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めぇでるコラム : 2016小学校受験: 2015年2月

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★(2)言語に関する問題 (2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
     2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第31号)
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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★★入試問題を分析する★★
(2)言語に関する問題 (2)
 
[しりとり]
★「左上の四角から、右下の三角まで、しりとりでつながるように線を引きな
さい」
 
しりとりは、子どもも得意ですし、いつでも、どこでもできます。
「りんご・ゴリラ・らっぱ・パイナップル・ルビー」といった、しりとりの定
番のようなものがありますが、ゴリラ以外の「ご」で始まるものに切り替えな
ければ、マンネリでだれてしまいますね。遊びも適度の緊張感がないと面白く
ありません。「ごま、ゴルフ、ゴム、ごみ、ゴキブリ、ゴンドラやゴーグル」
は、どうでしょうか。お子さんと一緒に探してみましょう。
 
いつもお母さんが主導権を握っていると、お子さんは緊張の連続で息抜きがで
きず、つらいものです。一緒に考えるのは、同じ土俵にいることになりますか
ら、お子さんもリラックスできるのです。
「お母さんも、思いつかないのだけど……?」
などとつぶやいてあげると、お子さんは真剣に考えるはずです。これを「つぶ
やきの教育」とか「ささやきの教育」などといっていますが、「教えこむ教育」
ではなく「考えさせる意欲を育てる教育」です。
正解なるものをひたすら求めてばかりいると、模範解答だけしかいえない、こ
んな言葉はないでしょうが、「マニュアル受験生」になる心配もあります。以
前にもお話ししましたが、こういった弊害をなくすためにペーパーテストを廃
止し、行動観察型のテストを取り入れる学校が増えたわけです。
 
[同頭語・同尾語]
★絵の中で「あ」で始まるものに〇、「ん」で終わるものに△をつけなさい。
 
同頭語は言葉の頭の音ですから間違いも少ないようですが、問題は言葉の終わ
りの音、同尾語です。プリントの絵を見ながらの場合は何とかなるでしょうが、
口頭試問ではどうでしょうか。
 
★「『ん』で終わるものを、できるだけたくさんいってください」
 
こうなると、パニックになりがちではないでしょうか。
「あんパン、ジャムパン、カレーパン」では、あまり発想が豊かとはいえませ
ん。疲れているお父さんは「グロンサン、リポビタン、アリナミン」と言うか
もしれません、冗談ですが(笑)。
動物の名前や台所で使うものに見当りますね。出てこない場合には、「動物」
「台所」などとヒントを与えましょう。 
 
ところで、言語の問題では、マッチ、風鈴、うちわ、扇子(せんす)、はたき、
竹箒(たけぼうき)、ちりとり、氷柱(つらら)などが出題されていますが、
普段、見かけないものもありますね。家にないものは、見かけた時にきちんと
説明してあげることです。臼(うす)や杵(きね)は昔話の世界ですから、出
てきたときに注意を促しましょう。
 
昨年の2月、大雪が降り氷柱を見たのですが、今年はどうでしょうか。その時
のことですが、雪合戦をしたり雪だるまを作る子ども達がいないので、不思議
に思って家内に聞いたところ、「ご近所に、小さいなお子さんがいないからで
すよ」といわれてがっくりしたものです。我が家の周辺も、高齢者集団になっ
ていることを実感しました。(笑)
    
[反対言葉]
★「先生がいう言葉と反対の言葉をいってください。『高い』……」
       
こういった問題です。     
「『高い』の反対は、イ・カ・タです!」
これは笑えませんね。初めての問題に取り組むときに起きやすい勘違いで、こ
れでは説明不足です。
「『大きい』の反対の言葉は『小さい』ですね。わかりましたか。では、『高
い』の反対は……」 
こういう説明があれば間違わないでしょう。初めての問題は、きちんと説明し
ないと誤解が起きやすいものです。私たち親は、わかっているだろうと先入観
を持ちがちですが、子どもにとって迷惑な話となる場合もあるものです。最初
の一歩は親切、丁寧に、二度目、三度目からは少しずつ簡略化し、きちんと理
解できた後は問題文を読むようにしましょう。
いつまでも懇切、丁寧では、お子さんも「説明はこういうものだ」と誤解しや
すいですから注意が必要でしょう。
 
しかし、考えてください。
頭の中で言葉を引っ繰り返し、懸命に考えて答えているのですから、笑ってし
まうと子どもの自尊心は傷つきます。お子さんが急に黙りこんだり、プッとふ
くれたりした時は、自尊心を傷つけられている場合が多いですから、やさしく
対応してあげましょう。もう、そういった時期に入っているからです。
また、こう答える場合もあります。
「『大きい』の反対は、大きくない」、間違いではありませんね。「長くない。
重くない。明るくない。広くない」と答えた子がいました。言葉としては通用
しますが、これは教えてあげましょう。
 
反対語は、小学生になると二字熟語として習います。勿論、「大小」を「だい
しょう」、「上下」を「じょうげ」、前後を「ぜんご」、「左右」を「さゆう」と
音読みで教える必要はありませんが、面白がって覚える子も出てきます。そう
いった場合は、「言葉の遊び」として教えてあげましょう。
「赤い」「長い」「広い」「多い」「寒い」「弱い」「明るい」「美しい」などの形容詞は、形
容動詞、副詞などと共に、作文を書くときに生きてきます。ですから、語彙を
増やしてあげることが大切なのですが、前回にもお話ししましたように、文字
を書きたがる場合は、正しい筆順を教えることも忘れないでください。何事も
最初の一歩が大切だからです。
 
[復唱・逆唱]
★「先生のいったとおりにいってください。
1、3、5、7、9、ハイ、どうぞ」
 
★「次は、逆からいってください。3、5、7といったら7、5、
3というのですよ。 2、9、7、ハイ、どうぞ」
 
★「今度は、文をいいますから、同じようにいってください。昨日
は、幼稚園の遠足で、動物園に行き、パンダを見ました」
こういった問題です。確かに記憶力ですが、大人の考える記憶力ではありませ
ん。
リズム感覚の遊びです。
 
5ケタの数の復唱を、「1………、3………、5………、7………、9」
などとやっては、だれてしまいます。これを、「1、3、5、7、9!」とリ
ズミカルにやると、子どもはついてきます。 
面白いのは、逆唱の問題ですね。「1・3・5」なら「5・3・1」となるわ
けですが、これは練習しなければできません。やっかいなのは、言葉の逆唱で
す。「りんご・バナナ・トマト」を「トマト・バナナ・りんご」と言い換えま
すが、かなり難しい問題です。ところが、この3つの組み合せの中へ、子ども
達に人気のあるものをはさむと、完璧に答えますから不思議なものです。
 
以前、タマゴッチがはやった時のことですが、こんなことがありました。
「りんご・バナナ・タマゴッチ」とやれば「タマゴッチ・バナナ・りんご」で
す。 
「バナナ・ドラえもん・りんご」では「りんご・ドラえもん・バナナ」となり
ます。 
全部、人気者にすると模範的な回答になります。
「ドラえもん・のびた・静ちゃん」は「静ちゃん・のびた・ドラえもん」です
ね。子どもの笑顔が浮かんできませんか、やはり、遊びの感覚です。頭の体操
と考え、お子さんと一緒に楽しく遊んでください。
               
[数詞]
これも厄介な問題です。
ウサギのように、一羽、二羽、三羽と数える場合もあり、幼児には難しい数え
方です。数によっては、「いっぽん、にほん、さんぼん」「いっぴき、にひき、
さんびき」と読み方が変わるものや、花のように「一本、一輪、一束、一株、
一鉢」と、数や植えられている様子から変わるものもあります。よく出題され
ている数詞を紹介しておきましょう。
 
シャツ(一枚) かまきり(一匹) うさぎ(一羽) ぶどう(一粒、一房)
 バナナ(一本、一房) 靴(一足) 椅子(一脚) 自転車(一台) 飛行
機(一機) 豆腐(一丁) 家(一軒、一戸) はし(一膳) 手紙(一通)
 バラ(一本、一輪、一束) 折り紙(一枚)くじら、馬、象(一頭)
 
数量の問題をはじめ問題集に取り組むときには、ものを数える機会はたくさん
ありますから、必ず、「一個、二個」「一杯、二杯」と、数詞をつけて数える
ようにしましょう。
 
ところで、なぜ、うさぎは、鳥のように一羽、二羽と数えるのでしょうか。江
戸時代には、四本足の獣を食べなかったのですが、「うさぎは、ピョン、ピョ
ンと跳ねるから、あれは鳥だ!」といって食べていました。ですから、うさぎ
は、一羽、二羽と数え、それが今も残っているのですが、小さな子ども達には、
よく理解できない数え方になっています。哺乳類を食べなかった仏教の影響で
しょうが、とんだところで、子ども達を悩ませているようです。
 
[日にち]
「日にち」、これも幼児にとって難しいですね。
「いち・に・さん…」は音読みですが、訓読みでは「ひと・ふた・み・よ・い
つ・む・なな・や・ここの・とお」となりますが、これを「ひ・ふ・み・よ・
いつ・む・なな・や・こ・とお」と覚えると、一日を除き十日まで訓読みにな
っていますから、わかりやすいのではないでしょうか。
そして、十一日、十二日、十三日と音読みになり、十四日が音訓読み、十五日
から音読みに戻り、二十日が特殊な読み方で、あとは二十四日が音訓読み以外、
音読みになります。
こんな複雑な読み方を、日常、使っているのですから、日本語はすばらしい言
語であることを、子ども達に教えてあげたいものです。そのためにも、毎日カ
レンダーを見ながら「日にち」と「曜日」をいう習慣をつけましょう。また、
祝日の場合は、そのいわれを説明し、家族で祝うことも大切です。そこから自
前の家庭の文化が、築かれるのではないでしょうか。拙著のメールマガジンの
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」を参考にしてください。
 
言語の問題は問題集を使わなくても、内容さえわかっていれば、楽しみながら、
どこでもできます。読者の中にはいらっしゃらないとは思いますが、子どもに
とってあまり無口なお母さんでは困ります。しかし、しゃべり過ぎはいけませ
ん。大切なのは、言葉のキャッチボールですね。プロ野球の中継を見た時に、
キャッチャーの投球に注意してください。
キャッチャーは、ピッチャーの胸のところへボールを返しますが、その訳は、
いちばん取りやすく、次の投球にすぐ入れるからです。いいキャッチャーにな
ってあげましょう。
そういった時は、お子さんにも、答えやすい質問になっているはずです。そこ
から、話をきちんと聞き取る力、何事にも一所懸命に取り組もうとする意欲が
育ってきます。とにかく、お子さんに話をさせることが大切です。そういった
ことから、なぞなぞもいいですね。
お子さんは、案外、面白いものを作るものです。こういった「言葉遊び」は、
お父さん、お母さんが相手ですから、スキンシップをかねた楽しい学習になっ
ており、効果をあげることもできるのです。
 
この他にも、同音異義語(はし-橋・箸 かける-帽子をかける・電話をかけ
る・腰をかける)などの問題や、様子を表す言葉(春風がそよそよと吹く 北
風がぴゅうぴゅうとふいている)、「バット」や「葉っぱ」等のつまった音
(促音)や、「汽車」「キュウリ」等のねじれた音(拗音)、「おとうさん」
や「ケーキ」のように伸ばす音(長音)に関する問題などもありますが、文法
としてではなく、普段使っている言葉として、楽しく学習することが大切です。
小学校で習ったとき、「パパやママと遊んだことがある!」と思い出し、それ
が学習意欲につながるからです。「さすがお父さん、お母さん!」と間違いな
く尊敬されます。
 
このように、言語の領域は広範囲ですが、毎日の生活の中で、遊びながら学習
できますから、いろいろと工夫してあげることが大切です。
(次回は、「(3)話の記憶の問題」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[2] 言語に関する問題 (1) 

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        「めぇでる教育研究所」発行
     2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第30号)
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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★★入試問題を分析する★★
[2] 言語に関する問題 (1)  
 
面接、お話作り、類似差異、しりとり、同頭語や同尾語、反対語、復唱、逆唱、
同音異義語、拗音、促音、長音など発音の問題と、言葉に関するだけに、広範
囲にわたっています。
 
[面 接]
これは親も参加する面接ではなく、制作や絵を描いているテストの中で、
「お名前を教えてください」
「住んでいるところと、電話番号をいってください」
といった質問があります。  
面白い話を聞きました。名前を聞かれた子が、
「私の名前は、○○イチロウと申します」
普段、子どもがこのようにいうわけはありませんから、先生は、びっくりした
そうです。
教え込むと、こういった不自然な言葉遣いになりがちですね。         しかし、本当に話せない子ども達がいます。親子の会話が、弾んでいないので
しょうね。
言葉は使わなくては、肝心なときに役に立ちません。お母さんが一方的に話さ
ずに聞き手に回りましょう。お子さんに話をさせることです。
「うちの子は、口が重いのですよ」とおっしゃるお母さん方は、「こうなんで
しょう」「ああいうことなのね」と、お子さんが口を開く前に先回りをして、
話をしきっている場合が多いのではないでしょうか。聞くことの上手なお母さ
んは、話し上手な子を育てます。
 
緊張して話せない場合は、先生方も無理に話しかけません。雰囲気になれるま
で待ってくれるようですが、限度がありますから、尋ねられた場合は、自分の
思っていることを恥ずかしがらずに話すことを教えてください。        
「こんなことを言うと笑われるかな」と思っている子ども達が、案外、多いも
のです。
「そんなことはありませんよ」と自信を持たせることです。
 
[お話作り] 
★(ダンボールの中の捨てられている子猫の絵)
この絵を見て、どんなことを考えますか。お話ししてください。
★この3枚の絵を順番に並べて、お話を作り、先生に話してください。
★「電車」「お父さん」「新聞」の三つの言葉を使って、お話を作ってください。
 
これも難しいですね、絵を見て話を作るからです。話の内容から、お子さんの
情緒の発達状況もわかります。以前にもお話しましたが、未分化であった「喜
び」「愛情」「恐れ」「心配」「怒り」といった情緒が分化する時期だからで
す。ダンボールの中の捨てられている子猫の絵を見て、子どもはどう思うでし
ょうか。これは情緒の分野ですから、大人の思惑を押し付けずに、子どもの感
性に心を傾けることが大切です。
 
かなり前の話ですが、この問題の指導には手を焼きました。月齢の差が激しく
出る時期でもありますから、子ども自身の発想を引き出すのは、本当に難しい
ですね。ある国立大学附属小学校で作文の時間に、「『お母さん、あのね!』と、お母
さんに話しかけるように書きましょう」と指導している話を聞き、早速、取り
入れたのですが、これは、効果がありました。お母さんに話しかける気持ちで
作ると、話を聞いてくれる対象が決まりますからリラックスでき、何を伝えた
いかを考え、発想も豊かになるようです。勿論、「お父さん、あのね!」でも、
同じ効果を発揮します。
 
大人もそうですが、経験していないことはわかりません。それでも大人は、今
まで積んできたよく似たような経験や、本などで読んだことなどから想像して、
何とか答えられます。
しかし、子どもは、まだ経験の範囲も狭く、読書量も少ないものです。ですか
ら、おかしな話になりがちです。そこで、お母さんが教え込むと、大人の考え
が顔を出している話になりがちです。
 
「いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのようにというように、筋道立て
て作らなければいけないのでしょうか」とおっしゃるお母さん方がいますが、
まだ、幼児には無理な注文です。小学校でも、高学年にならないとできません
し、そんなことを強制していると、国語の嫌いな子になります。国語は、すべ
ての勉強の基礎ですから、大変なことになりかねません。
こういった鋳型にはめ込むようなことを無理強いしても、子どもらしい発想は、
湧き上がってきません。お子さんの感性を大切にしてあげましょう。しかし、
どう考えても妥当でないと思える場合は、全部、否定するのではなく、お子さ
んの話をよく考えてあげ、修正することが大切です。認めてあげることでやる
気を起こさせ、そこから子どもの力は伸びていくからです。
問題集を買って、「話づくりのテクニック」なるものを教え込む前に、やるべ
きことがあります。本をたくさん読んであげ、子どもの話に耳を傾けることで
す。そして、身の周りのことに、こだわりましょう。花瓶にいけてある季節折
々の花、道端に咲くたんぽぽの花、投げ捨てられた空き缶1個からでも、話を
作るきっかけになります。
「これ、どう思う?」
一緒に考えて、思ったこと、感じたことを話し合うことも大切です。とにかく、
言葉は使わなければどうにもなりません。しかし、遊びの感覚で取り組まなく
ては、子どもは嫌がります。お母さんの顔をチラッチラッと見ながら話すよう
では、止めましょう。お母さんの期待する話に展開しないため、不満気な顔に
なっているはずだからです。
 
最近は、「話を聞き、どう感じたか」、「その後の展開はどうなるか」といっ
たことを話したり、絵で表現し、描いた絵について質問をされたり、みんなの
前で発表するなどの試験も行われています。ある年の幼稚舎で、ドラえもんの
縫いぐるみを着た先生が、水色のドアの前に来て、ドアを開け、「行きたいと
ころの絵を描きなさい!」といった試験がありました。「どこでもドア」です
ね。学校側は、何を評価したかったのでしょうか。
 
絵は、心で感じたことを表したものですから、言葉で表現できるはずです。一
枚の絵から、どんな世界が表現されてくるか、耳を傾けてみましょう。絵の巧
拙ではありません。どう感じたか、感性の世界です。感性は、体験を積み重ね
て育まれたものであることを忘れてはならないでしょう。オーバーかも知れま
せんが、ディベート(特定のテーマに関し、肯定側と否定側に分かれ行う論争)
の苦手な私達日本人は、小さい頃から、こういった経験が少ないことに原因が
あるのではないでしょうか。
 
[類似差異の問題]
★「チューリップと桜を比べて、似ているところと違うところを先生に教えて
ください」
 
何回もお話しましたが、幼児の頭の働きは、ものを見て、比べ、同じところ、
違うところを見つけることから始まります。大人の観察力と違っているところ
があります。チューリップと桜では、大人は木に咲く花、球根から育つ、花の
大きさなど目で見えるものなど、理科の領域内で考えます。
 
こういう子がいました。
「チューリップは、親指姫のお話に出てきて、桜は、花さかじいさんに出てく
るから、話に出てくるところが同じです」
童話の世界です、いいではありませんか。
 
「チューリップは食べられませんが、桜は食べられます」
桜餅のことで、食文化の世界です。食べたときの食感が残っていたのでしょう。 桜の葉は、何ともいえない香りが、ほのかにします。また、落ち葉にも、同じ
ような香りが残っていますが、この子は、それを知っていたのでしょう。おそ
らく、落葉の頃に、公園で拾った桜の葉の匂いをかいだのかも知れません。好
奇心と観察力をほめてあげるべきです。こういう発想は、頭が堅くなった大人
には無理でしょう。これで、いいわけです。
「子どもが考えて、自分の言葉で発表できる」、これは素晴らしいことなので
す。そして話を聞き、なるほどとうなずける内容であれば、正解と認めてあげまし
ょう。
しかし、塩化ビニールの葉っぱでくるまれた桜餅では、こういった発想は生ま
れませんね。
また、落ち込みそうです。
この問題は、自分の考えを言葉で表現しますから、やるべきです。お母さんと
二人でできます。ただし、教え込まないことです。子どもの発想を無視せずに、
きちんと聞いてあげることです。そして、子どもの考え方に妥当性があれば、
それで正解です。しかし、「これはおかしい」と思う場合は、やさしく訂正し
てあげましょう。
 
かつて、アメリカでベストセラーになった「人生で必要な知恵はすべて幼稚園
の砂場で学んだ」(河出書房新社 刊)の第1章 私の生活信条?クレド?
(19ページ)に、こう書いてあります。
 
「『不思議だな』と思う気持ちを大切にすること。(中略)ディックとジェー
ンを主人公にした子供の本で最初に覚えた言葉を思い出そう。何よりも大切な
意味を持つ言葉。“見てごらん”」 (“  ”は藤本)
 
「見て、考え、そして類似と差異に気づくこと」、お子さんのこういった感性
を大切にしてあげたいものです。
 
 (次回は、「言語に関する問題2」についてお話ししましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★(1)巧緻性に関する問題  

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        「めぇでる教育研究所」発行
     2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第29号)
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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★★入試問題を分析する★★
(1)巧緻性に関する問題  
 
聞き慣れない言葉です。
「きめこまかく上手にできていること」という意味ですが、11月に詳しくお
話しました「手は第二の脳」(12号から15号)を思い出してください。重複
するところもありますが、大切な問題ですから繰り返します。巧緻性に関して
は、「塗る・折る・切る・貼る・結ぶ・摘む・包む」といった手作業、何かを
作ったり、絵を描いたり、手本と同じものを描いたりする問題があります。手
作業は、誰の手も借りずに、指示されたことができるかどうかで、自立の状態
がわかります。ですから出題されるわけです。
 
[制 作]
これには課題制作と自由制作があります。
 
◆課題制作
★「今から、動物の起き上がりこぼしを作ります。
このように、画用紙を半分に折り、折り目のところが背中になるように動
物を描きます。描けたら動物を、このように切り抜きます。そして、別の
紙を筒のようにまるめ、それに動物をホチキスで止めます。最後に、セロ
テープで粘土を筒の中に貼り、出来上がりです。」
 
先生が、やっているのを見てから制作に取り組みます。
 
◆自由制作
★(空き箱、画用紙、色紙、折り紙、セロハン、リボン、紐、モール、輪ゴム
などの材料や、はさみ、のり、ホチキス、クレヨンなどが置かれています。)
「ここにあるものを自由に使って、自分の好きなものを作りなさい。」
 
まず、注意しておきましょう。
子ども達の大好きな制作ですから張り切りますが、先生の説明中に手を出す子
がいます。待てないのです。きちんと聞いておかなければ、手順がわかりませ
んから、途中でギブアップすることになりかねません。
普段の生活態度が、そのまま正直に出がちです。お子さんに何かを頼んだとき
など、最後まできちんと聞いているでしょうか。聞いていれば心配ありません
が、何といっても「話を聞き、指示どおりに行動できるか」がポイントだから
です。
幼稚園は自由保育ですが、小学校は一斉授業ですから自分勝手にやるわけには
いきません。
しかも試験ですから、規則違反にチェックが入ります。
 
なお、制作を苦手とするお子さんの場合は、もう一度、「鍛えてほしい第二の
脳」をお読みになり、早いうちに対処しておきましょう。基本作業は、幼児教
室の先生にお任せではなく、家庭できちんと身につけるものです。これをおざ
なりにしていると、制作に興味をもてなくなりがちで、行動観察型のテストが
苦手になることを、しっかりと胸に刻んでおきましょう。
 
[模 写]
★お手本と同じように描きましょう。
 
模写は、文字通り、お手本と同じものをまねて写すことです。
点図形と線や図形の模写があります。点図形は、対称図形が多く、見た目もき
れいですから面白そうですね。簡単なものも手抜きをせず、きちんと線を引く
ことが大切です。
しかも、大人が考えるより難しい作業です。どこから始めたらよいのか迷って
しまうものや、必ずしも点と点を結ぶとは限らず、サードとショートの間を抜
くヒットのように、点と点の間を抜けていくのもあります。これは、納得する
のに時間がかかります。
「点と点を結ぶのに、何で抜かすのですか? そんなのずるいですよ!」
と不満に思っている子がいますが、こだわるから仕掛けに気づいて間違わない
わけです。
そして、この問題も根気がいります。どこがどうなっているのか、試行錯誤を
重ねた方が、後で効果が表れます。観察力と集中力、そして持久力や忍耐力も
身につきますね。さらに、全体のバランス感覚を養うのにも役立ちます。なぜ
なら、隅から隅まで、全体をきちんと見なければならないからです。それが絵
を描くときにも生きてきます。
 
模写の問題で見逃せないのは、性格まで姿を現すことでしょう。
点と点をつなぐ直線がよじれたり、脱線をしたり、通過すべき点を無視する子
は、何をやっても雑なところがありますね。スピードを争っているようですが、
描けていればいいのではありません。完成度から美醜の感覚、基本的な生活習
慣、しつけ、育児の姿勢まで判定することも可能です。最初が、肝心です。ゆ
っくりと丁寧に、時間をかけて、美しく描くことが基本です。そして、忘れが
ちなことですが、姿勢が悪ければ描く線も乱れます。背筋をきちんと伸ばし、
左手でペーパーをしっかりと押さえ、筆記用具をきちんと持って描く習慣を身
につけましょう。
 
線の模写
はじめに、点線などで手本が示されていますから、それを指でなぞり、どのよ
うにすればスムーズに描けるか、必ず確かめましょう。
指で何回もなぞり、脳に一筆で描ける感覚をしっかりと学習させることが大切
です。
三角形が連続する鮫の歯のような直線や、半円が上下に反転しながら連続する
もの、曲線では、筆記体のアルファベットのl(エル)の連続したものもあり、
上下が逆になると、ぶどうの房のように見えますが、l(エル)は下から上に
左回りで描きますから、それに従い連続して描き、上からの場合は、上から下
へ右回り、時計回りで描きます。房の長さや間隔が乱れないように注意を促し
ましょう。
しかし、いずれも難しい作業でなかなかうまく描けませんから、根気よく取り
組むことが大切です。
 
図形の模写
これは、正直言って難しいですね。
線の模写と違い、四角、三角、円、菱形、ハートなどさまざまな図形が、いろ
いろな組み合わせで出題されますから、それを描く子ども達には、至難の業だ
と思います。やってみるとわかりますが、全体の配置状態、バランスをつかむ
ことは容易ではありません。
 
以前にもお話しましたが、図形の○△□は、書写、運筆の基礎トレーニングで
すから、正確に描けるようにすることが大切です。
○は、下から時計まわりで描き、上から左回りに描くのは数字のゼロです。
△は、頂点から左斜め下へ、そこから頂点に戻って右斜め下へ、最後に左から
右へ底辺を描きます。
左斜め下から、いきなり右方向へ底辺を描き、今度は左斜め上の頂点を目指し
て描くのは、大人の使う簡略法で、子どもにとっては書写違反です。
□は、漢字の国がまえと同じです。
左から下におりて、そのまま戻らずに、左回りで一周する子がいますが、これ
も書写違反になります。
文字には筆順がありますから、こういった図形をきちんと描ける子は、きれい
な字を書けるようになります。
 
基本的なトレーニングとしてお勧めしたいのは、例えば、大きな○を描き、そ
の中に、それより小さな形をどんどん描くことです。□△◇も同じようにやっ
てみましょう。前のものより小さく描き、その微妙な差を脳に教えることがで
きるからです。線の模写と同様、難しいですから、お子さん達はうまく描けず
に嫌がると思います。あせらず、じっくりと時間をかけ、丁寧に描けるように
導いてあげましょう。
ところで、頼りない線を引く子がいますが、多くの場合、鉛筆を正しく持てて
いないからで、おそらく、はしの持ち方もおかしいのではないでしょうか。こ
れを解決してから挑戦しましょう。ただし、はしの持ち方は、食事の時にうる
さく言わないことです。朝、昼、晩と三度、同じことを言われていては、気が
滅入りますから、以下のようなトレーニングがいいのではないでしょうか。
Bか2Bの鉛筆で、直線や円などを殴り描きさせると効果が表れるものです。
これは、スピードを上げてもかまいません。なぜなら、早く描くには、鉛筆を
しっかりと持たねばなりませんし、どの辺を持てばよいかもわかるからです。
力み過ぎは、手首を疲れさせるだけですが、力配分やバランスも、やっている
うちにわかってきます。
そして、ボール遊び、縄跳び、鉄棒など両手を使う運動をやることで握力をつ
けましょう。
机の上だけではないトレーニングにも、目を向けてください。はしの持ち方に
も変化が出てくるはずです。
 
[はしを使った問題]
 
★(角砂糖ぐらいの大きさのプラスチックの立方体が、たくさんお椀の中に
あり、はしと空のお椀が用意されている)
・お椀の中のものを、別のお椀にはしを使って、一つずつ移してください。
 
「摘む」手作業の試験です。豆の他に、はしでスーパーボールや玩具のミニチ
ュアの果物、落花生、金平糖をつかむ問題が出ています。
 
豆を買ってきて、割りばしを使い、懸命に練習をする話を聞きますが、何かお
かしな気がします。これは、試験のために練習をして身につけるものでしょう
か。体や筋肉の運動的な発達に関わることですし、基本的な生活習慣の大切な
課題ですから、しつけと関係があります。一応の目安として、3歳ぐらいから
はしを使えるようになり、5歳頃には、巧みに使えるようになるといわれてい
ます。生活習慣とは、「誰の手も借りずに自力で生活していくために身につけ
るもの」であることを忘れては、受験準備どころではないのではと思います。
 
第15号で紹介しました、平成26年6月の立教女学院小学校の説明会を思い
出してください。教頭先生は、こうおっしゃっていました。
 
 鉛筆の持ち方やはしの持ち方は、一度悪い癖がつくと直しにくいので、家庭
で正しい持ち方、使い方を身につけさせてほしい。あえてこの場で申し上げま
すが、今年度もテストの中ではしを使う場面がございましたら、はしで物を運
ぶ速さを競っているのではなく、正しいはしの持ち方ができているかを見てい
ることをご理解いただきたい。テストの主旨はそこにあります。日本の文化で
もあるはしの使い方を、きちんと身につけてほしいと考えています。
 
幼稚園児が、ペーパーテストに強くても、正しくはしを持って、ご飯を食べら
れない方が、よほど恐い話です。「九九、八十一!」とそらんじている子が、
お母さんにひも靴をはくのを手伝ってもらっているとなると、やはり、おかし
いですね。練習しなければ、靴ひもをうまく結べないのは当たり前です。それ
を手伝うのですから、脳から司令は出ませんし、筋肉も反応しません。手をか
けた分、脳も筋肉も楽をしているのですから、不器用になるわけです。モンテ
ッソーリの「敏感期」ではありませんが、幼児期には、これから使う筋肉を鍛
えておかなければならない大切な時期があります。赤ちゃんは、なぜ、はいは
いをするのか思い出してください。
 
ある私立の名門校では、鉛筆を削るのに「肥後守」を使っている話を聞きまし
た。「肥後守」とは、刃を収めるさやに「肥後守」と銘のある小刀のことです。
私たちの子どもの頃は、鉛筆削り器などありませんでしたから、小刀で鉛筆を
削るのは、誰もが練習をし、身につける、当たり前のことでした。しかし、全
神経を手先に集中しなければ、ケガをしかねない大変な作業でした。危険を伴
う作業は、大げさにいえば、幼いなりに危機管理が必要であることを学習して
いたのではないかと思います。使い方を誤れば凶器になることを教えずに、た
だむやみに禁止するのは、教育的な配慮に欠けますが、こういったことはお父
さん方が、お子さんが小さい時にこそ、きちんと教えておくべきではないでし
ょうか。
 
脱線しましたが、その他に、折り紙を折ったり、はさみで線や線と線の間を切
らせたり、ひもを結ばせたり、積み木をハンカチで包ませる問題もあります。
ひも結びやハンカチでものを包むのも苦手ですね、特に、男の子は。やったこ
とがないからできないのだと思います。お母さん方も、風呂敷でものを包むこ
となど、ほとんどないでしょう。お弁当をハンカチで包むようにすれば、解決
できます。第二の脳を活用すれば知力も向上しますから、一石二鳥にもなりま
す。
 
なお、お絵描きには「自由画」と「課題画」がありますが、詳しくは14号の
「手は第二の脳 絵画編」を参考にしてください。
 
巧緻性の問題には、お子さんの生活環境までわかる要素も含まれています。乱
暴な線や心細い線を引くような場合、その原因は、日常生活の中で、いろいろ
な形でサインが出ていると思います。口うるさく注意する前に、どのようなサ
インが出ているかチェックしてみましょう。
(次回は、「言語の問題」についてお話しましょう)

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