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めぇでるコラム

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>名門幼稚園の保育方針 国立大学附属幼稚園編(1)

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2020さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第17号
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名門幼稚園の保育方針 国立大学附属幼稚園編(1)
 
今回から4月にかけて、名門幼稚園の保育方針などを紹介しましょう。
紹介する幼稚園は、国立大学附属を除き、筆者が入園説明会へ参加した幼稚園
であること、そして募集人員は平成30年秋に実施したもので、平成31年秋
のものではないことをお断りしておきます。
 
最初に、悠仁様が通っていたお茶の水女子大学附属幼稚園から紹介しましょう。
ご存知のように悠仁様は、お茶の水女子大学附属小学校へ進学されました。
 
【お茶の水女子大学附属幼稚園】
 
国立のお茶の水女子大学、私立の日本女子大学といえば、我が国、女子教育の
最高学府。そのお茶の水女子大学の附属幼稚園で、自由保育の発祥の園です。
地下鉄丸ノ内線の茗荷谷駅から徒歩十分足らずの所にありますが、文京区の文
教地域だけに、朝などは幼稚園児から大学生で大混雑をします。お茶の水は幼
稚園から大学まで、東京学芸大学附属竹早は中学まで、筑波大学附属は高校ま
で、そして跡見学園があるからです。
 
この幼稚園に入るのは大変です。例年、男子は倍率20倍、女子となると30
倍を越し、同附属の小学校の女子は例年70倍前後のようですから、まだ、い
いのかもしれませんが、この倍率を聞いただけで遠慮したくなります。
 
教育の目的、姿勢の中に、自由保育の真髄が述べられています。
 
 ★教育の目的★
 
お茶の水女子大学附属幼稚園は入園した幼児を保育して、心身の発達を助ける
事を目的と
しています。特に、次のような子どもに育てようとしています。
・からだがじょうぶで、元気がよい。
・自分のことは自分でする。
・友達と仲良く遊ぶ。
・ものごとにいきいきとした興味を持つ。
・思ったことをはっきりと話し、人の話をよく聞く。
・創意工夫したことを楽しんで表現する。
 
本幼稚園は、お茶の水女子大学の附属として幼児教育の理論と実際に関する研
究をします。本幼稚園は、お茶の水女子大学学生にとっての保育、教育の実習
と研究の場であります。本幼稚園は、研究や保育の実際を公開して、幼児教育
の進歩向上のために貢献します。
 
★教育の姿勢★
 
本園では、幼児期の特性を踏まえ、それぞれの子どもが自分でやりたいことを
見つけ、自分から人や物や環境にかかわって遊びに取り組んでいくことを重視
しています。従って一日の過ごし方は、その子どもの興味や関心によってそれ
ぞれに異なります。一人ひとりの思いに沿った生活の自然な流れを大切に考え、
同じ事を同じ時に、どの子どもにも教え込むようなことはしていません。その
時々に、一人ひとりに合わせた指導を行って、個々の子どもの興味や意欲、自
ら考え行動する姿勢を育てようとしています。意欲を持って自分から始めた遊
びを十分行うことを通して、子ども達の中に充実感、満足感がもたらされます。
その充実感、満足感は、保育者との信頼関係、友達との様々な触れ合いなど、
人との関係の中でより大きなものになっていくと考えます。自然な生活の中で、
人と人が十分触れ合い、多様な感情を体験していくことが大事なことだと考え
ています。
 
国立附属の幼稚園だけに、誰でも入れるわけではありません、応募資格があり
ます。
保護者と同居し、幼稚園からおよそ半径3km内で、荒川区、北区、新宿区、
千代田区、台東区、豊島区、文京区と指定地域があり、徒歩または公共の交通
機関で通園できるものとし、上記の条件を満たしていない場合は、たとえ出願
しても入園資格はないものと決められています。
「保護者と同居」は、都内に住む祖父母の所へ、住所を移すだけでは受験でき
ないことであり、「出願しても入園資格はない」とは、上の条件を満たしていな
ければ、たとえ合格しても入園を認めないということです。
 
募集人員は3年保育、3歳児男女各約20名、2年保育、4歳児は男女各約1
0名。
平成30年度は、3歳女児322名(約16.1倍)、3歳男児220名(約1
1倍)、4歳女児236名(約23.6倍)、4歳男児158名(約15.8倍)
ですから、前年度より下回っていたとはいえ、まさに狭き門であるわけです。
(データは、平成29年秋に実施されたもので、平成31年2月23日現在の
同幼稚園のホームページより転載したものです)
 
さらに、選抜の方法が厳しいのです。
第一次検定が抽選です。
何とか受験資格の幸運に恵まれても、合格の保証はありません。
第二次検定は試験と親子面接を受けます。
抽選後、試験まで一週間ほど間があります。
現在は両親面接ですが、かつては保護者一人でしたから、お母さん方にはたい
へんな時代がありました。
そして第二次検定を通過しても、最後の関門が控えています。
第三次検定は、またしても抽選があり、当選者が入園候補者になります。
 
第二次検定は、行動観察と親子面接です。
行動観察といっても、子ども達は好きなおもちゃなどで遊びが中心ですから普
段着でいいわけです。
もちろん、初めての場所で遊びますからかなり緊張します。
しかし、幼児教室や塾へ通い、「お母さんのもとを離れても楽しいことがある」
ことを知っていれば、子ども達はすぐに対応できます。
 
問題は、お母さん方です。
両親面接といっても、多くの場合はお母さんが一人で参加しているようです。
「合否の鍵は、私の面接次第ではありませんか!」
気の弱いお母さんは、胃が痛くなるほどプレッシャーがかかるそうです。
抽選に当たってからの準備では、当然ですが間に合いません。
「抽選があるから」と安易に考えずによく研究をされ、心の準備をしてから願
書を出しましょう。
 
教育目標に書かれているのは、幼児教育に関していろいろな実験をし、その成
果を見に全国の幼稚園の先生方が見学に来ますし、幼稚園の先生を目指す学生
さんの担当する実習時間もあり、普通の幼稚園では考えられない保育があるこ
とです。
いろいろな実験とは、単純に考えるとデータがほしいわけです。
「こういう保育は、どうだろう?」
という理論に、どのような反応があるか知りたいのですから、積極的に応えて
くれる子ども達が歓迎されるというわけでしょう。
 
さらに、見学者が大勢やって来ます。
周りの雑音に左右されずに順応できる子でしょう。
過保護、過干渉な環境で育てられた子ども達には合わないでしょうし、神経質
な子だと、正直にいって疲れはてるのではないでしょうか。
やはり、心身共に健康な子ども達ということでしょう。
 
女の子にとっては、入園できれば本人の努力次第で、内部特別進学で天下のお
茶大に進める道もあるようですから、お母さん方が熱く燃えるのも無理のない
話ですね。
 
このように国立大学附属の幼稚園は、一般の幼稚園と同様に幼稚園教育を行う
ほか、附属幼稚園として大学の連携のもと、学生の教育実習を行うと共に、幼
稚園教育の内容、方法について実証的、実験的教育を行う使命を持っています
から、入園を希望するご両親は、この主旨をしっかりと理解し応募すべきです
ね。参考までに、昨年の説明会の日時を紹介しておきましょう。
 
 平成31年度説明会 
   日 時 平成30年7月8日(土)(時間は掲載されていません)
   場 所 同女子大学講堂 
   式次第 1)園長挨拶
       2)本園の歴史、教育の目的、使命について
       3)本園の教育の基本的なあり方について
       4)DVD「幼稚園の生活」上映
       5)今後について
   お願い 大学内には駐車場、駐輪場はありません。来校される際は、徒
歩或いは公共の交通機関をご利用ください。近隣の道路や車道
への駐車は、地域の方の迷惑になりますので、ご注意ください。
「子供同伴不可。園舎、園庭見学無し。質問不可。時刻厳守、定刻後の入場不
可」は削除されていますが、ホームページで確認されてから参加してください。
(平成31年2月23日現在のホームページより)
 
  (次回は、この他の国立大学附属幼稚園を紹介しましょう)

さわやかお受験のススメ<保護者編>第5章 雛祭りですね(2)

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2020さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第17号
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第5章 雛祭りですね(2)
      
★★童謡「うれしいひなまつり」には二つの誤りが★★
雛祭りを楽しんでいる雰囲気の伝わってくる懐かしい童謡、それが「うれしい
ひなまつり」でした。私には姉と妹がいましたから、この気持ちはよくわかり
ます。箱の中から紙に包まれた人形を取出し、それを雛壇に飾りつける母や当
時は女中さんといっていたお手伝いさんの姿を思い出します。
ところが、作詞者のサトウハチローは、2つの誤りに気づき、破棄したいと考
えていたそうです。その誤りとは、1つは2番の「お内裏様とおひなさま」で、
「内裏雛」は天皇、皇后の姿をかたどった「殿と姫の両方」を表し、「おひな様」
は男雛と女雛で一対を表すので、同じことを繰り返すことになるからです。2
つ目は3番の「赤いお顔の右大臣」は左大臣の誤りで、さらに大臣ではなく、
正しくは随身、近衛兵(宮中警備の兵士)の長官のこと。大臣であれば「笏(し
ゃく)」を持っているはずが、弓矢、太刀で武装しているからだそうです。
(hinaningyou.biz/matigattaohinasama.htm より要約)
「男雛様と女雛様」、「左近衛大将」では、詩人の感性として許せないでしょう。
進学教室の歌姫も教えてくれませんでしたから、承知して歌うしかありません
ね。一時、吹き荒れた「センテンス スプリング」を気取るのも僭越で、おこ
がましいことですから、原作をそのまま掲載し、拙文の人形の紹介も歌詞に従
い左大臣、右大臣としました。
 
 うれしいひなまつり 
  作詞 サトウハチロー  作曲 河村 光陽
 
  一 あかりをつけましょ ぼんぼりに
    お花をあげましょ  桃の花
    五人ばやしの    笛太鼓(たいこ)
    今日はたのしい  ひなまつり
 
  二 お内裏様と  おひな様
    二人ならんで  すまし顔
    お嫁にいらした 姉さまに
    よく似た官女の  白い顔
 
  三 金のびょうぶに  うつる灯(ひ)を
    かすかにゆする  春の風 
    すこし白酒    めされたか
    あかいお顔の   右大臣
 
  四 着物をきかえて  帯しめて
    今日はわたしも  はれ姿
    春のやよいの   このよき日
    なによりうれしい ひなまつり
  
同じような間違いはあるもので、昭和3年に大ヒットした曲ですから、若い皆
さん方には馴染みの薄い歌かもしれませんが、野口雨情作詞、中山晋平作曲の
「波浮の港」です。
  ♪磯の鵜の鳥ゃ 日暮れにゃ帰る  波浮の港にゃ 夕焼け小焼け
   あすの日和(ひより)は ヤレホンニサ なぎるやら♪
 
波浮の港は、伊豆大島の東南端で、東南の位置にあるので夕日は見えない。
また、鵜の鳥は、大島あたりには生息しない。どうして見えない夕焼け、いな
い鵜を表現したのか、雨情は波浮の港へ行ったことがなく、想像で書いたもの
で、後に雨情自身がその誤りを認めた。
(「大人の雑学 今さら他人に聞けないムダ知識665」P55より 抄訳
              日本雑学研究会編 幻冬舎文庫 刊)
 
★★なぜ、桃の花を飾るのですか★★
 
なぜ、桃の花なのでしょうか。
 
 「桃は五行の精なり」といい、桃には古来より邪気を払い百鬼を制すという魔
除けの信仰があった。(中略)中国で殷(いん)の時代に狩猟民族が天意を占う
ときに、亀の甲や獣骨に占い字(ト辞・ぼくじ)を刻んでそれを火にあぶる
と、甲羅や骨にひび割れができる。
そのひびの入り方によって古代人は神意を判断して吉凶を占った。そのひび
割れをかたどったのが「兆」という象形文字である。「兆候(きざし)」「前
兆(しるし)」「兆占(うらない)」「兆見(まえぶれ)」などのことばか
らもわかるように、兆は未来を予知するかたちを表している。「桃」は兆しを
持つ木とされ(中略)、未来を予知し、魔を防ぐという信仰が生まれたのであ
る。したがって鬼退治物語の主人公は、柿太郎でもなく梨太郎でもなく、桃
太郎でなければならないのである。
(年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P79) 
 
桃の木には、たくさんの実がなり、魔を防ぐと信じられていましたから、桃の
花を供え、子宝に恵まれる女の子の幸せを祈ったのです。
 
さらに訳ありなのは、桃太郎の家来が、猿と雉と犬であることです。「犬猿の仲」
といわれるほど仲の悪い犬と猿が家来となって、うまくいくはずはないのです
が、間に鳥がいるから大丈夫なのです。十二支にも「申(さる)・酉(とり)・
戌(いぬ)」と間に酉が入って、けんかをしないように配慮されています。「和
をもって貴しとなし」ではありませんが、「聖徳太子の教えが、ここにも生きて
いるぞ!」と一人で悦に入っています(笑)。
〔注〕 十七条の憲法 
    一曰 以和為貴 無忤為宗
   「一に曰く 和を以って貴(とうと)しとなし、忤(さから)う
   こと無きを宗(むね)とせよ」  
   (和を何よりも大切なものとし、いさかいをおこさぬことを根本
   としなさい)            
  (フリー百科事典〔ウィキベディアWikipedia〕より)
 
ところで、斑鳩の里にある法隆寺といえば、仏教を広めた聖徳太子の業績をた
たえるために建立された寺院であると思っていたのですが、哲学者、故梅原猛
氏の「隠された十字架=法隆寺論」(新潮文庫 刊)には、一族を皆殺しにされ
た太子の怨霊を鎮めるために建てられた寺であることが明らかにされています。
夢殿にあった白い布で包まれた秘仏を、明治時代に来日したアメリカの日本美
術研究者フェロノサなどの要請で開扉したところ、光背が頭の後に釘で打ちつ
けられ、胴体が空洞でつり下げられている救世(ぐぜ)観音像が出てきたそう
で、ここから氏の怨霊説が生まれたのでした。読んで驚くことばかりですが、
哲学者の妥協を許さない鋭い明察は、歴史学者にはない魅力にあふれており、
すっかりはまりこみ、読みあさっています(笑)。
(注 光背 仏像の背後につける光明を表す装飾で、どのような仏像も、
足元の台座から支えを伸ばし、仏像の頭部まで持ち上げられている)
 
★★左近の桜、右近の橘って?★★
なぜ、雛壇に桃だけではなく、桜と橘を飾るのでしょうか。雛壇に向かって右
に桜、左に橘を飾りますが、これは京都御所にある「左近の桜」(御所に向かっ
て右側)「右近の橘」(向かって左側)を表しているそうです。京都の冬は、昔
から雪こそあまり積もりませんが、底冷えをする寒さは厳しく、禁中に仕える
者は、古くから左近の桜のつぼみのふくらむ様子を眺めながら、春を待ってい
ました。
 
京都御所の紫宸殿の東側に桜、西側に橘が植えてあり、左近衛府の官人は桜
の木から、右近衛府の官人は橘の木からそれぞれ南側に整列して宮廷の警護
にあたった。
桜と橘はいわば、宮廷の門と同じ役割を果たしているのである。
(年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P85)
 
官人とは天皇を守る近衛兵のことですが、お雛さまを飾るモデルは京都御所。
五段目には、おかしな顔をした傘と笠と沓を持った雑用係の三仕丁を飾り、そ
の左右には、宮廷の門と同じように桜と橘を飾ります。その上の四段目には、
向かって右に左大臣(老人)、左に右大臣(若者)を飾りますが、唐の文化の影
響が、そのまま身分の上下となって表れているわけです。三仕丁は、それぞれ
泣き顔、笑い顔、怒り顔をしており、表情豊かな子に育つ願いが込められてい
るそうです。
 
橘は、みかんの古称で、日本では万葉の時代から和歌に多くうたわれている
馴染み深い木の一つで、黄色い実が魔除けになるともいわれています。大昔よ
り日本に自生している常緑樹で、冬でも緑を失わないその姿と、見栄えのある
美しい果実、そしてかぐわしい香が、古くから尊ばれてきたのでした。また、
神の化身とされる蝶の幼虫が育つことで、神代と世俗を結ぶ神の依代(よりし
ろ・心霊が招き寄せられて乗り移るもの)と考えられていました。    
(http://www.e87.com/selection/sp_hina/colum_04.htmlより)
 
  橘は 実さへ花さへ その葉さへ 枝に霜降れど いや常葉の樹
                     万葉集 6(1009)
                (注 枝“え” 常葉“とこは”)
「橘の木は、実も花も、その葉も、そして、その枝までも、霜が降ってもびく
ともしない。いつまでも葉の落ちない木だこと」と、万葉集にも歌われていま
すが、常葉の樹(常緑樹)の中でも、生命力の豊かな木であることがわかります。
何事も訳ありですね。
 
ところで、中宮和子が帝と初めて花見をしたのは、この左近の桜です。その折、
帝に献上したのが、在原業平をモデルとした押絵でした。見事なできに感激し
た帝が色紙に書いた和歌は、在原業平の
   世の中に たえて桜のなかりせば 春の心は のどけからまし
でしたが、その後、様々な事件が起き、帝も退位し、女帝興子の誕生となりま
す。帝の心中を推し量れば、「世の中にたえて徳川のなかりせば……」ではなか
ったでしょうか。
 
若い皆さん方には馴染みのない作家かもしれませんが、文芸評論家、小林秀雄
の弟子で、60歳過ぎてから小説を書いた偉才、隆 慶一郎の絶筆となった未完
の作品に「花と火の帝  
上・下」(日経文芸文庫 刊)があり、25年の暮れに再版され読むことができ
感慨無量でした。家康、秀忠の横暴に毅然と立ち向かった後水尾天皇とそれを
支えた和子の様子が、猿飛佐助、霧隠才蔵などで組織された「天皇の隠密」と
いう奇想天外な応援を得て、徹底抗戦する展開になっていましたが、完結する
ことなく世を去ってしまいました。奇想天外というと荒唐無稽と誤解されそう
ですが、26年の正月に放映された「影武者徳川家康」と同様、史実に基づい
た着想からなり、一気呵成に読まされてしまう傑作で、最後がどうなるかまる
で想像もつかないだけに残念でなりません。宮尾登美子さんと違った帝と中宮
を知り、梅原猛氏と同様、歴史の謎を究明する鋭い洞察力に脱帽するばかりで、
1989年没、享年66歳、隆 慶一郎のあまりにも早い旅立ちに、無念の思いを
禁じえませんでした。
ところで、澤田ふじ子さんは尊皇思想について、江戸の末期に起きたものでは
なく、軟弱だといわれていた公家が徳川家滅亡のために、延々と手を打ってき
た結果であり、その要に陰陽道の土御門家がいて、全国の陰陽師が天皇親政の
情報を流し続けたという独特の説をもっていますが、祇園社神灯事件簿シリー
ズ、土御門家陰陽事件簿シリーズなどを読み、単細胞の私は納得してしまいま
した。(笑)
 
それはさておき、桃も桜も橘も、日本の春を静かに語っているように思え、心
は落ち着き、いつまで見ていてもあきませんね。桜については、4月に詳しく
お話しする予定です。
 
★★なぜ、菱餅は、赤、白、緑なのですか★★
菱餅を見ていると、積もっていた雪も少しずつとけはじめ、雪の下で寒さに耐
えながら、春を待っていた木の葉や草の緑色が、ほんのわずかながら姿を見せ、
早春の息吹がうかがえる、そんな情景が浮かんできます。咲き始めた桃の花に、
春の淡雪がうっすらと積もる初春の雪景色、その白と緑と赤の鮮やかなコント
ラストに、「日本って、いいなぁ!」と日本人であることにしみじみと感謝した
くなります。菱餅は、初春を待つ人々の心を見事に表していると思いませんか。
本当のところはどうなのでしょうか。
 
菱餅の赤、白、緑の三色は、赤は桃や紅花で色づけしたもので魔除けを、白は
清浄を、緑は独特の香りのある蓬(よもぎ)で、体に悪いものを外に出す働きが
あり、薬として使われていたので健康を表しているのだそうです。雛壇の敷物
が赤いのも、意味ありなんですね。
アカデミー賞の華、レッドカーペットは、関係ないでしょうけれど(笑)。
また、どうして形が「菱形」かは、餅に入っている菱の実は菱形で、葉は三角
状だからではないかと思うのですが、これは私の独断ですから間違っているか
もしれません。
菱餅を飾る理由は、インドの仏典の説話に、竜に菱の実を捧げたところ娘の命
を救った話があり、そこから「菱の実は子どもを守る」という言い伝えが生ま
れたからだそうです。
戦後の食糧事情は最悪で、食べ物がなく、さつま芋の茎や菱も茹でて食べまし
たが、菱は栗のような味がしたと覚えています。レストランなどで豪快に残し
ているのを見ると腹立たしい気持ちになるのは、幼児期に飢餓の経験があるか
らです。今でもアフリカなどでは、飢えで死んでいく子どもたちがたくさんい
て、写真で見た子どもたちの目を忘れることはできません。食べ物がないのは、
空腹感を満たすために心が卑しくなり、辛くて、悲しいものです。「衣食足り
て礼節を知る」は、昔々の話になったようです。
 
★★ひな祭りのごちそう★★
女のお子さんがいる家庭では、必ず頂く蛤(はまぐり)のお吸い物とお寿司です。
蛤の貝殻は、他の貝とは合わないことから女性の貞節を教え、夫婦の相性が良
いことを願ったものです。女の子のお祝いらしく、彩(いろどり)が華やかなち
らしや五目寿司などに、菜の花やぜんまいのおひたし、たらの芽のてんぷらな
ど、春の旬の食材が花を添えます。先に紹介した菱餅の他に、干した米を煎っ
た雛あられ、元は桃の花を酒に浸した桃花酒でしたが江戸時代頃から飲まれる
ようになった甘い白酒などが、雛祭りのごちそうの定番でしょう。ちなみに、
雛あられの原材料には海老や鯖が使われているものもあるので、魚嫌いの現代
っ子にはいいかもしれません。それにしてもチョコレートをまぶしたもの、袋
に女の子の大好きなプリキュアを印刷したものなどがあり、びっくりしますね
(笑)。
最近では、塩漬けの桜の葉で巻いた上品な香りが何ともいえない桜餅なども加
わったようです。この桜餅ですが、甘い物が苦手な私でも長命寺餅は頂きます、
絶品ですね。関西では道明寺餅が有名です。用いられている葉はオオシマザク
ラで、もちろん、その辺から集めてきたものではなく、専用に栽培されていま
す(笑)。
ところで、雛あられですが、関東は米、関西は餅と材料に違いがあり、関東は
米を爆(は)ぜて作ったポン菓子を砂糖などで味付けしたもの、関西は直径1
センチ程の餅からできたあられを、醤油や塩味などで味付けしたものです。
また、あられが3色なのは、白は雪で大地のエレルギー、緑は木々のエネルギ
ー、赤は生命のエネルギーを表し、菱餅と同様、自然のパワーを授かり、災い
や病気を追い払い成長できるという意味が込められているそうです。(「トレン
ド情報ステーション」より要約)
 
★★桃源郷は、どこにあるのでしょうか★★
桃といえば、この話を忘れることはできないでしょう、桃源郷です。陶淵明の
書いた「桃花源記」にある理想郷は、桃の花が咲き乱れる桃源郷として描かれ
ています。魔除けの力を秘めた霊木であり、不老長寿の仙薬(飲むと仙人にな
るという薬から転じて効き目が著しい霊薬のこと)と信じられていた桃の花ゆ
えに、納得できますね。「桃花源記」の原文は手に負えませんが、こういった古
典文学には、小学生の高学年用に書かれたものがあり、時々、図書館の子ども
部屋におじゃまして、「変なおじさん!」といった目を気にしながら読んでいま
す(笑)。
 
         【桃花源記(作:陶淵明)の話の概略】(抄訳)
 中国太元の時代、武陵に一人の漁師がいました。
 ある日、小舟をあやつり漁に出たのですが、見覚えのない所に来てしまい、
あたり一面に桃の花しか咲いていない林を見つけたのです。甘美な香りを漂わ
せ、美しい花びらが舞っているではありませんか。見とれていた漁師は、林の
先を突き止めたくなり奥まで船を進めました。林は水源のあたりで山につきあ
たったのです。そこに小さな穴があり、中へ入っていくと、突然、景色が開け、
土地は四方に広がり、立派な建物や滋味豊かな田畑が見渡せました。鶏や犬の
鳴き声が聞こえ、そこにいる人々は、異国人のような装いをし、
みんな楽しそうでした。
 ぼんやりと立っている漁師に気づいた人々は驚き、どこから来たのか尋ね、
ありのままに答えると、一軒の家に案内され、お酒やご馳走でもてなされたの
です。人々が言うには、
「私どもの祖先が、妻子ともども一村の者たちと秦の世の戦乱を逃れ、この絶
境に来てから、一度も外に出たことがないので、よその人とまったく関わりを
持たなくなってしまったのです。ところで、今は一体、どういう時世なのです
か」
と、漢はもちろん、魏、晋のこともわからないのです。漁師が詳しく説明する
と、みな感に堪えないように聞き、家から家へ連れていかれ、どこでも歓待さ
れるので、4、5日滞在したのでした。
 やっと村を去る日が来たとき、「私どものことは言うほどのこともありません
から、よそ様にはお話にならないでください」と懇願するのです。しかし、途
中に目印を残しながら帰ってきた漁師は、家に着くと、さっそく郡の太子のも
とへ行き、この話をしました。興味を覚えた太子は、案内をさせましたが、目
印はおろか、前に行った道さえ見つかりません。この伝えを聞いたある君子が、
その仙境へ行こうとしましたが、その志を果たさぬ内に病で世を去り、この後、
再び訪ねようとする者はいなかったということです。
この話から「武陵桃源」「桃源郷」は仙境の意に使われ、転じて理想郷の意となっ
たのでした。
   生きる心の糧 中国故事物語 4  駒田 信二・寺尾 善雄 編
                           河出書房新社 刊
 
人はだれしも秘密を持つと黙っていられなくなるようです。浦島太郎も乙姫さ
まとの約束を守れず、おじいさんになってしまいました。これも人間の性(さ
が)でしょう。
 
山の奥深くに、海の底に、理想郷を夢見るのは子どもではなく、いい年をした
大人、しか
も男性に多いともいわれていますが、かくいう私もその一人です(笑)。分別の
ある女性は、
ばからしくて興味がないようですが、それだけ現実的なのでしょうね。桃源郷
は、誰しも
が心の隅に描きたくなる「かくありたい、ささやかな願い」ではないでしょう
か。残念な
がら実生活でも、ささやかな願いは、かない難くなっているようです。
迎えに来た父親に、「帰りたくない」と訴えた心優ちゃん、手を差し伸べてもら
えなかった、
わずか10歳の幼子の願い、子は親を選べない現実を、親はしっかりと認識す
べきではないだろうか、今更なんですが。(残念無念)
(次回は、「お彼岸」などについてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[5] 常識に関する問題(1) 

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第33
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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城北・埼玉・千葉・茨城地区私立小学校合同相談会 
 日 時 3月3日(日) 10:30~15:00 
 場 所 聖学院小学校
      千葉県から千葉日本大学第一小学校が参加します。
       詳しくはホームページをご覧ください。
 
★説明会報告★
日本女子大学附属豊明小学校の第2回幼児教室対象学校説明会が、2月18日
(月)午前9時30分から11時まで行われました。
授業参観後、「目指す児童像」「三綱領」「育む学びの心」などの教育方針、説明
会の日程、入試要項などを紹介。途中で出身者の方の校歌などを披露。そして
「求める子ども像」、「求める家庭像」について、以下のような説明がありまし
た。
 
◯求める児童像
 *愛情豊かに育てられている子(過不足ない愛情)
 *基本的生活習慣がしっかり身についている子
 *心身共に健康な子(自分で通学でき、自分で日常生活が送れる)
 *集団性、社会性が年相応に発達している子
 *生き生きとした意欲のある子
◯求める家庭像
 *保護者がお互いに協力し合っている家庭
 *子どもに過不足のない愛情を注いでいる家庭
 *社会の基礎単位としての役割をしっかり果たしている家庭
 *学校のめざす方向に協力する姿勢を持っている家庭
 
光塩女子学院初等科の影森一裕学校長の話がホームページに掲載されています
が、「過不足のない愛情」とは、こういうことではないでしょうか。
「過保護も過干渉も自由放任も程度問題です。それらは程度を変えて個々の場
面で必要なものです。ある時は十分に甘えさせ、ある時は強制したり自由にし
たりする必要もあるのです。子育ては『あれか、これか』ではなく、『あれも、
これも』なのです。どこかに偏ってしまっているなと反省したら、柔軟に軌道
修正できる子育ての知恵が必要です」
「合格の二文字」に心を奪われると、とかく偏った育児になりがちです。光塩
初等科のホームページをクリックしてお読みになることをお勧めします。
 
また、聖心女子学院初等科と同様、学童保育「JWU ほうめいこどもクラブ」を
はじめましたが、今回、資料は同封されていましたが、説明はありませんでし
た。参加者の数を知りたかったのですが。
 
最後に、給食の試食がありましが、食事療法中のため外食ができずパスしまし
た。(残念)
 
[5] 常識に関する問題(1) 
文字通り、常識の分野です。
しかし、単なる知識ではなく、情操教育の領域から思慮分別まで入っています。
仲間分け、郵便屋さんとポストを結びつける職業に関するもの、道具や日用品
の名称と用途に関するもの、季節と行事に関するもの、公衆道徳やしつけに関
するもの、むかし話や名作物語の一部が描かれた絵を見て説明するものなどが
あります。
 
[仲間分け]
動物や昆虫、木や花、野菜や果物、乗り物、季節、文房具などの仲間を探す、
逆に仲間ではないものを見つける問題です。常識の問題だけではありませんが、
単に仲間に〇や仲間ではないものに×をつけ、「満点! 次に行きましょう!」
では、あまり有効な学習とはいえません。○や×をつけた理由を、自分の言葉
できちんと説明できるか確かめましょう。幼児の学習で大切なのは、自分で考
えたことを話せることです。つたない説明でもきちんと聞いてあげ、おかしな
ところは直してあげましょう。
 
こういった問題がありました。
 ◆(かき・くり・ぶどう・なし・すいかの絵が描いてある)
   かき・くり・ぶどう・なし・すいかの中で、仲間ではないものに×をつ
けなさい。
 
皆さん方は、何に×をつけるでしょうか。 聞き手に徹してみると、子どもた
ちは、実に、ユニークな発想の持ち主であることがわかります。
 
「すいかに×です。すいかは野菜で、他は果物です」
常識的な模範回答で、皆さん方は喜びます。
 
「すいかです。他のくだものは木になるけど、すいかは、地面になります」
すいか畑を見た経験があるのでしょう。
 
「すいかは、夏に食べますが、他は秋ですから、すいかに×です」
季節に違いを見つけましたが、季節感が希薄になっている中で偉いですね!
 
「すいかです。他は皮をむいて食べます」
またしても、すいかですが、食べ方の違いを見つけました。
 
「くりです。イガイガに入っていますから、手で触れません」
この子は、くり拾いに行ったことありますね、体験談です。
 
「くりです。そのままでは食べられません」
いいですね、くりご飯が好きなのでしょう。もしかしたら、生のくりをかじっ
たことがあるもかもしれません。
 
「ぶどうです。他は1個、2個と数えるけど、ぶどうは、そういうふうに数え
ません」
これも、いいですね、一房などといえなくても正解です。ぶどうの実は、1個、
2個・1粒、2粒と数えますが、全体を捉えて数えるときは、バナナと同様1
房、2房です。いつか、有島武郎が自分の子どもたちのために書いた「一房の
葡萄」を読んでほしいものです。
 
「くりです。種がありません」
ぶどうやすいかにも種のないものがありますが、これも正解ですね。
 
「かきとくりです」
「……?」
「『さるかに合戦』には、かきとくりが出てくるけど、むかし話に、他のもの出
てくるかな?」
さて、こうなるとわかりませんが、ぶどうとなしの出てくる話は、思い浮かび
ません。  
すいかはあります。老人が、意地悪をした商人から魔法を使い、すいかを取り
上げてしまう話で、今昔物語にも出ています。しかし、いいですね、発想がユ
ニークで。むかし話をたくさん読んでもらっているのではないでしょうか。
 
いかがでしょうか。子どもたちは、こんなにたくさんの違いを見つけました。
これはたいへんな学習になっています。子どもの観察力や発想は、大人と違う
ことがよくおわかりいただけたと思います。繰り返しますが、×をつけて終わ
りでは効果的な学習とはいえません。子どもの考えに耳を傾け、そして最後に、
「果物と野菜」「季節の違い」など設問の意図に従い、正解に導いてあげましょ
う。
 
自転車とオートバイの違いを話す問題で、例によって、とことん、追求の目が
途絶えるまで、発表をさせたときのことです。
「仮面ライダーは、オートバイに乗るけど、自転車には乗らない」といったお
子さんがいました。その子は、「仮面ライダーは、オートバイに乗り、かっこよ
く出てくるけれど、自転車に乗って出てこない」といいたかったのです。その
日は、授業参観でしたから、お母さんは、赤面してうつむいてしまいました。
とかく私たち大人は、構造や原理の違いや用途などから考えますが、こういっ
た考えのできるのが子どもなのです。もちろん、エンジンと人力で走らせる違
いに導きますが、なぜ、そういった考えが出てくるのか、子どもに聞いてみる
と、実に傑作な答えが出るものです。その答えに妥当性があれば、そういう考
え方もあると認め、しかし、「この問題の本当の目的は」と順を追って話をすれ
ば、子どもたちは納得し、授業にのめり込んできます。
なぜでしょうか……。
それは、自分の考えを認めてもらえたからです。うつむいてしまったお母さん
と違い、お子さんは積極的に授業に参加し、楽しんでいました。
「お子さんの話に耳を傾けてください」とお願いしておきましょう。
 
このように、幼児の知識は、似ているところや違うところを見つけることから
始まります。物事の「類似差異」に気づかせることです。しかし、これを大人
が机の上だけで教えこむのは、お勧めできません。五感を働かせ、自分で学習
することが大切なのです。教え込まれることは、記憶に頼りますから忘れがち
です。五感で体験したことは、何かの思い出と一緒に身体が覚えますから、忘
れにくいのです。記憶は脳神経系の仕事で忘れることも仕事ですが、体験は中
枢神経系の仕事で、一度覚えると体が忘れないそうです。英単語は使わないと
忘れがちですが、一度自転車に乗れるようになると、しばらく乗らなくてもす
ぐに乗れるようになる、この違いだそうです。「幼児期には、五感に刺激を与え
る自然と接する機会をたくさん作り、話をはずませ、楽しい思い出を残してあ
げましょう」という理由は、ここにあるわけです。
 
[季節と行事に関する問題]
四季を代表する花や行事、春であれば、桜、たんぽぽ、チューリップ、おひな
さま、入学式、鯉のぼり、柏餅などを結びつけたり、年間の主な行事を1月か
ら12月まで絵カードで並べたりする問題です。暦の上では立春から春ですが、
幼児の世界では、春は3月、4月、5月、夏は6月、7月、8月、秋は9月、
10月、11月、冬は12月、1月、2月で教えてあげましょう。
 
変な話を聞きました。
「1月は正月・門松・たこ上げ・羽子板、二月は節分・豆まき・柊・いわしの
頭・鬼……」 
試験に出るから憶えるそうです。しかし、季節折々の行事は、知識として覚え
るものではなく、家族そろって楽しむものです。楽しんでいれば、覚えようと
しなくても、思い出と一緒に記憶されるものです。 記憶だけに頼ろうとする
と、「勉強、イコール記憶」となり、次第に苦痛になるのではないでしょうか。
学生時代に覚えた英単語、あんなに苦労したのに、どこへ消えてしまったのか
と、しゃくにさわりませんか。それでも、皆さんは目的を持って覚えたのです
から、苦痛にも耐えられたわけでしょう。
子どもたちには、「受験のため」といった自覚はないはずですから、やっかいな
のです。
 
そうはいっても、現代っ子は、正月に、羽根つき、たこ上げ、カルタ取り、す
ごろくなどをやっているでしょうか。
節分に豆まきをして、いわしを食べているでしょうか。
女の子のいない家で、ぼんぼり、ひし餅、わかるでしょうか。
端午の節句に菖蒲湯に入る子も、少ないでしょう。
七夕は、幼稚園での年中行事で済ませていないでしょうか。
迎え火、送り火、精霊流し、やらないでしょうね。
中秋の名月を、すすきとだんごをお供えして、眺めているでしょうか。
大晦日に年越しそばを食べているでしょうか。
そばより、ラーメンやスパゲッティかもしれません。
「……でしょうか」ばかりで、何やら、落ち込みそうです。季節折々の行事を、
祝わない家庭が、増えているのでしょう。
 
このような年中行事は、自然への感謝と家族の幸せを願い、とりわけ、子ども
の健やかな成長を祝う、一つの節目になっています。
たとえば、端午の節句、この言葉も「子どもの日」といわなければ、通じない
でしょうが、なぜ、鯉のぼりを飾るのでしょう。疑問に思わないようです、現
代っ子は。 なぜ、くじらやさめのぼりでは、駄目なのでしょうか。くじらは
大きく、さめは見るからに強そうですが、代役を務めることはできません。鯉
は、非常に生命力が強い魚ですから、鯉のように強くて、たくましい子に育っ
てほしいという親の願いがこめられているのです。五月晴れの空に、雄大に泳
ぐ鯉のぼりの姿、あまり見かけなくなりました。
 
こういった行事は、いってみれば「家庭の文化」ではないでしょうか。家庭の
文化は、ご両親が作るものです。子どもは、ご両親の作った文化の中で育って
いきます。ご両親が、季節折々の行事の意味を子どもに教え、一緒に祝い、楽
しい思い出として心に残してあげる。そのお祝いが、思い出が、子どもの情操
を培っていくのではないでしょうか。団地のベランダに、小さな鯉のぼりが泳
いでいると、「頑張っているな!」と声をかけたくなります。
 
小学校の入学試験に出るからといって、問題集で教え込み、ましてや記憶させ
るなどは、本末転倒な話です。なぜ、こういった問題が出るのでしょうか。学
校側も、知識として知っているかではなく、家庭の文化を見ていると思います。
季節折々の行事を楽しんでいれば、問題集は、チェックシートの役割をはたし、
知識の整理になります。幼児の学習は、知識を詰め込むのではなく、たくさん
の経験を積ませ、そこから得た知識、知恵であることが大切です。
 
私事で何ですが、当教育研究所で配信していますメールマガジン「さわやかお
受験のススメ 保護者編 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」では、季
節折々の行事の由来を説明し、それに関係のある昔話を紹介していますので、
お読みになっていただければ幸いです。
 
「春一番」は、立春後に初めて吹く南風ですが、気象庁は2月4日、北陸地方
に最速の春一番が吹いたと発表。豪雪に悩まされている地方に春一番、不思議
な気がしますね。英語では“The first spring storm”というそうですが、一
時、「センテンス スプリング」が吹き荒れました(笑)。メルマガが配信され
る頃には、吹いているかもしれませんね。
 (拙著メルマガ 「日本の年中行事と昔話」 16号より)
   (次回は、常識の問題(2)についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>お受験、少し怖いですね

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2020さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第16号
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お受験、少し怖いですね
 
[受験情報]
桐朋幼稚園
 2018年度より3年保育を開始、3、4、5歳児、各学年26名定員に、
2019年度からは3歳児のみの募集、従来40名募集でしたから狭き門になり
ました。
 
3年保育の幼稚園へ行かせるとなると、入園テストは、毎年、秋に行われてい
ますから、早生れの子は、2歳で受験です。
まさに受験戦争の低年齢化です。
たとえば、かつて皇室の方が通われていた学習院幼稚園ですが、定員、男女各
26名、計52名に対して約10倍の応募者があったそうですから、500名
前後の受験生が集まったことになります。
合格者は10人に1人、名門の幼稚園の倍率は、10倍前後と考えられますか
ら、大変な難関を突破しなければなりません。
 
受験を考えているお母さん方は、偏差値教育の洗礼を受けてきた、バリバリの
元受験戦士が多いと思われます。
すると、倍率から察して、「合格イコール、何でもできる、頭のいい子!」と考
えるのではないでしょうか。
大きな書店へ行くと、入園試験問題集が売られています。
「赤い花が、何本ありますか」
「赤い花と青い花ではどちらが多いですか」
などといった、いかにもテストらしい問題が掲載されています。
2、3歳の受験生ですから、試験の形式は、具体物や絵に描かれたものを使用
する口頭試問です。
こういった問題集を手に取ると、いきなり本番では、できるわけはないと考え
るのは当然でしょう。
 
さらに、幼稚園受験のための幼児教室もたくさんあります。
「○○幼稚園へ××名合格!」
などを見ればあおられます。
お母さん方の多くは、塾で鍛えられた経験の持ち主ですから、準備が必要だと
思わないわけがありません。
 
しかし、受験生は2歳、3歳の幼子です。
いろいろな能力の差など、はっきりと表れるものではないでしょう。
ですから、幼稚園で難しい試験をやるはずはありません。
なぜなら、子どもを見れば、どのような環境で育てられているかわかります。
子どもは、嘘をつきませんし、演技もできないはずです。
幼稚園側は、どういった子に育てられているかを知りたいわけです。
 
最近、電車に乗って感じるのは、しつけのできていない親子に会うことです。
お菓子を食べる子、走り回る子さえいます。
スマホを見ているお母さんは注意もしません。
お母さん方の名誉のために付け加えますが、本を読んであげたり、靴を脱がせ
て外を見させたり、混んでくるとお子さんをひざの上に乗せるお母さん方も、
たくさんいます。
普段のしつけ、生活習慣ではないでしょうか。
 
幼稚園の試験も、これだと思います。
字も読めない、書けない子どもの試験です。
試験は、遊びを通して行われています。
子どもの仕事は遊びですから、遊ばせてみれば、ほとんどのことはわかります。
例えば、遊びたいおもちゃが一つしかなければ、子どもは育てられている環境
で応えます。
お母さんのもとを離れて遊ぶ経験が少なければ、遊びに入っていけないでしょ
う。
答えは、すぐ出るのではないでしょうか。
テスト会場で、無心に遊ぶ子どもたちの一つ一つの動きから、表情から、無邪
気な反応から、笑顔から、ちょっと困ったなといった表情から、ご両親の育児
の姿勢が、はっきりと表れるものです。
過保護は過保護なりの、過干渉は過干渉なりの結果が、正直に顔を出します。
このことです……。
 
これは、受験準備のためだけに、無理やり培われたものではないはずです。
ご両親が手塩にかけて、大切に育ててきた根っこから芽生えた、小さな芽です。
そこを幼稚園は見たいのです。
無理に咲かされた花を見たいわけではないでしょう。
繰り返しますが、幼児期は花を咲かせるときではありません。
キチンとした花を咲かせるのに必要な、土台を作るときです。
促成栽培をすれば、たとえ花は咲いても、すぐに枯れてしまうでしょう。
自然に逆らっているからです。
 
そこを勘違いして、知識を詰め込む、いわゆる中高大の受験と同じような感覚
で準備をしたら、どうなるでしょうか。
子どもの体も頭も、まだ、そんな訓練に耐えるだけの発育をしていません。
 
入園テストの合否の比率は、親の面接8割、お子さんの成長度2割といわれて
います。
人間は、話をしてみるといろいろなことがわかります。
姿、形ではありません、人間性です。
学歴、職業、言葉遣い、服装などが合否のポイントなどといわれているのは、
単なるうわさに過ぎません。
ご両親の人間性です、育児の姿勢です。
今までの生きてきた姿が、取り組んできた育児の結果が全部、出ます、まだ中
間報告ですが。
絶対に、付け焼刃は効きません。
ご両親の育児の姿勢が、幼稚園の保育の方針と限りなく近く、共通認識があれ
ば、それが志望理由となり、幼稚園から歓迎されることになるのです。
直接、試験を受けるのは、お子さんですが、採点されるのは、ご両親です。
これが幼稚園の受験です。
 
そして、お子さんは、親のもとを離れて、生まれて初めて入った園舎で、初め
て会ったお友だちと一緒に、初めて会った先生のいうことを聞き取り、答え、
態度で表すといった入園テストを受けることになります。
自力で判断し行動しなければなりません。
こういった経験をたくさん積んでおかなければ、テキパキと対応できないでし
ょう。
ご両親には、志望される幼稚園の情報を的確に伝え、お子さんには楽しく受験
準備をさせてくれる、幼児教室選びのポイントは、ここにあるのです。
 
記憶だけに頼った知識の詰め込みなら、おもしろくありませんから、簡単に忘
れてしまうでしょう。
高校、大学と散々苦しい思いをして覚えさせられた英単語、役に立っています
か。
幼児には、五感を刺激する体験が必要です。
覚えた知識の量より、体験して身についた知恵の量です。
記憶したことは、忘れやすいものです。
しかし、楽しく体験したことは、体が覚えています。
自転車に乗れるようになると、しばらく乗らなくても、すぐに乗れるようにな
ります。
この違いです。
 
記憶は、大脳神経系の仕事です。
大脳神経は、覚えることも仕事ですが、忘れることも仕事です。
体験は、中枢神経系の仕事です。
中枢神経は、体が覚えたことを忘れません。
全身で学習しているからです。
 
幼稚園や小学校の受験、早期教育を含めて、ご両親が教育に対して信念といい
ますか、きちんとした考えをお持ちでしょうか。
言葉を代えましょう、将来、どういった道を歩んでほしいとお考えでしょうか。
そのスタートラインに立つのが、幼稚園の選択にあたるわけです。
 
なぜ、その幼稚園を選ぶのでしょうか。
ご両親の育児の姿勢と、選ばれる幼稚園の保育の方針に、矛盾はありませんか。
希望される幼稚園への合否の鍵は、ここあるのです。
通っていらっしゃる幼児教室で、こういった指導を受けていると思います。
次回から、幼稚園の保育方針について、説明会で伺ったことを中心に紹介して
いきたいと思います。
 
最後に、スマホについて気になることがあります。
ベビーカーで電車に乗っている若いママ、子どもが寝ているのならともかく、
目を開けてママを見ているにも関わらず、ベビーカーを無造作に前後に動かし、
スマホを見ているのは、どういった神経なのだろうと考えてしまいますね。幼
子からいろんなサインが出ているのに無関心。目を見てあげるだけでも、幼子
の心は落ち着くものです。人混みに出ると幼子の繊細な神経は、かなり不安に
なっているものです。小学生のお母さん方にも、「子どもの見ている前でスマホ
を見るべきではない」と注意しています。ママに無視されていることは、不安
であるばかりか、非常に辛いものだと、本気で考えてほしいですね。
 
次回から、応募者の多い幼稚園の保育方針をお話しましょう。
(有名幼稚園の保育の方針 1)

さわやかお受験のススメ<保護者編>第5章(1)雛祭りとお彼岸ですね 弥生

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2020さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第16号
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第5章(1) 雛祭りとお彼岸ですね  弥 生
                   
暦の上での春は、三月からです。
物の本によると、「春」の読み方は、万物が「発(は)る」(発する)からとい
う説が有力ですが、草木の芽が「張る」、天候の「晴る」、田畑を「墾(は)る」
などの説もあるそうです。
弥生(やよい)のいわれは、この頃になると、草木がいよいよ生い茂ることか
ら、「草木がいやおい茂る月」が詰まり、「弥生」になったといわれています。
 
★★五節句のおもしろい特徴★★
三月といえば、何といっても雛祭りです。雛祭りは、いうまでもなく女の子の
節句です。        
節句は一年間に五つあるので五節句と呼ばれ、正しくは「神と一緒にあること
を表す節供」だそうですが、ここでは使い慣れている節句としました。
 
五節句を決めたのは江戸幕府で、古来、宮中で行われてきた年中行事から五つ
選んだものです。
一月七日は人日(じんじつ)、陰暦の正月七日のことで、七草粥を食べる日から
別名「七草の節句」。
三月三日は上巳(じょうし)、お雛さまを飾る日から別名「桃の節句」。
五月五日は端午(たんご)、鯉のぼりや兜を飾り立身出世を願う尚武が転化して
別名「菖蒲の節句」。
七月七日は七夕(しちせき)、夏の風物詩、七夕飾りをする「七夕の節句」、別
名「笹の節句」。
九月九日は重陽(ちょうよう)、陰暦九月九日の節句で、九は陰陽道では陽の数
とされ、これを二つ重ねた日にあたるので「重陽」といい、別名「菊の節句」
ともいわれています。
五節句は奇数日で、人日を除くと同じ数字が重なっていますが、これも何か意
味がありそうです。
 
 暦の中で奇数の重ねる日を取り出し、奇数(陽)が重なると陰になるとして、
それを避けるための避邪(ひじゃ)の行事が行われ、季節の旬の食物から生命
力をもらい、邪気を払うという目的から始まりました。 
(http://iroha-japan.net/「日本文化いろは事典」より)
 
七草粥には、ご馳走を食べ過ぎた胃を調整する薬草が入っています。
桃の葉は、薬草です。
菖蒲の根を細かく刻んで造った酒は、邪気を払い万病に効くといわれています。
淡竹(はちく)、真竹(まだけ)は竹葉(ちくよう)という生薬で解熱、利尿作用
があります。
菊は、長生きの薬といわれています。
五節句に登場する植物は、すべて薬用で、当然のことですが、やはり意味あり
でした。
 
「私達の先祖は、薬品を食品化することで、まず日常の食事療法をやり、さら
に労働スケジュールに合わせて、その時期にいちばん必要な薬物を年中行事化
することで、魔除けや信仰として摂取し、健康体を維持できるように、実に巧
妙といっていい、健康管理を行っていたのである。」
(「梅干と日本刀」 日本人の知恵と独創の歴史 樋口清之 著 祥伝社 刊 
P131)
 
五節句は農業スケジュールに合わせて作られ、その時の飲食物は全て薬品なの
です。昔は病気になってから治療するのは大変でしたから、病気を予防するた
めの知恵でもあったのです。当時の農作業、米作りは人海戦術で、病気をする
と労働力が減り、お百姓さんにとっては一大事でしたから納得できました。
ところで、「怠け者の節句働き」といい、怠け者をあざける言葉があります。節
句の日には仕事を休み、神さまにお願いをする慣わしがありましたが、普段、
怠けていると、この時も田畑で仕事をしなくてはならないことから生まれた言
葉です。農作業は、一日も手抜きができない厳しい作業環境でもあったわけで
す。
 
★★雛祭り★★
昔のお雛さまは、今のように立派な飾りものではありませんでした。子どもが
病気にかかると、新しい雛人形を川へ流して、病気が体の外へ逃げていくよう
に、悪いことが起きないようにと、お祈りをしました。流し雛です。
 
 室町時代、紙で作った人形(ひとがた)で体をなでて穢れを移し、川や海に
流すことで無病息災を祈った「流し雛」という風習と、ひいな遊び(人形遊び)
とが結びつき、貴族の間で人形を飾り、祀(まつ)るようになったと考えられ
ています。
(http://iroha-japan.net/ 「日本文化いろは事典」より)
 
子どもの頃に見た覚えがあります。米俵の両端にあるわらで編んだ丸いふた「さ
んだわら」(東京では「さんだらぼっち」)の上に、紙と土で作った雛人形を、
あられや菱餅、桃の花と一緒にのせて川へ流したもので、今のように部屋に飾
って祝うようになったのは、徳川家康の孫の東福門院が、子どものために作っ
た座り雛が、その始まりといわれています。
 
 東福門院は、名を和子(まさこ)―彼女は徳川二代将軍秀忠の娘として生ま
れた。徳川幕府の婚姻による朝廷懐柔策のため、元和6 年(1619)に、14
歳で後水尾天皇の中宮として入内し、3年後に皇女興子(おきこ)が生まれた。
(中略)寛永6年、幕府と朝廷が反目するなかで起こった紫衣事件および春日
局事件のため、後水尾天皇は、譲位を決意(中略)、6歳の興子内親王(明正天
皇)に譲位され(中略)、平安時代以来絶えてなかった女帝の出現である。中宮
和子は興子が健やかに育ち、美しい花嫁になって嫁ぐ日を夢見ていたのだが、
天皇になってはもはや結婚できないであろうと、興子の幸せを夢に描いた押絵
の掛軸を作った。モデルは美女の代表・小野小町と美男として名高い在原業平
という夫婦の座り雛である。(中略)それが現在の雛のはじめといわれている。
(年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P72-73)
 
少し解説を加えますと、秀忠の妻、江(ごう)は、織田信長の妹、お市の方の三
女、長女、茶々は秀頼の母淀君、次女の初は京極高次の妻。
入内とは、中宮、皇后などが正式に内裏へ参内すること。
紫衣(しえ)事件とは、僧侶が勅許により着ることを許される紫衣を幕府が授受
を規制する制度を設け、後水尾天皇が許可した大徳寺の沢庵和尚などの紫衣の
着用を無効にした事件。
春日局事件とは、家光の乳母お福は、天皇や皇后に謁見できない身分にもかか
わらず、中宮和子に会うため強引に参内、中宮から「春日局」という局号を授か
った事件。
押絵とは、羽子板にみられるように、花鳥、人物などを厚紙でかたどり、きれ
いな布でくるみ、中に綿を詰めて高低をつけ、板などに貼り付けたもの、掛軸
の雛は、向かって左に業平、右に小町が描かれています。
 
雛人形の始まりが、美男、美女の代表であるとは、いかにもお雛さまらしいで
すね。雛人形が飾られるようになったのは、文化文政時代を経て天保(1830)
の頃からで、宮中から武家社会、裕福な商家や名主の家庭、そして町人社会へ
広まり、現在のような豪華な雛壇が作られるようになったのです。
 
平成21年のNHK大河ドラマは「天璋院篤姫」の原作者、宮尾登美子さんの
作品に、お雛さまの始まりとなった中宮和子を描いた「東福門院和子の涙」が
ありますが、紫衣事件や春日局事件の経緯、内裏と大奥の習慣の違い、京都と
江戸の文化の違いに苦労された和子の姿が、侍女の目を通して冷静に描かれて
います。
「天璋院篤姫」では、その苦労を皇女和宮が味わうことになり、従来、天璋院
は和宮の姑の立場から意地悪姑と捉えられがちでしたが、女性の眼から見た徳
川幕府の崩壊していく様子を描く優れた歴史小説で、二つの作品を読むと、朝
廷と幕府の関係、やがて迎える明治維新の火種が、徳川幕府初期の頃から、随
所にまかれていることもわかります。篤姫が慶喜を嫌った理由も納得でき、な
ぜか、この年から大河ドラマを見ることになってしまいました(笑)。
 
22年の「龍馬伝」は、「天璋院篤姫」の後半の世界と重なり、「篤姫」と同様、
最後まで見ましたが、関が原の一戦で敗れた島津、毛利の両家の祖先の怨念が、
勝者の徳川家を倒した戦いで、「国を変える」と叫び走り続けた竜馬が、歴史の
波に押し流され舞台から消えた後に明治維新がなり、再び天皇家が政治の表に
登場し、損をしたのは会津藩の松平家であったわけです。坂本竜馬と高杉晋作
は、幕末が生んだ異才児、壮絶な生き方がいいですね。
 
23年は、秀頼に嫁いだ千姫、三大将軍家光、次男の忠長、女帝興子の母であ
る和子の母君を主人公にした「江」でした。姉の茶々、淀君は豊臣家に、妹の
江は徳川家に嫁ぎ、姉妹の母親であるお市の方が前田家に殉じたように、淀君
は秀頼と共に世を去りますが、江は三度も結婚し、女帝の祖母にもなる波乱万
丈の生涯を送ります。天下布武を旗印に基礎を作ったのは信長、統一したのは
秀吉、磐石の体制を作り治めたのは家康ですが、織田家の血が脈々と流れてい
るのには驚かされますね。原作、脚本は「天璋院篤姫」を手がけた田淵久美子
さんで、史実と違った解釈が、なぜか新鮮な感じがして、これまた最後まで見
るぞと意気込んでいましたが、江も秀忠も立派過ぎて、途中でリタイアしまし
た。諸田玲子さんの「美女いくさ」(中央公論社 刊)と同様、江のキャラクタ
ーを変え、信長、秀吉、家康、秀忠の果たした歴史的役割も、簡潔に整理され
ていましたが、永井路子さんの「乱紋」(文春文庫 刊)、澤田ふじ子さんの「無
明記」(「寂野」に収録 徳間文庫 刊)、テレビでも放映されましたが大胆な発
想に度肝を抜かれた隆慶一郎の「影武者徳川家康」(上中下 新潮文庫 刊)な
どの作品に感化され、なじめなかったためでした。
 
余談になりますが、江の長女、秀頼の正室である千姫を主人公にした澤田さん
の「千姫絵姿」(新潮文庫 刊)は、女性でなくては書けない傑作で、「吉田御
殿の魔女」などおもしろ、おかしく伝わる話と違い、納得できる人物として描
かれた傑作です。その千姫の墓は、左甚五郎が魔除けのために置いた「忘れ傘」
でも知られる、知恩院にあります。
 
ここまで篤姫から始まった大河ドラマは、何らかの関係があったのですが、2
4年は趣向が変わり「平清盛」、久しぶりに骨太の歴史物語を楽しみましたが、
視聴率はあまり芳しくなかったようです。余談になりますが、宮尾登美子さん
の「平家物語」は、文庫本1冊あたり約550ページで4巻の大作、創作意欲
に圧倒されるばかりでした。
 
そのためかどうかわかりませんが、25年は「八重の桜」で、再び篤姫の時代
に戻り、会津藩が登場しました、松平容保です。澤田ふじ子さんの作品に、薩
摩藩と会津藩の怨恨、うらみつらみの凄まじさを書いた「葉菊の露」(上下 中
央文庫 刊)があり、どうしても悲劇的な物語になりがちですがさらりとかわ
し、「幕末のジャンヌ・ダルク」の時期はテンポもよく面白かったのですが、新
島襄と出会い同志社大学設立の頃からまどろっこしくなり、美形の八重さんで
は無理でしょうが「天下の悪妻」といわれたイメージもなく、「日本のナイチン
ゲール」まで印象付けることはできなかったようです。収穫は、八重さんが日
本で初めてプロテスタントの結婚式を挙げられたことでした(笑)。
 
26年は「軍師官兵衛」、信長、秀吉、家康の時代へ逆戻り。官兵衛がみた3人
の英雄を、それぞれの役者が見事に演じ見応えがありました。「織田がつき 羽
柴がこねた天下餅座りしままに食うは徳川」といった狂歌がありますが、まさに
その通りの展開でした。寺尾聰の扮した家康、父親の名優、宇野重吉に似てきま
したね。イスラム国のテロ事件、宗教が争いの元だけに悲惨ですが、日本でこの
種の争いが起きにくいのも、誤解を恐れずにいえば、3人の合作した天下餅によ
るところが多く、政教分離の発端となったのが信長の比叡山の焼き討ち、後を継
いだ秀吉が検地と刀狩で武士と農民を分け米による国家経済の基礎を固め、家康
が士農工商の階級を作り、禁中並公家諸法度などで天皇と公家を政治から切り離
し、武士が天下を支配する徳川幕府が誕生、まさに信長の構想であった「天下布
武」が実現したわけです。
 
27年は、再度「篤姫」の時代に戻り、徳川体制が崩れ大政奉還後の文明開化
に至る過程を描く「花燃ゆ」、吉田松陰は絵になりにくく、かったるい気持ちで
見ていましたが、「おもしろきこともなき世をおもしろく すみなすものは心な
りけり」と詠んだ高杉晋作に何とか、といっても姿を消した後はやはり面白く
なかったですね。真央ちゃんは頑張っていましたが、笑顔が素敵なだけに、も
う少し生かした演出ができなかったかなと、無責任な一視聴者のグチですが
(笑)。
 
28年は「真田丸」、池波正太郎の「真田太平記 12巻」(新潮文庫 刊)では、
真田一家、父昌幸と信幸、信繁(幸村)兄弟が結束した戦いを通して、家康が
いかにして天下を取るかが描かれており、「官兵衛」と同様、家康の役は難しく
どう演じるか、期待しながら見ました。今まで見た秀頼は、過保護で頼りない
若者が定番でしたが、今回は家康が恐れた若武者になっており納得。幸村は、
安居神社の境内で討ち取られた説が有力のようですが、活躍した猿飛佐助に、
最後を委ねたのが印象に残りました。蛇足ですが、淀君、あまりにもスマート
な美形で、びっくり(笑)。
 
29年は「おんな城主 直虎」、子役が素晴らしく、実際に髪を切ってしまうな
ど、役者根性の据(す)わった「おとわ」役の新井美羽ちゃん、将来が楽しみ
ですね。今川義元、春風亭昇太師匠とはわかりませんでした(笑)。井伊家、今
川家、登場人物にあまり馴染みがないだけに、相関図を頼りに見ていましたが、
後半は、よく知られている話となり、楽しめました。市川海老蔵の信長、迫力
があり、柴咲コウさん、美しい方でした(笑)。
 
昨年は「西郷どん」、原作は林真理子さん。司馬遼太郎の「翔ぶが如く」でイメ
ージが出来上がってしまっているので、どうなるかと思いましたが、西郷を取
り巻く女性軍が新鮮で楽しめました。いつも思うのですが、子役、上手いです
ね。今回も感心しました。奄美出身の友人がいますが、方言、聞いていてもわ
かりませんね。日本語に日本語のテロップ、傑作でした。
 
今年は「いだてん」、早くも10%を切ったとか。テンポが早く、展開も明治に
なるなど、複雑で、年寄りにはついていけません。よく理解できないで見てい
ますが、ギブアップしそうです(笑)。それにしても綾瀬はるかさんの身体能力、
抜群でびっくり!
 
ところで、徳川家の家紋は、水戸黄門の印籠でおなじみの葵ですが、三代将軍
家光の乳母、春日局の生涯を描いた澤田さんの小説「江戸の鼓」の中で、その由
来が明かされています。
 
 葵紋は京都、賀茂神社の神紋。同社は遷都以来、天皇に敬われ、伊勢大社を
もしのぐ大社になり、その神文は尊く、天皇家すらはばかりを持つようになっ
た。徳川家康がこの葵紋を家紋に決めるについては、かなりの政治性がうかが
われる。単に徳川家の遠祖松平氏が、賀茂神社の氏子で、賀茂信仰によるもの
だとはとても考えられない。天皇家をもはばからせる政治的権威の必要からだ
ろう。
(江戸の鼓 春日局の生涯 澤田ふじ子 著 徳間書店 刊 P102)
 
「天皇家をもはばからせる(遠慮させる)」のが、家康の野望であることがわかり
ます。歴史に「イフ」はありませんが、もし、中宮和子に授かった高仁親王が
順調に育っていれば、公武合体は成立し、畏れ多くも天皇家に織田家と徳川家
の血が流れ、明治維新は違った形で回天したのではなかったでしょうか。
そして驚いたのは、現在の雙葉学園の前身である「雙葉会話女学校」は、学校が
創設された赤坂葵町の葵にヒントを得て校名とし、一本の茎の先に二枚のハー
ト型の葉をつける「ふたば葵」の図案を校紋としたことでした。キリシタンを
禁止し迫害した徳川家と同じ紋、そして学園は江戸城外堀に面した四谷門の跡
に、何とも不思議な気がしますね。
 
またしても余談になりますが、宮尾さんと澤田さんの著作には、いつも頭の下
がる思いで読んでいますが、十二代市川團十郎が亡くなった時、父である十一
代團十郎をえがいた「きのね」を再読しましたが、奥方の壮絶な生きざまを、
ここまで赤裸々に描いた宮尾さんの作家魂には、寒気を覚えるほどでした。作
家、檀一雄の娘である檀ふみさんの解説もすばらしく、一読をお勧めしたい一
冊です。なお、十二代市川團十郎が亡くなったのは、平成25年2月3日でし
た。
 
話を本題に戻して、雛壇には、お内裏さま、三人官女、五人囃子、左大臣、右
大臣、おかしな顔をしている三人仕丁(じちょう―雑役係)、菱餅、あられ、白
酒、桃と橘の花に、いろいろな生活用品が飾られています。女の子が、やさし
いよい子に育って、幸せになるようにとお願いする日ですから、飾りものも女
性ムードいっぱいで、夢があります。人形が主役ですが、下の方に飾ってある、
あのゴタゴタとした所帯道具も、いいではありませんか。タンス、鏡台、長持
ちから牛車、駕籠(かご)までそろえているのもあります。新婚さんの望まし
い嫁入り道具一式で、昔の女の子が描く幸せな青写真を、雛壇で表しているよ
うな気がして、ほほえましくなります。
左大臣、右大臣は、永田先生の説に従えば、左近衛大将、右近衛大将ですが、
童謡「たのしいひなまつり」に親しみがあるので、歌詞の表記に従いました。
 
★★男雛と女雛、右ですか、左ですか?★★
女の子がいない家庭では見られませんが、デパートに行くと、豪勢なものが飾
ってありますから見てほしいのです。地方によって、男雛と女雛の位置が違い
ます。東京など関東地方では、男雛が右側(向かって左)に、女雛は左(向か
って右側)に飾りますが、京都や奈良の関西地方では、男雛が左で女雛は右と、
逆に飾ってあります。
関東方式は、昔中国では、「右がすぐれている」という考えがあったからです。
右には「貴い」、「尊敬すべき」、「大切な」など、左には「卑しい」、「低い」、「正
しくない」などの意味があり、「右腕」や「右に出る」、「左遷」や「左前」は今
でも使っています。ところが、唐の時代に左右が逆転し、左上位になったので
す。
 
 日本の文化は唐の影響を受け、平安時代に確立した日本の制度は左優先とな
った。左大臣は右大臣より上席であり、左近衛大将は右近衛大将より上級であ
る。(中略)左上位は唐から宋へ受け継がれたが、元の時代に逆転し、明清の時
代に再々逆転し、左上位の順位が引き継がれている。  (年中行事を「科学」
する  日本経済新聞社 刊 P75)
 
もっとわかりやすいものがあります、結婚式の披露宴を思い出してください。
新郎は向かって左側に、新婦は向かって右側に座っていますが、これにも確か
な意味があります。日本の結婚式は、昔から男子が家を守っていく、男子優先
で行われてきたからです。関西方式は、天皇家と関係があります。
 
 天皇は、『天子南面』という言葉が示すように、紫宸殿の玉座に北を背にし、
常に南の方
をむいて座られた。すると、天皇の左手が東、右手が西にあたる。昔は日の出
る東が月の
沈む西より上と考えられていたから、内裏様を左に飾った。したがって、大臣
も左大臣が
上席となっている。
 (日本の年中行事百科 2 春 民具で見る日本人の暮らしQ/A P25
   監修 石井 宏實 河出書房新社 刊)
 
面白い話があります。太平洋戦争終了後、日本を占領した国際連合軍の中で、
いちばん偉かったダグラス・マッカーサー元帥が、「男雛は向かって右、女雛は
向かって左にしなさい!」と命令したそうです。アメリカやヨーロッパでは、
レディー・ファーストの考えがあるからだと思っていたのですが、ことの起こ
りはヨーロッパで、騎士が戦うときには右手に剣を持ち、左手で婦人を抱える
ことから、左優先になったそうです。
 
ところで、今はどうかわかりませんが、歴史の教科書に、昭和天皇がマッカー
サー元帥を訪問した時に撮った写真がありました。その位置ですが、元帥は向
かって左にいて、「わしの方が偉いのだ」という印象を与えています。この写真
を見て、明治生まれの親父は、怒りをあらわにしたものですが、その理由は8
月にお話します。
元帥自身が認めたように極東国際軍事裁判(東京裁判)は、大きな汚点となり
ましたが、更に恐怖を覚えたのは、アメリカの上層部は、3発目の原爆投下の
目標は京都であったために、空襲を禁止し温存を図った話であり、奈良は軍事
目標がないために後回しになった話でした。
こうした経緯があり、古都の文化はかろうじて守られたわけですが、脈々と続
いてきた日本の歴史、文化を知り、私たちは誇りを持って子どもたちに伝える
べきではないでしょうか。
建国記念の日で紹介しましたが、西暦2019年は、日本の皇紀、紀元二千六
百七十九年になります。
 
最後に、「春一番」は立春後に初めて吹く南風ですが、気象庁は2月4日、気温
が上がった立春の日に、北陸地方に最速の春一番が吹いたと発表。昨年はバレ
ンタインデーでした。
 
1959年に民俗学者の宮本常一が「春一番」という言葉で、気象現象を解説
したことから、新聞などで使われるようになったそうです。その後、広く一般
でも使用されるようになり、今では気象用語になりました。
    (「昭和のこころ」 日本の年中行事 So-net ブログより)
 
ちなみに、関東地方で最も早かったのは昭和63年2月5日、最も晩かったの
は昭和47年3月20日だそうです。今年は寒かっただけに、待ち遠しいです
ね。春一番、英語では“The first spring storm”。そういえば一時、「センテ
ンス スプリング」が吹き荒れていましたね(笑)。メルマガが配信される頃に
は、春一番、吹いているかもしれません。
 (次回は「ひな祭りの2と桃源郷」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[4] 数量に関する問題(3) 

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第32
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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★★入試問題を分析する★★  [4] 数量に関する問題(3)
     
[相談会情報]
 千葉県私立小学校フェア
  日 時 2月24日(日) 9:40~13:40
  場 所 昭和学院伊藤記念ホール
      参加校、イベント、スクールバスの時刻など、詳しくはホー
      ムページをご覧になってか  らお出かけ下さい。
      今年も13:40までです。
各校のミニ講演会、昭和学院小学校がトップで9:40から、10:40
の暁星国際の田川茂学園長の話、今年も楽しみにしています。
 
[量の問題]
辞書を引くと、「計って決められる、かさ、容積、軽重、大小、多少等」(「岩波
国語辞典」より)とありますが、これに、ひもや鉛筆、国旗を掲揚するポール
などの長短を加えれば、入試に対応できるでしょう。
 
また、実験です。
同じ形をした容量も同じコップを2個用意し、ジュースを片方に少し多めに入
れておき、「多い方、飲んでも、いいですよ」といったとき、サッと多い方に手
が出れば、量に関する理解力も順調に発育しています。数と同じように、直感
で見分けられることが大切です。「直感力は、経験を積み重ねて培われる力」で
あることを忘れないでください。
 
こういった問題があります。
 
(形も、大きさも、高さも、底面積も違うコップが3つ並んでいて、それ
ぞれに、水が入っている絵がある)
◆水が、一番たくさん入っているコップに〇を、一番少ないコップに×
をつけなさい。
 
これは難しいですね。
ほとんどの子ども達が、たくさん入っているように見える底面積の狭い、細長
い背の高い形のコップに〇をつけ、少ししか入っていないように見える底面積
の広い、横幅の広いコップに×をつけがちです。かさのある方が、たくさん入
っているように見えるからですが、これも実験するしかありません。
 
上の条件に合った3つのコップと同じ形のコップ3個、お茶など色のついてい
る水を用意し、同じ形のコップ3つに同じ量だけ水を入れ、入っている水の量
は同じことを確かめさせてから、条件の違うコップに、それぞれ入れ替えてみ
ます。
底面積の広いコップと狭いコップとでは、明らかな差がでますが、入っている
水の量は全部、同じです。         
 「不思議だな、お母さん。どうして、こうなるの?」
底面積が広いほどたくさん水が入る、容量も大きくなることを説明してあげま
しょう。
これは「量の保存」といって、見た目は変わっていても、元々の量は保存され
ているからですが、「数の保存」と同様、言葉を教えることはありません。
       
このような問題もあります。
 
(3つのコップの中に、大きさの違う丸いガラス玉が、1つずつ入って
いて、コップの水の量は、みんな一緒になっている絵が描いてある)
◆この中で一番たくさん水が入っているコップに〇、一番少ないコップ
に×をつけなさい。
 
これなどは、子どもは見ているはずです、おふろに入ったときです。
 「お父さんが入ると、どうして、お湯があふれるのかな?」
 「……かな?」というアンテナを張っている子は、すぐわかります。
 
量も直感で多少を判断し、難しい問題は、必ず、実験で確かめることです。
これが、小学校へ入ると、リットル、デシリットルと正確に量を計る勉強に進
んでいくわけです。
ボールなどの大小、ひもなどの長短、旗を立てたポールの高低も同じです。や
はり、見た感じ、直感力で判断できることが大切です。
その違いを見極める力が、センチメートル、メートル、キロメートルと、正確
に長さを計る勉強に、軽重は、グラム、キログラムと量を正確に計る勉強につ
ながっていくわけです。
 
[重さ比べ]
しかし、軽重、重さ比べは、直感で判断するのは難しいでしょう。
しかも、問題集だけで教えると、幼い推理力では、混乱しがちですから無理は
禁物です。
 
こういった問題です。
 
(パンダとくまとうさぎが、シーソーにのっている絵があり、パンダとく
まではパンダの方が下がり、くまとうさぎではくまの方が下がっている) 
◆一番重い動物に〇、一番軽い動物に△をつけなさい。
 
重さ比べの定番的な問題です。
 「パンダとくまではパンダが重く、くまとうさぎでは、くまの方が重い。故に、
パンダが一番重くて、うさぎが一番軽い」と説明しても無理でしょうね。
 
まず、3つの重さの違うものを手に持って、重さの順番に並べてみます。
できれば、天びんばかりを作り、手で持って判断したものと、合っているかど
うかを確かめるとわかりやすいはずです。
  AとBを比べるとAが重い。 A>B
  BとCを比べるとBの方が重い。 B>C
  ここでAが一番重くて、Cが一番軽いことがわかります。 A>B>C
しかし、BとCを比べてCの方が重かったら、AとCを比べて決着をつけます
から、これが面倒です。
さらに、比べる物が4つ、5つと増えてくると、難しくなります。
1つ1つ、順番に比べて、納得できるまで、根気よくやることです。
 
その納得させる方法ですが、軽重を勝ち負けに置き換えると、子どもは興味を
示します。
パンダとくまではパンダが重いからパンダの勝ちで○、くまは●。
くまとうさぎでは、くまの方が重いからくまの勝ちで○、うさぎは●。 
最後に、パンダとうさぎは、パンダの勝ちで○、うさぎは●。    
結果は、パンダは○○で2勝、くまは○●で1勝1敗、うさぎは●●で2敗。
好奇心を刺激してあげる、遊びの中での学習ですね。
 
おもしろい子がいました。
パンダ、コアラ、リスの3匹が重さ比べをする問題です。
 「パンダが2回下がって、リスが2回上がっているから、パンダが一番重くて、
リスが一番軽いのです」 
お母さんに教わったそうです。理屈はそうですが、こういう教え方は、どうで
しょうか。シーソーの上がり下がりだけ見て判断するのは、直感力ではなく、
受験用のテクニックですね。
 
 「そうか、こうだな! こういうこともいえるぞ!」
1つ1つ比べ、試行錯誤を積み重ねて、自分で見つけたのであれば問題ありま
せん。考える力もつき、考える楽しさも学習しているからです。出発点で楽を
すると、応用力は身につきませんし、小さいときから、簡単に答えだけを見つ
ける訓練は、やるべきではありません。
 
簡単な問題から難しい問題へ、ステップをきちんと踏んでいくことが大切です。
そして、正解であれば○を付け、それで終わらせずに、比較する段階を言葉で
いえるようにしておきましょう。言葉で表現できる、これは、とても大切なこ
とです。きちんと理解できていれば、説明も適切なはずですから、発表力も身
についてきますし、それが個別テストや行動観察のテストに対応できる力を身
につけることにもなっているからです。
 
[空間の問題]
図形は、[6]の構成力で触れることにして、最後に、空間について説明しまし
ょう。
これも難しいです。
 
上下、左右、前後の関係です。 
前後は、幼稚園でも整列することで学んでいますから、わからない子は、あま
りいないようです。  
こんな問題があります。
(各階に5つずつ部屋がある5階建てのマンションが描かれている)
◆キリンさんは、三階の左から三番目のお部屋です。キリンさんのお部
屋に○をかきましょう。         
 
子ども達には、上下は何とかなるのですが、左右が難しいですね。
年長になっても、左右の区別のおぼつかない子が、かなりいます。
左の薬指にピンクのリボンつけていた女の子がいました。
 「先生、こっちが左ですよね!」
かわいいではありませんか。お母さんの工夫した、やさしい気遣いが伝わって
きます。           
                                  
左右の確認がきちんとできてから、問題集に取り組みましょう。
基本的な準備をせずに、プリントだけで「左から……、上から……」とやると
混乱しがちなのです。
 
□□□□□  こういった図を描いて、一番下、下から2番目(上から2番目)、
□□■□□  一番上、左から(右から)何番目、左端、右端を確かめましょう。
□□□□□
少し難しいかもしれませんが、下の図のように、■を中心に左右、上下、左斜
め上、左斜め下、右斜め上、右斜め下を確認しておきましょう。  
□□□
□■□
□□□
 
幼児の学習は、生活と結びついていると、スムーズに対応できるものです。  
生活に必要なものであれば、喜んで挑戦するはずです。お手伝いをさせながら、
学習できることがあります。          
たとえば、お子さん用の整理ダンスを利用して、たたんだ洗濯物を入れさせま
しょう。                 
「ハンカチは、一番上の左から二番目に、シャツは、上から三番目の右端にし
まってください」
女の子であれば、お母さんの手伝いをしながら整理の仕方を学ぶこともできま
す。
 
まだあります。毎日、幼稚園へ行くときに握手をしましょう。
 「右手で握手!」といって、さっと右手を出してみましょう。
お子さんも右手でなくては握手できません。
間違えたときに、こっちが右手であると学習できます。
今日は右手なら、明日は左手と続ければ、いつのまにか習慣になります。 
 「サユウベンベツ(左右弁別)?」
大人でも首を傾げるような言葉を使っていると、混乱するだけでしょう。
 
幼児の学習は、生活の中で、楽しみながら身につけていくことが大切です。 
 
寒い日が続いていますが、お子さんは元気に幼稚園、保育園へ通っていますか。
川越はほとんど積もりませんでしたが、近くの公園の砂場を覆ったシートには、
積もった雪が溶け、氷が張っていました。手を真っ赤にした子どもたちが、面
白そうに遊んでいましたが、3人ほどしかいません。小学生はもっといるはず
なのですが、暖かい部屋でゲームをやっているのでしょうか。「子どもは風の子」
ではなくなっているようです、残念!
お子さんは、いかがですか。
   
(次回は「常識の問題」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>四季を楽しんでほしい(2)

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2020さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第15号
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四季を楽しんでほしい(2)
 
南禅寺の掲示板の説教詩に、こういったものがあったそうです。
「そうです」と他人事のようで申し訳ないのですが、評論家、佐高信氏の作品
の中に紹介されていたからです。
    花は黙って咲き
    黙って散っていく
    そうして再び枝に帰らない
    けれどもその一時一処に
    この世のすべてを托していく
    一輪の花の声であり
    一枝の枝の真である
    永遠にほろびぬ命のよろこびが
    悔いなくそこに輝いている
(講談社文庫「官僚たちの志と死」〈P148-149〉佐高 信 著 講談社 刊)
 
食卓にのった1匹の魚もそうです。
人間に食べられるために生きているわけではないでしょうに、何もいわずに、
黙って食べられています。
人間は、魚の世界では殺魚犯ですよ。
しかし、敵討にきません。
万物の霊長などと、何とも傲慢な考えでしょう。
感謝する気持ちを持たないと、罰が当たります。
私たちの生命、他の生き物の献身的な支えによって、何とか守られているので
す。
謙虚にならないといけないのではないでしょうか。
生命、無駄にできません。
 
「蓮如 われ深き淵より」や「親鸞」などの作品を通して、宗教の世界をやさ
しく説いてくれる五木寛之氏は、こうおっしゃっています。
 
 私たちは、いわしやさんまを食べるとき、うまいと思う反面、人間は何と
酷な生き物だろう、お許しくださいと無意識のうちに考える感覚がどこ
かに残っている。しかし、ハンバーガーを食べているときは、そういった
感覚はほとんどない。ましてやカロリーメイトだったりすると、まったく
ありません。食生活がバーチャル・リアリティ化している。その結果、私
たちはまだしも、子供たちは、食生活の上でも、生命の重さとそれを消費
して生きている自分という存在の残酷さを実感するチャンスがなくなって
います。      (「他 力」五木寛之 著 講談社 刊 P144)
 
厳しさもあります。
鮭の回遊です、海亀の産卵です。
きちんと季節を守って、遥か彼方の太平洋の海の底から、やってきます。
横着な鮭や海亀は、いるのでしょうか。
みんな必死です、生命をかけています。
子孫を残すためと考えているかどうかはわかりませんが、頭が下がります。
卵を産むときの鮭の顔、見たことありますか。
すごいです、恐いです。
海亀のお母さん、泪を流しながら卵を産んでいます。
種族保存の本能、と軽薄に片付けるわけにはいかないでしょう。
感動します、感激します。
人間も、きっちり生き抜かなければいけません。
 
ちょっと、顔が赤くなりますが、もう少しです、我慢してください。
季節は、いってみれば自然界の生命の変遷、そのものです。
生者必滅を、きっぱり、静かに、はっきりとみせています。
学ぶべきことが、たくさんあります。
幼児期には、難しい理屈はいりません。
五感で感じる感性を大切にしてほしいと思います。
季節折々の変化を、きちんと目に収め、音色やさざめく音を耳で聞き取り、生
命の息吹や香りを鼻でかぎとり、旬のものを口で味わい、感触を手で確かめ、
肌で、体で、心で感じ取ってほしいのです。
 
幼児期は、花を咲かせるときではありません。
大きくはばたくために、しっかりとした根を張るときです。
その根っこに、成長に必要なエキスを、たっぷり注ぐときです。
そのエキスは、知識を詰め込むことではありません。
好奇心や、疑問の目を育てることです。
「何だろう、これ?」
ここから、知ろうという気持ちがわきます。
意欲です。
やる気です。
幼児期は、これらを育てる時です。
 
ですから、机の上で、記憶に頼って、頭にだけ知識を叩き込むときではありま
せん。
人より一歩先んじて、知識を身につける、たとえ、加減乗除ができても、漢字
の読み書きができても、それを日常生活で使えなければ、どれだけの意味があ
るのでしょうか。
目先の成果だけを追い求める時ではありません。
 
四季と、もっと仲良くしてほしいと思います。
四季ほど、よくできている教材はありません。
四季ほど、素晴らしい先生もいません。
しかし、四季は、お世辞をいいません。
人間におもねることもありません。
ですから、己れ自らが扉を叩かないことには、応えてくれません。
何やら、難しくなってきました。
「ルカによる福音書」に書かれていることですが、様になりませんから止めま
す。
 
四季やありがたし。
この言葉の方が自然です。
この気持ちを大切にしてほしい、私は心から、そう思います。
四季との交際マニュアルをご自身で作ってください。
そして、楽しい思い出を、たくさん残してあげましょう。
子どもは、当たり前のことですが、親を選べません。
お母さんは、子どもにとって、この世に生命を授けられて、ご対面した、その
時から、たった一人の「お母さん」です。
お父さんも同じですが……。
 
「ママに、育てられてよかった!」
こういわれるお母さんになってください。
お母さんなら、なれます。
何にもできなかった赤ちゃんを、ここまで育ててきたのは、お母さんではあり
ませんか。
自信をもってください。
よいお手本を見せてあげればいいのです、よいお手本を。
難しく考える必要はありません。
育児をしながら、育自をすることです。
自分を磨くことです、心を、です。
子どもを育てるのではなく、子どもに育てられると考えましょう。
そうすれば、お子さんも、お母さんの期待に応えてくれます。
お父さんも同じです。
男は黙ってとはいいませんが、よいお手本を見せましょう。
不言実行です。
それが育児の基本ではありませんか、私は、そう思います。
 
幼児期は、お父さんやお母さんの人生にとっては、まさに、ゴールデン・アワ
ーです。これほどまでに二人が力を合わせて何かをする時は、もうないかもし
れません。
ですから、お受験にしても早期教育にしても、二人で力を合わせて本気で取り
組んでほしいのです。
特に、お父さんの協力がないと、お母さんは、曲がりがちです。
それで、だれが被害者になるのでしょうか。
お子さん自身です。 
子どもは、幼児期に体験したことを、そのまま背負って生きていくことを、肝
に銘じておきましょう。
「三つ子の魂、百まで」は、けだし名言ではないでしょうか。
 
注 ルカによる福音書〔第11章 1-13節〕
「求めよ、さらば与えられん。尋ねよ、さらば見出さん。門を叩け、さらば開
かれん」
 
(次回は、「お受験、少し恐いですね」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<保護者編>第4章 2月に読んであげたい本(2)

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2020さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第15号
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第4章 二月に読んであげたい本(2)
 
また目玉ですが、これも面白い話です。
 
◆鬼の目玉◆   松谷 みよ子 著
 娘が旅の途中で泊めてもらった家には、若者が一人で住んでいました。毎朝、
若者は奥の部屋に出かけ、夜になると疲れはてて戻ってきます。若者のお父さ
んが豪傑で、悪さをする鬼の目玉をくりぬき取り上げたのです。お父さんが亡
くなると鬼が目玉を取り返しにきて、毎日、責め立てていたのでした。
 ある日、娘は若者の後をつけ、拷問の場面を見たのです。鬼の大将らしき者
が、わめく顔を見ると目がありません。娘が酷い仕打ちを受ける理由を聞いて
も若者は答えず、退屈だろうから、13ある部屋で遊びなさいという。ただし
「最後の部屋へは入ってはいけない」といわれたのでした。  
 娘が最初の部屋を開けると、門松や鏡もちが飾ってある正月の部屋で、小人
さんたちが、羽根つきやカルタをして遊んでいるのです。娘も中に入ってみる
と、小人さんと同じように小さくなり一緒に遊べるのでした。次の部屋は梅が
咲きうぐいすが鳴き、次の部屋はおひなさまが飾ってあるというように、1月
から12月までの部屋があったのです。楽しかったので、最後の部屋にも入る
と、真っ暗な部屋に桶があり、何かが浮かんでいました。
鬼の目玉だとわかった娘は懐に入れ、帰る途中、小川の側で蛇と出会い、びっ
くりして、1個、落としてしまうのです。残った1個を持って、お仕置き部屋
に飛び込むと、大将の片目に、眼が入っているではありませんか。恐る恐る目
を差し出すと、「眼がそろったから、褒美として娘に金の鶏をやれ」と、いった
かと思うと、鬼も若者も、部屋も家も、あっという間に消えてしまい、娘は、
がい骨がゴロゴロと転がっている山の中に、一人残されていたのでした。
  日本むかしばなし 7 
   おにとやまんば 民話の研究会 編 松本 修一 絵  ポプラ社 刊
 
この13番目というのがすごいと思いませんか。この作者は、13日の金曜日
が、何の日か知らなかったでしょうね。キリストが、13番目の弟子であった
ユダに裏切られ、磔の刑を受けたのが金曜日。アダムとイブが楽園から追放さ
れたのも金曜日。ノアが方舟に乗ることになった大洪水も、降りはじめたのが
金曜日。絞首刑の階段が13段ということも……、これも不思議です。
 
次は笑わせられる話です。
 
◆節分の鬼◆   小沢 重雄 著 
 変わったじいさまがいて、節分の日に、女房も子どももいないから、鬼が来
ても平気だと、「鬼は内! 福は外!」とやってみたのです。すると、豆をぶつ
けられて往生しているのに、奇特な方がいるものだと、2匹の鬼がやってきた
ではありませんか。酒の好きなじいさまは、鬼達にもすすめ、宴会が始まりま
す。ご馳走になった鬼達は、礼をしたいといいます。じいさまは、丁半ばくち
が大好きなので、さいころに化けてくれと頼みます。さっそく鬼は化けます。
それで、博打(ばくち)をするのですから、じいさまのいうとおりの目が出て
大もうけをしました。再び宴会に、今度は泡銭をたくさん持っていますから、
豪勢なものです。これに味をしめたじいさまは、来年も来てくれと約束をしま
す。しかし、次の年も、その次の年も、鬼は現れません。その内、じいさまは、
酒を飲みすぎて死んでしまいました。
 博打好きでしたから地獄行きです。そこで、あの鬼達と再会します。鬼達は
娑婆(しゃば)のお礼にと、いろいろと手抜きをします。釜ゆで地獄のときは、
湯かげんに手心を加え、熱かんまでつけるサービスをするのです。怒った閻魔
大王が、「じじいを喰っちまえ!」と鬼達に命じますが、これも手抜きをしても
らい、娑婆に舞い戻り、長生きをしたのでした。
  日本むかしばなし 7
  おにとやまんば 民話の研究会 編 松本修一 絵  ポプラ社 刊
 
どうしたら、こういう発想が生まれるのでしょうか。
この2匹の鬼には人情があって、それだけにおかしいのです。針の山に登ると
きは鉄の下駄を用意するなど、地獄の責め苦を、鬼が手抜きする場面は、本当
に笑わされます。しかし、鬼に人情って変ですね。「鬼の目にも涙」といいます
から、涙腺を緩めるセンサーが付いているのでしょう。鬼の情けで「鬼情」で
は、何やら不気味な感じがしますね。
 
この話もおかしいのです。今度は鬼が、博打をする話です。
 
◆地蔵浄土◆   おざわ としお 再話
 ある日、おじいさんが、食べようとしただんごを落とし、ネズミの穴に入っ
てしまいました。おじいさんが、穴に入っていくと、お地蔵さまがいたので尋
ねたところ、「あっちの方に転がって行ったぞ」というその口元には、黄粉がつ
いています。おかしいなと思いながらも、探しに行こうとすると、お地蔵さま
が、大儲けをさせてあげるから、天井裏に隠れなさいというのでした。鬼達が
来てかけ事をするから、その金をいただくのだという。しかし、天井に上るは
しごがありません。すると、お地蔵さまは、私の手に乗り、肩に足をかけ、届
かなければ、頭にのって天井裏に隠れなさいというのです。罰が当たると尻込
みしますが、鬼達が来ると驚かされ、渋々、隠れます。そして、「私が合図をし
たら、鶏の鳴声をまねしなさい」といったのです。
 やがて、鬼達が来て、かけ事を始め、お金がたくさん出たところで、お地蔵
さまから合図があり、「コケコッコー」と鳴きまねをすると、鬼どもは一番鶏が
鳴いたと勘違いして、「夜明けが近いぞ!」とあせってばくちをし、2回目には
二番鶏が、3回目には、「三番鶏が鳴いた。夜明けじゃ、帰るぞ!」といい、お
金を残したまま消えてしまいました。おじいさんは、鬼達が残していったお金
をいただいて大金持ちになったのです。
 それを聞いた隣の欲の深いじいさん、一儲けしようと出かけ、遠慮しないで、
お地蔵さまの体に足をかけて天井に上がってしまいます。ところがです。三番
鳥まで鳴くようにといわれましたが、何を勘違いしたのか、お地蔵さまの合図
に、「コケコッコー」と鳴きまねをせずに、「はぁ、一番鳥!」、「はぁ、二番鳥!」
といってしまうのです。「この間、おれたちをだました奴だな!」と、鬼たちか
ら散々、痛めつけられ、血だらけになって帰っていったのでした。
  日本の昔話 2
したきりすずめ おざわ としお 再話 音羽 末吉 画 講談社 刊
 
 
天井裏に上がるときの、お地蔵さまと正直なじいさまとのやり取りが、おかし
いのです。欲深じいさんが天井に上がるときも、仏さまを仏さまと思わないふ
てぶてしさが、これまた愉快で、日本人の信仰心をあからさまにしているよう
な気さえします。
お地蔵さまは、本当はお釈迦さまがいなくなった後、弥勒仏が出現するまでの
間をつなぐ役をする偉い菩薩さまですが、いつも庶民の身近にいる仏さまです。
粋なのです、このお地蔵さまは。
こういう話を作った人って、尊敬できますね。生きることを楽しんでいるでは
ありませんか。お地蔵さままで、舞台に上げるのですから大胆なものです。し
かもです、お地蔵さまに、うそをつかせるのですから、傑作ではありませんか。
まねをした欲の深いじいさんが、こらしめられるのも、むかし話の定石です。
 
最後は鬼をたぶらかす話で、恐かった鬼ですから勇気がいります。
 
◆じいさまとおに◆   水谷 章三 著
 ある秋のことです。
 おじいさんのところへ鬼が来て、畑にできているものを半分よこせという。
そこでおじいさんは、「畑の上のものだけもらうから、鬼さんには土の中のもの
をあげましょう」といって、麦畑の麦を全部、刈り取って株だけ残します。計
られたと知った鬼は、次の年の秋には「土の上にできているものを、わしがも
らうぞ」というので、おじいさんは「下の半分で結構です」と承知し、鬼が葉
っぱを刈り取った後で、大根や芋をごっそりと掘り出したという話です。
 五月のはなし
ももたろう 松谷 みよ子/吉沢 和夫 監修 日本民話の会 編 国土社刊
 
大らかな話ではありませんか、鬼を手玉に取り、恐い鬼も形なしです。鬼は悪
魔と考えられ、病気や災いを起こす疫病神のような存在でしたから、人々の「恨
み、つらみ」は相当なものであったと思われます。おじいさんの気持ちが、手
に取るようにわかります。
 
鬼が主人公の話ではありませんが、芥川龍之介の「杜子春」に出てくる地獄の
話も忘れられません。仙人になる修行中に、口をきいてはならぬと約束した杜
子春が、閻魔大王の前でも話さないものですから、怒った大王は杜子春の両親
を連れ出し、鬼どもに散々、むちで打たせるのですが、口をきこうとしません。
畜生道に落ちて馬になっているお母さんが、あえぎながらも、「心配をおしでな
いよ。私たちはどうなっても、お前さえ幸せになれるなら、それより結構なこ
とはないのだからね。大王が、何といってもいいたくないことは黙っておいで」、
こういうのでした。この場面にくると、決まったように涙が出たことを覚えて
います。子を思うお母さんは、こんなにもやさしいものなのだなと……。
 
幼い子をいじめたり、折かんをしたり、果ては「しつけ」と称して、殺してし
まう親のいる時代。地獄に落ちて、同じ責め苦を受けなければ、殺された子は
浮かばれない。子どもに罪はない。母親は、育児をしながら自分自身を育てる
もの、父親も同じですが。わが子のあどけない寝顔を、かわいいと思ったこと
はないのだろうか。何ら疑うことなく、安心して眠っている子を手にかけるの
は、人として許されない大罪です。「子は、かすがい」ということわざ、死んで
います。もっとも「鎹(かすがい)」も意味不明の言葉となっているでしょうね。
鎹は、二つの材木をつなぎ止めるために打ち込む「コの字型のくぎ」で、そこ
から「子は夫婦のあいだをつなぎ止める働きをする」という意味です。「豆腐に
かすがい」(まったく効果のない、手ごたえのなきことのたとえ)とならないよ
うに、親子の絆は、しっかりと結びたいものです。それにしても心優ちゃん…
…。
 
ここでは取り上げませんでしたが、鬼を人間らしく扱った浜田廣介の「泣いた
赤鬼」は、童話とはいえ日本以外に、こういった作品はあるのだろうか。最後
の青鬼くんの置手紙には、不覚にも涙がこぼれてきます。お子さんはどのよう
な反応を示すでしょうか。
 
赤鬼くん、人間たちと仲良くして、楽しく暮らしてください。もし、僕が、この
まま君と付き合っていると、君も悪い鬼だと思われるかもしれません。それで、
ぼくは、旅に出るけれども、いつまでも君を忘れません。さようなら、体を大事
にしてください。僕はどこまでも君の友だちです。
     (「泣いた赤鬼」浜田康介 著 小学館文庫 小学館 刊)
 
百田尚樹氏の「影法師」を読んだ後、頭に浮かんだのは「泣いた赤鬼」の青鬼
くんでした。
自己中が多い現代気質では、友達のために自分を犠牲にする気持ちは古臭いと、
馬鹿にされるかもしれませんが、読むたびに、わかっていても目頭が熱くなる
童話の一つです。
この他に、「ある島のきつね」「よぶこどり」「むくどりの夢」「りゅうの目の涙」
などは、学生時代に出会った童話ですが、年を取って読み返しても新鮮な刺激
を与えてくれることに驚かされます。こういう時ですね、活字中毒に育ててく
れた親父やおふくろを思い出すのは。(感謝)
 
ところで、百田氏の作品には、最後の1ページの1行で全てがわかるしゃれた
構成が面白い短編集「幸福な生活」、ファイティング原田を主人公にした「『黄金
のバンタム』を破った男」、ボクシングの青春物語「ボックス」、自費出版の裏
側を暴露した「夢を売る男」、身長以外は何でも整形できる世界を描いた「モン
スター」(仰天!)、この作品と対になっている多重人格者を扱った「プリズム」、
悪名高いオオスズメバチの生態を描いた「あらしの中のマリア」、映画化されテ
レビでも放映された「永遠のゼロ」、出光興産の創業者をモデルにした「海賊と
よばれた男(上下)」、激動の昭和時代を生きた作田又三を主人公にした「錨を
上げて(上下)」など、氏の肩のこらない話の展開は、若い皆さん方にはわから
ないかと思いますが、私が学生の頃、面白がって読んでいた「宮本武蔵」や「真
田十勇士」(猿飛佐助など幸村に従った十人の勇士、佐助は大河ドラマ「真田丸」
で活躍)の講談本と同じで、まっすぐ一本道で気軽に読み切れ、理屈っぽくな
い、一服の清涼剤的な読後感が好きでしたが、「殉愛」でこけました。なぜ、氏
が執筆されたのか、芸能界音痴で、この世界のことはわかりませんが、しかし
……、「カエルの楽園」「今こそ、韓国に謝ろう」で、また考えが変わり、「日本
国紀」で愛読者に復帰しました(笑)。
 
(次回は、「第五章 ひな祭りでしょう 弥生」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[4] 数量に関する問題(2) 

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第31
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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★★入試問題を分析する★★
[4] 数量に関する問題(2)  
 
[相談会速報]
中央線沿線 私立小学校合同相談会
  日時 2月17日(日) 午前10:00~15:00
  会場 国立学園小学校(JR国立駅下車 徒歩10分)
参加校、イベントの内容、アクセスの方法など、詳しくはホーム
ページをご覧ください。
 
「第34回 東京都私立小学校作品展 ほら、できたよ」へ行ってきました。
今年は、うっかりしてメモを間違って破棄してしまい、学校名がわかりません。
学校名は抜きです。
・「ツイッター」には、びっくり。画用紙に紐で顔をつくり、目鼻を書き、外側
へつぶやきを。プライバシーを尊重して、文言はカットしますが、小学生の
世界まで浸透しているんですね。情報機器の正しい使い方を、親がきちんと
教えないといけないのではと痛感しました。お断りしておきますが、この作
品を非難しているのではありません。大学生が掲示板で事件に遭遇するほど
ですから、親の責任で与えるべきではといいたかったのです。でも、内容は
面白かったですね(笑)。
・節分の鬼の面、粘土で作った天使のコーラス像、それぞれ個性が表れていて
傑作。
・模造紙に区分けされた街に、マッチ棒のような棒をのりで貼って作った建物
など90程でできていましたが、連携プレーが見事。
・岡本太郎氏が絶賛した火焔型縄文土器を思わせる力作もあり、今年も楽しま
せてもらえました。この学校名は説明会でVTRを見てわかっているのですが
カットします。
学習院初等科のHPには、早々と今年の作品が紹介されています。
もう10数回参加していますが、毎年、子どもの感性には脱帽しますね。(感謝)
 
ところで、2月14日はバレンタインデー。3世紀頃のローマでは、戦士の戦
意に影響があると考えられ若者の結婚を禁止。それを哀れと思ったバレンタイ
ンは、密かに結婚をさせていたのが発覚し、処刑された日が2月14日。その
殉教の日がバレンタインデー。チョコレートを送る習慣の発祥地はイギリス。
日本では、1936年に神戸のモロゾフ洋菓子店が、1958年に新宿の伊勢
丹が「バレンタイン・セールス」のキャンペーンを行ったが、結果は今一。広
まったのは1970年頃からだそうです。(「言語由来辞典」より要約)
1970年、私は30歳ですから、チョコレートをやり取りする習慣はなかっ
たわけで、思い起こすと、家内からではなく、長女から貰ったのが初体験でし
た(笑)。
 
[掛け算]
次は掛け算です。
「5人の子どもにリンゴを2つずつあげるには、いくつあればいいですか」
 
スケッチブックに○を5個書き、その下に○を2個ずつ書きます。
 
 子どもの数     ○   ○   ○   ○   ○ 
 与えるリンゴの数 ○○  ○○  ○○  ○○  ○○  合計10個
 
幼児は、[2×5=10]で解くのではなく、○を2個ずつ書き終えたところで
○を数えて、リンゴ10個と答えがでます。
3個の場合は○を3個ずつ、4個の場合は4個ずつ書くわけです。
これが幼児の掛け算の解き方です。
 
[割り算]
次に2枚の皿を用意します。
「それじゃ、お母さんと同じ数に分けるには、どうしたら、いいの?」
18個のクッキーを、お母さんの皿、自分の皿と、1つずつ分ければ答えがで
ます。
「お母さん、9個ずつです」
「ピン、ポン! すごい! それじゃ、お父さんと3人で分けたら、いくつず
つになりますか」        
もう1枚皿が必要になりますが、分け方は同じで、3枚の皿に1個ずつ分けま
す。
「お母さん、6個ずつですね」
こうなります。
これをスケッチブックに書いて解いてみましょう。
 
 クッキーの数 ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○  ○○ 
        ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○     ○
 合計9個
 
分ける時に 2人では2個、3人では3個、4人では4個ずつ減っていくこと
に気づかせます。
すると、2人で分ける時は2個ずつ、3人で分ける時は3個ずつ、4人で分け
る時は4個ずつ指で押さえ、1人分だけ○を書いていけば、答えの出ることが
わかります。
 
「12個あるクッキーを3人で分けると、1人いくつずつになりますか」
といった問題のときに、3個ずつ指で押さえながら、1人分だけ〇を書いてい
けば答えが出ます。
 
○○○ ○○○ ○○○ ○○○
○   ○   ○   ○
 
〇を4つ書いたところでクッキーはなくなるので、答えは4個であることがわ
かります。
幼児の割り算は、[12÷3=4] と答えが出るのではありません。
書いた○を数え、そこで「4個」と答えがわかるのです。
これが幼児の割り算の解き方です。
 
このように数の問題は、数字や記号を使い、加減乗除の四則算で解くわけでは
ありません。
直感で数の多少を見極め、次に一つ一つを対応させ正確な違いを理解し、そし
て掛け算、割り算の基本的な解き方を学ぶ、これが幼児の数の学習です。
 
さらに、10は1と9、2と8、1と2と7といった数の合成、分解がありま
すが、難易度の高い問題になると、20までの合成分解が理解できていないと
解けないものもあります。
10は1と9、2と8と、単に記憶させようとするより、おはじきなどを10
個用意し、実際に分けさせてみると、その仕組みがわかるものです。
まだ、この時期では早いですが、やがてそういったことも学ぶことを覚えてお
いてください。
 
おはじきなどの具体物を使うと、難しいことも簡単に理解できます。
かつて、ある学校で「12個のミカンを何人で分けることができますか」とい
った問題がありました。
子ども達に挑戦させると、「2人、3人、4人、6人」と答え、12人で分けら
れると答える子は、ほとんどいませんでしたが、おはじきを12個と皿を12
枚用意しておくと、1個ずつ分けることも理解できたものです。
この問題は、12の約数を見つけるのと同じですから、園児が、とんでもない
難しいことを、平然とやっているのには驚かされますね。もっとも子ども達は、
約数の何だかを理解しているわけではなく、出題の意図もそこにあるわけでは
ありません。面白がって、こじつけているだけですが(笑)。
 
また、数字は抽象的なものです。
[5]と数字だけでは、幼児には何のことだかわかりません。 「リンゴが5」
となって、初めて、[5]という意味がわかるのです。その心は、リンゴが5個、
頭に描かれるからです。前にもお話しましたが、抽象化した○をリンゴに置き
換えると、物と数が一致し、具体的になるわけです。
 
小学校の算数は、○を数字で表すことから始まり、数字を使った計算は、「合わ
せて」「多少」「全部で」「分ける」といった言葉の代わりに[+-×÷]の記号
を使い加減乗除を習うわけです。
ですから、幼児には、数字や記号を使った計算は必要ありません。
大切なのは、数の概念、意味であり、計算の仕組みがわかることです。
数と接する機会は、日常生活の中にたくさんありますから上手に使いましょう。
少し注意をすれば、教材は周りにいくらでもあります。 
 
最後に、幼児特有の考え方を紹介しておきましょう。
幼児にメロン5個とイチゴ5個を比べさせると、メロンの方が多いと答えたり、
ばらばらに置かれたリンゴ5個と一ヶ所にまとめて置いたリンゴ5個では、ば
らばらに置かれたリンゴの方が多いと答えることがあります。
前者はメロンの大きさにこだわり、後者は広がって置かれたことに目を奪われ
たからですが、「ものは同じ数であれば、大きさが違っていても、一ヶ所にまと
めて置かれていても、どのような位置や方向にばらばらに置かれていても、数
は変わらない」ことを教えてあげましょう。
これを「数の保存」といいますが、言葉はご両親が知っていればよいことで、
お子さんに教える必要はありません。
 
  (次回は、「数量の問題3」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>独り立ちの準備ですよ(6) 四季を楽しんでほしい(1)

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2020さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第14号
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独り立ちの準備ですよ(6) 四季を楽しんでほしい(1)
 
◆相談会情報◆
中央線沿線 私立小学校合同相談会
  日時 2月17日(日)10:00―15:00
  場所 国立学園小学校
     JR国立駅下車 徒歩10分
かたばみ幼稚園など4園参加します。
イベントの内容、アクセスの方法など、詳細はホームページをご覧
ください。
 
日本には、四季があります。
しかし、日常生活には四季の気配が希薄になってきました。
四季折々の変化を演じてくれる自然に、本当に申し訳ないと思います。
日本の伝統のある行事も、四季折々の節目として祝っていたのですが……。
 
最近、祝祭日に国旗を掲げる家を、ほとんど見かけなくなりました。
若い人は、元日に朝祝いもしないと聞きます。
雑煮の代わりに、ハンバーガーとコーヒーで済ませ、それでも初詣には出かけ
るようです。
日本の神さまは、建国以来、和食派です。
洋食を食べて願をかけて、神さまは聞いてくれるのでしょうか。
しかし、ひな祭り、端午の節句や七五三などには、お金をかけて盛大に祝って
います。
年中行事も、私の子どもの頃と違ってきました。
自然への素朴な感謝ではなく、豪華なセレモニーになったように思います。
言わずもがなですが、バレンタインデーにクリスマス、ハロウィンは、日本の
オリジナル行事ではありません。
クリスマスは子どもの夢ですから許せますが、バレンタインデー、あれはチョ
コレート会社の陰謀ではないでしょうか。
ハロウィン、渋谷の騒動、何か勘違いしているようですね(笑)。
 
ところで、お祝いには欠かせない飾り物があります。
たとえば、正月の門松一つとっても、懐かしい思い出が浮かんできます。
これは、父から、よく聞いた話ですが、なぜ、門松は、松、竹、梅で飾るのか
……、このことです。
「松は常緑樹で、一年中、葉の色は緑色だから、元気で、健康であること
を表している。竹は、まっすぐに伸び、強い風にあおられても、逆らうことな
くゆったりとしのいでいる。雪が積もっても枝は苦しそうだが、しなって耐え
るから、雪は滑り落ちてしまう。他の木のようにポキンと折れない我慢強さが
ある。しかも、竹の中は空っぽで、五月の空に泳ぐこいのぼりのように、腹に一
物もなく正直で、『竹を割ったような性格』は、ここから出ている。梅は、寒風
にさらされても、リンと咲く。あの小さなつぼみが、いい。強くて、しかも
咲く姿は、清らかだ。このように門松には、健康で、我慢強く、清く、強く生
きる願いが込められている」
と教わったものです。
 
季節折々の行事は、自然に対して感謝する気持ちを表したものでした。
そして、家族の幸せを願って、家族みんなで祝ったものです。
いろいろな行事の意味を、親が子どもに教え、楽しく祝い、思い出として心に
残してあげ、自分が親になったときに、その楽しい思い出を子どもに伝える、
そんなしきたりがありました。
しかし、これだけ季節感が希薄になってくると、季節折々の行事も、しっくり
しないのも無理のないことかもしれません。
冬にすいかを食べられるのですから、季節に対する感覚が、おかしくなるのも
当然でしょう。
便利になると、その分、失うものも出てくるといわれていますが、その通りで
はないでしょうか。
品質改良、温室栽培、冷凍技術、そして輸送手段などの進歩は、目覚しいもの
がありますが、季節は、そんなことに一切、こだわりません。
きちんとけじめをつけてくれているのですから、感謝して、それに応えなくて
は、罰が当たると思います。
 
食べ物には、旬があります。
魚介類、野菜、果物など、いちばん味のよい時期があります。
鰹のたたきが、真冬に出てくると、気持ちが悪くなります。
秋刀魚の塩焼きを、桜の花を見ながら食べるなど許せません。
鰹は初夏、もっとも戻り鰹という旨いものもありますが、秋刀魚は秋に食べな
いと、魚に申し訳ないと思っています。
しかし、現代っ子は、好んで魚を食べないようです。
魚は、体にもよく、頭のよくなる養分も入っているのですが……。
はしを、うまく使えないのではないでしょうか。
煮魚や焼き魚を食べるのは、はしさばきが容易ではありません。
しかし、手先の器用な子の知的な能力が高いのも、事実です。
はしをきちんと使って食事ができるように心がけているお母さん、少ないので
はありませんか。
幼児期は、机の上で記憶力だけに頼る勉強より、手を使う作業の方が大切であ
るといっても信じてもらえないようですが、科学的にも実証されています。
「手は第二の脳」といわれているのですが……。
小さい時は、お母さんが食べやすく、ほぐしてあげましょう。
さばのみそ煮、おいしいですよ。
お母さん方も魚の料理は、生臭いし、面倒ですから、苦手ではないでしょうか。
一匹の魚を三枚におろせるお母さん、少ないでしょうね。
スーパーへ行けば、そんな手間を、みんな省いてくれますから。
便利になった分、横着になっていませんか。
旬の魚は、しっかりと季節を示してくれています。
 
話は違いますが、筆記用具の持ち方のおかしな学生さん、かなり、います。
はしをきちんと持って食事をしていないと思います。
これは、書道の先生から伺った話ですが、試してみましょう。
ご飯を食べるように、はしを1膳持ち、1本、抜き取ってください。
筆記用具を持つ形になっていますね。
残ったはしは、鉛筆を持つように、正しく、美しく持てていれば、はしをきち
んと持って食事をしていることになるのです。
おかしなはしの持ち方をして、ご飯を食べている若い人、よく見かけます。
これも、しつけです。
小さい時に、はしをきちんと持って食事をしていなかったのでしょう。
食事は、日に三度のことです。
形は心を作るともいわれています、「心」をです。
 
「鉛筆の持ち方一つで、育児の姿勢がわかる」という人もいますが、納得でき
ますね。
平成29年の立教女学院小学校の説明会で、教頭先生は、こうおっしゃってい
ました。
「今年も、はしを使った問題が出たとしても、はしで物を運ぶ速さを競ってい
るのではなく、日本の文化である正しいはしの持ち方ができているかを見るも
のです」
賢いお母さんになってほしいですね。
 
ところで、肉に季節の感覚はあるのでしょうか。
熊、猪、鴨などは、きちんと季節感を誇示していますが、野生の名残をしっか
り持っていますから、味に癖があります。
ですから、子どもの好みに合いません。
牛や豚、鳥の肉は、どうでしょう。
一年中、顔をみせています。
子どもたちの好きなハンバーグステーキやカレーライスに、旬はあるのでしょ
うか。
私は肉より魚ですから、よくわかりませんが、ないでしょうね。
作られている方には申し訳ありませんが、みんな同じ味がします。
聞いただけで胃がもたれる感じのする年ですから、聞き流してください。
しかし、ブロイラーや卵を見ていると、日本の教育の縮図を見せつけられてい
るような気になります。
「個性を伸ばしてあげたい!」といって、スーパーで惣菜を買って済ませるよ
うでは、みんな同じ物、同じ味の物を食べていることにならないでしょうか。
何百羽といる鶏小屋で、ひたすら卵を産む鶏と重なりませんか。 
 
野菜、これは旬の塊ですが、キャベツは、今は一年中食べられます。
きゅうりやなす、トマトやかぼちゃは、夏の風物詩です。
私は、もぎたてのきゅうりの味が忘れられません。
母が、大ざっぱに皮をむき、パラパラと塩をかけるだけですが、これがおいし
かった。
今、食べているきゅうりには悪いのですが、お日さまの味がしません。
しかし、風物詩、この言葉、死んでいます。
風鈴の音色で、いざこざが起こるのですから。
風物詩どころではありません。
音色、「ねいろ」……、いい言葉ですね。
 
果物、これは、完全に季節を無視されているものがあります。
いちごなどは、一年中、ショートケーキと仲良しです。
ちょっと不節操ではないかと責めるわけにはいきませんね。
人間が、勝手にやっていることですから、いちごに責任はありません。
いちごは、温室に責任を取ってもらいたいでしょうね。
しかし、自然の中で育っている果物は、頑張っています。
みかん、ぶどう、柿、梨などには、季節感があります。
 
花は、どうでしょう。
純粋な心を持つ正統派の野生の花は、きっちり筋を通しています。
梅と桜は、狂い咲きしない限り、季節に従順です。
入学式にコスモスでは、いくら漢字で「秋桜」と書いても、さまになりません。
紫陽花は梅雨に欠かせませんし、朝顔や向日葵は、聞いただけで汗が出ます。
菊となると秋です。
私は、小さな野菊が好きで、香りも馥郁(ふくいく)として、こたえられませ
ん。
しかし、あの大きな菊ですが、愛好者には申し訳ありませけれど、「私、咲いて
いるの!見て! ちゃんと見なさい!」とばかりに、辺りをにらみつけている
感じがして、何やら恐い感じがします、偏見ですが。
コスモスもいいです、あのたおやかな感じが何ともいえません。
しかし、強いのです。
豪雨に叩きつけられても、しばらくすると立ち直ります。
そのけな気なところが好きですね。
 
ちょっとキザですが、季節は、何やら崇高な哲学者の雰囲気を持っています。
たとえば、花です。
きれいですが、短命です。
子どもに何か教えられませんか。
力いっぱいに咲くことの素晴らしさと、生命の大切さなどです。
小さな、弱々しいスミレにしても、精一杯に咲いています。
しかし、人間に、「きれいな花だこと!」などと思われたくて、咲いているわけ
ではないでしょう。
でも、本当にきれいです。
なぜでしょうか。
自然だからではないでしょか。
与えられた生命を真っ正直に生きている感じがします。
咲いている様子を評価されると思っていないからでしょうね。
教えられます。
 
予想していた春一番、関東地方には吹かなかったようですが、今年の立春は、
暖かでした。
 
 (次回は、独り立ちの準備ですよ 7四季を楽しんでほしい(2)について
お話しましょう)

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