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めぇでるコラム : 2016幼稚園受験: 2015年7月

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー8

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
              第37号
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面接ケース・スタディ編(8)
「違うでしょって、何が……?」
 
面接の中で、お子さんにパズルや積み木の模倣構成(手本を見て同じ物を作る
問題)をさせる場合があります。パズルなら3分割、積み木も3個から5個ぐ
らいです。
 
こういうお母さんがいました。
「先生が作ったのと同じものを作りましょう」
お子さんが、チラッとお母さんを見ます。
「早くやらなくては駄目でしょう!」
お母さんの顔は、そういっています。
言葉に出さなくてもわかります。
お子さんはお母さんの顔を時々見ながら、不安そうに取り組んでいるからです。
完成したのですが、1つだけ積み木が裏返しになって、私の方から色が見えま
せん。
「どこか、おかしくありませんか?」
こう聞こうとした、その時です。
裏返しになっている積み木を指差しながら、
「ほら、左の積み木、先生から色が見えないでしょ!」
年長さんでも、左右をはっきり理解できていないお子さんがいます。
先生方の面前で間違いを指摘したことと合わせて、このお母さんを、どう思わ
れますか。
 
こういうテストの目的は、先生の指示を聞き取る力、お手本をしっかり見る観
察力、構成力、そして、自分自身の力で取り組む意欲など、2、3歳児にふさ
わしい能力が培われているかを見るわけです。
極端にいえば、やってみようとする意欲です。
とにかく、初めての場所で、初めて会った先生の指示を聞き行動できるかどう
かでしょう。
 
できないと泣き出す子もいます。
お子さんは、頑張ったではありませんか。
自分で一所懸命に取り組めたのにもかかわらず、「何ですか、お母さんは」と、
叱りたくなります。
この一言で、普段の育児の姿勢がわかるではありませんか。
「子どもの自主性を尊重した育児を心がけて……」
とおっしゃっても、信じられませんね。
メッキが、はげただけではないでしょうか。
幼児の知的能力とは、記憶された知識の量ではなく、体験を通して身につけた
知恵の量です。
知恵は、試行錯誤をしながら身体で覚えるものです。
そこには、自分で考えながら取り組める、たのしい環境があるはずです。
うまくできなくても、失敗しても、
「そこまでできたのだから、頑張ってごらん!」
と励まされていれば、頑張るのが子どもです。
何とかしようと考えることから工夫力が、夢中になって取り組むことから集中
力が、できたことから次の課題に挑戦する意欲などが培われます。
 
「違うでしょう、こうでしょ!」
口を出し過ぎ、手を貸し過ぎていると、過保護、過干渉になりがちで、
「ママがやってくれるからやめよう!」
「間違えると怒られるからやぁめた!」
となりがちです。
自分からやろうとせずに指示を待つ子が増えているのは、こういった育児の姿
勢や、環境が、大きく影響していると思います。
お母さん方の大好きな考える力や、できるまで頑張る意欲や集中力、お母さん
の手助けを嫌う自主性などが育たないことを知ってほしいのです。
 
幼児のテストは、結果だけを評価するのではありません。
どのように取り組んだか、その過程、プロセスを見ている場合が多いものです。
結果だけにこだわるお母さん方には、幼児期に培う大切なものを失っているこ
とに気づいてほしいといいたいですね。
 
「ボクが、気づくまで教えないで!」
そんな叫び声が聞こえませんか。
聞こえていたら、絶対に手を出しませんし、口をはさまないと思います。
 
しつこく繰り返しますが、3歳になっても、お子さんのやっていることを見て、
口を出したくなるのは過干渉、手を貸したくなるのは過保護と考えましょう。
年長さんになっても、口を出し、手を貸すお母さんがいる時代です。
いやな言葉ですが、超過保護であり、超過干渉ですね。
まだ、危険なことをしますから、監視の目は緩めてはいけませんが、あたたか
く見守ってあげ、待ってあげるお母さんになってほしいと思います。
モンテッソーリ教育を解説した相良敦子氏の著書に「ママ、ひとりでするのを
手伝ってね!」(講談社 刊)がありますが、3歳は、そういう時期に入ってい
るからです。
 
やっと梅雨も明けました、猛暑が続きそうです。お子さんの昼寝にはお母さん
も付き合いましょう。
(次回は「ケース・スタディの最終回」についてお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー7

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
              第36号
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面接 ケース・スタディ編(7)
「タイクツダナァ……!」
 
お子さんへの質問が終わると、今度はご両親の番です。
面接が終わると、お子さんだけ他の部屋へいって遊ぶような場合は心配ありま
せんが、親の面接が続く場合は、こういったことも十分に考えられます。
模擬面接でも、よくあるからです。
 
じっと座っていたお子さんが、足をブラブラしはじめました。
その時です。
お母さんが、手で制し、キッとにらみつけたのです。
子どもでなくても、びっくりします。
ハッとして、うつむいてしまいました。
テーブルをはさんでの面接ですから、直接、先生方には見えません。
おそらく、お母さんが、テーブルの下で足をおさえつけたのでしょう。
顔が、そういっています。
もっとすごいお母さんになると、手を叩くそうです。
どう思いますか。
 
ご両親の面接になると、お母さんもご主人の話を真剣に聞いています。
「いま、ご主人のおっしゃったことについて、どう思われますか」
などと質問されることもあるからです。
しかし、お子さんは退屈しはじめます。
足をブラブラさせるどころか、手をテーブルの上に置いたり、頭を触ったり、
とにかくじっとしていられません。
それどころか、椅子から立ち上がって歩き始めるお子さんもいます。
「お座りしていなさい」
といいながら、ほとんどのお母さんは、強引に手で引っ張り、座らせようとし
ます。 
これもどうでしょうか。
 
こういった経験をされたお母さんから、聞いた話です。
ミキちゃんは、じっとするのが苦手で、3分間が限界だそうです。
でも、それが幼児です。
30分間も、じっと座っている子がいたら、気持ちが悪くなりませんか。
面接当日、心配したとおりミキちゃんは、椅子から立ち上がろうとしました。
「ミキちゃん、もう少し頑張ってね!」
期待に応えて、少し頑張りました。
しかし、もう限界です。
でも、今度は、お母さんは止めませんでした。
そして、
「先生、すみません。このままでよろしいでしょうか?」
と尋ねてみました。
「もう少しですから、お母さんのおひざで待ちましょうね」
こうおっしゃってくれたそうです。
ミキちゃんの一番心の休まる場所ですから、静かに待てて、無事、面接を終え
たばかりか、合格しました。
 
2、3歳児にとり、静かに座って待つことは、大変に難しいものです。
とにかく、じっとしていないのが幼児です。
口だけで強制するのは、無理です。
このお母さんのように、強引に手を引かずに、先生に聞いてみることも大切で
はないでしょうか。
お母さんが聞けたのは、ミキちゃんの性格をよく知っているからです。
ミキちゃんの不安な気持ちが、立ち上がるしぐさに表われています。
子どもの置かれている状態を考えて、子どもの気持ちになって行動しようとす
るお母さんであることもよくわかります。
 
普段、お子さんと静かに過ごす時間を作っていますか。
お子さんの好きな絵本を、読んであげていますか。
お子さんの話をちゃんと聞いてあげていますか。
好きな話を読んでもらい、話を聞いてもらっていると、静かに待つ姿勢も身に
つきます。
 
「ここで立ち上がったからマイナス10点!」
幼稚園側が、そんな採点をするわけはありません。
その時のお母さんの取った態度が、採点の対象になるはずです。
強引に座らせ、叱責するだけでは、保護者とはいえません。
くどいようですが、繰り返します。
お母さん方は、保護者です。
お子さんが、初めての場所や、初対面の人には、どのような態度をとりがちか、
一番よく知っているのは、お母さん方ではありませんか。
起こりえるケースをいろいろと想定し、どのように対処すべきか、考えておく
べきではないでしょうか。
 
いきなり猛暑日、梅雨明け間近でしょう。コンディションをくずさないよう健
康管理には、十分に注意して下さい。
(次回は、ケース・スタディ編8についてお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー6

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」   
            第35号
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面接 ケース・スタディ編(6)
お子さんが口を閉ざしてしまったら
 
「こんにちは」
「………」
「お名前を教えてください」
「………」
「いくつになりましたか」
「………」
何を聞かれても黙ってしまい、答えられないお子さんもいます。
そんな時、お母さんはどうしますか。
 
しつこく質問を続ける先生はいません。
お子さんに緊張を強いるだけですから。
先生方は、お父さんに質問をし、様子を見ながら、また、お子さんに質問を試
みてくれるはずです。
問題は、その時のお父さんとお母さんの態度だと思います。
簡単に答えを教えたり、口を閉ざすわが子を見て取り乱したりするようでは、
保護者とはいえないでしょう。
 
最近は、お父さんが口をはさむようです。
特にお嬢さんの場合、お父さんは落ち着きをなくしがちです。
「お名前を聞かれているんだよ、教えてあげなさい」
この程度は、許容範囲です。
年齢を聞かれて、
「ほら、○○ちゃんは、3つでしょ」
このお父さんのアドバイス、どう思いますか。
回答を教えているのですから、駄目ですね。
しかも、わが子を「○○ちゃん」というのもどうでしょうか。
人前ですから、チャンはいただけません。
わが子を人様に紹介する時、「娘の○○です」というのではないでしょうか。
ここでも、普段の顔が表れるようです。
もし、呼び捨てにされた経験がなければ、お子さんはびっくりするでしょう。
お子さんの名前の呼び方、いかがですか。
 
しかし、黙り込んでしまったお子さんを、黙って見ているのも困ります。
冷たい親だと思われかねません。
幼児は、初対面の人と話をするのは苦手ですから、きっかけを作ってあげまし
ょう。
やはり、お母さんがいいでしょう。
「先生は、あなたと初めて会ったからお名前がわからないのよ。教えてあげま
しょうね」
これくらいなら、許されます。
それでも話ができなければ、無理強いする必要はないと思います。
 
ましてや、答えられなければ駄目だと思い込み、先生を見たり、わが子を見た
り、きょろきょろと落ち着きのない様子は、見苦しいものです。
信じられないことですが、口を閉ざしたわが子を、にらみつけるお母さんもい
るそうです。
保護者として、絶対にやってはいけないことの一つです。
 
しかし、こういった状態になっても、保護者の力でバックアップできる可能性
は、残されています。
 
こういうお母さんがいたそうです。
「お母さまにうかがいます。お子さんの長所と短所をお聞かせください」
こう聞かれたお母さんは、
「はい、長所は、元気で明るいことなのですが、初対面の方とお話をするのが
苦手で、慣れるのに少し時間がかかるところが短所かもしれません。普段は、
こういったことはないのですが、やはり、緊張してしまったようです。申し訳
ありませんでした」 
このお母さんの回答から、わが子を思う心が伝わってこないでしょうか。
また、口をきけなくなった原因もわかります。
最後の「申し訳ありませんでした」の一言が、「責任は、私にあります」と、
緊張する雰囲気を作った自分自身を反省していることになりませんか。
お母さんの謙虚な気持ちが伝わってきます。
 
こんな時に、
「長所は、元気で、明るく、活発なことで、短所は、少し、はしゃぎ過ぎると
ころです」
などと、紋切り型に答えるお母さんとでは、先生方に与える印象は、いかがで
しょうか。
お子さんのことを考えていないお母さんということになりますね。
 
そして、こういう長所があるから合格、こういう短所があるから不合格という
のも、考えにくいことです。
そうではないでしょうか。
お子さんは、これから伸びる可能性を、いっぱい持っています。
まだ、まだ、小さな、小さな芽です。
たかだか2、3年の履歴書しかもっていない幼子です。
幼稚園側が、そういったことだけに、こだわるわけはないと思います。
 
何が起こるかわからないのが幼児の面接です。
口を閉ざしてしまったわが子に、親として成すべきことは何か。
おわかりいただけたと思います。
保護者としての心構えを、常に、忘れないことが大切ではないでしょうか。
 
うっとうしい毎日が続いていますが、お母さんの笑顔が、そんな気持ちを吹き
飛ばしてくれます。お子さんもお母さんも、体調を崩さないように気を付けま
しょう。
(次回は、面接ケース・スタディ編(7)をお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー5

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
              第34号
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面接ケース・スタディー編(5)
「あれっ! ママ、どうしちゃったの?」
 
着席すると、面接される先生方を見ることになります。
ここでも、二つのタイプが考えられます。
余裕を持ったお母さんと緊張しきったお母さんです。
 
お子さんを、さりげなく視野に入れているお母さんがいます。
正面を向いていても、少し工夫すれば、お子さんの様子を見ることができます。
これは、実に、感じのいいものです。
「守ってあげなくてはいけない」
と自覚したお母さんの姿があるからではないでしょうか。
「ユキさんですね。いくつですか」
「3歳です」
答えたお子さんは、お母さんの方をチラッと見ます。
すると、お母さんは、
「よくいえましたね」
といわんばかりに、やさしく微笑むのです。
不安そうだったお子さんも、これで安心して、落ち着きます。
ただ、これだけのことですが、お子さんにとっては、心強いサインなのです。
なぜでしょうか。
それは、いつもと変わらないママが、そこにいるからです。
 
後日談になりますが、
「面接中に、やさしく微笑むことなどできないでしょうね」
とおっしゃっていたお母さんが、
「先生、できました!」
と笑いながらいってくれたことがありました。
そのわけは、もう、おわかりだと思います。
ご両親が、力を出し合い、真剣に、取り組んだ結果です。
 
逆の場合を考えてみましょう。 
最初の質問に答えた時、お母さんを見ると、目をつむって、うつむいていたと
します。
「あれっ、ママどうしたの?」
とならないでしょうか……、なりますね。
不安になるのも当然で、いつもと違ったママが、そこにいるからです。
 
面接を受けたお母さん方は、一種異様な雰囲気だとおっしゃっています。
確かにそうでしょう。
でも、それは、当たり前ではないでしょうか。
初めて会った人と、限られた時間内に、緊張を強いられながら応答して、その
結果が、お子さんの幼稚園を決めるのですから、「緊張するな!」という方が
無理な注文でしょう。
 
しかし、面接会場に入って、お子さんの存在を忘れてしまうようでは情けない
ではありませんか。
受験資格はないと思ってください。
お子さんは、もっと緊張していることを考えてほしいのです。
もしかしたら、やっとの思いで座り、一刻でも早く、この部屋から出たがって
いるかもしれません。
保護者としての自覚が足りないと思います。
保護者とは、弱い者を、かばい、守り、助ける義務のある人のことです。
「ママの選んだことでしょう。しっかりしてくださいな!」
お子さんの叫び声が、聞こえませんか。
聞こえないようでは、受験をすべきではないと思います。
お子さんのためです。
 
ご両親が、本気になって受験に取り組んでいなかった結果といえます。
もしも、お父さんが、
「面接なんて!」
と軽い気持ちで考えていると、不安材料を抱えたまま、面接に臨むことになり
ます。
模擬面接を受けて、きちんと体験し、お母さんやお子さんは、どのような対応
をするか、知っておくべきです。
ぜひ、お受けになって下さい。
お母さんが熱心であれば、それだけプレッシャーがかかっているわけですから、
その負担を分かち合うべきです。
 
また、お子さんの質問が終わると、お父さんへの質問に移りますが、この時も、
忘れてならないことがあります。
お子さんへの質問が終わり、無事済んで、ほっとし、また、下を向いてしまう
お母さんがいます。
お子さんを視野に入れて、面接をする先生方を見ているべきです。
そして、お父さんが、どのように答えているか、しっかりと聞いてほしいので
す。
質問の内容によっては、
「今のご主人のお答えに付け加えることはありませんか」
「ご主人のお話しされたことについて、どう思われますか」
などと尋ねられる場合もあるかもしれません。
そのような時に、「えっ!」と驚くようでは、答えられないでしょう。
どのように展開するかわからないのが、親の面接です。
 
お子さんを視野の中に入れ、お父さんの応答をしっかりと聞きましょう。
そういった気配りから余裕が生れ、先生方の質問にもきちんと対応できるので
す。
 
うっとうしい毎日ですが、お母さんの笑顔は、そんな気分を吹き飛ばしてくれ
ます。
頑張りましょう。
 
(次回は、面接ケース・スタディー編(6)をお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー4

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
             第33号
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面接ケース・スタディー編(4)
「ママにやってほしいな!」
 
あいさつが済めば、着席します。
ここでも、注意すべきことがあります。
お子さんが、椅子にうまく座れないときがあるからです。
さて、お母さんなら、どうしますか。
 
最近、お父さんが、さっと手を出して座らせるケースが多いそうです。
お母さんのお腹が大きいとか、雨の日で手荷物が多いなど、事情がはっきりし
ている場合は、止むを得ないでしょう。
主人の役割とばかりに、当然といった顔で見ているお母さんもいるようです。
レストランなどで食事するときに、普段から、こうなっているのでしょう。
面接は、レストランで食事をするのとは訳が違います。
面接は、幼稚園側と公式に話し合う、唯一の機会です。
わが子のために全力を出し切りたいものです。
しかし、緊張すると、普段、何気なくやっていることが、そのまま現われやす
いといわれています。
 
名門といわれる幼稚園の面接官は、年配者が多く、古い道徳観が残っている可
能性も高いでしょう。
ですから、母親主導型は歓迎されないから止めなさい、とはいいません。
謙虚なお母さんになりきりなさいともいいません。
 
気にかかるのは、お母さんに余裕のないことです。
これが、お子さんに悪い影響を与えがちであることを、しっかりと心に刻んで
おきましょう。
 
お父さん方は、外で仕事をしていますから、初対面の方と話す機会も多いもの
です。
いやな人と笑顔で接しなくてはならないときもあります。
さまざまな体験をされていることでしょう。
したがって、応対もそれなりに心得ています。
緊張される方もいるそうですが、立ち直る術を身につけているのがお父さん方
です。
緊張の中にも、普段のお父さんの姿が現れます。
 
しかし、お母さん方の中には、初めてのこととなると、本当に緊張してしまい、
まるでパニックに陥ったようになる方もいらっしゃるようです。
「頭の中が真っ白になって、何が何やらさっぱりわからない状態になりました!」
こういうお母さんの告白もあるのですから、信じられます。
あがってしまうのです。
そして、驚かすようですが、なかなか立ち直れないようです。
しかも、特効薬は、ありません。
 
しかし、立ち直れる心の余裕を持つヒントはあります。
それは、面接に臨むお母さん方は、全員、緊張していることです。
あがってしまうのは、お母さん、あなただけではありません。
まず、このことを心の中にキッチリとしまっておくべきです。
 
そして、お子さんが座るまで見ていること、これが最も大切です。 
うまく座れなければ、面接官に一礼し、そして手をかす余裕を持ってほしいの
です。
それから、着席しましょう。
この気配りから、余裕が生れます。
そういうときのお母さんは、普段のやさしいお母さんになっているはずです。
それを見て、ホッとしているのは、「お子さん自身」です。
お母さんは、保護者の役目をきちんと果たしています。
先生方にどういった印象を与えるでしょうか。
 
「暗記してきた志望理由を忘れないかしら!」
などと思っていると、お子さんに気を配れない駄目な母親になります。
これを、「お子様不在の受験」といいます。
お子さんのことを少しも考えていないからです。
お父さんに任せっぱなしのお母さん、保護者、いや、母親としても失格だとは
思いませんか。
それにです、志望理由など面接で答える内容は、記憶にだけ頼るものではあり
ません。
それだから、忘れるといけないと余計な神経が働き、不安が生まれ、さらに緊
張することになるのです。
「なぜ、この幼稚園か」を徹底的に話し合い、いかなる質問にも対処できるよ
うに準備しましょう。
 
大変、僭越なことですが、白百合学園幼稚園の説明会で、モンテッソーリの教
育について、あれほど熱心にお母さん方に話をするのは、もしかしたら、お母
さん方が、モンテッソーリ教育を知らないからではないかとさえ思ってしまい
ます。
以前にも紹介しましたが、園長先生も紹介されていた「ママ、ひとりでするの
を手伝ってね」(相良 敦子著 講談社 刊)は、白百合だけではなく、幼稚
園受験をされる方の必読の書だと思います。
大胆に言い切ってしまえば、モンテッソーリ教育の神髄は、「待ってあげる育
児」だと思います。
過干渉、過保護な育児に陥りやすいお母さん方には、ぜひ、読んでほしいと思
います。
 
ここ数年、白百合学園幼稚園の説明会は、母子手帳持参の方に限り、「母にな
った喜び」や「生命の誕生」についての説明があるようです。
出席されたあるお母さんは、「園長先生は、受験のために作られた育児をして
はいけない。誕生前から、母子のつながり、信頼感を大切にし、全てのこと一
つ一つに愛と情熱を持って育てることで、子どもは自然と光り輝いてくるとお
っしゃりたかったのではないでしょうか。自分が母親であること、そして、今、
親として何をすべきかを、考え直すきっかけとなりました」と話してくれまし
た。
余談になりますが、このお子さんは白百合学園幼稚園に、無事合格しました。
 
本題に戻り、「わたし、白百合に入りたいの!」といったように、幼稚園の受
験は、お子さんの意志で始めたわけではありません。
面接室へ連れてきたのは、ご両親です。
二人で、幼いお子さんをしっかりとガードして、面接に臨みましょう。
それには、受験される幼稚園について、きちんと勉強することです。
緊張から解放されるのは、やはり、「なぜ、この幼稚園を選んだのか」をきちん
といえるお母さんになることしかありません。
そこまで準備をされ、それでもあがってしまうのは、仕方がないことです。
 
最後に一言、これは、ある幼稚園の説明会で聞いた話です。
「お母さん方は、面接でうまく話せなかったらどうしようと心配されるようで
すが、震える声で、言葉が途切れがちであったお母さんのお子さんも、合格し
ていますよ」
緊張して、あがってしまったお母さんの何を評価したのでしょうか。
やはり、幼稚園のことをよく知っていた熱意が、伝わったのではないでしょう
か。
 
季節柄、天候も不順になりがちです。健康管理には十分に注意しましょう。
(次回は、面接ケース・スタディー編(5)をお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー3

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
              第32号
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面接 ケース・スタディー編 (3)
「頭を押さえつけないで、ママ!」
 
入室の時も、ご家庭の雰囲気が伝わってきます。
さわやかな印象を与えるのは、ご両親の自信にあふれた、余裕のある態度です。
お子さんの教育に最もふさわしい幼稚園を選んだ確信があるからですね。
 
お父さんを先頭にお子さん、お母さんの順で入室します。これが普通でしょう。
そして、椅子に腰かける前にあいさつをします。
ところが、ここで問題が起きるようです。
お子さんが、あいさつをしない場合があります。
さて、お母さんなら、どうしますか。
 
あわてて、お子さんに、
「ごあいさつは!」
というだけではなく、頭を押さえつけて、無理やり、あいさつをさせるお母さ
んがいるそうです。
「あら、あいさつできなかったのね。緊張しているのだわ!」 
面接官に、自分の責任だといわんばかりに、頭を下げるお母さんもいるそうで
す。
どちらのタイプでしょうか、お母さんは……。
 
幼稚園の先生方も、お子さんが、あいさつをしなかったからマイナス5点、な
どと評価するのは考えにくいことです。
受験生は、幼児です。
初対面の先生方と大人のようなあいさつをする方が、かえって、不自然ではな
いでしょうか。
そのときの、お母さんの態度が問題になると思います。
 
思わず、頭を押さえつけてまで、あいさつをさせようとするのは、こういった
場面で、あいさつのできない子は、母親のしつけが悪い、母親の責任とでも考
えるのでしょうか。
「普段、私は、ちゃんとあいさつをするように教えています。出来なかったの
は、子どものせいで、私の責任ではありません!」
などと弁解しているのと同じではないでしょか。
あいさつが出来なかったという、表面上のことだけにこだわっています。
どうして、あいさつが出来なかったかを、少しも考えずに、言い訳をしていま
す。
そこが、保護者として許されないのです。
そうではないでしょうか。
 
頭を下げられたお母さんからは、
「私のしつけがいたりませんでした。子どもの責任ではありません」
とお子さんをかばう姿勢が見られます。
雰囲気にのまれて、コチコチになっているわが子を、冷静に見ています。
このことです。
言い訳をしていません。
 
こういう謙虚なお母さんに育てられていれば、どのようなお子さんか想像でき
ます。
先生方は、そこを見ているのではないでしょうか。
 
以前にもお話しましたが、あいさつや言葉遣いは、毎日の生活の積み重ねから、
自然と身につくものです。
この「自然」という言葉が曲者で、何もしなくて身につくはずはありません。
よく、「そのうちに出来るようになるから、うるさく出来るように言う必要は
ない」などとおっしゃる方がいますが、考え直された方がいいでしょう。
何といっても、ご両親の率先垂範です。
このよいお手本があって、初めて自然に身につくものです。
核家族化や少子化の進む環境では、おそらく、よその人とあいさつする機会も
少ないのではないでしょうか。
それならば、機会を作ってあげるべきです。
 
これも、合格されたお母さんから聞いた話です。
「スーパーやコンビニなどで会計をするときに、必ず、こちらからあいさつす
るようにしました。特に、年配の方を選びました。あいさつすると必ず、応え
てくれますし、娘にも『こんにちは、お嬢さん』と言葉をかけてくれたからで
す。何回か続くと、いつの間にか習慣になり、図書館などでも、必ず、自分か
らあいさつをするようになりました。身についた秘訣とは大げさですが、もう
一つあるのです。それは、あいさつすると、『お嬢ちゃん、えらいですね』と
ほめてもらえたからです」
ほめられて、いやな気持ちになるはずはありません。
話はここで終わらずに続きがあるのです。
「パパ、ユキはね、今日、図書館できちんとごあいさつできたのよ、えらいで
しょう!」
「それはすごい。ユキは、やはり女の子だな」
大好きなパパにほめられて、うれしそうな顔が、目に浮かびませんか。
ご両親の作戦勝ちです。
 
「あいさつぐらい出来ますよ」
とおっしゃるお母さんが多いのですが、あいさつのできる相手は、普段から顔
見知りの人達ではないでしょうか。
問題は、初対面の人と挨拶できるかどうかです。
幼児は、初めてのことは苦手で、緊張しがちです。
今、紹介したお母さんのように、工夫することが大切だと思います。
また、「ごあいさつは!」と催促ばかりしていると、パブロフの条件反射では
ありませんが、言われなければ出来ない子になりかねません。
古い話になりますが、太平洋戦争時、海軍大将であった山本五十六は、こう言
っています。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」
文言は正確ではないかもしれませんが、大人でも、こうなのです。
 
やはり、ご両親の率先垂範しかないでしょう。
2歳から3歳にかけては、模倣の時期といわれています。
よいお手本をたくさん見せ、出来たときにはほめることではないでしょうか。
  (次回は、面接ケース・スタディ編 4をお話しましょう)
 
 

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