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めぇでるコラム : 2021小学校受験: 2020年7月

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>説明会から

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        「めぇでる教育研究所」発行
2021さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第56号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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説明会から
 
 
○説明会情報
  白百合学園小学校 個別相談会
    8月25日(火)~28日(金)午後1時30分より午後3時
    (一家族15分)
    申込期間 7月20日(月)9時から8月20日(木)17
    時まで。
    申込みはHPから。状況に応じて変更もあり。
      
今年は、新型コロナウイルス感染症拡散防止のため、慶應義塾幼稚舎は開催を
中止しましたが、WEBで学校を紹介するなど、お茶の間にいて情報を得るこ
とができ、みなさん方も、様々な学校の情報に接する機会となったのではない
でしょうか。白百合学園小学校もWEBで行いましたが、今回は、昨年行われ
た白百合学園小学校では、実際にどのように行われたか紹介しましょう。速報
でもお知らせしましたが、天使の歌声、3年生によるコーラスを聴くことはで
きませんでしたが、映像がないだけに難しいですが、雰囲気を味わっていただ
ければと思います。ただし、文言は、正確ではないことをお断りしておきます。
      
 
  めぇでる教育研究所 入試情報
 
白百合学園小学校 学校説明会
日 時 令和元年年6月22日(土) 10:00―11:20
場 所 学園講堂
参加者 推定約800名
    
 9時半受付開始前に、飯田橋と九段下方面からの参加者の列ができていまし
た。2階席にも入った様子なので、800名以上になったのではないでしょう
か。
 入り口で、説明会参加票(ホームページからダウンロードして保護者名と住
所を記入して持参。個人情報は説明会参加の有無だけに使用との説明書き有り)
を提出して、資料を受け取り入場。
 説明会に先立ち、司会者が入り口で配布された資料について、封筒の中には
本日の次第、学園報(学期に1回幼、小、中、高の保護者に配布)、「大樹」
(月に一回小学校の保護者に向けて発行)、学校案内(建学の精神、教育目標、
2020年度の児童募集について)、「文集しらゆり」(1年生から6年生ま
での作文、感想文など)が入っているとの説明がありました。
 
 昨年度まで副校長の根本徳子先生が校長になり、初めての説明会。ご挨拶の
お話にも緊張の感じられる中、粛々と進められました。
 また、昨年に続き3年生の合唱、「一年桜組の一年間」というビデオの上映
に加え、6年生3名による「最上級生として」というテーマの発表があり、い
ずれも入学後の子供たちの様子がよくわかる、すばらしいものでした。
 
  次 第
   10:08~10:20  根本徳子学校長挨拶 建学の精神と教育方針
   10:21~10:38  学校紹介の映像「1年桜組の1年間」
   10:38~10:45  最上級生として(6年生の発表)
   10:45~11:05  本校の教育活動 やすくら けいこ 教頭先生他
   11:07~11:15  3年生の歌
   11:15~11:18  連絡
           
学校長挨拶 建学の精神と教育方針  根本 徳子校長
 「お早うございます。本日は朝早くから、こんなにたくさんお集まり頂きま
して有難うございました。私が校長の根本でございます。私共の学校について
よりよくわかっていただけるために、映像、発表などを交えながら進めさせて
いただきたいと思います。初めに、私からは、私共の建学の精神、教育方針に
ついてお話し申し上げます」との挨拶から始まりました。  (以下、要約)
 
 白百合学園はフランスにあるシャルトル聖パウロ修道女会を設立母体として
いる。その修道女会創設の時の修道女たちの心を受け継ぎ、子供たちに神の愛
に仕え、時代の要請にこたえるような教育をすることを精神として続けている。
 
 まず創立当初の様子をお話しする。
 シャルトル聖パウロ修道女会は、フランスパリからかなり離れたルヴェヴィ
ル・ラ・シュナルというたいへん小さな町が発祥の地になっている。
17世紀末、戦争などで苦しく貧しい中で子供たちの教育がおろそかになって
いた。その状況に心を痛めたルイ・ショウベイ神父が子供たちのために学校を
始めようと決意し、神父様の思いを受けた4人の娘たちが子供たちを集めて手
芸などの手の仕事を教えることを始めた。
それと同時に、その村に病人がいると見舞いや看護などの、人々の苦しみに共
感した献身的な愛のある活動をしていた。(写真を映しながら)、これは当時
の建物と教室で、この小さな教室が原点。その教室から始まり、300年以上
たって今の私たちの教育につながっている。その建物は今も残っており、私は
かつて訪れたことがある。その教室を見たときに今の教育につながることを感
じ、身の引き締まる思いをしたことを思い出す。
 
 その後、日本の活動は、1878年(明治11年)5月28日に、函館の港に
到着したフランスの3名の修道女から始まっている。当初は言葉や習慣などに
大きな戸惑いを感じながらも、子供たちの教育を始めた。十分な施設もなく苦
労しつつも、創立当初の精神を受け継ぎ、隣人への愛をつくすという修道女た
ちの熱い思いがあった。その3人の修道女の働きが各地方に広がり白百合学園
の教育事業の原点となり、現在北海道から九州まで7校の姉妹校がある。
函館から3年後、1881年(明治14年)に東京に学校が設立された。それ
から現在まで141年にわたり、伝わってきている。今年が141年目である。
 
 その修道女の思いを現在私たちがどのように子供たちに伝えているかをお話
しする。
 社会から顧みられない人々や敬遠されがちな場所を優先して奉仕するという
修道女の精神を基盤とし、助けを必要としている人々に思いをはせながら、自
分に何ができるかを考えて実践していくということを設立当初の修道女の心を
受け継ぎながら、時代の要請に応えて教育を行っている。それをいいかえると
キリスト教の精神に根ざした価値観を養いながら神と人の前に歩み、愛の心を
もって社会に奉仕できる女性を育てるということである。聖書の教えを言問い
ながら、一人ひとりの存在をかけがえのないものとして大切にし、ほかの人の
幸せをも願って喜んで働くことのできる女性を育てている。
 
 具体的な目標としては、校訓として「従順、勤勉、愛徳」の3つの言葉に集
約している。
 児童が自分の行動に結びつけられるように、「従順」は「すすんでみがこう
正しい心」という低学年でもわかるような言葉に 自分の良心の声に耳を傾け
ながら、素直に従い、より良いものを求めて、みんなが喜んでいけるような子
供たちになってほしいと思っている。「勤勉」は、「すすんでなんでも一生懸
命」という言葉に置き換えている。自分から進んで行動に移すこと、他人や保
護者に声をかけてもらうのではなく自分から行動に移し、与えられた自分の力
を磨き人のために役立ち、そこに喜びを見いだせる子供に育てたいと思ってい
る。「愛徳」は、「すすんで親切喜んで」という言い方で子供たちに考えてい
る。自分も大切にされ、周りの人々も大切にし、周りの人の気持ちを受け入れ、
お互いに大切にしあう。ほかの人のために何か自分が尽くせることを考えて行
動に移し、それが喜びにつながるように、そういう子供たちを育てていきたい
と思っている。
 今年度は従順にスポットライトをあて、教師一丸となって子供の指導に当た
っているが、詳しくは後程教頭から話してもらう。
 
 「いろいろな情報や説明会での話、資料などに目を通していただき、私共の
学校を一層ご理解いただき、入学をお考えいただければ大変うれしく存じます。」
と結ばれました。
 
ビデオ上映「1年生さくら組の1年間」
 一昨年までは「野に咲く白ゆりのように」で、学年全体の1年間の様子を紹
介したものでしたが、昨年からは、一昨年入学した1年桜組の1年間を追って
紹介したもので、保護者の方々には、我が子の入学後の生活をわかりやすくイ
メージできるものとなっています。
 1年生の生活の様子の中で上級生とのつながりも感じられ、また、1年間の
行事のタイトルをフランス語で紹介しているところが、1年からフランス語を
やっている学校らしく、学校の特色もよくわかるものでした。
 
6年生による発表
 平成26年から始まった試みです。最初の生徒は学校の魅力として宗教のこ
とを挙げ、キリスト教から学んだこと、感じたことを発表してくれました。2
番目の生徒は「妹」というタイトルで、妹とお姉さまと呼び合う学年を超えて
のつながりや姉妹校のことについて、3番目の生徒は1年生の世話をすること
や、休み時間の過ごし方のことなどの学校生活についてでした。いずれも児童
の視点からの発表ということもあり、非常に参考になりました。
 
本校の教育活動 やすくら けいこ 教頭先生
先程の映像と6年生の作文から、本校の教育活動の一部がお分かりいただけた
と思う。私の方からは日々の教育活動についてお話をする。(以下要約)
 
 本校は併設幼稚園から60名、小学校から60名の120名でスタートする
が、最初はゆっくりと丁寧に指導していく。約2週間は送り迎えをお願いする。
その間には教員や上級生からたくさんのことを教わる。
 様々なことに興味関心を示し、感じたり考えたり、自分から取り組む姿勢を
身につけられるように、発達段階に応じた指導をしている。
 各教室には子供たちの目指す白百合生の姿として「より良いものを求めて、
自分から動ける子」という言葉が掲げられている。本校の授業はすべて白百合
生の姿を意識し、お子様たちが主体的に学びを深めるための基盤と考えている。
お子様方が学習内容の基礎基本を確実に理解し、思考の広がりを発展させてい
くためには、一人ひとりが自分の考えを持ちお互いに学びあえる学習集団であ
ることが必要だ。そのために、自分の考えを的確に書き表す力や、みんなで話
し合ったことをわかりやすく表現する力を身に着けるように指導している。ま
た、授業で学び、理解していく喜びを味わうことが大切と考え、家庭学習では
授業で興味深く感じたことを調べるなど、予習よりも復習を重視している。家
庭学習は本来ご家庭で行われるものであるが、習慣づけをするために、週に1
回学校へ提出する家庭学習を通して、私たちはお子様方の学習状況を把握して
いる。高学年になっていくに従い、自分の苦手なところ、深く勉強していきた
いところを見つけて自分から学習に向かう姿勢を身につけることはとても大切
だと考えている。塾に通い、与えられた学習をこなしていくのではなく、自ら
学ぶ力を小学校時代に身につけていくことで、進学した時の大きな力になると
思っている。
 作文、読書指導にも力を入れ、1年生から日記指導を。文章を書くことに慣
れ、自分の考えを綴ることを重ねていくうちに、作文、感想文などで豊かな表
現力が発揮されている。お手元の「文集 しらゆり」に掲載されているものは、
学校で書いたものであり、大人の手は一切入っていない。子供たちの心の成長
を感じることができる。読書指導では、本校指定の必読書を設けたり、推薦図
書をはじめ司書教員の読み聞かせなど、本に親しむ場を多く作っている。1年
生は授業の中だけでの貸し出しなので、1年間に120冊程だが、学校全体で
は一番多い子供は700冊も借りているようだ。読書離れが叫ばれているが、
本校の生徒はたいへんよく読書をしている。
 表現力の教科は外国語のなど教科においても培われている。2012年から、
中学生の体育でダンスの授業が必修化されたが、本校は42年前から取り入れ
ている。ダンスの授業は学年が上がるにしたがって、教師の指導から離れて自
分たちの振り付けを考えて作り上げるようになっていく。ダンスの授業は単な
る技術の習得ではなく、ダンスを通して自己表現力を伸ばしたり、友達とのコ
ミュニケーションを豊かにしたりすることにもなる。友達と踊ることの楽しさ
を体感できるように指導している。
 また、自主性を発揮する場面は委員会やクラブなどの特別活動や総合の時間
でも行う。児童が新しい企画を考えて全校に呼び掛けたり掲示をしたり、積極
的に活動している。姉妹校との交流会も児童の企画で進められている。
 
 次に異年齢集団の活動について。
 1年生から6年生までの縦割りメンバーで構成される白百合タイムの活動が
ある。各グループは各学年5人ずつで構成され、1グループ30人で全校児童
が24グループに分かれて活動する。5、6年生が企画進行する中で、上級生は
リーダーとして下級生を導き、下級生も上級生から多くのことを学んでいる。
学年に応じて、リーダーシップや自主性、協力、思いやり、コミュニケーショ
ンを学んでいる。上級生と下級生のかかわりから、学年を超えた交流を深めて
いる。校内の清掃も縦割りのメンバーで行っている。
 
 次に本校の専科制について。
 専科教員全員が副担任として各学年に配属され、担任副担任が共に学級指導
に当たり、多くの目で児童を見守り、いろいろな側面から優れたところを見い
だせるように、全教師が一人ひとりを大切に思い、細やかな指導を心がけてい
る。保護者の方ともよい関係を築きながら、お子様方の望ましい成長のために、
保護者と学校が同じ方向を目指しながら教育している。
 
 最後に、一貫校に通う良さは、一生の友を得られることではないかと思って
いる。それが一番の宝物であり、本校教員の中にも卒業生が数名いるが、その
話の中で、今でも変わらぬ交流をしているということがうかがえ、うらやまし
いと私は思っている。小学校で楽しく充実した学校生活を過ごし、さらに高校
卒業まで同じ経験や思いを共有しているからだと思う。また、多くの卒業生が
母となり、わが娘を母校の白百合に入れたいと思ってくださる学校であり続け
たいと思い、日々の指導に当たっている。
 
 それでは、本校の特色である宗教教育、外国語教育、今一番皆様が心配され
ているであろう登下校時の安全と防犯防災について担当教師が話をさせてもら
う。
 
宗教教育 くぼた先生
 キリスト教は2つのことを大切にしている。
一つは「1人の神(三位一体の神)を信じること」、もう一つは「隣人愛(周
りの人を大切にする)」である。これを含めたキリスト教の考えが建学の精神
のもととなっている。これを使って学校生活の教育活動、生活指導を行ってい
るのが本校である。
 学校生活では、お祈りをたくさんする。朝礼の時、食事の時、帰りの会の時
など。特に朝礼の時は朝礼担当者が自分でお祈りを作ってそれを唱えている。
あとは今月の言葉といって、聖書の言葉や聖人の言葉を皆で唱えることをして
いる。
 次に宗教行事について。よろこびのミサ、クリスマスミサをこの講堂で行う。
また、イグナチオ教会や神田教会に行ってミサにあずかることもある。また、
ミサではないが、ロザリオの集い、亡くなられた方への祈りの会のようなお祈
りを中心とした行事を行っている。例えばクリスマスミサの場合は、クリスマ
スの本当の意味、イエス様のお生まれになったことを宗教の時間に教える。そ
のような準備をして、学校全体で行うというのが宗教行事。
 宗教の時間では、1年生は特にお祈りを教えている。6年生の授業では、た
とえ話を通してグループで話し合いをしてわかったことをまとめたりすること
で、宗教への理解を深めている。
 
外国語教育 やくわ先生
 フランス語は1年生から、英語は3年生から、その2つの外国語を、日本人
とネイティブ教師によるチームティーチングの体制で指導している。
 子供たちが会話や活動を通して、言語の面白さや楽しさを味わうことを第一
に、自分の考えを伝えたり他人の思いを受け入れたり、お互いを尊重しあう心
を育てたいと考えている。また、英語やフランス語でのお祈り、聖書の言葉の
斉唱や聖歌など、カトリック学校ならではの外国語との関りも大切にしている。
英語では基本的な表現にはじまり、日常で使える英語を習得できるよう、自分
の思いや考えなど子供たちの伝えたいという気持ちを大切にし、自分の言葉で
表現できることを目指している。授業ではグループやペアでの活動をする中で、
友達と一緒に学ぶ楽しさを感じながら英語が身につくように指導をしている。
 本校では修道女たちの心を今に引き継ぐという建学の精神に基づき、学園創
立当初よりフランス語教育を続けている。フランス語は英語に比べて日常生活
で触れる機会が少なく、ほぼ全員の生徒が学校でのみ学習しているので、授業
内で十分な習得が図れるように、より丁寧な指導を行っている。授業ではフラ
ンス語で伝える機会を積極的に設け、言葉を通して通じ合える喜びを実際に感
じられる活動を大切にしている。生活科の子供祭りでフランス人学校の方々と
一緒に遊ぶ活動や、併設高校の交換留学生と共に行う日本文化についての活動
を続けている。その他、フランスの現地の小学校と交流を行っている。本日配
布の「大樹」にも掲載されているので読んでほしい。 
 フランス語は併設中学校でも3年間必修として学習し、高校では第一外国語
として選択し、それぞれの進路に応じて大学受験の科目とすることもできる。
数多くの卒業生がフランス語を生かし各方面で活躍している。
 フランス語と英語の2つの言語を学ぶことにより、本校の児童は外国への関
心を深めており、日本語を介さずに新しい言葉を理解する場面も見られ、相互
に良い影響を与えている。言葉は外の世界への窓、その窓がいくつもあること
で、視野がさらに広がる。新しい文化や多様な考え方、価値観を知ることで様
々な発見をし、それを認め合うことで他者に対して開かれた人間に育ってほし
いと考えながら日々の指導を行っている。
 9月の学校見学会では、フランス語と英語、2つの体験コーナーを設けてい
るので、ぜひ参加してほしい。(注 本年度は中止)
 
登下校時の安全と防犯防災
 入学を機に長い距離を通うことになると思う。基本的には公共の交通機関と
徒歩で通学してもらう。2週間は保護者とともに登下校してもらい、自宅から
本校までの登下校の仕方、交通ルールやマナーをお子様と確認してもらう。最
寄り駅からは決められた通学路を通るように指導し、職員が定期的に巡回して
いる。近隣に在住の保護者の皆様にも協力してもらい、交通安全運動週間など
には安全マナー指導に当たってもらっている。近隣の学校関係者や地域の人の
目も多いところ。九段下、飯田橋の両駅前には警察官常駐の派出所もあり、周
辺地域で事件事故が起こった場合は麹町警察署、消防署と連携してパトロール
強化等に当たってもらっている。学校では警備員が常駐して校内に出入りする
人を確実に把握し、学校内外の出入り口周辺には複数の防犯カメラを設置し、
職員室や事務室でも監視している。
 通学している児童は全員が防犯ブザーと学校指定のGPS端末を所持し、位置
情報見守りサービスにも加入いただくようになった。保護者の皆様のスマート
フォンやタブレットからお子様の所在地が確認できるとともに、学校以外の任
意に指定したエリアに到達通過したときに自動配信メールが送られてくるとい
うもの。
 本校では台風や大雪が心配される状況などでは事前登録された複数連絡先に
学校連絡網で迅速に配信する。すでに学校に登校している場合を想定し、縦割
りグループでまとまって下校する訓練を年に複数回実施している。約700名
の児童を路線による通学方面別の班に、さらに下車駅などによる少人数の縦割
りグループに分け、中上級生のリーダーが率いて一緒に下校する。
 防災面では地震や火災に備えて、避難訓練や引き渡し訓練を定期的に実施し
ている。緊急地震速報受信システムは導入済みで、備蓄物資、施設の充実にも
力を入れている。その他低中学年では警察署、消防、警備会社による防災体験
や防犯教室なども積極的に計画実施して意識を高めるように図っている。職員
は救命技能講習や侵入者対応訓練を受講し、非常時に少しでも対応できるよう
にしている。
 これで十分ということは決してないが、日常的な交通安全から防犯防災まで、
少しでも安心してお子様方を学校にお預けいただけるように善処してまいりた
い。
(お断り 担当の先生方の名前が平仮名で表記されているのは、次第に紹介
がなかったからです)
 
3年生による合唱(約10分間)
今年も天使の歌声で「あの空はどうして青いのかしら」、児童によるフランス
語の解説と共に「アビニョンの橋」を、小学校のチャイムにもなっている「雨
の奇跡」の3曲を歌ってくれました。
    
最後に、司会者からの連絡。            
 学校見学会 9月7日(土)午前9時から11時まで受付
          お子様と一緒に見学できる。参加票が必要。
         
 展覧会 2月8日(土)・9日(日)
 
終了後、解散。
質問のある方は残って、水色の腕章を付けた本校教員に尋ねることができまし
た。ロビーには、ランドセル、制服などが展示され、願書の販売もされていま
した。
 
 
夏休みの講習会、元気に通っていますか。毎日、体系的に学ぶことにより、受
験に必要な力は確実につくと共に、知らない友とも学べ本番の雰囲気をも体験
できます。陽気がはっきりしませんが、体調を崩さないように、健康管理には
十分に注意してあげましょう。頑張ってください。
 

 


さわやかお受験のススメ<小学校受験編>夏休みの過ごし方(2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
2021さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第55号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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夏休みの過ごし方(2)
 
 
◯受験情報◯
 
2021年度幼稚舎1年生の入学試験は、2020年11月1日(日)~10
日(火)に実施します。実施の詳細につては「2021年度1年生入学試験募
集要項」で説明します。「募集要項」は、2020年9月3日(木)から9月
30日(水)まで、幼稚舎事務室にて1、000円で頒布します。詳細につい
ては8月下旬にお知らせする予定です。今年は説明会を中止しましたから、入
学試験について、「幼稚舎入学試験 Q&A」をご覧ください。今年度の入学
試験は3密を避けて実施する予定です。
なお、2020年度志願者数は、男子975名、女子615名、計1,590
名でした。       
        (慶應義塾幼稚舎のHP 7月18日より)
 
雙葉小学校
ユーザID登録、満席に。8月21日(金)・22日(土)に計6回開催されます
が、1回定員100名、5階のホールは500人ほど入れますから、相当余裕があ
りますね。いつも満席ですから、初めての小規模説明会。オンラインでの開催
の可能性あると出ていましたが、登録制ですから一般の方は参加できません。
 
 
前回に続き、夏休みの過ごし方についてお話しましょう。
 
 
3.観る力をつける
 
動物園、植物園、博物館、水族館、プラネタリウムなどを利用して、観ること
で名称、種類、性質、形、大きさ、色、用途などがわかります。
図鑑人間、驚くほど知っていますが、残念ながら大きさのわからない子がいま
す。
本物を見せてあげてください。
ただし、お子さんが興味を示さないときは、あまり効果はないでしょう。
「今度の日曜日は休みだから、水族館でも行こうか」ではなく、「パパ、ラッ
コってどうやって貝を食べるのかな?」といったように「かな?」の二文字が
ついたときは、何はさておき連れて行きましょう。
疑問の芽が、好奇心を刺激しているからです。
 
そして、観てきたことを絵日記に描ければ素晴らしいですね。
なぜなら、絵日記は、体験したことを思い出しながら、整理して、映像化し、
記録することですから、知的な訓練にもなっているのです。ただし、絵の巧拙
にはこだわらないようにしましょう。楽しく描けることが何よりも大切だから
です。
かつて、慶應義塾幼稚舎で、画家が使うイーゼルを立て、絵を描かせましたが、
その目的は「子ども達の顔をみたかったから」と舎長はおっしゃっていました。
夢中になって描いている子ども達の表情は「素晴らしい!」の一言に尽きるか
らです。
 
似ているところ(類似点)と違っているところ(差異点)を見つけ、話をさせ
ることも大切です。
言葉は、実際に話してみなければ、どうにもならないからです。自分で考えた
ことを、自分の言葉で話す機会をたくさん作ってあげましょう。野菜(キャベ
ツときゅうり)、花(さくらと朝顔)、果物(りんごとみかん)、乗り物(飛
行機と客船)などの組み合わせです。お子さんの話したことで、妥当性がある
場合は、正解です。
 
たとえば、「自転車とオートバイの違うところをいってください」の問題のと
き、「仮面ライダーはオートバイに乗るけど、自転車に乗って来ない」
といった子がいましたが、お母さん方はどう対処されますか。
「テレビのせいだわ!」と柳眉を逆立てる前に、とりあえず間違いではありま
せんから、まず、その考えもいいけれどとうなずき、「仮面ライダーを知らな
い外国の人にお話ししてわかるかしら?」といえるお母さんになってほしいの
です。すると、お子さんは、自分の考えを認めてもらいましたから、人力と動
力の差に話が進むはずです。まず、認めてあげ、それから、正解に導いていく
ことが大切です。私が現役の時、もっとも印象に残っている答えは、「花火と
雪だるまは似ている」でしたが、どんな答えか想像してみてください。
 
さらに、朝顔やひまわり、家庭菜園で栽培した野菜などの観察絵日記(成長過
程や咲いた花の数、色、葉の形など)を描いてみましょう。成長の変化に気づ
く目が育ちます。
また、種まき、発芽、葉、花、種といった成長の過程を観察することで、科学
的にものを学ぶ姿勢も養うこともできます。
郊外の畑では、ナスやキュウリの小花を見せてください。鮮やかな紫色と黄色
の花にびっくりするのではないでしょうか。
 
また、幼児用のプールや風呂を利用して、浮くものや沈むものを実験してみま
しょう。
スイカは絶対に浮かないと思っている子がいますが、お子さんはどうでしょう
か。迷っている時は実物で実験するしかありません。最近は、小さなスイカ、
小玉スイカが出回っていますから見せてあげましょう。
手に持たせた時「沈む!」といったのは、野球の硬球とゴルフボールでした。
水がいっぱい入っているビンと少し空気が入っているビンなど、興味を示すは
ずです。
 
磁石につくものを探してみましょう。アルミ缶とスチール缶では、「うん?」
となるはずです。砂場は、放し飼い動物の共同便所化したときもありましたが、
夕方にシートをかぶせるなど清潔になっているようですから、磁石を入れるの
も面白いので、実験してみましょう。
しかし、「コンセントなどに近づけると危険ですから、使う場合は目を離さな
いで、終わったら手の届かないところへ片付けるようにしましょう。
前回の折り紙を磁石で持ち上げる問題ですが、折り紙の下にクリップなどを置
くと持ち上げることができます。
 
 
4.絵を描くことに興味を持たせる 
 
絵を描くことを嫌う子が増えていると聞きますが、事実なら困ったことです。
絵は、言葉や身体表現と同様、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感が受けた
刺激から観察力が働き、記憶したことがらを表したものといえます。
幼児の描く絵は写生ではなく、イメージ化したものと考えてあげましょう。
「絵は心の窓」ともいわれています。
お子さんの、心境が表れているのです。
絵の巧拙にこだわる必要はありません。
お子さんが、描けた絵を見ながら話を弾ませる、よい聞き手に徹することです。
お子さんが、絵を描くときの顔を見たことがあるでしょうか。楽しそうに描い
ていれば、心配ありません。先程の舎長の話ではなりませんが、夢中になって
描いているときの表情は、楽しそうで、素晴らしいものだからです。
 
 
5.ものを作る意欲を育てる
 
最近の入学試験でも、制作は重要な課題の一つになっています。
「折る、塗る、切る、貼る、組み立てる、結ぶ」は、幼児教育の基礎、基本で
すから、当然なのですが、知的なトレーニングに力を入れがちではないでしょ
うか。
 
「手は第二の脳」で詳しくお話しましたが、たとえば、つぼ型の容器に入った、
ふたのついた糊には、教育的な配慮がなされています。
左手で持ち、右手でふたに付いている取っ手を上にあげないとふたは開きませ
ん。
適量をとらなければなりません。少なければはがれやすく、多ければベタベタ
になります。
まんべんなく塗るには適量をとり、左手で紙を押さえ、右手で、のびろのびろ
と丁寧に塗らなくてはなりません。
そして、ふたを閉め、手を拭きます。
汚れた手をきれいにするのは、清潔感を身につける基本的な生活習慣の一つで
す。
リップスティック型の糊は、粘着力もあり、手も汚れませんが、大切な作業を
省いています。
体験しない分、不器用になるということでしょう。家庭では、ふたつきの糊を
使ってほしいですね。
 
セロテープの使い方、適当な長さに切れない。切って貼るのではなく、必要な
分を切り、そして貼るといったように「切る」と「貼る」の作業を分けてみま
しょう。はさみの使い方、紙の折り方、ちぎり方、こういった作業がスムーズ
にできないと、制作は面白くないでしょう。
得意な子ども達は、お母さん方が、こういった作業の重要なことを理解し、こ
まめに自分で扱う機会を作っていると思います。
また、材料となる箱や、紙コップ、モールやリボン、もしかしたら、穴あけパ
ンチなども用意しているのではないでしょうか。
苦手な作業は、じっくりと時間をかけ、出来るようにしてあげましょう。
通っている教室にお任せだけではなく、家でも制作に励んでください。
 
折り紙は、巧緻性と記憶力を高める大切な遊びです。
かつて、暁星小学校では、5個作らせました。
簡単なものを、丁寧に折ることが大切です。雑に折ると、出来栄えも悪く、そ
れが子どもたちの興味をひかない原因になっているからです。
折り紙の得意な子は、姿勢もよく、物事を丁寧にする習慣も身に付いていると
いえます。
 
粘土遊びも大切な作業です。
砂場で遊ぶ機会が少なくなっているようですから、せめて、粘土で造形のおも
しろさを体験させておきたいものです。
「子どもの頃、砂場で遊ばなかったためか、最近の学生は、塑像作りが苦手の
ようだ」と東京藝術大学の彫刻科の教授がおっしゃっていたそうです。
折り紙と同様、立体作りは、子どもにとって楽しい学習になっていることを忘
れてはいけないと思います。
 
ここで問題です。
小さなみかんほどの粘土の塊があります。これを3つの同じ大きさの丸い形に
作ってください。(解答は最後にあります)
手先の作業として、輪ゴムつなげやクリップを長くつなげる遊びは、頭の疲れ
ているときなど、気分転換にもなります。
 
 
6.身体を動かし、体力と持続力を育てる
 
ボールつき、縄跳びは、バランスを必要とする全身運動です。
広い場所もいりません。お父さんの出番です。目標を決めて、できるだけ長く
できるように挑戦させましょう。お父さんと共に頑張ったことが試験に出れば、
一所懸命にやらない子はいません。持久力や耐久力もついてきます。
また、散歩に連れ出し、歩くことの楽しさも教えてください。車中心の生活で
は、足腰が鍛えられず、スタミナ不足では、我慢する力も育ちません。
クーラーのある快適な生活は、半面、汗をかかない不自然な環境でもあるわけ
ですから、汗をかく運動は、ぜひ、行ってください。
 
また、例年は、「教室へは、電車で通いましょう」とお話ししています。お子
さんと電車に乗ることで、歩くことで、たくさんのことを学習できます。電車
内で時々見かけますが、お子さんと一緒の時は、スマホを見るべきではなく、
対話の楽しさを味わうべきです。スマホをほしがる小学生に聞くと、「ママだ
って、見てるもん!」と答える子が多く、「ママが見ているから面白いに違い
ない」と思っています。「何が面白いの?」と聞くと「ゲーム」ですから、子
どもの見ている時にゲームなどするなと言いたい。しっかり観察されているこ
とを肝に銘じておきたいものです。何事も、親が手本です。
ただ、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、電車利用を極力控えている
でしょうから、学ぶ機会を他に作ってあげましょう。
 
そして、お母さん、お子さんと一緒に歌を歌い、踊りましょう。
身体表現をやってください。楽しい思い出が残っていれば、試験場でお子さん
も一所懸命にやります。
今までは、女子だけの別学の学校では、必修科目と考えましょうといってきま
したが、立教小学校では、ここ数年、音楽にあわせて身体表現をしましたから、
受験される方は準備をしておきましょう。
町内で盆踊り大会があると思いますが、お父さん、照れないでお子さんと一緒
に踊ってください。男の子は、恥ずかしがり屋が多いですから、その鎖を切っ
てあげましょう。
と言っても、これも新型コロナウイルス感染症の影響で実施されないことも多
いでしょうから、代わりに親子で「動物変身ごっこ」をしてみましょう。
 
この夏は、お子さんの負担になる旅行はさけ、秋に備えて健康管理に留意して
ください。
そして、起こしてならないのは事故です。ちょっとした油断が恐いのです。
親として、監視の目(管理の目ではありません)は、絶対にゆるめないことで
す。
 
夏休みの講習会も始まります。楽しく通えることが第一で、そういった雰囲気
を作ってあげましょう。毎日学ぶことから身についた学習習慣を、家庭でも楽
しくできるように、うまく利用することです。
そして、苦手な領域は、時間をかけて理解できるように、決して感情的になら
ずに、気持ちを落ち着け、「ゆっくり、じっくり、しっかり」を目標に、お子さ
んと共に頑張ってください。
 
西日本、九州地方の豪雨災害、大変な被害が生じてしまいました。そこへ地震。
復旧にご苦労が続くと思いますが、頑張ってください。衰えをみせない新型コ
ロナウイルス感染症、マスク、うがい、手洗い、そして昼寝など体力の保存に
も注意してください。
ぐずついた日が続いていますが、健康管理、手を抜かないように心がけましょ
う。
 
 
先ほどの「花火と雪だるまの似ている点」の答えは、
   「花火は消えて、雪だるまはとける。形が残らない」(絶句!)
  
 
丸い粘土の塊を粘土板の上で、手で押さえながら棒状に伸ばし、それを3等分
して丸めると、ほぼ同じ大きさの丸い塊を作ることができます。お母さんと一
緒にクッキーを作ったときに教わった子が、実際にやって見せてくれました。
     
ある年のこと、3つに分けた塊を一つに戻した時、「先生、1+1+1=1に
なりますね」といった子がいました。皆さん方は、どう説明しますか。分数の
基本です。以前お話しました、「量の保存」を思い出してください。
 
(次回は、「今年の説明会 前半編」についてお話しましょう)
 

 


さわやかお受験のススメ<小学校受験編>夏休みの過ごし方(1)

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        「めぇでる教育研究所」発行
2021さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第54号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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夏休みの過ごし方(1)
 
 
◇説明会情報◇
慶應義塾幼稚舎は、説明会を中止しましたが、大島前舎長は、ある年の説明会
で、こうおっしゃっていました。文言は正確ではありませんが、その一部を紹
介しておきましょう
「最後に、受験に対する保護者の心構えのようなものを申し上げたいと思いま
す。本来、5,6歳の幼い子どもに入学試験を通して、課題を与えて、判断し
たくはありません。しかし、冒頭に申し上げましたように、志願者は多く、男
子約10倍、女子約14倍の倍率を示しています。そのために何らかの試験を
行い選抜せざるを得ません。横浜初等部を開校し、幼稚舎の定員数は増えまし
たが、合格する志望者もいれば、不合格になる志望者もいます。およそ10人
に1人の割合になります。こういう競争にあることを踏まえ、志願していただ
きたいと考えています。入学試験のために、5、6歳の幼い子ども達に、不自
然な生活態度を強いることを望んでいません」
 
東京、神奈川、埼玉、千葉の小学校の入学試験本番まで、後3ヵ月有余、「夏
を制するものは受験を制す」ともいわれています。夏休みの過ごし方に、合否
の鍵があるといっても過言ではありません。
大島前舎長ではありせんが、不自然な生活態度を強いることなく、大切な日々
を有効に過ごすポイントは、ご両親の考え方にあります。
 
まずは、何といっても健康管理です。
コロナ対策、マスク、うがい、手洗い励行、お子さんだけではなく、ご両親こ
そ率先垂範を。
 
幼稚園が休みになると、生活のリズムが狂いがちです。幼稚園があるときと同
じように、規則正しい生活のリズムを崩さないことです。1日のスケジュール
を立て、それにしたがった、メリハリのある生活を送りましょう。 ただし、
あれもこれもと、過密なスケジュールでは、お子さんの負担を増やすだけで、
かえってマイナスになりかねません。余裕を持って、計画を立てることです。
遊び時間をきちんと配慮してあげましょう。
 
知的な能力は高いが、体力に不安がある子が多いのも、小学校受験の特徴のよ
うです。机の上での勉強だけではなく、体を十分に動かす時間を設けましょう。
買い物などに出かけるときは、車を使わずに歩き、汗を流す機会を作ることで
す。十分も歩かない内に、「おんぶ!」をせがむようでは、とても受験に対応
できません。
肉体的なスタミナがなければ、精神力も弱いものです。一所懸命に頑張る意欲
や耐久力は、入試に欠かせない大切な要素です。運動教室にお任せだけでは、
真のスタミナはつきません。冷房の効いた快適な環境から、失うものもありま
す。お父さんにも手伝ってもらい、一緒に汗を流しましょう。お父さんのリフ
レッシュにも役立ちます。夏休みの間は、ゴルフバッグに封をしておきましょ
う。
 
ところで、夏休みに入ると、友達と遊ぶ時間が不足しがちです。受験一色にな
ると、友達との遊びを悪いことと考えるお母さん方がいると聞きますが、それ
は間違いです。
社会性や協調性といった集団生活への適応力に欠ける子は、どこの学校からも
歓迎されません。
行動観察型のテストでは、こういったところがはっきりと表れます。集団生活
への適応力は、問題集をこなすだけでは養われません。3密状態で行われる行
動観察型テスト、今年はどうなるでしょうか。
 
最近、友達が家に来て遊ぶ機会も、少なくなっていると聞きます。
自分の家と全く違う生活習慣があるなど、本来は、貴重な体験をする機会でも
あるのですが、あまり歓迎されていないようです。せめて、同じくらいの年齢
の子がいる親戚を訪ね、違った生活を送るのも貴重な体験になるのですが。
 
また、一人遊びも大切です。
遊びを通して自発性、考える力はもちろんのこと、一生懸命に取り組む意欲や
持久力もついてきます。入学試験に備えて、親が勝手に子どもの遊ぶ時間まで
管理するのは、いかがなものでしょうか。何から何まで管理していると、無気
力、無関心、無感動、無表情な「指示待ち子ども」になりかねません。遊びを
通して培われる力こそ、子どもにとっては、大切な財産になることを、忘れな
いようにしてほしいのです。
 
任期前に辞任し、現場の教師に復帰した加藤三明元幼稚舎長は、毎年説明会で
「5歳のわが子を、受験のためにスポイルしないでほしい」とおっしゃってい
ました。受験準備は、早稲田実業初等部の教育目標ではありませんが、「ゆっ
くり、じっくり、しっかり」と余裕を持って取り組みたいものです。私の記憶
に誤りがなければの話ですが、説明会で紹介されたスライドの入学式に、加藤
先生が出席されていました。
 
ここで一言。
夏の幼稚園や保育園の行事に、お泊り保育があると思います。その時の様子を
先生に伺っておきましょう。家族から離れて生活した時、今まで気づかなかっ
たお子さんの一面が、現れることもあるからです。泣き出してしまうお子さん
もいて、先生方も意外な思いをする話を、よく耳にします。入学試験は、「生
まれて初めての場所に入り、生まれて初めて会った先生の指示に従い、初めて
会った同年代の子ども達とグループを組み、いろいろなことに取り組む」から
です。心配なところが見つかった場合は、育児が過保護、過干渉、自由放任に
なっていないかをチェックし、自信を持って取り組める気持ちを育ててあげま
しょう。
特に、過干渉になりがちなお母さん方、口を挟む前に「1,2,3,4,5,
6」と数えましょう。そんなわずかな間でも、お子さんに考えさせる時間を与
えていることに気づいてほしいのです。
 
 
 ★家庭でできる具体的な受験準備 
 
次に、ご家庭でできる具体的な受験準備についてお話しましょう。
本メールマガジンを通して、しつこく触れてきましたので、またかと思われる
でしょうが、大切なことですから繰り返します。
 
<1> 聞き取る力をつけるには
 
小学校の入学試験は、話を聞き取る力がついているか、いないかで決まります。
ペーパーテストには設問はありませんし、行動観察型のテストでは、先生の話
を聞かなければ、何もできません。
本を読んであげましょう。
耳と目から入ってくる情報から好奇心は刺激を受け、言葉を映像化する作業が
フル回転で行われ、記憶する意志が自然と働きます。一人になったとき、本を
見ながらお母さんに読んでもらった言葉を、筋道立てて思い出しているのです。
語彙がふえることで言語力、
イメージが豊かになることで想像力、
話を筋道立てて思い出すことで思考力、
より正確に覚えようとすることで記憶力、
言葉や絵、身体で表現することで表現力、
そして、何よりも大切な集中力、話を聞き取る力、話を聞く姿勢が身につきま
す。
 
「本の読み聞かせと対話」の効果を説明会で最初に力説されたのは、平成14
年に就任した立教小学校の田中司校長で、辞任後は、田代教頭が受け継ぎ、毎
年、お話しています。
さらに、お子さんと話をする時間をたくさん作り、よい聞き手に徹してあげま
しょう。 言葉は、とにかく話をしなければどうにもなりません。どんな拙い
表現でもよく聞いてあげ、お母さんが正しい言い方に直してあげましょう。言
葉のキャッチボールを楽しんでください。
「対話の反対は沈黙ではなく、命令と強制」といったのも田中校長でした。含
蓄のある言葉ではないでしょうか。
 
そして、正しい指示を出しましょう。
「ユキちゃん、そこにある、あれ取って」
などと言っていないでしょうか。
これでは、指示を出した本人しか理解できません。
「ユキちゃん、テーブルの上にあるお料理の本を、お母さんのところまで持っ
てきてください」
「これ・それ・あれ・どれ」は代名詞ですから、きちんと名詞に置き換え、丁
寧なことばで応対しましょう。
 
面接の折りに、「デス、マス」を自然に使って話をさせたければ、お母さんが
お子さんの前で、響きのよい言葉をたくさん使ってあげることです。心地よい
言葉は、使ってみたくなるものです。
 
また、あいさつは、きちんとするように心がけましょう。
 
そして、用事を頼み、お手伝いをしてもらったときは、必ず「ありがとう」と
感謝のことばをかけてください。こういった気配りから、お子さんの心の中に、
相手を思いやる心も育まれてきます。
 
さらに、しりとり、同頭語、同尾語、反対語、短文の復唱などは、言葉遊びと
して、楽しみながら学習すれば、お子さんは喜んで挑戦するはずです。
 
この時期になると、「お話作り」を苦手とするお子さんが増えてくるようです。
前にもお話しました、「ママ(パパ)、あのね!方式」を採用してみましょう。
話す相手がお父さんやお母さんであれば、プレッシャーもかからず、気軽に話
せるからです。
そして、親が作った話を覚えこませるようなことはせずに、自分で思っている
ことを、自分の言葉で話せるように、しっかりと聞き手にまわり、上手、下手
は、二の次と考えることです。
こういった課題は、とにかく、言葉が出なければ、どうしようもないからです。
「こんなこと言ったら笑われるかな!」とか「これでは、ママに叱られるかし
ら?」などと思い始めると、言葉は出てきません。
どんな内容でも相槌を打ち、よく聞いてあげてから、
「こうした方が、ママはいいと思うけど、ユキちゃん、どうかしら?」
と、お子さんの話を認めてあげ、導いてあげると、お子さんは納得してついて
くるものです。
 
言葉が出ないのは、お母さんがしゃべりすぎの場合も考えられます。
「何とかしなければ」とお母さんがあせれば、お子さんは苦手意識を持ち始めま
す。自信をなくしますから消極的になりがちで、これでは行動観察型の試験に
対応できません。お子さんの話に耳を貸し、うなずき、認めてあげてから、お
母さんが考える方向へ、「ゆっくり、じっくり、しっかり」と導いてあげまし
ょう。
 
 
<2> 考える力をつける
 
最初のところでもお話しましたが、トランプは、数字と同じ数のマークがかい
てありますから、数感を養うすぐれた教材です。
1枚ずつカードを出しあって勝敗を争えば、直感で多少を見分ける力がつきま
す。
これを繰り返していると不思議なもので、引き算の練習をしているのではない
のですが、 
「6と3では、6の方が3つ多い」
「10と8では2つ違う」
と多少の学習になります。
数の違うカードを5枚並べ、いちばん多いもの、少ないもの、2番目に多いも
のなどの学習もできます。
 
ところで、数え方ですが、たとえば、15個あるリンゴを、お子さんはどのよ
うに数えていますか。
(1)1,2,3,4と1個ずつ指で押さえて正確に数える。
(2)2,4,6,8と2個ずつ押さえて数える。
(3)3,6,9と3個ずつ押さえて数える。
(4)4,8,12と4個ずつ押さえて数える。
(5)5,10,15と5個ずつ押さえて数える。
(5)は最も速い方法ですが、幼児の手の大きさから考えると、5個ずつ押さ
えるのは容易ではありませんから、無理をしないことです。
できれば、3個ずつ、掛け算の3の段、3とびをマスターすると、早く、正確
に数えられます。
    
15個のおはじきをばらばらに置き、(2)からやってみましょう。
言葉と数が一致しないと、に(二),し(四),ろく(六),や(八),とお
(十)と数えられても「や、っていくつ?」といったように混乱しがちです。
これを理解させましょう。数を訓読みで覚えると、一日を除き、日にちに対応
できます。
15の場合、10までいったところで元へ戻り、2、4で止め、1個あまりで
14個、つまり、数え終わったときの4を10にくっつければ14となり、そ
れに余った1を加えれば15となることを教えます。
この場合、トランプの10と4のカードを使うとわかりやすいと思います。理
解できたら、おはじきは、どんな並べ方でも簡単にできますから、どんどん並
び替えて挑戦してみましょう。
 
以下、同じように、(3)、(4)にも取り組みたいのですが、(3)をマスターで
きれば最高と考え、後はできる場合は挑戦してもかまいませんが、絶対に無理
をさせないで下さい。
 
そして、(5)の5個押さえる方法ですが、たとえば、7個のリンゴを数えると
き、5個の集まりを手で押さえれば、残り2個ですから、合計7個であること
がわかります。いきなり(5)の数え方を教えず、きちんと段階を踏んであげま
しょう。大人が考えるほど簡単ではないからです。
    
合成、分解も、カードを使うと面白く学習できます。
10のカードを使い、マーク1つを指で押さえれば[1と9]であることがわ
かります。
同様に、2つ押さえて[2と8]、3つ押さえれば[3と7]であることもわ
かります。
以下、同様にして挑戦しましょう。
[10]は[1]が10個集まっていると考えれば、楽しく取り組めるはずで
す。
    
トランプは、神経衰弱からは記憶力が、7並べでは1から13までの数列や系
列完成、下のように並べると上から、下から、左から、右から何番目、黒を中
心に左斜め上、右斜め下といったように位置の問題の学習にもなります。
         □□□
         □■□  
         □□□ 
その他、オセロやおはじきなどで分割を、積み木では、立方体を積み重ねるこ
とで、見えないところにある数の発見、模倣構成、四方図形なども楽しく学習
できます。
積み木の四方図形は、斜面を正面から見る場合、子ども達は「……?」となり
がちですが、実際に積み木を使ってやってみると、理解できます。 
プリント学習に疲れたときなどにゲーム感覚でこういった遊びをすると、気分
転換にもなります。    
数量や推理・思考、図形など、苦手な分野の問題は、じっくりと時間を使える
夏休みにこそ、全力で取り組みましょう。    
 
ここで問題を。
折り紙を磁石で持ち上げたいのですが、どうすればできるでしょうか。実験は、
遊びの感覚で取り組むことが大切です。
 
7月に入り九州、西日本は、大変な集中豪雨に襲われていますが、梅雨前線の
速やかな北上を願ってやみません。
梅雨が明ければ、猛暑が続きます。夏はこれからが本番です。今年は新型コレ
ラウイルス感染症の拡散が心配ですが、家庭でできる手洗い、うがいはこまめ
に、外出時にはマスクと、とにかく頑張りましょう。
    
(次回は、「夏休みにできる家庭学習(2)」についてお話しましょう)

 


さわやかお受験のススメ<小学校受験編>建学の精神、教育方針の理解の仕方(3)

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        「めぇでる教育研究所」発行
2021さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第53号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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建学の精神と教育方針の理解の仕方(3)
 
 
前号では、早々と「夏休みの過ごし方」と紹介しましたが、変更して、今回は、
地元千葉県の5校を取り上げてみました。国府台女子学院小学部は、前回第5
2号でお話ししましたので、4校について紹介いたしましょう。
 
 
≪ 日出学園小学校 ≫
 
教育理念と目標 
   ここから大きく育つ、生きる力。
   自主性  向上心  想像力  好奇心
小学校6年間を通じて「なおく・あかるく・むつまじく」の校訓をもとに、
人間教育の実践をしています。
 
  「なおく」とは、正しいこと正しくないこと、良いこと悪いことが判断で
   きること。
  「あかるく」とは、笑顔を絶やさず感動を体験しながら、一生懸命取り組
   むこと。          
  「むつまじく」とは、文字通り仲良くする、共に生きる、共生のこと。            
健康で潤いのある人間性や想像力を養い、基礎学力の定着を図る、これが本校
の目標です。具体的な内容に関しては、平山淳子校長のあいさつを参考にして
ください。 
         
「日出学園は昭和9年(今上陛下が誕生した翌年、市川が市となった年)に市
川在住の有志によって創設されました。その中心になった青木要吉は若い日に
アメリカに留学し民主主義と自由主義を肌で感じ、その体験から生徒の特性を
伸長することに重点をおいた私塾的な雰囲気をもつ寺小屋のような少人数、男
女共学の教育を目指していたと聞いています。
人間形成の土台づくりは、児童期の体験で決まると思います。小学校では、学
校行事の関わりの中から楽しさ、悔しさなどいろいろな想いを体験してもらい、
その都度いろいろなことを考えて前に進んでほしいと願っています。そのため
に、異学年交流・宿泊合宿など集団の中で、友だち・下級生・上級生という立
場で物事を考え行動し、そのような体験の中から社会性や共感性などを身につ
けてほしいと常々思っております」           
 
教科では、国語力の向上に力を注ぎ、現在、約54、000冊の蔵書があり、
恵まれた環境の中で、考え、思い、学び、表現するための手立てである「言葉
の力」をつけさせ、「生きる力」へとつなげていけるように指導していること。
また、「書は人なり、心を写す力」ともいわれているように、正しい「書写力」
を身につけることが一番の目標で、低学年のうちから、一点一画、ていねいに
書く習慣を身につけるように心がけている学校です。
 
創立者の信念でもあった「昼食はお母さんの手作りのお弁当」は、少し形を変
え、ネットで注文し、購買部で購入できるシステムをはじめました。働くお母
さん方への支援、これも歓迎されているようです。
 
共学で、高校までのゆとりのある一貫教育で、大学受験は、本人の実力次第。
なお、中学受験に関しては、従来から、受験対策のノウハウは充実しており、
HPの中学校合格状況に、その実績を見ることができます。小学校は地元で安
全に通学、中学から東京の学校へと考えているご両親も多いようです。
 
 
 
≪ 聖徳大学附属小学校 ≫
 
2021年度から、高校(光英VERITAS中学校・高等学校)までの共学
となります。昨年までは、男子は中学受験する必要があり、かなりの進学実績
をあげていましたから、充実した進学体制をあげても良いのではないでしょう
か。幼児教室対象の説明会でも、外部の優秀な指導者を招いていると聞いたこ
ともあります。
 
最近、日本女子大学附属豊明小学校、聖心女子学院初等科をはじめ、学童保育
やアフタースクールが盛んですが、本校の「放課後スクール」の大きな特徴と
して、車でのお迎えを容認していることでしょう。ただし、学校の前の道路は
狭いですから、いろいろと制約があるようです。お仕事を持っているお母さん
方には強い味方になるのではないでしょうか。
 
校名の聖徳の由来は、聖徳太子の道徳や礼節などに対する思慮の深さを教育の
基礎とし、豊かな人間づくりを実現したい思いから。読み方を変えたのは、聖
徳太子に深い尊敬の念からで、「しょうとく」と読むのを控え「せいとく」と
したそうです。
 
「思いやりと、礼を尽くす、こまやかな心を学ぶ」を目指す小笠原礼法宗家の
指導による礼法教育、明和班、全校生が一緒に食事をする「食堂(じきどう)」
など、学園の「礼節」「知育」「勤労」の3つの教育方針について、どのよう
に期待するかをまとめてみましょう。
 
礼法教育は、1年生から6年生まで、年間指導計画があり、電車の中で化粧を
している女性や、歩きながら物を食べている無作法者に見せたいほど、日本古
来の文化が伝承されている学校です。これも欠かせない志望理由になるのでは
ないでしょうか。
 
 
 
≪ 千葉日本大学第一小学校 ≫
 
創立時は男子だけの別学でしたが、平成8年4月から共学校になり、大学まで
の一貫教育校です。共学が自然で、受験を考えなければ16年間のゆとりのあ
る教育環境で、自分の進む道を、ゆとりを持って学べることでしょう。
 
本校の児童は、一定の内部進学規定を満たすことで、学園の2つの中学校へ約
70%、2つの高校へは90%以上、そして大学へは60%の生徒が進んでい
ます。(令和2年7月のHPより)
 
本校の校訓「真(まっすぐに) 健(すこやかに) 和(なごやかに)を、わ
たし流に、心を表す言葉として考えると、
 真は「飾り気のない、偽りのない心」
 健は「すこやかな精神」
 和は「おだやかな心」
となりますが、いかがでしょか。
 
本校の特色として、「学習習慣の定着と学力向上」とありますが、年間の授業
時間数は、本校は13教科で6676時間、公立校は5645時間と、かなり
多いこと。
また、創立以来、英語教育に力を入れ、5、6年生は英語で日記を書き(令和
2年7月のHPでは削除されています)、卒業時に6年生全員が実用英語技能
検定5級合格を目指しています。
そして、縦割りグループによる学年を超えたユニークな「さくら活動」でしょ
う。
こういったことからまとめてみましょう。
 
余談になりますが、アメリカンフットボール部の不祥事、併設の小学校、中学
校、高等学校の子ども達の心を深く傷つけたことに、思い至らないのかと腹が
立ちましたね。小学校は大学の理工学部と交流があり、楽しく語り合う写真を
見たことがあります、残念!
 
 
 
≪ 昭和学院小学校 ≫
 
教育目標に「知・徳・体の全人教育(知識だけにかたよった教育ではなく、性
格教育、情操教育なども重視する教育)を掲げていますが、開校以来、少数の
児童(1学年2クラス)に行き届いた教育を行うことを目標に、道徳教育を重
視し、児童の基本的生活習慣の形成に力を注いでいます。それが、校是「明敏
謙譲」の狙いであり、教育目標に表れています。「学校案内」には、「明敏と
は活力を持って未来を開くこと、謙譲とは英知を持って社会に生きること」で、
「明朗にして健康で、自主性に富み、謙虚で豊かな人間を育てること」と説明
されています。
 
鈴木祐子校長は、就任の挨拶で、こうおっしゃっていました。
「高い学力とやさしい心」を目標に私たちは日々の教育に力を注いでいます。
その基盤となるのは子ども同士、子どもと教師、保護者の方々とのあたたかい
人間関係です。私たちが挨拶を大切にし、思いやりの言葉が行き交う風土を大
切にするのは、品位と節度ある態度に裏打ちされた人間関係こそ「知・徳・体」
のバランスの取れた21世紀型の人づくりに欠かせない資質と考えるからです。
これからも「明敏謙譲」の建学の精神のもとに、心と体と頭を磨き、謙虚さを
備えた心身ともに健康な子を育ててまいります。
 
「心と体と頭を磨き」、響きのいい言葉ですね。「頭を磨き」が先行すると、
頭でっかちな子になりがちです。子どもが望むのではなく、親がそう仕向ける
ことに問題ありですね。
 
「明敏謙譲」、例によって、育児の姿勢としてわたし流に考えるとこうなりま
す。「謙譲」とは、「へりくだること」という意味で、「謙譲の美徳」ともい
いますが、最近は、お目にかかれない言葉となりました。むしろ、「謙虚」の
方がおなじみかも知れません。「自分が偉いものと思わず、素直に他に学ぶ気
持ちがあること」という意味です。すると校是の「明敏」は、「明朗にして健
康で、自主性に富む」ですから、「元気で、明るく、自力で挑戦する子」に、
「謙譲」は「謙虚で心の豊かな人間を育てる」ですから、「素直な子」と置き
換えることができるでしょう。
 
独自の国語教育、伝統の図書館教育に加え、「視写」があります。
この字を見た時、文章修行の駆け出し時代を思い出しました。お世話になって
いたある出版社の編集部の方から、「松本清張の短編を視写してごらん、参考
になるよ」と言われたものでした。文章をそのまま写すことです。お手本は、
芥川賞を受賞した「或る『小倉日記』伝」でしたが、勉強になりました。おそ
らく子ども達は、名文を写し、記憶し、漢字を覚え、語彙も増えるといったよ
うに、楽しい学習をしているのではないでしょうか。当然、やっていると思い
ますが、音読を加えれば効果抜群、などとおこがましい限りですが(笑)。
 
幼稚園では、年少から英語を正課にしていることについて、受験されるお母さ
ん方から、「英語の勉強について、何らかの準備をしておかなくても、ついて
いけるでしょうか」と質問を受けることがあります。附属の幼稚園では、年少
から正課として英語を保育に取り入れ、年少組は週1回30分程度、年中、年
長組は週5日40分程度行っています。3年間でかなり力がついていると考え、
入学後、英語を学んでいない子どもにとって、それがハンデになるのではと考
えるのも当然ではないでしょうか。
それについて鈴木祐子校長は、
「本校では、ESL用に開発された『グレープシード』という英語のカリキュ
ラムを使用しています。入学時には個々のバックグランドにより英語力がまち
まちな児童たちですが、少人数制の英語授業を通し、ほぼ1年で経験に由来す
る差はなくなります」
とおっしゃっていますから、心配ないようです。
 注 ESL(English as a Second Language)
     英語を母語としない人のための英語教育を目的としたプログラム
 
また、本校のアフタースクールには12講座の内、英語の授業が3講座設けら
れており、これを利用することで、ハンデをなくす対策になっているのではな
いでしょうか。本校のアフタースクールは半端ではなく徹底していますから、
学校側も自信を持って対応できると考えているようです、私見ですが。
 
共学で、高校までの一貫教育校と期待する教育内容からまとめてみましょう。
日出学園と同様、中学受験のノウハウは充実しており、HPを見ると進学状況
を見ることができます。これは、現在共学ですが、それ以前は、中高は女子だ
けの別学であったため、男子は受験を控えていたためです。念の為、お断りし
ておきますが、面接で「中学受験を目指しています」は、そういう考えを持っ
ていても、言う必要はありません。
 
なお、現在、校舎の増設工事を行っており、募集人数が増えることが予測され
ますので、HPをこまめに確認しましょう。
 
 
各学校とも、新型コロナウイルス感染症のため、説明会等の学校行事に大きな
変更が見られ、HPで動画を紹介するなど苦心されているようです。また、説
明会等の行事を再開するお知らせも出ています。予約が必要ですから、早めに
申し込みしておきましょう。
 
3回に分けて、「建学の精神、教育方針の理解の仕方」について、筆者の冊子
「おとうさん、おかあさんの受験対策」(めぇでる教育研究所 刊)からピック
アップして紹介しましたが、めぇでる教育研究所のHPをご覧いただき、購読
いただければ幸いです。
 
真夏日かと思うと急に涼しくなるなど、梅雨明け前の不順な気候が続いていま
す。夏休みの講習会、お申込みになりましたか。じっくりと学習できるチャン
スです。3密を避けたテスト形式になれるためにも、ぜひ、参加して体験して
おきましょう。
 
 (次回は「夏休みの過ごし方」を予定しています。)
 

 


さわやかお受験のススメ<小学校受験編>建学の精神、教育方針の理解の仕方 (2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
2021さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第52号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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建学の精神、教育方針の理解の仕方 (2)
 
★説明会情報★
白百合学園小学校Web説明会
  2020年6月27日(土)~6月28日(日)17時まで
  送られてきた限定公開動画のURLで拝見。
  内容は、例年の説明会とほぼ同じでしたが、昨年の3年生の合唱は聴けま
  せんでした。
  これを毎年楽しみにしていたのですが。
 
おうちdeオンライン説明会・相談会 
  2020年7月5日(日)首都圏模試主催
  Zoomを利用した相談会です。詳しくは、HPをご覧ください。
 
 
 
■ 暁星小学校
 
もやしっ子をなくすためにサッカーを取り入れた学校といえば、暁星小学校で
す。今は、どうでしょうか。もやしっ子は、たくましくなり、全国高校サッカ
ー選手大会に出るほどの実力を備え、強豪といわれるまでになりました。
サッカーは、かなり、過激なスポーツです。手は使えませんから、体を張った
足技が、ものすごいですね、このことです。
サッカーは、まさしく格闘技です。ワールドカップを見ていても、「ここまで
やるか!」といったプレーが随所に見られました。ですから、イエロー・カー
ドやレッド・カードと、反則に厳しいペナルティーを与えます。「ルールを守
って戦うフェアーな精神の持ち主」であることも大切な条件です。さらに、
11人で戦うゲームですが、一人ひとりは、敵を自分に引き付けておき、ぎり
ぎりのところで味方にパスをつなぎ、最後にゴールポストにシュートを決める
チャンスを勝ち取れるのは、たった一人です。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬あり」
ではありませんが、犠牲的な精神が求められます。チームワークです。フェア
ーな戦いとチームワーク、ここに学園の教育の礎があるのではないでしょうか。
 
小学校の門には、「困苦や欠乏に耐え、進んで鍛練の道を選ぶ気力のある少年
以外は、この門をくぐってはならない」と書かれた額が掲げられています。説
明会は暁星学園の講堂で行われ、校舎見学もできましたが、今年は新型コロナ
ウイルス感染症のため中止となりました。それに変わる方法が決まり次第HP
でお知らせする予定だそうです。
 
数年前の説明会では、小学校時代、運動の苦手だった子が、友の誘いでサッカ
ーに挑み、サッカーチームの一員となったばかりか、切磋琢磨して難関校へ合
格、共に励ましながら目標を達成する「鍛える教育」の成果を作文で披露しま
したが、よくわかる話でした。
 
高校までの一貫教育に関しては、そのまま大学へ進んでしまうより、社会へ出
る前に受験勉強をし、その厳しさを体験させるべきだと考えるお父さん方が多
いようで、進学状況を見ても、生徒はしっかりと応えていることもわかります。
 
「宗教教育」「別学の教育環境」「高校までの一貫教育制度」に期待すること、
プラス、「困苦や欠乏に耐える気力のある少年」をどのように解釈するか、こ
こがポイントではないでしょうか。「質実剛健」だけでは、説明しきれないの
ではと考えます。
以前、佐藤前校長が説明会で、暁星小学校の鍛える教育のイメージは、日本昔
話のキャラクターでもある「気は優しくて力持ち」といっていましたが、この
比喩はわかりやすいのではないでしょうか。現在、吉川直剛校長になりました
が、同じ話を聞くことができました。
ちなみに、運動会の入退場門、本校の入場門は健闘門、退場門は勇退門となっ
ています。
 
ここ数年の面接では、志望理由や育児の方針といった質問ではなく、お子さん
とゲームをしながら、その対応の仕方や、そばで見ているお母さん(またはお
父さん)にゲームの様子を聞くなど、従来の面接とは違った形で行われる年も
ありました。模擬面接の時、入室して席を決めるじゃんけんをしますが、「最
初はグー、じゃんけんぽん!」、わずか数秒のことですが、照れずにじゃんけ
んに興ずる親子、見ていてもほのぼのとしますね。学校側の目的は、ありのま
まの親子の姿、家庭を見ることにあったと思います。今年はどうなるでしょう
か。
 
 
 
■ 青山学院初等部
 
青山学院初等部は、ミッションスクールは別学が多い中で、めずらしく共学で
す。ランドセルも通信簿もありません。これが青山の教育方針です。
ランドセルは、昭和40年に廃止しています。その理由は、ランドセルは、
「学校追従型のシンボル」と考えているからだそうです。1に勉強、2に勉強、
3、4がなくて5も勉強です、現代っ子は。
家で宿題やら予習やら復習をひたすらこなす前に、「家庭で、きちんと身につ
けなければならないことがありませんか」ということではないでしょうか。
家庭でしっかりとやらなくてはならない基本的な生活習慣やしつけ、言葉遣い、
そして情操教育が、なおざりにされていないでしょうか。青山は、家庭での教
育を重視しているということです。
 
通信簿は、相対評価が多いものです。
5が2人いれば1も2人といった評価ですから、通信簿は相手との比較表にな
りがちです。比較表ではなく、学習の質を問うのが勉強の評価ではないでしょ
うか。ですから、期末試験の結果や出てきた偏差値といった評価をする資料の
ない状態で、先生と子ども、先生と保護者が、直接、話し合うそうです。
通信簿がないことは、結果よりプロセスを重視する学習観ではないでしょうか。
自分で考え、判断して、行動する、自発性です。結果さえよければそれでいい
という価値観と違い、思考力、判断力、行動力を育てる教育で、新学習指導要
領が掲げる“アクティブ・ラーニング”と同じではないでしょうか。
 
ところで、意外に知られていないことがあります。
初等部のHPを開き、「教育」のところの「国内短期留学・止揚学園」をご覧く
ださい。30数年前、ある本を読み知ったのですが、「すべてが教場」の意味
を理解できたものでした。青山学院は、こういう教育を実施している学校でも
あるのです。
 
「宗教教育」「共学」「大学までの一貫教育制度」に期待することは何でしょ
うか。「共学」を忘れがちですが、これも大きな特徴です。そういったことか
ら、まとめてみましょう。
 
 
 
 
■ 国府台女子学院小学部
 
国府台女子学院のことを、千葉の白百合学園とさえおっしゃるお母さん方がい
ました。小学部の入学試験の難しさといい、大学への進学状況を見ても、「さ
もありなん」と思わざるをえないほど実績を上げています。昨年度も、医学部
への進学が6名あったとのこと、「社会で活躍できる女子を育てる」方針が着
実に実を結んでいるのではないでしょうか。
 
価値観が多様化し、社会全般が「エニシング・ゴーズ、何でもあり」の風潮を
歓迎するムードもありますが、そういったウイルスに感染することなく、小さ
い頃から一つの価値観に基づいた教育を受けさせたい、そう考えるご両親が増
えていることも事実です。
 
仏教に基づく教育を行い、女子だけの、高校までの一貫教育校です。
月毎に行われる仏教行事は、本学院の教育理念である「敬虔・勤勉・高雅」を
身につけるための、貴重で重要な教養、教化となっています。「教養は、徳を
みがき、人格を高めること」で、「教化は、キョウゲと読み、人を教え、よい
影響を与えて善に導くこと」だそうです。となると、教育理念である「敬虔・
勤勉・高雅」を、どのように解釈するかが問題になってきます。
 
たいへん難しい言葉です。HPにも解説がありますが、わたくし流に考えると、
こうなります。
「敬虔」は、仏につつしんで仕えることから、深く敬って態度をつつしむさま。
「勤勉」は、勤めて骨を折ることから、何事も一所懸命。
「高雅」は、気高く、雅(みやび)やかなことから、だれからも愛される気品。
 
このように置き換えてみると、わかりやすいのではないでしょうか。「つつま
しく、一所懸命に頑張る、心のやさしい子」といった子ども像が浮かんできま
す。そういった子どもに育ってほしいと考え、育児の基本にしているご両親で
あれば、学校の教育方針と一致していることになります。
以前、教育理念を俳句もどきに、
 
  ひたむきで つつしみぶかく みやびやか
 
などとお母さん方に紹介していたこともありました(笑)。
 
平成24年の説明会は、小学部、改築中のため中高の校舎内で行われ、そのお
かげで素晴らしい「慈母観音像」を拝することができ、何とも優美なお姿に、
しばし見とれてしまいました。翌年からの説明会は新装なった寿光殿(講堂)で
行われていますが、ホールは中高の校舎と直結しているため、毎年慈母観音像
にお会いすることができます。説明会に参加すればお会いできる、「七夕の彦
星ではないですか」と無礼を省みず思っています。こんなことを言っては罰が
当たるかもしれませんが、まさに、「直向でで 慎み深く 雅やか」なお姿で
す。しかし、今年はコロナウイルスの影響でWEBでの開催となり、機会を逃
すことになり残念でした。
余談になりますが、広隆寺(京都)や中宮寺(奈良)の弥勒菩薩を始め、日本
の仏像の優しいお顔と優美なお姿には、お粗末な言葉ですが、心が和みます。
 
ある年の説明会で、平田史郎学院長は、不作法で言葉遣いの乱暴な者を評して、
「訓練されていない個性は野性である」とおっしゃっていました。
創立記念日に招かれ、講堂に案内されたとき、左手に数珠を持ち、私の左側に、
腰をかがめながら先導してくれた、児童のその姿が何とも優雅であったことが
印象に残っています。また、1年生が、きちんと挨拶をするのにも驚かされま
した。宗教教育は、形から入って心を作っていくものと思っていましたが、納
得したものです。
 
女子だけの環境については、「女子だけだからいいのです。女の子しかいない
ので、男子のする仕事までやることになり、体験の幅が豊かになります」とい
われ、共学にする予定は、まったくないと断言しています。ここ数年の幼児教
室対象説明会でも、女子教育の効果を医師国家試験の合格率や大学合格率のデ
ータを元に、強調していました。
こういったことをヒントに、「宗教教育」「女子だけの教育環境」「高校まで
の一貫教育制度」に期待することをまとめてみましょう。
 
2回に分けて、「私学の建学の精神、教育方針の理解の仕方」について、「お
とうさん、おかあさんの受験対策」(めぇでる教育研究所 刊)からピックアッ
プして紹介しましたが、これは、あくまでも「わたし流の考え」にすぎません。
こういった解釈を情報として公表するのには、少し、心配があります。それは、
幼稚舎が作文を止め、面接を廃止した理由が、あまりにも「傾向と対策化され
ている現状から意味がないと判断したから」とおっしゃったことと同じ理由か
らです。一つの考え方、ヒントとしてお読みいただき、ご自身の言葉でお話し
できるようにしていただきたいと、老婆心ながらお願いしておきたいと思いま
す。詳しくは、めぇでる教育研究所のHPをご覧下さい。
 
間もなく夏休みに入りますが、夏休みの講習会に参加し、キチンと計画を立て
て、乗り切りましょう。「夏を制する者は秋を制す」、この気持ちで頑張って
ください。
 
   (次回は、「夏休みの過ごし方」についてお話ししましょう)

 


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