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めぇでるコラム : 2017小学校受験: 2016年3月

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>入試問題を分析する   推理・思考に関する問題(3)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第39号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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(4) 推理・思考に関する問題(3) 
 
◆入試情報◆
◎神奈川私立小学校フォーラム
日時 5月8日(祝)10:00~15:00
場所 新横浜プリンスホテル5F
横浜雙葉小学校他29校参加 幼児広場開催予定。
詳しくは「神奈川私立小学校フォーラム」のホームページをご覧ください。
 
◎横浜雙葉小学校 
学校説明会 4月23日(土)午前中 (申し込み不要)
学校見学会 5月12日(木)午前中 (要 事前の申し込み)
オープンスクール 6月25日(土)午前中 (要 事前の申し込み)
詳細は、4月1日以降、本校ホームページに掲載。
 
[科学性の問題]
(風の吹く向き、影や水に映っている絵を見て)
◆ 下の絵で、おかしなところに×をつけなさい。
 
問題集に取り組む前に、以下の実験をしておくと、好奇心の触角となる「ナゼ、
ナゼ、ドウシテ?」の探査用アンテナを張りはじめます。
風の吹く様子は、ぶら下げたひもにドライヤーで風をあててみましょう。
影は、お日さまの出番ですが、懐中電灯でもわかりやすいでしょう。
水に映る様子は、前回の実験で使った画用紙を縦にして半分に折り、上の部分
に矢印↑や▲を描いてみましょう。そして、色を塗り、重ねて、よくこすりま
す。どのように写るかががわかれば、直ぐに理解できるでしょう。
 
磁石にくっつくもの、水に浮くもの、沈むもの、これも同じです。磁石を持た
せて、十分も遊んでみると、わかります。おもちゃ箱には、いろいろなものが
入っていますし、部屋の中にも、実験用の教材は豊富です。しかし、うっかり
コンセントに近づけると危険ですから、よく説明しておき、絶対に一人ではや
ってはいけないと約束し、実験中も監視の目をゆるめないことです。 
缶はアルミ製とスチール製を用意しましょう。「エッ!」となるはずです。 
砂の中に磁石を入れると面白いのですが、最近の砂場は衛生上、問題がありま
すから勧められません。砂場で砂鉄を採集し、紙の上にのせ、下から磁石をあ
ててみましょう。これは、子どもにとっては、驚きの現象となるはずです。
少し難しいかもしれませんが、どうすれば折り紙を磁石で持ち上げることがで
きるか、挑戦してみましょう。ヒントは、クリップなど磁石にくっつくものを
利用することです。
 
コップや空き缶は、どんなときに浮き、沈むのでしょう。  
ジュースの入ったビンは、浮くでしょうか。
水をいっぱい入れたビンと、少し空気を入れたビンでは、どうなるでしょうか。
1円玉、10円玉は、どうですか。
紙は、条件で変わります。
輪ゴムも面白いですね。
さつま芋は浮くでしょうか。
すいかも面白いのですが、今は、丸ごと買いませんから、ピンチヒッター、メ
ロンでどうでしょう。
 
ところで、昔、大関に小錦という大きなお相撲さんがいましたが、プールで泳
いでいるのをtれビデ見て、「どうして、あんなに大きなお相撲さんが、水に
浮くのですか?」と真剣な顔をして質問した子がいました。皆さんは、どのよ
うに説明しますか。
 
その他に、植物の成長の段階や昆虫の生育状態を、絵を並べて答える問題もあ
ります。
朝顔やひまわり、チューリップなど家で栽培できるものを、お子さんと一緒に
育てながら、観察絵日記をつけるのも、効果がありますね。
おたまじゃくし、めだか、やごなどは、川にはいくらでもいましたが、今は、
その気になって出かけて探しても、いません。
♪春の小川は さらさらいくよ♪
などという風景は、どこにあるのでしょうか。
本物に勝るものはありませんからお勧めできませんが、図鑑などで説明するし
かないでしょう。
「手に入らない、見ることができない」といっても、興味や関心の芽は育てて
おきたいものです。
 
文部省唱歌「春の小川」の情景は、どこにあったかご存知でしょうか。
渋谷を流れていた河骨川だそうで、今はコンクリートで固められた汚れた川、
宇田川と呼ばれ、東急東横線の渋谷駅前の歩道橋から見ることもできますが、
あまり見栄えのよい景色ではありませんから、お勧めできません。歌碑は、小
田急線の代々木八幡駅付近の線路沿いに建てられています。
ところで、平成25年3月から東急東横線の渋谷駅は地下にもぐって副都心線
と乗り入れになり、川越から元町・中華街まで乗り換えなしに行けるようにな
り、横浜雙葉小学校の説明会に出かけましたが、地下鉄を利用するたびに思う
ことは、すべて電気が頼りですから、電気が止まると、後期高齢者は、あの階
段を上り下りできませんね。停電の場合、どうなるのでしょうか。蛇足ながら、
目下、渋谷駅周辺は、再開発事業が進行中、46階建ての高層ビルが建つそう
で、街の様子が変わってきました。
 
[鏡映像]
これも勘違いしやすい問題ですね。
「左と右が、反対に映るんですよ!」
理論上は、そうですが、子どもには難しい問題です。
「お母さん、どうして左と右が反対になっているのに、上と下は変わらないの?」
こうなると、収拾がつきません。
鏡の前で、いろいろなポーズをとって、遊んでみましょう。右手を上げると鏡
の中の自分は、左手を上げていることに気づかせます
 
わかってきたら、子どもと向き合って、「鏡ゲーム」で遊びましょう。お母さ
んが鏡になり、子どもが右手をあげたら、どちらの手を上げますか。左手です
ね。お母さんのいうとおり、左右が反対に映っているのですが、理論的なこと
は、どういうふうに映るかが、よくわかってからにしましょう。
 
ところで、実際に出題されたかどうかわかりませんが、問題集にこのようなも
のがありました。
 
(子どもが、鏡の前で右手を上げている)
◆どのように映っているか4枚の絵から選びなさい。
 
鏡は手前にあり、どのように映っているかわからない仕掛けになっています。
子どもの絵を180度回転させなければわかりませんが、「鏡ゲーム」でやっ
てみると、右手に歯ブラシを持っている子は、鏡の中では左手に持っているこ
とがわかります。
 
ところで、鏡は不思議です。
左右が逆になるのに、なぜ、上下は、そのまま映るのでしょうか。      
「そんなこともわからないの。壁に掛かっているからだよ。足元に置いたら、
先生の姿は、逆さまになっているでしょ!」
こういって、鏡を私の足元に置いた子がいましたが、お父さんがお母さんの使
っている等身大の姿身を床に置いて見せてくれたそうです。
幾何学的にいえば、逆転しているように見えるのは、左右ではなく前後(奥行
き)だそうですが、理屈抜きです。このお父さんのように、実際にどう映って
いるかを見せることが大切で、幼児の学習は、これに限ります。難しい原理や
定理は、大きくなって学力がつき、疑問に思ったその時に、自分で調べること
ができるからです。
 
[四方図形]
最後は、四方図形です。
真ん中に、旗を持ったくまの縫いぐるみの人形があり、それを前後左右から見
ると、どう見えるかを答える問題です。
 
これも実験です。
大きめのコーヒーカップをテーブルの上に置いて、前、右、後、左と、回り方
はどちらからでもいいのですが、スケッチブックに描いてみると、すぐにわか
ります。
前から見るのと後ろから見るのとでは、逆になります。
右側から見えた持つところは、左側からは見えません。
これがわかれば理解できます。
 
しかし、積み木の四方図形は難しいですね。
二等辺三角形を上から見ても、横から見ても長方形に見えるのですが、これが
なかなか理解できないようです。傾斜を平面としてとらえるのは難しいですね。
底辺が四角の場合は四角に、長四角の場合は長四角に見えることを、よく確か
めておきましょう。
円柱もそうですね。
上から見ると○ですが、横から見た場合は、長さにより違いますが、四角や長
四角にも見えます。
扇形も、見る位置を変え、上から見ると長四角に見えます。
積み木をいろいろな角度から見て、スケッチブックに描いてみましょう。傾斜
が平らに見えるのは、描いてみると「なるほど!」と理解できます。
 
もう一押ししておきましょう。
対称図形でやった矢印です。
これを切り抜いて、お母さんが持って、子どもの前に立ち、
「お母さんから見たら、この矢印、どっちに向いていますか?」 
「(ぼくから見ると左向きだから、お母さんから見ると逆だな。)
お母さん、右向きでしょ!」
「ピン、ポン!」
しっかりと理解している証拠です。
 
しかし、こんなにややこしい四方図形などを、どうして出題するのでしょう。
毎年、出題している小学校があります。「これは思うに」などと気取ることでも
ありませんが、物は、見る方向によって、いろいろな形に見えますから、ある方
向からだけ見るのではなく、いろいろな方向から見ることが大切なのだといって
いるのではないでしょうか。 
子どもも、同じです。
子どもの能力をある方向から、たとえば、知的な能力だけで判断してはいけない
ということですね。子どもの持つ様々な能力を、きちんと見極めてあげるのが、
親の大切な仕事ではないでしょうか。
ところで、出題頻度の高い小学校は、愛子さまの通っていた学習院初等科で、掲
げる教育目標は、「視野の拡大と個性の尊重」ですが、学校にお伺いしなければ
わかりませんが、考え過ぎでしょうね(笑)。
 
いかがでしたか。
推理思考の問題は、やってみると、子どもの日常生活と、深くかかわりを持って
いることがわかります。幼児の試験ですから、判じ物のような試験をするわけは
ありません。問題集だけで知識を教え込むのではなく、子どもの周りには、たく
さんの教材がありますから、これを利用することが大切です。好奇心をそそるよ
うに仕向けていくのが、賢明な方法であり、問題意識を持たせることです。
「なぜ、どうして?」という疑問の芽を育ててあげましょう。そういった疑問を、
小学校に入ってから系統立てて勉強していくわけです。
 
問題集を広げ、鉢巻きを絞めて、机の上でガンガン、ビシビシと教え込むだけが
受験準備ではありません。前にもお話しましたが、記憶力は学習効果を高める大
切な能力の一つですが、記憶力だけに頼るのは、やはり、拙いのではないでしょ
うか。本物の力は、体験を伴った学習から培われるものです。疑問の芽を育てる
環境から、子どもの意欲は培われることを肝に銘じておきたいものです。この意
欲こそ、あすの学習につながるからです。
 
思い出してください。子どもが「わからない!」といったときは、本当のわから
ないのです。理解できない問題は決して無理をせず、お母さんも考え一緒に悩ん
でください。お父さんもお母さんに任せるだけではなく、共に学んでください。
そして、「あしたは、今日より、きのうより」の気持ちを大切に頑張りましょう。
 
桜、満開ではないでしょうか。桜といえば昔話の「花さかじじい」を思い出しま
す。「花さかじじい」「桃太郎」「さるかに合戦」「舌切り雀」「かちかち山」
は日本の五大昔話ですが、お子さんに読んであげているでしょうか。また、それ
ぞれ歌がありますが、「かちかち山」の作曲は瀧廉太郎で、YouTubeで視
聴できます。お子さんと一緒に歌ってみましょう。特に男の子、歌うことを苦手
としがちですが、お母さんと一緒に歌っていないからではと思います。ここ数年、
立教小学校では、歌や踊りを取り入れていますが、昨年は早稲田実業学校初等部
でも同じような課題がありました。学校側の狙いは……? 考えてみましょう。
(次回は、(5)「記憶に関する問題」についてお話しましょう)
 

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>入試問題を分析する   推理・思考に関する問題(2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第38号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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(4) 推理・思考に関する問題(2)
 
◆受験情報◆
聖徳大学附属小学校の資料「Q&A」編が大幅に改定されましたが、その中に
自家用車での通学の件が明記されていました。川越市にある星野学園小学校も
自家用車での送迎を認めていますが、入学後、子どもの方から、友達と通学す
るといって止めるケースが多いそうです。その聖徳大学附属小学校のホームペ
ージには、入学試験の問題の一部が掲載されていますが、これは本校だけでは
ないでしょうか。
【過去問題に挑戦しよう】
・次の絵の中に1つだけ種類の違うものがあります。その絵をクリックしてみ
 ましょう。
    菱餅  兜  七夕飾り  十五夜 (すすき・団子・月)
いかがでしょうか。正解は最後に紹介しましょう。
 
[図 形]
重ね図形、回転図形、対称図形などですが、かなり難しいですね。問題集を買
ってきて、「さぁ、やるぞ!」方式は失敗しがちです。まず、お母さんがやっ
てみましょう。やってみるとわかりますが、折り紙やセロハン紙、それとA4
位のビニールでできている袋や書類入れ、画用紙などを用意しておくと役に立
ちます。遊びの感覚を忘れないことが大切で、特に女の子は、推理の問題を苦
手としがちですから注意しましょう。
 
★重ね図形
2枚の絵を重ねるだけですから問題なさそうですが、何事も実験することが大
切です。
1枚の紙にひまわりの花を描いて、それを透明な書類入れに挟み、今度は茎と
葉っぱを、その上に描かせます。
書類入れに挟んだ紙を引き出して比べると、2枚の絵に分かれていることがわ
かります。
これを理解した後に、自分の好きな絵を、同じ要領で描かせます。 
面白がって描くはずで、上下左右、そのままに重なることがわかれば問題ない
でしょう。
 
★回転図形
言葉で説明すると、難しいですね。
こういった矢印[↑]を描いて、時計回りで実験すると、わかりやすいでしょ
う。
  a ↑ a がお手本です。これを90度回すと、
  b → b になります。
  c ↓ b を90度回すとc になり、
  d ← c を90度回すとd になり、  
      d を90度回すとa に戻るわけです。
 
もちろん、幼児の世界ですから、90度といっても理解できません。ですから、
90度、1回転は「グルリ」で、180度、2回転は「グルリ、グルリ」と繰
り返します。回転図形にはかなり難しい問題がありますから、理解できるまで、
こういった矢印や上下の形が違っているものを使って、子どもと一緒にゲーム
の感覚でやることです。チューリップの花などを描かせてやってみるのも、い
いでしょう。
 
問題によっては、錯覚を起こしやすいですから、その場合は切り抜いて、条件
に合わせて動かし、どのように変化していくか、その様子をしっかりと確かめ
させましょう。大切なことは、上下、左右がどうなるかを見極めることです。
プリントをぐるぐる回す子がいますが、初めのうちはいいのですが、これが習
慣になると、推理する力はつきません。ただ、変化する様子を見つけているだ
けです。
この種のテストの目的は、推理・思考する力が、年齢にふさわしく培われてい
るかを判定する問題ですから、仕掛けが理解できれば、プリントを回すことは
やめて、考える力を養いましょう。
 
★対称図形
正直にいって難しいです。
大人でも音をあげたくなる問題があります。問題集先行型は、失敗しがちです。
折り紙の出番ですね。はさみも使いますから、手先も器用になります。1枚の
折り紙を半分に折った背の側(山折りになっている側)に、図形などが描かれ
ており、それを広げた場合にどうなるか、それを推理する問題です。
 
半分に折った折り紙に、何回も描いては切る、この実験を繰り返し、対称を理
解することですね。
折った背の側に描かなければ、形はできてもバラバラ事件になります。まず、
これに気づかせます。雪だるま、クリスマスツリー、チューリップなど左右が
対称の絵から始めて、図形に移っていくのが無理のない方法です。
マスターできたら、四分の一に切った折り紙を使い、いろいろな対称図形を切
り取り、その両方をスケッチブックに貼りましょう。この貼り方にも、工夫が
必要です。
「手は第二の脳」でも詳しくお話しましたが、糊の使い方は難しいものです。
最初は、折り紙の上部左右の二ヶ所に、切り取ったものには上のところの一ヶ
所に、ほんの少しだけ糊を付け、貼る練習をしましょう。
繰り返し練習をすることで、糊の適量も、全体に薄くのばすこともわかってき
ます。これは、とても大切な作業ですから、家でしっかりと身につけてくださ
い。こういったことまで教室で指導を受けるのは、時間の無駄遣いと考えまし
ょう。
うまく貼れない場合は、箸の使い方、ボタン掛けなどの基本的な生活習慣にも、
影響が出ているのではないでしょうか。繰り返しますが、幼児の手作業は、脳
と運動機能の連携作業であることを思い出してください。制作の問題で、のり
を使うケースもあります。使い終わって手を拭く指示もあります。出題の意図
は、どこにあるか、明確ですね。
 
難しい問題もありますが、これも実験で克服できます。
半分に折った画用紙と、はっきりと色のつくクレヨン、赤色か黒色を用意しま
す。
折った画用紙の左側中央に矢印←を描いて、しっかりと色を塗ります。
そして、上の左端に三角▲、下の折り線のそばに四角□■を書きます。
きちんと塗らないと実験は成功しません。
そして、点線から半分に折って重ね、上からゴシゴシと擦ります。
これも、しっかりと擦らないと写りません。
そして、ひろげます。
まったく逆向きになるはずです。
矢印は→、上の左端の三角は右端に、下の□■は■□と、これも逆になっていま
す。
折り線に近い■は、逆になっても線に近く、線から遠い□は線から離れています。
この実験で、位置や向きが逆になることを確かめて、問題に挑戦しましょう。
難しい問題は、半分に折った紙に、黒色か赤色で問題と同じように線を引き、重
ねて擦ります。
そして、どのようになったかを、子どもに説明させましょう。
口でいえないときは、まだ十分に理解していませんから、再び、実験です。
 
同じことですが、半分に折った紙に矢印を描いて、はさみで切って広げてみまし
ょう。 
左右が逆になっていることを確かめられます。
手先も器用になりますし、後で出てくる巧緻性にもつながっていきます。
これを十分に理解してから、問題に取り組みましょう。
「右側に折って重ねるのだから、左と右が逆になるの!」
こんな乱暴な説明をするお母さんはいないと思いますが、言葉だけで説明しても、
わかりません。
まだ、左右の弁別もあやしいのですから、とにかく、実験を繰り返すことです。
 
スタンプの問題や湖に映った逆さ富士のように、水に映るとどうなるかといった
問題と一緒です。特に、スタンプの問題は、大人でも錯覚しやすいですから、し
っかりと実験をし、どのように変化するかを見極めることが大切です。
 
推理の問題は、いきなり問題集でやるのは、やめた方が賢明で、いたずらに混乱
するだけではないでしょうか。まず、ご両親で学習し、理解をしておくことです
ね。そして、実験、実験の繰り返しです。実験は、疑問を解決する楽しい学習で
あり、遊びの感覚で取り組めますから、子どもたちも喜ぶはずです。 このこと
を忘れないでほしいですね。
 
「過去問題に挑戦しよう」、正解は、「十五夜」で、五節句(正確には五節供)に
入っていないからではないでしょうか。五節句は、1月7日、人日(じんじつ)
七草の節句、3月3日上巳(じょうし)桃の節句、5月5日端午(たんご)菖蒲
の節句、7月7日七夕(しちせき)笹の節句、9月9日重陽(ちょうよう)菊の
節句です。その理由は、本校の学習の特色の一つでもある「礼法教育」で、五節
句を学ぶカリキュラムがあるからです。五節句、お子さんはわかりますか。人日、
上巳ではわかりませんが、桃の節句、菖蒲の節句で説明するとわかるのではない
でしょうか。でも、難しいですね。「お月見、十五夜の日はないから」、「かぶ
と、子どもの日でお休みだから」、「七夕、他の日は菱餅、柏餅、団子を食べる
から」などの答えが出るのではと思いますが、4月21日に説明会があるので確
かめてきましょう(笑)。
 
(次回は、「推理・思考に関する問題(3)」 についてお話しましょう)

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>入試問題を分析する   推理・思考に関する問題(1)

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第37号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
 
[6] 推理・思考に関する問題(1)
 
系列完成、欠所補完、図形、科学性に関するもの、鏡映像などの問題ですが、
これもかなり難しいですね。
知能指数(IQ intelligence quotient 知能検査で得られた精神年齢を、
実際の年齢で割り百倍した数で、100が普通程度を表す)を調べる知能テスト
に、このような形式の問題があるのは、お母さん方もご存じだと思います。
 
かつて、この種の問題が小学校入試の基本であった頃に、「IQが120以上
でなければ合格しない!」との噂がまことしやかに流れたことがありました。
ある小学校の説明会で校長先生が、「IQが120位ないと入学してから大変
ですよ」とおっしゃったのですが、これに尾ひれがつき、「140以上なけれ
ば合格できない!」と姿を変え、指数を上げるために繰り返し練習することが
行われたものでした。
私は説明会場にいて、ことの真相を知っていましたから、無責任な噂が恐くな
り、「そんなことをしていると、お子さんの実際の知能指数がわからなくなる
から止めなさい」と、その弊害をお母さん方に話したことを覚えています。
本来、知能テストは、たとえば5歳の子どもなら、他の多くの5歳の子どもと
比べて、知能の発達の度合いを調べるテストで、訓練をし、無理に上げるもの
ではありません。今は、そういった噂も誤解も、姿を消したようですね。
 
[系列完成]
動物や果物、記号やさいころの目などが、ある決まりで並び、ところどころに
空欄がもうけてあり、そこに入るものを考える問題で、おもしろいことに美醜
の感覚やリズム感まで刺激を与えていることがわかります。
      
    ○△□○△○△□○△□○△○△□
    ●○△●▲○▲□●○△●□○▲●
 
上段は、見た目もきれいで、リズミカルで心も落ち着きます。
下段は、見た目も煩わしく、不協和音が聞こえそうで、心もいらだちます。
きれいな並び方には、一定の決まりや規則性があり、それを見つける問題です。
 
 1  リンゴ・( )・ミカン・リンゴ・バナナ・ミカン
 2  □○△( )□○△◎( )○△◎
    ↑     ↑
   (左人差し指)(右人差し指)
 
3つか4つ、多くても5つまでの系列ですから、上の問題のように、
「リンゴ・ナントカ・ミカン・リンゴ・バナナ・ミカンだから、バナナだな!」
と口調もなめらかで、抵抗なく出てきます。
 
下のような問題は、ちょっと困ります。
しかし、左右の人差し指で、同じものを(この場合は□)押さえて、右へ1つず
つ移動させると、□○△◎の決まりであることがわかります。
これを私は「お引っ越しゲーム」といっています。
決まりを見つけるゲーム感覚でやると、子どもは面白がって挑戦します。
このゲーム感覚ほど、子どもの学習意欲に刺激を与えるものはないでしょう。
身の回りに注目してみましょう。
この決まりを守っているものが、たくさんあると思います。
ブラウスやセーターの図案、カーテンの模様、台所やふろ場のタイル、外に出れ
ば、舗装された道路のタイルなど、きちんとした決まりで並んでいませんか。
お子さんと一緒に、決まりを見つけるのも楽しいものです。
大切なのは、こういったことから好奇心の芽を養うことです。
好奇心は、やる気を起こす起爆剤で、その意欲から自発性も芽生えてきます。
 
[欠所補完]
文字通り、欠けているところを補い完成させる問題で、ジグソーパズルの感覚で
取り組めます。
全体の中で欠けている部分を推理し、4枚程の中から、そこに入るものを見つけ
ます。
正解は1枚でダミーが3枚入っていますから、それを除いていけばいいわけです。
直感力のすぐれている子は、サッと見つけますが、それで安心して、「うちの子、
頭、いいわ!」などと早合点をすると、後々、困ったことになりがちです。
選択肢は、わずか4枚で、確率四分の一ですから、偶然に答えが見つかる場合も
あるからです。
時間が、かかってもかまいません。
1枚、1枚、比べて、
「これは、ここが違っている! これも違う!」
と、辛抱強く比較していくことが大切です。
繰り返しますが、この違いを見つけることは、観察力を培う大切な作業です。
しかも、根気が必要ですから持久力もつきます。
そこから、じっくりと物事に取り組む姿勢も身につきます。
コンピュータの基本的な原理も、一つ一つ比べる比較選別方式ですが、桁違いに
速い結果が出るのは、電気で処理しているからです。
 
以前にも紹介しましたが、イソップ物語の「うさぎとかめ」の話を思い出してく
ださい。油断をいさめた寓話ですが、ひらめき型とじっくり型の話として読むと、
幼児期の教育のあり方について、重要なヒントになっているのではないかと思い
ます。
毎度のことながら、私の勝手な思い込みですから読み流してください。
 
ウサギは、ひらめき方の直感派で、カメは、じっくり型の思考派です。
小学校の低学年までは、断然、直感派がリードをします。
選択肢が2つか3つの場合は、直感力の優れているひらめき型のウサギさんは、
あまり苦労することなく答えを選び出せます。
じっくり型のカメさんは、選択肢が少なくても、一つ一つ検証して答えを出し
ますから、時間はかかりますが、試行錯誤を繰り返すことで、きちんと答えを
出します。
 
ところが、分数や小数、光合成といった、目に見えない世界の学習が始まる中・
高学年になると、思考派が徐々に頭角を現します。
じっくり型の思考派のカメ型タイプの子は、欠所補完の問題でも、一枚一枚、
きちんと比べて納得していますから、慎重に考えながら物事に取り組む習慣が
身につきます。
しかし、どちらがいいのだろうなどと、決めてかかるのはどうでしょうか。
いろいろなタイプの子がいて、当然です。
 
「じっくり型の、思考派の、カメ型のタイプは理系だな!」と思い込み、「何
で、もっと、じっくりと考えないの!」となるようでは、子どもには迷惑な話
になりかねません。
問題集をやる時などに、答えが間違っていると、こういいがちではないでしょ
うか。
しかも、そういう時のお母さん方は、恐い顔をしていますから、子どもも考え
ようとせずに、隣の絵をさっと指差したりします。
それも間違っていると、
「何回、いったらわかるの。考えなきゃ駄目だといっているでしょう!」
これでは何回やっても同じです。
子どもは、怒られたくない一心で答えているだけですから、考えていません。
お母さんは、考える時間をあげていないことに気づいてほしいですね。
 
幼児の場合、正解を求めるだけが学習ではありません。
なぜ、お母さん方は、「どうしてなの?」と聞いてあげられないのでしょうか。
不思議な気がしますね。
「正解は一つしかない」と信じて疑わないからではないでしょうか。
答えは間違っていても、意外に、面白いところへ目をつけているときもありま
すから、その理由を聞いてあげましょう。
それから間違っていることを説明してあげれば、子どもも納得します。
こういったことをしてあげずに、子どもの考えを無視して、繰り返し、ひたす
ら正解なるものを求めていると、お母さんの顔色を見て答えはじめます。
これでは学習ではなく勉強です。
「強いて勉めるのが勉強」であることを思い出してください。
お母さんの気持ちを満足させるためにやっているようなものですから、止めた
方がいいですね。
 
「ひらめき型」には、言葉で説明するチャンスを。
「じっくり型」には、これは手を付けない方がいいでしょう。
うっかり急がすと、思考回路が混乱しかねません。
子ども達に、「お母さんからいわれる、いちばん嫌いな言葉は何かな」と聞い
てみると、「ハヤクシナサイ!」が圧倒的に多いのです。
大人は何とか工夫しますが、できるように配線が組みこまれないと、できない
のが子どもです。
子どもが「わからない」という時は、「本当にわからない」のです。
そこを考えてあげないと、お子さんはパニック状態に陥りがちです。
いやな思いをさせては、小学校へ入る前から勉強嫌いな子になりかねません。
「忍の一字」で過ごした、おむつを外した時のことを思い出してください。
 
ところで、負けたウサギはどうなったかご存知でしょうか「カメに負けた駄目
ウサギ」として、ウサギ村から追放されますが、「子ウサギをえさに差し出せ!」
と脅迫してきた狼を負かし、無事、ウサギ村へ復帰します。
 
脱線したついでに、なぜ、ウサギの耳は長いのでしょうか。
ウサギは弱い動物で、ほとんど抵抗できずに、強い動物の餌食になってしまい
ます。そこで神様は襲ってくる動物の存在を、いち早くキャッチして逃げられ
るように、よく聞こえ自在に動く耳と強じんな後ろ足を授けたそうです。「弱
肉強食」の世界をお創りになったのは神様でしょうけれど、いささか不条理で
はないでしょうか。真偽のほどは定かではありませんが、入試問題で「□肉□
食」を「焼肉定食」と答えた学生がいたそうです……。
このイソップの話、明治時代の小学生の教科書の題名は、何と「油断大敵」で
す。
(次回は 「推理・思考」の2についてお話しましょう)
 
春休みの講習会が始まります。会員の方は11月からの学習を確かなものとし、
さらなる飛躍へ、4月から通会を予定している皆さん方は「最初の一歩を確実
に」、そのためにも講習会から始めることをお勧めいたします。

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>入試問題を分析する   常識に関する問題(2)

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第36号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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(3) 常識に関する問題 2
 
★受験情報★
国府台女子学院小学校は、2017年度入学試験においてインターネット出願
を導入します。
○出願時来校不要、願書も不要。
募集要項を確認して、本校WEBサイトから『インターネット出願サイト』へ。
出願の申込手続きは全てWEB上で完了できます。
○『インターネット出願サイト』は、パソコンやスマートフォンに対応してい
ますので、ご自宅で、外出先で、塾で、移動中でも出願申込をしていただけま
す。
受験料納入はクレジットカードや、金融機関ATM(ペイジー)などのお支払
方法が選べます。
○出願画面の指示に従って情報を入力し受験料をオンラインで支払うだけで出
願できます。受験票は、お手元で印刷していただきます。プリンターがないご
家庭でも、コンビニエンスストアのコピー機から印刷可能です。
詳しくは、4月以降、リニューアル予定のホームページをご覧ください。
         (2/28 千葉県私立小学校フェア  配布資料より)
 
日出学園小学校
 本年度の入試予定
  第一志望 10月20日(木) 8:30~
  一  般 10月25日(火) 8:30~ 
      (要注 一般の日程が早くなりました) 
 弁当発注システム (家庭から業者に発注した弁当が学校に送られるシステム)
  保護者アンケートの結果、要望が多いため、7月を目途に始める予定。
                  (3月5日 第1回学校説明会より)
 
[公衆道徳・躾に関する問題]
公園の中で、いろいろなことをしている子どもの絵を見て、やってはいけない
ことをしている子どもに○をつけたり、服を一人で着たり、後片付けができて
いない絵などから、自分一人でできた方がいいと思うものに〇をつけたりする
問題です。言うまでもありませんが、入学試験のために身につける知識ではな
く、しつけであり、マナーであり、基本的な生活習慣ですから、ご両親の育児
の姿勢、教育方針をみています。
 
変なお母さんが増えています。電車に乗ると、子どもは、なぜか、外を見たが
ります。それは、いいのです。しかし、靴を脱がない子がいます。お母さんの
言葉、ショックでした。
「○○ちゃん、お靴脱ぎますか、脱ぎませんか?」
「脱ぎたくないの」
「そうですか」
これで、おしまいです……!
おかしくありませんか。
着ている制服から、大学まである総合学園の幼稚園であることがわかります。
私の年代では、こういうことは考えにくいことです。親は、一貫教育制度のあ
る附属幼稚園に入れて、子どもの人生航路の設計図なるものを、小さい頃から
キッチリと引いてあげているにもかかわらず、他人様と共存して生きるために、
最低限必要なルールは、子どもの判断に任せていいのでしょうか。
いいわけはありません、これは逆です。
人生航路は自分で開いて行くものですが、しつけは親が責任をもって子どもに
身につけさせるものです。このような考え方を「子どもの自主性を認める」と
はいいません。放任です。親の責任を放棄していることに気づいてほしいので
すが、こういうお母さんが増えているようです。誰がかわいそうって、子ども
です。後で困るのは、子ども自身ですから。
 
試験で電車の中で悪いことをしている子に×をつけても、実際に電車に乗って、
靴を脱がずに外を見ているのでは、おかしいと思いませんか。これは常識であ
り、守るべきルールです。知識として知っていても「実際にはできない」、ど
ういうことでしょう。
これは知識と知恵の差です。
知識は知っているだけで、知恵は知っていることを実行する心の働きです。幼
児期の知識の詰込みは、こういう結果になりがちではないでしょうか。こんな
本末転倒なことを許していると、幼児の世界も、おかしくなります。 
 
「三つ子の魂百まで」は、幼児期に身につけたことは、大人になっても、その
まま受け継いでいくことを戒めた先人の知恵です。良い習慣をきちんと身につ
けてあげるのは、お子さんにとっても幸せであり、大切な財産になると思いま
す。「習慣は第二の天性である」と古代ローマの政治家、哲学者であるキケロ
も言っていますなどと、何も哲学者を出すこともありませんが、「大切だ」と
言いたいのです(笑)。
 
[その他の問題]
果物や野菜を、縦や横から輪切りにしたものから、何であるかを推理する問題
もあります。
これも体験でしょう。子どもは、見えないところを見たがるものです。りんご
やみかんを食べるとき、ただ、皮を剥くだけではなく、縦や横に輪切りにして、
見せてあげましょう。喜びます。
野菜なら、ピーマンなどを切ってみせると、不思議そうに見ています。ついで
に、匂いもかがせてみましょう。玉ねぎなどは、涙を流しても見たがります。
 
私が現役時代、「どうしてレンコンはあんなにたくさん穴があいているのかな?」
と聞かれ、絶句したことがありました。普段、そんなことを考えませんね、大
人は。こういう疑問には、即座に答えてあげなくては、子どもの信頼を裏切る
ことになりますから、家内に電話して、すぐ調べてもらい、事なきを得ました。
「レンコンの住んでいるところは泥の中で空気がなく、あの穴の中に空気を取
り入れ、それで呼吸しているのだよ。その穴は水の上に出ている葉っぱとつな
がっていて、茎がちょうどシュノーケルの役をしているんだよ」と説明できま
したが、今はパソコンで簡単に調べられますから、お子さんが「なぜ?」と聞
いてきたときには後回しにせず、きちんと答えてあげましょう。 
 
そして、野菜や果物を水の中に入れ、浮かぶか沈むか、実験してみましょう。
「すいかは、絶対に浮かばない!」と思い込んでいるお子さんが、かなりいま
す。見たことがないのです。丸ごと一個のすいかを買う機会は少ないでしょう
が、お子さんが疑問を持ったときには、説明するより見せることです。
 
動物の足の絵から、その動物が何かを考えたりする問題もあります。
かなり昔の話で、時効も成立しているはずですから紹介しましょう。さる国立
の名門大学の学生さんが、「鶏には足が4本ある」と真面目な顔で言い、話題
になったことがありました。見たことがないのです。
幼児には、見せるしかありません。動物園の出番です。
「今度の日曜日、ゴルフの予定もないから動物園に行くぞ!」
「……。」
お父さんの都合でお子さんに興味がない時に、動物園に行っても効果はありま
せん。
「お父さん、にわとりの足、どうなっているのかな?」
この「かな?」がついた時、子どもが興味を示した時が、絶好のチャンスです。
ジィーっと見ています、飽きもせずに。観察力だけではなく、集中力や持久力
もつきます。しかし、動物園に鶏、いるでしょうか、心配です。
 
我が家が川越へ越してきたのは、子ども達が幼稚園に入る頃でしたが、近所の
お百姓さんの庭には、放し飼いにしていた鶏がいました。長男は何が面白いの
か、毎日出かけて行っては、ジッと見ているのです。「パパ、ニワトリさんは
鳥でしょう。どうして、空を飛べないのかな」、これが不思議だったんですね。
お百姓さんに話したところ、一番元気のよさそうな鶏を抱き上げ、空へ放り投
げてくれたものです。羽をバタバタさせて飛びますが、すぐに着地してしまう。
「太っているから飛べないんだ!」と嬉しそうに答えたものでした。黙ってお
百姓さんは実験して見せてくれたことが、どんなに子どもにとって貴重な体験
であるか、教えられたものです。
その逆ですが、テレビのコマーシャルでペンギンが空を飛ぶ映像が流れた時、
「先生、ペンギンは、空を飛べないんですよね」と怒った子がいました。子ど
もは自分が知っていることと違ったことが起きると、許せないんですね。最近
は、牛が胡坐をかいている映像があったのを見て、先生方は困っているのでは
と心配しましたが(笑)。
 
最後に、絵を見て話をする問題です。
これは、たくさん本を読んでもらっている子は、得意です。たとえば、かぐや
姫の絵だとします。読んでもらったことのない子は、話せませんね。本を読ん
であげることは、前に説明しましたから止めますが、言語の学習から情操教育
まで、大変な学習になっています。話を聞く姿勢ができている子は、本を読ん
でもらうことが好きです。しかも、本人もお母さんも勉強をしているとは思っ
ていません。教えない教育の成果です。しっかり読んであげましょう。読んで
あげられるのも卒園までです。一人で読めるようになるのも、後わずかだから
です。読めるようになると、もう頼みにきません。そうなると、お母さんの読
書時間も増えます。親の本を読む姿は、最高の教材です。
 
テレビの内容にもよりますが、視聴時間の長さと教養の深さは、反比例するそ
うです。うまいことをいう人が、いたものですね、感心しました。こういった
お母さん方は、子ども達に、
「ゲームばかりやっていないで、お勉強をしなさい、お勉強を!」
といいがちではないでしょうか。これでは、説得力などありません。
 
絵を見て話をする問題については、言語のところでお話しましたから、もう一
度ご覧ください。「お母さん(お父さん)、あのね方式」です。
 
その他に、新幹線やブルドーザーなどの絵を見て名称と用途、花の名前と咲く
季節などをたずねる問題があります。昔話に出てくる「きね」「うす」「かま
ど」、雪国ではおなじみの「つらら」、「たけぼうき」「はたき」「ちりとり」
といった昔の掃除道具三点セットなど、普段、目にしなくなったものには、出
会ったときにきちんと説明しておきたいものです。
 
余談になりますが、ホワイトデーの習慣は日本生まれ、中国、台湾、韓国など
東アジアの一部で定着しているが、欧米にはない。記録として残っている元祖
は、昭和48年(1973)に不二家とエイワが協力し、チョコレートのお返
しにキャンディやマシュマロを贈ろうと「メルシーバレンタイン」キャンペー
ンを開催したとの記事が読売新聞にある。その中でホワイトには「幸福を呼ぶ」
「縁起が良い」という意味もあるということで、1ケ月後に設定したと伝えて
いる。(「ウィキペディア フリー百科事典」より抄訳) 
 
デコレーションケーキといい、お菓子屋さんのたくましい商魂ですね、孫もハ
マったようです(笑)
 
 (次回は、4 推理・思考の問題についてお話しましょう)

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>入試問題を分析する   常識に関する問題(1)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第35号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
 
★★入試問題を分析する★★
             
★千葉県私立小学校フェア レポート
2月28日(日) 於市川グランドホテル
・千葉県私立小学校協会 会長 平田史郎(国府台女子学院 学院長)
 ミニ講演会(10分間)での挨拶
 大学受験で高校生は、授業以外に毎日約7時間、勉強している。こういった
 習慣は、小学校時代に培われるもの。習慣は毎日の努力の積み重ね、説明会
 でもお話ししていることですが、大学進学の実績を見ていると、肯かざるを
 得ませんね。
・日出学園小学校
 昨年の保護者アンケート、「ご家庭からインターネット注文すると学校へ弁
 当が届くシステム」について副校長に伺ったところ、賛成の意見が多く、目
 下業者と具体的な詰めを検討中とおっしゃっていました。詳しくは説明会で
 聞けるのではないでしょうか。
・昭和学院小学校
 会場で案内していた先生に、「昭和さんは幼稚園の年少さんから正課で英語
 をやっているので、英語をやっていない子どもには『ハンデになりませんか』
 と心配するお母さん方もいますが」と尋ねたところ、「子どもは順応性が高
 いから心配ありません」とおっしゃっていました。心配な方、説明会で確か
 めておきましょう。
・暁星国際流山小学校
 今年4月に開校、1年生から英語とフランス語を週6時間行う学校。「中高
 は木更津に行くのですか」と尋ねたところ、「中高も当地に建設の予定」と
 のことでした。(注 暁星国際学園は、木更津に小中高等学校がある)
 
「城北・埼玉地域私立小学校合同相談会」が3月6日(日)、赤羽にある星美
学園小学校で開催されますが、参加される方、急こう配の師団坂を上りきった
ところの正門横にある、「いかのおすし」のポスターに注目して下さい。これ
は防犯用語で、「いか」は「いかない(知らない人についていかない)」、
「の」は「乗らない(知らない人の車や誘いに乗らない)」、「お」は「大き
な声で叫ぶ」、「す」は「すぐ逃げる」、「し」は「知らせる(何かあったら
すぐ大人に知らせる)」の頭文字をとったもの。東京都教育庁と警視庁少年育
成課が考えたもので、平成16年から防犯用語として使用されているそうです。
近所の小学生に聞いたところ知っていましたね。毎年、星美学園の説明会に参
加していたのですが、迂闊にも去年まで気づきませんでした。ご覧になってく
ださい。
 
[5] 常識に関する問題(1)
文字通り、常識の分野です。
しかし、単なる知識ではなく、情操教育の領域から思慮分別まで入っています。
仲間分け、郵便屋さんとポストを結びつける職業に関するもの、道具や日用品
の名称と用途に関するもの、季節と行事に関するもの、公衆道徳やしつけに関
するもの、むかし話や名作物語の一部が描かれた絵を見て説明するものなどが
あります。
 
[仲間分け]
動物や昆虫、木や花、野菜や果物、乗り物、季節、文房具などの仲間を探す、
逆に仲間ではないものを見つける問題です。常識の問題だけではありませんが、
単に仲間に〇や仲間ではないものに×をつけ、「満点! 次に行きましょう!」
では、あまり有効な学習とはいえません。○や×をつけた理由を、自分の言葉
できちんと説明できるか確かめましょう。幼児の学習で大切なのは、自分で考
えたことを話せることです。つたない説明でもきちんと聞いてあげ、おかしな
ところは直してあげましょう。
 
こういった問題がありました。
 ◆(かき・くり・ぶどう・なし・すいかの絵が描いてある)
 かき・くり・ぶどう・なし・すいかの中で、仲間ではないものに×をつけな
 さい。
 
皆さん方は、何に×をつけるでしょうか。 聞き手に徹してみると、子ども達
は、実に、ユニークな発想の持ち主であることがわかります。
 
「すいかに×です。すいかは野菜で、他は果物です」
常識的な模範回答で、皆さん方は喜びます。
 
「すいかです。他のくだものは木になるけど、すいかは、地面になります」
すいか畑を見た経験があるのでしょう。
 
「すいかは、夏に食べますが、他は秋ですから、すいかに×です」
季節に違いを見つけましたが、季節感が希薄になっている中で偉いですね!
 
「すいかです。他は皮をむいて食べます」
またしても、すいかですが、食べ方の違いを見つけました。
 
「くりです。イガイガに入っていますから、手で触れません」      
この子は、くり拾いに行ったことありますね、体験談です。
 
「くりです。そのままでは食べられません
いいですね、くりご飯が好きなのでしょう。もしかしたら、生のくりをかじっ
たことがあるもかもしれません。
 
「ぶどうです。他は1個、2個と数えるけど、ぶどうは、そういうふうに数え
ません」
これも、いいですね、一房などといえなくても正解です。ぶどうの実は、1個、
2個・1粒、2粒と数えますが、全体を捉えて数えるときは、バナナと同様1房、
2房です。いつか、有島武郎が自分の子どもたちのために書いた「一房の葡萄」
を読んでほしいものです。
 
「くりです。種がありません」
ぶどうやすいかにも種のないものがありますが、これも正解ですね。
 
「かきとくりです」
「……?」
「『さるかに合戦』には、かきとくりが出てくるけど、むかし話に、他のもの
出てくるかな?」
さて、こうなるとわかりませんが、ぶどうとなしの出てくる話は、思い浮かび
ません。  
すいかはあります。老人が、意地悪をした商人から魔法を使い、すいかを取り
上げてしまう話で、今昔物語にも出ています。しかし、いいですね、発想がユ
ニークで。むかし話をたくさん読んでもらっているのではないでしょうか。
 
いかがでしょうか。子ども達は、こんなにたくさんの違いを見つけました。こ
れはたいへんな学習になっています。子どもの観察力や発想は、大人と違うこ
とがよくおわかりいただけたと思います。
×をつけて終わりでは、あまり効果的な学習とはいえません。子どもの考えに
耳を傾け、そして最後に、「果物と野菜」「季節の違い」など設問の意図に従
い、正解に導いてあげましょう。
 
自転車とオートバイの違いを話す問題で、例によって、とことん、追求の目が
途絶えるまで、発表をさせたときのことです。
「仮面ライダーは、オートバイに乗るけど、自転車には乗らない」といったお
子さんがいました。その子は、「仮面ライダーは、オートバイに乗り、かっこ
よく出てくるけれど、自転車に乗って出てこない」といいたかったのです。
その日は、授業参観でしたから、お母さんは、赤面してうつむいてしまいまし
た。とかく私達大人は、構造や原理の違いや用途などから考えますが、こうい
った考えのできるのが子どもなのです。もちろん、エンジンと人力で走らせる
違いに導きますが、なぜ、そういった考えが出てくるのか、子どもに聞いてみ
ると、実に傑作な答えが出るものです。その答えに妥当性があれば、そういう
考え方もあると認め、しかし、「この問題の本当の目的は」と順を追って話を
すれば、子どもたちは納得し、授業にのめり込んできます。
なぜでしょうか……。
それは、自分の考えを認めてもらえたからです。うつむいてしまったお母さん
と違い、お子さんは積極的に授業に参加し、楽しんでいました。「お子さんの
話に耳を傾けてください」とお願いしておきましょう。
 
このように、幼児の知識は、似ているところや違うところを見つけることから
始まります。物事の「類似差異」に気づかせることです。しかし、これを大人
が机の上だけで教えこむのは、お勧めできません。五感を働かせ、自分で学習
することが大切なのです。教え込まれることは、記憶に頼りますから忘れがち
です。五感で体験したことは、何かの思い出と一緒に身体が覚えますから、忘
れにくいのです。記憶は脳神経系の仕事で忘れることも仕事ですが、体験は中
枢神経系の仕事で、一度覚えると体が忘れないそうです。英単語は使わないと
忘れがちですが、一度自転車に乗れるようになると、しばらく乗らなくてもす
ぐに乗れるようになる、この違いだそうです。「幼児期には、五感に刺激を与
える自然と接する機会をたくさん作り、話をはずませ、楽しい思い出を残して
あげましょう」という理由は、ここにあるわけです。
 
[季節と行事に関する問題]
四季を代表する花や行事、春であれば、桜、たんぽぽ、チューリップ、おひな
さま、入学式、鯉のぼり、柏餅などを結びつけたり、年間の主な行事を1月か
ら12月まで絵カードで並べたりする問題です。暦の上では立春から春ですが、
幼児の世界では、春は3月、4月、5月、夏は6月、7月、8月、秋は9月、
10月、11月、冬は12月、1月、2月で教えてあげましょう。
 
変な話を聞きました。
「1月は正月・門松・たこ上げ・羽子板、二月は節分・豆まき・柊・いわしの
頭・鬼……」 
試験に出るから憶えるそうです。しかし、季節折々の行事は、知識として覚え
るものではなく、家族そろって楽しむものです。楽しんでいれば、覚えようと
しなくても、思い出と一緒に記憶されるものです。 記憶だけに頼ろうとする
と、「勉強、イコール記憶」となり、次第に苦痛になるのではないでしょうか。
学生時代に覚えた英単語、あんなに苦労したのに、どこへ消えてしまったのか
と、しゃくにさわりませんか。それでも、皆さんは目的を持って覚えたのです
から、苦痛にも耐えられたわけでしょう。
子ども達には、「受験のため」といった自覚はないはずですから、やっかいな
のです。
 
そうはいっても、現代っ子は、正月に、羽根つき、たこ上げ、カルタ取り、す
ごろくなどをやっているでしょうか。
節分に豆まきをして、いわしを食べているでしょうか。
女の子のいない家で、ぼんぼり、ひし餅、わかるでしょうか。
端午の節句に菖蒲湯に入る子も、少ないでしょう。
七夕は、幼稚園での年中行事で済ませていないでしょうか。
迎え火、送り火、精霊流し、やらないでしょうね。
中秋の名月を、すすきとだんごをお供えして、眺めているでしょうか。
大晦日に年越しそばを食べているでしょうか。
そばより、ラーメンやスパゲッティかもしれません。
「……でしょうか」ばかりで、何やら、落ち込みそうです。季節折々の行事を、
祝わない家庭が、増えているのでしょう。
 
 
このような年中行事は、自然への感謝と家族の幸せを願い、とりわけ、子ども
の健やかな成長を祝う、一つの節目になっています。
たとえば、端午の節句、この言葉も「子どもの日」といわなければ、通じない
でしょうが、なぜ、鯉のぼりを飾るのでしょう。疑問に思わないようです、現
代っ子は。 なぜ、くじらやさめのぼりでは、駄目なのでしょうか。くじらは
大きく、さめは見るからに強そうですが、代役を務めることはできません。鯉
は、非常に生命力が強い魚ですから、鯉のように強くて、たくましい子に育っ
てほしいという親の願いがこめられているのです。五月晴れの空に、雄大に泳
ぐ鯉のぼりの姿、あまり見かけなくなりました。
 
こういった行事は、いってみれば「家庭の文化」ではないでしょうか。 家庭
の文化は、ご両親が作るものです。子どもは、ご両親の作った文化の中で育っ
ていきます。ご両親が、季節折々の行事の意味を子どもに教え、一緒に祝い、
楽しい思い出として心に残してあげる。そのお祝いが、思い出が、子どもの情
操を培っていくのではないでしょうか。 団地のベランダに、小さな鯉のぼり
が泳いでいると、「頑張っているな!」と声をかけたくなります。
 
小学校の入学試験に出るからといって、問題集で教え込み、ましてや記憶させ
るなどは、本末転倒な話です。なぜ、こういった問題が出るのでしょうか。学
校側も、知識として知っているかではなく、家庭の文化を見ていると思います。
季節折々の行事を楽しんでいれば、問題集は、チェックシートの役割をはたし、
知識の整理になります。幼児の学習は、知識を詰め込むのではなく、たくさん
の経験を積ませ、そこから得た知識、知恵であることが大切です。
 
私事で何ですが、当教育研究所で配信していますメールマガジン「さわやかお
受験のススメ 保護者編 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」では、季
節折々の行事の由来を説明し、それに関係のある昔話を紹介していますので、
お読みになっていただければ幸いです。
(次回は、常識の問題(2)についてお話しましょう)

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

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