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めぇでるコラム : 2023小学校受験 3ページ目

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>よくある質問

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         「めぇでる教育研究所」発行
「2023さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
          ★第47号★
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★説明会速報★
 
5月、6月、7月は多くの学校で学校説明会が開かれます。今年はWEBでは
なく来校しての開催が戻ってきました。
受験校を知るには、学校へ行くのが一番だけに、受験生をお持ちの保護者の皆
さん方は、直接学校を訪問をできる貴重な機会を逃さないようにしたいですね。
 
慶應義塾幼稚舎は、説明会と学校見学を7月に行うようですが、説明会は昨年
同様動画配信となっています。一方、早稲田実業学校初等部はオンラインでの
説明会となっています。
雙葉小学校は学校での開催に戻りました。白百合学園小学校も昨年同様学校で
の開催ですが、東京女学館小学校はオンラインでの開催。まだまだ学校によっ
て様々ですので、こまめにホームページをチェックしましょう。
 
 
 
早稲田実業学校初等部の学校説明会ですが、過去にこういった話がありました。
○どんな子どもに来てほしいか。
 ・早実、大好きな子。
 ・早稲田大学へ行って勉強をしたい子。
 ・規則正しい生活のできる子。
 ・人の話を最後までしっかりと聞ける子。
 ・自分のことは自分でできる子。
 ・基本的な生活習慣、しつけの身に付いている子。
「9月2日(土)の学校見学会に、ぜひ、お子さん同伴で参加してほしい。私
の願いは、お子さんがこの学校へ来て、学びたい、勉強したい、友達と遊びた
いと思っていただけることです。これだけでお子さんのモチベーションが上が
るからです」
橋詰敏長、初等部校長(当時)の話です。見学して、モチベーションが上がり、
「早実、大好きな子」になってくれれば、親として、これほどありがたいこと
はないのですが。 
 (平成29年5月28日〈日〉午後1時~2時30分 於 大隈講堂より)
 
 
 
 
さて、今回は、皆さんからこの時期によく受ける質問を、紹介しましょう。
 
                
Q「折り紙をする時、折り方が雑できちんと出来上がらないのですが、どのよ
 うなことに注意すればよいのでしょうか」
         
A「折り紙は、一枚の紙から立体を作り出す大変楽しい作業ですが、一つひと
 つきちんと折らなければ、本に出ているような作品にならないだけに、子ど
 も達の失望も大きいようです。
 まず、折り紙を半分に折り、長四角を作ってみましょう。
 机の上で、上と下の辺を両手できちんと重ねます。左手の人差し指で重ねた
 辺の真ん中をずれないように押さえ、右手の人差し指を左手の人差し指のと
 ころから下の折り目の真ん中に向かいまっすぐに下ろしてしっかり押さえま
 す。
 
 右人差し指で真ん中をしっかりと押さえながら、押さえた指のところへ左手
 の人差し指を並べ、左端まで指を滑らし、折り目をつけます。 
 次に、左人差し指を真ん中に戻し、しっかりと押さえ、右人差し指で右端ま
 で指を滑らせながら、折り目をつけます。
 それを広げ、90度回転させ、同じ作業をし、正方形が4つできるように折
 ります。
 次に、今使った折り紙の角と角を合わせ三角形に挑戦しましょう、作業手順
 は同じです。
 
 文章にすると、敬遠したくなりますが、お母さん方がお手本を示してあげれ
 ば、難しいことではありません。
 
 折り紙がうまくできない原因は、こういった基本の折り方がきちんとできて
 いない場合にもあるようです。
 いきなり作品に挑戦せずに、四角と三角の折り方の基本をマスターすると、
 折り紙も楽しくなると思います。
 何事も基本が大切ですが、その作業は退屈でつまらないことが多いものです。
 それにまじめに取り組むのが、技術を身につけるコツであることは、皆さん
 方も経験されていることではないでしょうか。
 「ゆっくり、じっくり、丁寧に」、これしかありませんね。
 
 
 
Q糊を使うのを嫌がるのですが。
 
A現代っ子のもっとも苦手とする作業ではないでしょうか。
 ご家庭では、セロハンテープやリップ・スティック型の糊を使っていると思
 います。
 最近は、入試でもこういった接着剤を使用することもありますが、今の段階
 では、ふたのついた、つぼ型の容器に入った、幼児用の糊を使ってほしいも
 のです。
 これには、いろいろと教育的な配慮がされているからです。
  
 ふたを開けるにも、左右の微妙な力のバランス感覚を学べます。
 そして、使う量、適量を指に取るには、目分量、勘が必要です。
 多ければベタベタ、少なければはがれます。
 さらに、つけ方です。
 糊が、全体に滞りなく行き渡るには、かなりの練習が必要です。
 そして、貼ります。
 これだけのことをやり、作業が終わると手を拭き、ふたをして片付けるので
 すから、面倒に思うのも無理はないかもしれませんが、ここで手抜きすると
 不器用になるのではないでしょうか。
 
 もっとも厄介なのは、適量を取り、貼ることです。
 はじめは、折り紙を4分の1に切ったものを使い、上の真ん中に少しつけ、
 スケッチブックなどに貼る練習をしましょう。
 次に、四隅に糊をつけて貼り、それができれば糊を真ん中に縦に伸ばしてつ
 け、左右に伸ばす練習をしましょう。  
 ステップを踏んでいけば、必ずできるようになります。
 「不器用なのね!」などと、絶対にいわないことです。
 
 加えて、幼児期に身に付けておかなければならない「汚れたらきれいにする」
 という大切な生活習慣を身につけることができます。
 大切な、大切な生活習慣です。
 
 つぼ型の糊には、教育的な配慮がしてあるという理由は、こういったことな
 のですが、いかがでしょうか。
 
 
 
Q早生まれなのですが、幼い絵しか描けません。上手になるでしょうか。
 
A入試を控えると、こういった心配をするお母さん方が増えているようですが、
 お子さんの絵の描き方を思い返してみましょう。 
 
 2歳は点や線の殴り書きで、3歳から円や四角らしきものが描け、ある時、
 突然、頭から手足がニョキニョキと出ている人間を描いたと思います。
 やがて、頭と体が分かれ人間らしくなりますが、手は電信柱のようにまっす
 ぐ伸びたままで、やっと年中の終り頃に手も下に降り、人間と認められる絵
 になったのではないでしょうか。
 このようになるまで4、5年かかる子もいますから、幼児にとって絵を描く
 のは、大変な仕事でもあるのです。
  
 そして、基本的な生活習慣と同じように、絵を描く作業は、速成も、いろい
 ろなテクニックを駆使しての促成もできません。
 お子さんの成育史が、そのまま姿を現すものではないでしょうか。
 ご両親の遺伝もあるかもしれません。
 お子さんは、楽しく絵を描いていますか、そうであれば心配ありません。
 お子さんが描いている絵は、現時点で最高の作品であることを認めてあげま
 しょう。
 そして、幼い絵でも描きたい目的があるのですから、そこを見つけて褒める
 ことです。
 他の子ども達と比べて評価するのは、賢いお母さん方のすることではありま
 せん。
 ましてや、早生まれの子ども達にとっては、大変迷惑な話です。
 楽しく描ける雰囲気を作ってあげることが大切です。
 
 ところで、最近コロナ禍で減っていますが、4、5人のグループで1枚の絵
 を描かせる学校が増えてきました。共同作業ですから、お互いにコミュニケ
 ーションが図れるかも大切なポイントになっています。使いたいクレヨンが
 1本しかない場合、「それが使えるようになるまで何もしないお子さんがい
 る」と聞きますが、学校側は、社会性や協調性といった集団生活への適応力
 を見ているのではないでしょうか。引っ込み思案の多い男の子、通っている
 教室の先生に聞いてみましょう。
 
余談になりますが、ある小学校のオープンスクールで、1年生全員の描いた絵
が、幼い絵まで全て展示されていました。子どもの成長をありのままに受けと
めている教育方針に感動したものです。展示された子どもがいやな思いをしな
い指導、私たち親こそ、そういった目で子どもの成長を見ることが大切ではな
いでしょうか。
 
 
  (次回は、「志望校選びのポイント」についてお話しましょう)
 

 


さわやかお受験のススメ<小学校受験編>学校説明会で確かな情報を(3)

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         「めぇでる教育研究所」発行
「2023さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
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 2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
          ★第46号★
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学校説明会で確かな情報を (3)
 
  ★紹介したい説明会でのエピソード(2) 
 
 
[入試情報]
 雙葉小学校説明会
     日 時 7月22日(金)、24日(日)
     場 所 雙葉小学校
     申 込 6月20日(月)午前10時から申し込みサイトよりお申
         し込みください。
 
          詳しくはホームページをご覧ください。
          
  
東日本大震災を受け、平成24年の49回目のメルマガでは、「説明会速報 
立教小学校(6月9日)」で次の話を紹介していました。数年後には、いわゆる
コロナ禍に関するエピソードが出てくるかもしれませんね。
 
  震災に対していろいろと対応を考えている。
  校舎は古いが理論上は震度7に耐えられる建物、震度5以上の予知情報が
  校内に流れるようになっている。
  乾パン二千食、水や毛布の備蓄もあり、グランドの奥にある水車小屋の下
  には井戸があり水は豊富。立教大学が通勤難民四千人あまりを収容、乾パ
  ンを配り、学生食堂では炊き出しをした。池袋周辺にいれば安全を確保で
  きるので心配いただくことはない。現在、停電になっても発信できる緊急
  メールを準備している。
  大学院には放射線物理学科の専門の先生がいて、給食の食材、水道水の放
  射能値を測定するなど、学院の組織的なバックアップもあるので安心でき
  る体制にある。
        (緊急メールは、現在完備されている)
        
さて、説明会へお子さんを連れてこないでほしいと明言している学校もありま
すが、そういった条件がある場合は別として、お子さんを会場へ連れていかな
ければならない事情のある方もいます。1時間から2時間ほどかかる学校もあ
りますから、子どもは退屈します。
 
ある学校の説明会、体育館で行われたため、後ろの所に子ども達が遊べるよう
な空間があったのです。そこで、子ども達が走り回りはじめました。うるさい
のですが、親が注意をしません。             
見かねた校長先生が、                      
「元気な子と不作法な子は違います」               
とおっしゃったのですが、それでも注意する親が現われません。学校の教育方
針と違うことをやっているにもかかわらず……、もっとも、出るに出られなく
なってしまったのかも知れません。   
 
これは、その逆の話ですが、赤ちゃんを胸に抱いたお母さんが、会場の外の廊
下で立ったまま話を聞いていました。恥ずかしい話ですが、「遅刻しないよう
に」などとおこがましくもアドバイスしている私自身が、渋滞に巻き込まれ5
分ばかり遅刻したことで、偶然、この光景に出会ったのでした。先生との話の
様子から、会場へ入るようにすすめられても、辞退しているようでした。終わ
って廊下に出た時、何と同じ所にお母さんがいるではありませんか。約1時間
半、大変だったと思います。この学校の教育方針は、「心身ともに強く、心の
やさしい子」の育成です。お母さんは、出身者ではなかったでしょうか。
 
この話も、機会があれば、必ず、紹介することにしています。
 
 育児ないないづくし
   暖房きかせて寒さがない        冷房きかせて暑さがない  
   おやつが過ぎて空腹がない       歩かせないので疲れがない 
   おもちゃのやり過ぎで興味がない    テレビの見過ぎで考えない 
   何でもホイホイ我慢がない       点数以外に関心がない   
   わかっているけど行わない       これではまともに育たない
 育児を「育自」と置き換えて、育児を通して育自するお母さんを求めます。
 
こうおっしゃっていました。
育自は誤植ではありません、自らを育てることです。「育児を通して育自する
お母さんになりましょう」と何やら偉そうに私は言っていますが、種を明かせ
ば、その根拠はここにあるのです(笑)。
 
次の話は、あるミッション系の学校で伺った話です。
母親の学歴が高くなる一方で、育児が下手になっているといわれています。核
家族化、少子化の進む環境のもとでの育児ですから、決して母親だけの責任で
はありません。しかし、バブル経済全盛期の頃に聞いた話ですから、考えさせ
られてしまいます。子どもを取り巻く環境は、あまり変わっていないどころか、
むしろ悪くなっていると思われるからです。
文言は正確ではありませんが、以下のような話でした。
     
  現代の価値観は多様化したとはいえ、世界各国のシスターから、日本人と
  いえば、商売に道徳は無用とばかりに、自己の利益だけを求めるイメージ
  が強くなるばかりと聞かされています。その歪みを正すのが教育に携わる
  私たちの使命です。教育が、こうまで荒廃した原因は、あまりにも豊かに
  なり過ぎ、お金が評価の基準になって、そこには精神的な絆がないからで
  す。教育の危機は、心を大切にしないことから発しています。
  学卒のママが多くなる一方で、いたわり合う心、思いやりの心を持った子
  が少なくなっているのはなぜでしょう。それは、心を育てるより知識を与
  えることに夢中になっているからです。無理に知識を詰め込もうとすると
  過干渉になりがちで、素直な感情を押さえつけ、その結果、子どもの心は
  屈折してしまうのです。
 
30年以上前になりますが、すでに過保護、過干渉な育児の弊害を指摘してい
ます。これは小学校受験だけではなく、早期教育や稽古事にもいえるのではな
いでしょうか。子どもが、あることを学習するために、ふさわしい成長をして
いない状態で、いろいろなことを詰め込むのは、幼児に適した教育とはいえま
せん。
 
では、幼児期にふさわしい教育とはどういうものでしょうか。
立教小学校の田中司元校長の話を、文言は正確ではありませんが紹介しましょ
う。
 
  0歳から6歳までの幼児期は、人間の一生でいちばん大切な時期です。最
  も大切なのは、対話です。子どものいうことをよく聞き、やりたいことを
  しっかりとつかむことです。親がしっかりと聞いてくれ、受けとめてくれ
  ることで、子どもは安心感を持ちます。人間にとって安心感ほど大切なも
  のはありません。対話の反対は沈黙ではなく、命令と要求です。家庭内で
  対話が成立する、これが育児でいちばん大切だと思います。
 
  次は、本の読み聞かせです。現代の情報は映像で入ってきます。
  映像は視覚と聴覚を通して、瞬時にわかる反面、頭の中でイメージを作る
  想像性が欠如していく気がします。読み聞かせをする母親の、話しかける
  父親の言葉を聞きながら情景や動物、人間の姿を思い浮べることが、人間
  にとっていちばん重要な能力だと思います。イメージする力を育てること
  は、文学的な分野と考えがちですが、自然科学的な発想は、少ないデータ
  をもとに発展させ、それぞれの世界をイメージすることでできたわけです。
  分子や原子は、どんな格好をしているか、太陽はどんな姿をし、宇宙はど
  のようになっているか見た者はいません。わずかな情報から科学者が創っ
  たイメージの世界です。読み聞かせは、子どものイメージする力を育てる
  とともに、子どもの世界を一緒に楽しむ豊かな時間でもあるのです。
 
  3番目は、ご家庭の中に自然を楽しむ文化をもってほしいのです。神様が
  創った自然の美しさ、素晴らしさにかなうものを、人間は作っていないと
  思います。気をつけないと、人間が作ったものだけに囲まれて生活するこ
  とが可能な時代になりました。土を踏んだことのない子もいます。土、石、
  葉っぱ、虫、砂といった地球を作っていく素材を、子どもが肌で感じるこ
  とが大切です。休日に、森や海岸、川原や野原へ、弁当とシートを持って
  出かけ、自然って美しいな、風って気持ちがいいぞ、葉っぱはきれいだ、
  石ころにはいろんな形があって面白いな、何もプログラムを作らずに、ゆ
  ったりと、そこにいるだけで素晴らしい、そういう自然の楽しみ方、それ
  は非常に高い文化ではないかと思います。
 
対話、読み聞かせ、自然を楽しむ文化、考えさせられることばかりですが、特
にお母さん方は、「対話と読み聞かせ」については、ついこの間までキチンと
実行していたはずです。
 
お子さんの赤ちゃん時代です。      
 
何もわからない乳飲み子に、一所懸命、話しかけませんでしたか。
赤ちゃん言葉を懸命に理解しようとしませんでしたか。
こういった姿は、無償のほほ笑みと共に、この世で最も美しい姿といわれてい
ます。
        
ところが、受験準備に夢中になりすぎると、「命令と要求」の日々になりがち
です。でも今は、大丈夫なのです。心配なのは、夏休み以降です。
 
ちなみに、田中元校長が就任した年から、立教小学校はペーパーテストを廃止
しました。
男の子の多くが苦手とする、音楽に合わせて体を動かすテストがあり、思わず
笑ってしまいましたね。照れ屋で気が弱く繊細な神経の子が多いからです。運
動会で楽しくダンスをしているのは女の子ではないでしょうか。お父さん方も
何やら照れくさそうに踊っていますね(笑)。
 
2021年度から校長に就任した田代校長が副校長の時には、脳科学者の話を
例に、18歳を超えると脳の成長の差はなくなるが、それまでは女子の成長が
速いので、小中高が別学で、大学は共学が理想的な教育環境、「手前みそなが
ら」と自慢されており、なるほどと納得できました。別学が禁止されていたア
メリカでは、2006年に法が改正され、公立の学校でも別学を選択できるよ
うになっているそうです。
 
 
最後に、平成9年6月に、白百合学園幼稚園が、創立以来、初めて説明会を開
催したときにうかがった話を紹介しましょう。幼稚園を受験されるお母さん方
への話ですが、小学校の受験も、基本的には同じことだからです。
 
あいにくの雨の中、熱心なお母さん方が、およそ500名、幼稚園のプレイル
ームは、立錐の余地なしといった状態でした。(第2回目以降は、学園内の講
堂で行われていますから、園舎に入るという貴重な経験をしました!) 校訓
である三訓、「従順、勤勉、愛徳」の説明、モンテッソーリ教育の目的、敏感
期、縦割り保育のメリットを話された後に、幼稚園側が望む子ども像について、
次のように話されたのでした。
 
  私どもの希望しておりますのは、小さいときから、入園テストですとか、
  面接テストを受け訓練された子ではなく、むしろ日常の生活の中で、特に、
  お父さま、お母さまの、生きたお手本の中で育てられたお子さま方、それ
  から年齢相応に基本的な生活習慣が、これは、まだ完全にできませんから、
  ある程度、身についているお子さま、明るく、素直で、いきいきしたお子
  さま、そういう子ども達を期待しております。
 
いかがでしょうか。
「お父さま、お母さまの生きたお手本の中で育てられたお子さま方」云々は、
幼稚園、小学校の受験は、まだ、中間報告ですが、お子さんを通して、ご両親
の育児の集大成を判定しているということです。
 
 
ところで、小学校の受験は、「はじめにご両親の育児の方針ありき」とお話し
ましたが、その根拠となっている話を紹介しましょう。残念ながら、今では手
に入りませんが、慶應義塾幼稚舎が願書に同封していた小冊子「第一学年入学
志願者心得 入学受験について」に書いてあったことです。
 
  甚だ当たり前のことであるが、子供は手塩にかけて育てるものである。
  「両親が手塩にかけて、心を尽くして育ててきた我が子を、受け取らない
  学校があるなら、行かなくても一向に差し支えない」
  というように考えられないものであろうか
 
 
学校説明会は、建学の精神や教育理念を話すだけではなく、こういった育児に
ついての話があることから、小学校の受験は、ご両親の育児の姿勢が問われて
いることが、おわかりいただけたと思います。問題集だけを頼りにし、机の上
だけで受験準備はできません。子どもは、ご両親の作った環境で育っていきま
す。基本的な生活習慣やあいさつ、言葉遣い、運動能力といったものは、ご家
庭できちんとやっていかなければ、幼児教室や塾などで、受験に必要なノウハ
ウの指導を受けても身につかないでしょう。
 
だらだらと食事をし、衣服の着脱ができないようでは、暁星小学校のような俊
敏性を求めるテストに対応できません。
 
すぐ疲れておんぶをせがむようでは、筑波大学附属小学校や昭和学院小学校の
ような熊歩き(四足歩き)をやれといってもできないでしょう。
 
自立心や意欲が培われていないと、かつての白百合学園小学校のように立った
ままで試験を受けることも難しいのではないでしょうか。
 
過保護になっていれば、話を理解し、素早く、積極的に取り組まなければなら
ない幼稚舎のような、行動観察型の試験をクリアできるとは考えにくいことで
す。
 
学校側が試験を通して知りたいのは、「知育、徳育、体育の三つの能力が、就
学前の子どもにふさわしく、バランスよく培われているか」であり、知的な能
力だけを判定しているのではありません。こういった能力を育み、意欲のある
子に育てるのはご両親であり、試験を受けるのはお子さん自身ですが、判定さ
れているのはご両親であることを、納得いただけたのではないでしょうか。
 
 
 
数々のエピソードは、以前にもお話ししました「心を鍛える賢い子どもの育て
方」や「おとうさん、おかあさんの受験対策」(私のお勧めは、他校を受験さ
れる方々にもお役に立つと自負しています慶應義塾幼稚舎編)の一部を紹介し
たもので、説明会へ参加する前にお読み頂き、万全の態勢で秋に向かってほし
いと願っています。詳しくはめぇでる教育研究所のホームページ、「出版物・
問題集のご案内」をご覧ください。
    
 
   (次回は、「よくある質問」についてお話しましょう)

 


さわやかお受験のススメ<小学校受験編>学校説明会で確かな情報を(2)

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         「めぇでる教育研究所」発行
「2023さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
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 2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
          ★第45号★
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学校説明会で確かな情報を (2)
 
 
★説明会情報★
 昭和学院小学校
   2022年度オープンスクール日程
   第1回オープンスクール・学校説明会 5月14日(土)満席
   第2回オープンスクール・学校説明会 5月21日(土)満席
   第3回オープンスクール・学校説明会 6月 4日(土)満席
   第4回オープンスクール・学校説明会 6月22日(水)受付中
   第5回オープンスクール・入試説明会 9月10日(土)
   運動会               5月28日(土)非公開
   体験教室(年長児のみ定員160名) 6月25日(土)5/16~受付
   学芸発表会             10月1日(土)
 
 
 
紹介したい説明会でのエピソード(1) 
 
施設見学会をしているときに、「?」といったものに出会うときがあります。
例えば、
学習院初等科の入試説明会は四谷の初等科で行われますが、体育館へ渡る廊下
は道路の下を貫通させたものですから、かなりの勾配になっており、しかも狭
いため、「おさない・かけない・しゃべらない・もどらない」と混乱をさける
ために4つの約束の語頭をつなげた「おかしもの約束」の標語が掲げられてい
ます。これは阪神・淡路大震災以後、消防庁による教育安全指導のガイドライ
ンに紹介されたことから、防災教育の標語として全国に普及したもので、当初
は「おはし(おかし)」(「は」は走らない)だったが、津波による避難の原
則でもある「戻らない」が追加されたそうです。 (synodos.jp/fukkou/10522 
より)
 
かつて早稲田実業学校初等部のホームページにも「おかしもの約束を守り、警
察署、消防署の協力のもとに、子ども達が安全に避難できるように指導してい
る」と出ていました。
沖縄のとよみ小学校では「おかしもちの約束」があり、「ち」は「近づかない」
だそうですが、海に囲まれているだけに切実な思いが伝わってきます。
自然災害だけは、何とか穏便に願いたいものですが、同時に、その時はどうす
ればよいか、子ども自身でできることは、普段からきちんと教えておく、これ
も親の大切な仕事です。
 
さて、今回からエピソードについてお話しますが、何と言っても四ツ谷の雙葉
小学校の説明会ですね。
開催されたのは、昭和61年9月のことでした。
やめていた説明会を再開した理由は、妙なうわさを学校側が否定することにあ
ったのです。
 
以来、平成元年まで続け、その後、実施していませんでしたが、同18年から
再開されました。昨年、一昨年はオンラインでの説明会でしたが、今年は学校
での開催予定となっています。
 
さて、再開された時のことですが、「何か不祥事があったのでは!」と危惧し
ていたのですが、大勢の人々を収容する施設がなかったのが直接の理由で、新
しく講堂ができたために再開したとのことでした。
 
うわさといったものが、どういうものであるかを明白にしてくれた説明会でし
たから、当時のメモを紹介しましょう。
 
    雙葉小学校説明会
    日 時 昭和61年9月26日(金)
    場 所 小学校ホール 5階 参加者 約500名
 
およそ10年ぶりに再開された説明会でもあり、5階のホールは超満員で熱気
にあふれていました。
 
入学定員に対して多数の応募者があるため、心ならずもテストを行っている事
情を説明され、テストに関しては、特別に勉強しなくてもできる問題を作って
おり、総合的に判断して知能点だけではなく、「子どもらしく、一所懸命に頑
張る意欲のあるお子さん、コツコツ努力をするお子さん」を求めており、内向
的な性格でも頑張るお子さんであれば歓迎すると、雙葉小学校の求める子ども
像について、具体的に話されました。
 
ついで、悪質なうわさが広まっていることに関して、雙葉学園はミッション系
の学校であり、キリストの精神に反するような不正入学が許されるわけがない
と明言された後に、
 
 (1)受験と宗教は別問題で、僧侶の娘さんも入学している。
 (2)学校関係者の紹介がないと不利とは、単なるうわさ。紹介者を通して
    面会することはあるが、それが考査に有利になることはない。
 (3)お金を積むと入れるという裏口入学は、これもまったくの嘘。正規の
    お金(考査料)以外は、一銭も受け取らない。合格を発表する前に、
    考査料以外、頂くことはない。
    
この三点について強調され、つまらぬうわさに惑わされないようにとの注意が
ありました。
 
また、大学への進学率が高いことから、小学校の時に入れておけばと考える方
が多いのですが、授業に関して特別なカリキュラムはなく、たまたま、そのよ
うな結果が出ているだけですから、進学校とお考えにならないでくださいと述
べられました。
(この件については、毎年、説明会で力説されていますし、入学されたほとん
どのお母さん方も「のんびりとした学校です」とおっしゃっています)
 
なお、登校時間は、年間を通して午前8時15分、四ツ谷駅のラッシュアワー
は8時からで、その時間に通学できるかどうか、慎重に考えてくださいとのこ
とでした。
 
裏口入学を策したお母さんが不合格になり、「どうなっているのか!」と、直
接、学校へ電話をしたことから事件が発覚し、驚いた学校側が事実無根と否定
するための説明会でもあったのです。       
 
当時のうわさとして、                
「どこそこの神父さんの紹介状がなければダメ」    
「信者の娘さん、絶対有利」             
「合否は親の職業で決まり」             
などがありましたが、今でも根強く残っているようです。 
再開された説明会でも、うわさに過ぎないと否定されました。
うわさは、単なるうわさに過ぎないと、惑わされない強い信念を持つことも大
切です。
それを支えるのはお父さんの役目ですから、きちんとサポートしてください。
お母さん方は、こういったうわさに弱いからです。
 
ちなみに、校庭の一角には、幼稚園、小学校に在籍されてから聖心女子学院へ
進まれた上皇后美智子さまが、ご成婚(昭和34年4月10日)前に来校され、
記念樹として贈られたメタセコイヤの苗木3本の内1本が、修道院の裏側に中
高の校舎と頭を並べるほど成長した姿を見ることができます。
 
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平成13年に白百合学園小学校が、創立以来、初めての説明会を開催したとき
も、何か不祥事があったのではと思いましたが、そういったことはなく、受験
されるご父母の強い要望によりとのことでした。
 
平成25年まで学校見学会だけ行っていた横浜雙葉小学校は、26年から説明
会を再開しましたが、これは昭和60年代に開催していたときにうかがった話
です。
 
本校の入学試験は、「一日体験入学方式」ともいわれ、昼休みにお弁当を食べ
る時間が設けられていました。文言は正確ではありませんが、話の内容を再現
すると、こうなるのです。
 
     「お弁当は、いつもお母さんが作ってくれるのですか」
     「ウウン、今日は特別なの」
     「そうですか、それでは、おいしいでしょうね」
     「ウン、でも、残しちゃダメといわれたの」
     「どうしてですか」
     「残すと点数が悪くなるから」
     「……?」
 
残すと、どうして減点されるのでしょうか。
 
初めて来た所で、知らない子どもばかりの中で食べるのですから、緊張して残
す子もいるかもしれません。
それよりも、弁当を食べることで、子ども達はいろいろなサインを出している
と思います。
ご家庭の教育方針がどうなっているのか、これほどわかりやすいものはないで
しょう。
食事は三度のことですから、絶対に、つけ焼刃はききません。
 
基本的な生活習慣が、きちんと身についているかを判定することも、小学校の
入学試験では、大切なポイントだからです。
 
学校側が見たいのは、
「集団生活の中で、子どもはどうあるべきかを、親がしっかりと考えて、やさ
しく、あるいは厳しくしつけることを、ご両親の責任において教育しているか
どうか」
ではないでしょうか。
 
今の話と似ていますが、以前、紹介しましたが大切なことですから繰り返しま
す。
 
国立市にある桐朋学園小学校の説明会で、当時の校長であった鈴村先生が、た
またま会場に現われ、こういった話をされたのです。
本校は、仙川にある姉妹校、桐朋小学校と同様、面接をやっていませんが、そ
の理由として、
 
 「親御さんに『趣味は何ですか』とお尋ねしても、本当は、競輪、競馬が大
  好きでも『読書と音楽鑑賞です』と取り繕うでしょう。でも、私どもでは、
  お子さんを二日間預かりますから、どういった育児をなさっているかわか
  ります。ですから、私どもは面接をしません」
 
と、例によって文言は正確ではありませんが、こうおっしゃったのです。
試験を受けているのはお子さんですが、判定されているのはご両親であること
が、よくわかる話ではないでしょうか。
 
 
(次回は、「学校説明会で確かな情報を (3)」についてお話しましょう)
 

 


さわやかお受験のススメ<小学校受験編>学校説明会で確かな情報を (1)

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         「めぇでる教育研究所」発行
「2023さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
          ★第44号★
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<説明会情報>
 成蹊小学校
  参加できる行事は例年とは変更となっています。
  ・第1回学校説明会 
    2022年5月28日(土) 詳細公表:5月12日(木)
                  予約  :5月16日(月)~            
  ・運動会
    一般公開中止
  ・オープンスクール
    2022年 6月9日(木)
  ・第2回学校説明会 
    2022年9月3日(土)
  ・文化祭
    2022年10月9日(日)
 
  詳しくは、ホームページをご覧下さい。
 
本年度も、新型コロナウィルス感染症の影響で、日程や実施方法が変更されま
すので、こまめに志望校のホームページを開き、確認しておくことが大切です。
 
 
 
 
学校説明会で確かな情報を (1)
 
 
小学校の受験で最も重視されるのは、「志望理由」です。
 
出身者の方には問題ありませんが、そうでない方々には、学校に関する情報、
例えば、建学の精神や教育方針、その学校ならではの特色、主な年間行事やク
ラブ活動、合宿などの校外活動、学童保育、併設校への進学状況、併設校のな
い場合の進学実績やそのための対策、通学時間やご主人の転勤にともなう復学
制度、自己推薦や単願等応募の方法などわからないことが多いと思います。
 
そういったハンディキャップを解消するために行われているのが学校説明会で
す。過去には説明会をやっていない学校もありましたが、現在では、ほとんど
の学校で開催しています。
 
最近の傾向として、夏休み前に学校説明会を、休み後に入試説明会と2回行う
学校が増えてきました。しかし、幼稚舎、雙葉小学校のように学校説明会だけ
行っているところもあります。そして、Webでの事前予約の必要な学校が増
えています。当日になって気づいても手の打ちようがありませんから、注意し
てください。
 
東日本大震災後、多くの方が通学に不安を感じたのではないでしょうか。各学
校のホームページにも「災害対策」が掲載されていますが、大切なのは、「我
が家の震災対策」で、「登校・下校時に災害が起きた時の対策」です。学校側
が公表する震災対策を、わが子の通学に、どのように活かせるか、慎重に考慮
するのも保護者の義務です。今年もその説明があると思いますので、正しい情
報をもとに不安を解消しておきましょう。しかし、何といっても大切なのは、
お子さん自身の自立心と行動力です。そういった育児に徹することも親の仕事
ではないでしょうか。
 
また、学童保育、アフター・スクールに力を入れる学校が増えています。日本
女子大学附属豊明小学校、聖心女子学院初等科もそのひとつです。お母さん方
がお仕事をもっている場合、具体的にどのようになっているか、情報を確認し
ておきましょう。
 
横浜雙葉小学校は、説明会は映像の配信に、オープンスクールは検討中となっ
ています。
 
日本女子大学附属豊明小学校は、5月に行われる学校説明会、オープンスクー
ルは早々に満席になりました。入試説明会が5月21日(日)から動画配信形
式で行われます。運動会は9月24日(土)に西生田の大学のグランドで開催
されます。いずれも事前申込制。
 
雙葉小学校は、7月22日(金)、24日(日)に開催。Webで事前申し込み。
 
白百合学園小学校は、学校説明会を6月25日(土)に開催。Webでの事前
申込が6月1日より。学校見学会は8月29日(月)、30日(火)に行われ
ます。
 
聖心女子学院初等科は、第1回を6月11日(土)、第2回を9月3日(土)
に実施。オープンスクールが8月に予定されています。いずれもHPから予約
が必要です。
 
青山学院初等部の第1回目説明会は5月14日(土)ですが既に満席。同じ内
容で第2回説明会が9月3日(土)に実施されます。以前いずれも保護者のみ。
親子で校舎を見学できる「オープンスクール」は検討中。
 
東洋英和女学院小学部は、5月14日に学校説明会を4回実施。
 
立教小学校は今年も3回開催。第1回6月2日(木)はオープンスクールと個
別質問、第2回7月2日(土)は説明会と個別質問、第3回9月10日(土)
は説明会のみとなっています。「(1)(2)(3)はそれぞれ内容が異なる」
と明記されています。事前の申し込みはありませんが、対象は保護者のみとな
っています。
 
慶應義塾幼稚舎は、5月7日時点では発表がありません。
昨年度は動画配信でしたが、例年は、1時間程度、自尊館(講堂)で行われま
す。幼児同伴は不可。校内見学はありますが、説明会会場以外の校内立ち入り
はできません。都会では珍しくなった土のグランドと真中に立つ大きな欅、毎
年、七夕飾りを見ることができます。自尊館のエントランスには、福澤諭吉直
筆の書「人間萬事戯来戯去」(人生は本来戯れにすぎないと悟ること KEIO 
YOCHISHA SCHOOL GUIDEより)の額が掲げられています。
 
成蹊小学校の説明会は、当初は、大学の合同授業などで使う大きな教室でやっ
ていましたが、やがて小学校の体育館になり、それでも入場しきれなくなり学
校近くの武蔵野市民文化会館で行っていました。平成26年からは学園内で開
催しています。
初めて授業参観で校舎に入ったとき、何やらうなぎの寝床といっては失礼でし
ょうけれど、そんな感じがしましたが、新装成った校舎は、むかしの面影を一
新し、すばらしい環境になっています。
 
日出学園小学校は、昼間、参加できないお父さん方に「お父さんのための説明
会」を5月18日(水)、19日(木)に6時から開催しますが、既に満席。
親子体験会や運動会についてはまだ発表がありません。
 
日出学園小学校のように夜の説明会もあります。
 
2020年4月より校名を小野学園小学校から変更した品川翔英小学校は6月
10日(金)7時から「ナイト学校説明会」を開催。
 
東京女学館小学校は、6月11日(土)にオンライン説明会、9月4日(日)
に入試説明会を実施予定。
 
江戸川学園取手小学校は、5月28(土)に説明会と1日体験入学があります。
 
暁星小学校は、「学校説明会についてはWEBでの限定期間の動画視聴を予定
しておりますが、コロナの状況次第で、WEB動画視聴および本校講堂での説
明会の開催も検討」とのこと。
 
 
       (以上の情報は、5月7日(土)現在のものです)
 
 
 
まず、こういった説明会や公開授業などの日程を正確につかんでおくことが大
切です。
ホームページを利用すれば、説明会の開催日時や入試日程、学校の歴史や建学
の精神、参加できる学校行事などの他、学校によっては、「よくあるQ&A」も
用意されており、簡単に検索できますから大いに利用しましょう。
 
説明会では、学校案内や要覧などの配布があり、市販されているガイドブック
などからは得られない情報も公開され、そういった資料をもとに、学校の沿革
や教育内容などの詳しい解説が行われています。
 
9月以降の説明会では願書も配布され、具体的な入試日程の説明や願書記入上
の注意、健康調査書に関する諸注意、考査料の振込みに関する注意などを詳し
く解説する学校もあります。
 
また、立教小学校や立教女学院小学校、成蹊小学校のように、授業を公開する
オープンスクールを実施したり、ビデオを使って授業の様子や年間の主な行事
などを紹介する学校もあります。
 
上記学校の参加者は保護者対象となっていますが、国府台女子学院小学部、昭
和学院小学校などのように、説明会中にお子さんを預かってくれるところもあ
ります。(本年度は国府台女子学院は同伴可で預かりなし、となっています。)
 
説明会は5月から始まり、多くは9月以降に集中して開かれますが、最近は、
6月、7月に行う学校が増えていますから注意が必要です。こういった情報を
しっかりと確保しておくことも、ご両親の大切な役目です。学校によっては、
面接で説明会に参加した感想を聞かれたり、アンケート用紙に記入を求めたり
することもあります。
 
多くの学校では、質疑応答の時間を設けていますが、特別に時間を設定してい
ない学校もあります。しかし、説明会終了後、個人的に質問をする機会はあり
ますから、何か問題のある場合は、この時間を利用し解消しておきたいもので
す。「母子家庭は不利」「仕事を持つ母親は不利」「信者は有利」「出身者、
兄弟姉妹がいれば有利」など、いわゆる噂に心を痛めている方々は、直接、処
方箋をいただいて、つまらない悩みは解決しておきましょう。
 
学校によっては、「心配事がある場合は、電話で問い合わせてほしい」と、相
談の窓口のあることを説明しているほどです。しかし、電話で済ませるより、
説明会で直接、お聞きしておくべきでしょう。もしかすると、面接の時に再度、
お会いするかもしれないからです。
 
かつては、入学後、経済的な心配が起きた場合には、奨学金制度のあることを
公表している学校もありましたが、青山学院初等部のホームページのQ&Aの
欄にも、「学費等の支援給付制度が定められている」と発表しています。
 
また、転勤の可能性のある場合、復学できるか確かめておきましょう。
 
問題を抱え込まずに積極的に利用し、すっきりとした気持ちで秋を迎えたいも
のです。
 
ところで、説明会は、小学校の講堂や体育館で行われると思われがちですが、
外部でやっている学校もあります、早稲田実業学校初等部等です。
 
早稲田実業学校初等部が第一回目の説明会を行ったときは、国立の初等部の校
舎は建築中で、大学の大隈講堂を使用しましたが、満員になるほど参加者が多
く、初等部内には収容できる施設はないようですから、ここで開催することに
なったのでしょう。入学式も、当講堂で行われました。建物が古くなったため
に改築されていた2年間は文京シビックの大ホールで開催されたこともありま
した。今年は5月29日(日)大隈講堂で開催される予定です。
9月3日(土)に学校見学会を行う予定。
 
思い出に残っているのは、学習院初等科の説明会です。
当初、男児と女児に分けて四ツ谷の迎賓館のすぐそばにある初等科の正堂(講
堂のこと)で行っていました。現在、初等科の建物は新築されましたが、当時
の校舎内はかなりの年月を経ており、歩く廊下はぎしぎしと音がし、質実剛健
を教育目標とする学校らしい雰囲気を感じたものです。また、正堂の正面には
菊の御紋が二つ蒼然と輝き、皇室の方々が通われる学校であることが伝わって
きたものでした。こういった学校の歴史や雰囲気を実感できた貴重な体験でし
た。
5月の学校説明会は既に満席ですが、入試説明会が9月3日からWEBで、学
校見学会が9月10日(土)に行われます。
 
 
 
◆参加するときの注意点 
 
説明会へ参加するときに注意してほしいことをお話しましょう。
 ・筆記用具、メモ用紙を持参する。
 
 ・上履きが必要な場合がありますから、スリッパ、靴を入れる袋を持参する
  かどうかを確かめておく。
 
 ・雨の日は、雨傘用のビニール袋を学校側で用意しているとは限りません。
  特に、梅雨にさしかかる時期ですから用意しておきましょう。
 
 ・ハイヒールで廊下を歩くとき、音に注意を。立教小学校は禁止しています。
  Q・なぜ、ハイヒールでの来校は禁止されているのですか。
  A・学校の校庭は人工芝になっています。その上をハイヒールなど、かか
   との高い靴で歩くと、人工芝を傷つけてしまいます。また、ハイヒール
   などかかとの高い靴で校舎内を歩くと、大きな音がする可能性が考えら
   れ、授業などの学校生活に影響する可能性が考えられます。
   従って、ハイヒールなどかかとの高い靴での来校は、ご遠慮いただいて
   おります。もし、ハイヒールなどかかとの高い靴を履いてこられた場合
   には、校内に入る際に、運動靴などにお履き替えいただきたいと考えて
   います。ご配慮をお願いいたします。
      (立教小学校ホームページ 「よくいただく質問」より)
 
 ・学校によっては、お子さんを連れてくることを遠慮してほしいという場合
  がありますから確認を。
       
 ・お子さん同伴の場合は、むずかることもありますから、いつでも外に出ら
  れるように、後方の出入口の席に座る気配りを。1時間から長いところで
  は2時間にもなりますから、退屈しない工夫を。
  「受験生ならびにお子様のご来場はお断りします」等明記されている学校
  もありますので、よく確認してください。
 
 ・授業参観の場合は、同伴者と絶対に話をしないこと。生徒は授業中です。
  これが守られていません。「学校側では、ひそかにチェックしている」と
  いうことはないとは思いますが、こういった怪情報は広めたいですね、生
  徒のためにも。
 
最後のことについては、あきれてしまった経験があります。
昭和61年、雙葉小学校が説明会を再開した時でした。
会場は5階のホールでしたから階段を上ることになりますが、各階の踊り場に
立て札があり、そこには文言は正確ではありませんが、
「生徒は授業中です。静粛に願います」
と書かれてあったのです。
階段をおしゃべりしながら歩く、お母さん方の無神経さを理解できませんでし
た。学校側に、先を読まれているのですから。友達と一緒に参加されるお母さ
ん方、厳に慎んでください。
 
また、立教小学校など授業参観をかねている場合、始業時間前に集合しますか
ら、朝の交通状態を頭に入れておきましょう。
利用する交通機関は、ラッシュアワーで混雑していますし、時間も通常よりか
かります。
駅からタクシーでと思っていても、簡単に乗れるとは限りません。
もちろん、自家用車での来校は禁止されています。どこの学校にも、車を収容
する広い駐車場はないからです。
 
ところで、授業参観の場合、1年生の教室が人気の的になりがちですが、高学
年の教室は空いていますから、じっくりと見学できます。ある学校で、非常に
厳しい先生の態度に接し、「やるじゃないですか!」と感動さえ覚えたもので
す。見学者がいようがいまいが眼中にない先生の態度が、建学の精神そのもの
だったからです。
 
連休、いかがでしたか。お子さんの通う幼稚園再開しましたか。しばらく、調
子が狂うかもしれません。気をつけてあげましょう。
 
  (次回は、「学校説明会で確かな情報を(2)」を紹介しましょう)
 

 


さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★ [10] 社会性に関する問題

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 2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
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◆説明会情報
  立教女学院小学校 入試説明会
   2022年5月7日(土)第1部  9:30~10:20
               第2部 11:10~12:00
    聖マリア礼拝堂会場は満席、中継会場は受付中
    
  東洋英和女学院小学部 学校説明会
   2022年5月14日(土) 4回実施
    メイン会場は満席、サブ会場は受付中
 
  日本女子大学附属豊明小学校 学校説明会
   2022年5月14日(土) 3回実施
    1回目、2回目定員間近、3回目満席(本メルマガ発行時)
 
  青山学院初等部 第1回学校説明会
   2022年5月14日(土)9時、11時、13時の3回
    3回とも定員間近(本メルマガ発行時)
 
  聖心女子学院初等科 第1回学校説明会
   2022年6月11日(土) 受付前
 
 
  千葉日本大学第一小学校 授業見学会
   2022年6月3日(金)から毎週金曜(7月1日まで)
    各回20名(6月3日、10日は満席)
 
  詳しくは、ホームページを御覧になり、しっかりと情報を確認しておきま
  しょう。
 
 
 
 ★★入試問題を分析する★★
 [10] 社会性に関する問題  
        
5、6名のグループで遊び、その様子から社会性、協調性といった集団生活へ
の適応力を評価する問題です。ごっこ遊び、絵画や制作など、いろいろな形で
行われますが、かつて出題された「電車ごっこ」を取り上げ、どういった形で
展開し採点されるか分析してみましょう。
 
★[電車ごっこ]
「今から、電車ごっこをして遊びます。この遊びには、運転手さん、車掌さん、
駅長さんに、お客さんが必要ですね。最初に、誰が、どの役をするのかを、み
んなで相談して決めてください。そして、どうやって遊べば楽しいか、話し合
って決めましょう。電車は、このロープを輪にしたものを使います。相談がで
きたグループから、代表を決めてロープを取りにきてください。わかりました
か。では、始めてください」
 
こういった説明を聞き、相談をして、電車ごっこを始めます。
ごっこ遊びは、幼稚園や保育園などでやっている遊びですから、遊びそのもの
には問題ありませんが、何といっても集まったメンバーは、今日が初めてのご
対面です。これが問題ですね。名前、幼稚園(保育園)名、家族構成、性格、
趣味、得意な遊びなど、データなしの遊びとなります。全員同じ条件ですが、
普段からリーダーシップをとっている子ども達は、やりますね。
「運転手と車掌、駅長さんは、一人ずつだから、順番に代ったらいいと思いま
す」
「その順番だけど、ゼッケンの番号順はどうですか」
「背の高さ順でも、いいじゃない?」と背の高い子がいうかもしれません。体
の特徴を武器にしていますね。
「(ぼくは、背が低いからお客になってしまう。そうは、させないぞ!)ジャ
ンケンが、いいな。勝ち負けで、決めるから、いいと思います!」
こう思っているかどうかはわかりませんが、自分の考えを言える子、いいです
ね。
 
こうなれば、意見はドンドンと出ます。殊勲賞は口火を切った子ですが、この
グループは早くまとまります。
「最初にいった君が、代表でロープもらってきたら!」
「賛成!」
こういけば理想的です。
 
黙ったまま、まったく進まないグループ、積極性に欠ける子ども達が、集まる
場合もあるそうです。
 
「…………」
「……」
 
これでは採点できませんから先生は盛んに促しますが、反応はありません。
何も言いませんから、参加意欲、発言内容、行動力、全部なし、社会性、協調
性は[0]になります。偶然の組み合わせとはいえ、惨めな結果になってしま
います。
 
「ぼくは、運転手しかやりたくない!」
こんな無茶をいう子もいるそうです。古い言葉ですが、乳母日傘(おんばひが
さ)型ですね。こういう子ばかりでは、収拾がつかなくなります。乳母日傘型
とは、「乳母をつけ、日傘をさしかける、というように子どもを大事に育てる
こと」で、過ぎると過保護になる育児のことです。
 
「私、決まったものなら何でもいいの!」
こういう女の子もいるそうです。一見よさそうですが、あなた任せで積極性に
欠けるのではないでしょうか。
 
こういう子もいるようです。ジャンケンで決めることになり、ジャンケンをし
て負けると、「ジャンケンは止めて、他のやり方がいいな!」などと平気でル
ールを破る子、自己中心型です。普段の家庭での振る舞いをチェックしてみま
しょう。
 
いろいろと見せてくれるそうです。小学校側としては、グループ活動を盛り上
げるために積極的に参加する意欲、相談する様子や発言の頻度、内容、ルール
を守って遊ぶ様子などから、社会性や協調性を評価しますが、これもご両親の
育児の結果ではないでしょうか。
 
過保護な環境ではわがままなお山の大将に、過干渉な環境では消極的に、自立
心が弱ければ、あなた任せになりがちです。
 
これについては、以前にもお話ししましたが、幼稚園や保育園の先生に聞いて
みることです。 
「うちの子、園での様子はどうですか?」 
「そうですね、どちらかといえば、集団生活への適応力に、少々問題がありま
すね」
 
この場合の「少々」は、「ものすごく問題あり」と考えて、育児の姿勢や子ど
もを取り巻く環境に、何か問題点はないか、チェックが必要です。社会性、協
調性といった集団生活への適応力は、6歳頃までに身につくと言われています。
義務教育が始まる時期と、一致しているわけです。
 
「少し、内気なところもあるようです」
こういった答えがある場合は、お父さんやお母さんが構い過ぎているはずです
から、過干渉の鎖を切ってあげましょう。
 
 「元気すぎる時も、ありますね」
この場合は、わがままで、チームワークを乱しているかもしれませんから、何
事も思うようにならないことをお父さんがしっかりと教えてあげるのが良いで
しょう。
 
子どもは遊ばせると、育てられた環境がわかるものです。
 
ペーパーテストではわかりにくいことですが、遊びや行動観察のテストで、子
ども自身が親の育児の姿勢をきちんと見せてくれます。子ども達は、演技など
できませんから普段の姿が表れるのです。
    
ところで、こういったテスト中にもめごとが起こりやすいようです。
もちろん、行動観察が中心になっている慶應義塾幼稚舎のように、試験に先立
ち、「走らない・前の人を抜かさない・うるさくしない」と注意しますが、テ
ンションの上がってしまう子ども達もいますから、ちょっとしたことでいさか
いが起きるようです。
 
そんな時どうしたらいいのでしょうか。
 
女の子は毅然として原因を指摘するそうですが、男の子は案外、腰砕けになる
話をよく耳にします。
「どうしたのですか!」と聞かれた時に状況を説明できれば、先生方も適切に
対処してくれますが、口ごもり、まごまごしていると、そのままになる場合も
あるようです。
制限時間内の試験で、先生方も進行状況には、神経を使っているはずだからで
す。
 
やはり過保護、過干渉の環境では、うまく対応できないのではないでしょうか。
 
自分が悪くなければ先生にきちんと伝える、行動観察型のテストでは、こうい
ったことも大切です。
普段から幼い子ども達は、おかれた状況のもとで、いろいろなことを考えてい
るのですから、それを言葉で表す機会をたくさん作ってあげることも大切では
ないでしょうか。
 
「対話」です。
話し過ぎ(かなと思っている)の保護者は、よい聞き手になってあげましょう。
    
最後に、歌い、踊る試験もあります。
幼稚園や保育園で楽しそうに歌い踊る子ども達は、間違いなくお父さん、お母
さん方が、子ども達と一緒に楽しく歌い、踊っています。ですから、初めての
場所で、知らない友達や先生の前でもできるのです。なぜなら、子ども達の小
さな胸の中には、お父さんやお母さんと歌い、踊った楽しい思い出が、いっぱ
い残されているからです。
 
知識だけ詰め込まれた子ども達は、こういったことが苦手でもあるようですね。
「話す・歌う・踊る・描く」は、子ども達の大切な表現手段であることを、忘
れてはいけないと思います。
 
表現できることから積極的に挑戦する意欲や好奇心が、みんなで楽しく歌い踊
ることから協調性などが、間違いなく育まれている証であり、学校側の狙いも、
ここにあるのです。
 
運動会には、親子でダンスをする種目がありますが、お子さんの様子はいかが
ですか。
内気で、はにかみ屋である男の子は、苦手ではないでしょうか。
特にお母さん方が、楽しく相手をしてあげることで、シャイの鎖を断ち切って
あげることもできます。
 
社会性や協調性といった集団生活への適応力を育む場が、幼稚園であり保育園
です。
 
家庭のあたたかい環境で育てられた子ども達が、初めて集団生活の訓練を受け
る教場です。
幼稚園へ通うことは法律で決められてはいませんが、何事もマイペースでは、
教育は成り立ちません。
 
国府台女子学院の平田史郎学院長は、かつて説明会で「訓練されていない個性
は野性である」とおっしゃっていましたが、教育の第一歩は共に生きる、共生
を学ぶことから始まりますから、訓練されていない個性では、困るのは子ども
自身です。社会性の問題の目的は、どこにあるかご理解いただけたのではない
でしょうか。
 
 
(次回は、「学校説明会で確かな情報を」についてお話しましょう。)
 

 


さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[9] 運動に関する問題

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         「めぇでる教育研究所」発行
「2023さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
          ★第42号★
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★説明会情報
昭和学院小学校(第1~3回オープンスクール・説明会)
 2022年5月14日(土)9:00~11:00
      5月21日(土)9:00~11:00
      6月 4日(土)9:00~11:00
      6月22日(水)9:00~11:00
  事前申込制 土曜日の各回は80組限定で既に3回とも満席です。
  6月22日(水)の回は240組まで参加でき、まだ受付中となっていま
  す。詳しくは、ホームページをご覧下さい。
 
 
江戸川学園取手小学校(オンライン説明会)
 2022年5月7日(土) 10::00~
  事前申込制です。300名定員で残数が少なくなっています。
  次回は5月28日(土)に学校での説明会が予定されています。
  詳しくは、ホームページをご覧下さい。
 
 
「学校情報 HPを読んでみましょう」
各学校のホームページが更新され、今年も読み応えがあります。特に、国語で
は、どういった授業が展開されているか、興味のあるところです。
昭和学院小学校の視写(名作を原稿用紙に書き込む)、日出学園小学校の書写、
「書き取りタイム」、聖学院小学校の「作家の時間」など、面白い取り組みが
あります。
聖学院では通常授業の他に、1年生から6年生まで週1時間「表現」の科目を
特設、「作家の時間」と呼ばれ、自由なテーマで文章を書き、クラスメートの
前で読み上げ、みんなから評価をもらう形式は傑作。先生とのやり取りで終わ
る作文と違い、多数の読み手を意識し、興味を持ってもらうことがポイント。
英語に力を入れている本校ですが、きちんと国語力を培う姿勢が伝わってきま
した。
英語や情報教育に注目しがちですが、すべての学問の基本は国語です。どうい
った授業を進めているか、調べてみませんか。
 
 
 
[9] 運動に関する問題 
 
運動には、集団で行うものと個別に行うものがあります。
 
[集団で行う運動]
 
先生と同じ体操を機敏にこなす模倣体操、タンバリンのリズムに合わせて行進
をしながらスキップやケンケン、ケンパー、グーパーなどをするもの。
左右の手を開いて、親指から順番に閉じたり、開いたりする指の屈伸、片足一
本で立つ片足バランスや登り棒、縄跳び、ボールをついたり投げたり、ドリブ
ルをするボール遊び、かけっこ、ジグザグ行進などをします。
 
これは試験ですが競争ではありません。
先生のやっていることをよく見て、その通りにできるかどうか、指示行動です。
スキップ、ケンケン、ケンパー、グーパーなどは、幼稚園でやっていて得意だ
ろうと思っていたのですが、そうでもないようです。
また友だちとこういった遊びをすることが、少なくなっているのではないでし
ょうか。
 
少子化の影響で近所に同年齢の仲間がいない、また、不幸なことですが、幼児
を取り巻く屋外での環境は決して安全とはいえず、家での一人遊びが増えてい
るようですが、やはり不自然ですね。                   
 
しかし、やってできないことはありません。
 
ご両親の出番ですね、お子さんも喜びます。
お父さんやお母さんと一緒にやってできるようになっていれば、教室でも簡単
にでき、先生方も他のことに時間を有効に利用できます。
巧緻性と同様、教室や塾にお任せだけでは、効率のよい受験準備はできません。
そして実際の入学試験で、お父さんやお母さんと一緒にやった運動が出たとき、
子どもたちは間違いなく一所懸命にやります。
楽しい思い出が残っているはずだからです。
 
かつて、このようなことがありました。
 
ボールを使う運動が出題される男子校の受験で、お父さんは海外へ単身赴任中。
通い始めてから3か月ほどたった時、少し太めであったお母さんがスリムにな
ってきたので、お子さんに聞いたところ、毎日のように近所の公園でボール遊
びをしているとのことでした。
見事に合格しましたが、ご挨拶にみえた初対面のお父さんが、一番うれしそう
でした。
お父さんができなかった分、お母さんが一所懸命に取り組んだので、お子さん
には楽しかったに違いありません。
難しい問題にもギブアップせず、懸命に挑んできたのは、こういったお母さん
の頑張り、スキンシップがあったからでした。
 
逆に苦しい思い出しか残っていない場合は、
「先生、これ試験ですか。試験でなかったらやりたくありません」
こうなるのではないでしょうか。
 
前にも紹介しましたが、説明会で聞いた本当にあった話です。
偏差値の高い小学校でしたから、かなり厳しい受験準備に追われ、子どもの目
にも、日常生活の全てが受験に結びついていると映っていたのでしょう。
話をされたシスターは、悲しそうにおっしゃっていましたが、帰るとき電車で
一緒になったお母さん方が、
「難しい問題が出るのだから、仕方がないでしょうに!」(この語尾、いやで
すね)などと、なぜか高い偏差値の話で盛り上がっていました。
 
「準備に適切でないところがあるのでは、とお母さん方は考えないのでしょう
か」と言いたくなりましたが、偏差値だけをあげる準備に夢中になっているお
母さん方は、聞く耳を持たないものです。
ご両親が心を一つにして受験に取り組んでいるとは、とても思えません。
お母さんだけが夢中になっているケースが、多いものです。
しかし、子どもにとって負担になるだけの準備は、やがて、壁にぶつかります。
チックの症状などが出てくるようでは、誰のための受験なのでしょうか。
 
また運動は知的な能力と関係ないからと無関心な方がいますが、それは間違い
です。
知育、徳育、体育の3つの能力が、年齢にふさわしく、バランスよく育ってい
なければ、偏った発育をしがちです。
 
お薦めしたいのは、縄跳びやボールつきです。
縄跳び、これは全身運動ですから、体重計恐怖症の保護者にも効果があります。
ボールつき、これも全身のバランスが必要ですから、ぜい肉を取り除いてくれ、
心地よい汗は、ストレスの解消にもなります。
サッカーが盛んですから、けるのは上手ですが、つくのは苦手ですね。
親が見本を示して、一緒に汗を流しましょう。
繰り返しますが、第三者だけに任せるものではありません。
試験に出るからではなく、これくらいの運動ができないようでは心配です。
 
中には息切れする子がいますね。
スタミナ不足です。
最近、こういった男の子が増えているようですが、持久力を見るテストもあり
ます。「やめ」と言われるまで縄跳びを跳び続ける、などの内容です。
 
スタミナ不足は取り組む意欲にも悪い影響を与えます。 
お子さんと一緒に歩いてみましょう。
5分もしない内に、
「パパ、おんぶ!」
とせがむようでは、お子さんは運動不足です。
         
 「床にかかれた印に従いケンケンパーをしながら進み、乾いた雑巾で敷いて
  あるマットまで雑巾がけをし、そばに置いてあるかごに雑巾を入れ、箱か
  らドッジボールを取り出し、ラインの前で後向きになり、ボールをつきな
  がら後向きで進み、ボールを箱にしまい、車輪のついた丸い板に正座し、
  手でこぎながらジグザグにかかれた線の通りに、置かれている椅子にぶつ
  からないように進む」
 
かつて、ある名門校で実施された運動テストです。
学校側の出題意図を考えてみましょう。
通学時間に1時間かかる場合、これで息切れするようでは、
「無理ではないでしょうか!」
となるのは当然です。
 
ところで、以前、巧緻性のところでお話したことですが、お子さんは筆記用具
をきちんと持って、しっかりとした線を書いていますか? 
弱々しく頼りない線を引くようでは、腕の筋肉の発達不足、つまりは運動不足
が考えられます。
チェックしてみましょう。
 
 
 
[個別で行う運動]
 
跳び箱、平均台、マットなどを使った運動をいくつか組み合わせて、先生の模
範演技を見てから一人ひとり行うものです。
 
  「先ず、ケンパーで平均台の側まで行き、平均台を渡り、真ん中で後向き
   になって進みます。下りたところの円の中で『やめ!』と言われるまで
   ボールをつきます。次に跳び箱にのぼり、元気に飛び下り、最後にマッ
   トの上で芋虫ゴロゴロをしてマットの外に出て、得意なポーズをやって
   終わりです。先生のやるのを、よく見ていてください」
 
かなり、きついです。
しかも、しっかりと模範演技を見ていないと、どうにもなりません。
指示の理解と積極的に挑戦する意欲、行動力を見ているのでしょう。
こういったことを、いきなり本番でやるのは無理ですし、「お父さんの出番で
す」などと言われても、マットの代用品はありますが、跳び箱、平均台は、家
にないからできないのではと思われがちですが、その心配はありません。
普段から、体を動かし、筋肉に刺激を与えていれば、対応できます。
基礎体力さえついていれば、順応性の高い子どもには、難しいことではありま
せん。
 
ところで素朴な疑問ですが、途中で忘れてしまった場合、どうすればいいので
しょう。
先生に聞いても、いいのでしょうか。
最初の挑戦者は、こういう心配もありますね。
聞くのはまずいでしょうが、自分で覚えている通り、堂々とやるべきでしょう。
 
また、途中で平均台から落ちてしまった場合、やり直ししてもいいのでしょう
か。
いいと思いますね。
チャレンジ精神です。
 
失敗を恐れる子など、子どもらしくありません。
落ちて泣く子もいるそうです。
なぜ、泣くのでしょうか。
たかだか平均台から、落ちただけではありませんか。
泣くのは、落ちたら駄目、失敗したら減点されることを知っているからでしょ
う。
 
悲しくなりますね、こういうことで泣き顔をみせるのは……。
小さいときから失敗するのは、悪いことだなどと教え込まれたら、「失敗は成
功のもと」とは言えなくなるではありませんか。
苦手なことが増えるのは、失敗を恐れるからではないでしょうか。
 
平均台から落ちても、
「先生、やりなおしてもいいですか!」
笑っていえる子、絶対に合格すると思います。
信じていますよ、試験監督の先生方!
 
やはり、体を動かすことは、第三者だけに任せっぱなしはよくないと思います。
ゴルフは年を取ってからでもできますが、幼児期は二度と戻ってきません。
夏休みは体力づくりにも考慮してください。
頑張りましょう。
スキンシップですよ、お父さん、お母さん!
 
(次回は、「社会性に関する問題」についてお話しましょう。)
 
 
 

 


さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[8]構成力・観察力に関する問題(3)

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         「めぇでる教育研究所」発行
「2023さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
          ★第41号★
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
★入試情報★
○日出学園小学校
  第2回学校説明会
   日時 4月23日(土) 13:30~15:00
          
○千葉日本大学第一小学校
  第1回学校説明会
   日時 4月23日(土) 9:30~
   教育活動の特色と体験授業
 
5月になると、5月7日(土)の成田高等学校付属小学校 等、5月14日(土)
の学習院初等科、東洋英和女学院小学部、日本女子大学附属豊明小学校、
国府台女子学院小学部、昭和学院小学校 等 を始め、多くの学校説明会が
予定されています。
ほとんどの学校は、Webでの事前予約が必要です。日程や申込方法などは
しっかり確認するようにしましょう。
 
※それぞれの情報につきましては各校のホームページにてご確認ください。
 
 
★★入試問題を分析する★★
 
 [8] 構成力・観察力に関する問題(3)  
 
 
[模倣の問題]
 
積み木やブロック、パネルなどを使って、お手本と同じものを作る問題です。
個別テスト向きでしょう。
 
  ★お手本(▽ ▽の上に長四角の積み木があり、その上に家の形がある)
   ・これと同じものを作りなさい
 
「三角の積み木を逆さまにして、できるかな?」
積み木で遊んだことがないと、こうなりがちです。できますが、コツがありま
す。これは、やってみないとわかりません。
 
最近のおもちゃは、完成品が多いようですが、一概に悪いとは言いません。
それを利用して遊ぶことも、大切な仕事です。しかし、積み木やブロックは、
自分で設計し組み立てる遊びです。
 
設計図を引くには、何が必要でしょうか。
そのものを知ること、熟知することで、大切なのは観察力です。子どもは、自
分の好きなものとなると、目つきが変わり、真剣、そのものですから、大人が
気づかないところまで見ています。
 
そこまで夢中にさせるのは、好奇心です。模倣は、観察力と表現力を見る問題
ですが、そのもとになる好奇心が旺盛かどうかを見極めることもできます。
 
積み木を使った面白いゲームがあります。
実際に出題された問題で、積み木をできるだけ高く積むゲームで、「高く積む」
がポイントになります。長四角を立てないで横に置くと、高さが違ってしまい
ます。これに気づかないと、少し心配です。問題は三角で、置き方によっては、
そこでゲームセットになります。
 
積み木を持っていないお子さんには、買ってあげましょう。            
 
前にもお話しましたが、積み木で遊んだ後に、きちんと収納する習慣がつくと、
身辺の整理整頓にも良い影響がでると思います。おもちゃや絵本などの片づけ
が苦手な子は、こういった遊びをやっていないのではないでしょうか。玄関の
靴の整理も同じで、ご両親がきちんとそろえて脱いでいれば、お子さんも真似
をするはずだからです。
 
 
 
[同図形、異図形発見の問題]
 
同図形発見(お手本と同じもの)と異図形発見(違っているもの)があり、知
能指数をはかる問題でよく出題されています。
 
     ★「お手本と同じものを見つけ、○をつけましょう」
 
子どもたちの好きな問題です。
ゲームやクイズ感覚でできるからではないでしょうか。これもコンピュータ方
式を採用しましょう。お手本と1つ1つ比べて見つけることです。あっちを見、
こっちを見るやり方では、いたずらに混乱するだけです。手順の大切なことを
学んだ子は、左から右へ、または上から下へ順番に比べる方が、正確に、速く
できることを知っています。こういう知恵は、やはり、経験から身につけるこ
とが大切で、最初から教える必要はありません。
 
自分で見つけられれば、最高の学習になるからです。どうやっても、うまくい
かない様子が見えたら、そこでアドバイスしてあげましょう。まず、自分で体
験することですね。
それから解決方法を教えられれば、納得でき、身につくものです。
 
そして、問題ができたから花丸をつけて、次の問題に移るだけでは、あまり効
果的な学習とは言えません。たとえば、同図形発見の場合、手本とどこが、ど
う違うかを説明させることです。すると、異図形の発見にもなります。
 
さらに、試験官と話すように丁寧な言葉できちんと言える習慣がつくと、個別
テスト、行動観察のテストにも対応できる学習になります。言葉で表現する訓
練は、こういった遊びの感覚で、楽しみながら身につけることが大切で、小学
校へ入ってから、学力を伸ばす大きな力になることは間違いありません。
 
しつこく、繰り返しますが耳ではなく心で聞いてください。
 
幼児の知能開発で大切なのは、五感をフルに活動させて、同じところ(類似)
や違うところ(差異)を見つけ、「あれっ…、なんだ?」と考えることから始
まります。
 
「どうしてなの……?」
「なぜなの……?」
うるさいほど、遠慮なしに聞いてきます。これは「知りたい」というアンテナ
がとらえた情報を解決したいのです。もうしばらくの辛抱です。小学生も低学
年の内は、まだ聞きに来ますが、中学年になると、聞いてほしいと思っても来
ませんから、頑張ってください。
 
しかし、そのつど懇切丁寧に説明するのも考えものです。
 
時には、質問の内容を吟味して、ある程度はわかっていることであれば、
「あなたは、どう思うの?」
と切り返すのも大切ですね。
 
自分で知っている範囲を、考え、考え、話すはずです。これが素晴らしい学習
になっています。十分に理解できていないことを言葉で説明するのですから、
子ども達には、しんどいことになりがちです。時には、支離滅裂なことを言う
かもしれませんが、ここは我慢のしどころです。お子さんが何を聞きたいのか
は、聞いている内にわかります。
 
話が一通り終わったら、
「ケンちゃん、お母さんに聞きたいことって、こういうことなのかな?」
と、まとめてあげましょう。
質問をしているお子さんも、
「なんだ、そうなのか!」
と納得することで、言語の学習になっているのです。
 
言葉は、知っているだけでは役に立ちませんし、使わなければ生きてきません。
まとめてあげることで、わかっていないところを補足したことになるのです。
 
まだ、あります。
前にもお話しましたが、お母さんがまじめに話を聞いてあげると、お子さんは
人の話はきちんと聞かねばならないことを、ごく自然に学んでいるのです。子
どもにとって、親が真剣に話を聞いてくれるのは、本当にうれしく、これほど
快感を味わえるものはありません。
 
お母さんが、しつこく、
「きちんと話を聞きなさい!」
と言わなくても、話を聞く姿勢が自然と身につきます。「子は親の背を見て育
つ」と言われていますが、昔の人は無駄なことを言わないものです。いや、真
実だから語り継がれているのではないでしょうか。
 
前回、紹介しました「子どもが育つ魔法の言葉」にも、「子は親の背を見て育
つ」の外国版「子は親の鏡」があります。これは詩ですが、目次の役目も果た
し、それぞれ章を立て、詳しい説明があります。
 
      子は親の鏡
 けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる
 とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる
 不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる
 「かわいそうな子だ」といって育てると、子どもは、みじめな気持ちになる
 子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる 
 親が他人を羨(うらや)んでばかりいると、子どもも人を羨むようになる
 叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう
 励ましてあげれば、子どもは、自信を持つようになる
 広い心で接すれば、キレる子にはならない
 誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ
 愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ
 認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる
 見つめてあげれば、子どもは、頑張り屋になる
 分かち合うことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ
 親が正直であれば、子どもは、正直であることの大切さを知る
 子どもに公平であれば、子どもは、正義感のある子に育つ
 やさしく、思いやりを持って育てれば、子どもは、やさしい子に育つ
 守ってあげれば、子どもは、強い子に育つ
 和気あいあいとした家庭で育てば、
 子どもは、この世の中はいいところだと思えるようになる
    子どもが育つ魔法の言葉 ドロシー・ロー・ノルト 著
      PHP研究所 刊 (2003年9月17日 第1版1刷)
 
この本の推薦者の文に、「息子のビリーをダメにする4つの方法を思いついた。
『ビリーのことを決めつける。馬鹿にする。けなす。嘘をつく』。親は知らず
知らずの内に、ある時は自分の弱さから、ある時は自分を守るために、子ども
を傷つけてしまうことがあるのです」
 
本当に「育児は育自」ですね。
 
 
   (次回は「運動に関する問題」についてお話しましょう)
 

 


さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[8]構成力・観察力に関する問題(2)

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         「めぇでる教育研究所」発行
「2023さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
          ★第40号★
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
★入試情報★
○日出学園小学校
  第2回学校説明会
   日時 4月23日(土) 13:30~15:00
   150組(大人1名、子ども1名まで)          
 
◯国府台女子学院小学部は最大40組、昭和学院小学校は80組限定で分散し
 て見学会等を行います。
 
〇学習院初等科
  学校説明会
   日時 5月14日(土)1回目 8:50~
              2回目10:50~
              3回目13:20~
   予約は4月25日(月)よりWebで行う予定。保護者のみ。
 
※それぞれの情報につきましては各校のホームページにてご確認ください。
 
  
  
 
★★入試問題を分析する★★
 
 [8] 構成力・観察力に関する問題 (2)
 
今回は複雑な分割です。三角形、四角形、円形の二分の一、四分の一といった
分割は、基礎トレーニングで理解できているはずです。問題は、複雑な分割で
す。
大人でも、「ナヌ……?」と考え込んでしまう問題もありますね。
ですから、これもいきなり問題集を使うのは、やめた方がいいでしょう。
混乱するだけです。
「ブンカツ! 聞いただけで頭が痛くなるわ!」
算数嫌いになりかねません。小学校の勉強は、1年生から何といっても国語と
算数が基本ですから、スタートでつまずくと大変です。
 
問題集とお子さんがかつて愛読していた絵本などを使います。
絵本の絵に問題集の分割線通りに線を引き、切り、それを使ってやってみまし
ょう。分割の大きさは、大きくしてもかまいません。
昔の愛読書ですから、覚えているでしょうし、忘れていても思い出します。
それに形が大きいですから、しっかりと学べます。
3分割ぐらいから始めましょう。
 
「お母さん、これ『桃太郎』でしょう!」
笑顔を浮かべながら取り組むお子さんの姿を想像できますね。
絵本には、いろいろな思い出が残されていますから、面白がって取り組むはず
です。
 
表ができたら、裏も使えます。
1枚の絵で、二通りの学習ができます。
コツが理解できれば、白紙で挑戦、 絵で一回学習していますから、最初は楽
勝ですね。
これでやる気を育て、複雑な問題に挑戦できるようにしましょう。
 
できない問題があっても、心配はありません。
問題集を読んでいて、「こんなの、時間内にできるのかな?」と思える問題が
あると、学校側の狙いは何だろうと考えてしまいます。難易度の高い問題があ
ると、「できないと合格しない!」と考え、無理やり教えこんでしまう保護者
がいると聞きます。何といっても今の保護者の多くは、偏差値教育を受けてこ
られた元受験戦士ですから、やりますね。
 
しかし、考えてみましょう。受験生は5、6歳の幼児です。学校側は、構成力、
プラスやる気、意欲、これを見ているのではないでしょうか。
あせらずに、時間をかけて、できるようにしてあげましょう。
 
このように心がけていると、例えば、試験場で難しい構成の問題に出合った時、
「わかんない…!」と泣き出してしまう子と、できなくても最後まで挑戦し、
時間がきたら、「やっぱり、できないな!」といって、きちんとやめる子とで
は、泣き顔のお子さんからは「何でもできなくてはいけないと考える満点主義
の教育ママの顔」が、頑張ったお子さんの場合は「一所懸命に頑張ってできな
ければ仕方がないでしょう」とあたたかく励ますお母さんの笑顔が浮かんでく
るといった評価も生まれるものではないでしょうか。
 
オロオロ、キョロキョロと辺りを見るようでは、「できなきゃいけない!」と
いう価値観が、お子さんをがんじがらめにしていることになりかねません。
小さい時から、「何でもできなくては駄目!」と教えるのは、いいことではな
いと思います。
できないことがあるから、できるように勉強するのが学校教育の目的です。で
きないことが悔しかったら、それをバネにして挑戦する気持ちの方が大切です。
 
幼児期は、結果を競い、結果だけを求める時ではありません。やはり、「やる
気、挑戦する意欲」を見ていると思います。
家庭学習でも、こういった面を育ててほしいですね。
 
プリントでの分割の問題は、当てはまらないもの、おかしいものを消していく
消去法がいいでしょう。その時に、なぜ必要ではないのかをお子さんに説明さ
せると、効果はさらに上がります。自分の考えを言う、言葉で表現するのは、
本当に難しいですね。
「これは、ここが違うから、当てはまらないわ」
「そうですね、角度が違うわね」
「角度って、なあに?」
「開き具合ですよ」
これは教え込むのではなく、「……?」と興味を持たせることです。関心を持
てば、記憶されるものです。
知的な刺激を与えてあげましょう。
 
構成の問題に限りませんが、たとえば、答えが違っていたとします。前にお話
しましたが、そんな時に、やってはいけないことがありますね。子どもの前で、
間違いを指摘しないことです。
 
「これ違っていますよ!」
「それならこれかな?」
「違います!」
「じゃ、これかな?」
「何で、考えないの、あなたという子は!」
こうなりがちです、そうではないでしょうか。
最後は、顔色も変わり、話す口調に怒気さえ含んでいます。子どもは怒られた
くない一心で、ひたすら残っている答えを指差すだけです。偶然に答えが合う
ことを祈って、です。考える時間を与えていません。
 
「勉強って、つらいものだな!」
このような気持ちにさせてしまっては、小学校へ入る前から、勉強の嫌いな子
になりがちです。
 
わからなかったら、コピーをとり、それを切らせ、組み立てることです。怒ら
れて、おどおどしながらやっているお子さんの気持ちを考えてあげましょう。
かわいそうだと思いませんか。お子さんが、お母さんの顔色を気にしはじめた
ら、気分転換をはかることですね。お互いの精神衛生のためです。難易度の高
い問題に取り組むときこそ、あたたかい配慮が必要です。
 
閑話休題。
 
問題の解説は一休みして、ご両親の「育児の姿勢」をチェックしてみましょう。
日本でもベストセラーとなった「子どもが育つ魔法の言葉」(PHP研究所刊)
の著者、ドロシー・ロー・ノルトの作ですが、お読みになったお父さん、お母
さん方は、この本の冒頭にある「子は親の鏡」の詩には、納得されたのではな
いでしょうか。ここで紹介するのは、確か、スウェーデンの中学生用の教科書
にあったものだと記憶していますが、資料が見つからないもので、間違ってい
たらお詫びいたします。
 
私どもも教室の入り口に掲示していますが、「育児しながら育自する」お父さ
ん、お母さん方が大切にしている心構えではないでしょうか。
 
      子ども  ドロシー・ロー・ノルト 作
 批判ばかりされた 子どもは 非難することを おぼえる
 殴られて大きくなった 子どもは 力にたよることを おぼえる
 笑いものにされた 子どもは ものを言わずにいることを おぼえる
 皮肉にさらされた 子どもは 鈍い良心の もちぬしとなる
 しかし、激励をうけた 子どもは 自信を おぼえる
 寛容にであった 子どもは 忍耐を おぼえる
 賞賛をうけた 子どもは 評価することを おぼえる
 フェアプレーを経験した 子どもは 公正を おぼえる
 友情を知る 子どもは 親切を おぼえる
 安心を経験した 子どもは 信頼を おぼえる
 可愛がられ 抱きしめられた 子どもは 世界中の愛情を 感じることを 
 おぼえる
 
いかがでしょうか。
 
お子さんは、ご両親の作る環境で育っていくことを、忘れてはいけないと思い
ます。受験されるお子さんは、同世代のほんの一部の子どもたちの一人です。
ほとんどの子どもたちは、こういった受験準備をせずに、小学生になります。
 
算数を例に取れば、加減乗除から分数の領域まで、数字も記号も使わずに学習
し、「話の記憶」では、中高学年で習う「長文の読解」を文字も使わずに学習
するわけですから、家庭学習は、そのことを理解した上で、無理のないように
進めていただきたいのです。
 
お子さんが嫌がるときは、スパッとやめましょう。
 
そして、寝静まった頃に、お子さんの寝顔を見ることですね。
お父さん、お母さんの気持ちも、切り替えられると思います。
大切なのは、お子さん自身の将来、歩むべき道ですから……。
 
年長さんになり、少しでもお兄さん、お姉さんらしくなったところが見えたと
きは、ほめてあげましょう。
 
第39号でもお話ししましたが大切なことですから繰り返します。
「さすがお兄さん(お姉さん)!」は子どもに自信を持たせ、「お兄さん(お
姉さん)なんだから!」は、不満や不安を募らせがちで、賢い保護者の口にす
る言葉ではありません。
 
子どもたちは、お父さん、お母さんの何気ない言葉にも、敏感に反応している
ことを忘れないでください。
 
 
(次回は、「構成力・観察力に関する問題(3)」についてお話しましょう。)
 

 


さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[8]構成力・観察力に関する問題(1)

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         「めぇでる教育研究所」発行
「2023さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
          ★第39号★
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
ご進級おめでとうございます。
年長さんになり、少し戸惑うかもしれませんね、お兄さん、お姉さんになりま
したから。「さすがお兄さん(お姉さん)!」とプライドをくすぐり自信をも
たせましょう。
「お兄さん(お姉さん)になったのだから!」は、不安や不満を募らせるだけ
で、賢い保護者が口にする言葉ではありません。
 
 
★★入試問題を分析する★★
 
[8]構成力・観察力に関する問題(1)
 
構成力・観察力に関する問題の基本は図形ですが、その他に模倣や同図形、異
図形の発見などがあります。
 
 
[図形合成の問題]
 
三角形、正方形、長方形、菱形、円形などの形についての理解力を問う問題で
す。これも、かなり難しいですね。
 
 ◆プレート合成
   ★(数枚のプレートが置かれている)
    「三角のプレートを使って、お手本と同じものを作りなさい」 
                  
難しくて、どこがどうなっているのか、わからないものがあります。とにかく
プレートを持って悩んでいても始まりません。しかも時間は限られています。
迅速な対応が求められます。
 
問題集でやる場合、プレートがついていれば、それを切り取って利用できます
が、ない場合は、少し厚手の紙で同じ物を作ってあげましょう。そして、問題
集に取り組む前に、お子さんにいろいろな形を作らせて遊ばせ、「おもしろい
な!」と興味を持たせることが大切です。プレート構成の意味が理解できてか
ら、挑戦しましょう。
 
 ◆分割合成                             
   ★(5つに切り離されたプレートが、バラバラに置かれている)
    「プレートをうまく組み合わせて、もとの円い形にしましょう」
 
三角形、正方形、長方形、円形が4つから5つに分割されたものを、元の形に
復元する問題で、ジグソー・パズルのように、絵が描かれている場合は、かな
りできますが、真っ白なプレートでは、苦労しますね。
お子さんにさせてみるとわかりますが、「△とは、□とは」と、定義を前提に
せずに、どんどんと作っていきます。
言うまでもありませんが、円は、外は曲線です。
三角は、3本の線で囲まれて、角は3つです。
四角は、4本の線で囲まれて、角は4つです。
しかし、子どもたちは、これを無視して取り組みますが、しばらくすると「で
きました!」となるのですから、やはり、遊びの感覚ですね。図形の定義を抜
きにした構成力で、本当に不思議なものです。
ただし、完成した時には、△、□、○などを言葉でいえるようにしておきまし
ょう。三角形は「さんかく」、正方形は「ましかく」、長方形は「ながしかく」、
円形は「まる」でいいでしょう。
 
   ★「左の形を作るには、右の長四角の中の、どれを使えばよいですか。
    3つずつ探して○をつけなさい」
 
先程、プレートでやった問題を、プリントで答える応用問題となります。いき
なり問題集をやると、直ぐにお手上げになりかねませんから、プレートを使い、
基礎トレーニングを十分積んでから挑戦しましょう。その基礎トレーニングで
すが、またしても折り紙の登場です。形がそろわないとうまく構成できません
から、きちんと折り、丁寧に切ることが大切です。角を合わせて2回折ると4
個の三角ができますから、それをお子さんに切らせます。
 
2枚使って三角を作ります。
次に四角です。
この四角を作るときに、角と角を合せて蝶々を作ることを覚えると、4枚で真
四角を作るときに役に立ちます。
平行四辺形もできますが、名称は、覚える必要はありません。
今度は、4枚で三角と四角と長四角を作ります。
三角は二通りできます。
 
ここで、お父さん、お母さん、挑戦しましょう。お子さんが三角4枚で作った
四角を使い、それより大きな四角を作ってください。かつて、東京女学館小学
校で出題された問題ですが、頭が固いとできません。
 
今度は、四角を折ってみましょう。                       
上下の辺を合わせて折り、広げて折っていない方を同じように折ると四角が4
つできます。三角は、何回切っても三角に変わりはありませんが、四角は、長
四角と真四角の繰り返しですね。
 
次に、円形です。コンパスがなくても、茶わんを使えば描けます。
半分に折ると扇形ができます。さらに、半分に折ると4個の扇形ができます。
バラバラにして組み立てられれば、円と扇形の構成がわかります。
 
ところで、○の分割で、ケーキを3人、5人、6人で分けるといった問題があ
りますが、子どもたちには難問です。○を三等分、五等分、六等分に分けたも
のを作り、それを切り取り、形を覚えておきましょう。
この問題を解くときに、器用に分けられる女の子がいるものです。                                             
「ママが、ケーキを切るのを見て、粘土でまねをしたの!」
お手伝いをしながら、5つ、6つに分けたのを見て、
「ママ、すごい!」
と驚き、実験して覚えたそうです。やはり、体験学習は、貴重な財産になって
いますね。
 
同じ体験ですが、「丸い粘土の固まりを使い、同じ大きさの玉を3個作りなさ
い」といった問題で、粘土の固まりを板の上にのせ、手でゴシゴシとこすり、
細長い棒状に伸ばして、それを三等分し、3個の玉を作った子がいました。
「ママとクッキーを作ったとき、こうすれば同じ大きさに作れると教わった
の!」
と嬉しそうに話してくれたものです。こういった日常生活での体験が、大きな
知恵となっていることがよくわかります。生活体験、学校側の狙いもここにあ
るわけです。
 
少し脱線しますが、3個に分けた玉を一つに丸めて、「○が3個でも1個にな
る」という子どもたちがいるものです。つまり、1+1+1=3ではなく1だ
というわけです。3個の玉を、もとの固まりに丸めると1つの固まり[○]にな
りますから、確かに[1]になります。
これは、「ある量のものをいくつに分けても、もとの量は変わらない」という
「量の保存」のことですが、量と数の違いは、粘土で説明するとわかりやすい
でしょう。
 
最後に、作った形を真四角、長四角、三角、円といった形でまとめてみましょ
う。どこかで見たことはないでしょうか。そうです、積み木の箱です。一つの
形を作ってきちんと収納されていませんか。図形の基本ですね。
三角2つで真四角が、真四角2つで長四角、長四角2つで真四角、扇形4つで
円ができます。積み木を片付けながら図形の構成を学習しているわけです。ス
ケッチブックなどにそれぞれの形を描き、その枠内にしまう練習もやってみま
しょう。
 
積み木は、頭脳のトレーニングになる遊びです。
遊んでいる子どもには玩具の一つですが、幼児期の図形学習や構成力、観察力
や立体感覚を養うために欠かせない大切な教具です。巧緻性のところでお話し
た「手は第二の脳」を思い出してください。手を使う作業は、目でとらえた情
報を脳に伝え、それをいかに行動に表すかを脳が考え、正しい指示を出し、手
先が適切に作業をする、体と脳の共同作業だとお話しました。
 
こういった共同作業をスムーズにできる子の知的な能力が高いといわれるのは、
それだけ試行錯誤を積み重ね、苦労をしながら、自発的に学習し、理解したも
のであり、先天的な能力だけではないと思います。しかも、子ども自身は「図
形や構成力のお勉強!」などと思って、取り組んでいるわけではないのですが、
構成力がつくだけではなく、夢中になって取り組むことで、集中力や学習意欲
も培われます。
 
子どもは、単に記憶にだけ頼るのではなく、身体全体を使い、学習をしていま
す。子どもの遊びは、すべて、何らかの学習につながっているのです。「遊び
はいけないこと」と考える保護者いると聞きますが、それは間違いです。幼児
期の遊びは、工夫する力を培う大切な作業であり、学習の場と考えましょう。
考え行動することで、自発性が養われるからです。
 
これで基礎トレーニングは、終わりです。基礎をしっかり理解してから、問題
集に挑戦しましょう。三角形、四角形のプレートつきのゲーム感覚の教材を選
んでください。図形の問題に強くなると、考える力がつきます。複雑な問題に
なると時間もかかりますから、集中力や持久力もつきます。
 
お子さんが一所懸命に「……! ……? ……こうやるのかな!」などと考え、
試行錯誤している時には、保護者は口を出さないことです。忍耐です。
「お母さん、これ、どうなっているのかな……?」
などと助け舟を求めてきたときにアドバイスしてあげましょう。
お母さんにも根気が必要です。その心構えが、お子さんの持久力や取り組む意
欲、自発性を育てるからです。
 
先程のお子さんが作った□を使って、それより大きな□を作る問題ですが、中
心に集まっている4つの頂点を、底辺を軸に、それぞれ左、右、上、下へ裏返
しにします。お子さんの作った□の外側に、4つの三角の屋根ができ、大きな
□となるはずです。仕掛けがわかると何でもないように思えますが、「コロン
ブスの卵」と同じですね。日能研のキャッチフレーズではありませんが、「□
(シカク)いアタマを○(マル)くする」、子どもとの付き合いで大切なのは、親
の既成概念、思い込みを押しつけないことです。
 
 
(次回は、「構成力・観察力に関する問題(2)」についてお話しましょう)
 

 


さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[7]記憶に関する問題 

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         「めぇでる教育研究所」発行
「2023さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
          ★第38号★
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★★入試問題を分析する★★
 
 [7] 記憶に関する問題
 
プロジェクターを使い、スクリーンに映し出された映像を何十秒か見て、どれ
だけ覚えているかをみる問題で、映像は、イラスト、色、図形、位置などがあ
ります。
 
上映されている間、問題用紙は裏返しにし、本人には見えないようになってい
ます。問題がスクリーンに映っている間に、覚えなくてはならないのですが、
裏返しにされている答案用紙を、そっと見る子がいるそうです。そんな暇はな
いのですが……。
こういった態度には、どんなチェックが入るのでしょうか。まさか、「カンニ
ングの行為でマイナス5点!」などはないでしょう。ただ、不安なのです。不
安の種は、どうやら子どもの頭に浮かぶ保護者の顔のようです。
できないと、怒られるからなのでしょうか。
もし、そうだとすれば、こういったところに、普段の育児の姿勢である「満点
主義の教育ママ・教育パパ」の顔が、表われかねませんね。結果ばかりにこだ
わらないで、どうしてできないのだろうと、そのプロセスを考えてあげる賢い
保護者になってほしいのです。
 
「私どもは、試験でさえもプロセスを大切に見極めています」
文言は正確ではありませんが、かつて、桐朋小学校の説明会で聞いた話です。
「プロセス重視」、これは家庭学習で忘れてはならない大切な心構えです。 
 
 
◆絵の記憶
 
公園で動物たちが遊んでいる絵を20秒ぐらい見て、うさぎがいたところに○、
たぬきがいたところに×、りすがいたところに△をつける問題です。
スクリーンをボーッと見ていたら、
「動物が遊んでいたなぁ……!」
でおしまいですね。
 
 
 
◆色の記憶
 
四角や、三角、丸などの図形に、三色から多くても五色ぐらいの色を塗ったも
のを見て、それと同じところに同じ色を塗る、同じ色のシールを貼るなどの問
題です。
「きれいだな!」
気持ちはわかりますが、感心している場合ではありません。
あっという間に終わります。
集中力です。
 
 
 
◆形の記憶
 
☆△□○といったように、形が並んでいるものを見た後に、下の中から同じも
のを選んで印をつける問題です。
形は、難しいですね。
抽象的で、つかみどころがないからです。
 
 
 
◆位置の記憶
 
ます目の中に、動物や昆虫、花や果物、記号や図形がかかれているものを見て、
右側の解答用紙の同じ所に印をつけたり、おはじきを置いたり、シールを貼っ
て答える問題です。
動物や花などは、覚えやすいようですが、図形は抽象的だけに難しいのです。
 
 
 
◆音の記憶
 
例えば、太鼓が6回たたかれた音を聞き、その数だけ○を書くとか、映像を使
って、動物たちが順番に楽器を鳴らし、だれが、どの楽器であったか、動物と
楽器を線で結ぶ問題などがあります。
 
 
 
記憶の問題は、やった経験がなければ、ほとんどできないでしょう。
テストは、このように行われるからです。
 
(スクリーンには、動物たちが公園で遊ぶ様子が映されています)
★スクリーンを見てください。………………………(20秒経過)
「くまさんがいたところに○、うさぎさんのいたところに×をかきましょう。」
 
「記憶の問題です」などといった説明もなく、スクリーンに問題が映り、しば
らく沈黙が続きます。
「スクリーンを見てください」と言っていますから、説明なしとは言えません
が、ボーッと見ていたら、それまでですね。人間の脳は、「覚えなさい!」と
の明確な指示があって、初めて記憶する作業が始まりますから、これは、心構
えが必要です。
 
登場する動物も多く、公園の様子も複雑な問題がありましたね。
子どもは、どのようにして覚えるのでしょうか。
大人は、「ブランコにくまがいて、滑り台にパンダが、砂場にはうさぎが……」
と理詰めに記憶しようとしますから、これでは覚えきれません。
ところが、子どもは、全体をパシッと頭に収めてしまうそうです。
カメラを考えれば、いいようです。
全体を、頭に写し撮ってしまうらしいのです。
子どもの頭は柔軟ですから、記憶できるそうです。
 
子どもの記憶力には、驚かされることがあります。
電車の好きな子が、山手線の全部の駅の名前を覚えた話など聞きませんか。車
博士から鉄道博士、昆虫博士と、よくぞ覚えたものだと感心させられます。
 
話を戻します。
こういった問題があるからといって、問題集を買い、ひたすら繰り返し訓練す
るのは考えものです。第一、面白くありません。20秒ぐらい絵を見せられて、
サッと隠して、
「今、何がありましたか!」
「こんなことして、何になるの、お母さん?」
こういわれて説得できなければ、やっている親の立場がなくなりますね。
お気に入りの絵本の、1ページに描かれている情景をいわせてみると、驚くほ
ど細部にわたり記憶しているものです。こういったものを利用しながら、記憶
するという意識を刺激してみましょう。
トランプを使った「神経衰弱」なども、絶好の教材となります。
こういったステップを十分に踏み、それから問題集を利用すれば、お子さんも
やる気十分に挑戦するはずです。問題意識が芽生えないと、興味を示しません
から、意欲もわきません。
 
記憶は、本当に気ままなものです。 
自分の好きなことは覚えますが、嫌いとなると、もういけません。
やはり、出発点は好奇心ですね。 
そこから、注意力や集中力が働いて、記憶するのでしょう。
普段から、注意力の散漫な子は、やはり、覚えるのも苦手ではないでしょうか。
身辺の整理ができない、おもちゃ箱が乱雑な子も、どうでしょうか。
過保護、過干渉な育児も駄目でしょうね。
何でも自分でやらなければ、段取りがわかりません。
段取りは、前にやった時の経験が生きてきます。
経験は記憶されますから、自分でやることが大切です。
記憶力も試行錯誤を積み重ねて身につくもので、子どもの生活体験と深い関わ
りがあります。
自発性にとみ、自立心の身についている子の記憶力は、すぐれているはずです。
それは、いろいろなことに自力で挑戦しているからです。
 
小学校側も、単に記憶する能力をみているのではないでしょう。
五感を刺激されていれば、記憶力もつきます。
このことです。
ですから、机の上で、問題集だけで覚えた知識は、あまり役に立ちません。
単に、大脳神経の回路を刺激して記憶するだけですから、忘れやすいのです。  
しかし、頭と体が一体となって覚えたものは、忘れません。
それは、知識ではなく知恵だからです。
身についた知恵の主語は、自分自身です。
詰め込まれた知識の主語は、多くの場合、第三者やお母さん、お父さんではな
いでしょうか。
 
記憶力を培うのは、五感に刺激を与える環境でしょう。
お子さんが、夢中になって取り組む遊びはありますか。
好奇心の旺盛な子は、やはり、記憶力も順調に発達しているといえるのではな
いでしょうか。  
 
春休みの講習会、元気に通っていますか。冬の講習会と同様、短い期間ですが、
毎日通い学習することで、学ぶことの面白さを体験していると思います。この
意欲と学習習慣を、4月以降にうまく活かしたいものです。頑張ってください。  
 
 
(次回は、「構成力・観察力に関する問題(1)」についてお話しましょう)
 

 


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