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めぇでるコラム : 2017幼稚園受験: 2016年6月

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー 5

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2017さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第34
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面接ケース・スタディー編(5)
「あれっ! ママ、どうしちゃったの?」
 
着席すると、面接される先生方を見ることになります。
ここでも、二つのタイプが考えられます。
余裕を持ったお母さんと緊張しきったお母さんです。
 
お子さんを、さりげなく視野に入れているお母さんがいます。
正面を向いていても、少し工夫すれば、お子さんの様子を見ることができます。
これは、実に、感じのいいものです。
「守ってあげなくてはいけない」
と自覚したお母さんの姿があるからではないでしょうか。
「ユキさんですね。いくつですか」
「3歳です」
答えたお子さんは、お母さんの方をチラッと見ます。
すると、お母さんは、
「よくいえましたね」
といわんばかりに、やさしく微笑むのです。
不安そうだったお子さんも、これで安心して、落ち着きます。
ただ、これだけのことですが、お子さんにとっては、心強いサインなのです。
なぜでしょうか。
それは、いつもと変わらないママが、そこにいるからです。
 
後日談になりますが、
「面接中に、やさしく微笑むことなどできないでしょうね」
とおっしゃっていたお母さんが、
「先生、できました!」
と笑いながらいってくれたことがありました。
そのわけは、もう、おわかりだと思います。
ご両親が、力を出し合い、真剣に、取り組んだ結果です。
 
逆の場合を考えてみましょう。 
最初の質問に答えた時、お母さんを見ると、目をつむって、うつむいていたと
します。
「あれっ、ママどうしたの?」
とならないでしょうか……、なりますね。
不安になるのも当然で、いつもと違ったママが、そこにいるからです。
 
面接を受けたお母さん方は、一種異様な雰囲気だとおっしゃっています。
確かにそうでしょう。
でも、それは、当たり前ではないでしょうか。
初めて会った人と、限られた時間内に、緊張を強いられながら応答して、その
結果が、お子さんの幼稚園を決めるのですから、「緊張するな!」という方が
無理な注文でしょう。
 
しかし、面接会場に入って、お子さんの存在を忘れてしまうようでは情けない
ではありませんか。
受験資格はないと思ってください。
お子さんは、もっと緊張していることを考えてほしいのです。
もしかしたら、やっとの思いで座り、一刻でも早く、この部屋から出たがって
いるかもしれません。
保護者としての自覚が足りないと思います。
保護者とは、弱い者を、かばい、守り、助ける義務のある人のことです。
「ママの選んだことでしょう。しっかりしてくださいな!」
お子さんの叫び声が、聞こえませんか。
聞こえないようでは、受験をすべきではないと思います。
お子さんのためです。
 
ご両親が、本気になって受験に取り組んでいなかった結果といえます。
もしも、お父さんが、
「面接なんて!」
と軽い気持ちで考えていると、不安材料を抱えたまま、面接に臨むことになり
ます。
模擬面接を受けて、きちんと体験し、お母さんやお子さんは、どのような対応
をするか、知っておくべきです。
ぜひ、お受けになって下さい。
お母さんが熱心であれば、それだけプレッシャーがかかっているわけですから、
その負担を分かち合うべきです。
 
また、お子さんの質問が終わると、お父さんへの質問に移りますが、この時も、
忘れてならないことがあります。
お子さんへの質問が終わり、無事済んで、ほっとし、また、下を向いてしまう
お母さんがいます。
お子さんを視野に入れて、面接をする先生方を見ているべきです。
そして、お父さんが、どのように答えているか、しっかりと聞いてほしいので
す。
質問の内容によっては、
「今のご主人のお答えに付け加えることはありませんか」
「ご主人のお話しされたことについて、どう思われますか」
などと尋ねられる場合もあるかもしれません。
そのような時に、「えっ!」と驚くようでは、答えられないでしょう。
どのように展開するかわからないのが、親の面接です。
 
お子さんを視野の中に入れ、お父さんの応答をしっかりと聞きましょう。
そういった気配りから余裕が生れ、先生方の質問にもきちんと対応できるので
す。
 
うっとうしい毎日ですが、お母さんの笑顔は、そんな気分を吹き飛ばしてくれ
ます。
頑張りましょう。
  (次回は、面接ケース・スタディ6についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー 4

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2017さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第33
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面接ケース・スタディー編(4)
「ママにやってほしいな!」
 
あいさつが済めば、着席します。
ここでも、注意すべきことがあります。
お子さんが、椅子にうまく座れないときがあるからです。
さて、お母さんなら、どうしますか。
 
最近、お父さんが、さっと手を出して座らせるケースが多いそうです。
お母さんのお腹が大きいとか、雨の日で手荷物が多いなど、事情がはっきりし
ている場合は、止むを得ないでしょう。
主人の役割とばかりに、当然といった顔で見ているお母さんもいるようです。
レストランなどで食事するときに、普段から、こうなっているのでしょう。
面接は、レストランで食事をするのとは訳が違います。
面接は、幼稚園側と公式に話し合う、唯一の機会です。
わが子のために全力を出し切りたいものです。
しかし、緊張すると、普段、何気なくやっていることが、そのまま現われやす
いといわれています。
 
名門といわれる幼稚園の面接官は、年配者が多く、古い道徳観が残っている可
能性も高いでしょう。
ですから、母親主導型は歓迎されないから止めなさい、とはいいません。
謙虚なお母さんになりきりなさいともいいません。
 
気にかかるのは、お母さんに余裕のないことです。
これが、お子さんに悪い影響を与えがちであることを、しっかりと心に刻んで
おきましょう。
 
お父さん方は、外で仕事をしていますから、初対面の方と話す機会も多いもの
です。
いやな人と笑顔で接しなくてはならないときもあります。
さまざまな体験をされていることでしょう。
したがって、応対もそれなりに心得ています。
緊張される方もいるそうですが、立ち直る術を身につけているのがお父さん方
です。
緊張の中にも、普段のお父さんの姿が現れます。
 
しかし、お母さん方の中には、初めてのこととなると、本当に緊張してしまい、
まるでパニックに陥ったようになる方もいらっしゃるようです。
「頭の中が真っ白になって、何が何やらさっぱりわからない状態になりました!」
こういうお母さんの告白もあるのですから、信じられます。
あがってしまうのです。
そして、驚かすようですが、なかなか立ち直れないようです。
しかも、特効薬は、ありません。
 
しかし、立ち直れる心の余裕を持つヒントはあります。
それは、面接に臨むお母さん方は、全員、緊張していることです。
あがってしまうのは、お母さん、あなただけではありません。
まず、このことを心の中にキッチリとしまっておくべきです。
 
そして、お子さんが座るまで見ていること、これが最も大切です。 
うまく座れなければ、面接官に一礼し、そして手をかす余裕を持ってほしいの
です。
それから、着席しましょう。
この気配りから、余裕が生れます。
そういうときのお母さんは、普段のやさしいお母さんになっているはずです。
それを見て、ホッとしているのは、「お子さん自身」です。
お母さんは、保護者の役目をきちんと果たしています。
先生方にどういった印象を与えるでしょうか。
 
「暗記してきた志望理由を忘れないかしら!」
などと思っていると、お子さんに気を配れない駄目な母親になります。
これを、「お子様不在の受験」といいます。
お子さんのことを少しも考えていないからです。
お父さんに任せっぱなしのお母さん、保護者、いや、母親としても失格だとは
思いませんか。
それにです、志望理由など面接で答える内容は、記憶にだけ頼るものではあり
ません。
それだから、忘れるといけないと余計な神経が働き、不安が生まれ、さらに緊
張することになるのです。
「なぜ、この幼稚園か」を徹底的に話し合い、いかなる質問にも対処できるよ
うに準備しましょう。
 
大変、僭越なことですが、白百合学園幼稚園の説明会で、モンテッソーリの教
育について、あれほど熱心にお母さん方に話をするのは、もしかしたら、お母
さん方が、モンテッソーリ教育を知らないからではないかとさえ思ってしまい
ます。
以前にも紹介しましたが、園長先生も紹介されていた「ママ、ひとりでするの
を手伝ってね」(相良 敦子著 講談社 刊)は、白百合だけではなく、幼稚
園受験をされる方の必読の書だと思います。
大胆に言い切ってしまえば、モンテッソーリ教育の神髄は、「待ってあげる育
児」だと思います。
過干渉、過保護な育児に陥りやすいお母さん方には、ぜひ、読んでほしいと思
います。
 
ここ数年、白百合学園幼稚園の説明会は、母子手帳持参の方に限り、「母にな
った喜び」や「生命の誕生」についての説明があるようです。
出席されたあるお母さんは、「園長先生は、受験のために作られた育児をして
はいけない。誕生前から、母子のつながり、信頼感を大切にし、全てのこと一
つ一つに愛と情熱を持って育てることで、子どもは自然と光り輝いてくるとお
っしゃりたかったのではないでしょうか。自分が母親であること、そして、今、
親として何をすべきかを、考え直すきっかけとなりました」と話してくれまし
た。
余談になりますが、このお子さんは白百合学園幼稚園に、無事、合格しました。
 
本題に戻り、「わたし、白百合に入りたいの!」といったように、幼稚園の受
験は、お子さんの意志で始めたわけではありません。
面接室へ連れてきたのは、ご両親です。
二人で、幼いお子さんをしっかりとガードして、面接に臨みましょう。
それには、受験される幼稚園について、きちんと勉強することです。
緊張から解放されるのは、やはり、「なぜ、この幼稚園を選んだのか」をきちん
といえるお母さんになることしかありません。
そこまで準備をされ、それでもあがってしまうのは、仕方がないことです。
 
最後に一言、これは、ある幼稚園の説明会で聞いた話です。
「お母さん方は、面接でうまく話せなかったらどうしようと心配されるようで
すが、震える声で、言葉が途切れがちであったお母さんのお子さんも、合格し
ていますよ」
緊張して、あがってしまったお母さんの何を評価したのでしょうか。
やはり、幼稚園のことをよく知っていた熱意が、伝わったのではないでしょう
か。
 
季節柄、天候も不順になりがちです。健康管理には十分に注意しましょう。
(次回は、面接ケース・スタディー編(5)をお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー 3

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2017さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第32
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面接 ケース・スタディ編(3)
 「頭を押さえつけないで、ママ!」
 
★雙葉小学校附属幼稚園 園庭開放について★
・日時 6月21日(火)~6月30日(木)午後1時30分~2時まで(除土日)
・予約不要 入口で警備のものに見学する旨をお伝えください。 
・園庭のみの見学です。
・雨天の場合も実施。
・幼稚園説明会は行っておりません。ご了承ください。
                   (幼稚園ホームページより)
 
入室の時も、ご家庭の雰囲気が伝わってきます。
さわやかな印象を与えるのは、ご両親の自信にあふれた、余裕のある態度です。
お子さんの教育に最もふさわしい幼稚園を選んだ確信があるからですね。
 
お父さんを先頭にお子さん、お母さんの順で入室します。これが普通でしょう。
そして、椅子に腰かける前にあいさつをします。
ところが、ここで問題が起きるようです。
お子さんが、あいさつをしない場合があります。
さて、お母さんなら、どうしますか。
 
あわてて、お子さんに、
「ごあいさつは!」
というだけではなく、頭を押さえつけて、無理やり、あいさつをさせるお母さ
んがいるそうです。
「あら、あいさつできなかったのね。緊張しているのだわ!」 
面接官に、自分の責任だといわんばかりに、頭を下げるお母さんもいるそうで
す。
どちらのタイプでしょうか、お母さんは……。
 
幼稚園の先生方も、お子さんが、あいさつをしなかったからマイナス5点、な
どと評価するのは考えにくいことです。
受験生は、幼児です。
初対面の先生方と大人のようなあいさつをする方が、かえって、不自然ではな
いでしょうか。
そのときの、お母さんの態度が問題になると思います。
 
思わず、頭を押さえつけてまで、あいさつをさせようとするのは、こういった
場面で、あいさつのできない子は、母親のしつけが悪い、母親の責任とでも考
えるのでしょうか。
「普段、私は、ちゃんとあいさつをするように教えています。出来なかったの
は、子どものせいで、私の責任ではありません!」
などと弁解しているのと同じではないでしょか。
あいさつが出来なかったという、表面上のことだけにこだわっています。
どうして、あいさつが出来なかったかを、少しも考えずに、言い訳をしていま
す。
そこが、保護者として許されないのです。
そうではないでしょうか。
 
頭を下げられたお母さんからは、
「私のしつけがいたりませんでした。子どもの責任ではありません」
とお子さんをかばう姿勢が見られます。
雰囲気にのまれて、コチコチになっているわが子を、冷静に見ています。
このことです。
言い訳をしていません。
 
こういう謙虚なお母さんに育てられていれば、どのようなお子さんか想像でき
ます。
先生方は、そこを見ているのではないでしょうか。
 
以前にもお話しましたが、あいさつや言葉遣いは、毎日の生活の積み重ねから、
自然と身につくものです。
この「自然」という言葉が曲者で、何もしなくて身につくはずはありません。
よく、「そのうちに出来るようになるから、うるさく言う必要はない」などと
おっしゃる方がいますが、考え直された方がいいでしょう。
何といっても、ご両親の率先垂範です。
このよいお手本があって、初めて自然に身につくものです。
核家族化や少子化の進む環境では、おそらく、よその人とあいさつする機会も
少ないのではないでしょうか。
それならば、機会を作ってあげるべきです。
 
これも、合格されたお母さんから聞いた話です。
「スーパーやコンビニなどで会計をするときに、必ず、こちらからあいさつす
るようにしました。特に、年配の方を選びました。あいさつすると必ず、応え
てくれますし、娘にも『こんにちは、お嬢さん』と言葉をかけてくれたからで
す。何回か続くと、いつの間にか習慣になり、図書館などでも、必ず、自分か
らあいさつをするようになりました。身についた秘訣とは大げさですが、もう
一つあるのです。それは、あいさつすると、『お嬢ちゃん、えらいですね』と
ほめてもらえたからです」
ほめられて、いやな気持ちになるはずはありません。
話はここで終わらずに続きがあるのです。
「パパ、ユキはね、今日、図書館できちんとごあいさつできたのよ、えらいで
しょう!」
「それはすごい。ユキは、やはり女の子だな」
大好きなパパにほめられて、うれしそうな顔が、目に浮かびませんか。
ご両親の作戦勝ちです。
 
「あいさつぐらい出来ますよ」
とおっしゃるお母さんが多いのですが、あいさつのできる相手は、普段から顔
見知りの人達ではないでしょうか。
問題は、初対面の人と挨拶できるかどうかです。
幼児は、初めてのことは苦手で、緊張しがちです。
今、紹介したお母さんのように、工夫することが大切だと思います。
また、「ごあいさつは!」と催促ばかりしていると、パブロフの条件反射では
ありませんが、言われなければ出来ない子になりかねません。
古い話になりますが、太平洋戦争時、海軍大将であった山本五十六は、こう言
っています。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」
文言は正確ではないかもしれませんが、大人でも、こうなのです。
 
やはり、ご両親の率先垂範しかないでしょう。
2歳から3歳にかけては、模倣の時期といわれています。
大切なのは、よいお手本をたくさん見せ、出来たときにはほめることではない
でしょうか。
 
やっと梅雨らしくなりましたが、あじさいには雨、映りがいいですね。関東地
方の水がめ、この程度ではと思いますが、何だかほっとします。自然への感謝
の気持ち、忘れないようにしたいものです。
(次回は、面接ケース・スタディ編 4をお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー 2

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2017さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第31
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面接 ケース・スタディー編 (2)
 「あれっ、あの人………?」
 
何が起こるかわからないのが、幼児の世界です。
今まで静かに待っていたユミちゃんは、係りの先生が呼びに来たので、立ち上
がりました。
面接室の前まで来たのですが、中をのぞいたところで、急に、お母さんの後ろ
に隠れてしまったのです。
何が起きたのでしょうか。
 
「幼稚園の先生とお話しをするだけだから、こっちへ出てきなさい!」
お母さんが、振り返るなり、ユミちゃんの手を強く引っ張ったのです。 
いやいやをしながら、今にも泣き出さんばかりです。
困ったことに、面接をする先生方からは、よく見える位置でした。
 
「パパと手をつないでいこうね!」
この一言で、先生方の前まで進みましたが、心は不安で、いっぱいです。
見かねた先生が、
「今日は、ユミちゃんですね!」
と声をかけてくれたのですが、返事をしたユミちゃんの声は、当然のごとく、
小さく、かぼそかったのです。
それこそ消え入るような声でいえたのがやっとでした。
「大きな声で答えなければ、先生方に聞こえないでしょう!」
きつい追い打ちです、何を考えているのでしょうか。
 
このような事態になったのは、実は、ユミちゃんがシスターを見るのは、初め
てだったからです。
それで、びっくりしてしまったのでした。
よく聞く話です。
気配りが足りません、あまりにも不用意ではないでしょうか。
 
入園説明会などは、
「小さなお子さんをお連れにならないでください」
といっていますし、普段、園内には入れません。
しかし、いくらでも方法はあります。
外からの見学は自由ですから、降園時などに行ってみましょう。
 
「一人っ子で、私が余りにも手をかけ過ぎたせいでしょう、初めての人と会った
り、初めてのところへ行くと、すっごく、用心深くなるんです。主人も『見せて
おいたほうがいいよ』と心配し、それで、受験する幼稚園の周りを何回も散歩と
かにぃ、出かけました。
ある時、シスターが出てこられたのです。
娘は、予想通り、私の後ろに隠れ、スカートを力いっぱい握りしめているんです。
私は、『こんなチャンスはないわ!』と自分にいい聞かせ、意を決し、
『今日は!』
と、あいさつしました。
すると、シスターもあいさつしてくださったばかりか、娘に向かって、
『今日は、お嬢さん!』
と言葉をかけてくれたのです。
小さな声でしたが、娘もあいさつでき、力が入っていたスカートを握る手もゆる
み、
『ママ、だあれ?』
と聞かれ、私の説明に納得し、うなずいていました。
面接が終わったあとで、
『ママ、この間の、おばちゃまですよね?』
といった程度の認識なんですが、やはり、見せておいてといっては失礼ですが、
よかったと思います」
 
この気配りです。
シスターには悪いのですが、見たことのない子には、奇妙な感じを与えないでし
ょうか。
怒られそうですが、映画で見るようなシスターとは違いますし、普段、見慣れて
いないはずだからです。
当日が本番では、ユミちゃんのようになりかねません。
しかし、お母さん、「すっごく」や「散歩とかにぃ………」は、もう卒業しまし
ょう、お子さんのためですよ。
 
また、幼児の初体験は、大人の想像を遥かに越えた大変なものです。
たとえば、園舎です。
校舎に比べれば小さい建物ですが、それでも幼児にとっては、相当、大きく見え
ます。
それだけで、萎縮してしまうのが子どもです。
見慣れておくことも大切ではないでしょうか。
できれば試験前に、お父さんにはひげをそってもらい、当日、着ていくだろうス
ーツを着、3人で出かけておきましょう。
初めての場所は、大人でも緊張しがちだからです。
 
まだ、あります。
入試当日は、大勢の親子が集まります。
お子さんは、そんな体験をしていないはずです。
「どうなっているのだろう?」
ほとんどの子は、驚いています。
「ママ、帰る!」
こういう子もいるそうです。
びっくりして、感情の揺れ動く気持ちを、しっかりと理解しておきましょう。
 
ましてや、動揺しているわが子に、
「聞こえないでしょう!」
と追い打ちをかけるようでは、母親、いや、保護者としていかがなものでしょうか。
私は、その資格なしだと思います。
見ているシスターの心も、おそらく怒りでふるえていたはずです。
こういう無神経な母親には、試験を受けてもらいたくないでしょうね。
合格するはずはありません。
 
幼い子どもの、微妙な心のざわめきを察知できないようでは、保護者とはいえませ
ん。
幼稚園の受験の難しいことを、しっかりと心に刻んでいただきたいと思います。
 
「関東地方も梅雨入りしたとみられます」と何やら頼りない宣言ですが、昨年より
2日遅く、平年より3日早いそうです。北海道で雪が降ったり、関東地方も冷え込
み、日光では霜が降りました。気温の差が激しくなりがちな季節です。お子さんの
健康管理には、充分に気をつけてあげましょう。
(次回は、面接ケース・スタディー編 3についてお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー 1

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2017さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第30
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面接ケース・スタディー 1
「ジッとしてなさいといったって……!」
 
これから紹介します話は、幼稚園を受験された方々から伺った、面接に関する
エピソードをもとに構成したものです。例年、7月頃から配信していましたが、
「もう少し、早く知りたかった」とお母さん方からリクエストがありましたの
で、今年は早々と掲載することにしました。大勢の方の話を10件のケース・
スタディーにまとめてありますが、皆さんに共通していたのは、保護者として、
どのようなバックアップをしてあげればよいかを、真剣に考えていたことでし
た。
 
また、合格された方が意外にも、
「今だからいえますが、こんな幼い子に受験させていいものかと不安のあまり、
何度も受験をあきらめようと考えました。そのたびに、『私どもの教室では、
背伸びをさせる無理な受験準備は一切しません。ご両親の考えが一つになれば、
期待通りの結果が出ますから頑張りましょう』と励まされました。大切なのは、
両親は迷わずに、幼児教室の先生方の指導にお任せすることですね」
と笑いながら話してくれました。
まさに、2、3歳児の受験の難しさを表す言葉ではないでしょうか。繰り返し
申し上げますが、ポイントを握っているのは、ご両親なのです。
 
それでは、ご両親の育児の姿勢や受験に対する考えが、どのように表れてくる
かを、面接のいろいろな場面を通して紹介しましょう。
 
面接が始まるまで、控室で待ちます。
ここで毎年、いろいろな光景が繰り広げられているようです。多くの場合、お
子さんはもちろんのことですが、両親にとっても、おそらく、生まれて初めて
入った場所でしょうから、緊張するのは当然です。しかし、ご両親は、自身で
選んだ道ですから、自力で解決できないようでは困ります。お子さんは、もっ
と、もっと緊張しています。子どもは、緊張しなくても、じっとしているのは
苦手です。控室で、座っていられなく、立ち上がったとしたら、どうしますか。
 
「ジッとしてなさい!」
この一言で、いろいろなことがわかります。
お子さんのことを少しも考えていない不用意な言葉です。
お子さんの緊張した状態を考えれば、こういった言葉を口にはできないはずで
す。
困ったことにお母さんの顔は、恐い表情に変わってきています。
顔だけではなく、言葉も、声も怒っていると、お子さんは感じないはずはあり
ません。
これでは、ますます緊張するだけで、中には泣き出すお子さんさえいるそうで
す。そのような親子を見た幼稚園の先生方は、どう思われるでしょうか。
 
一歩でも家から外へ出れば、その時から、守らなければならないルールがあり、
マナーがあります。ルールやマナーは、その場で取り繕って、教えるものでは
ありませんし、ましてや、このお母さんのように言葉できつく叱責しても、お
子さんは静かに待つようになるものでもありません。
 
普段、図書館など公共の施設を利用した時や、電車やバスに乗った時など、ど
んなことに注意しているでしょうか。
静かに待つ工夫をしているのではありませんか。
大勢人が集まるところでのマナーは、小さい時から、年齢相応に教えているは
ずです。
 
静かに待つために、お子さんの好きな絵本を用意したり、混んだ電車では、お
子さんをひざに乗せたり、外を見る時は靴を脱がせるなどしていると思います。
こういったことは、受験のためにやってきたことではないはずです。一人の人
間として生きるために守らなければならないルールを教えてきたのではないで
しょうか。この積み重ねが、幼い子どもなりのマナーとなって身につくのです。
 
マナーは、肝心な時に表れます。
手抜きをしていると、抜いている分だけ、正直に、子どもは表現します。
そこで慌てても、手遅れです。
子どもの責任ではありません。
きつい言葉で注意を促されても、子どもは混乱するだけです。
 
このように、緊張を強いられるような場面で、お子さんが何よりも頼りにして
いるのは、お母さんのほほ笑みです。
お母さんは「保護者」です。
保護者は、弱いものを守る義務があります。
この控室へ連れてきたのは、ご両親ではありませんか。
上がってしまうようでは、お子さんに申し訳ないと考えましょう。
お子さんの小さな心臓は、ドキンドキンと激しく波打っているはずです。
その鼓動を聞いてあげられる余裕を持ちましょう。
上がっている暇などありません。
普段と変わらないお母さんが、そこにいれば、お子さんも安心して、いつもと
変わらないはずです。
 
お子さんが興味を持っている絵本など用意して、緊張をほぐしてあげましょう。
ただし、お子さんがいくら興味を持っているからといって、怪獣のおもちゃや
ぬいぐるみを持っていくのは、面接や試験を受ける控室には、ふさわしくあり
ません。幼児教室へ通う時に、おもちゃなどを持っていく習慣がついていると、
試験当日だけ「駄目!」は、お子さんに通じないと心得ておきたいものです。
 
また、教室の控室などで、入室する前に、ジュースやお菓子を食べさせること
もあるようですが、幼児の場合は、こういった習慣がつくと、肝心な時に、お
菓子がないといってぐずる場合もあるようです。
こういった生活習慣のけじめも、きちんとつけておきたいものです。
 
お母さんと絵本を見ながら、静かに待っているお子さん。
ゆったりと構えて順番を待つお父さん。
育児にご自身の哲学を持ってほしいとは、こういうことなのです。
このような親子を、幼稚園が歓迎しないわけがありません。
 
育児に「付け焼刃はきかない」ことを肝に銘じておきましょう。
 (次回は、面接ケース・スタディー編2をお話しましょう)

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