝るとお正月   お正月には凧あげて
    こまを回して遊びましょう  早く来い来いお正月♪
 
正月になるとこの歌を思い出します。子どもの頃の思い出といえば、正月に
まさるものはなかったですね。恥ずかしい話ですが、お餅を食べられるのと
お年玉を貰えるからでした。今と違い餅は正月しか食べませんでしたし、小
遣いとなると現代っ子のように毎月貰えるものではなく、正月や祭りの時だ
けでしたから、本当に待ち遠しかったものです。今の子どもたちがクリスマ
スを待つ心境と同じではなかったでしょうか。
ところで、この歌の作曲者はどなただと思いますか。瀧廉太郎です。童謡や
唱歌には素晴らしいものがたくさんあります。お子さんと一緒に歌うべきだ
と思いますね。幼児期の思い出は、こういった歌からも残っていくものでは
ないでしょうか。
 
さて、元日の朝ですが、いつもの朝と違い「特別な朝」という感じがしたも
のです。いつもと変わらない朝ですが、元日の朝だけは別です。なぜか、天
気はよく、大雪とか氷雨といった経験はほとんどありません。瀬戸内海に面
した兵庫県の赤穂市と東京の新宿、川越市にしか住んだことがないからかも
しれませんが、毎年、いかにも新しい神さまがいらっしゃった朝という気持
ちになったものです。元日は、その年の神さま、年神さまがやってきて、前
の年の神さまと交代する日でした。ですから、神さまを中心に生活が営まれ
ていた時代には、「おめでとうございます」といっていたのは、人と人が挨拶
をするのではなく、新しい神さまを迎える言葉として使っていたそうです。
ですから、「あけおめ」などという言葉を聞くと「何と不謹慎なことよ!」と
腹が立ちますね(笑)。門松、しめ飾り、鏡餅、そしておせち料理も、みんな
神さまをお迎えするセレモニーに必要なものだったのです。中には何やら語
呂合わせのようなものもありますが、「これはすごい!」と思わず膝を叩きた
くなるのもあります。
 
★★正月の三点セット★★
◇しめ飾り◇
本来、しめ縄は、神前など神聖なものと不浄なものとの境界線を示すために張
る縄のことで、わらを左捻(よ)りにして、三筋、五筋、七筋と順々にひねり
垂らし、その間に四手を下げたものです。四手とは、横綱の化粧まわしの上に
しめられた綱にさがっている、あれです。   
稲や麦の茎を干したわらで作ったしめ飾りで神さまを迎えるのも、農耕民族の
生活の基盤は米ですから、わかるような気がしませんか。
地方によっては、えびや橙(だいだい)を一緒に飾った豪華版もあります。え
びは「海老」とも書きますが、文字、そのものが「海のご隠居さん」で、体が
曲がっている姿からお年寄りにたとえ、長寿を祈願したものです。これが漢字
の楽しいところで、何となくイメージが浮かんできます。“LOBSTER”と
書かれていても、何のイメージもわきませんが、字の並びに何か意味があるの
でしょうか。橙は、一家の幸せが、「代々」続いて欲しいという語呂合わせです。
神さまを迎えるしめ縄に、いろいろとお願いするのですから、頼まれる神さま
も大変です。
 
◇門 松◇
門松の方が、まだ受け継がれているかもしれません。しかし、庶民派の門松は
松だけです。銀行やデパート、大きな会社の入り口には、立派な門松が飾られ
ています。松竹梅、何やらのどが鳴りそうですが、これも当然、意味ありでし
ょう。
 
松は常緑樹ですから、葉は一年中、緑色で冬の寒さをものともしません。
竹は真っすぐ伸びていきますから、横道にそれない芯の強さがあり、雪の日な
ど他の木は雪の重みで折れがちですが、竹はしなって頑張り、雪の方が我慢で
きずに滑り落ちます。
かぐや姫の生れ故郷は竹の中、空っぽで「腹に一物もなく」、唐竹を割ると一直
線に割れることから曲がったことが嫌い、生一本のシンボルです。ちなみに「生
一本」とは、単一の酒造で造られた混ざり物のない純米酒のことです(笑)。
梅は北風が吹き荒れ、他の木々は葉を落とし寒そうですが、梅は頑張って小さ
な花をリンと咲かせ、「春近し」を告げています。春告鳥と書いて「うぐいす」
ですから、春告花で「うめ」はどうでしょうか。木偏に春と書いて「うめ」と
読みたいですが、「椿」がありますからだめですね。
 
この椿が映えるのは、茶室ではないでしょうか。一輪挿しの椿は、和敬静寂の
雰囲気を見事にかもし出していました。
 
「和敬静寂」は千利休の言葉で、和して敬すると誰の心も清々しくなります。
そしてそこには、心の寂けさが生まれます。寂とは淋しいものではなく、あた
たかな静けさなのです。そうした心境になれば、煩悩が静められ、知恵が生ま
れてくるのです。そこで「和敬静寂」が禅のこころといわれ、茶のこころとい
われるようになりました。
(「命のことば」 瀬戸内寂聴さんの著から 利休の茶室日記 gooブログよ
り)
 
利休の命名は、「名利共に休す、名誉も利益も求めない」という禅語からとった
ものといわれていますが、墓所は織田信長の菩提寺である大徳寺の隣にある聚
光院です。大徳寺の山門を寄付したのは利休で、そのお礼に寺側が利休の木像
を掲げたことが秀吉の逆鱗に触れ切腹を命じられました。年は利休が上ですが、
茶道では信長の弟子で、隣同士で眠っていることは、あまり知られていないの
ではないでしょうか。
 
それはともかくとして、松竹梅、語呂もいいですね。この縁起物の三つを玄関
に飾り、年神さまが、確実に我が家に来ていただくための道標、表札の役をし
ていたのではないでしょうか。昔は盆にはきゅうりの馬となすで作った牛を飾
りましたが、正月は神さまを、盆には仏さまを迎えるための飾り物で、季節折々
の花や農作物を供えるところからも、農耕民族であることがわかります。
何かにつけて、事の起こりは中国ではと考えますが、松竹梅も、厳しい冬を堪
えて生きるみやびやかな木、「厳冬の三友」といわれ、それが日本に伝わり、「長
寿・節操・清廉」などの解釈を加え、めでたいもののシンボルとなったのです。
いや、それだけではありません。後程、紹介しますが、あっと驚く秘密が隠さ
れているではありませんか。
 
◇鏡 餅◇
鏡餅は、年神さまから頂いた新しい魂を表したものです。丸い形は、角を立て
ないように、みんなで仲良く暮らそうという意味が込められています。お飾り
は、地方によって勝栗、干柿、扇など多種多彩ですが、橙、ゆずり葉、昆布、
裏白などが一般的でしょう。橙は長寿、ゆずり葉は新しい葉が出てから古い葉
が落ちることから「譲り葉」、家督を子孫に譲ること、昆布は「喜ぶ」の語呂合
わせと子生(こぶ)、子どもが生まれることを願い、裏白は葉の裏側が白いしだ
類(わらび、ぜんまいの仲間)で、うしろ暗いところがなく、清らかで汚れの
ない心を表しています。
 
★★松竹梅に隠された秘密★★
何やら週刊誌の見出し風ですが、文句なしにすごい秘密が隠されているのです。
初めて読んだときの驚きといったらありませんでした。少し長くなりますが、
紹介しましょう。
 
 陰陽の立場から松竹梅をみると、松は陽、竹も陽、そして梅は陰である。
松竹梅は陰と陽が相まって完全な世界を構成するという哲理にもかなっているわ
けである。さらに、植物学の上から考えると、松竹梅が植物界を代表しているこ
とが知られている。植物を分類すると、顕花植物と隠花植物に分けられ、顕花植
物は裸子植物と被子植物から成り立っている。さらに被子植物は、単子葉類と双
子葉類に分類される。ところで、松は種子を裸にしているので裸子植物であり、
竹は種子が実の中にあって、しかも子葉が一枚しかないので、被子植物の単子葉
類、梅も被子植物であるが子葉を二枚持っているので双子葉類というわけで、松
竹梅が顕花植物の典型的な代表例となっている。このすばらしい事実を古代人が
知っていたのであろうか。松竹梅の意義の深さに、めでたいということよりも、
頭の下がる思いがする。
 ついでに隠花植物について述べると、正月飾りとしてすでに述べた裏白を
その代表にあげることができる。こうして松竹梅と裏白とで植物界をおおうこと
によって、正月をより意義のあるものにすることができるというわけである。
 
■植 物 界■
 ◆花が咲き実を結び種を作る(顕花植物)
  種が裸のもの  (裸子植物)………………………………… 松 
  種が実の中のもの(被子植物) 葉が一枚(単子葉類)…… 竹 
  葉が二枚(双子葉類)…… 梅   
 ◆花は咲かせず胞子で増える(隠花植物)……………………… 裏白 
 (年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P28-29)
 
いかがでしょうか。先生の書かれた図を参考に、わたし流に書き加えると以下
のようになります。植物には、梅、桜のように種を作るものと、コケやシダの
ように花を咲かせないで胞子でふえるものがあります。種には、竹や梅のよう
に種が実の中に包まれているものと、松、銀杏(いちょう)、蘇鉄(そてつ)のよ
うに種が裸のままのものがあります。種が実の中にあるものをまくと、芽を出
した時に最初に出る葉が、一枚のものと二枚のものとあります。
松竹梅というと、寿司屋などでは、上中並と同じように値段を表すのに使って
いますが、実は、こういう素晴らしい意味があるのです。本当に不思議ですね。
「なるほど!」と納得するばかりではなく、感動しませんか。昔から受け継が
れているものには、それなりの意味があるわけです。また、こういったことを
科学的に実証する先生がいらっしゃったのも、頼もしい限りではありませんか。
 
★★正月の食べ物★★
正月の食べ物といえば、雑煮とお節料理でした。しかし、現代っ子は、雑煮や
お節料理を食べているでしょうか。私の子どもの頃は、餅は正月しか食べられ
ませんでしたから、楽しみであり、しかもご馳走でした。今は、一年中、売っ
ていますし、いつでも食べられますから、魅力の点で引きつける力がないので
しょう。餅も季節感を奪われてしまった被害者です。非常食としても優れもの
ですけれど。
 
◇雑 煮◇
雑煮は、大晦日の夜に、神さまをお迎えするためにお供えをした食べ物を、神
さまと一緒に食べ、神さまの力を授かる食べ物です。雑煮は、必ず、青い葉っ
ぱを入れるのが決まりで、「葉っぱを入れる」「菜を入れる」から「名をあげる」
「成功して名前が知られるようになる」に通じるので、青い葉っぱを入れるの
だそうです。
 
餅は本来、丸いものですが、東日本では四角に切った切り餅を、関西では丸い
餅を使っています。雑煮の作り方ですが、東京では、餅を焼いてから椀に入れ、
具や汁を入れますが、大阪では、ゆでてから椀に入れます。私は父が関西の出
身でしたから、ゆでるのに慣れていますが、焼いてから食べるのも香ばしくて
おいしいものです。
 
織田信長に面白い逸話が残されています。ある年の元日の朝、信長の雑煮の膳
に、箸が片方しか添えられていなかったのです。あの短気な信長のことですか
ら、平穏に収まるわけがありません。しかし、怒り心頭に発した信長を、木下
藤吉郎(後の太閤秀吉)が、「今年から諸国をかたはし取りにされる吉兆でござい
ます」と言い換え、ご機嫌が直ったそうです。「曽呂利新左衛門のとんち話」の
中に、病気見舞いに送られてきた松竹梅の盆栽が枯れたのを見て落胆した秀吉
を、新左衛門の機知で吉報に変えてしまう話があります。世の中、めぐり合わ
せですね。
とんち話には傑作な話がたくさんありますが、おすすめは、寺村輝夫のとんち
話シリーズ「一休さん」・「吉四六(きっちょうむ)さん」・「彦一さん」
(あかね書房 刊)で、大人でもしっかりと笑えます(笑)。
(次回は、「正月の食べ物」他についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第26
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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★★入試問題を分析する★★
 
明けましておめでとうございます。
今年もご愛読のほどよろしくお願い致します。
志望校から招待状が頂けるよう、頑張りましょう。応援します。
 
門松と鏡餅には、文句なしに、すごい秘密が隠されているのです。植物界は、
顕花植物と隠花植物から成り立っていますが、その代表が勢揃いして、正月を
迎えているのです。門松は、花を咲かせ種を作る顕花植物から松、竹、梅が、
鏡餅の下には、花を咲かせず胞子で増える顕花植物から裏白が選ばれています。
昔から受け継がれているものには、やはり意味ありでした。
(拙著 メールマガジン「さわやかお受験のススメ 保護者編」より要約)
 
[一]入学試験の出題範囲
テストの形式は、わかりましたから、今回は問題の内容を紹介しましょう。そ
の前に、4歳や5歳児の心や身体は、どの程度、発達するのでしょうか。これ
は平成4年に改訂された「幼稚園指導要領」の解説に添付されていた資料で、
昭和23年3月に文部省から出された保育要領(幼児教育の手引き)の中で紹
介されたものです。
身体の成長は、現代っ子の方がまさっていますが、運動や知的能力、情緒の発
達や社会性などの発達の内容は、現代でも通用する幼児教育のバイブルともい
われているそうです。
こういった資料を見ると、学校側のねらいは、どの辺にあるか理解できると思
います。
 
★身体の運動的発達★
[4 歳 児]                  
   1 スキップができる。                      
   2 片足立ちをしようとする。(少しの間ならできる)                 
   3 走り幅跳び、立ち幅跳びができる。            
   4 ボールをじょうずに投げられる。 
   5 はさみで形の切り抜きができる。
   6 ひもを結ぶことができる。(固結び)
                               
[5 歳 児]      
   1 片足立ちができる。     
   2 小さい物を巧みに扱える。 
   3 三角形を模写する。    
   4 はしを巧みに使う。    
 
★知的能力の発達★
[4 歳 児] 
   1 13まで正しく数える。                 
   2 重さの比較ができる。
   3 3つの数字の復唱ができる。                
   4 3つの命令を正しく実行する。
   5 語彙数の増加が著しい。                   
   6 発音が正しくなり、赤ちゃんことばがなくなる。       
   7 非常によく質問する。
   8 簡単な課題を解決する。           
 
[5 歳 児]
   1 求知心が強くなる。                  
   2 想像と現実との区別が十分につかないところが間々ある。  
   3 1つのことを始める前に一定の計画を持っている。     
   4 用途によって物の定義をする。    
   5 手の指の数が正しく言える。     
   6 右と左の区別ができる。       
   7 成人との話が自由にできる。     
   8 いろいろな貨幣の名前をいえる。   
   9 昨日、今日、明日の区別ができる。  
   10 具体的推理ができる。  
 
運動テストやペーパーテストの内容を見ると、身体や知的な能力の発達を考慮
して、入学試験は行われていることがよくわかります。こういう標準的な発達
から逸脱しないばかりか、さらに生まれた月の差を考慮して試験を実施すると
発表している小学校もありますが、このデータを見ているとうなずけます。何
といっても、受験生は幼児だからです。
 
★情緒的発達★
[4 歳 児]                     
   1 3歳児と同じようなことで泣きやすいが、だいぶ自制できるように
     なる。
   2 理由のない恐怖心(たとえば、暗やみに対する)が多い。
   3 かんしゃくは、ほとんど起こさなくなる。
   4 怒ったときの表情が次第に抑制されるようになってくる。
   5 小さい子供を可愛がることを喜ぶようになる。       
   6 反抗期が終わり、大人の権威や命令に従うようになる。
 
[5 歳 児]          
   1 泣くことが非常に少なくなる。   
   2 恐怖心が、やや 少なくなるのが普通である。            
   3 怒り、かんしゃくは、ほとんど抑制される。        
   4 感情や情緒は分化して、大人に見られる大部分の情緒が現われる。
    (例 はにかみ、恐れ、心配、怒り、しっと、うらやみ、失望、不快、
     いみきらい、親への愛情、小さい者への愛情、のぞみ、喜び、快い等) 
 
★社会的発達★
[4 歳 児]                     
   1 自分で着物を着たり脱いだりする。 
   2 排便のことは全部自分でできる。                    
   3 歯をみがく。                              
   4 顔を洗う。                          
   5 多人数の中にある自分というものを意識しはじめる。    
   6 他の子供たちと協同的に遊びはじめるが、2人か3人グループが多い。
   7 簡単な遊戯の規則を守ることができる。   
   8 ごっこ遊びが、最も盛んである。           
 
[5 歳 児]            
   1 独立的で自信を持ち、従順になるので物事をまかせられる。 
   2 小さい者をいたわる。       
   3 自分の周囲の社会生活を遊びに取り入れる。        
   4 2人ないし5人ぐらいのグループで協同的に遊べる。    
   5 友達と遊ぶことを好む。      
   6 自己主張をし、他人への依頼感を持ち社会的協同性を持つようになる。 
 
いかがでしょうか。
親の手を借りずにできることが増え、一人の人間として、集団生活を送るため
に必要な能力の培われていく時期であることが、よくわかると思います。3歳
頃から始まっていた、親のもとを離れる準備が、完了する時期といえます。就
学前とは、小学校生活を送るにふさわしい能力を身につけ、自分の力で大地に
しっかりと足を踏張り、自力で立つ時です。
 
こんな大切な時に、過保護や過干渉な育児になり、さらに、知的な能力だけを
訓練して鍛えるのは、決して幼児にふさわしい受験準備ではありません。基本
的な生活習慣やあいさつなどをきちんと身につけさせ、子どもの感性に刺激を
与え、好奇心を引き出し、学習に意欲的に取り組める環境を作ってあげるのが、
幼児期にふさわしい受験準備であり、こういった意識を持つことが、小学校の
受験に取り組むご両親の、大切な心構えではないでしょうか。
 
よく練り上げられたカリキュラムをもとにした適切な指導は、決して過激で猛
烈な受験勉強ではなく、子どもたちが楽しく学習しながら、合格への道を歩む
パスポートであるはずなのです。お子さんは、教室へ行くことを楽しみにして
いますか。楽しみに通っているのであれば、心配ないでしょう。
 
「受験戦争の低年齢化!」「猛烈な準備に耐え、突破した子だけが合格する!」
などと言われているようですが、これも怪情報、うわさの一つです。こういっ
たことは、バブル経済全盛期の頃の話であり、NHKの「お入学」やTBSの
「スウィート・ホーム」が放映され、「お受験」という言葉が生まれ、注目を集
めた時のことで、幼稚舎でさえ志願者が減ったことからも、小学校の受験は、
一つの転換期を迎えていると考えられたものでした。
 
さらに、2011年3月11日に起きた東日本大震災は、「安全な通学」も学校
選びに欠かせない条件になり、躊躇されるご両親も増えたのではないでしょう
か。皆様が参加されている公開模擬テストの参加者数の推移を見ても、私学志
向に変化が起きていることも伺えたものです。
 
しかし、4月には東京農業大学稲花小学校が世田谷に開校(隣接の高校は実績
のある進学校)、東京の私立小学校は54校になり、受け入れる学校側の体制、
学童保育なども充実し、推薦入学の導入などから、応募者も増えてきました。
倍率の高い学校は、依然として入学の条件は厳しく、それなりの準備は必要で
す。しかし、先程紹介したようなうわさを信じて準備を始めると、親子で受験
地獄に陥ることになりかねません。そのようなことを避けるために、入学試験
では、どのような問題をやっているのかを紹介しましょう。すると、いろいろ
な形で出題されているさまざまな領域の問題は、幼児の日常生活と深いかかわ
りのあることがわかるからです。         
 (次回は、「合否を判定する必須十項目」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>独り立ちの準備(2)しつけ、手を抜いたらいけません

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2020さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第9号
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独り立ちの準備 
(2)しつけ、手を抜いたらいけません
           
明けましておめでとうございます。
今年もご愛読のほどよろしくお願いします。秋のゴールを目指し頑張りましょ
う。応援します。
 
大きな門松、ご覧になりましたか。花を咲かせて実を結ぶ顕花植物から松、竹、
梅が、花を咲かせずに胞子で増える隠花植物からは裏白(鏡餅の下にしくもの)
か選ばれ、植物の代表がそろって正月を祝っています。古くから伝わるものに
は、それなりの意味があり、科学がまだ発達していない時代に、どうしてこう
いったことがわかっていたのか不思議な気がしませんか。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編 「日本の年中
行事と昔話」より)
 
しつけ、これは大切です。
といっても、堅苦しい言葉遣いや礼儀作法ではありません。
当たり前のことを、当たり前にできるようにしつけることです。
小さいときから手を抜くと、抜いた分だけ身につきません。
その年にふさわしいしつけがあります。
これは、ご両親が責任を持ってやらねばならぬことであり、お手本は、ご両親
です。
これこそ、付け焼刃は効きません。
そのまま、大人になります。
街で、よく見かけるでしょう、おかしな若者や大人を。
 
まずは、公衆道徳です。
大勢の人が集まる場所では、守らなければならないルールがあります。
これは、その時、その場で、出会った状況に応じて、きちんと教えるべきです。
「しつけのTPO」です。
 
電車に乗るとき一つ取り上げても、教えることが、たくさんあります。
整列乗車をしているところに割り込んでくる子がいます。
子どもだから許してあげるか、などと仏心を起こしたら、サッと乗って席を取
り、
「お母さん、席、取ったよ!」
「ありがとう!」
お母さんが、後から、ゆっくりと乗ってきます。
何が「ありがとう!」ですか。
お腹が大きいとか、赤ちゃんをおんぶして荷物を持っているとか、そういった
状況であれば、良識を備えた大人は席を譲ります。
親が、ルール違反をすると子どもも真似をします。
小さいときが肝心です。
 
これも困ります。
電車を1台待って席が取れ、応援している野球のチームが、本当に久しぶりに
勝ったので、いい気分でスポーツ新聞を読んでいると、小さな子が前に来て、
「ママ、座りたい!」
年寄りの前に来ないで、若者のところへ行けばと思いますが、子どもも席を譲
らない若者がいることを知っているのでしょう。
 
腹の立つこともあります。
こういうお母さん、許せません。
電車の中で、お母さん同士が、話に夢中になって、子どもが、ギャーギャー騒
いでいるのに、ぜんぜん、注意しません。
子どものためだと思って、
「坊や、少し静かにしようね、電車の中だから」
と注意しました。
すると、そのお母さん、何と言ったと思いますか。
私を、キッとにらみつけて、
「おじちゃんが(本当は、オジンと言いたかったでしょうね)うるさいと言う
から、やめなさい!」
と、言ったものです。
「それじゃ、私が、うるさいと言わなければ、やめさせんのか!」
こう、言いたくなります。
電車は、家の中と違います。
人の迷惑にならないように静かに乗る。
みんなが守らねばならない、最低のルールではありませんか。
これは、親が、キッチリと子どもに教えこむ、しつけです。
それを放棄しているのですから、いやになります。
後で困るのは、子ども自身であることに、どうして気づかないのでしょうか。
さらに、「人が、ドウ、コウ言っているから」と、他人のせいにしてしつけるの
は、間違いです。
自分の信念ですべきです。
母親としての教育、誰がするのですか、自分自身ではありませんか。
「育児は、育児しながら育自する」、自分を育てることです。
これを忘れて一貫性のない、付和雷同的で節操のないしつけをされては、混乱
するのは誰でしょう。
子どもにもっとも嫌われる母親のタイプです。
 
こんなしつけをされていると、混んだ電車の中で、「エッ、ウッソ、ホント、マ
ジー!」などと奇妙な言葉で、長々とスマホで話をする、人の迷惑を、全然考
えない子になり、優先席に足を投げ出して座り、漫画を読んでいる若者になり
ます。
お年寄りが前に立っても、知らん顔をしています。
中には、寝たふりをする輩(やから)もいます。
また狸が一匹いると笑ってしまいますね、「狸寝入り」です。
でも、学生さん、足の長いのはわかったから、浅く腰かけるのはやめなさい。
あの姿勢は、腰に負担がかかります。
腰が悪くなったら一大事です。
「腰」という字は、「月へんに要」とかくでしょう。
人間の体の中で、肝心要のところだからです。
冷や酒と年寄りの言うことは後で効いてくるものです。
本当は、「冷や酒と親の意見」ですが、きょう日のお父さん、「説教」をしませ
ん。
だから、子どもは迷うのです。
ロン毛に茶髪、ピアスに厚化粧、若者の特権だから、どんな格好してもいいの
でしょうが、そこに「父親の見識」が見えません。
 
かなり昔の話で恐縮ですが、ある女子大の教授が「母親の顔を見たい」(題名は
間違っているかもしれません)といった題の本を書かれたことがありました。
とにかくしつけがめちゃくちゃなのです、そこで母親がたたかれました。
今は、しゃかりきな母親が目立つ分、父親不在なのでしょう。
「父親の顔を見たい!」などといった本が出るかもしれませんよ、お父さん!
 
歩きながらスマホを見るなど、並外れた非常識な振る舞いを平気でやっていま
すが、大きな声で話していることにも、全く気づかないようです。
良識のあるお方は、「今、電車の中ですから」と断って、すぐに切りますが、人
様への配慮が、少しも見られません。
「今の若い者は……」と言う前に、こういう気配りにかける若者を育ててしま
った私たち大人は、どんなしつけをしてきたのだろうと思わざるを得ません。
私たち大人は、こういうことを許してきたのです。
罪作りな話ではありませんか。
やはり責任の一端は、私たち大人にもあるわけです。
しつけの原点は、やはり家庭です。
 
この間、変な親子に会いました。
これと同じ話を聞いたとき、信じられませんでしたが、本当の話でした。
私も体験したのです。
皆さんは、アンビリーバブルと言うかもしれません。
こういうことなのです。
電車に乗っていたら、若いお母さんとお嬢ちゃんが乗ってきました。
私の隣に座り、窓から外を見ているお嬢ちゃんは、靴を脱ぎません。
すると、お母さんが声をかけたのです。
靴を脱がせるのだなと思っていましたが、とんでもないことになりました。
「○○ちゃん、お靴脱ぎますか、脱がないのですか」
「脱ぎたくありません」
「そうですか」
これで、おしまいです。
丁寧な言葉遣いと、その行いは、反比例しています。
今の世の中、「エニシング ゴーズ、何でもあり」ですから、いまさら驚くこと
ではないでしょうけれど、しかし、靴を脱ぐ、脱がないは、お嬢ちゃんの都合
で決めることですか。
違うでしょう。
一歩外へ出たら、守らねばならぬルールがあります。
守らなければ、秩序が乱れます。
ルールを守る、これは、生きていく人間が暗黙に了解するところではありませ
んか。
もっと言えば、家憲であり親の見識であって、しつけです。
こういったことは、親が責任を持って教えないで、誰が教えるのですか。
教えてもらえなかったら、不幸なことです、これは。
被害者は、やはり子ども自身です。
 
しつけは、当たり前のことを当たり前に、教えればいいのです。
でも、この当たり前のことが、当たり前でなくなっています。
何度も言いますが、公衆道徳は、親が責任をもって教えるしつけです。
これは、お父さんの大切な仕事です。
いい仕事、残してあげなさい。
 
小さいときのしつけこそ、「三つ子の魂百まで」ではないでしょうか。
しつけに限り、年齢相応のことができない場合、「まだ、小さいから」は、お子
さんのために決して良いことではありません。
できるように、やさしく、辛抱強く、繰り返し教えることが大切です。
 
 (次回は、独り立ちの準備 (3)あいさつも大事です、についてお話しまし
ょう)

さわやかお受験のススメ<保護者編>第2章(4)冬(12月~1月)に読んであげたい本

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2020さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第9号
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第2章(4)冬(12月~1月)に読んであげたい本
 
明けましておめでとうございます。
今年もご愛読の程よろしくお願い致します。
 
初詣、お出かけになりましたか。
大きな門松をご覧になったと思いますが、文句なしに、すごい秘密が隠されて
います。植物界の代表が勢ぞろいし正月を迎えているのです。花が咲き種を作
る顕花植物から松、竹、梅が、花は咲かせず胞子で増える隠花植物からは裏白
(鏡餅の下に敷くもの)が選ばれていますが、昔から受け継がれているものに
は、それなりの意味があります。詳しくは、1月編「文句なしに正月です」で
紹介します。
 
【冬(十二月~一月)に読んであげたい本】
神さまの交代する月ですから、神さまの話が多いですね。あまりにも、たくさ
んあるので困りますが、これなどちょっと恐くて、面白いです。
      
◆おぶさりてえのおばけ◆
むかし、あるところに、正直で働き者の、じいと、ばあがいました。
二人は懸命に働きましたが、暮らしは楽になりません。
ある年越しの晩のことです。
寝ようとしたとき、裏山から重っ苦しく、「おぶさりてえ!」と叫ぶ声が聞こえ
たので、ばあが、「様子を見てきてくれ」というと、じいは、嫌だと布団にもぐ
りこんでしまうのです。
声は、夜中になってもやめようとしません。
「『おぶさりてえ!』といっているから、おぶってやったらどうか」と、ばあが
いうものだから、帯を持って出かけました。
山道を登って行くと、あの声がぴたりと止み、突然、そばの杉の木の天辺から、
「おぶさりてえっ!」
と、大声がしたので、じいは、頭をかかえて座りこんだのです。
すると、背中に、ずしんとおぶさってきたものがあり、おぶわれたきり、もう
何もいいません。
何とか庭までたどり着き、降ろそうとしますが、離れません。
台所でも、座敷でも、降りないので、「降ろしてくれ」と、ばあに声をかけまし
た。
ばあが見ると、背中にのっているのは大きな石なので、あきれて背中に手をか
けると、自分から落ちたのです。
「この石は、おらたちの家に来たかったのだろう。家宝にしよう」と、二人で
床の間に運び、安心して寝てしまいました。       
次の朝、その石はたくさんの大判小判に変わり、お金持ちになって、いい年越
しをしたのでした。
  世界のメルヘン 22 日本のむかしばなし         
     つるのよめさま  松谷みよ子・水谷章三 講談社 刊        
 
 
これも、おかしな話です。普通は、福の神は歓迎されるはずですが、何と逆に
なるのです。
福の神にとっては初体験、その顔を思い浮べると、吹き出したくなります。
      
◆びんぼう神とふくの神◆   望月 新三郎 著
とんとむかし、あるところに、働き者のおやじとかかがいました。
朝早くから夜遅くまで働いたので、暮らしは次第によくなってきたのです。      
ある年越しの晩、二人で正月の支度をしていると、泣き声がしたので、おやじ
が押し入れを開けると、ぼろを着た、やせたじじいが転げ出てきたのでした。
これが貧乏神で、「お前たちは働き者だから、福の神が来るので出ていかなけれ
ばならない。それが悲しくて泣いているのだ」というのです。
「長年、おらの家に住んだ仲だから、福の神が来たら、追っ払ってしまえ」と
励まされたのです。
「貧乏神、早く出ていけ!」と福の神がやって来ました。
「しっかりと追い出せ!」と、二人の励ます声に、元気になった貧乏神、勢い
よく組みつきましたが、福の神は、びくともせず、貧乏神は押されるばかりで
す。
すると二人は、貧乏神の後から押しはじめました。
これには福の神もたまらず、引っ繰り返され、「福の神を追い出す家など初めて
だ!」と逃げ出しました。
戸口の前に打出の小槌が落ちていたので、貧乏神が拾い、「米、出ろ! 金、出
ろ!」とふると、米や小判が、たくさん出てきたのです。
それからというもの貧乏神は、福の神のようになり、いつまでも、この家で暮
らしたのでした。         
  日本むかしばなし 2
   子どものすきな神さま 民話の研究会編 巽弘一 絵 ポプラ社 刊
 
 
12月といえば、私には忘れられない歴史的な事件、といってもかなり脚色さ
れた話になっていますが、四十七名の赤穂浪士が、主君、浅野内匠頭(たくみ
のかみ)の仇を討った「忠臣蔵」があります。
8月に出てきますが、広島に原子爆弾が落とされた時、岡山と兵庫の県境にあ
る赤穂市に住んでいたせいもあるかもしれません。戦前は、小さな子どもでも
知っていた話ですが、今はどうでしょうか。こんな話が残されています。
 
◆キツネも喜んだ討ち入り◆
京都の紫野の南に、狐の霊を祭る小さな社があり、「忠臣蔵」で知られる兵庫県
の赤穂の殿さま、浅野内匠頭(たくみのかみ)が建てたもので、浅野神社ともい
われています。殿さまの恨みを果たそうと、家老、大石内蔵助(くらのすけ)
以下、四十七名の浪士が、江戸の本所松坂町にあった吉良上野介(こうずけの
すけ)の屋敷に討ち入り、仇をとったのは、1720年(元禄15年)の12
月14日の夜でした。
同じ日の深夜、浅野神社の境内に数百人の人々が集まり、にぎやかな踊りが始
まったのです。
「こんな夜更けに何事か!」と近くに住む人々は驚いて神社まで行って見ると、
数え切れないほどのキツネたちが、社を取り巻き、後ろ足で立ち上がりながら、
前足を手のように打ち振り、踊り狂っていたのです。
家を飛び出してきた人々は、びっくりしてしまいました。浪士が討ち入りを果
たした事件が京に伝えられたのは、三日後のことです。それなのに、同じ日の
夜に、何百キロも離れた京のキツネたちは、霊力でそれを知って喜び、踊って
いたのです。
「キツネというのは、本当に魔物じゃ。不思議なことじゃのう……」
キツネたちの踊りを見た人々は、後にそういって、キツネの霊力に感心したと
いう話です。
 (「雪窓夜話抄 上野 忠親 著」
   必ずその日のお話がある 365のむかし話 谷真介編・著 講談社刊)
 
 
当日、雪が降っていたかどうかわかりませんが、14日ですから満月であった
ことは確かです。井沢元彦氏の「逆説の日本史 全17巻」の受け売りですが、
本能寺の変が起きた天正10(1582)年6月2日は月の姿はない闇夜で、
そのために隠密に行動でき成功したとあります。月の運行の様子から遠い昔の
事件の夜空を想像できるとは知りませんでした。(笑)  
 
最後は、どうしても、この話に出てもらわなければ、おさまりがつきません。
おじいさんが、笠を売りに行ったものの、まったく売れなくて、お地蔵さまに
かぶせてあげる話が多いのですが、私は、この話が好きです。おじいさんの見
返りを求めない無償の奉仕に、お地蔵さまが応えてあげるのがいいですね。こ
ういうことって、ありそうでないのが現実ですが、あってほしいと願う、庶民
の素朴な望みです。
育児も同じです。「あなたのために、お母さんはこんなにしてあげたのに…」。
育児は、有償の奉仕ではありません。見返りを期待しはじめると、親子の絆は、
切れがちではないでしょうか。「無償のほほ笑み」は、親の宿命です。みなさん
のご両親が、そうであったように、巡り合わせです。「子を持って知る親の恩」
と言うではありませんか……。
                           
◆かさ地蔵◆   浜田 廣介 著
むかしのことです。
ある所に、じいと、ばあが住んでいました。
もうすぐお正月、貧乏でも年越しの晩に魚っ気がなくてはと、じいは、さけの
頭を買いに出かけたのです。
雪が降り、風も吹き始め、道端の六つのお地蔵さんの頭は、雪をかぶって寒そ
うに立っています。
石のお地蔵さまでも、かわいそうだと、手でかき落としますが、すぐに積もっ
てしまいます。
そこで、じいは、町まで急ぎ、さけを買うのは止めてすげ笠を買ったのですが、
お金が足りず、五つしか買えません。
じいは、頭に一つずつ笠をかぶせ、足りない分は、自分の古い笠をかぶせてあ
げたのです。
帰ったじいは、さけを買わない訳を話すと、よいことをしたと、ばあも喜びま
す。
夜が明けると、大晦日。
二人は、麦飯を分け、菜づけに熱いお湯をかけて、塩気をすすって食べ、無病
息災で年を越せることを感謝し、火箱を抱いて寝床に入ったのです。
すると、どこからともなく、唱える声が近づき、ドシン、ドシンと重い響きが、
枕元まで響いてきました。
二人は恐くなり、布団をかぶって震えていました。
地響きと声は、庭先に入ってきたのです。
何やら話し声がしたかと思うと、かけ声と共に「ドシン!」と大きな音がして、
後は何の音もしません。眠気も拭き飛んだ二人は、寝床でじっとしていました。            
やがて、夜明けを知らせる三番鶏が鳴いたので、じいは戸を開けてみると、大
きな袋が置いてあり、
中には金貨と銀貨が、ぎっしりとつまっていたのです。
六人のお地蔵さまが、笠のお礼に袋をかつぎ、大地を踏みながら運んできたの
でした。
 世界民話の旅 9
  日本民話  浜田 廣介 著 さ・え・ら書房 刊     
 
お地蔵さまは、お釈迦さまが入滅後、弥勒菩薩さまが生まれるまでの間、人々
を救済する菩薩さまで、正しくは地蔵菩薩さまといい、仏さまの仲間なのです。
あのやさしいお顔から民間信仰に結びつき、村や子どもなど弱いものを守って
くれると信じられ、村の入口や街道筋などに、たくさん立てられるようになっ
たのでした。
 
それにふさわしい童謡があります。
 
 見てござる
  山上 武夫 作詞  海沼 実 作曲
   村の外れのお地蔵さんは いつもにこにこ見てござる
   仲良しこよしのじゃんけんぽん ホイ 石けり なわとび かくれんぼ
   元気で遊べと見てござる ソレ 見てござる
 
私の年代では、日本で最も伝統のある合唱団「音羽ゆりかご会」の創設者であ
り、「みかんの花咲く丘」「里の秋」「あの子はたあれ」の作曲者で、山田耕筰、
中山晋平と共に著名な作曲家として、また童謡歌手、川田正子、孝子、美智子
の三姉妹の育ての親として知られていますが、若い皆さん方にはどうでしょう
か。
  
この話に出てくる「六地蔵」とは、
  地獄道 (地獄で苦しむこと)
  餓鬼道 (常に飢餓に苦しむこと)
  畜生道 (けだものの姿に生まれて苦しむこと)
  修羅道 (争いの絶えない世界で苦しむこと)
  人 道 (人の踏み行う道を外れて苦しむこと)
  天 道 (超自然宇宙の道理から外れて苦しむこと)
という六道に迷う人々を救済する願いがこめられているのです。
 
学生時代、京都の浄瑠璃寺へ歩いて行った時、途中の山道でたくさんの石仏と
出会い、感動したことがありました。今は、バスで山門前まで行けますから、
見過ごすかもしれません。浄瑠璃寺は、薬師仏とそれを祀る素朴ですばらしい
三重塔、横一列に並んでいるどっしりと存在感のある阿弥陀仏九体とその本堂、
宝池を中心とした庭園が、平安時代のまま揃っている唯一の寺で、奈良にある
女人高野と呼ばれていた室生寺と同様、一人で訪ねたい寺です。名刹を散策す
るには、晩秋から初冬がいいですね。
(注 室生寺 高野山は開創当時から明治5(1872)年まで女人禁制、そ
れに対して当寺院は、女性の参詣が自由であったので、女人高野と呼ばれるよ
うになった。(About Koyasanより)
 
  (次回は、「何といっても正月ですね」についてお話します)

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