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めぇでるコラム : 2020小学校受験: 2019年7月

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>今年の説明会より

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第55
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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今年の説明会より
 
7月23日に雙葉小学校の説明会がありました。
梅雨明けしないままのはっきりしないお天気の中、二日間にわたり合計4回の
説明会が開催され、多数の参加者があった模様です。
説明会では、校長から学校の沿革、教育方針、ビデオで学校生活を紹介、最後
に教頭から教育の主な内容、受験に際して考慮していただきたいこと、お願い
したいことについて説明がありました。例年通り、無駄のないシンプルな説明
会でした。
説明会後、希望者には校内見学ができ、教室や図書館、専科の教室、お祈りの
部屋などを順に見て回りました。階段の踊り場や廊下など校内のいたる所にお
花が生けられ、なごやかであたたかい雰囲気が感じられる学校でした。
 
 
さて、「共学がいいか、別学がいいか」、徹底的に分析をしてくれたのが、立
教小学校の田代教頭の話。ここ数年の話を基にまとめてみました。教頭は、そ
の容貌と話し方からして、大変な熱血漢であるとの印象を受けますが、おそら
く、子ども達から「金八先生」などと親しまれているのではないでしょうか。
 
「本校にはどんな男の子がいるか。男の子は単純で、雑駁で、ずぼらで、締ま
りがなく、言葉遣いは悪いし、けんかは日常茶飯事だが、私は好きだ。
 脳科学者の話で、すべてに当てはまるわけではないが、脳の厚さは、女性は
11歳で最大になるのに比べ、男性は18ヶ月遅れるとか、実証されているそ
うだ。成熟差を中学生で比べると、1年半から2年間ほど遅れるそうで、我々
が教えていてもそれは感じる。
 アメリカでは1932年に公立校の男女別学を禁止していた。しかし、20
06年10月に法改正がなされ、公立校で別学、共学を選択できるようになっ
た。脳の発達や思考、得意分野の違いをまったく無視し、同じ条件で教育した
ことに問題があるということで、別学が増えていく。
 イギリスの研究者の話では、男女別学では、性別による固定観念を打ち崩し
やすいが、共学ではこれが難しいといっている。歌を歌う場合、共学では恥ず
かしがってほとんど歌わない。男子校の合唱は一つの特徴でもある。女子校で
は今はやりの『リケジョ(理系女子)』ではないが、数学や科学を好む学生が増
えてきた。別学では男子らしさ、女子らしさという固定観念がなくなるのでは
といわれてきている。共学では逆に強調され、男女別学の良さが見直されて来
ている。アメリカの真似をするのが大好きな日本だから、文科省が力を入れて
いる中高一貫教育も、今に中高一貫男子校、女子校を作り出すかもしれない、
公立校の。我々は小中高大学までの一貫教育で男子校。皆さん方は、すでに先
見の明があるといえる。それを申し上げておきたい。18歳をこえると脳の成
長の差はなくなるそうだ。小中高で男女が分かれていて、大学で共学というの
は理想的な制度で、手前みそながら何ですが……」(会場から笑い声が起こりま
した!)
 
 リケジョについては、今年も国府台女子学院の平田史郎学院長は、医薬系へ
の進学実績からその傾向のことをおっしゃっていましたが、「女子だけだから
いいのです。共学にする考えはありません」と力説していた学院長、やはり科
学的な根拠があったわけです。もしかすると、公立校での中高一貫男子校、女
子校の誕生は、案外早い時期に実現するかもしれませんね。
 
そして、どんな家庭のお子さんがほしいかについて、
「最後に、いつもお願いしていることだが、どんな家庭のお子さんがほしいか、
メモをとるような話ではないが、訓練によって鍛えられた子どもではなく、読
み聞かせや自然の中で五感を使った遊びの体験やお手伝いを重視する家庭。そ
れらを基にして、豊かな会話をもっている家庭、そういう日常生活を大切にし
ている家庭で、社会のルールを守る社会性や協調性を厳しくしつけられている
家庭の男の子が欲しい。なぜなら、学校は社会性を訓練する場、男が成長して
父親になった時、知性を発揮できるように、キリスト教の精神に基づき行える
心の豊かさ、自分に対して優しさという知性を身につける場であり、こういっ
たことを理解し協力してくれるご家庭の子、男の子なら誰でも結構」
 
学校選びの基本は、「ご両親がどんな男に育てたいのか、そのためにはどういっ
た教育、環境が必要であるかではないでしょうか」とおっしゃっていましたが、
「はじめにご家庭の教育方針ありき」と言ってきた私は、素直にうなずいてし
まいました。
以前、紹介しました「教育の道は家庭の教えで芽を出し、学校の教えで花が咲
き、世間の教えで実がなる」(明治時代、高等小学校から親に配られた「家庭心
得」)ではありませんが、そのとおりですね。最近、高学歴者の不祥事が伝えら
れていますが、「世間の教え」をないがしろにした結果でしょう。今までの努力
は何だったのだろうと、他人事ながらもったいないと思いますね。
 
47号でも紹介しました早稲田実業初等部の求める子ども像、こういった話です。
『どんな子どもに来てほしいか、いろいろとあるが主だったことを言うと、第
1に早実大好き、早稲田大学に進んで勉強したいと思う子。2つ目に規則正し
い生活ができる。もう一つ大切なことは、自分のことは自分でできるお子さん。
これができていないと宿泊学習が始まると辛くなる。中学で体験したことだが、
宿泊合宿のときの荷物作り、親御さんが詰めてしまう。忘れ物が出ても名前が
書いていないからわからないので処理するしかない。自分でやらないからわか
らない。3つ目は人の話を最後までしっかりと聞くことができる。4つ目は物
事に最後まで取り組むことのできる子を期待している。
 基本的な生活習慣は、ご家庭で教えて頂きたい。しつけの問題になるが、教
え方に問題があるのではないか。ご両親共に子どもと接する時間が少なくて忙
しい。うまくできないと早くしなければならないから、お母さん方はすぐに手
を貸してしまう。そうではなく言葉をかける。言葉を理解し自分でやることが
大切。だから時間はかかる。手を貸すと「また貸してくれる」と子どもは考え
る。その時はスムーズに通過できるが、後々それが癖になる。言葉を主体にし
て見守り、時間をあげて言葉で考えさせて、自分でできることを中心に考え、
できたところでしっかりと褒める。その繰り返しが大切。褒められると次に生
きてくる。また褒められたいという気持ちになる。そういうことを大切にして
ほしい。幼い時に身に付いたしつけ、習慣は、子どもにとって大切な宝物にな
る」
 
そして、モチベーションの上げ方について。
「学校見学会が9月に行われるが、初等部を見学できるのはこの日だけ。是非
ともお子さんと一緒に来てほしい。お子さんが自分の目で見ることが大事。私
の願いは、お子さんが『この学校に来て学びたい、勉強したい、一緒に友だち
と遊びたい』と思うだけでも、これからの受験勉強の励みとなり、お子さんの
モチベーションも上がる。それを狙っている部分もあるので、『勉強しなさい!』
と言ってもモチベーションは上がらず、そのへんはなかなか難しい。そのため
にも是非、一緒に来てほしい」
          (早稲田実業学校初等部 橋詰 敏長 前校長)
校長が森国吉雄先生に変わりましたのでこの話は、一昨年の説明会での話ですが、
参考になるのではと考え紹介しました。
 
森国校長は、「早稲田実業学校の伝統と歴史は、校是「去華就実」もとで形成さ
れてきた。上辺だけの華やかさではなく実をとる、外面より内面の美しさを求
める精神を大切にし、社会の各方面で貢献できる人材の育成を目指している。
校訓の「三敬主義」は、他者を、自己を、事物を敬うことの大切さを説いてき
た。謙虚で優しく、自重自立し、全てのことに敬う心をもって取り組む誠実な
姿勢を示すもの。こういった理念を受け継ぐ初等部6年間は、一人ひとりの個
性を尊重し、確かな学力を身につけ、自ら学び、考え、創り出し、表現する力
を育て、人間性豊かな児童を育てる」ことを目標に掲げている」と校是と校訓
についての話がありました。
 
最後に、竹田敏伸舎長に代わった幼稚舎、先生からは幼稚舎の教育の特徴、
「6年間担任に持ち上がり制と教科別専科制」について詳しい話がありました。
参考までに、一昨年の大島誠一前舎長の話を紹介しておきましょう。
 
「幼稚舎教育を通じて、子ども達にどういった人になって欲しいかというと、
『人生を楽しむ人になってほしい』『社会を肯定的に見る人になってほしい』『自
分の能力を生かして人の役に立つ人になってほしい』と私は願っている。人生
を楽しむと言っても、ただ、その場その場を面白おかしく生きるというのでは
ない。日々、辛い努力を積み重ねることも大切で、辛いことに辛抱することも
大事だ。しかし、究極的には『自分の仕事を楽しむ』ことだ。
 福澤諭吉が示した慶應義塾の目的に、『社会の先導者たらんとすることを欲す
るものなり』という語句がある。しかし、始めからリーダーになることを目指
すのではない。仕事に喜びを感じ、自分の好きなことをやっている内によい仕
事ができる。その結果として周りに支えられリーダーになっていくという考え
だ。もちろん、自分が嫌なこともやらなくてはならないだろう。しかし、やっ
ていることが楽しくなければ継続することは難しく、ましてやよい仕事ができ
るとは思わない。楽しいからこそ人から見れば辛いことも、たいして辛いと思
わずにできるのだろう。会社の組織の中で高い位置につくことができなくても、
あるいは先導者となり得なくても、年老いた時に、『自分の人生はよかった』と
思えるような生き方を私は大切にしたいと考えている。
 こういった考えは、福澤諭吉の生き方そのものだと思う。福澤の生き方は、
最初から立身出世位を目指したものではない。「知りたい、見てみたい、やって
みたい」という気持ちが凝縮した人生だったと思う。幼稚舎という学校を理解
していただくには、ここで私がくどくど申すより、福澤が自らの人生を振り返
った『福翁自伝』を読んでいただければご理解いただけるものだと考える。是
非、一読されることをお薦めしたい。そして『福翁自伝』は、幼稚舎を受験す
るだけではなく、自分の生き方を考える上でも素晴らしい書物だと思っている
ので、多くの方々に読んでほしいと思っている」
 
『福翁自伝』はわかりませんが、明治初期に発売された「学問のすすめ」は、
300万部以上売り上げ、超ベストセラーになっています。ちなみに、世界一
のベストセラーは「聖書」で、約3880億冊だそうです。
      (「マナビゲート 2016」P39 大学通信 発行より)
 
夏休みに入り、夏期講習会も始まりました。元気に通っていますか。夏本番です。
休養も十分取り、頑張りましょう。
    (次回は「よくある質問について」お話ししましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>夏休みの過ごし方(2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第54
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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夏休みの過ごし方(2)
 
小学校は夏休みに入りますが、この週末も雙葉小学校などでの学校説明会が行
われたり、小学校の夏休みを利用したオープンスクールや体験会を実施する学
校もあります。
学校のことをより良く知るには、実際に訪問するのが一番です。漏れることの
ないように、志望校はもちろん、気にかかる学校の予定をしっかり把握してお
きましょう。 
 
今回は、前回に続き、夏休みの過ごし方についてお話しましょう。
 
3.観る力をつける
動物園、植物園、博物館、水族館、プラネタリウムなどを利用して、観ること
で名称、種類、性質、形、大きさ、色、用途などがわかります。
図鑑人間、驚くほど知っていますが、残念ながら大きさのわからない子がいま
す。
本物を見せてあげてください。
ただし、お子さんが興味を示さないときは、あまり効果はないでしょう。
「今度の日曜日は休みだから、水族館でも行こうか」ではなく、「パパ、ラッコ
ってどうやって貝を食べるのかな?」といったように「かな?」の二文字がつ
いたときは、何はさておき連れて行きましょう。
疑問の芽が、好奇心を刺激しているからです。
 
そして、観てきたことを絵日記に描ければ素晴らしいですね。
なぜなら、絵日記は、体験したことを思い出しながら、整理して、映像化し、
記録することですから、知的な訓練にもなっているのです。ただし、絵の巧拙
にはこだわらないようにしましょう。楽しく描けることが何よりも大切だから
です。
かつて、慶應義塾幼稚舎で、画家が使うイーゼルを立て、絵を描かせましたが、
その目的は「子ども達の顔をみたかったから」と舎長はおっしゃっていました。
夢中になって描いている子ども達の表情は「素晴らしい!」の一言に尽きるか
らです。
 
似ているところ(類似点)と違っているところ(差異点)を見つけ、話をさせ
ることも大切です。
言葉は、実際に話してみなければ、どうにもならないものです。自分で考えた
ことを、自分の言葉で話す機会をたくさん作ってあげましょう。野菜(キャベ
ツときゅうり)、花(さくらと朝顔)、果物(りんごとみかん)、乗り物(飛行機
と客船)などの組み合わせです。お子さんの話したことで、妥当性がある場合
は、正解です。
 
たとえば、「自転車とオートバイの違うところをいってください」の問題のとき、
「仮面ライダーはオートバイに乗るけど、自転車に乗って来ない」
といった子がいましたが、お母さん方はどう対処されますか。
「テレビのせいだわ!」と柳眉を逆立てる前に、とりあえず間違いではありま
せんから、まず、その考えもいいけれどとうなずき、「仮面ライダーを知らない
外国の人にお話ししてわかるかしら?」といえるお母さんになってほしいので
す。すると、お子さんは、自分の考えを認めてもらいましたから、人力と動力
の差に話が進むはずです。まず、認めてあげ、それから、正解に導いていくこ
とが大切です。私が現役の時、もっとも印象に残っている答えは、「花火と雪だ
るまは似ている」でしたが、どんな答えか想像してみてください。
 
さらに、朝顔やひまわり、家庭菜園で栽培した野菜などの観察絵日記(成長過
程や咲いた花の数、色、葉の形など)を描いてみましょう。成長の変化に気づ
く目が育ちます。
また、種まき、発芽、葉、花、種といった成長の過程を観察することで、科学
的にものを学ぶ姿勢も養うこともできます。
郊外の畑では、ナスやキュウリの小花を見せてください。鮮やかな紫色と黄色
の花にびっくりするのではないでしょうか。
 
また、幼児用のプールや風呂を利用して、浮くものや沈むものを実験してみま
しょう。
スイカは絶対に浮かないと思っている子がいますが、お子さんはどうでしょう
か。迷っている時は実物で実験するしかありません。最近は、小さなスイカ、
小玉スイカが出回っていますから見せてあげましょう。
手に持たせた時「沈む!」といったのは、野球の硬球とゴルフボールでした。
水がいっぱい入っているビンと少し空気が入っているビンなど、興味を示すは
ずです。
 
磁石につくものを探してみましょう。アルミ缶とスチール缶では、「うん?」と
なるはずです。砂場は、放し飼い動物の共同便所化したときもありましたが、
夕方にシートをかぶせるなど清潔になっているようですから、磁石を入れるの
も面白いので、実験してみましょう。
しかし、コンセントなどに近づけると危険ですから、使う場合は目を離さない
で、終わったら手の届かないところへ片付けるようにしましょう。
前回の折り紙を磁石で持ち上げる問題ですが、折り紙の下にクリップなどを置
くと持ち上げることができます。
 
4.絵を描くことに興味を持たせる 
絵を描くことを嫌う子が増えていると聞きますが、事実なら困ったことです。
絵は、言葉や身体表現と同様、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感が受けた
刺激から観察力が働き、記憶したことがらを表したものといえます。
幼児の描く絵は写生ではなく、イメージ化したものと考えてあげましょう。
「絵は心の窓」ともいわれています。
お子さんの、心境が表れているのです。
絵の巧拙にこだわる必要はありません。
お子さんが、描けた絵を見ながら話を弾ませる、よい聞き手に徹することです。
お子さんが、絵を描くときの顔を見たことがあるでしょうか。楽しそうに描い
ていれば、心配ありません。先程の舎長の話ではなりませんが、夢中になって
描いているときの表情は、楽しそうで、素晴らしいものだからです。
 
5.ものを作る意欲を育てる
最近の入学試験でも、制作は重要な課題の一つになっています。
「折る、塗る、切る、貼る、組み立てる、結ぶ」は、幼児教育の基礎、基本で
すから、当然なのですが、知的なトレーニングに力を入れがちではないでしょ
うか。
 
「手は第二の脳」で詳しくお話しましたが、たとえば、つぼ型の容器に入った、
ふたのついた糊には、教育的な配慮がなされています。
左手で持ち、右手でふたに付いている取っ手を上にあげないとふたは開きませ
ん。
適量をとらなければなりません。少なければはがれやすく、多ければベタベタ
になります。
まんべんなく塗るには適量をとり、左手で紙を押さえ、右手で、のびろのびろ
と丁寧に塗らなくてはなりません。
そして、ふたを閉め、手を拭きます。
汚れた手をきれいにするのは、清潔感を身につける基本的な生活習慣の一つで
す。
リップスティック型の糊は、粘着力もあり、手も汚れませんが、大切な作業を
省いています。
体験しない分、不器用になるということでしょう。家庭では、ふたつきの糊を
使ってほしいですね。
 
セロテープの使い方、丁度良い長さに切るのは難しいものです。必要な分を切
る作業、そして貼る作業、といったように「切る」と「貼る」を分けてみまし
ょう。はさみの使い方、紙の折り方、ちぎり方、こういった作業がスムーズに
できないと、制作は面白くないでしょう。
得意な子ども達は、お母さん方が、こういった作業の重要なことを理解し、こ
まめに自分で扱う機会を作っていると思います。
また、材料となる箱や、紙コップ、モールやリボン、もしかしたら、穴あけパ
ンチなども用意しているのではないでしょうか。
苦手な作業は、じっくりと時間をかけ、出来るようにしてあげましょう。
通っている教室にお任せだけではなく、家でも制作に励んでください。
 
折り紙は、巧緻性と記憶力を高める大切な遊びです。
かつて、暁星小学校では、5個作らせました。
簡単なものを、丁寧に折ることが大切です。雑に折ると、出来栄えも悪く、そ
れが子どもたちの興味をひかない原因になっているからです。
折り紙の得意な子は、姿勢もよく、物事を丁寧にする習慣も身に付いていると
いえます。
 
粘土遊びも大切な作業です。
砂場で遊ぶ機会が少なくなっているようですから、せめて、粘土で造形のおも
しろさを体験させておきたいものです。
「子どもの頃、砂場で遊ばなかったためか、最近の学生は、塑像作りが苦手の
ようだ」と東京藝術大学の彫刻科の教授がおっしゃっていたそうです。
折り紙と同様、立体作りは、子どもにとって楽しい学習になっていることを忘
れてはいけないと思います。
 
ここで問題です。
小さなみかんほどの粘土の塊があります。これを3つの同じ大きさの丸い形に
作ってください。(解答は最後にあります)
手先の作業として、輪ゴムつなげやクリップを長くつなげる遊びは、頭の疲れ
ているときなど、気分転換にもなります。
 
6.身体を動かし、体力と持続力を育てる
ボールつき、縄跳びは、バランスを必要とする全身運動です。
広い場所もいりません。お父さんの出番です。目標を決めて、できるだけ長く
できるように挑戦させましょう。お父さんと共に頑張ったことが試験に出れば、
一所懸命にやらない子はいません。持久力や耐久力もついてきます。
また、散歩に連れ出し、歩くことの楽しさも教えてください。車中心の生活で
は、足腰が鍛えられず、スタミナ不足では、我慢する力も育ちません。
クーラーのある快適な生活は、半面、汗をかかない不自然な環境でもあるわけ
ですから、汗をかく運動は、ぜひ、行ってください。
 
教室へは、電車で通いましょう。お子さんと電車に乗ることで、歩くことで、
たくさんのことを学習できます。電車内で時々見かけますが、お子さんと一緒
の時は、スマホを見るべきではなく、対話の楽しさを味わうべきです。スマホ
をほしがる小学生に聞くと、「ママだって、見てるもん!」と答える子が多く、
「ママが見ているから面白いに違いない」と思っています。子どもたちに「何
の遊びが好きなの?」と尋ねると「ゲーム」と答える昨今です。子どもの見て
いる時にゲームなどするなと言いたい。しっかり観察されていることを肝に銘
じておきたいものです。何事も、親が手本です。
 
そして、お母さん、お子さんと一緒に歌を歌い、踊りましょう。
身体表現をやってください。楽しい思い出が残っていれば、試験場でお子さん
も一所懸命にやります。
今までは、女子だけの別学の学校では、必修科目と考えましょうといってきま
したが、立教小学校では、ここ数年、音楽にあわせて身体表現をしましたから、
受験される方は準備をしておきましょう。
町内で盆踊り大会があると思いますが、お父さん、照れないでお子さんと一緒
に踊ってください。男の子は、恥ずかしがり屋が多いですから、その鎖を切っ
てあげましょう。
 
この夏は、お子さんの負担になる旅行はさけ、秋に備えて健康管理に留意して
ください。
そして、起こしてならないのは事故です。ちょっとした油断が恐いのです。
親として、監視の目(管理の目ではありません)は、絶対にゆるめないことで
す。
 
夏休みの講習会も始まります。楽しく通えることが第一で、そういった雰囲気
を作ってあげましょう。毎日学ぶことから身についた学習習慣を、家庭でも楽
しくできるように、うまく利用することです。
そして、苦手な領域は、時間をかけて理解できるように、決して感情的になら
ずに、気持ちを落ち着け、「ゆっくり、じっくり、しっかり」を目標に、お子さ
んと共に頑張ってください。
 
そして、健康管理にはくれぐれも注意してあげましょう。
 
  答え 花火と雪だるまの似ている点 
    「花火は消えて、雪だるまはとける。形が残らない」(絶句!)
  
丸い粘土の塊を粘土板の上で、手で押さえながら棒状に伸ばし、それを3等分
して丸めると、ほぼ同じ大きさの丸い塊を作ることができます。お母さんと一
緒にクッキーを作ったときに教わった子が、実際にやって見せてくれました。
     
ある年のこと、3つに分けた塊を一つに戻した時、「先生、1+1+1=
1になりますね」といった子がいました。皆さん方は、どう説明します
か。分数の基本です。以前お話しました、「量の保存」を思い出してくだ
さい。
(次回は、「今年の説明会 前半編」についてお話しましょう) 
 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>夏休みの過ごし方(1)

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第53
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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夏休みの過ごし方(1)
 
◇説明会情報◇
7月6日に慶応幼稚舎の説明会がありました。
小雨の中、第二会場まで案内があり、例年通り、多数の参加者があった模様
です。
 
説明会では、教育方針、校内の様子、行事について説明がありました。
武田舎長先生から、「幼稚舎は福沢諭吉の思想、教育理念に基づいている。
有名だから…人気校だから…という理由で受験するのではなく、理念に共感
して我が子を託したいと思う方に受けてもらいたい」というお話がありまし
た。
 
また、行事も数多くあり、行事内容も多彩なところに、とても魅力を感じま
した。説明会後、希望者には校内見学ができました。
伝統校の中にも、最新の設備があり、すばらしいと思いました。
 
東京、神奈川、埼玉、千葉の小学校の入学試験本番まで、後3ヵ月有余、「夏
を制するものは受験を制す」ともいわれています。夏休みの過ごし方に、合
否の鍵があるといっても過言ではありません。
一昨年の慶應義塾幼稚舎の説明会で、大島前会長先生が、志願者の多い中、
入学試験を通して選抜せざるを得ない実状を述べられたうえで、「入学試験
のために、5、6歳の幼い子ども達に、不自然な生活態度を強いることを望
んでいません」と保護者の方への心構えをお話しされました。
大島前舎長ではありせんが、不自然な生活態度を強いることなく、大切な日々
を有効に過ごすポイントは、ご両親の考え方にあります。
 
まずは、何といっても健康管理です。幼稚園が休みになると、生活のリズム
が狂いがちです。幼稚園があるときと同じように、規則正しい生活のリズム
を崩さないことです。1日のスケジュールを立て、それにしたがった、メリ
ハリのある生活を送りましょう。 ただし、あれもこれもと、過密なスケジ
ュールでは、お子さんの負担を増やすだけで、かえってマイナスになりかね
ません。余裕を持って、計画を立てることです。遊び時間をきちんと配慮し
てあげましょう。
 
知的な能力は高いが、体力に不安がある子が多いのも、小学校受験の特徴の
ようです。机の上での勉強だけではなく、体を十分に動かす時間を設けまし
ょう。買い物などに出かけるときは、車を使わずに歩き、汗を流す機会を作
ることです。十分も歩かない内に、「おんぶ!」をせがむようでは、とても
受験に対応できません。 
肉体的なスタミナがなければ、精神力も弱いものです。一所懸命に頑張る意
欲や耐久力は、入試に欠かせない大切な要素です。運動教室にお任せだけで
は、真のスタミナはつきません。冷房の効いた快適な環境から、失うものも
あります。お父さんにも手伝ってもらい、一緒に汗を流しましょう。お父さ
んのリフレッシュにも役立ちます。夏休みの間は、ゴルフバッグに封をして
おきましょう。
 
ところで、夏休みに入ると、友達と遊ぶ時間が、不足しがちです。受験一色
になると、友達との遊びを悪いことと考えるお母さん方がいると聞きますが、
それは間違いです。
社会性や協調性といった集団生活への適応力に欠ける子は、どこの学校から
も歓迎されません。
行動観察型のテストでは、こういったところがはっきりと表れます。集団生
活への適応力は、問題集をこなすだけでは養われません。
 
最近、友達が家に来て遊ぶ機会も、少なくなっていると聞きます。
自分の家と全く違う生活習慣があるなど、本来は、貴重な体験をする機会で
もあるのですが、あまり歓迎されていないようです。せめて、同じくらいの
年齢の子がいる親戚を訪ね、違った生活を送るのも貴重な体験になるのです
が。
 
また、一人遊びも大切です。
遊びを通して自発性、考える力はもちろんのこと、一生懸命に取り組む意欲
や持久力もついてきます。入学試験に備えて、親が勝手に子どもの遊ぶ時間
まで管理するのは、いかがなものでしょうか。何から何まで管理していると、
無気力、無関心、無感動、無表情な「指示待ち子ども」になりかねません。
遊びを通して培われる力こそ、子どもにとっては、大切な財産になることを、
忘れないようにしてほしいのです。
 
任期前に辞任し、現場の教師に復帰した加藤三明元幼稚舎長は、毎年説明会
で「5歳のわが子を、受験のためにスポイルしないでほしい」とおっしゃっ
ていました。受験準備は、早稲田実業初等部の教育目標ではありませんが、
「ゆっくり、じっくり、しっかり」と余裕を持って取り組みたいものです。
 
ここで一言。
夏の幼稚園や保育園の行事に、お泊り保育があると思います。その時の様子
を先生に伺っておきましょう。家族から離れて生活した時、今まで気づかな
かったお子さんの一面が、現れることもあるからです。泣き出してしまうお
子さんもいて、先生方も意外な思いをする話を、よく耳にします。入学試験
は、「生まれて初めての場所に入り、生まれて初めて会った先生の指示に従
い、初めて会った同年代の子ども達とグループを組み、いろいろなことに取
り組む」からです。心配なところが見つかった場合は、育児が過保護、過干
渉、自由放任になっていないかをチェックし、自信を持って取り組める気持
ちを育ててあげましょう。
特に、過干渉になりがちなお母さん方、口を挟む前に「1,2,3,4,5」
と数えましょう。そんなわずかな間でも、お子さんに考えさせる時間を与え
ていることに気づいてほしいのです。
 
    ★家庭でできる具体的な受験準備 
次に、ご家庭でできる具体的な受験準備についてお話しましょう。
本メールマガジンを通して、しつこく触れてきましたので、またかと思われ
るでしょうが、大切なことですから繰り返します。
 
 1. 聞き取る力をつけるには
小学校の入学試験は、話を聞き取る力がついているか、いないかで決まりま
す。ペーパーテストには設問はありませんし、行動観察型のテストでは、先
生の話を聞かなければ、何もできません。
本を読んであげましょう。
耳と目から入ってくる情報から好奇心は刺激を受け、言葉を映像化する作業
がフル回転で行われ、記憶する意志が自然と働きます。一人になったとき、
本を見ながらお母さんに読んでもらった言葉を、筋道立てて思い出している
のです。
語彙がふえることで言語力、
イメージが豊かになることで想像力、
話を筋道立てて思い出すことで思考力、
より正確に覚えようとすることで記憶力、
言葉や絵、身体で表現することで表現力、
そして、何よりも大切な集中力、話を聞き取る力、話を聞く姿勢が身につき
ます。
 
「本の読み聞かせと対話」の効果を、説明会で最初に力説されたのは、平成
14年に就任した立教小学校の田中司元校長でした。
さらに、お子さんと話をする時間をたくさん作り、よい聞き手に徹してあげ
ましょう。 言葉は、とにかく話をしなければどうにもなりません。どんな
拙い表現でもよく聞いてあげ、お母さんが正しい言い方に直してあげましょ
う。言葉のキャッチボールを楽しんでください。
「対話の反対は沈黙ではなく、命令と強制」といったのも田中元校長でした。
含蓄のある言葉ではないでしょうか。
 
そして、正しい指示を出しましょう。
「ユキちゃん、そこにある、あれ取って」
などと言っていないでしょうか。
これでは、指示を出した本人しか理解できません。
「ユキちゃん、テーブルの上にあるお料理の本を、お母さんのところまで持
ってきてください」
「これ・それ・あれ・どれ」は代名詞ですから、きちんと名詞に置き換え、
丁寧なことばで応対しましょう。
   
面接の折りに、「デス、マス」を自然に使って話をさせたければ、お母さん
がお子さんの前で、響きのよい言葉をたくさん使ってあげることです。心地
よい言葉は、使ってみたくなるものです。
 
また、あいさつは、きちんとするように心がけましょう。
 
そして、用事を頼み、お手伝いをしてもらったときは、必ず「ありがとう」
と感謝のことばをかけてください。こういった気配りから、お子さんの心の
中に、相手を思いやる心も育まれてきます。
 
さらに、しりとり、同頭語、同尾語、反対語、短文の復唱などは、言葉遊び
として、楽しみながら学習すれば、お子さんは喜んで挑戦するはずです。
 
この時期になると、「お話作り」を苦手とするお子さんが増えてくるようです。
前にもお話しました、「ママ(パパ)、あのね!方式」を採用してみましょう。
話す相手がお父さんやお母さんであれば、プレッシャーもかからず、気軽に
話せるからです。
そして、親が作った話を覚えこませるようなことはせずに、自分で思ってい
ることを、自分の言葉で話せるように、しっかりと聞き手にまわり、上手、
下手は、二の次と考えることです。
こういった課題は、とにかく、言葉が出なければ、どうしようもないからで
す。
「こんなこと言ったら笑われるかな!」とか「これでは、ママに叱られるかし
ら?」などと思い始めると、言葉は出てきません。
どんな内容でも相槌を打ち、よく聞いてあげてから、
「こうした方が、ママはいいと思うけど、ユキちゃん、どうかしら?」
と、お子さんの話を認めてあげ、導いてあげると、お子さんは納得してつい
てくるものです。
 
言葉が出ないのは、お母さんがしゃべりすぎの場合も考えられます。
「何とかしなければ」とお母さんがあせれば、お子さんは苦手意識を持ち始め
ます。自信をなくしますから消極的になりがちで、これでは行動観察型の試
験に対応できません。お子さんの話に耳を貸し、うなずき、認めてあげてか
ら、お母さんが考える方向へ、「ゆっくり、じっくり、しっかり」と導いてあ
げましょう。
 
2. 考える力をつける
最初のところでもお話しましたが、トランプは、数字と同じ数のマークがか
いてありますから、数感を養うすぐれた教材です。
1枚ずつカードを出しあって勝敗を争えば、直感で多少を見分ける力がつき
ます。
これを繰り返していると不思議なもので、引き算の練習をしているのではな
いのですが、 
「6と3では、6の方が3つ多い」
「10と8では2つ違う」
と多少の学習になります。
数の違うカードを5枚並べ、いちばん多いもの、少ないもの、2番目に多い
ものなどの学習もできます。
 
ところで、数え方ですが、たとえば、15個あるリンゴを、お子さんはどの
ように数えていますか。
a  1,2,3,4と1個ずつ指で押さえて正確に数える。
b  2,4,6,8と2個ずつ押さえて数える。
c  3,6,9と3個ずつ押さえて数える。
d  4,8,12と4個ずつ押さえて数える。
e 5,10,15と5個ずつ押さえて数える。
eは最も速い方法ですが、幼児の手の大きさから考えると、5個ずつ押さえ
るのは容易ではありませんから、無理をしないことです。
できれば、3個ずつ、掛け算の3の段、3とびをマスターすると、早く、正
確に数えられます。
    
15個のおはじきをばらばらに置き、aからやってみましょう。
言葉と数が一致しないと、に(二),し(四),ろく(六),や(八),と
お(十)と数えられても「や、っていくつ?」といったように混乱しがちで
す。これを理解させましょう。数を訓読みで覚えると、一日を除き、日にち
に対応できます。
15の場合10までいったところで元へ戻り、2、4で止め、1個あまりで
14個、つまり、数え終わったときの4を10にくっつければ14となり、
それに余った1を加えれば15となることを教えます。
この場合、トランプの10と4のカードを使うとわかりやすいと思います。
理解できたら、おはじきは、どんな並べ方でも簡単にできますから、どんど
ん並び替えて挑戦してみましょう。
 
以下、同じように、c,dにも取り組みたいのですが、cをマスターできれ
ば最高と考え、後はできる場合は挑戦してもかまいませんが、絶対に無理を
させないで下さい。
 
そして、eの5個押さえる方法ですが、たとえば、7個のリンゴを数えると
き、5個の集まりを手で押さえれば、残り2個ですから、合計7個であるこ
とがわかります。いきなりeの数え方を教えず、きちんと段階を踏んであげ
ましょう。大人が考えるほど簡単ではないからです。
    
合成、分解も、カードを使うと面白く学習できます。
10のカードを使い、マーク1つを指で押さえれば[1と9]であることが
わかります。
同様に、2つ押さえて[2と8]、3つ押さえれば[3と7]であることも
わかります。
以下、同様にして挑戦しましょう。
[10]は[1]が10個集まっていると考えれば、楽しく取り組めるはず
です。
    
トランプは、神経衰弱からは記憶力が、7並べでは1から13までの数列や
系列完成、下のように並べると上から、下から、左から、右から何番目、黒
を中心に左斜め上、右斜め下といったように位置の問題の学習にもなります。
         □□□
         □■□
         □□□
その他、オセロやおはじきなどで分割を、積み木では、立方体を積み重ねる
ことで、見えないところにある数の発見、模倣構成、四方図形なども楽しく
学習できます。
積み木の四方図形は、斜面を正面から見る場合、子ども達は「……?」とな
りがちですが、実際に積み木を使ってやってみると、理解できます。 
プリント学習に疲れたときなどにゲーム感覚でこういった遊びをすると、気
分転換にもなります。    
数量や推理・思考、図形など、苦手な分野の問題は、じっくりと時間を使え
る夏休みにこそ、全力で取り組みましょう。    
 
ここで問題を。
折り紙を磁石で持ち上げたいのですが、どうすればできるでしょうか。実験
は、遊びの感覚で取り組むことが大切です。
 
夏はこれからが本番です。頑張りましょう。    
(次回は、「夏休みにできる家庭学習2」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>建学の精神、教育方針の理解の仕方 (2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第52
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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建学の精神、教育方針の理解の仕方 (2)
 
★説明会情報★
6月22日に行われた白百合学園小学校の学校説明会は、雨模様の中今年もたく
さんの参加者で講堂がうまりました。
 今年は校長先生がかわり、初めての説明会となりました。しかし、さすがに
伝統ある学校ですから、ぶれることのない「建学の精神と教育方針」のお話を
聞くことができました。
 また、昨年に続き3年生の合唱、「一年桜組の一年間」という映像の上映に加
え、6年生3名による「最上級生として」というテーマの発表がありました。
いずれも入学してからの子どもたちの様子がよくわかる、すばらしいものでし
た。
 
 
もやしっ子をなくすためにサッカーを取り入れた学校といえば、暁星小学校で
す。今は、どうでしょうか。もやしっ子は、たくましくなり、全国高校サッカ
ー選手大会に出るほどの実力を備え、強豪といわれるまでになりました。
サッカーは、かなり、過激なスポーツです。手は使えませんから、体を張った
足技が、ものすごいですね、このことです。
サッカーは、まさしく格闘技です。ワールドカップを見ていても、「ここまでや
るか!」といったプレーが随所に見られました。ですから、イエロー・カード
やレッド・カードと、反則に厳しいペナルティーを与えます。「ルールを守って
戦うフェアーな精神の持ち主」であることも大切な条件です。さらに、11人
で戦うゲームですが、一人ひとりは、敵を自分に引き付けておき、ぎりぎりの
ところで味方にパスをつなぎ、最後にゴールにシュートを決めるチャンスを勝
ち取れるのは、たった一人です。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬あり」ではありませ
んが、犠牲的な精神が求められます。チームワークです。フェアーな戦いとチ
ームワーク、ここに学園の教育の礎があるのではないでしょうか。
 
小学校の門には、「困苦や欠乏に耐え、進んで鍛練の道を選ぶ気力のある少年以
外は、この門をくぐってはならない」と書かれた額が掲げられています。今年
の説明会は暁星学園の講堂で行われますが、その日は校舎見学もできます。
貴重な機会ですから、額を拝み、1階にあるチャペルで少し時間を過ごしてみ
ましょう。何か感じることがあるはずだからです。
 
数年前の説明会では、小学校時代、運動の苦手だった子が、友の誘いでサッカ
ーに挑み、サッカーチームの一員となったばかりか、切磋琢磨して難関校へ合
格、共に励ましながら目標を達成する「鍛える教育」の成果を作文で披露しま
したが、よくわかる話でした。
 
高校までの一貫教育に関しては、そのまま大学へ進んでしまうより、社会へ出
る前に受験勉強をし、その厳しさを体験させるべきだと考えるお父さん方が多
いようで、進学状況を見ても、生徒はしっかりと応えていることもわかります。
 
「宗教教育」「別学の教育環境」「高校までの一貫教育制度」に期待すること、
プラス、「困苦や欠乏に耐える気力のある少年」をどのように解釈するか、ここ
がポイントではないでしょうか。「質実剛健」だけでは、説明しきれないのでは
と考えます。
以前、佐藤前校長が説明会で、暁星小学校の求める子ども像として、日本昔話
のキャラクターでもある「気は優しくて力持ち」といっていましたが、この比
喩はわかりやすいのではないでしょうか。一昨年から吉川直剛校長になりまし
たが、同じ話を聞くことができました。
 
青山学院初等部は、ミッションスクールは別学が多い中で、めずらしく共学で
す。ランドセルも通信簿もありません。これが、青山の教育方針です。
ランドセルは、昭和40年に廃止しています。その理由は、ランドセルは、「学
校追従型のシンボル」と考えているからだそうです。1に勉強、2に勉強、3、
4がなくて5も勉強です、現代っ子は。
家で宿題やら予習やら復習をひたすらこなす前に、「家庭で、きちんと身につけ
なければならないことがありませんか」ということではないでしょうか。
家庭でしっかりとやらなくてはならない基本的な生活習慣や躾、言葉遣い、そ
して情操教育が、なおざりにされていないでしょうか。青山は、家庭での教育
を重視しているということです。
 
通信簿は、相対評価が多いものです。
5が2人いれば1も2人といった評価ですから、通信簿は相手との比較表にな
りがちです。比較表ではなく、学習の質を問うのが勉強の評価ではないでしょ
うか。ですから、期末試験の結果や出てきた偏差値といった評価をする資料の
ない状態で、先生と子ども、先生と保護者が、直接、話し合うそうです。
通信簿がないことは、結果よりプロセスを重視する学習観ではないでしょうか。
自分で考え、判断して、行動する、自発性です。結果さえよければそれでいい
という価値観と違い、思考力、判断力、行動力を育てる教育で、新学習指導要
領が掲げる“アクティブ・ラーニング”と同じではないでしょうか。
 
ところで、意外に知られていないことがあります。
初等部のHPを開き、「教育」のところの「国内短期留学・止揚学園」をご覧くださ
い。30数年前、ある本を読み知ったのですが、「すべてが教場」の意味を理解
できたものでした。青山学院は、こういう教育を実施している学校でもあるの
です。
 
「宗教教育」「共学」「大学までの一貫教育制度」に期待することは何でしょう
か。「共学」を忘れがちですが、これも大きな特徴です。そういったことから、
まとめてみましょう。
 
国府台女子学院のことを、千葉の白百合学園とさえおっしゃるお母さん方がい
ました。小学部の入学試験の難しさといい、大学への進学状況を見ても、「さも
ありなん」と思わざるをえないほど実績を上げています。一昨年の4名に続き、
昨年度も、医学部への進学が5名あったとのこと、「社会で活躍できる女子を育
てる」方針が着実に実を結んでいるのではないでしょうか。
 
価値観が多様化し、社会全般が「エニシング・ゴーズ、何でもあり」の風潮を
歓迎するムードがありますが、そういったウイルスに感染することなく、小さ
い頃から一つの価値観に基づいた教育を受けさせたい、そう考えるご両親が増
えていることも事実です。
 
仏教に基づく教育を行い、女子だけの、高校までの一貫教育校です。
月毎に行われる仏教行事は、本学院の教育理念である「敬虔・勤勉・高雅」を
身につけるための、貴重で重要な教養、教化となっています。「教養は、徳をみ
がき、人格を高めること」で、「教化は、キョウゲと読み、人を教え、よい影響
を与えて善に導くこと」だそうです。となると、教育理念である「敬虔・勤勉・
高雅」を、どのように解釈するかが問題になってきます。
 
たいへん難しい言葉です。HPにも解説がありますが、わたくし流に考えると、
こうなります。
「敬虔」は、仏につつしんで仕えることから、深く敬って態度をつつしむさま。
「勤勉」は、勤めて骨を折ることから、何事も一所懸命。
「高雅」は、気高く、雅(みやび)やかなことから、だれからも愛される気品。
 
このように置き換えてみると、わかりやすいのではないでしょうか。「つつまし
く、一所懸命に頑張る、心のやさしい子」といった子ども像が浮かんできます。
そういった子どもに育ってほしいと考え、育児の基本にしているご両親であれ
ば、学校の教育方針と一致していることになります。
以前、教育理念を俳句もどきに、
       ひたむきで つつしみぶかく みやびやか
などとお母さん方に紹介していたこともありました(笑)。
 
ある年の説明会で、平田史郎学院長は、不作法で言葉遣いの乱暴な者を評して、
「訓練されていない個性は野性である」とおっしゃっていました。
創立記念日に招かれ、講堂に案内されたとき、左手に数珠を持ち、私の左側に、
腰をかがめながら先導してくれた、児童のその姿が何とも優雅であったことが
印象に残っています。また、1年生が、きちんと挨拶をするのにも驚かされま
した。宗教教育は、形から入って心を作っていくものと思っていましたが、納
得したものです。
 
女子だけの環境については、「女子だけだからいいのです。女の子しかいないの
で、男子のする仕事までやることになり、体験の幅が豊かになります」といわ
れ、共学にする予定は、まったくないと断言しています。今年の幼児教室対象
説明会でも、女子教育の効果を医師国家試験の合格率や大学合格率のデータを
元に、強調していました。
こういったことをヒントに、「宗教教育」「女子だけの教育環境」「高校までの一
貫教育制度」に期待することをまとめてみましょう。
 
2回に分けて、「私学の建学の精神、教育方針の理解の仕方」について、「おと
うさん、おかあさんの受験対策」(めぇでる教育研究所 刊)からピックアップ
して紹介しましたが、これは、あくまでも「わたし流の考え」にすぎません。こ
ういった解釈を情報として公表するのには、少し、心配があります。それは、
幼稚舎が作文を止め、面接を廃止した理由が、あまりにも「傾向と対策化され
ている現状から意味がないと判断したから」とおっしゃったことと同じ理由か
らです。一つの考え方、ヒントとしてお読みいただき、ご自身の言葉でお話し
できるようにしていただきたいと、老婆心ながらお願いしておきたいと思いま
す。
 
間もなく夏休みに入りますが、夏休みの講習会に参加し、キチンと計画を立て
て、乗り切りましょう。「夏を制する者は秋を制す」、この気持ちで頑張ってく
ださい。
     (次回は、「夏休みの過ごし方」についてお話ししましょう)

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