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めぇでるコラム : 2016年5月

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>学校説明会で確かな情報を (3)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第47号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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学校説明会で確かな情報を (3)
★紹介したい説明会でのエピソード(2) 
 
[入試情報]
早稲田実業学校初等部説明会
 日 時 2016年5月29日(日)
 第1回目 10:00~11:30
 第2回目 13:00~14:30
 ※1回目も2回目も内容は同じ。
 場 所 早稲田大学 大隈講堂
   最寄り駅 ・東京メトロ東西線 早稲田駅 下車 5分
        ・JR山手線 高田馬場より都営バス「早大正門」行き
          「早大正門」下車 徒歩1分
 予約不要 上履き不要
 
カトリック学校フェア 2016
 日 時 2016年6月5日(日) 9:30~15:00
 場 所 聖心女子大学 1号館、3号館 マリアンホール
     ・東京メトロ日比谷線 広尾駅 
     (2番 天現寺橋 聖心女子大学方面 出口 下車約3分)
     ・JR渋谷駅東口 または恵比寿駅より都バス
    「日赤医療センター前」行 終点「日赤医療センター前」下車約3分 
(注)場所は白金にある聖心女子学院(初等科 中・高等科)ではなく、広尾に
   ある大学です。
 「来場の際の注意とお願い」など詳しくは、ホームページをご覧ください。
 
平成24年の49回目のメルマガでは、「説明会速報 立教小学校(6月9日)」
を紹介していましたが、これこそ「こんなことがあったんだな」とエピソード
の一つになってほしいものです。
 
震災に対していろいろと対応を考えている。
校舎は古いが理論上は震度7に耐えられる建物、震度5以上の予知情報が校内
に流れるようになっている。
乾パン二千食、水や毛布の備蓄もあり、グランドの奥にある水車小屋の下には
井戸があり水は豊富。立教大学が通勤難民四千人あまりを収容、乾パンを配り、
学生食堂では炊き出しをした。池袋周辺にいれば安全を確保できるので心配い
ただくことはない。現在、停電になっても発信できる緊急メールを準備してい
る。
大学院には放射線物理学科の専門の先生がいて、給食の食材、水道水の放射能
値を測定するなど、学院の組織的なバックアップもあるので安心できる体制に
ある。
(緊急メールは、現在完備されている)
 
さて、説明会へお子さんを連れてこないでほしいと明言している学校もありま
すが、そういった条件がある場合は別として、お子さんを会場へ連れていかな
ければならない事情のある方もいます。1時間から2時間ほどかかる学校もあ
りますから、子どもは退屈します。
 
ある年の説明会の会場で、後ろの所に子ども達が遊べるような空間があったの
です。そこで、子どもが走り回りはじめました。うるさいのですが、親が注意
をしません。
見かねた校長さんが、
「元気な子と不作法な子は違います」
とおっしゃったのですが、それでも注意する親が現われません。学校の教育方
針と違うことをやっていることに気づかないのでしょうか。もっとも、出るに
出られなくなってしまったのかも知れません。
 
これは、その逆の話ですが、赤ちゃんを胸に抱いたお母さんが、会場の外の廊
下で立ったまま話を聞いていました。恥ずかしい話ですが、「遅刻しないよう
に」などとおこがましくもアドバイスしている私自身が、渋滞に巻き込まれ5
分ばかり遅刻したことで、偶然、この光景に出会ったのでした。先生との話の
様子から、会場へ入るようにすすめられても、辞退しているようでした。終っ
て廊下に出た時、何と同じ所にお母さんはいるではありませんか。約1時間半、
大変だったと思います。この学校の教育方針は、「心身ともに強く、心のやさ
しい子」の育成です。お母さんは、出身者ではなかったでしょうか。
 
この話も、機会があれば、必ず、紹介することにしています。
 
育児ないないづくし 
 暖房きかせて寒さがない        冷房きかせて暑さがない  
 おやつが過ぎて空腹がない       歩かせないので疲れがない 
 おもちゃのやり過ぎで興味がない    テレビの見過ぎで考えない 
 何でもホイホイ我慢がない       点数以外に関心がない   
 わかっているけど行わない       これではまともに育たない 
 
育児を「育自」と置き換えて、育児を通して育自するお母さんを求めます。
 
こうおっしゃっていました。
育自は誤植ではありません、自らを育てることです。「育児を通して育自する
お母さんになりましょう」と何やら偉そうに私は言っていますが、種を明かせ
ば、その根拠はここにあるのです。
 
次の話は、あるミッション系の学校でうかがった話です。
母親の学歴が高くなる一方で、育児が下手になっているといわれています。核
家族化、少子化の進む環境のもとでの育児ですから、決して母親だけの責任で
はありません。しかし、バブル経済全盛期の頃に聞いた話ですから、考えさせ
られてしまいます。子どもを取り巻く環境は、あまり変わっていないどころか、
むしろ悪くなっていると思われるからです。
文言は正確ではありませんが、以下のような話でした。
 
現代の価値観は多様化したとはいえ、世界各国のシスターから、日本人といえ
ば、商売に道徳は無用とばかりに、自己の利益だけを求めるイメージが強くな
るばかりと聞かされています。その歪みを正すのが教育に携わる私たちの使命
です。教育が、こうまで荒廃した原因は、あまりにも豊かになり過ぎ、お金が
評価の基準になって、そこには精神的な絆がないからです。教育の危機は、心
を大切にしないことから発しています。
 学卒のママが多くなる一方で、いたわり合う心、思いやりの心を持った子が
少なくなっているのはなぜでしょう。それは、心を育てるより知識を与えるこ
とに夢中になっているからです。無理に知識を詰め込もうとすると過干渉にな
りがちで、素直な感情を押さえつけ、その結果、子どもの心は屈折してしまう
のです。
 
30年前になりますが、すでに過保護、過干渉な育児の弊害を指摘しています。
これは小学校受験だけではなく、早期教育や稽古事にもいえるのではないでし
ょうか。子どもが、あることを学習するために、ふさわしい成長をしていない
状態で、いろいろなことを詰め込むのは、幼児に適した教育とはいえません。
 
では、幼児期にふさわしい教育とは、立教小学校の田中司元校長の話を紹介し
ましょう。
田中先生は、平成17年に諸橋先生と交代されましたが、「本の読み聞かせ」
は、想像力を培う大切な方法と考え、授業に取り入れていた私に、大きな自信
を与えてくれた貴重なお話でした。
 
0歳から6歳までの幼児期は、人間の一生でいちばん大切な時期です。最も大
切なのは、対話です。子どものいうことをよく聞き、やりたいことをしっかり
とつかむことです。親がしっかりと聞いてくれ、受けとめてくれることで、子
どもは安心感を持ちます。人間にとって安心感ほど大切なものはありません。
対話の反対は沈黙ではなく、命令と要求です。家庭内で対話が成立する、これ
が育児でいちばん大切だと思います。
 
次は、本の読み聞かせです。現代の情報は映像で入ってきます。
映像は視覚と聴覚を通して、瞬時にわかる反面、頭の中でイメージを作る想像
性が欠如していく気がします。読み聞かせる母親の、話しかける父親の言葉を
聞きながら情景や動物、人間の姿を思い浮べることが、人間にとっていちばん
重要な能力だと思います。イメージする力を育てることは、文学的な分野と考
えがちですが、自然科学的な発想は、少ないデータをもとに発展させ、それぞ
れの世界をイメージすることでできたわけです。分子や原子は、どんな格好を
しているか、太陽はどんな姿をし、宇宙はどのようになっているか見た者はい
ません。わずかな情報から科学者が創ったイメージの世界です。読み聞かせは、
子どものイメージする力を育てるとともに、子どもの世界を一緒に楽しむ豊か
な時間でもあるのです。
 
3番目は、ご家庭の中に自然を楽しむ文化をもってほしいのです。神様が創っ
た自然の美しさ、素晴らしさにかなうものを、人間は作っていないと思います。
気をつけないと、人間が作ったものだけに囲まれて生活することが可能な時代
になりました。土を踏んだことのない子もいます。土、石、葉っぱ、虫、砂と
いった地球を作っていく素材を、子どもが肌で感じることが大切です。休日に、
森や海岸、川原や野原へ、弁当とシートを持って出かけ、自然って美しいな、
風って気持ちがいいぞ、葉っぱはきれいだ、石ころにはいろんな形があって面
白いな、何もプログラムを作らずに、ゆったりと、そこにいるだけで素晴らし
い、そういう自然の楽しみ方、それは非常に高い文化ではないかと思います。
 
対話、読み聞かせ、自然を楽しむ文化、考えさせられることばかりですが、お
母さん方は、「対話と読み聞かせ」については、ついこの間までキチンと実行
していました。
お子さんの赤ちゃん時代です。
何もわからない乳飲み子に、一所懸命、話しかけませんでしたか。赤ちゃん言
葉を懸命に理解しようとしませんでしたか。こういった姿は、無償のほほ笑み
と共に、この世で最も美しい姿といわれています。        
ところが、受験準備に夢中になりすぎると、「命令と要求」の日々になりがち
です。でも今は、大丈夫なのです。心配なのは、夏休み以降です。
 
ちなみに、田中元校長が就任した年から、立教小学校はペーパーテストを廃止
しました。
昨年も男の子の多くが苦手とする、音楽に合わせて体を動かすテストがあり、
思わず笑ってしまいましたね。照れ屋で気が弱く繊細な神経の子が多いからで
す。運動会で楽しくダンスをしているのは女の子ではないでしょうか。お父さ
ん方も何やら照れくさそうに踊っていますね(笑)。
昨年の説明会では、田代教頭が脳科学者の話を例に、18歳を超えると脳の成
長の差はなくなり、それまでは女子の成長が速いので、小中高が別学で、大学
は共学が理想的な教育環境、「手前みそながら」と自慢されていましたが、な
るほどと納得できました。別学が禁止されていたアメリカでは、2006年に
法が改正され、公立の学校でも別学を選択できるようになったそうです。
 
最後に、平成9年6月に、白百合学園幼稚園が、創立以来、初めて説明会を開
催したときにうかがった話を紹介しましょう。幼稚園を受験されるお母さん方
への話ですが、小学校の受験も、基本的には同じことだからです。
 
あいにくの雨の中、熱心なお母さん方が、およそ500名、幼稚園のプレイル
ームは、立錐の余地なしといった状態でした。(第2回目以降は、学園内の講
堂で行われていますから、園舎に入るという貴重な経験をしました!) 校訓
である三訓、「従順、勤勉、愛徳」の説明、モンテッソーリ教育の目的、敏感
期、縦割り保育のメリットを話された後に、幼稚園側が望む子ども像について、
次のように話されたのでした。
 
私どもの希望しておりますのは、小さいときから、入園テストですとか、面接
テストを受け訓練された子ではなく、むしろ日常の生活の中で、特に、お父さ
ま、お母さまの、生きたお手本の中で育てられたお子さま方、それから年齢相
応に基本的な生活習慣が、これは、まだ、完全にできませんから、ある程度、
身についているお子さま、明るく、素直で、いきいきしたお子さま、そういう
子ども達を期待しております。
 
いかがですか。
「お父さま、お母さまの生きたお手本の中で育てられたお子さま方」云々は、
幼稚園、小学校の受験は、まだ、中間報告ですが、お子さんを通して、ご両親
の育児の集大成を判定しているということです。
 
ところで、小学校の受験は、「はじめにご両親の育児の方針ありき」とお話し
ましたが、その根拠となっている話を紹介しましょう。残念ながら、今では手
に入りませんが、慶應義塾幼稚舎が願書に同封していた小冊子「第一学年入学
志願者心得 入学受験について」に書いてあったことです。
 
甚だ当たり前のことであるが、子供は手塩にかけて育てるものである。
「両親が手塩にかけて、心を尽くして育ててきた我が子を、受け取らない学校
があるなら、行かなくても一向に差し支えない」
というように考えられないものであろうか
 
学校説明会は、建学の精神や教育理念を話すだけではなく、こういった育児に
ついての話があることから、小学校の受験は、ご両親の育児の姿勢が問われて
いることが、おわかりいただけたと思います。問題集だけを頼りにし、机の上
だけで受験準備はできません。子どもは、ご両親の作った環境で育っていきま
す。基本的な生活習慣やあいさつ、言葉遣い、運動能力といったものは、ご家
庭できちんとやっていかなければ、幼児教室や塾などで、受験に必要なノウハ
ウの指導を受けても身につかないでしょう。
 
だらだらと食事をし、衣服の着脱ができないようでは、暁星小学校のような俊
敏性を求めるテストに対応できません。
 
すぐ疲れておんぶをせがむようでは、筑波小学校のような熊歩き(四足歩き)
をやれといってもできないでしょう。
 
自立心や意欲が培われていないと、かつての白百合学園小学校のように立った
ままで試験を受けることも難しいのではないでしょうか。
 
過保護になっていれば、話を理解し、素早く、積極的に取り組まなければなら
ない幼稚舎のような、行動観察型の試験をクリアできるとは考えにくいことで
す。
 
学校側が試験を通して知りたいのは、「知育、徳育、体育の三つの能力が、就
学前の子どもにふさわしく、バランスよく培われているか」であり、知的な能
力だけを判定しているのではありません。こういった能力を育み、意欲のある
子に育てるのはご両親であり、試験を受けるのはお子さん自身ですが、判定さ
れているのはご両親であることを、納得いただけたのではないでしょうか。
 
数々のエピソードは、以前にもお話ししました「心を鍛える賢い子どもの育て
方」や「おとうさん、おかあさんの受験対策 全26巻」(私のお勧めは慶應
義塾幼稚舎編)の一部を紹介したもので、説明会へ参加する前にお読み頂き、
万全の態勢で秋に向かってほしいと願っています。詳しくはめぇでる教育研究
所のホームページ、「出版物・問題集のご案内」をご覧ください。
 
北海道では夏日、沖縄より暑い日が続いているようですが、夏日になったり4
月中旬の陽気に戻るなど、梅雨入り前の不安定な天候が続いています。健康管
理には十分、注意してあげましょう。
(次回は、「よくある質問」についてお話しましょう)

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>幼稚園の選び方(2)

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2017さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第29
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幼稚園の選び方(2)
 
前回は、「幼稚園の選び方9つのポイント」を紹介しましたが、今回は、その
チェックの方法についてお話しましょう。
9つのポイントを、以下のように並び替えてください。
 
(9) お子さんの長所と短所
(8) ご家庭の教育方針(保育の姿勢)
(7) 志望理由
(6) 健康状態
(5) 通園距離と所要時間
 
私たちの子どもには、こういった長所がある反面、こういった短所もある。
それは私たちが、こういう家庭の教育方針で育ててきたからだ。
そこで、いろいろな幼稚園を調べてみると、○○幼稚園の保育の方針と、よく
似ているところがある。
30分ほどかかるけれど、心身共に通園できるだけの成長をしているだろうか。
送迎は、家内が担当できる。
(もし、保護者のいずれかが送迎できない場合は、依頼できる人がいること)
 
そして、将来、どういった教育環境の学校を選ぶかについては、以下の条件か
ら検討してみましょう。
 
(1) 一貫教育制度
(2) 共学制度
(3) 別学制度
(4) 宗教教育
 
共学で大学までを希望すれば、学習院幼稚園(中高は別学)、成城幼稚園、桐
蔭学園幼稚部など。
 
共学で高校までを希望すれば、森村学園幼稚園、日出学園幼稚園、昭和学院幼
稚園(短大があります)など。
 
幼稚園は共学、小学校から別学で大学までを希望すれば、日本女子大学附属豊
明幼稚園、川村幼稚園など。
 
宗教教育で、共学で大学までを望むなら、青山学院幼稚園、玉川学園幼稚部、
淑徳幼稚園、聖学院幼稚園(中高は別学)など。
別学を望むなら白百合幼稚園、東洋英和幼稚園(幼稚園には若干名男の子も在
籍)、湘南白百合学園幼稚園など。
 
高校までの一貫校で別学を望むなら、田園調布雙葉小学校附属幼稚園、幼稚園
は共学ですが男子では暁星幼稚園、女子では雙葉幼稚園、光塩女子学院幼稚園
など。
 
小学校まで共学、中高は別学となれば桐朋幼稚園、宝仙学園幼稚園。
 
幼少一貫教育で中学受験となると国立学園附属かたばみ幼稚園。
 
ところで、併設校のない幼稚園で、名門小学校への進学実績を上げているとこ
ろもたくさんありますから、説明会へ参加され、きちんと情報をつかんでおく
ことをお薦めいたします。
 
以上の条件から、幼稚園選びが出来上がるはずです。
これは、あくまでも理想ですから、こういった観点からお子さんに相応しい幼
稚園を選んであげる参考資料としてお考え下さい。
 
しかし、(6)から(9)までが、きちんと出来上がっているか、あるいは、将来
の設計図として描かれたものがない場合、幼稚園選びは、お子さん中心とはな
っていないと思います。
勿論、これからどんどん成長していく2、3歳児のことですから、まだ、明確
に表れていないところがたくさんあると思いますが、キーポイントは、やはり、
ご両親の育児の姿勢ではないでしょうか。
「どういった子どもに育ってほしいか」といった青写真が描かれていれば、実
現のために環境を整え、育児に専念していると思います。
 
小学校受験の場合に、「はじめに学校ありきではなく、ご両親の育児の姿勢あ
りき」であるべきだといっていますが、幼稚園選びも、「はじめに名門校附属
の幼稚園ありき」ではなく、「ご両親の育児の方針ありき」であるべきだと思
います。
名門という名前だけにこだわるようでは、うわさなどに惑わされ、いわゆる
「受験地獄」なるものに陥りかねませんから、慎重に選んであげてほしいので
す。
 
ところで、問題は、通園時間と通園方法でしょう。
ここで紹介した幼稚園では、ほとんど通園バスはありません。
送迎は、保護者の役目です。
最初は、みなさん、真面目に、お子さんの手を取って通われるそうですが、そ
うでない場合もあるようです。
慣れてくると、自家用車で送迎が始まるそうです。
説明会で、傑作な話を聞いたことがあります。
かなり年月がたっており、園長さんも引退していますから、紹介してもさしつ
かえないでしょう。こういうことです。
 
「子どもさんは、本当に嘘がつけないのですよ。ある時から、私がその子のそ
ばに行くと、何となく落ち着かなくなり、ちらっと見ては、視線を外すのです。
『○○ちゃん、どうしたのかな?』
と声をかけると、本当に、いいづらそうに、こういったのです。
『先生、ママはいってはいけないといったのだけど、今、お車で通っているの。
本当はいけないのでしょ?』
『あら、いつも、ママと手をつないできているではありませんか』
『車を預けて、そこから歩いてくるの……』
近所にある駐車場に止めてくるのですね。
それが、お子さんの心に、大きな負担となっているのでした。
なぜなら、私どもの幼稚園は、ミッション系ですから、『嘘を言ってはいけま
せん』と教えています。
お母さまがこの約束を破っているわけですね。
幼稚園の先生も好きだけれど、まだ、ママが大好きな時期です。
お子さんの気持ちを考えてあげるお母さまなら、こういったことは絶対になさ
らないはずです」
 
慣れてきても、こういうことは、やめるべきです。
何のためにミッション系の幼稚園を選んだのでしょう。
これでは、宗教教育に、何にも期待していないことになりませんか。
宗教教育を基本とする幼稚園を選ぶ場合は、こういったこともきちんと守って
登園するお母さんでなければ、幼稚園の教育方針は生きてきません。
無理な通園時間から、教育の方針を守れないようでは、何のための受験だった
のでしょうか。
こういったこともきちんと考えて、選んでほしいと思います。
 
お子さんは、通っている教室の講習会などを通して、いろいろと体験学習を積
んでいかれることと思います。
お子さんの受験準備については、それぞれの幼児教室の先生方にお任せして、
次回からは、面接試験で考えられる、いろいろな場面を想定して、どのように
対応すればよいかについて、お話しましょう。
なお、入室から退出までの留意点は、拙著の「面接 ここがポイント」
(めぇでる教育研究所 刊)を参考にしていただければ幸いです。
 
沖縄より北海道の方が暑いなど、不安定な気候が続き、朝夕の寒暖の差も激し
い今日この頃です。体調を崩さないように、健康面にも留意しましょう。
(次回からは、面接ケーススタディーを紹介しようと思います)

さわやかお受験のススメ<保護者編>第8章(1)何にもないのかな 水無月

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2017さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第29号-
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第八章 (2) 何にもないのかな   水 無 月
 
★★しみじみとうまいにぎり飯★★
日本人に生まれてよかったなと思うことはたくさんありますが、米の飯を食べ
られるのも、その一つです。米の飯ほどうまいものはありません。寿司や鰻重、
すき焼きなどでは、魚や鰻、肉が主役になり、称賛を浴びがちですが、どっこ
い、縁の下の力持ちは、何といっても「ご飯」です。米が、まずけりゃ話にな
りません。トロだろうが、天然物だろうが、霜降りだろうが、米に袖にされた
ら、もういけません。やっぱり、米は偉い。
 
この話をすると、何とも貧弱な食生活をと思われるかもしれません。事実、そ
の通りで食も細いのですが、しかし、しみじみと米のうまさがわかるのは、
「にぎり飯」ではないでしょうか。
炊きたてのご飯を、手につけた塩で握り、海苔をまいて食べる。中身は、梅干
しやかつお節があれば、もう、それで十分。こんなに簡単で、安く出来上がり、
満腹感を味わえる食べ物は、他にあるでしょうか。小さく握ると、これが酒の
肴になり、こたえられません。にぎり飯、というよりは「おにぎり」の方がふ
さわしいかもしれませんが、このおにぎりには、忘れがたい思い出がしみ込ん
でいます。
現代っ子には、絶対に味わえない食べ物、それは「おこげのおにぎり」です。
今は電気炊飯器で米を炊きますが、昔はまきを燃やし釜で炊いていましたから、
熱効率の関係で、釜の底に、こげたご飯がへばりついていたものでした。これ
に、少し醤油をかけ、しゃもじでかき集め、握ってもらうのです。何ともうま
かった、絶品でしたね。
戦後の食糧難の時代で、とにかくお腹を空かしていましたから、これが楽しみ
でした。
 
電気炊飯器では、上手に炊けて、おこげなどできないようですが、便利になり
すぎると、失うものも出てきます。このことを考えるべきではないでしょうか。
何事も工夫しなくなると、受け身になりがちです。コンビニやスーパーなどで
売っているおにぎりを、子どもに食べさせてはいけないと思いますね。
お母さんの手作りだからこそ、「おにぎり」であり美味いのです。手作りだか
らこそ、お母さんの愛情が伝わるのではないでしょうか。何とも不遜な言葉で
嫌いですが、飽食の時代とか、「しみじみとうまい!」などといった味わい方
を、どこかへ置き忘れているようですね。
ちなみに、東日本では「おむすび」、西日本では「おにぎり」と呼ばれている
そうで、私は小学校5年生まで関西に住んでいたためか、「おにぎり」だと思
っていました(笑)。
 
ところで、お米はいつから日本の主食になったのでしょうか。
 
稲はもともと中国南部の山岳地帯で生まれたとされています。そこから北へ広
がったものが、現在の日本で食べられているお米の短粒種“ジャポニカ米”で
す。“ジャポニカ米”は縄文時代後期に中国から北九州に伝わり、そこから長
い年月をかけ、明治時代になりやっと北海道まで伝わりました。ということは、
お米が日本全国で主食になったのは、今からおよそ140年前、明治時代から
だったのです。5月は田植えの季節です。美味しいお米ができる秋が楽しみで
すね。
(平成25年5月現在の「聖徳大学附属小学校のホームページ」より)
 
お米といえば思い出すのが、日本画の巨匠、横山大観のエピソードで、「酒は
米から造るのだから、酒を呑んでいれば飯を食べたことになる」とおっしゃり、
主食は酒だったそうです。まるで仙人のようで、私もあやかりたいのですが、
真偽のほどは、定かではありません(笑)。
 
巨匠の逸話が出たところで、といっては畏れ多い話ですが、地方には、とてつ
もない立派な美術館があります。
島根県安来市にある足立美術館もその一つです。
大観をはじめ近代日本画と陶芸、彫刻、蒔絵など魅力的なコレクションには堪
能させられますが、日本で初めて女性として、さらに親子で文化勲章を受章さ
れた上村松園画伯の生涯を描いた宮尾登美子さんの小説「序の舞」を読み、一
度は本物にお目にかかりたいものだと願っていただけに、傑作といわれている
「娘美雪」を目の前にしたときの感激は、今でも忘れがたい思い出となってい
ます。思わぬ巡り会い、旅の醍醐味ですね。
 
さらに、主役の美術館に勝るとも劣らぬ脇役の日本庭園が何とも素晴らしく、
米国の日本庭園専門雑誌『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』
が実施している、全国900ヵ所以上の名所旧跡の日本庭園ランキング
(Shiosai Ranking)では、初回の2003年から2015年まで、連続13
年間日本一の栄耀に輝き、フランスの『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポ
ン』では、3つ星の評価を受けたと同美術館のホームページに出ていました。
☆☆☆は必見、わざわざ旅行する価値がある、☆☆は寄り道する価値がある、
☆は興味深いで評価した外国人観光客向けのガイドブックです。
「足立美術館」と打ち込むだけで、世界が認めた庭園と展示されている作品を
見ることができますから、ご覧になってはいかがでしょうか。
2015年日本庭園ランキング上位5位までを紹介しておきましょう、いずれ
もパソコンで見ることができます。
 
   1位 足立美術館(島根県)
   2位 桂離宮(京都府)
   3位 山本亭(東京都)
   4位 養浩館庭園(福井県)
   5位 御所西 京都平安ホテル(京都府)
 
それにしても、宮尾登美子さんは、すごい。
「序の舞」の津也、「一弦の琴」の苗、「松風の家」の由良子、「伽羅の香り」
の葵、「きのね」の光乃、「蔵」の烈、そして「天涯の花」の珠子など、凄ま
じい生き方に圧倒されてしまいます。
昨年の今頃でしたが、御年八十云歳の宮尾さんは、執筆意欲は衰えず、自伝的
長編「櫂」「春燈」「朱夏」「仁淀川」の続編に挑戦する話を新聞で読み、中
国からそれこそ着のみ着のままで郷里、土佐に帰ってきた主人公、綾子に、五
度、巡り合える日を楽しみにしていたのですが、冥界へ旅立たれてしまい、再
会できませんでした。(泪)
 
何かと話題になる慰安婦問題、宮尾さんのお父さんもその種の仕事をしていた
ので、従軍看護婦はいても従軍慰安婦など存在していなかったことがわかるだ
けに、歯がゆい思いをしているのは私だけでしょうか。国と国とが条約で決め
たことを蒸し返され、ひたすら謝るだけでは解決しません。次世代の子ども達
に顔向けできないほど深刻な事態になっていることを、わが子を育てる親の立
場で考える必要があるのではないでしょうか。「水に流す式」の日本独特の解
決策は、日本人だけに通じるもので、外国では「意味不明」となり、「不信感
を与えるだけだろ」と明治生まれの頑固親父は、事あるごとにいっていました
が、一理あると思います。文章できちんと残しておく、それでも反古にしてし
まう国もあるのですから。(注 反古 一方的に約束を破ること 新明解辞典)
 
話を元に戻しまして、これまた何かと話題になる給食問題。
その是非は置くとして、お母さんが真心をこめて弁当を作ってあげていれば、
親子の絆は切れることはありません、食べている本人が、お母さんの愛情をか
みしめているからです。給食から、何かが築かれていくのでしょうか。
「男の人にはわかるもんですか。毎日の献立だって大変なんですから、弁当ま
で手の回るわけがないでしょう」。
でも、お母さん方が、弁当を作ってもらった経験があれば、こういった声は出
ないと思います。
 
千葉県にある日出学園小学校の教育の特色に、こう書かれています。
「お弁当」お昼はお弁当です。
創立者、青木要吉先生の「お昼ご飯は、お母さんの愛情いっぱい詰まったお弁
当…」
ということで、70年以上もの間、受け継がれております。 
 
ところが、働くお母さん方を応援することから、本校でも業者に注文し学校へ
弁当を届けてくれるシステムを検討中で、今年中には始める予定とか。桐朋小
学校はすでに実施していますが、「当日、寝坊したから学校の弁当を」はでき
ない、前月に申し込むシステムになっています。
 
弁当は、おふくろの味です。
おふくろの味は真心であり、世界に一つしかない専用のレストランで調理され、
しかも好みに合う美味しいメニューしかありません。その弁当ですが、やはり、
ご飯ですね(笑)。
 
ところで、日本、いや、世界中を探険しているかと思うほど、あちらこちらに
出かけ、面白い探険記を読ませてくれる椎名誠氏といえば、生ビールとかつお
が大好きなことは、よく知られているようですが、何を隠そう、ご飯、大好き
人間なのです。
簡単明瞭に、エイ、ヤァ!と一刀両断にした傑作な文章があります。
 
コメ、というのも非常にすぐれた携帯食料である。
1 食べるときに3倍以上に増える
2 常温でいつまでも腐りにくい
3 水と火さえあればいつでも食べられる。
この3項目だけでもつくづく素晴らしい。
これに対してパンはどうか。
1 中身がたいしてないくせにかさばる
2 ほうっておくとパサパサ化してカビがはえる
3 原料からつくるとなるとやれイースト菌はどこだとか、7時間はネカセロ
だとか、オーブンはどこだ! トースターを持ってこい! とかできたら早く
くえ、などとうるさいことはなはだしい。
  (「でか足国探険記」 椎名誠 著 新潮社 刊 P153)
 
1ヵ月以上、旅に出るときの必携3点セットは、何と、ショーユ、コメ、カツ
オブシで、これに海苔があれば、我々いくところ無敵であるそうな。
「これに梅干しを加えていただきたいと、私は断固、主張したい!」
などと、東海林さだお氏風に言い張ることもないのですが。
この後、脆弱で傲慢なレタスを俎上にあげ、玉ねぎを尊敬し敬愛し嘆賞するの
ですが、これもおかしい。
もっとおかしいのは、ペンギンの話。歳時記に関係がありませんから省略しま
すが、この本は電車内など人目のあるところでは、絶対に読めないと、しみじ
みと思ったものです。突然、顔の筋肉が意志に関係なくゆるみ、押さえるのに
苦しい思いをするからです(笑)。
 
★★衣替え★★
幼稚園児から学生さん、そしてOL嬢の制服からお父さん方のスーツまで、見
事に様変わりする衣替えは、ご存知のごとく6月1日と10月1日です。
衣替えの起こりは、宮中の行事として始まったもので、平安朝では、旧暦の4
月1日と10月1日に行われていましたが、室町時代から複雑になり、江戸時
代のお武家さんの世界では、何と年4回も衣替えをしていたのです。
4月1日から5月4日までと9月1日から9月8日までは袷(あわせ-裏地の
ついた着物)、5月5日から8月末日までは帷子(かたびら-裏地のない単衣
仕立ての着物)、9月9日から3月末日までは綿入れ(表布と裏布の間に綿を
入れた着物)を着るように定められていました。
冷暖房の施設もなかった時代ですから、衣替えで対処するのが生活の知恵だっ
たのでしょう。
現在のようになったのは明治以降で、学校や官公庁、銀行やデパートなど制服
を着る業界では、この日を境に冬装束から夏装束に改めます。
 
かつては、夏服に変わると、梅雨の湿った陽気にうんざりする心に、さわやか
な涼風を肌に送り10月には冬服に着替え、やってくる冬将軍に備えて気を引
き締めたものですが、今は、通勤、通学も冷暖房完備の電車ですし、家に帰れ
ばクーラー、ヒーターと至れり尽くせりですから、ファッションとしての要素
が強くなっているのではないでしょうか。
しかし、今年も節電を心がけ、今まで便利すぎた生活から無駄を省き、原子力
発電だけに頼らない社会を構築する心構えを持ちたいものです。
 
ところで、お母さん方には、衣類を虫やかびから守る大切な仕事が待ち受けて
います。女の子には、お手伝いをさせましょう。防虫剤を入れて、収納する仕
事です。小さいときから、このような季節を肌で感じることが出来る仕事は、
なおさらです。整理整頓を苦手とする女性が増えているようですが、その原因
は、幼児期の体験の差にあるのではないでしょうか。
 
衣類だけではなく、部屋の模様替えも一緒にやって、気分転換をしましょう。
子ども心にも、親の手伝いをするのはうれしいものです。そして、何よりの収
穫は、お母さんがこういった家事を、笑顔でテキパキと片付けていく姿を見て、
子ども達はたくさんのことを学んでいます。「子は親の背を見て育つ」は、ま
さに名言ではないでしょうか。
以前に紹介した、世界的なベストセラーになったドロシー・ロー・ノルトの
「子どもが育つ魔法の言葉」を思い出してください。この本こそ、親になる前
に出会いたかった数々の著書の一冊ですね。
確か皇太子様も、この魔法の言葉を紹介されていたと記憶しています。
 
今年は、梅雨に入る前に、沖縄より北海道の方が気温も高いとか、真夏日どこ
ろか4月中旬に戻るなど、不安定な気候が続いていますが、間もなく梅雨前線
は、日本列島を覆い尽くします。そんな時、お母さんの笑顔こそ、うっとうし
い季節を乗り越える清涼剤であることを、忘れないでほしいですね、お父さん
も同じですが(笑)。
  (次回は「父の日、その他」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>学校説明会で確かな情報を (2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第46号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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学校説明会で確かな情報を (2)
 
★紹介したい説明会でのエピソード(1) 
 
説明会が始まりました。
学習院の学校説明会へ参加された方、「おかしもの約束」に気づかれたでしょ
うか。
体育館に行く廊下は、道路の下を貫通させたものですから、かなりの勾配にな
っており、しかも狭いため、「おさない・かけない・しゃべらない・もどらな
い」と混乱をさけるために4つの約束の語頭をつなげたもの。これは阪神・淡
路震災以後、消防庁による教育安全指導のガイドラインに紹介されたことから、
防災教育の標語として全国に普及したもので、当初は「おはし(おかし)」
(「は」は走らない)だったが、津波による避難の原則でもある「戻らない」が
追加されたそうです。  (synodos.jp/fukkou/10522 より))
早稲田実業学校初等部のホームページにも「「おかしもの約束を守り、警察署、
消防署の協力のもとに、子ども達が安全に避難できるように指導している」と
出ています。
沖縄のとよみ小学校では「おかしもちの約束」があり、「ち」は「近づかない」
だそうですが、海に囲まれているだけに切実な思いが伝わってきます。
自然災害だけは、何とか穏便に願いたいものですが、同時に、その時はどうす
ればよいか、子ども自身でできることは、普段からきちんと教えておく、これ
も親の大切な仕事です。
 
さて、今回からエピソードについてお話しますが、何と言っても四ツ谷の雙葉
小学校の説明会ですね。
開催されたのは、昭和61年9月のことでした。
やめていた説明会を再開した理由は、妙なうわさを学校側が否定することにあ
ったのです。
以来、平成元年まで続け、その後、実施していませんでしたが、同18年から
再開され、今年は7月15日(金)・16日(土)に行われます。
再開された時のことですが、「何か不祥事があったのでは!」と危惧していた
のですが、大勢の人々を収容する施設がなかったのが直接の理由で、新しく講
堂ができたために再開したとのことでした。
うわさといったものが、どういうものであるかを明白にしてくれた説明会でし
たから、当時のメモを紹介しましょう。
 
    雙葉小学校説明会
    日 時 昭和61年9月26日(金)
    場 所 小学校ホール 5階 参加者 約500名
 
およそ10年ぶりに再開された説明会でもあり、5階のホールは超満員で熱気
にあふれていました。(昭和50年代には説明会を開催していたことになりま
すが、当時、35歳の私は、某財団法人で新入社員教育をやっていました)
 
入学定員に対して多数の応募者があるため、心ならずもテストを行っている事
情を説明され、テストに関しては、特別に勉強しなくてもできる問題を作って
おり、総合的に判断して知能点だけではなく、「子どもらしく、一所懸命に頑
張る意欲のあるお子さん、コツコツ努力をするお子さん」を求めており、内向
的な性格でも頑張るお子さんであれば歓迎すると、雙葉小学校の求める子ども
像について、具体的に話されました。
 
ついで、悪質なうわさが広まっていることに関しては、雙葉学園はミッション
系の学校であり、キリストの精神に反するような不正入学が許されるわけがな
いと明言された後に、
 
 1 受験と宗教は別問題で、僧侶の娘さんも入学していること。
 2 学校関係者の紹介がないと不利とは、単なるうわさ。紹介者を通して面
   会することはあるが、それが考査に有利になることはない。
 3 お金を積むと入れるという裏口入学は、これもまったくの嘘。正規のお
   金(考査料)以外は、一銭も受け取らない。合格を発表する前に、考査
   料以外、頂くことはない。
 
この三点について強調され、つまらぬうわさに惑わされないようにとの注意が
ありました。
 
また、大学への進学率が高いことから、小学校の時に入れておけばと考える方
が多いのですが、授業に関して特別なカリキュラムはなく、たまたま、そのよ
うな結果が出ているだけですから、進学校とお考えにならないでくださいと述
べられました。
(この件については、毎年、説明会で力説されていますし、入学されたお母さ
ん方も「のんびりとした学校です」とおっしゃっています)
 
なお、登校時間は、年間を通して午前8時15分、四ツ谷駅のラッシュアワー
は8時からで、その時間に通学できるかどうか、慎重に考えてくださいとのこ
とでした。
 
裏口入学を策したお母さんが不合格になり、「どうなっているのか!」と、直
接、学校へ電話をしたことから事件が発覚し、驚いた学校側が事実無根と否定
するための説明会でもあったのです。
 
当時のうわさとして
「どこそこの神父さんの紹介状がなければダメ」
「信者の娘さん、絶対有利」
「合否は親の職業で決まり」
などがありましたが、今でも根強く残っているようです。 
再開された説明会でも、うわさに過ぎないと否定されました。
 
ちなみに、校庭の一角には、幼稚園、小学校に在籍されてから聖心女子学院へ
進まれた皇后陛下が、ご成婚(昭和34年4月10日)前に来校され、記念樹と
して贈られたメタセコイヤの苗木3本の内1本が、中高の校舎と頭を並べるほ
どに成長した姿を見ることができます。
 
平成13年に白百合学園小学校が、創立以来、初めての説明会を開催したとき
も、何か不祥事があったのではと思いましたが、そういったことはなく、受験
されるご父母の強い要望によりとのことでした。
 
うわさは、単なるうわさに過ぎないと、惑わされない強い信念を持つことも大
切です。
それを支えるのはお父さんの役目ですから、きちんとサポートしてください。
お母さん方は、こういったうわさに弱いからです。
 
平成25年まで学校見学会だけやっていた横浜雙葉小学校は、26年から説明
会を再開しましたが、これは昭和60年代に開催していたときにうかがった話
です。本校の入学試験は、「一日体験入学方式」ともいわれ、昼休みにお弁当
を食べる時間が設けられていました。気が滅入るどころか、落ち込みましたね。
文言は正確ではありませんが、話の内容を再現すると、こうなるのです。
 
     「お弁当は、いつもお母さんが作ってくれるのですか」
     「ウウン、今日は特別なの」
     「そうですか、それでは、おいしいでしょうね」
     「うん、でも、残しちゃダメといわれたの」
     「どうしてですか」
     「残すと点数が悪くなるから」
     「……?」
 
残すと、どうして減点されるのでしょうか。
初めて来た所で、知らない子どもばかりの中で食べるのですから、緊張して残
す子もいるかもしれません。
それよりも、弁当を食べることで、子ども達はいろいろなサインを出している
と思います。
ご家庭の教育方針がどうなっているのか、これほどわかりやすいものはないで
しょう。
食事は三度のことですから、絶対に、つけ焼刃はききません。
基本的な生活習慣が、きちんと身についているかを判定することも、小学校の
入学試験では、大切なポイントになっているわけです。
学校側が見たいのは、
「集団生活の中で、子どもはどうあるべきかを、親がしっかりと考えて、やさ
しく、あるいは厳しくしつけることを、ご両親の責任において教育しているか
どうか」
ではないでしょうか。
 
今の話と似ていますが、以前、紹介しましたが大切なことですから繰り返しま
す。
国立市にある桐朋学園小学校の説明会で、当時の校長であった鈴村先生が、た
またま会場に現われて、こういった話をされたのです。
本校は、仙川にある姉妹校、桐朋小学校と同様、面接をやっていませんが、そ
の理由として、
 
 「親御さんに『趣味は何ですか』とお尋ねしても、本当は、競輪、競馬が大
好きでも『読書と音楽鑑賞です』と取り繕うでしょう。でも、私どもでは、お
子さんを二日間預かりますから、どういった育児をなさっているかわかります。
ですから、私どもは面接をしません」
 
と、例によって文言は正確ではありませんが、こうおっしゃったのです。
試験を受けているのはお子さんですが、判定されているのはご両親であること
が、よくわかる話ではないでしょうか。
(次回は、「学校説明会で確かな情報を (3)」についてお話しましょう)
 

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>幼稚園の選び方(1)

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2017さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第28
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幼稚園の選び方(1)
 
幼稚園の受験は、
「ぼく、暁星幼稚園へ行きたい!」
「私は、白百合幼稚園へ入りたいの!」
といったように、お子さんの希望で始まるわけではありません。
もっとも、お兄さんやお姉さんがいれば、同じ幼稚園に行きたいとなる場合も
ありますが、多くの場合は、ご両親が、お子様の将来を考えて始める受験です
から、きちんとバックアップ体制を整えて臨まなければ、希望される幼稚園か
ら招待状は送られてきません。
 
さて、幼稚園の受験で、もっとも重視されるのは、「なぜ、その幼稚園を選ん
だか」という志望理由です。出身者の場合は問題ありませんが、そうでなけれ
ば、「わが子のためによかれと選んだ理由」が明確でなければ、幼稚園側を納
得させるのは難しいと思います。ご両親が、まず、取り組まなければならない
のは、どういった考えで幼稚園を選ぶかということです。9つのチェックポイ
ントがありますから、メモ用紙を用意され、ご両親で、別々にご自身の考えを
書いてみましょう。
 
1.一貫教育制度に何を期待しますか。
「幼稚園から大学まである学校に入れてしまえば受験は一回で済むから」とお
っしゃったお母さん方がいました。中・高・大と受験をするようなことがある
と、本人はもちろん、付き合う親も大変です。一貫教育校の幼稚園受験が過熱
気味なのは、こういう考えがあるからでしょう。
一貫教育校に入れば、受験に費やすエネルギーを学問や余暇に利用できます。
しかし、「受験、結構、やらせます!」と考えるお父さん方も、たくさんいま
す。暁星幼稚園や雙葉系の幼稚園は高校までしかなく、「大学は自分で選び、
挑戦しなさい」といっています。
しかし、一貫教育制度は、入ってしまえばエスカレーター式に大学までいける
制度ではありません。上級校が定めた一定の条件を満たさない場合は、進級で
きない場合もあります。ただ、言えることは、幼稚園で、「白」と習ったこと
は、大学へいっても「白」と変わりませんから、これが一貫教育制度のよいと
ころでしょう。
また、受験勉強をすることなく、ゆとりを持って学校生活を送れます。 
一貫教育制度に、何を期待しますか。 
 
2.共学について
学習院、青山学院、成城、淑徳、日出学園、昭和学院、森村学園、桐蔭幼稚部
などを選ぶ理由として、小学校も共学であることでしょう。
義務教育は共学であり、多くの方は、共学の経験があるはずですが、男女別学
の環境で教育を受けられた方が、お子さんには共学を勧める場合、その理由に
ついてしっかりと話し合っておきましょう。
 
3.別学について
幼稚園から女のお子さんしかいないのは、白百合学園幼稚園と田園調布雙葉小
学校附属幼稚園です。なぜ、こういった特殊な教育環境を選ばれるのか、それ
なりの理由がなければ、面接のときに困ったことになります。白百合学園は
19年間、田園調布雙葉学園は14年間、女の園ですから。
また、暁星には女のお子さんが、雙葉、東洋英和、豊明、湘南白百合には男の
お子さんもいますが、小学校からは別学になります。
毎年、受験者が多いのも、いずれも伝統ある学校ですから、教育方針や校風が、
圧倒的に支持されている証拠でしょう。
別学の経験のないご両親の場合、なぜ、別学の学校を選ぶのか、ここが問題で
しょう。
 
4.宗教教育について
本来、ミッション系の学校は、宗教を布教する目的をもっていますが、だから
といって信仰を強制することはありませんし、在学中に洗礼を受ける義務があ
るなども、単なる噂にすぎません。
入園説明会でも「信者でなくても結構ですし、僧侶や神主のお子さんも在籍し
ています。国籍、宗教、学歴、職歴、一切、関係ありませんが、条件といえば、
日本語がわかることです」とおっしゃっています。
大切なことは、宗教教育を通して、何をお子さんに学んでほしいか、なのです。
皆さんは、毎日の育児を通して、「嘘をついてはいけませんよ」「自分のこと
は自分でできるように頑張ろうね」「ありがとうという気持ちを大切にしよう
ね」と、常々、おっしゃっているのではないでしょうか。
これは、すべて宗教教育の基礎、基本です。キリスト教の愛、イスラム教の施
し、仏教の慈悲などは、すべての宗教に共通している教えです。
こういったことを育児で大切にしていれば、幼稚園側のいう「ご家庭の育児の
方針と園の保育方針に共通認識がある、一致している」ことになるのです。
「全人教育に賛同いたしまして」といっても、その意味を理解していなければ、
絵空事になってしまいます。
育児で大切にしていることを考えてみましょう。
※全人教育 知識・感情・意思のいずれにも片寄らない、全ての方面が円滑に
発達することを目標とする教育(「新明解国語辞典」より)
 
5.通園距離と所要時間
国立附属幼稚園の場合は、地域指定や通園時間に制限がありますが、私立では
桐朋幼稚園が通園可能な範囲を公表し、立教女学院短期大学附属幼稚園天使園
も40分以内としていますが、多くの幼稚園の場合は、30分前後、徒歩、も
しくは公共の交通機関を使って通園できる方、後は、ご父母の判断に任せると
いっています。幼稚園への送迎は親の役目といえども、やはり通園できる範囲
は、おのずから決まってくるのではないでしょうか。きちんと把握しておくこ
とです。
幼稚園が都心であればラッシュアワーであり、バスは渋滞路線を走ることにな
ります。
なお、通園に使用するのは普通電車、乗り換えや、最寄りの駅まで歩く時間は、
子どもの足でかかる時間です。
東日本大震災以降、緊急事態が発生した場合のお迎えが、速やかにできること
も条件になっているようです。
 
6.健康状態
身体だけではなく、心身ともに健康であることです。
幼稚園の受験は、「初めての場所で、初めて会った同世代の子どもの集団に入
り、初めて会った先生の指示を聞き、理解し、年齢相応に対応する」ことです。
 ・初対面の友達のグループに入り、一緒に何かをすることができますか。
 ・やってみようとする意欲はありますか。
 ・お母さんの手を借りずにどのくらいのことができますか。
育児が過保護、過干渉な環境になっていると、こういったことが苦手ではない
でしょうか。
しつこいほど繰り返しますが、同じ年の仲間に入り、「お母さんのもとを離れ
ても、楽しいことがあることを知っているかどうか」、この体験の差が表れる
のが、幼稚園の受験といえるのです。
基本的な生活習慣は、まだ、十分に身についていませんから、できないことが
あるのも当然でしょう。しかし、自分でやろうとする意欲の培われていること
が大切で、そういった環境を作るように心がけるべきなのです。できないこと
を無理やりやらせようとするのは、幼児にとって苦痛になるだけですからやる
べきではありません。
 
7.志望理由
附属の幼稚園を選ぶ場合、建学の精神や校訓、設立理念などを、どのように理
解するかでしょう。
それがご家庭の育児の方針と、どういった接点があるかを理解しておくことで
す。
そのために、主な幼稚園の保育の方針を紹介しましたが、幼稚園の説明会には、
必ず参加され、ご自身で確かめておきましょう。
説明会をやっていない雙葉幼稚園の場合は、小学校の説明会で伺った、校訓の
「徳においては純真に、義務においては堅実に」について、以下のように考え
てみるとわかりやすいと思います。
 
「『ママ、これを手伝ったら何かを買ってくれる?』と、見返りを考えるよう
な子どもに育てては『徳においては純真に』とはいえません。就学前のお子さ
んならできなくてはいけないことを、お母さんの手を借りているようでは、
『義務においては堅実に』とはいえません。こういった子育てをしているご家
庭のお子さんを雙葉は歓迎しません」と。
これを、2、3歳児の発育状態に下げて考えてみましょう。
 
このように、建学の精神、保育の方針などは、毎日の育児の様子から考えてみ
ることが大切です。
 
8.ご家庭の教育方針
どんな時に褒め、叱るか、箇条書きにしてみましょう。
それが、ご家庭の教育方針です。
ただし、その日の気分で怒ったり、後で怒らなければよかったと後悔するのは
教育方針ではありません。
ご両親で一致していれば、子育てはうまく連携が取れているはずですし、叱る
ことも少なくなっていると思います。
 
9.お子さんの長所と短所
育児でうまくいっているところが長所で、そうではないところが短所として表
れているはずです。
短所は、ご両親の育児の反省点として直すように心がけましょう。
ご両親の性格を受け継いだ遺伝であるかもしれませんから。
まだ、2、3歳のお子さんですから、長所や短所が、はっきりと表れていない
ところもあるでしょうが、発育状況から客観的に判断してみましょう。
 
(次回は、「9つのチェックポイントの判定の仕方」についてお話しましょう) 
 

さわやかお受験のススメ<保護者編>第8章(1)何にもないのかな 水無月

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2017さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第28号-
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第八章 (1) 何にもないのかな   水 無 月
 
暦の上では、6月から夏です。夏の読み方は、「暑(あつ)」の転化したもの
といわれていますが、他にも「生(な)る」「暑(ねつ)」などの転化したも
のという説もあるそうです。
 
水無月(みなづき)のいわれは、たくさんあります。
旧暦6月は、梅雨も終わり、炎天下の酷暑の季節に入り、文字通り、水もかれ
つきるという説と、逆に、田植えも終わり、田に水を張る月「水張り月」「水
月」からきた説、また、農家のもっとも重要なイベントでもあった田植えが終
わったことから「皆仕月(みなしつき)」「皆月(みなつき)」からきた説、
そして、雷が多い季節から「かみなり月」の「か」と「り」をとり、「みな月」
という説もあるそうです。最後の「ゴロ合わせ」ではなく「語呂合わせ」がお
かしいですね。
 
★★大切な田植えの時です★★
6月といったら、「何といっても……」というものがありません。
毎日、雨が降り、むし暑くて、うっとうしい梅雨です。
この梅雨のいわれですが、梅の実が熟する頃に降る雨から梅雨、湿っぽくて黴
(かび)が生えやすい気候から黴雨、この他に梅雨を「つゆ」と読む場合もあ
ります。しとしとと降る雨が、木々の梢や葉にまとわりつき、露となって落ち
ていく様子から“つゆ”とも呼ばれたのではないかと私流に思い込み、趣のあ
る言葉で好きなのですが、諸説があって本当のことはわからないようです。
 
梅雨前線が、日本列島にどっしりと腰をすえ、うんざりする毎日です。しかし、
この時期に、しっかりと雨が降らなくては、困るものがあります。
お米です。
田植えの季節です。
菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)、柏の葉は、端午の節句の専売特許ではあり
ません。昔の5月は、今の6月頃にあたります。今のように、機械で苗を植え
るのと違い、田植えは、お百姓さんが、苗を1本1本、手で植えていました。
ですから、時間はかかり、田んぼが広ければ、人手もたくさん必要になります。
まさに、猫の手も借りたいほどの忙しさです。
「米」という字は、「八と十と八」からできています。お米は、種から芽を出
した苗を田んぼに植えて収穫し精米するまでに、人の手を八十八回わずらわす
といわれるほど、手がかかるのです。
 
さらに、天気にも左右されます。
ご存知のように、稲は水稲(すいとう)といって水田で栽培しますから、梅雨
にたくさん雨が降らなければ、田植えはできません。ちなみに、水稲より大量
の水を必要としない畑で栽培する稲、陸稲(おかぼ)もありますが、水稲に比
べ品質は劣り収穫量も少ないため、日陰の存在に甘んじているようです。
そして、夏に日照りが悪いと、稲はきちんと育ちません。しかし、日が照りす
ぎても、田んぼの水が干上がって、稲は駄目になります。また、稲は順調に育
っても、収穫前に台風がきて、たわわに実った稲穂が強風になぎ倒され、豪雨
で水に浸かってしまっては使いものになりません。自然とのかかわりは、宿命
的な因果関係のごとく厳しいですから、神頼みにならざるを得ないのです。
 
そこで、昔の人は知恵を絞り、田植えが無事に済み、たっぷりとお水をいただ
き、夏にはしっかりとお日さまに顔を出してもらい、稲が立派に育って、秋に
は、おいしいお米がたくさんとれるようにと、神様にお祈りをしたわけです。
米作りは、やり直しのきかない真剣勝負、人生そのものといえるのではないで
しょうか。
 
そのお祈りをするのは女性の役目で、早乙女(さおとめ)と呼ばれ、田植えを
する間、悪いことが起きないように、屋根を菖蒲の葉で作った小屋に集まり、
肉食を断つなどして身を清め、精進潔斎をし、一晩中、お祈りをしました。で
すから、昔の5月5日は、夏負けをしないように、匂いの強い草で、魔物を追
い出す日であり、田植えの準備の日でもあったのです。
 
浄瑠璃といえば近松門左衛門、そのすぐれた伝統芸能を観賞する機会はほとん
どありませんが、残された名作を本で読むことはできます。代表作の一つ、ど
うしようもない放蕩無頼で、典型的な自己中の不良青年、与兵衛を描いた「女
殺油地獄」の中に、「五月五日の一夜を女の家と言うぞかし」とあり、男の祭
りではなく、無事に田植えを行えるよう祈願する女性の祭りであることがわか
ります。
 
その田植えですが、本当に、たいへんな仕事です。
私も、子どもの頃に猫の手になり、手伝った経験があります。泥んこの田んぼ
に足をつけたまま、幅1メートルほどの範囲を、10センチ間隔ほどに苗を植
えていくのです、腰をかがめて。これを30分程続けると、完全に腰にきます。
伸ばすと、ボリッと音がするほど、筋肉は、まいってしまいます。
毎年、天皇陛下が苗を植えるお姿をテレビで拝見していますが、収穫された米
は伊勢神宮に奉納されるそうです。「豊葦原(とよあしはら)の瑞穂(みずほ)
の実る国(神意によって稲が豊かに実り、栄える国)」、これは日本国の美称
として使われる言葉ですが、皇室の儀式とはいえご高齢だけに、無理をなさら
ないでほしいと思っていたところ、あるコラムで、「陛下の田植えは5株ほど」
と知り、妙に安心しました。繰り返しますが、本当に大変な仕事だからです(笑)。
 
夏になると、稲のまわりに雑草が生えますが、これを取り除くのも一苦労です。
また、腰をまげて、手で雑草を取ります。これが、かんかん照りの太陽のもと
での作業ですから、田んぼの水は、それこそ生ぬるく、草いきれで、むっとす
る匂いには、泣かされました。蛭(ひる)という人の血を吸う虫もいて、環境
のよい仕事場ではありませんでした。日本の夏は高温多湿であるだけに、少し
でも手を抜くと雑草が生え、稲の成長を妨げますから手入れが大変で、まるで
わが子を育てるのと同じだとお百姓さんに聞いたことがありますが、子どもを
育てて実感しました。
手を抜いた分、親が考えもしなかった色に染まってしまうのですから。「手を
抜く」といっても育児を放棄するのではなく、ちょっとした思い違いから、親
子の絆にひびの入ることもあるものです。「おかしいな?」と感じた時は、親
から子どもに話しかけるべきではないでしょうか。そういう時は、子ども自身
も迷っているはずだからです。
 
 
さて、最後の収穫、これも1株、1株、鎌(かま)で刈っていきます。繰り返
しますが、お百姓さんの腰が曲がるわけです。刈った稲を、今度は、天日で乾
かします。それを脱穀機で稲穂を取り、もみ殻にして、これを精米機にかけ、
やっとお米になるのです。農業の機械化というのでしょうか、田植えから脱穀
まで、全部、機械でできるそうですから、これは、すごい省力化です。そうい
えば、最近、腰の曲がったお百姓さんを、あまり、見かけません。「農業に従
事する若者がいないのですよ」といわれそうですが、省力化の結果ではないで
しょうか。
 
田植えは、実りの秋への出発点です。ですから、この時期の天候は、本当に神
頼みでした。私の住んでいる川越でも、田んぼに水が張られ、まもなく田植え
が始まります。JR埼京線や東武東上線の車窓からの眺めは、関東平野であるこ
とを実感できます。
 
勝手な思い込みですが、日本のお米ほどうまいものはありません。
貿易の自由化で外米が入ってきても、「私は日本産のお米しか食べません!」
などと農家を援護するけなげな心構えのようですが、本当のことをいえば、日
本酒が大好きだからです(笑)。日本酒がうまいのは、美味しいお米と水がある
からで、またしても日本人に生まれたことを感謝せざるを得ませんね。
 
★★てるてる坊主★★
この月は、しっかりと雨が降ってくれなくては困りますが、雨が降ってほしく
ない時もあります。
子どもの頃、遠足や運動会の前日に、てるてる坊主を作ったものでした。今で
も、この風習は残っているようです。天気にしてくれた時には、目、鼻、口を
つけてあげた記憶があります。
 
  てるてる坊主
  作詞 浅原 六郎  作曲 中山 晋平
 
(1)てるてる坊主 てる坊主 明日天気にしておくれ
   いつかの夢の空のように はれたら金の鈴あげよ
 
(2)てるてる坊主 てる坊主 明日天気にしておくれ
   私の願いを聞いたなら  甘いお酒をたんと飲ましょ
 
(3)てるてる坊主 てる坊主 明日天気にしておくれ
   それでも曇って泣いたなら そなたの首をチョンと切るぞ
 
幼子の「どうしても晴れてほしいなぁ!」という気持ちが伝わってきます。
「しかし、しかしです」と何も興奮することはありませんが、「てるてる坊主
は、坊主ではなく娘さんです!」と聞けば、「ナヌ!?」となりませんか。発
祥の地は、またしても中国でした。
 
てるてる坊主の起源は、中国で掃晴娘(そうせいじょ)とよばれる、ほうきを
持った女性の紙人形をつるす風習からきている。娘がほうきで晴れ気を掃きよ
せ、晴天や幸運を招き寄せようとするまじないで、平安時代に日本へ入ってか
らは、なぜか坊主に代わってしまった。
(日本の年中行事百科 2 夏   民具で見る日本人のくらしQ&A P14
                 監修 岩井 宏實 河出書房新社 刊)
 
お坊さんの頭は、つるつるで、何やら光り輝いていますし、明日の天気は神頼
み、いや、この場合は仏頼みで、晴れのイメージにつながったのでしょうか。
ところで、今はどうかわかりませんが、一時期、小学校の音楽の教科書の中に
はなく、ラジオなどで流す場合は3番をカットするケースがあったようです。
その理由は、歌詞の3番に、
「それでも曇って泣いたなら そなたの首をチョンと切るぞ」
とありますが、それは自分の願いを聞き届けさせようとする「脅迫信仰」であ
って、童謡らしくない残酷な表現だからだそうです。作詞者のイメージとして
は、残酷に処刑するのではなく、「晴れなかったら承知しないからね!」と、
どうしても晴れてほしい切実な願い、その気持ちを表現したかったのではない
でしょうか。映画やテレビ、漫画、DSのゲームなどでは、もっと残酷な場面
を映像で見せつけているではありませんか。詩は、イメージです。こんなこと
まで規制されるのは、情操教育を考えると、首を傾げたくなります。残酷な犯
罪は、きちんとイメージを描けないから起きるのではないでしょうか。
 
ですから、「イメージ化できる」ことは、非常に大切な感性です。感性こそ、
子どもの時から様々な経験を積み重ね、磨いていくものです。以前にもお話し
ましたが、イメージ化を培う力は、読書と何事にも自力で挑戦する生活体験で
す。文字を読み取り、その世界を作り上げる作業は、人格を築き上げる大切な
学習です。若者の活字離れが指摘され久しくなりますが、思考力や思想を構築
する力が劣るわけです。お子さんに本を読む習慣を身にけさせるには、本の読
み聞かせと、ご両親の読書をする姿をしっかりと見せておくことです。
そして、何事も自力で挑戦する意欲を育てましょう。失敗を恐れる子にしては
いけません。「為せば成る」ではありませんが、試行錯誤を積み重ねることか
ら、工夫する力も忍耐力も育まれます。
「そんなこともできないのは駄目な子なの!」などというお母さんがいると聞
きますが、「できるように頑張る子に育てるのが親の仕事」です。ご両親のさ
じ加減で、お子さんの潜在能力は開発されることを肝に銘じてほしいものです。
 
蛇足になりますが、「成せばなる」は、私たちの世代では、東京オリンピック
(1964年)で「東洋の魔女」を率いて、女子バレーボールで金メダルを勝
ち取った、故、大松博文監督の言葉としてなじみ深いものですが、本当はもっ
と長い文章で、その頭文字の5個をとったものです。
 
江戸時代の後期、米沢藩主の上杉鷹山が、家臣に教訓として「為せば成る。為
さねばならぬ何事も。成らぬは人の為さぬなりけり」と詠み与えたものですが、
それより以前に、武田信玄が「為せば成る、為さねばならぬ。成る業を成らぬ
と捨つる人の儚(はかな)さ」と、よく似た歌を詠んでおり、鷹山の言葉は、
これを変えたものだといわれているそうです。(「故事ことわざ辞典」より)
 
ところで、これは最近、知ったことですが、4番まであった「てるてる坊主」
を、何と作曲者が1番を削除し、今の形にしたとか。その1番の歌とは、
(1)てるてる坊主 てる坊主
   あした天気にしておくれ
   もしも曇って 泣いてたら
   空をながめて みんなで泣こう
(www.tenki.jp/suppl/usagida/2015/05/14/3771.htmtより)
 
何ともやさしくて、いいと思いませんか。詳しいことをお知りになりたい方、
「てるてる坊主」で検索すると、いろんな情報にヒットできます
(次回は、「しみじみとうまいにぎり飯」他についてお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>学校説明会で確かな情報を (1)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第45号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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学校説明会で確かな情報を (1)
    
先週の土曜日は、立教女学院小学校の入試説明会、東洋英和女学院の学校説明
会、明日は青山学院初等部の学校説明会が開催されます。今年も、説明会の日
程が重なるようですから、きちんとスケジュールを立て、出来るだけ多く参加
し、わが子の学校選びに手抜かりがないようしてください、これは「親の仕事」
だからです。
 
小学校の受験で最も重視されるのは、「志望理由」です。
出身者の方には問題ありませんが、そうでない方々には、学校に関する情報、
たとえば、建学の精神や教育方針、その学校ならではの特色、主な年間行事や
クラブ活動、合宿などの校外活動、併設校への進学状況、併設校のない場合の
進学実績やそのための対策、通学時間やご主人の転勤にともなう復学制度など、
わからないことが多いと思います。そういったハンディキャップを解消するた
めに行われているのが学校説明会です。過去には説明会をやっていない学校も
ありましたが、現在では、ほとんどの学校で開催しています。
最近の傾向として、夏休み前に学校説明会を、休み後に入試説明会と2回行う
学校が増えたことでしょう。その先駆けは、学習院初等科ではなかったでしょ
うか。しかし、幼稚舎、雙葉小学校のように学校説明会だけ行っているところ
もあります。そして、事前予約の必要な学校が増えています。当日になって気
づいても手の打ちようがありませんから、注意してください。
 
東日本大震災後、多くの方が通学に不安を感じたのではないでしょうか。各学
校のホームページにも「災害対策」が掲載されていますが、大切なのは、「我
が家の震災対策」で、「登校・下校時に災害が起きた時の対策」です。学校側
が公表する震災対策を、わが子の通学に、どのように活かせるか、慎重に考慮
するのも保護者の義務です。今年もその説明があると思いますので、正しい情
報をもとに不安を解消しておきましょう。しかし、何といっても大切なのは、
お子さん自身の自立心と行動力です。そういった育児に徹することも親の仕事
ではないでしょうか。
 
また、学童保育、アフター・スクールに力を入れる学校が増えています。お母
さん方がお仕事をもっている場合、具体的にどのようになっているか、積極的
に参加し、情報を確認しておきましょう。
 
26年から説明会を再開した横浜雙葉小学校は、説明会は4月23日に実施、
見学会は5月12日に実施、オープンスクールは6月20日(土)午前中に開
催の予定ですが、予約が必要です。
 
日本女子大学附属豊明小学校は去年と同様、学校説明会は開催しませんが、学
校施設見学会を5月28日(土)に実施、授業見学会は6月16日(木)、そ
して学校見学相談会を9月10日(土)に実施します。詳細な情報は後日公表
とありますから、ホームページをご覧ください。
 
雙葉小学校は、昨年と同様、夏休み前の7月15日(金)、16日(土)に開催、
混乱を避けるために、事前に葉書で申し込む方法で行われます。5月16日
(月)から6月17日(金)までの消印有効。
聖心女子学院初等科は、「Web予約システム」による申し込み、早めに登録し
ておきましょう。Web予約が増えていますから、各学校のHPで確認してくだ
さい。
 
青山学院初等部の第1回説明会は、明日開催されますが、今年は事前申込制に
変更。
親子で校舎を見学できる「オープンスクール」は、6月25日(土)に10時~
11時30分と13時~14時30分に分けて実施予定。事前申込受付で、詳
細は5月中旬にHPで公表。説明会と同様、セキュリティの都合上、氏名や住
所を確認できる運転免許証や健康保険証を持参することになっています。詳し
くはホームページで確認を。
 
東洋英和女学院小学部の学校説明会、第1回目は終了、2回目は6月9日(木)
に。オープンスクールは7月6日(水)に。入試説明会は9月8日(木)に開催予
定です。詳しい情報、申し込み方法は、ホームページをご覧ください。
 
立教小学校は、今年は3回開催することになり、第1回目6月9日(木)は例
年通りオープンスクールと個別質問、第2回目の7月2日(土)は説明会と個
別質問、第3回目は9月10日(土)説明会だけ。「(1)(2)(3)はそ
れぞれ内容が異なる」と明記されています。事前の申し込みはありませんが、
対象は保護者のみとなっています。
 
慶應義塾幼稚舎は、例年通り2回ずつ計4回実施されます。
第1回 7月2日(土)午前9時30分より 第2回午後2時00分より
第3回 7月9日(土)午前9時30分より 第4回午後2時00分より
それぞれ1時間程度、自尊館(講堂)で行われますが、幼児同伴は不可。校内
見学はありますが、説明会会場以外の校内立ち入りはできません。都会では珍
しくなった土のグランドと真中に立つ大きな欅、毎年、七夕飾りを見ることが
できます。
 
成蹊小学校の説明会は、当初は、大学の合同授業などで使う大きな教室でやっ
ていましたが、やがて小学校の体育館になり、3年前まで学校の近くの武蔵野
市民文化会館で行っていました。26年からは学園内で開催しています。
初めて授業参観で校舎に入ったとき、何やらうなぎの寝床といっては失礼でし
ょうけれど、そんな感じがしましたが、新装成った校舎は、むかしの面影を一
新し、すばらしい環境になっています。
第1回説明会は6月4日(土)、成蹊学園本館大講堂、第2回は9月3日(土)、
成蹊大学4号館ホールで開催。オープンスクールは6月24日(金)に開催予定。
詳しい情報はホームページで確認を。
 
日出学園小学校は、昼間、参加できないお父さん方に「お父さんのための説明
会」を5月19日(木)と20日(金)に6時30分から開催します。6月
30日と9月24日(土)10時から学校説明会を、そして7月23日(土)
午前10時には親子体験会を実施します。本年から、いずれもWebでの予約制
になっています。詳しくはホームページをご覧ください。
小野学園小学校も6月24日(金)午後7時から8時に「ナイト 学校説明会」
を開催。夜の説明会は、5月26日(木)午後6時より行う東京女学館小学校
に続いて3校目になりました。
 
驚いたのは、暁星小学校で、今年は上智大学の10号館講堂で9月24日(土)
に開催。注意しておきたいのは、当日、会場での願書配布はなく、事前に購入
し、その一式を持参することです。配布は小学校事務室で、9月6日(火)か
ら9月26日(月)まで。会場の案内などはホームページに掲載されています。
 
まず、こういった説明会や公開授業などの日程を正確につかんでおくことが大
切です。
ホームページを利用すれば、説明会の開催日時や入試日程、学校の歴史や建学
の精神、参加できる学校行事などの他、学校によっては、「よくあるQ&A」も
用意されており、簡単に検索できますから大いに利用しましょう。
 
説明会では、学校案内や要覧などの配布があり、市販されているガイドブック
などからは得られない情報も公開され、そういった資料をもとに、学校の沿革
や教育内容などの詳しい解説が行われています。
9月以降の説明会では願書も配布され、具体的な入試日程の説明や願書記入上
の注意、健康調査書に関する諸注意、考査料の振込みに関する注意などを詳し
く解説する学校もあります。
 
また、立教小学校や立教女学院小学校、成蹊小学校のように、授業を公開する
オープンスクールを実施したり、ビデオを使って授業の様子や年間の主な行事
などを紹介する学校もあります。
 
説明会は5月から始まり、多くは9月以降に集中して開かれますが、最近は、
6月、7月に行う学校が増えていますから注意が必要です。こういった情報を
しっかりと確保しておくことも、ご両親の大切な役目です。学校によっては、
面接で説明会に参加した感想を聞かれたり、アンケート用紙に記入を求めたり
することもあります。
 
多くの学校では、質疑応答の時間を設けていますが、特別に時間を設定してい
ない学校もあります。しかし、説明会終了後、個人的に質問をする機会はあり
ますから、何か問題のある場合は、この時間を利用し解消しておきたいもので
す。「母子家庭は不利」「仕事を持つ母親は不利」「信者は有利」「出身者、
兄弟姉妹がいれば有利」など、いわゆる噂に心を痛めている方々は、直接、処
方箋をいただいて、つまらない悩みは解決しておきましょう。
 
学校によっては、「心配事がある場合は、電話で問い合わせてほしい」と、相
談の窓口のあることを説明しているほどです。しかし、電話で済ませるより、
説明会で直接、お聞きしておくべきでしょう。もしかすると、面接の時に再度、
お会いするかもしれないからです。
 
かつては、入学後、経済的な心配が起きた場合には、奨学金制度のあることを
公表している学校もありましたが、青山学院初等部のホームページのQ&Aの
欄にも、「学費等の支援給付制度が定められている」と発表しています。
 
ご主人が転勤の可能性のある場合、復学できるか確かめておきましょう。今は
どうか不明ですが、単身赴任は歓迎できないと公表した学校もありました。
 
問題を抱え込まずに積極的に利用し、すっきりとした気持ちで秋を迎えたいも
のです。
 
ところで、説明会は、小学校の講堂や体育館で行われると思われがちですが、
外部でやっている学校もあります、早稲田実業学校初等部等と学習院初等科で
す。
 
早稲田実業学校初等部が第一回目の説明会を行ったときは、国立の初等部の校
舎は建築中で、大学の大隈講堂を使用しましたが、満員になるほど参加者が多
く、初等部内には収容できる施設はないようですから、ここで開催することに
なったのでしょう。入学式も、当講堂で行われました。建物が古くなったため
に改築されていた2年間は文京シビックの大ホールで開催されたこともありま
したが、今年も大隈講堂で開催されます。
 
思い出に残っているのは、学習院初等科の説明会です。
当初、男児と女児に分けて四ツ谷の迎賓館のすぐそばにある初等科の正堂(講
堂のこと)で行っていました。現在、初等科の建物は新築されましたが、当時
の校舎内はかなりの年月を経ており、歩く廊下はぎしぎしと音がし、質実剛健
を教育目標とする学校らしい雰囲気を感じたものです。また、正堂の正面には
菊の御紋が二つ蒼然と輝き、皇室の方々が通われる学校であることが伝わって
きたものでした。こういった学校の歴史や雰囲気を実感できたのは、私にとっ
ては貴重な体験でした。
参加者が多くなり、平成19年までは、目白のキャンパス内にある学習院創立
百周年記念会館正堂で、やはり男児と女児に分けて開催していました。同20
年からは、初等科の正堂で行われていましたが、9月の説明会は、再び目白の
学習院創立百周年記念会館正堂で開催。それだけ参加者が多いということでし
ょう。今年も学校説明会は5月21日(土)に初等科正堂で、入試説明会は9
月10日(土)百周年記念会館正堂で開催の予定です。
 
 ◆参加するときの注意点 
 
説明会へ参加するときに注意してほしいことをお話しましょう。
・筆記用具、メモ用紙を持参する。
 
・上履きが必要な場合がありますから、スリッパ、靴を入れる袋を持参するか
 どうかを確かめておく。学習院初等科、東洋英和女学院小学部、光塩女子学
 院初等科、日出学園小学校などは、昨年まで必要でしたが、ホームページで
 確認を。
 
・雨の日は、雨傘用のビニール袋を学校側で用意しているとは限りません。
 特に、梅雨にさしかかる時期ですから用意しておきましょう。
 
・ハイヒールで廊下を歩くとき、音に注意を。立教小学校は禁止しています。
 Q・なぜ、ハイヒールでの来校は禁止されているのですか。
 A・学校の校庭は人工芝になっています。その上をハイヒールなど、かかと
   の高い靴で歩くと、人工芝を傷つけてしまいます。また、ハイヒールな
   どかかとの高い靴で校舎内を歩くと、大きな音がする可能性が考えられ、
   授業などの学校生活に影響する可能性が考えられます。
   従って、ハイヒールなどかかとの高い靴での来校は、ご遠慮いただいて
   おります。もし、ハイヒールなどかかとの高い靴を履いてこられた場合
   には、校内に入る際に、運動靴などにお履き替えいただきたいと考えて
   います。ご配慮をお願いいたします。
          (立教小学校ホームページ 「よくいただく質問」より)
 
・学校によっては、お子さんを連れてくることを遠慮してほしいという場合が
 ありますから確認を。
       
・お子さん同伴の場合は、むずかることもありますから、いつでも外に出られ
 るように、後方の出入口の席に座る気配りを。1時間から長いところでは2
 時間にもなりますから、退屈しない工夫を。
 学習院初等科の入試説明会は、大学内にある正堂で行われ、会場のロビーに
 テレビが設置されていますが、これなどは特別なケースでしょう。本年度の
 ホームページでは、「受験生ならびにお子様のご来場はお断りします」と明
 記されています。
 
・授業参観の場合は、同伴者と絶対に話をしないこと。生徒は授業中です。こ
 れが守られていません。「学校側では、ひそかにチェックしている」という
 ことはないとは思いますが、こういった怪情報は広めたいですね、生徒のた
 めにも。
 
最後のことについては、あきれてしまった経験があります。
昭和61年、雙葉小学校が説明会を再開した時でした。
会場は5階のホールでしたから階段を上ることになりますが、各階の踊り場に
立て札があり、そこには文言は正確ではありませんが、
「生徒は授業中です。静粛に願います」
と書かれてあったのです。
階段をおしゃべりしながら歩く、お母さん方の無神経さを理解できませんでし
た。生まれて初めて雙葉の校舎に入り、いささか興奮気味でしたが、この立て
札を見てがっくりしました。学校側に、先を読まれているのですから。今年も、
当ホールで開催されますから、友達と一緒に参加されるお母さん方、厳に慎ん
でください。
4年続けて階段を上りましたが、息が切れましたね。今年は、断固としてエレ
ベーターに乗るつもりです(笑)。
 
また、立教小学校など授業参観をかねている場合、始業時間前に集合しますか
ら、朝の交通状態を頭に入れておきましょう。
利用する交通機関は、ラッシュアワーで混雑していますし、時間も通常よりか
かります。
駅からタクシーでと思っていても、簡単に乗れるとは限りません。
もちろん、自家用車での来校は禁止されています。どこの学校にも、車を収容
する広い駐車場はないからです。
 
ところで、授業参観の場合、1年生の教室が人気の的になりがちですが、高学
年の教室は空いていますから、じっくりと見学できます。ある学校で、非常に
厳しい先生の態度に接し、「やるじゃないですか!」と感動さえ覚えたもので
す。見学者がいようがいまいが眼中にない先生の態度が、建学の精神そのもの
だったからです。
 (次回は、「説明会のエピソード」を紹介しましょう)
 

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>幼稚園説明会について

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
         「めぇでる教育研究所」発行
   「2017さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第27
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
 
幼稚園説明会について
 
今回から入園試験実践編に入りますが、まず入園説明会からお話しましょう。
入園説明会は、文字通り、幼稚園についての説明会で、入園試験の内容につい
ての説明は、全くといっていい程ありません。
入試に関しては、募集要項や願書の配布日、出願の日、出願の方法(幼稚園へ
直接持参するか、郵送する)、面接や試験、合格発表の日時、願書記入上の留
意点などの説明にとどまり、大半は建学の精神や保育方針、年間の行事などの
説明が行われています。
未就児クラスを開設する幼稚園や預かり保育など情報も豊富で、最近は、ビデ
オを使って年間の行事などを紹介することで、建学の精神や教育の特長などを
わかりやすく説明する幼稚園もあります。
 
また、淑徳幼稚園や聖学院幼稚園などのように公開保育を行っている幼稚園や、
学習院幼稚園のように、説明会終了後、希望者には施設見学会を実施している
ところもあります。公開保育の場合は、お子さんの服装や靴など用意していく
ものがありますから、必ず、事前に連絡を取り確認しておきましょう。施設見
学の場合は、上履きと靴を入れる袋を持参します。最近は、事前に予約が必要
となるケースが増えていますから、ホームページで確かめておきましょう。
 
そして、ほとんどの幼稚園では「お子さんを連れてこないでほしい」といって
います。
説明会については、ホームページで簡単に知ることができますから、必ずアク
セスし確認しておきましょう。 
なお、普段、部外者は、絶対に園内には入れませんから、できるだけ幅広く見
学することをお勧めいたします。
 
といっても、幼稚園の中で説明会をやっていないところもあります。
学習院幼稚園は、目白の大学のキャンパス内にある学習院創立百周年記念会館
正堂で行っています。
白百合学園幼稚園や暁星幼稚園は学園内の講堂、豊明幼稚園は大学キャンパス
内の成瀬記念講堂で行っています。大勢の参加者があり、小さな施設の幼稚園
ですから収容できないからです。
青山学院幼稚園も大学内の礼拝堂で行っていますが、今年は初等部の礼拝堂で
行われます。入った瞬間に、何とも言えない宗教の香りを肌で感じることがで
きます。宗教教育の経験のないご両親は、是非とも参加してほしいと思います。
参加されて違和感があるようでしたら、幼稚園選びを考え直す必要があるでし
ょう。
 
最近では、家にいて幼稚園に関する詳しい情報も得ることができます。先にも
お話しました、ホームページを利用することです。各幼稚園共に演出をこらし、
素晴らしい画面を見ることができます。幼稚園が決まっていない場合は、出来
るだけ多くの幼稚園の情報に接しておきましょう。
 
保育の方針などを紹介する幼稚園の入園説明会、公開保育の日程は、以下の通
りです。
平成28年5月10日(火)現在 yahooで検索したもので、まだ、発表
していない幼稚園もありますが、その場合は、前年度の日時を掲載してありま
すので、後日確認し、お間違えのないようにお願いします。なお、上履き持参
の場合は、幼稚園によっては用意している場合もありますが、必ず、靴を入れ
る袋も持参してください。
 
[東京都]
暁星幼稚園 
 9月14日(水)14:00-15:00 暁星学園聖堂 
           幼児同伴不可 来場は家族1名限り 予約・上履き不要
 9月21日(水)園舎見学会 14:00~15:00
          持ち物:上履き、靴袋 幼児同伴可
 
白百合学園幼稚園 
 第1回 見学会 5月11日(水) 13:30~15:30
     注 園庭のバラの咲き加減で変更あり  
 第1回 説明会及び見学会 5月14日(土) 9:00~
 第2回 説明会 9月3日(土) 9:30~
  場所 学園講堂
 
雙葉小学校附属幼稚園 説明会なし 
 園庭開放 6月21日(火)~6月30日(木)
      午後1時30分~2時まで 雨天でも実施 [土日は除く]
  
東洋英和幼稚園 7月16日(土)/9月1日(木)
           両日共10:00-12:00 両日とも内容は同じ
        9時より願書発売
        予約の必要なし 幼児同伴不可 上履き持参
        
日本女子大学附属豊明幼稚園 施設見学会 5月28日(土)
   10時00分-11時30分 豊明幼稚園
   お子様も参加できます。
   園舎見学の際、室内履き、靴袋が必要。子どもはスリッパ不可
   園庭見学の際は、園庭が痛むためヒールの低い靴を。
   親子で遊べる服装でお越しください。
   園庭で遊ぶ方は帽子をご持参下さい。
   幼稚園施設見学参加票を持参(詳細はホームページを参照)
 
   入園説明会 9月10日(土)9時30分~11時30分
   場所 豊明講堂(豊明小学校内)
      終了後、園舎見学 事前の申し込み不要
 
成城幼稚園 6月4日(土)
      8月7日(日)
      9月10日(土)(時間未定)
     幼児同伴不可 
     幼稚園園舎見学会 6月13日(月)・7月8日(金)・9月16日(金) 
         見学時間 14:30-15:30 電話等での予約が必要
(予約の連絡は5月6日(金)以降の月~金曜日の午前10時から午後3時半) 
 
田園調布雙葉小学校附属幼稚園 9月14日(水)14:00-15:00
           予約が必要(予約の受付は8月15日(月)から) 
 本学園記念講堂 (車での来園禁止) 
 終了後、園舎見学あり 上履き持参 
           幼児同伴不可
 
青山学院幼稚園 7月16日(土)10:00より 
 ガウチャー記念礼拝堂(青山学院初等部内)
       幼児同伴不可 園舎見学あり スリッパ持参 
       整理券が配布され、その番号に従って所定の区画に着席する。
 
(青山学院の第二の校歌と親しまれている、平岡精二 作詞作曲の「学生時代」
の歌碑が、ベリーホール本部礼拝堂前にあります。大学内で行われるときは、
帰りに見ることができます))
 
学習院幼稚園 9月13日(火)14:00から(1時間半程度の予定) 
 学習院創立百周年記念会館 正堂 
 説明会終了後、園庭及び保育室、遊戯室内の見学可
 募集要項(9月5日より発売)にある「説明会出席票」にあらかじめ記入して
 持参。受付を円滑にするため。
 
桐朋幼稚園 第1回 5月14日(土)9:30-11:00 お子さま同伴可
     ※施設見学後に11:30まで園庭解放
      第2回 7月17日(日)10:00-11:30 お子さま同伴不可
      第3回 9月 3日(土)10:00~11:30 お子さま同伴不可
 ※なお、5月14日(土)の説明会は、お子様お連れの方もそうでない方も、
  一緒の会場となる。
 
 場所 学園内:幼稚園図書室(当日、案内板で掲示)
 幼稚園内の施設見学あり。
 予約制 説明会の参加は3回の内、お一人様1回限り
 筆記用具持参。
 上履き(スリッパ等持参)
 園庭解放をご利用の方は、運動靴でおいでになるか外履き(ヒール不可)
 を持参。また、汚れてもよい服装でいらっしゃってください。
 ご案内の都合から予約制。説明会の参加はお1人様1回限り。
 自動車による来園は禁止
 応募方法 
 4月20日正午より予約画面から申込受付開始。
 先着順(募集人数になり次第締め切り)
      
淑徳幼稚園 対象者:平成29年度年少組入園・2歳児クラス入会希望者の保護者
     14:00~14:15 受付 14:20 開会予定 (1時間程度)
  5月25日(水)
  6月29日(水)
  9月 7日(水)
  説明会、公開保育とも事前予約が必要。ホームページをご覧ください。
  ※お子様をお預かりする用意はありません。
 
聖学院幼稚園 9月10日(土)10:00-11:00  
       公開保育6月21日(火)
       体験入園7月20日(水)7月21日(木)
 予約についてはホームページをご覧ください。
  
光塩女子学院幼稚園 5月20日(金) 6月16日(木)9月21日(水)
          いずれも9:30から1時間程度(9:10から受付開始)
          事前予約不要
          上履きと外靴入れ持参。 
          会の性質上、お子様はお連れにならないでください。
          園庭開放あり、満3歳児保育「ことり組」 未就園児保育「そら組」
          についてはホームページを参照 
 
立教女学院短期大学附属幼稚園天使園 
(※5月10日現在未定 これは昨年のものです)
         ※9月5日(土) 10:00-12:00
         立教女学院 聖マリア礼拝堂
         幼児同伴不可 スリッパ持参
              
国立学園附属かたばみ幼稚園 
 第1回目 6月4日(土)(9:30-12:00) 於 幼稚園ホール
 この回は「お子様をお預かりします」ので、ご希望の方は、事前に連絡してください。
 第2回 9月2日(金)(9:15-12:00) 於 幼稚園ホール
        上履き持参「お子様をお預かりなし」
 幼稚園見学 6月6日(月)以降、要申し込み
           (詳しくはホームページを参照)
 
川村幼稚園 説明会 6月4日(土)10:30-11:00(園舎)
 9月17日(土)10:30-11:00(園舎)
         要 予約        
    「幼稚園であそぼう」要予約(詳しくはホームページを参照)
          
[神奈川県]
桐蔭学園幼稚部 
 6月16日(木) 学校説明会・公開保育・公開授業 
   9:00受付開始 上履き持参
 9月3日(土) 入試説明会・学校見学
  13:00受付開始 
   上履き持参 於 桐蔭学園シンフォニーホール
 
湘南白百合学園幼稚園 (※5月10日現在未定 これは昨年のものです)
  7月2日(木) 9月9日(水)13:30 約1時間
    上履き持参 幼児同伴不可      
 
森村学園幼稚園 
 第1回 5月14日(土) 9:30 受付開始 10:00開会
 第2回 8月28日 (日)  9:30 受付開始 10:00開会
  第3回10月15日 (土)  9:30 受付開始 10:00開会
                
 幼稚園ミニ説明会、公開見学会、保護者見学会あり、詳しくはホームページを参照。
 
[千葉県]
日出学園幼稚園 
 第1回9月10日(土) 10:00-11:30
 第2回9月16日(金)10:00-11:30
 予約制 詳しくはホームページをご覧ください。
 上靴持参 幼稚園駐輪所使用可
        
昭和学院幼稚園 
 見学会 6月 9日(木)  9:30-11:00
 説明会10月3日(月)  9:30-11:00
           
資料は、ホームページで検索したものです。参加される場合は、必ず、確認を
取ってからお出かけください。
(次回は、「幼稚園の決め方(1)」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<保護者編>第7章(4)端午の節句です★★五月に読んであげたい本★★ 

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2017さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第27号-
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第7章 端午の節句です(4) 
★★五月に読んであげたい本★★  
 
「桃太郎」や「金太郎」は、おなじみのむかし話ですからさて置き、こわい話
を紹介しましょう。
 
◆めしを食わぬよめ◆   松谷 みよ子 著
むかし、ある村に、たいそうけちな男がいました。嫁に食わせる飯がもったい
ないから、飯を食わぬ嫁を探してくれというのです。
ある日のこと、十六、七の姉さまが訪ねてきて、ご飯を食べずに働くから嫁に
してくれという。暮らしてみると、ご飯を食べず、しかも働き者です。ところ
が、毎日、米もみそも減っています。不思議に思った男は、次の日、仕事に出
かけたふりをして、戸のふし穴からのぞいてみたところ、髪をほどいた頭の中
に、大きな口があり、飯にみそをつけ、にぎっては放りこみ、大がまの飯を全
部、食べてしまったのです。
男は、夕方になると、知らぬふりをして家に帰り、別れ話をすると、にわかに
髪をふりみだし、頭の口をパックリとあけて、恐ろしい山姥(やまんば)にな
ったのです。逃げ出そうとする男をつまみあげ、ふろ桶の中へ放りこみ、桶に
帯をかけて背負うと、山へむかって走りだしました。男は、何とか助かろうと、
桶から顔を出してみると、頭の上に木の枝があったのでとびつき、木からすべ
りおり、山をかけおり、ふもとまで来たのですが、気づいた山姥が、追いかけ
てきます。男は、そばの草むらに逃げ込みました。そこには、菖蒲がたくさん
生えていたのです。
「魔除けの菖蒲にはかなわない」と、山姥は悔しそうにいい、山へ帰って行っ
たのです。
菖蒲が魔除けの草として、五月の節句に飾られるようになったのは、この時か
らだといわれています。
     五月のはなし  ももたろう 松谷 みよ子/吉沢 和夫 監修
                   日本民話の会 編 国土社 刊     
 
話によっては、蓬も生えている草むらになっているものや、風呂桶ではなく背
負いかごのもあります。面白いことに、「この日が、実は、5月5日であった」
という話も残っています。
 
子どもは、こわい話を聞きたがりますが、本当は、こわがりなのです。話だけ
では、頭に大口がある姿を想像できませんから聞いていますが、本の場合は絵
がありますから、こわがります。
ある時、絵本を見せながら読んだところ、こわそうな顔をして聞いていました。
喜怒哀楽の情緒も分化されてくる時期ですから、こわいものには、本当にこわ
がり始めます。
この話でも、頭の口で食べるところでは、
「これからこわーくなるから、こわい人は……、耳を、ふさいで、いいのだよ
ー」     
といかにもこわそうにいうと、耳をふさいで下を向くのは、男の子が多いです
ね。食い入るように話を聞いているのは、案外、女の子なのです。肝が座って
いるのですね、小さい頃から。           
あまり恐怖感を与えるのは考えものですが、こういった刺激を与え、情緒を育
んでいくことも、昔話の大切な役目ではないでしょうか。恐怖感も、きちんと
結末で拭ってくれる配慮がしてあるからです。    
 
探してみるものですね。この話を見つけたときは、本当にうれしくなりました。
鯉のぼりの制作者は、意外にも、お侍さんだったのです。
 
◆コイのぼりのはじまり◆(伝説 墨田区) 
江戸時代のことです。
端午の節句が近づいたある日、江戸の町を一人の侍が歩いていました。武家屋
敷の庭には、祝いの旗や、のぼりが立てられ、道では、侍の子が、紙のかぶと
をかぶり、しょうぶで作った刀を振り回していますが、町人の住む町の子ども
達は、かぶとも、しょうぶの刀も差していないことに気づいたのです。
染め物屋の家からは、のぼりを立ててくれとせがむ子どもの声が聞こえました。
「あれは、お侍さんが立てるものだからできない」と話しますが、納得しない
で、泣きじゃくっているではありませんか。
そこへ、お侍が入って来て、大きな紙4枚と太い筆を借り、1枚の紙に大きな
コイを描き、別の紙には、反対向きのコイを描きあげました。2枚の絵を合わ
せると、1匹のコイになるのです。もう1匹描くから、節句の前日までに、黒
と赤に染め上げてほしいといって店を出たのです。
約束の日に染め上げ、日に干していると、やってきた侍は、はさみと針を借り、
向きの違うコイ同士を、袋縫いに縫い合わせると、黒と赤の2匹のコイになっ
たのです。長いさおの先につけて、家の前に立てさせました。五月晴れの空を、
風に吹かれる真ゴイと緋ゴイ。周りには、町人や武士の子ども達も集まり嬉し
そうです。
お侍さんの名は赤荻柳和、武士というよりは俳句を作ることで知られた、心の
やさしい人だったそうです。こうして、次の年の5月5日から、江戸の町には
コイのぼりが、武士の家にも町人の家にも、立てられるようなったのです。
これが、コイのぼりの始まりだそうです。
 県別ふるさとの民話 18  東京都の民話  日本児童文学者協会 編
 偕成社 刊 
 
「八十八夜」「若葉」「茶摘み」「すげの笠」といいますと、俳句の季語のよ
うな感じがして、夏の近いことを実感したものです。しかし、今はどうでしょ
うか。こういった風物詩も、「テレビで拝見」で終わっているようです。季節
を感じる余裕がなくなってしまったのでしょうか、もったいないと思います。
自然が、四季折々の変化を告げてくれるのは、本当に有り難いことだからです。
 
この話に出てくる「ふるい屋」「古鉄(ふるがね)屋」も、説明がないとわか
らない仕事ですね。私の子どもの頃は、こういった行商屋さんが、金魚、風鈴、
豆腐、納豆、アイスキャンディーなどを売りに来たものです。中でも印象に残
っているのは、鍋やかまなどにできた穴を修理する「いかけ屋」さんで、道の
片隅にござを敷き、その上に道具を並べ、小さなふいご(携帯用送風機)で火
をおこし、焼けた鉄の棒で金属同士をくっつけてしまう「半田付け(はんだづ
け)」が、不思議だったことを覚えています。
                    
◆お茶屋とふるい屋と古鉄屋(ふるがねや)◆(山梨県の話)
       夏もちかづく  八十八夜
       野にも山にも  若葉がしげる
       あれに見えるは 茶摘みじゃないか
       あかねだすきに すげの笠
小学校唱歌「茶つみ」の歌です。子どもの頃、女の子が「せっせっせーのよい
よいよい」といってから、この歌をうたいながら遊ぶ、手遊びがありました。
この歌にある「八十八夜」は、暦の上で、立春の日(2月4日頃)から数えて
八十八日目、5月2日頃のことで、茶摘みが始まる季節です。
 
新しい芽を摘んで作った新茶売りの話があります。
ある日、一人のお茶売りが、「新茶ぁ、おいしい新茶だよ!」と、売り歩いて
いく後から、「ふるいー、ふるいー」といってふるい屋が歩いていきます。
「ふるい」とは、粉や砂など細かなものを、網目を通して落としたり、選り分
けする道具です。「新茶、ふるい」と売り声が並ぶと、新茶なのか古いのかわ
からず、誰も出てきません。
お茶屋さんは、新茶が売れないと怒りましたが、ふるい屋さんも、
「ここは天下の往来、文句があるなら、お前さんこそ、どこかへ行ってくれ」
とけんかを始めました。
そこへ、古鉄(ふるかね)屋さんが、通りかかり仲裁に入ったのです。古鉄屋
さんは、いらなくなった金物を買い取る商売です。二人から訳を聞くと、これ
から三人で売り歩こうといい、順番は、
「お茶屋さん、ふるい屋さん、私だ」という。
言われて三人が売り声をあげると、
「新茶ぁ、ふるいー、古鉄ぇ!」
となり、今度はいい商いができたのでした。    
     日づけのあるお話365日 
    五月のむかしの話  谷 真介 編・著 金の星社 刊
 
落語にも「売り声」という噺があり、お茶屋さんに代わり「魚屋」さんで、い
わしを売っていたと記憶しています。「いわし、ふるいー、ふるかねえ!」
 
どうしても紹介しておきたい話があるのですが、季節感が希薄なのです。棚ぼ
た式に出世する話、こういったうまい話は、あるところにはあるものです。観
音さまのご利益なのですが、運命は、本当に、どなたが決めるのでしょう。こ
の話は、「今昔物語」の巻16の第28話に出ている他、古本説話集、宇治拾
遺物語、雑談集にも、長谷寺観音の霊験譚として残されています。原作を読む
のは、少々しんどいですが、子ども向けに翻訳された本は、おもしろく読めま
す。芥川龍之介の愛読書であることもわかります。
                     
◆わらしべ長者◆   阿部 律子 著
むかし、あるところに、お父にもお母にも死なれ、独りぼっちの貧乏な若者が
いました。
ある日、村の観音さまに祈っているうちに寝てしまったのですが、夢の中に観
音さまが現われ、
「ここから東に行き、初めに手につかんだものを大切にすべし」
と、お告げがあったのです。
急いで戻ろうとしたとき、石につまずき転びましたが、起き上がると、片手に
わらしべを握っていたのです。観音さまのお告げは、このことかもしれないと
わらしべを懐にしまい、東の方に歩いて行くと、1匹のあぶが飛んできたので
捕まえ、わらしべの先にくくりつけました。すると、牛車に乗っていた男の子
が欲しいというのであげると、ただでもらってはと、みかんを3つくれたので
す。
しばらくいくと、男が道端に倒れていて、水がほしいという。みかんを差し出
すと、お礼に反物をくれたのでした。これも観音さまのお陰かもしれないと、
なおも東へ向かって行くと都に出たのです。
すると、倒れた馬を囲んで、人々が騒いでいました。馬の持ち主が、若者に、
急用があるので、馬をやるから好きなようにしてくれというので、ただでもら
うわけにはと、反物をあげたのです。
若者は、馬を引きながら、さらに東の方へ行くと、大きな家から、旅支度をし
た主人が出てきて馬をくれ、もし、3年たってもわしがもどらなかったら、こ
の家も畑も、お前にやると言い、返事も聞かずに行ってしまったのです。若者
は、田畑を耕しながら、主人の帰りを待ったのですが、帰ってきませんでした
ので、若者は、その屋敷に住み、やがて、わらしべ長者と呼ばれる大金持ちに
なったのです。                     
  日本むかしばなし 12
  ふしぎなゆめ 民話の研究会 編 田木 宗太 絵  ポプラ社 刊
     
このように、安物が高価な物と交換されていく話は、ヨーロッパにはあまり見
られず、なぜか、インド、ベトナム、朝鮮、日本といったように東南アジアに
分布しているようです。そういえば、インドの原始仏典「ジャータカ」には、
ねずみ1匹から交換が始まり、豪商の婿さまに納まる出世物語が収められてい
ます。
「ジャータカ物語」や「パンチャタントラ物語」(世界で最も古い子ども向け
の物語集)もお勧めしたいのですが、最近、図書館でも見かけなくなりました。
パソコンで検索すると、かなり出版されているようです。あらすじを紹介して
いるものもあり、内容を把握できますから、のぞいてみましょう。
 (次回は、「何もないのかな 水無月」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>入試問題を分析する 運動

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第44号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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★★入試問題を分析する★★
 
[入試情報]
5月 8日(日)神奈川県私立小学校フォーラム
        於 新横浜プリンスホテル 10:00~15:00
       (詳しくはHPをご覧ください)
 
5月 7日(土)10:00~立教女学院小学校(入試説明会)
        13:00~東洋英和女学院小学部
5月14日(土) 9:30~青山学院初等部
 
学校(入試)説明会が始まりました。ミッション系の学校が続いていますが、
信者でない方にお勧めしているのは、青山学院初等部の説明会です。チャプレ
ン(学校にいる牧師さんのこと)の行う開会礼拝、賛美歌を歌い、講話(聖書
の話)を聞き、アーメンと唱和し、それから部長の話が始まります。例年、賛
美歌を歌うのは信者の方か、お母さん方ですね。多くのお父さん方は歌ってい
ないようです、私もそうですが(笑)。この雰囲気に違和感がある場合は、考
え直した方がいいのではないでしょうか。
持参するものなど注意事項がありますから、必ず、ホームページで確認してか
らお出かけください。
 
[10] 運 動  
集団と個別があります。
 
[集団で行う運動]
先生と同じ体操を機敏にこなす模倣体操、タンバリンのリズムに合わせて行進
をしながらスキップやケンケン、ケンパー、グッパーなどをするもの。
左右の手を開いて、親指から順番に閉じたり、開いたりする指の屈伸、片足一
本で立つ片足バランスや登り棒、縄跳び、ボールをついたり投げたり、ドリブ
ルをするボール遊び、かけっこ、ジグザグ行進などを先生と一緒にします。
 
これは、試験ですが競争ではありません。
先生のやっていることをよく見て、その通りにできるかどうか、指示行動です。
スキップ、ケンケン、ケンパー、グッパーなどは、幼稚園でやっているはずで
すから得意ではないかと思っていたのですが、そうでもないようです。また、
友達とこういった遊びもしないのではないでしょうか。
少子化の影響で近所に同年齢の仲間がいない、また、不幸なことですが、幼児
を取り巻く屋外での環境は、決して安全とはいえず、家での一人遊びが増えて
いるようですが、やはり、不自然ですね。
 
でも、やってできないことはありません。
ご両親の出番ですね、お子さんも喜びます。
お父さんやお母さんと一緒にやってできるようになっていれば、教室でも簡単
にでき、先生方も余った時間を有効に利用できます。巧緻性と同様、教室や塾
にお任せだけでは、効率のよい受験準備はできません。そして、実際の入学試
験で、お父さんやお母さんと一緒にやった運動が出たとき、子ども達は間違い
なく一所懸命にやります。楽しい思い出が、残っているはずだからです。
 
かつて、このようなことがありました。
ボールを使う運動が出題される男子校の受験で、お父さんは海外へ単身赴任中。
通い始めてから3か月ほどたった時、少し太めであったお母さんがスリムにな
ってきたので、お子さんに聞いたところ、毎日のように近所の公園でボール遊
びをしているとのことでした。見事に合格しましたが、ご挨拶にみえた初対面
のお父さんが、一番うれしそうでしたね。直接、手を貸せなかったお父さんだ
けに、気持ちは痛いほどわかりました。その分、お母さんが一所懸命に代役を
果たし、それが楽しかったに違いありません。
 
逆に、苦しい思い出しか残っていない場合は、
「先生、これ試験ですか。試験でなかったらやりたくありません」
こうなるのではないでしょうか。
前にも紹介しましたが、説明会で聞いた本当にあった話です。
偏差値の高い学校でしたから、かなり厳しい受験準備に追われ、子どもの日常
生活のすべてが、受験に結びついていたのでしょう。
話をされた校長先生は、悲しそうにおっしゃっていましたが、帰るとき電車で
一緒になったお母さん方が、
「難しい問題が出るのだから、仕方がないでしょうに!」(この語尾、いやで
すね)
などと、なぜか高い偏差値の話で盛り上がっていました。
「準備に適切でないところがあるのでは、とお母さん方は考えないのでしょう
か」
といいたくなりましたが、偏差値だけをあげる準備に夢中になっているお母さ
ん方は、聞く耳を持たないものです。
ご両親が心を一つにして、受験に取り組んでいるとは、とても思えません。お
母さんだけが夢中になっているケースが、多いものです。しかし、子どもに自
身にとって負担になる準備は、やがて、壁にぶつかります。チック現象が出て
くるようでは、誰のための受験であるか、真剣に考えてほしいですね。
 
また、運動は知的な能力と関係ないからと無関心な方がいますが、それは間違
いです。
知育、徳育、体育の三つの能力が、年齢にふさわしく、バランスよく育ってい
なければ、偏った発育をしがちです。
お薦めしたいのは、縄跳びやボールつきです。
縄跳び、これは全身運動ですから、体重計恐怖症のお母さん方にも効果があり
ます。
ボールつき、これも全身のバランスが必要ですから、贅肉を取り除いてくれ、
心地よい汗は、ストレスの解消にもなります。
サッカーが盛んですから、けるのは上手ですが、つくのは苦手ですね。 
親が見本を示して、一緒に汗を流しましょう。
繰り返しますが、第三者だけに任せるものではありません。試験に出るからで
はなく、これくらいの運動ができないようでは心配です。
 
中には、息切れする子がいますね。
スタミナ不足です。
最近、こういった男の子が増えているようですが、持久力を見るテストもあり
ます。
スタミナ不足は、取り組む意欲にも悪い影響を与えます。
お子さんと一緒に歩いてみましょう。
5分もしない内に、「パパ、おんぶ!」とせがむようでは、お子さんは運動不
足です。
 
「床にかかれた印に従いケンケンパーをしながら進み、乾いた雑巾で敷いてある
マットまで雑巾がけをし、そばに置いてあるかごに雑巾を入れ、箱からドッジボ
ールを取り出し、ラインの前で後向きになり、ボールをつきながら後向きで進み、
ボールを箱にしまい、車輪のついた丸い板に正座し、手でこぎながらジグザグに
かかれた線の通りに、置かれている椅子にぶつからないように進む」
 
かつて、ある名門校で実施された運動テストです。
学校側の出題意図を考えてみましょう。
通学時間に1時間かかる場合、これで息切れするようでは、「無理ではないで
しょうか!」となるのは当然です。
 
ところで、以前、巧緻性のところでお話したことですが、お子さんは筆記用具
をきちんと持って、しっかりとした線を書いていますか?弱々しく頼りない線
を引いているようでは、腕の筋肉の発達不足、つまりは運動不足が考えられま
す。チェックしてみましょう。
 
[個別で行う運動]
跳び箱、平均台、マットなどを使った運動をいくつか組み合わせて、先生の模
範演技を見てから一人ひとり行うものです。
 
★「先ず、ケンパーで平均台の側まで行き、平均台を渡り、真ん中
で後向きになって進みます。下りたところの円の中で『止め!』
といわれるまでボールをつきます。次に跳び箱にのぼり、元気に
飛び下り、最後にマットの上で芋虫ゴロゴロをしてマットの外に
出て、得意のポーズをやって終わりです。先生のやるのを、よく
見ていてください」
 
かなり、きついです。
しかも、しっかりと模範演技を見ていないと、どうにもなりません。
指示の理解と積極的に挑戦する意欲、行動力を見ているのでしょう。
こういったことを、いきなり本番でやるのは無理ですし、「お父さんの出番で
す」などといわれても、マットの代用品はありますが、跳び箱、平均台は、家
にないからできないのではと思われがちですが、その心配はありません。
普段から、体を動かし、筋肉に刺激を与えていれば、対応できます。
基礎体力さえついていれば、順応性の高い子どもには、難しいことではありま
せん。
 
ところで、素朴な疑問ですが、途中で忘れてしまったら、どうすればいいので
しょう。 
先生に聞いても、いいのでしょうか。
最初の挑戦者は、こういう心配もありますね。
聞くのはまずいでしょうが、自分で覚えているとおり、堂々とやるべきでしょ
う。
 
また、途中で平均台から落ちてしまった場合、やり直ししてもいいのでしょう
か。
いいと思いますね。
チャレンジャー精神です。
失敗を恐れる子など、子どもらしくありません。
落ちて泣く子もいるそうです。
なぜ、泣くのでしょうか。
たかだか平均台から、落ちただけではありませんか。
泣くのは、落ちたら駄目、失敗したら減点されることを知っているからでしょ
う。
悲しくなりますね、こういうことで泣き顔をみせるのは……。
小さいときから失敗するのは、悪いことだなどと教え込まれたら、「失敗は成
功のもと」とはいえなくなるではありませんか。
苦手なことが増えるのは、失敗を恐れるからではないでしょうか。
 
平均台から落ちても、
「先生、やりなおしてもいいですか!」
笑っていえる子、絶対に合格すると思います。
信じていますよ、試験監督の先生方!
 
やはり、体を動かすことは、第三者だけに任せっぱなしは、よくないと思いま
す。    
ゴルフは年を取ってからでもできますが、幼児期は、二度と戻ってきません。
夏休みは、体力づくりにも考慮してください。頑張りましょう。
スキンシップですよ、お父さん、お母さん。
 
(次回は、「説明会」についてお話ししましょう)
 

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

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