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めぇでるコラム : 2023小学校受験: 2022年7月

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>説明会より

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         「めぇでる教育研究所」発行
「2023さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
          ★第56号★
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○説明会情報
 
  聖心女学院初等科 オープンスクール
    期間:8月22日(月)~24日(水)
    時間:午前9時~午後1時
    所要時間:30分(各日8回、1回50組)
    申込期間:8月1日(月)~8月19日(金)15時まで
    申込はHPから
 
  白百合学園小学校 学校見学会 <満席>
    期間:8月29日(月)、30日(火)
    時間:午前9時~午後3時30分
    所要時間:60分(各日9回、1回24組)
 
 
 
■説明会より
      
今年も、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、WEBでの学校説明会に
する学校もまだ多く、慶應義塾幼稚舎もその一つでした。WEB説明会は、自
宅にいながら学校の情報を得ることができるので、みなさん方も、様々な学校
の情報に接する機会となっているのではないでしょうか。
 
そのような中、白百合学園小学校は、「実際に児童の様子などを保護者の方に
見ていただきたい」と従来の対面での説明会を開催しました。
開催にあたっては、入場時の検温、一席空けての着席などの新型コロナウイル
ス感染症対策を実施。
今回は、その白百合学園小学校の説明会が、実際にどのように行われたかを紹
介しましょう。ただし、文言は、正確ではないことをお断りしておきます。
  
   
 
  めぇでる教育研究所 入試情報
      白百合学園小学校 学校説明会
 
日 時 令和4年6月25日(土) 11:30―12:15
場 所 学園講堂
参加者 約500名
 
昨年に続き今年も対面での説明会を実施。また、入り口で配布された封筒につ
いて、学園報(小、中、高の保護者に配布)、大樹(小学校の保護者)、学校
案内、文集しらゆり(毎年、説明会用に作成、小学生の作文、詩、感想文)、
本日の次第が入っているとの説明がありました。
 
  次第
   校長挨拶 建学の精神と教育方針
   映像「一年桜組の一年間」
   本校の教育活動
   学校生活を振り返って(六年生児童)
   連絡
 
 
1.校長挨拶(根本徳子先生) ~建学の精神と教育方針~(ダイジェスト)
 
始めに、本校の建学の精神と教育方針につきましてお話させていただきます。
白百合学園小学校は、フランスのシャルトル聖パウロ修道女会が設立母体にな
っております。設立326周年になります。発祥の地はルヴェヴィルにあるラ
・シュナールという小さな村です。17世紀末のフランスの農村では人々は貧
しく、子どもの教育がおろそかにされていました。
 
その状況に心を痛めた1人の神父が学校を始めることにしました。神父の志に
共感し、子どもたちに読み書きや手仕事を教えたり、病人の看護行ったりした
のは修道女たちでした。人々の苦しみに寄り添い、献身的に愛ある活動を行う
修道女たちの取り組みが本校の教育の原点です。1878年(明治11年)に
フランス人の3名の修道女が函館に派遣され、それから3年後の1881年、
明治14年に東京に学校を設立したことが本校の始まりとなります。
 
設立当初の修道女の心を受け継ぎながら時代の要請に応える教育を行っていま
す。児童には、分かりやすく次のような校訓を掲げて実践に勤めております。
 
従順「すすんで みがこう 正しい心」
   良心の声に耳を傾け、素直に従い、より良いものを求める喜びを味わう。
勤勉「すすんで なんでも いしょうけんめいに」
   自分から行動に移し、与えられた力を磨き上げ、役立てる。
愛徳「すすんで しんせつ よろこんで」
   周りの人々の気持ちを受け入れ、お互いに大切にしあい、他の人の為に
   尽くせる喜びを味わう。
 
今年度は、特に『勤勉』に重点を置き、「みんなのために進んで生かそう自分
の力」という白百合生の姿を掲げています。互いの個性や良さを実感し、大切
にし合う心を養うこと、どんなことに対しても誠実に向き合い、一つ一つ丁寧
に一生懸命に取り組む心を育むこと、修道女たちが大切にしてきた精神を引き
継いでおります。
 
ここで、一つエピソードを紹介します。昨今のウクライナとロシアの情勢に心
を痛めた3年生の児童から募金をしたい、という申し出がありました。自分と
同じような年頃の子どもたちの姿をニュースなどで見て私に直接訴えてきまし
た。同じ頃、5、6年生の委員会活動でも募金を行おうという企画がでていま
した。そこで、教員もすぐに動き、募金活動が始まりました。欲しいものや食
べたいものを少しだけ我慢して貯めた児童の温かい思いが、苦しんでいる方々
の役に立つことを願っています。
 
このように本校の児童は自分のことだけでなく、周りにも目を配り、助けを必
要としている人に思いを寄せて、進んで行動しています。正しいこと、良いこ
とを自分なりに考え、力を尽くそうとする白百合生の姿は建学の精神の体現だ
とうれしく思っています。
 
以上、本校の建学の精神と教育方針につきましてご説明しました。ありがとう
ございました。
 
 
2.映像「1年桜組の1年間」
 
入学式から、「ごきげんよう」の挨拶の練習、授業の様子、上級生との関わり
など日々の生活の様子が伺えました。最後には2年生として入学式で「友だち
になるために」を合唱し、新1年を迎えて映像は終了しました。ご覧になった
保護者は入学後の1年をイメージできたのではないでしょうか。
 
 
 
3.本校の教育活動(ダイジェスト)
 
日々行われております教育活動についてお話をさせていただきます。
小学校は併設の幼稚園から60名、小学校から60名で1年生をスタートいた
します。約2週間は午前中で下校し、送り迎えをお願いしております。その間
は教員だけでなく、上級生からもたくさんのことを丁寧に教わっています。
 
続いて本校の宗教教育についてお話します。本校の教育活動の全ての基盤とな
っているのが宗教教育です。教室には神様の愛の心を表した十字架があり、児
童はお祈りを通して心の中の神様とお話しします。お祈りは、朝の会や食前食
後、帰りの会などに捧げられていて、児童の1日は祈りによって支えられてい
ます。宗教の授業では、低学年は聖書の絵本を使って楽しく学び、高学年は、
聖書の中の出来事を「もし自分だったらどうするか」と話し合いながら学びを
深めています。学校で行う主な宗教行事には、イエス様のご復活と児童の入学
や進級をお祝いする「よろこびのミサ」、「クリスマスミサ」などがあります。
「いつも、どんなときにも神様の存在があり、ありのままの私たちを受け入れ
てくださること。その神様を信頼し、感謝して、自分自身の行動へと繋げてい
く力を育てていきたい」と思っております。
 
本校には担任とほぼ同数の専科教諭がいます。それぞれの専門性を活かして、
質の高い授業を行うことができ、一人ひとりにきめ細やかな指導をしています。
また、専科教諭は副担任として各学年に配属し、担任と副担任が連携を取りな
がら、たくさんの目を通してお子様の成長を見守っています。
 
各教科の授業では、「学び、理解していく喜びを味わうことが大切」と考え、
学習を組み立てています。
 
また、学習習慣の定着のため、週1回家庭学習ノートを提出して頂いています。
漢字や計算の練習、授業で興味深く感じたことを調べる学習など、内容は様々
ですが、教員は一人ひとりに合わせた指導や励まし等を行っています。高学年
になっていくに従い、自分の苦手なところ、深く勉強していきたい事などを見
つけて、自分から学習に向かう姿勢を身につけていきます。
 
そして、楽しく充実した学校生活を過ごされたお子様方は、さらに高校卒業ま
で、同じ経験や想いを共有しながら成長していきます。卒業生の話からは、卒
業後も変わらぬ交流をしている、という話をよく聞きます。このように一貫校
に通う良さは一生の友を得られるということです。友という宝物を糧に白百合
生としての誇りをもって歩んでいって欲しいと願い、日々の指導にあたってお
ります。
 
 
<国語教育について>
 
本校の国語科では、美しい日本語の担い手となるため、「自分の考えを豊かに
表現することができる」、「文章を的確に読みとり、お互いに尊重しながら伝
え合うことで考えを深めあうことができる」という二つの目標を掲げ、日々の
指導にあたっています。
 
特に高学年では、想像したり、表現する楽しさや、言葉の持つ面白さを味わう
ことを大切にしています。そして、自分の思いを最後まで相手に伝えること、
話し手の方を見てしっかり話を聞くことは、国語の授業に限らず、全ての学び
合いの基本だと考えています。
 
学年が上がると他者の意見を聞き、自分の考えとの共通点や相違点に目を向け
て発言できるようになります。感染症対策で、机を向かい合わせて行うグルー
プワークはなかなか叶いませんが、iPadなどICTの力を借りて、お互い
の考えを共有できるようにしています。
 
高学年になると、他者の意見を踏まえ、根拠を示しながら自分の考えを相手に
わかりやすく伝えるような活動が増えていきます。これらの経験は、授業内に
留まらず委員会活動や縦割り活動などでも役立っています。
 
また、4~6年生では「ことのは」という独自の教材を活用しています。児童
が学習に向かう際の手引きとなるような一冊です。学習の進め方や原稿用紙の
使い方、文法などが掲載されています。
 
本校では、作文や読書感想文、日記など書く活動にも力を入れています出来事
や想いを表す言葉を探し、繰り返し文章を綴ることで、書く力が高まります。
 
最後に読書指導についてお話します。本校指定の必読書や推薦図書の紹介、司
書教諭による読み聞かせ、作品作りなど、本に親しむ場を多く作っています。
1年生は、授業の中での貸し出しのみですが、平均120冊の貸し出しがあり
ます。読書離れが叫ばれている昨今ですが、本校の児童は、約3万冊の蔵書が
ある図書室を積極的に利用し、進んでよく読書をしています。
 
このように、本校では、言葉を用いて自分の考えを的確に伝え、相手の思いを
受け止められるような女性の育成を目指して指導しています。
 
 
<外国語教育について>
 
本校の外国語教育の特徴は、フランス語と英語の二つの外国語を学習すること
です。
フランス語は、1年生から6年生まで週に1回、英語は、3、4年生は週に1
回、5、6年生は週に2回、少人数授業を取り入れながら、日本人と外国人ネ
イティブ講師によるチームティーチングの体制で行っています。
 
外国語の教科目標は、6年間で自分の身の回りのことを聞ける、話せる、読め
る、書けることですが、本校が外国語教育で一番大切にしているのは、言葉の
面白さや楽しさを味わうことを第一に、自分の考えを伝えたり、人の想いを受
け入れたりして、お互いを尊重し合う心を育てることです。
 
授業では、まず、聞く話す活動を中心に、学年が上がるにつれて徐々に文字を
取り入れ、読み書きの学習へと段階的に活動の幅を広げていきます。6年生で
は、私・学校・家族という同じテーマのもと英語とフランス語でまとめること
もします。
 
英語の授業では、より日常に根差した、豊かな英語表現に出会えるように、赤
ずきんや三匹の子ぶたをはじめ、昔話を数多く取り入れています。
 
フランス語の授業では、言葉の学習だけではなく、フランスの宗教的な行事や
文化的な行事を一緒に体験する活動も行なっています。フランス語は、中学校
でも必修として学習し、高校では、第1外国語として選択して大学受験の科目
とすることもできます。
 
コロナ禍では、対面に変わり、オンラインでの交流を行っています。5年生が
インドネシアやフランスの大学生と、本の紹介やクイズを行いました。学んだ
言葉を使う楽しさを味わい、生き生きと活動する様子を見ることができました。
 
また、カトリックの学校ならではの外国語との関わりも大切にしています。授
業や全校朝礼など、日常の学校生活の中で、英語やフランス語でのお祈りや聖
書の言葉を唱えたり、聖歌を歌ったりする機会が多くあります。フランス語と
英語の二つの言語を学ぶことにより、本校の児童は、外国語への関心や感度を
高めており、相互に良い影響を与えている様子が伺えます。
 
言葉は、外の世界への窓。その窓がいくつもあることで視野がさらに広がると
信じています。外国語の学習を通して、「他者に対して開かれた人間になって
ほしい」と願いながら、日々の指導を行っております 。
 
 
<ICT教育について>
 
本校では3年生からローマ字入力の練習に始まる基本的な技術の習得、プログ
ラミング教育、メディアリテラシーと情報モラル教育のカリキュラムを組み、
専門の教員が指導しています。
 
本校では、「主体的に学ぶ」「対話的協同的に学ぶ」「情報活用能力を高める
という3点を導入の目的として、3年生以上が一人1台iPad所持する体制
をとっています。iPadは便利な道具ですが、その分リスクが生じる道具で
もあります。本校では、保護者向けのガイドラインを作成し、さまざまな約束
事を保護者児童と共有することで、安心して利用できるように指導しています。
 
教科書やノートを使いこなすのと同様、学びのための道具として自律的に使う
ことができるよう指導しています。
 
また、コロナ禍であっても、学びを止めないという思いで、それまでも使用し
ていたロイロノートを使った双方向のやり取りを実践しています。音楽の授業
では楽器のパート練習に活用し、自分のペースで練習を進めています。算数で
は図形の授業でシンキングツールを使った仲間分けをすることで、他者の考え
方に触れ、より理解を深めることができたようです。
 
ロイロノート以外にも活動によって、アプリケーションを使い分けています。
図画工作の授業では、「コマコマ」というアプリケーションを使い、自分で作
った紙粘土のオリジナルキャラクターのアニメーションを撮影しました。でき
上がった作品をお互いに鑑賞して、動画で表現する面白さを味わいました。
 
ICTの活用によって、教師も授業の枠を広げています。ICTを活用し、様
々な意見を持つ友達を受け入れ、広い視野を持った女性の育成を目指していき
たいと思います。
 
 
4.学校生活を振り返って(六年生児童)
 
一人目は、自分が入学したての一年生だったとき憧れだった六年生になり、楽
しみの一つが一年生のお世話になっていること、一年生の成長を見守りながら
自分自身の成長も感じることができるので毎日が充実していると話してくれま
した。
二人目は、ダンスの視点から学校生活を紹介してくれました。創作ダンスの制
作過程で、異なる意見が出ても互いを尊重しながら作り上げることができ、大
きな達成感を得られたこと、運動会の120人でのダンスのこと、ダンスクラ
ブのこと、ダンスという自分が得意だと思えるものに出会えた幸せを話してく
れました。
三人目は、2年生での子ども祭りなど異学年交流の楽しかった思い出や普段の
授業について、また、3年間の留学、復学を経て感じた白百合の良さを話して
くれました。
いずれも児童の視点からの発表ということもあり、非常に参考になりました。
 
 
 
5.連絡事項
 
 出願方法:WEB出願、願書はHPよりダウンロードし、記入後郵送。学校
      での願書の販売はしない。願書のダウンロード期間や郵送期日が
      決まっているので間違えないように。
 学校見学会:8月29日(月)、30日(火)に実施予定。その時に個別相
      談も受け付ける。
 
以上で終了。
以前説明されていた「投稿時の安全と防犯防災」については今年はありません
でした。
質疑応答はなし。混雑を避けるため分散解散。
 
 
いかがでしたでしょうか。
文言は正確ではありませんが、説明会の様子が伝わったのではないでしょうか。
 
夏休み講習、元気に通っていますか。毎日、体系的に学ぶことにより、受験に
必要な力は確実につくと共に、知らない友とも学べ本番の雰囲気をも体験でき
ます。暑い日々が続いています。室外と室内の温度差などで体調を崩さないよ
うに、健康管理には十分に注意してあげましょう。
 

 


さわやかお受験のススメ<小学校受験編>夏休みの過ごし方(2)

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         「めぇでる教育研究所」発行
「2023さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
          ★第55号★
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◯受験情報◯
 
■慶應義塾幼稚舎
2023年度1年生の入学試験は、2022年11月1日(火)~9日(水)
に実施します。実施の詳細については「2023年度1年生入学試験募集要項」
で説明します。
「募集要項」は、2022年9月6日(火)より9月30日(金)まで、幼稚
舎および慶應義塾大学三田キャンパス正門警備室にて、一部1,000円で販
売します。販売時間についてはHPでご確認ください。
2022年度 入学試験の志願者数は次のとおりでした。
志願者数 男子978名 女子 700名 計 1,678名
(慶應義塾幼稚舎のHP 7月22日より)
 
■暁星小学校
令和5年度生オンライン学校説明会
 申込期間 2022年7月15日(金)~8月7日(日)12:00
 配信期間 2021年7月31日(日)~8月7日(日)16:00
 
令和5年度生入試説明会
 申込期間 2022年7月15日(金)~8月26日(日)12:00
 開催日  2022年8月27日(土)9:00~、12:00~
 
■白百合学園小学校
学校見学会
 申込期間 2022年7月20日(水)~8月30日(火)17:00
 開催日  2022年8月29日(月)、30日(火)
 開催時間 9時~15時30分(入替制)
 
 
 
 
  夏休みの過ごし方(2)
 
 
前回に続き、夏休みの過ごし方についてお話しましょう。
 
 
3.観る力をつける
 
動物園、植物園、博物館、水族館、プラネタリウムなどを利用して、観ること
で名称、種類、性質、形、大きさ、色、用途などがわかります。
図鑑人間、驚くほどよく知っていますが、残念ながら大きさのわからない子が
います。
 
本物を見せてあげてください。
 
ただし、お子さんが興味を示さないときは、あまり効果はないでしょう。
「今度の日曜日は休みだから、水族館でも行こうか」ではなく、「パパ、ラッ
コってどうやって貝を食べるのかな?」といったように「かな?」の二文字が
ついたときは、何はさておき連れて行きましょう。
疑問の芽が、好奇心を刺激しているからです。
 
そして、観てきたことを絵日記に描ければ素晴らしいですね。
なぜなら、絵日記は、体験したことを思い出しながら、整理して、映像化し、
記録することですから、知的な訓練にもなっているのです。ただし、絵の巧拙
にはこだわらないようにしましょう。楽しく描けることが何よりも大切だから
です。
かつて、慶應義塾幼稚舎で、画家が使うイーゼルを立て、絵を描かせましたが、
その目的は「子ども達の顔をみたかったから」と当時の舎長はおっしゃってい
ました。夢中になって描いている子ども達の表情は「素晴らしい!」の一言に
尽きるからです。
 
似ているところ(類似点)と違っているところ(差異点)を見つけ、話をさせ
ることも大切です。
言葉は、実際に話してみなければ、どうにもならないからです。自分で考えた
ことを、自分の言葉で話す機会をたくさん作ってあげましょう。野菜(キャベ
ツときゅうり)、花(さくらと朝顔)、果物(りんごとみかん)、乗り物(飛
行機と客船)などの組み合わせです。お子さんの話したことで、妥当性がある
場合は、正解です。
 
たとえば、「自転車とオートバイの違うところをいってください」の問題のと
き、「仮面ライダーはオートバイに乗るけど、自転車に乗って来ない」
といった子がいましたが、お父さん、お母さんはどう対処されますか。
 
「テレビのせいだ!」と怒りをあらわにする前に、とりあえず間違いではあり
ませんから、まず、その考えもいいけれどとうなずき、「仮面ライダーを知ら
ない外国の人にお話ししてわかるかしら?」といえる保護者になってほしいの
です。すると、お子さんは、自分の考えを認めてもらいましたから、人力と動
力の差に話が進むはずです。まず、認めてあげ、それから、正解に導いていく
ことが大切です。
 
皆さん「花火と雪だるまの似ているところ」について、子どもがどんな答えを
言うのか想像してみてください。
 
さて、話を戻しましょう。
 
朝顔やひまわり、家庭菜園で栽培した野菜などの観察絵日記(成長過程や咲い
た花の数、色、葉の形など)を描いてみましょう。成長の変化に気づく目が育
ちます。
 
また、種まき、発芽、葉、花、種といった成長の過程を観察することで、科学
的にものを学ぶ姿勢も養うこともできます。
郊外の畑では、ナスやキュウリの小花を見せてください。鮮やかな紫色と黄色
の花にびっくりするのではないでしょうか。
 
また、幼児用のプールや風呂を利用して、浮くものや沈むものを実験してみま
しょう。
スイカは絶対に浮かないと思っている子がいますが、お子さんはどうでしょう
か。迷っている時は実物で実験するしかありません。最近は、小さなスイカ、
小玉スイカが出回っていますから見せてあげましょう。
 
水がいっぱい入っているビンと少し空気が入っているビン、フタがしてあって
中に何も入っていないビンの実験など、興味を示すはずです。
 
磁石につくものを探してみましょう。アルミ缶とスチール缶では、「うん?」
となるはずです。砂場で磁石を入れるのも面白いので、実験してみましょう。
しかし、「コンセントなどに近づけると危険ですから、使う場合は目を離さな
いで、終わったら手の届かないところへ片付けるようにしましょう。
 
前号で取り上げた「折り紙を磁石で持ち上げる問題」ですが、折り紙の下にク
リップなどを置くと持ち上げることができます。
 
 
 
4.絵を描くことに興味を持たせる 
 
絵を描くことを嫌う子が増えていると聞きますが、事実なら困ったことです。
絵は、言葉や身体表現と同様、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感が受けた
刺激から観察力が働き、記憶したことがらを表したものといえます。
幼児の描く絵は写生ではなく、イメージ化したものと考えてあげましょう。
 
「絵は心の窓」ともいわれています。
 
お子さんの、心境が表れているのです。
絵の巧拙にこだわる必要はありません。
お子さんが、描けた絵を見ながら話を弾ませる、よい聞き手に徹することです。
お子さんが、絵を描くときの顔を見たことがあるでしょうか。楽しそうに描い
ていれば、心配ありません。先程の舎長の話ではなりませんが、夢中になって
描いているときの表情は、楽しそうで、素晴らしいものだからです。
 
 
 
5.ものを作る意欲を育てる
 
最近の入学試験でも、制作は重要な課題の一つになっています。
「折る、塗る、切る、貼る、組み立てる、結ぶ」は、幼児教育の基礎、基本で
すから、当然なのですが、知的なトレーニングに力を入れがちではないでしょ
うか。
 
「手は第二の脳」で詳しくお話しましたが、たとえば、つぼ型の容器に入った、
ふたのついた糊には、教育的な配慮がなされています。
左手で持ち、右手でふたに付いている取っ手を上にあげないとふたは開きませ
ん。
適量をとらなければなりません。少なければはがれやすく、多ければベタベタ
になります。
まんべんなく塗るには適量をとり、左手で紙を押さえ、右手で、のびろのびろ
と丁寧に塗らなくてはなりません。
そして、ふたを閉め、手を拭きます。
汚れた手をきれいにするのは、清潔感を身につける基本的な生活習慣の一つで
す。
スティック型の糊は、粘着力もあり、手も汚れませんが、大切な作業を省いて
います。
体験しない分、不器用になるということでしょう。家庭では、ふたつきの糊を
使ってほしいですね。
 
セロテープの使い方、適当な長さに切れない。切って貼るのではなく、必要な
分を切り、そして貼るといったように「切る」と「貼る」の作業を分けてみま
しょう。はさみの使い方、紙の折り方、ちぎり方、こういった作業がスムーズ
にできないと、制作は面白くないでしょう。
 
得意な子ども達は、お父さんやお母さん方が、こういった作業の重要なことを
理解し、こまめに自分で扱う機会を作っていると思います。
 
また、材料となる箱や、紙コップ、モールやリボン、もしかしたら、穴あけパ
ンチなども用意しているのではないでしょうか。
苦手な作業は、じっくりと時間をかけ、出来るようにしてあげましょう。
 
通っている教室にお任せだけではなく、家でも制作に励んでください。
 
折り紙は、巧緻性と記憶力を高める大切な遊びです。
かつて、暁星小学校の入学試験で5個作らせたことがありました。
簡単なものを、丁寧に折ることが大切です。雑に折ると、出来栄えも悪く、そ
れが子どもたちの興味をひかない原因になっているからです。
折り紙の得意な子は、姿勢もよく、物事を丁寧にする習慣も身に付いていると
いえます。
 
粘土遊びも大切な作業です。
砂場で遊ぶ機会が少なくなっているようですから、せめて、粘土で造形のおも
しろさを体験させておきたいものです。
「子どもの頃、砂場で遊ばなかったためか、最近の学生は、塑像作りが苦手の
ようだ」と東京藝術大学の彫刻科の教授がおっしゃっていたそうです。
折り紙と同様、立体作りは、子どもにとって楽しい学習になっていることを忘
れてはいけないと思います。
 
ここで問題です。
 
小さなみかんほどの粘土の塊があります。これを3つの同じ大きさの丸い形に
作ってください。
 
丸い粘土の塊を粘土板の上で、手で押さえながら棒状に伸ばし、それを3等分
して丸めると、ほぼ同じ大きさの丸い塊を作ることができます。お母さんと一
緒にクッキーを作ったときに教わった子が、実際にやって見せてくれたことが
ありました。
     
ある年のこと、3つに分けた塊を一つに戻した時、「先生、1+1+1=1に
なりますね」といった子がいました。皆さん方は、どう説明しますか。分数の
基本です。「量の保存」を思い出してください。
 
手先の作業として、輪ゴムつなげやクリップを長くつなげる遊びは、頭の疲れ
ているときなど、気分転換にもなります。
 
 
 
6.身体を動かし、体力と持続力を育てる
 
ボールつき、縄跳びは、バランスを必要とする全身運動です。
広い場所もいりません。目標を決めて、できるだけ長くできるように挑戦させ
ましょう。お父さん、お母さんと共に頑張ったことが試験に出れば、一所懸命
にやらない子はいません。持久力や耐久力もついてきます。
 
加えて、散歩に連れ出し、歩くことの楽しさも教えてください。車中心の生活
では、足腰が鍛えられず、スタミナ不足では、我慢する力も育ちません。
クーラーのある快適な生活は、半面、汗をかかない不自然な環境でもあるわけ
ですから、汗をかく運動は、ぜひ、行ってください。
 
そして、教室へは、電車で通いましょう。お子さんと電車に乗ることで、歩く
ことで、たくさんのことを学習できます。電車内で時々見かけますが、お子さ
んと一緒の時は、スマホを見るべきではなく、対話の楽しさを味わうべきです。
スマホをほしがる小学生に聞くと、「パパ(ママ)だって、見てるもん!」と
答える子が多く、「ママが見ているから面白いに違いない」と思っています。
「何が面白いの?」と聞くと「ゲーム」ですから、子どもの見ている時にゲー
ムなどすることは極力控えたいですね。
 
しっかり観察されていることを肝に銘じておきたいものです。何事も、親が手
本です。
 
また、お母さん、お子さんと一緒に歌を歌い、踊りましょう。お父さんでもい
いですね。
身体表現をやってください。楽しい思い出が残っていれば、試験場でお子さん
も一所懸命にやります。
 
男女問わず必修科目と考えましょう。
盆踊り大会があると思いますが、お父さん、お母さん照れないでお子さんと一
緒に踊ってください。特に男の子は、恥ずかしがり屋が多いですから、その鎖
を切ってあげましょう。
と言っても、これも新型コロナウイルス感染症の影響で実施されないことも多
いでしょうから、代わりに親子で「動物変身ごっこ」をしてみましょう。
 
この夏は、お子さんの負担になる旅行はさけ、秋に備えて健康管理に留意して
ください。
そして、起こしてならないのは事故です。ちょっとした油断が恐いのです。
親として、監視の目(管理の目ではありません)は、絶対にゆるめないことで
す。
 
夏休みの講習会も始まってきています。楽しく通えることが第一で、そういっ
た雰囲気を作ってあげましょう。毎日学ぶことから身についた学習習慣を、家
庭でも楽しくできるように、うまく利用することです。
 
そして、苦手な領域は、時間をかけて理解できるように、決して感情的になら
ずに、気持ちを落ち着け、「ゆっくり、じっくり、しっかり」を目標に、お子さ
んと共に頑張ってください。
 
 
3でお話しした「花火と雪だるまの似ている点」ですが、子どもから、「花火
は消えて、雪だるまはとける。両方とも形が残らない」という答えがありまし
た。素晴らしい着眼点ですね!
 
 
(次回は、「今年の説明会」についてお話しましょう)
 

 


さわやかお受験のススメ<小学校受験編>夏休みの過ごし方(1)

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         「めぇでる教育研究所」発行
「2023さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
          ★第54号★
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☆説明会情報
 ≪暁星小学校≫
   令和5年度生のための学校説明会(オンライン)
    日  時:7月31日(日)8:00~8月7日(日)16:00
    申込方法:学校HPからWEBでの申込
    申込期間:7月15日(金)8:00~8月7日(日)12:00   
     ※8月27日の入試説明会も同時に申込開始になっています。
 
 
 
 夏休みの過ごし方(1)
 
 
東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城の小学校の入学試験本番まで、後3ヵ月有余、
学校によっては2ヵ月半です。「夏を制するものは受験を制す」ともいわれて
います。夏休みの過ごし方に、合否の鍵があるといっても過言ではありません。
 
大切な日々を有効に過ごすポイントは、ご両親の考え方にあります。
 
まずは、何といっても健康管理です。
コロナ対策、マスク、うがい、手洗い励行、お子さんだけではなく、ご両親こ
そ率先垂範を。
 
幼稚園が休みになると、生活のリズムが狂いがちです。幼稚園があるときと同
じように、規則正しい生活のリズムを崩さないことです。1日のスケジュール
を立て、それにしたがった、メリハリのある生活を送りましょう。 ただし、
あれもこれもと、過密なスケジュールでは、お子さんの負担を増やすだけで、
かえってマイナスになりかねません。余裕を持って、計画を立てることです。
 
遊び時間をきちんと配慮してあげましょう。
 
知的な能力は高いが、体力に不安がある子が多いのも、小学校受験の特徴のよ
うです。机の上での勉強だけではなく、体を十分に動かす時間を設けましょう。
 
買い物などに出かけるときは、車を使わずに歩き、汗を流す機会を作ることで
す。十分も歩かない内に、「おんぶ!」をせがむようでは、とても受験に対応
できません。
 
肉体的なスタミナがなければ、精神力も弱いものです。一所懸命に頑張る意欲
や耐久力は、入試に欠かせない大切な要素です。運動教室にお任せだけでは、
真のスタミナはつきません。冷房の効いた快適な環境から、失うものもありま
す。お父さんにも手伝ってもらい、一緒に汗を流しましょう。お父さんのリフ
レッシュにも役立ちます。
 
ところで、夏休みに入ると、友達と遊ぶ時間が不足しがちです。受験一色にな
ると、友達との遊びを悪いことと考えるお母さん方がいると聞きますが、それ
は間違いです。
社会性や協調性といった集団生活への適応力に欠ける子は、どこの学校からも
歓迎されません。
行動観察型のテストでは、こういったところがはっきりと表れます。集団生活
への適応力は、問題集をこなすだけでは養われません。
 
感染症の影響もあり、最近、友達が家に来て遊ぶ機会も、少なくなっていると
聞きます。
自分の家と全く違う生活習慣があるなど、本来は、貴重な体験をする機会でも
あるのですが、あまり歓迎されていないようです。せめて、同じくらいの年齢
の子がいる親戚を訪ね、違った生活を送るのも貴重な体験になるのですが。
 
また、一人遊びも大切です。
 
遊びを通して自発性、考える力はもちろんのこと、一生懸命に取り組む意欲や
持久力もついてきます。入学試験に備えて、親が勝手に子どもの遊ぶ時間まで
管理するのは、いかがなものでしょうか。何から何まで管理していると、無気
力、無関心、無感動、無表情な「指示待ち子ども」になりかねません。
 
遊びを通して培われる力こそ、子どもにとっては、大切な財産になることを、
忘れないようにしてほしいのです。
 
任期満了前に辞任し、現場の教師に復帰した加藤三明元幼稚舎長は、毎年説明
会で「5歳のわが子を受験のためにスポイルしないでほしい」とおっしゃって
いました。受験準備は、早稲田実業初等部の教育目標ではありませんが、「ゆ
っくり、じっくり、しっかり」と余裕を持って取り組みたいものです。
 
ここで一言。
 
夏の幼稚園や保育園の行事に、お泊り保育があると思います。その時の様子を
先生に伺っておきましょう。
 
家族から離れて生活した時、今まで気づかなかったお子さんの一面が、現れる
こともあるからです。泣き出してしまうお子さんもいて、先生方も意外な思い
をする話を、よく耳にします。入学試験は、「生まれて初めての場所に入り、
生まれて初めて会った先生の指示に従い、初めて会った同年代の子ども達とグ
ループを組み、いろいろなことに取り組む」からです。心配なところが見つか
った場合は、育児が過保護、過干渉、自由放任になっていないかをチェックし、
自信を持って取り組める気持ちを育ててあげましょう。
 
特に、過干渉になりがちなお母さん方、口を挟む前に「1,2,3,4,5,
6」と数えましょう。そんなわずかな間でも、お子さんに考えさせる時間を与
えていることに気づいてほしいのです。
 
この「6まで数える」というのは、感情的になりそうになったときのアンガー
マネジメントとしても知られています。
 
 
 
 ★家庭でできる具体的な受験準備 
 
次に、ご家庭でできる具体的な受験準備についてお話しましょう。
本メールマガジンを通して、しつこく触れてきましたので、またかと思われる
でしょうが、大切なことですから繰り返します。
 
<1> 聞き取る力をつけるには
 
小学校の入学試験は、話を聞き取る力がついているか、いないかで決まります。
ペーパーテストには設問はありませんし、行動観察型のテストでは、先生の話
を聞かなければ、何もできません。
 
本を読んであげましょう。
 
耳と目から入ってくる情報から好奇心は刺激を受け、言葉を映像化する作業が
フル回転で行われ、記憶する意志が自然と働きます。一人になったとき、本を
見ながらお母さんに読んでもらった言葉を、筋道立てて思い出しているのです。
語彙がふえることで言語力、
イメージが豊かになることで想像力、
話を筋道立てて思い出すことで思考力、
より正確に覚えようとすることで記憶力、
言葉や絵、身体で表現することで表現力、
そして、何よりも大切な集中力、話を聞き取る力、話を聞く姿勢が身につきま
す。
 
「本の読み聞かせと対話」の効果を説明会で最初に力説されたのは、平成14
年に就任した立教小学校の田中司校長(当時)でした。
さらに、お子さんと話をする時間をたくさん作り、よい聞き手に徹してあげま
しょう。 言葉は、とにかく話をしなければどうにもなりません。どんな拙い
表現でもよく聞いてあげ、お母さんが正しい言い方に直してあげましょう。言
葉のキャッチボールを楽しんでください。
 
「対話の反対は沈黙ではなく、命令と強制」といったのも田中校長でした。含
蓄のある言葉ではないでしょうか。
 
そして、正しい指示を出しましょう。
「ユキちゃん、そこにある、あれ取って」
などと言っていないでしょうか。
 
これでは、指示を出した本人しか理解できません。
 
「ユキちゃん、テーブルの上にあるお料理の本を、お母さんのところまで持っ
てきてください」
「これ・それ・あれ・どれ」は代名詞ですから、きちんと名詞に置き換え、丁
寧なことばで応対しましょう。
 
面接の折りに、「デス、マス」を自然に使って話をさせたければ、お母さんが
お子さんの前で、響きのよい言葉をたくさん使ってあげることです。心地よい
言葉は、使ってみたくなるものです。
 
また、あいさつは、きちんとするように心がけましょう。
 
そして、用事を頼み、お手伝いをしてもらったときは、必ず「ありがとう」と
感謝のことばをかけてください。こういった気配りから、お子さんの心の中に、
相手を思いやる心も育まれてきます。
 
さらに、しりとり、同頭語、同尾語、反対語、短文の復唱などは、言葉遊びと
して、楽しみながら学習すれば、お子さんは喜んで挑戦するはずです。
 
この時期になると、「お話作り」を苦手とするお子さんが増えてくるようです。
前にもお話しました、「ママ(パパ)、あのね!方式」を採用してみましょう。
 
話す相手がお父さんやお母さんであれば、プレッシャーもかからず、気軽に話
せるからです。
そして、親が作った話を覚えこませるようなことはせずに、自分で思っている
ことを、自分の言葉で話せるように、しっかりと聞き手にまわり、上手、下手
は、二の次と考えることです。
 
こういった課題は、とにかく、言葉が出なければ、どうしようもないからです。
「こんなこと言ったら笑われるかな!」とか「これでは、ママに叱られるかし
ら?」などと思い始めると、言葉は出てきません。
 
どんな内容でも相槌を打ち、よく聞いてあげてから、
「こうした方が、ママはいいと思うけど、ユキちゃん、どうかしら?」
と、お子さんの話を認めてあげ、導いてあげると、お子さんは納得してついて
くるものです。
 
言葉が出ないのは、お母さんがしゃべりすぎの場合も考えられます。
 
「何とかしなければ」とお母さんがあせれば、お子さんは苦手意識を持ち始めま
す。自信をなくしますから消極的になりがちで、これでは行動観察型の試験に
対応できません。お子さんの話に耳を貸し、うなずき、認めてあげてから、お
母さんが考える方向へ、「ゆっくり、じっくり、しっかり」と導いてあげまし
ょう。
 
 
<2> 考える力をつける
 
最初のころでもお話しましたが、トランプは、数字と同じ数のマークがかいて
ありますから、数感を養うすぐれた教材です。
1枚ずつカードを出しあって勝敗を争えば、直感で多少を見分ける力がつきま
す。
 
これを繰り返していると不思議なもので、引き算の練習をしているのではない
のですが、 
「6と3では、6の方が3つ多い」
「10と8では2つ違う」
と多少の学習になります。
 
数の違うカードを5枚並べ、いちばん多いもの、少ないもの、2番目に多いも
のなどの学習もできます。
 
ところで、数え方ですが、たとえば、15個あるリンゴを、お子さんはどのよ
うに数えていますか。
(1)1,2,3,4と1個ずつ指で押さえて正確に数える。
(2)2,4,6,8と2個ずつ押さえて数える。
(3)3,6,9と3個ずつ押さえて数える。
(4)4,8,12と4個ずつ押さえて数える。
(5)5,10,15と5個ずつ押さえて数える。
(5)は最も速い方法ですが、幼児の手の大きさから考えると、5個ずつ押さ
えるのは容易ではありませんから、無理をしないことです。
できれば、3個ずつ、掛け算の3の段、3とびをマスターすると、早く、正確
に数えられます。
    
15個のおはじきをばらばらに置き、(2)からやってみましょう。
言葉と数が一致しないと、に(二),し(四),ろく(六),や(八),とお
(十)と数えられても「や、っていくつ?」といったように混乱しがちです。
これを理解させましょう。数を訓読みで覚えると、一日を除き、日にちに対応
できます。
 
15の場合、10までいったところで元へ戻り、2、4で止め、1個あまりで
14個、つまり、数え終わったときの4を10にくっつければ14となり、そ
れに余った1を加えれば15となることを教えます。
 
この場合、トランプの10と4のカードを使うとわかりやすいと思います。理
解できたら、おはじきは、どんな並べ方でも簡単にできますから、どんどん並
び替えて挑戦してみましょう。
 
以下、同じように、(3)、(4)にも取り組みたいのですが、(3)をマスターで
きれば最高と考え、後はできる場合は挑戦してもかまいませんが、絶対に無理
をさせないで下さい。
 
そして、(5)の5個押さえる方法ですが、たとえば、7個のリンゴを数えると
き、5個の集まりを手で押さえれば、残り2個ですから、合計7個であること
がわかります。いきなり(5)の数え方を教えず、きちんと段階を踏んであげま
しょう。
 
大人が考えるほど簡単ではないからです。
    
合成、分解も、カードを使うと面白く学習できます。
10のカードを使い、マーク1つを指で押さえれば[1と9]であることがわ
かります。
同様に、2つ押さえて[2と8]、3つ押さえれば[3と7]であることもわ
かります。
以下、同様にして挑戦しましょう。
[10]は[1]が10個集まっていると考えれば、楽しく取り組めるはずで
す。
    
トランプは、神経衰弱からは記憶力が、7並べでは1から13までの数列や系
列完成、下のように並べると上から、下から、左から、右から何番目、黒を中
心に左斜め上、右斜め下といったように位置の問題の学習にもなります。
         □□□
         □■□  
         □□□ 
その他、オセロやおはじきなどで分割を、積み木では、立方体を積み重ねるこ
とで、見えないところにある数の発見、模倣構成、四方図形なども楽しく学習
できます。
 
積み木の四方図形は、斜面を正面から見る場合、子ども達は「……?」となり
がちですが、実際に積み木を使ってやってみると、理解できます。 
プリント学習に疲れたときなどにゲーム感覚でこういった遊びをすると、気分
転換にもなります。 
   
数量や推理・思考、図形など、苦手な分野の問題は、じっくりと時間を使える
夏休みにこそ、全力で取り組みましょう。    
 
ここで問題を。
 
折り紙を磁石で持ち上げたいのですが、どうすればできるでしょうか。実験は、
遊びの感覚で取り組むことが大切です。
 
 
    
(次回は、「夏休みにできる家庭学習(2)」についてお話しましょう)
 

 


さわやかお受験のススメ<小学校受験編>建学の精神、教育方針の理解の仕方(3)

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         「めぇでる教育研究所」発行
「2023さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
          ★第53号★
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建学の精神と教育方針の理解の仕方(3)
 
 
今回は、地元千葉県の私立小学校を取り上げます。国府台女子学院小学部は、
前回第52号でお話ししましたので、4校について紹介いたしましょう。
 
 
≪ 日出学園小学校 ≫
 
教育理念と目標 
   ここから大きく育つ、生きる力。
   自主性  向上心  想像力  好奇心
  小学校6年間を通じて「なおく・あかるく・むつまじく」の校訓をもとに、
  人間教育の実践をしています。
 
  「なおく」とは、正しいこと正しくないこと、良いこと悪いことが判断で
   きること。
  「あかるく」とは、笑顔を絶やさず感動を体験しながら、一生懸命取り組
   むこと。          
  「むつまじく」とは、文字通り仲良くする、共に生きる、共生のこと。 
           
健康で潤いのある人間性や想像力を養い、基礎学力の定着を図る、これが本校
の目標です。具体的な内容に関しては、荻原巌校長のあいさつを参考にしてく
ださい。 
         
「日出学園は昭和9年(上皇陛下が誕生した翌年、市川が市となった年)に市
川在住の有志によって創設されました。
その中心となった青木要吉は若き日にアメリカに留学し民主主義と自由主義を
肌で感じ、その体験から生徒の特性を伸長することに重点を置いた私塾的な雰
囲気を持つ寺子屋のような少人数、男女共学の教育を目指していたと聞いてい
ます。
当初は幼稚園、小学校のみでしたが、昭和22年中学校を、25年には高等学
校を開設して現在に至っています。
 
人間形成の土台づくりは、児童期の体験数で決まると思います。小学校では、
学校行事での関わりの中から楽しさ、悔しさなどいろいろな想いを体験しても
らい、その都度いろいろなことを考えて前に進んで欲しいと願っています。そ
のために、異学年交流・異年齢交流・宿泊合宿など集団の中で、友だち・下級
生・上級生という立場で物事を考え行動し、そのような体験の中から社会性や
共感性などを身につけていってほしいと常々思っております」           
 
教科では、国語力の向上に力を注いでいます。図書室には現在約54、000
冊の蔵書があり、恵まれた環境の中で、考え、思い、学び、表現するための手
立てである「言葉の力」をつけさせ、「生きる力」へとつなげていけるように
指導していること。
また、「書は人なり、心を写す力」ともいわれているように、正しい「書写力」
を身につけることが一番の目標で、低学年のうちから、一点一画、ていねいに
書く習慣を身につけるように心がけている学校です。
 
創立者の信念でもあった「昼食はお母さんの手作りのお弁当」は、少し形を変
え、弁当をネットで注文し、購入できるシステムをはじめました。
また、令和4年度、アフタースクール「ひのキッズ」が開校しました。
注文弁当とアフタースクール、働くお母さん方への支援、これも歓迎されてい
るようです。
 
共学で、高校までのゆとりのある一貫教育で、大学受験は、本人の実力次第。
なお、中学受験に関しては、従来から、受験対策のノウハウは充実しており、
HPの中学校合格状況に、その実績を見ることができます。小学校は地元で安
全に通学、中学から東京の学校へと考えているご両親も多いようです。
 
 
 
≪ 聖徳大学附属小学校 ≫
 
2021年度から、高校(光英VERITAS中学校・高等学校)までの共学
となりました。それまでは、男子は中学受験する必要があり、かなりの進学実
績をあげていましたから、充実した進学体制をあげても良いのではないでしょ
うか。幼児教室対象の説明会でも、外部の優秀な指導者を招いていると聞いた
ことがあります。
 
最近、日本女子大学附属豊明小学校、聖心女子学院初等科をはじめ、千葉県の
私立小学校でも学童保育やアフタースクールが盛んですが、本校の「聖徳アフ
タースクール」の大きな特徴として、車でのお迎えを容認していることでしょ
う。お仕事を持っているお母さん方には強い味方になるのではないでしょうか。
 
校名の聖徳の由来は、聖徳太子の道徳や礼節などに対する思慮の深さを教育の
基礎とし、豊かな人間づくりを実現したい思いから。読み方を変えたのは、聖
徳太子に深い尊敬の念からで、「しょうとく」と読むのを控え「せいとく」と
したそうです。
 
「思いやりと、礼を尽くす、こまやかな心を学ぶ」を目指す小笠原礼法宗家の
指導による礼法教育、明和班、全校生が一緒に食事をする「食堂(じきどう)」
など、学園の「礼節」「知育」「勤労」の3つの教育方針について、どのよう
に期待するかをまとめてみましょう。
 
礼法教育は、1年生から6年生まで、年間指導計画があり、電車の中で化粧を
している女性や、歩きながら物を食べている無作法者に見せたいほど、日本古
来の文化が伝承されている学校です。これも欠かせない志望理由になるのでは
ないでしょうか。
 
 
 
≪ 千葉日本大学第一小学校 ≫
 
創立時は男子だけの別学でしたが、平成8年4月から共学校になり、大学まで
の一貫教育校です。共学が自然で、受験を考えなければ16年間のゆとりのあ
る教育環境で、自分の進む道を、ゆとりを持って学べることでしょう。
 
本校の児童は、一定の内部進学規定を満たすことで、学園の2つの中学校へ約
70%、2つの高校へは90%以上、そして大学へは60%の生徒が進んでい
ます。(令和4年7月のHPより)
 
本校の校訓「真(まっすぐに) 健(すこやかに) 和(なごやかに)を、わ
たしども流に、心を表す言葉として考えると、
 真は「飾り気のない、偽りのない心」
 健は「すこやかな精神」
 和は「おだやかな心」
となりますが、いかがでしょか。
 
本校の特色として、「学習習慣の定着と基礎学力定着」とありますが、年間の
授業時間数は、本校は13教科で6676時間、公立校は5645時間と、か
なり多いこと。
また、創立以来、英語教育に力を入れています。5年生からは英語で書いた日
記を提出したり、ステップアップタイムの活用などで、卒業時に6年生全員が
実用英語技能検定5級合格を目指しています。
6年間「自学ノート」に取り組むことも特長です。
そして、縦割りグループによる学年を超えたユニークな「さくら活動」でしょ
う。
こういったことからまとめてみましょう。
 
 
 
≪ 昭和学院小学校 ≫
 
教育目標に「知・徳・体の全人教育(知識だけにかたよった教育ではなく、性
格教育、情操教育なども重視する教育)を掲げていますが、開校以来、少数の
児童(現在は1学年3クラス)に行き届いた教育を行うことを目標に、道徳教
育を重視し、児童の基本的生活習慣の形成に力を注いでいます。それが、校是
「明敏謙譲」の狙いであり、教育目標に表れています。「学校案内」には「明
敏とは活力を持って未来を開くこと、謙譲とは英知を持って社会に生きること」
で、「明朗にして健康で、自主性に富み、謙虚で豊かな人間を育てること」と
説明されています。
 
山本良和校長は、就任の挨拶でこうおっしゃっていました。
 
「『人が未来』という言葉が本校の教育観を表した言葉です。人が、つまり、
子どもが未来。今日の学びが子どもの未来を作っていくんだという思いで取り
組んでいます。」
 
また、教育目標である「高い学力とやさしい心」については、
「高い学力というのは所謂受験のための学力ではなく、未知のものに立ち向か
っていく力、『学ぶ力』です。 <中略> 悩みながら試行錯誤した結果、こ
れまでできなかったことができた瞬間、全ての子どもは必ず笑顔になります。
この笑顔こそ、学校教育で目指すべき、実現すべき子どもの姿だと我々は考え
ています。」
「『やさしい心』とは、相手の事を自分事として捉え、一緒に感動したり、助
け合ったり、分かち合ったりできることです。道徳教育として、全ての教育活
動の中で、人の気持ちがわかる、共感するということを大事にしています。」
とおっしゃっていました。
 
「明敏謙譲」、例によって、育児の姿勢としてわたしども流に考えるとこうな
ります。
 
「謙譲」とは、「へりくだること」という意味で、「謙譲の美徳」ともいいま
すが、最近は、お目にかかれない言葉となりました。むしろ、「謙虚」の方が
おなじみかも知れません。「自分が偉いものと思わず、素直に他に学ぶ気持ち
があること」という意味です。すると校是の「明敏」は、「明朗にして健康で、
自主性に富む」ですから、「元気で、明るく、自力で挑戦する子」に、「謙譲」
は「謙虚で心の豊かな人間を育てる」ですから、「素直な子」と置き換えるこ
とができるでしょう。
 
独自の国語教育、伝統の読書教育に加え、「視写」があります。
文章をそのまま写すことです。おそらく子ども達は、名文を写し、記憶し、漢
字を覚え、語彙も増えるといったように、楽しい学習をしているのではないで
しょうか。
 
幼稚園では、年少から英語を正課にしていることについて、受験されるお母さ
ん方から、「英語の勉強について、何らかの準備をしておかなくても、ついて
いけるでしょうか」と質問を受けることがあります。附属の幼稚園では、年少
から正課として英語を保育に取り入れ、年少組は週1回30分程度、年中、年
長組は週5日40分程度行っています。3年間でかなり力がついていると考え、
入学後、英語を学んでいない子どもにとって、それがハンデになるのではと考
えるのも当然ではないでしょうか。
 
それについて鈴木祐子前校長が以前、
「本校では、ESL用に開発された『グレープシード』という英語のカリキュ
ラムを使用しています。入学時には個々のバックグランドにより英語力がまち
まちな児童たちですが、少人数制の英語授業を通し、ほぼ1年で経験に由来す
る差はなくなります」
とおっしゃっていましたので、心配ないようです。
 注 ESL(English as a Second Language)
     英語を母語としない人のための英語教育を目的としたプログラム
 
また、本校のアフタースクールには12講座の内、英語の授業が3講座設けら
れており、これを利用することで、ハンデをなくす対策になっているのではな
いでしょうか。本校のアフタースクールは半端ではなく徹底していますから、
学校側も自信を持って対応できると考えているようです、私見ですが。
 
共学で、高校までの一貫教育校と期待する教育内容からまとめてみましょう。
日出学園と同様、中学受験のノウハウは充実しており、HPを見ると進学状況
を見ることができます。これは、現在共学ですが、それ以前は、中高は女子だ
けの別学であったため、男子は受験を控えていたためです。念の為、お断りし
ておきますが、面接で「中学受験を目指しています」は、そういう考えを持っ
ていても、あえて言う必要はありません。
 
なお、令和3年度入試から105人募集に増え、それに伴い、校舎(ウェスト
館)が増設されました。木造の校舎で、入ると木の良い香りがします。
 
 
3回に分けて、「私学の建学の精神、教育方針の理解の仕方」について、「お
とうさん、おかあさんの受験対策」(めぇでる教育研究所 刊)からピックアッ
プして紹介しましたが、これは、あくまでも「わたしども流の考え」にすぎま
せん。
こういった解釈を情報として公表するのには、少し、心配があります。それは、
幼稚舎が作文を止め、面接を廃止した理由が、あまりにも「傾向と対策化され
ている現状から意味がないと判断したから」とおっしゃったことと同じ理由か
らです。一つの考え方、ヒントとしてお読みいただき、ご自身の言葉でお話し
できるようにしていただきたいと、老婆心ながらお願いしておきたいと思いま
す。詳しくは、めぇでる教育研究所のHPをご覧下さい。
 
間もなく夏休みに入りますが、夏休みの講習会に参加し、キチンと計画を立て
て、乗り切りましょう。「夏を制する者は秋を制す」、この気持ちで頑張って
ください。
 
 
 (次回は「夏休みの過ごし方」を予定しています。)
 
 

 


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