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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する -合否を判定する必須十項目-★★[4] 数量に関する問題(2) 

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第31号>
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[相談会・フェア情報]
  □中央線沿線 私立小学校合同相談会
     日時 2月25日(日) 明星小学校
  □城北・埼玉・茨城地区 私立小学校合同相談会
     日時 2月18日(日) 聖学院小学校
  □千葉県私立小学校フェア
     日時 2月25日(日) 昭和学院伊藤記念ホール
 
  参加校、イベントの内容、アクセスの方法など、詳しくはホームページをご覧ください。
 
       
上記の相談会はじめ、各小学校のイベントも以前のように開催されるようになりました。学校を知るための機会があるというのはありがたいものですね。志望校はもちろんのこと、いろいろな学校の情報をこまめに情報収集し、学校研究をすすめることが大切になってきます。
登下校の時刻に合わせ、学校の近くに行ってみるのも良いですね。
 
ところで、2月14日はバレンタインデー。3世紀頃のローマでは、戦士の戦意に影響があると考えられ若者の結婚を禁止。それを哀れと思ったバレンタインは、密かに結婚をさせていたのが発覚し、処刑された日が2月14日。その殉教の日がバレンタインデー。チョコレートを送る習慣の発祥地はイギリス。
日本では、1936年に神戸のモロゾフ洋菓子店が、1958年に新宿の伊勢丹が「バレンタイン・セールス」のキャンペーンを行ったが、結果は今一。広まったのは1970年頃からだそうです。(「言語由来辞典」より要約)
 
近年、贈る相手も様々で、自分に贈る割合が多いとか。多様化ですね。
 
 
 
★★入試問題を分析する★★
 
 [4] 数量に関する問題(2)  
 
[掛け算]
次は掛け算です。
「5人の子どもにリンゴを2つずつあげるには、いくつあればいいですか」
 
スケッチブックに○を5個書き、その下に○を2個ずつ書きます。
 
 子どもの数    ○   ○   ○   ○   ○ 
 与えるリンゴの数 ○○  ○○  ○○  ○○  ○○  合計10個
 
幼児は、[2×5=10]で解くのではなく、○を2個ずつ書き終えたところで○を数えて、リンゴ10個と答えがでます。
3個の場合は○を3個ずつ、4個の場合は4個ずつ書くわけです。
これが幼児の掛け算の解き方です。
 
[割り算]
次に2枚の皿を用意します。                    
「それじゃ、お母さんと同じ数に分けるには、どうしたら、いいの?」
18個のクッキーを、お母さんの皿、自分の皿と、1つずつ分ければ答えがでます。
「お母さん、9個ずつです」
「ピン、ポン! すごい! それじゃ、お父さんと3人で分けたら、いくつずつになりますか」        
もう1枚皿が必要になりますが、分け方は同じで、3枚の皿に1個ずつ分けます。
「お母さん、6個ずつですね」
こうなります。
これをスケッチブックに書いて解いてみましょう。
 
<2人で分けるとき> 
 クッキーの数 ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ 
         ○   ○   ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○ 
                              1人9個
 
分ける時に 2人では2個、3人では3個、4人では4個ずつ減っていくことに気づかせます。
すると、2人で分ける時は2個ずつ、3人で分ける時は3個ずつ、4人で分ける時は4個ずつ指で押さえ、1人分だけ○を書いていけば、答えの出ることがわかります。
 
「12個あるクッキーを3人で分けると、1人いくつずつになりますか」
といった問題のときに、3個ずつ指で押さえながら、1人分だけ〇を書いていけば答えが出ます。
 
○○○ ○○○ ○○○ ○○○
○   ○   ○   ○   ←1人分
 
〇を4つ書いたところでクッキーはなくなるので、答えは4個であることがわかります。
幼児の割り算は、[12÷3=4] と答えが出るのではありません。
書いた○を数え、そこで「4個」と答えがわかるのです。
これが幼児の割り算の解き方です。
 
このように数の問題は、数字や記号を使い、加減乗除の四則算で解くわけではありません。
直感で数の多少を見極め、次に一つ一つを対応させ正確な違いを理解し、そして掛け算、割り算の基本的な解き方を学ぶ、これが幼児の数の学習です。
       
さらに、10は1と9、2と8、1と2と7といった数の合成、分解がありますが、難易度の高い問題になると、20までの合成分解が理解できていないと解けないものもあります。
10は1と9、2と8と、単に記憶させようとするより、おはじきなどを10個用意し、実際に分けさせてみると、その仕組みがわかるものです。
家庭学習でもぜひ実践してみてください。
 
また、おはじきなどの具体物を使うと、難しいことも簡単に理解できます。
かつて、ある学校で「12個のミカンを何人で分けることができますか」といった問題がありました。
子ども達に挑戦させると、「2人、3人、4人、6人」と答え、12人で分けられると答える子はほとんどいませんでしたが、おはじきを12個と皿を12枚用意しておくと、1個ずつ分けることも理解できたものです。
 
この問題は、12の約数を見つけるのと同じですから、園児が、とんでもない難しいことを、平然とやっているのには驚かされますね。もっとも子ども達は、約数の何だかを理解しているわけではなく、出題の意図もそこにあるわけではありません。
 
また、数字は抽象的なものです。
「5」という数字だけでは、幼児には何のことだかわかりません。「リンゴが5」となって、初めて、「5」という意味がわかるのです。その心は、リンゴが5個、頭に描かれるからです。前にもお話しましたが、抽象化した○をリンゴに置き換えると、物と数が一致し、具体的になるわけです。 
 
小学校の算数は、リンゴなどの具体物や、抽象概念への橋渡しとなる○やタイルなどを数字で表すことから始まり、数字を使った計算は、「合わせて」「多少」「全部で」「分ける」といった言葉の代わりに[+-×÷]の記号を使い加減乗除を習うわけです。
ですから、幼児には、数字や記号を使った計算は必要ありません。
 
大切なのは、数の概念、意味であり、計算の仕組みがわかることです。
数と接する機会は、日常生活の中にたくさんありますから上手に使いましょう。
少し注意をすれば、教材は周りにいくらでもあります。 
 
最後に、幼児特有の考え方を紹介しておきましょう。
 
幼児にメロン5個とイチゴ5個を比べさせると、メロンの方が多いと答えたり、ばらばらに置かれたリンゴ5個と一ヶ所にまとめて置いたリンゴ5個では、ばらばらに置かれたリンゴの方が多いと答えることがあります。
前者はメロンの大きさにこだわり、後者は広がって置かれたことに目を奪われたからですが、「ものは同じ数であれば、大きさが違っていても、一ヶ所にまとめて置かれていても、どのような位置や方向にばらばらに置かれていても、数は変わらない」ことを教えてあげましょう。
これを「数の保存」といいますが、言葉はご両親が知っていればよいことで、お子さんに教える必要はありません。
 
  (次回は、「数量に関する問題(3)」についてお話しましょう)
 
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2025さわやかお受験のススメ<保護者編>建国記念の日と2月に読んであげたい本(1)

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       「めぇでる教育研究所」発行
   2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第14号-
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建国記念の日と2月に読んであげたい本(1)
 
2月14日はバレンタインデー。「バレンタイン」は、3世紀頃にローマで殉教したキリスト教徒の英語名、イタリア語では「ヴァレンティーノ」。当時の皇帝は、兵士の戦意に影響があると考え若者の結婚を禁止。哀れに思ったバレンタインは、ひそかに結婚させていたのが皇帝の知るところとなり処刑された日が2月14日、殉教の日がバレンタインデー。チョコレートを贈る習慣は、イギリスのチョコレート会社カドリバ社がギフト用のチョコレートボックスを製造し広めたもの。日本では1970年頃より広まった。(言語由来辞典より要約)
現代では贈る相手も多様化。これからどんな「○○チョコ」という言葉ができるのでしょうか。
 
 
★★建国記念の日★★
 
2月11日は、建国記念の日です。昭和24年(1967)2月11日から、「建国をしのび、国を愛する心を養う日」として祝日に定められたものです。
しかし、建国記念の日は昭和生まれではなく、明治6年に紀元節として誕生しました。紀元節は、日本書紀に記されている、神武天皇が即位され、日本の国が始まった日と定めた祝日でした。その根拠は、日本書紀第三巻・神武天皇の項に、以下のようにあります。
 
 「辛酉年春正月庚辰朔、天皇即帝位於橿原宮、是歳為天皇元年」
辛酉(かのとり)の年の庚辰(かのえたつ)朔(ついたち)、一月一日、天皇は橿原宮にご即位になった。この日を天皇の元年とする。
 
これを根拠として、紀元節は誕生しました。しかし、昭和23年に、紀元節が戦争の原因になった国家主義や軍国主義を象徴する祝日であったことや、日本の誕生した日はいつであるか、歴史的な根拠が明白でないことなどから廃止され、その後、さまざまな論争が続き,紆余曲折を経て、やっと「の」の一字を入れることで「建国記念の日」ができたわけです。
 
紀元節の根拠は日本書紀にあるとお話ししましたが、果たして正しいのでしょうか。暦のことなど研究したことのない方でも、秘密を解くポイントは、「辛酉(年春正月)・庚辰・朔」にあるではと思われることでしょう。
 
暦学的に検証すると、その根拠は立証されているのですから驚きです。「年中行事を科学する」(永田久 著 日本経済新聞社 刊 P54~65)には、「辛酉・庚辰・朔」について、西暦紀元前660年は辛酉年、2月11日の干支は庚辰、月齢はゼロであり、現在、建国記念の日となっている2月11日は、「日本国は神武天皇の即位をもって建国とする」との日本書紀の記述と一致することが証明されています。西暦紀元前660年といってもピンと来ないかもしれませんが、弥生時代です。
 
この記述は記述として、実際の歴史という観点からはどうでしょう。
 
日本は、もっとも短く見積もっても二千年ぐらいまで遡ることができます。世界で二番目に長い国はデンマークで一千数十年、次がイギリスで九百四十年余り、アメリカ、フランスは二百年そこそこ、中国はたった六十四年。「四千年の歴史」なんて大嘘ですからね(笑)。
(著者インタビュー 武田恒泰 著 「日本人はいつ日本が好きになったのか」 月刊雑誌 WiLL12月号(2013年)P144 ワックス出版社 刊)
 
なんと、世界最古の歴史を持つのが日本なんです。
驚きですね。
日本人が大切に守ってきた様々な文化を学び、子ども達にきちんと伝えていくことは、世界最古の歴史を持つ日本人としての役割ではないでしょうか。
 
 
★★2月に読んであげたい本(1)★★  
 
鬼に関する話はたくさんあります。代表作は「桃太郎」「こぶとり爺さん」ですが、これはお染みの話ですから紹介するのは遠慮しておきましょう。子どもに聞かせる話ですから、恐怖感をあおるようなものはあまりありません。節分ですから、やはり豆まきの話からにしましょう。
 
 
◆豆をいるわけ◆   谷 真介 著
 
むかし、まだ鬼があちこちの山奥に住んでいた頃の話です。その年は、春から日照り続きで、稲は枯れだしました。心配した庄屋さんが、「雨を降らしてくれたら、一人娘のお福を嫁にやってもよい」と言ったその声を山奥の鬼が聞き、大雨を降らせたのです。約束を迫られ嫁がせますが、その時、お母さんが知恵を働かせます。「道に落としながら行きなさい」と菜の花の種を渡しました。
それを足元に落としながら、鬼に連れられて行くのでした。
翌年の春、菜の花は咲き、それを道標(みちしるべ)に娘は家に帰れたのです。
取り返しにきた鬼にお母さんは、「酒ばかり飲んでいる者にお福はやれぬ!」と迫り、「もう、飲まん!」と約束をした鬼に、戸のすき間からいった豆を投げ、「その豆を植えて花を咲かせてみろ。その花を持ってきたら、お福をやる!」と言ったのです。何年も続けましたが、咲くわけがありません。鬼も次第に豆を見るのが嫌になり、お福の家にも来なくなりました。この話を聞いた村の人達は鬼が来ないように、いった豆を家の周りにまくようになったのです。
これが二月三日、節分の豆まきの始まりだそうです。
          日づけのあるお話 365日            
              二月のむかし話 谷 真介 編著 金の星 刊
 
節分の豆まきは、「いった豆」がキーワードのようです。童話の名作「ヘンゼルとグレーテル」の著者はグリム兄弟ですが、ドイツ人です。菜の花の種をまく作戦と小石とパンのかけらを目印にした共通の作戦は、面白いではありませんか。世界中の童話や昔話を読んでいて、話の筋や仕掛け、舞台装置が、そっくりなものに出会うとうれしくなります。その話がほほ笑ましいとなおさらです。
 
 
イギリスの民話にも日本の昔話とそっくりなものがあります。「トム・テイット・トット」の翻訳ともいわれているそうです。日本の題名は「鬼六」といいますが、文句なく面白い話です。
 
◆鬼 六◆
 
むかし、ある所に、大きくて流れの速い河がありました。その河へ橋を架けてほしいと頼まれ、やってきた名人は、一目で難しい仕事とわかり頭を抱えます。
すると、河の中から大きな鬼の首だけが現われ、「橋を架けてあげるから、お礼にあなたの目玉をくれないか!」
と言ったのです。困りはてていた大工さんは、約束をします。橋はできてほしいが、できれば目玉をあげなくてはと、大工さんは一晩中、眠れません。    
翌朝、行ってみると、何と立派な橋が架かっているではありませんか。喜んだ大工さんですが、鬼との約束を思い出し、肩を落とします。そこへ鬼が顔を出し「目玉をよこせ」と言う。どうしたものかと考えていると、「明日の朝までに私の名前を当てたら、目玉はいらないよ!」と言って、また沈んでしまったのでした。大工さんに鬼の名前がわかるはずもありません。途方に暮れて歩いていると、山奥に入いりこんでしまい、引き返そうとしたその時に歌が聞こえてきたのです。木陰からのぞくと、鬼の子ども達が歌っていました。
    ♪オニロク オニロク オニロクさん
     早く目玉をもってこい
     大工の目玉をもってこい
     橋のお礼をもってこい
     オニロク オニロク オニロクさん♪
大工さんは、それを聞いてほっとし、笑みを浮かべるのでした。   
翌朝、大工さんが河に行くと、顔を出した鬼は、名前のわかるはずがないと自信満々です。
そこで大工さんは自信なさそうに、「河鬼!」、「橋鬼!」などと言って、鬼を得意にさせておき、最後に大声で、「オニロクー!」と叫ぶと、鬼はブクブクと泡だけ残して消えてしまい、二度と姿を現しませんでした。
 (子どものための世界のお話
   福光えみ子 福知トシ 福井研介 大江多慈子 編 新福音社 刊)
 
それにしても、どうして鬼が人間の目玉を欲しがるのか、子どもに質問されそうですね。
 
 
世界中の民話や童話、昔話を読んでいると同じような話がたくさんあります。
ドイツには、この他に「こぶとりじいさん」とそっくりな話もあります。ノックグラフトンの伝説「こぶとり」です。背中にこぶのあるラズモアという帽子屋さんが、歌と踊りがたいへん上手だったので、また一緒に遊ぼうと、約束の証拠に背中のこぶを預かるといって取られてしまいます。日本では相手は鬼でしたが、ドイツでは小人さんです。この話を聞いた歌も踊りも下手な、こぶのある青年が行くと、あまりにも下手なので、預かっていたこぶをもらってしまうというところもそっくりです。グリムの作品にも「小人の贈り物」と題した同じ話があります。
 
肌の色が、言葉が、生活習慣が、宗教が違っても、人間、考えることは皆、同じなのだと思うとうれしくなりますね。
 
 
(次回は、「2月に読んであげたい本(2)」についてお話しましょう)
 
 
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話 情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、制作したものです】
 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する -合否を判定する必須十項目-★★[4] 数量に関する問題(1) 

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第30号>
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千葉県私立小学校フェアが2月25日(日)に開催されます。また、キリスト教学校合同フェアが3月20日(祝水)に開催されます。その他、各地区ごとで私立小学校合同相談会が開催されます。
こういった学校の情報を得られる機会は逃さず利用していくようにしましょう。
 
 
★★入試問題を分析する★★
 
 [4] 数量に関する問題(1)  
 
数量の問題というと、「計算ですね!」と勘違いするお母さん方が、かなりいるようです。確かに計算は算数の一部の領域ですが、それが全てではありません。学校側が求めている数量は、数や量の概念、図形や空間の分野まで広範囲にわたっています。
 
「算数は計算」と考えると、文章題の苦手な子になりがちのようです。計算は基本ですから、きちんと勉強しなければいけませんが、算数の学習の目標は、四則算を応用し文章題を解く力を身につけることです。文章題は「文を読み取る力、読解力」が求められていますから、国語力を充実させることで算数の力もついてくるといってもよいのではないでしょうか。
 
ひとつ例をあげましょう。
 
「年長さんでも、つるかめ算が解けます」というと、「ご冗談を!」と思われるかもしれませんが、数感のところで紹介しました香川大学名誉教授だった故小林茂広先生から教わったもので、加減乗除ができなくても○と爪楊枝だけで解けるのです。
  
  つるとかめが合わせて5匹いて、足の数は16本です。つるとかめは、何羽、何匹ずついるでしょうか。
     
    スケッチブックに○を5個描き、爪楊枝を用意しましょう。
    幼児とのやり取りは、以下のように進めていきます。
    (  )内は式で解く場合です。
  
   「つるは、何本足かな」
   「2本です」
   「では、○の下に2本ずつ爪楊枝を置いてごらん」 (5×2=10)
   「先生、6本あまっちゃったよ」 (16-10=6)
   「あまった爪楊枝を上に2本ずつ置いてごらん」 (4-2=2)
   「先生、なくなっちゃったよ」 (6÷2=3)
   「足が4本あるのは」
   「かめさんだよ」   
   「何匹いるかな」(上下に2本ずつ爪楊枝が置かれているのはかめ)
   「3匹だよ」
   「頭としっぽをかいてごらん」
   「先生、残っているのは足が2本だからつるですか」 (5-3=2)
   「ピンポン! 正解です」
    幼児とのやり取りを図にすると、こうなります。
 
        || || ||
        ○ ○ ○ ○ ○
        || || || || ||
 
このように幼児の数量の問題は、数字を用いた加減乗除で解けませんから、計算力よりも読み取る力、読解力が大切なポイントになるわけです。
 
 
 
[数の問題]
 
「数の領域」から説明しましょう。
出題される内容は、
  「全部でいくつあるか」(数える)
  「どっちが多いか、少ないか」(多少)
  「合わせるといくつ」(和)
  「いくつ違うか」(差)
  「いくつ必要か」(対応)
  「分けるといくつずつになるか」(分割)
 
和・差・対応・分割などの言葉だけをみると、「加減乗除ですね!」となりそうですが、それも無理のないことかもしれません。入試問題を用いて、その解き方を紹介しましょう。    
 
  「5個のリンゴと3個のミカンを合わせると、いくつになりますか」 
     5+3=8ですから、これは足し算ですね。
  「5個のリンゴと3個のミカンでは、どちらがいくつ多いですか」
     5-3=2となりますから、引き算ですよ。
    「5人の子どもにリンゴを1つずつあげるには、いくつのリンゴが必要ですか」
     1×5=5ですから、これは掛け算ではありませんか?
  「6個のリンゴを3人で分けると、1人いくつずつになりますか」
     6÷3=2、これは割り算、割り算ではないですか!
 
問題だけ読めば、こうなりがちではないでしょうか。しかし、このように考えて指導するのは、幼児には適切ではありません。これでは加減乗除の計算を教えることになりますから、理解できないでしょう。
 
年長さんで、九九をそらんじている子もいますが、[2×3]と[3×2]の違いを説明できなければ、単に記憶しているだけですから、掛け算を理解しているとはいえません。[2×3]は、たとえば、りんごが2個入っている皿が3枚あることで、[3×2]は、りんごが3個入った皿が2枚あることで、答えは同じでも皿に入っているリンゴの数は違いますから、掛け算の仕組みを理
解しているとはいえないわけです。ですから、加減乗除の意味をきちんと学習することが大切なのです。以前、「養ってほしい数感覚」でお話しましたが、復習しておきましょう。
 
スケッチブックと鉛筆を使いますから用意してください。
 
 [多少(引き算と足し算)]
ここに10個と8個のクッキーがあるとします。
「多い方、食べても、いいよ」
というと、子どもは「1つ、2つ、3つ……」と数えずに、アッという間に多い方を取るのではないでしょうか。より多くのものを食べたいと思うのは本能ですから、直感で見分けるわけです。このように直感で多少を見分けることが、数の概念を理解する出発点です。
 
しかし、現代っ子は食べ物の取りっこなどしないでしょう。一人っ子では争いようがありません。おやつの時にもお母さんがきちんと分けていませんか。これはやめてお子さんに取らせましょう。
数に関しては、数える作業や数の違いを見つける経験をたくさんさせることです。そこで磨かれるのが直感力です。
 
「クッキー、8個、食べてもいいですよ」
8個、自分で数えなければなりませんから、数えることを覚えます。
「お母さんは、これだけ取りましたよ」
わざと多めに、10個ぐらい取ってみましょう。
「お母さん、ずるい。ぼくより多いよ!」
直感力は、順調に育っています。
 
「お母さんとあなたとでは、いくつ違いますか?」
[10-8=2]と数字を使った計算は、子どもには無理ですし、その必要もありません。「数感を磨こう」でやりましたが、忘れていた場合は、「違いを見つける方法、やったことがありますよ」 
一言つぶやき、考えさせることです。思い出せない場合は、以下のようにやってみましょう。
 
下のように二列に並べられると、数の違いを見つけることができます。これをスケッチブックに描き、線を引いて比べてみましょう。
 
   ○○○○○○○○○○(お母さんのクッキー)
   ||||||||
   ●●●●●●●●  (お子さんのクッキー)
         
「お母さんの方が、2個多いよ」
「ごめんね、取りすぎたわ。お母さんとあなたのクッキーを比べると、あなたは、いくつ少ないの?」
「2個でしょう」
とわかるはずです。
 
1つ1つ対応させて数の違い、多少を見つける「1対1対応」で、これが幼児の引き算の方法です。
 
注目したいのは、このやり取りだけで、「いくつ違う」「いくつ多い」「いくつ少ない」という3つの表現を学ぶことができるということです。
 
また、「全部で、いくつありますか」といって数えさせると、合計が出ます。
お母さんのクッキー10個を覚え、自分のクッキーを11個、12個、…18個と数えます。多い方の数を覚え、少ない方の数を数える、これが幼児の足し算の方法です。このように物を数えるときは、必ず数詞をつけるようにしましょう。
 
数詞は、言語のところでは触れませんでしたが、数えながら学習すると、無理なく覚えられますから、ここで取り上げてみました。
鉛筆を数えてみましょう。本は本ですが、「いっぽん、にほん、さんぼん」と全部、違いますし、人は「ひとり、ふたり、さんにん、よにん、ごにん」と「ひ・ふ・よ」は訓読みで、「さん・ご」は音読みと、実に複雑な読み方になっています。皿、手袋、鯨、はし、服、テレビ、とにかく日本語は難しいですから、数詞をつけて数え慣れるようにしましょう。
 
数詞には、1個、2個と数量を表す基数詞と、1番、2番と順序を表す序数詞(順序数詞)がありますが、お父さん、お母さんが知っていればいいことで、お子さんに教えることはありません。
 
(次回は、「数量に関する問題(2)」についてお話しましょう)
 
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2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第4章 節分と建国記念の日でしょう 如月

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       「めぇでる教育研究所」発行
   2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第13号-
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第4章 節分と建国記念の日でしょう  如 月   
 
物の本によると、如月(きさらぎ)のいわれは、二月はまだ寒さが残り、衣を更に重ね着する「衣更着」からとする説が一般的で、よく知られています。
また、草木の芽が張り出す月「草木張月」が転化したものや、旧暦二月には、つばめがやって来るので「来更来」とする説もあるそうです。
 
 
★★節分って……?★★    
 
文字通り「節」を「分ける」ことで、「節」とは季節、四季のことですから、季節の移り変わるときという意味です。
 
昔は月が地球を一周する時間をもとに作った暦、太陰暦を使っていました。今は地球が太陽の周りを一回りする時間を一年とする暦、太陽暦です。その陰暦で季節の区分、その変わり目を示す日を「節季」といい、立春から大寒まで二十四あったので「二十四節気」といったのです。その中で、立春、立夏、立秋、立冬は、それぞれ季節の移り変わるときを表した言葉で、季節がジワッと伝わってくるような気がしますが、なかなか実感できません。立夏は5月6日頃、立秋は8月8日頃、立冬は11月7日頃ですから、実態から1ヶ月程早く、実感できないのも当然なのです。
 
この立春、立夏、立秋、立冬の前の日を「節分」といいます。
 
節分は、明日から季節が変わる前夜祭にあたります。2月の節分は、旧暦では大晦日になります。数え年の場合、年が明ければ1つ年を取るため、豆も1つ多く食べるということなのです。
 
それにしても、立春の前の日の節分だけが有名になりました。
 
 
 
★★なぜ、節分に豆をまくのですか★★           
 
いろいろな説があります。 
 
むかし、源義経が牛若丸時代に天狗を相手に腕を磨いたといわれた鞍馬山の奥深くに、人々を苦しめる悪い鬼が住んでいました。ある時のこと、困っている人々を救ってあげようと、戦いの神さま、毘沙門天(びしゃもんてん)が現われ、七賢人を呼び、三石三斗の大豆で、鬼の目を打てと命令したのです。鬼は悪魔と思われていましたから、その悪魔の目を打つことから「魔目」、すなわち「豆」となったそうです。              
   
また、「魔」を「やっつける、滅ぼす」ことから、「魔滅(まめ)」に通じるからだという話もあります。
 
ところで、「魔」という字は、鬼が麻の布を被り隠れていますね。漢字はよく工夫されていて、成り立ちや字義を調べると面白いことがわかり、楽しいものです。
 
 
 
★★なぜ、豆を煎るのですか★★  
 
地方によって、いろいろな説がありますが、これから紹介する話と同じような民話が、大分県の由布岳北麓にある塚原地方にもあり、石段ではなく塚を作る約束で、面白いことに、その塚が60個あまり残っているそうです。
  (注 塚…一里塚など土を高く盛って距離を表す標識)
 
むかし佐渡島に、人民に害を与える鬼が住んでいた。神様が鬼退治にやってきて鬼と賭けをした。「今夜のうちに金山に百段の石段を作ることができれば鬼の勝ちにしよう」。鬼は夜更けのうちに九十九段まで石段を築いてしまったので、神様は一計を案じて鶏の鳴き真似をすると、鶏は一斉に「東天紅」と声をはりあげた。鬼は朝になったと思い神様に降参したが、百段にもう一歩のところで負けたことを悔しがって「豆の芽の出る頃にまた来るぞ」といって退散した。神様は豆の芽が出ないように人民に豆をいることを命じた。
 [年中行事を『科学』する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P35]
 
 
この話をお子さんにするときには気を付けてください。
「何で鶏が『東天紅』って鳴くの?」と聞かれるでしょう。
お子さんがわかるように説明してあげましょう。一緒に調べても良いですね。
 
 
 
★★なぜ、玄関に鰯の頭を刺した柊を飾ったのですか★★
 
豆まきをしない家が増えているようですから、柊や鰯の頭となると、「…!?」変な目で見られるかもしれませんね。これもしめ縄と同じで、鬼や悪魔が入らないようにした「おまじない」です。
 
鰯は、冬にたくさん獲れる魚です。昔、女と子どもを食べるカグハナという鬼は、鰯を焼く煙がきらいで、他の鬼達も生の鰯の頭はくさいですから、いやがったそうです。
 
柊は、葉にとげがあり、触ると痛くて、ずきずきと痛みます。ズキズキと痛むことを「うずく」といいますが、この「うずく」ことを別の言い方で「ひいらぐ」といい、それで「柊」と呼ばれるようになったそうです。
 
また、柊のことを別名「鬼の目突き」といって、そのとげが鬼の目を刺すと信じられ、玄関に飾る習慣は今でも残っています。
 
葉のとげで鬼の目を突く恐ろしい木のようですが、花を見ると印象が変わります。とげのある葉の付け根に、匂いのよいかわいい白い小花が咲くからです。
 
ところで、鬼の嫌いなものは、鰯の臭いと柊とお日さまです。ドラキュラの嫌いなものは、十字架とお日さまとにんにくです。お日さまと臭いの共通点はありますが、宗教の出ないところが、神さまと仏さまが同居している日本的ですね。
 
 
 
★★鬼のルーツは…?★★
 
陰陽五行説、聞きなれない言葉ですが、この古代中国の世界観の一つが鬼と深い関係があります。
宇宙の万物を作り支配する二つの相反する性質をもつ気、陰と陽のことで、積極的なものを陽、消極的なものを陰としたものだそうです。例えば、日、春、奇数などは陽、月、秋、偶数などは陰と考えられていました。奇数が縁起のいい数というのも、起源は陰陽五行説なのです。
 
節分の夜、新しい春を迎えるために、家の隅々から鬼を追い出すが、鬼とはもともと冬の寒気であり、疫病であった。すなわち「人に災いをもたらす、目に見えない隠れたもの」が鬼であり「隠(おに)」と呼ばれていたのである。
 (「年中行事を科学する」 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P51)
 
「鬼」は目に見えないもの「「隠(おぬ)」が転じたもので、陰陽五行説の考えから、今の鬼が定着しました。
 
ところで、なぜ鬼は、二本の角が生え、鋭い牙を持ち、虎の皮のパンツをはいているのでしょうか。陰陽五行説によると、北東方面を「鬼門」と呼び、忌み嫌われる方角を表す言葉で、恐ろしい鬼は、北東の方角にいると考えられていました。正月に紹介しました十二支では、北東は「丑寅」の方角にあたります。
「丑寅」は牛と虎のことですから、鬼は牛と虎のイメージを持たされ、絵本などで見る鬼は、牛のような角と虎のような鋭い牙を持たされ、虎の皮のパンツをはいている姿になったわけです。
 
鬼門は忌み嫌われる方角ですから、京都の北東にあたる比叡山延暦寺は、当時の都であった平安京を守るための「鬼門ふさぎ」として建てられたのでした。
ちなみに、江戸城から鬼門にあたる上野には、徳川家の菩提寺である寛永寺があり、山号を東叡山といい、天下国家の平安を祈り務めるために建立されたものです。毎度のことですが、何事も訳ありなんですね。
 
この鬼を寄せ付けないために豆や鰯、柊を用いたのは、「追儺(ついな)」という7世紀頃に中国から伝わったといわれている鬼を祓う宮中行事が、近世になって民間化されたらしく、疫病神や貧乏神のたぐいを祓うのが目的になった。
そのような意味なら現代にも鬼は存在している。鳥インフルエンザとか世界的な不況など立派な鬼である。
 (2009年2月2日 東京新聞夕刊・文化欄「鬼は外」 司 修 著)
 
ところで、食べられた方も多いかと思いますが、節分に巻き寿司を食べる習慣は、「福を巻き込む」「縁を切らない」などの意味があり、恵方に向かい、黙って丸かじりするもので、主に関西で行われていましたが、最近では全国で行われています。
 
恵方とは、「陰陽道に基づいて決められた縁起のよい方向」で、実は四方向しかなく、西暦の下一桁で方向が分かります。そして、恵方巻として定着している巻き寿司の中身は、もともとは七福神にあやかろうと、穴子、かんぴょう、きゅうり、椎茸、玉子、おぼろ、高野豆腐など7種類の具を巻きました。包丁で切らず、福を丸ごとかじって食べるのが定法で、江戸時代に行われていた大阪の伝統習俗を復活させたものです。
 
最後に、豆まきの口上は「福は内、鬼は外」が定番ですが、そう言わない所もあります。台東区にある「恐れ入谷の鬼子母神」(「おそれいりました」を冗談めかし、しゃれて言う言葉)でおなじみの仏立山真源寺では、「福は内、悪魔は外」と言います。これは、人間の子どもを食べてしまう鬼神、鬼子母神の子をお釈迦さまが隠して、子ども失う悲しみを諭されて仏教に帰依し、子どもの守り神になったという由来によるものです。成田山新勝寺では「福は内」だけですが、お祀りするご本尊は不動明王ですから、鬼も改心するとされているからだそうです。また、群馬県藤岡市鬼石地域では、地名の通り鬼は守り神ですから、「福は内、鬼は内」と言い、全国から追い出された鬼を歓迎する「鬼恋節分」を開催しているそうですが、皆さんの住む町はいかがでしょうか。
  (生活情報サイトAll About より)
                       
ところで、「鬼のパンツ」の歌、聞いたことがありますか。この歌は、イタリアのヴェスヴィオ火山の山頂まで行く登山電車のコマーシャルソング、『フニクリ・フニクラ』のメロデイーを使った替え歌なんです。なお、作詞者は不明だそうです。
 
   鬼のパンツは いいパンツ  強いぞ 強いぞ
   虎の毛皮で できている   強いぞ 強いぞ
   5年はいても 破れない   強いぞ 強いぞ
   10年はいても 破れない  強いぞ 強いぞ
   はこう はこう 鬼のパンツ はこう はこう 鬼のパンツ
   あなたも あなたも あなたも あなたも みんなではこう鬼のパンツ
          (世界の民謡・童話 worldfolksong.comより)
 
 
  (次回は、「建国記念の日と2月に読んであげたい本(1)」についてお話しましょう。)   
 
 
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話 
情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、
制作したものです】
 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する -合否を判定する必須十項目-★★[3] 話に関する問題(2)

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第29号>
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前回もお知らせしましたが、東京私立小学校児童作品展「ほら、できたよ」が1月30日(火)まで銀座松屋で開催されています。各校の教育方針の一端を伺うこともできる作品展ですので、ぜひ参加してみてください。
 
また、白百合学園小学校の展覧会(2月10日)の申し込みが始まりました。
2月8日までの申込ですが、定員が設定されていますので、ご興味がある方は早めに申し込まれることをお勧めします。
なかなか校内に入ることができない小学校の場合、こういったイベントには積極的に参加したいところです。
興味がある学校のHPはこまめにチェックしましょう。
 
 
★★入試問題を分析する★★
 
[3] 話に関する問題(2)
 
話を聞き、設問に答える問題で、「話の記憶」といわれ、ほとんどの小学校で出題されています。
 
 ◆「桃太郎」の話をテープで聞いたり、ビデオで見た後、
  ・おじいさんは、どこへ、何をしに行きましたか。正しい絵に〇をつけなさい。
  ・桃太郎の家来に□をつけなさい。
 
こういった設問があって、10秒から20秒の間に、絵の描かれている解答用紙に、指示された○や□などをつけて答えます。狙いは、「話を聞く姿勢と理解する力が身についているか」、このことです。これから始まる小学校での勉強の基本であり、最も大切な学習態度です。いくら、九九を諳んじ、難しい漢字の読み書きができても、人の話を聞けないようでは、あまり意味がありませ
ん。学校の勉強は、幼稚園の自由保育と違って一斉授業ですから、話を聞いていなければ、訳がわからないことになります。話を聞く姿勢を身につけるには、話の読み聞かせや対話が、いかに大切であるかについて、すでに触れましたので、ご理解いただけ、実行されていると思いますが、少し、復習しておきましょう。
 
「話の記憶の問題」は、単に記憶力を見ているのではないですから、問題集を買い、それだけで訓練して鍛え、身につけるものではありません。それは本末転倒な話です。話をキチンと聞く姿勢は、普段の会話や話の読み聞かせを通して培われるものです。一朝一夕に身につくものではなく、やはり毎日の積み重ね、育児の結果として表れてきますから、どこの学校でも実施しているわけです。
 
しかし、本当に話の聞けない子がいます。その子の育てられている環境は、わがままな言動が許されている場合が多いものです。かわいい、かわいい、で子どもを悪くしています。やはり、子どもの責任ではありませんね。 
 
話の記憶の問題には、長編と短編があります。
といっても、400字詰め1枚程度から3枚ほどの長さですが、皆さんはどちらが難しいと思いますか。短い方が記憶しやすいと思われるのではないでしょうか。やってみるとわかりますが、長編は物語風になっているので、案外、想像力が働き、イメージ化しやすいようです。短編は、あっという間に終わってしまい、想像力が働かない場合があります。あらかじめ短編であるとわかっていれば、それなりに対処できますが、聞いてみなければわからないだけに、難しいですね。
 
そして、やっかいなのは文字を使えませんから、文章を読み直すことも、答えの絵に、○や△、□といった記号の指示をする設問も、聞き直すこともできません。ですから、聞き逃すと答えようがないということです。さらに、クレヨンで指定された色で記号をかくこともあります。子どもたちは、よくぞパニックにならないものだと、褒めてあげたくなりますね。「長文読解だな!」など
と簡単に済ませるほど、やさしい問題ではありません。 
 
普段から、お子さんとの対話を大切にし、お子さんの話に耳を傾けましょう。
対話の反対は沈黙と思いがちですが、立教小学校の元校長であった田中司先生は、「命令と要求」とおっしゃっていました。「命令と要求」が多くなれば、対話など成り立ちませんね。非常に的を射た指摘だと思います。
 
そして、お父さん、お母さん、お子さんに読書をしている姿を見せてください。
これが何よりの手本になるからです。さらに、お子さんがいるときに、ワイドショーなどを見るのはやめましょう。お断りしておきますが、すべてのワイドショーが駄目だといっているわけではありません。お子さんと一緒のときに見なくていいものはやめてほしいと言いたいだけです。どなたがおっしゃったのか定かではありませんが、「テレビを見る時間と教養は反比例する」そうです。
内容にもよりますが。
 
また、お子さんが読書に集中しているときは、「お使いに行きますよ!」などと、中断することは避けてあげましょう。夢中になって取り組んでいるときこそ、素晴らしい学習時間になっているからです。あらかじめ伝えておく、やさしいお母さんになってほしいですね。
 
寝る前に本を読んであげる、これも大切です。毎日続けることで、間違いなく言語能力を育むことができるからです。平成26年6月に横浜雙葉小学校は説明会を再開しましたが、挨拶に立たれたシスター田中順子学園長(当時)は、「添い寝をしながら本を読んであげることが少なくなっているのではないでしょうか」と懸念されていました。DVDなど素晴らしい作品もありますが、幼児期にはお父さん、お母さんの生の声が、何と言っても大切なのです。
 
会話を弾ませ、話を読んであげることから「話を聞く姿勢」は身につきます。
小学校の入学試験は、文字を使用しないだけに、話を聞く姿勢が身についていなければどうにもなりません。
 
最後に、「話の記憶」が苦手なお子さんへ、こういったことをやってみましょう。
 
Q「『浦島太郎』の話を知っていますか。では、先生がいくつか尋ねますから教えてくださいね。
  浦島太郎は、子どもたちがいじめていた動物を助けてあげました。何を助けたのですか」
A「亀さんです」
Q「そうですね。そのお礼にどこへ連れて行ってもらいましたか」
A「竜宮城です」
Q「そこにいたお姫さまの名前は何といいましたか」
A 「乙姫さまです」
Q「鯛やひらめもいて楽しく過ごしました。そして、帰ることになりお土産をもらいました。何をもらったのですか」
A「玉手箱です」
Q「そのとき、浦島太郎と乙姫さまは、何か約束をしましたね」
A「開けてはいけないと約束しました」
Q「そうですね。また、亀さんに送られて家に帰りましたが、両親はいましたか」
A「いいえ、いませんでした」
Q「近所の人々やお友だちはいましたか」
A「誰も知っている人はいませんでした」
Q「知っている人は誰もいない。浦島太郎は、どんな気持ちになったでしょうか」
A「寂しくなりました」
Q「そう、寂しくなったんだね。では、ここからが問題です。では、なぜ、浦島太郎は、約束を破って玉手箱を開けたのでしょうか。あなたは、どう考えますか」
 
いろいろな答えが出てきますが、自分の考えを言えたことを褒め、評価はしません。
たとえば、「何が入っているか知りたかったから開けました」と子どもが言えば、それを認めてあげ、「そうじゃないでしょう。寂しくなったからでしょう」などと大人の考え方を押し付けないことです。「寂しい経験」をしなければ、この言葉は出てきません。
 
この方式に子どもが興味を持ち始めると、次も次もと求めてくるようになります。「Q&A」を勉強ではなく、ゲーム感覚で楽しめるので、子どもたちは興味を持ち、確実に力をつけることができます。
質問を作らなければならない大人は大変ですが、楽しい思い出になります。受験準備は楽しくやりたいものです。
 
お薦めは日本の昔話です。
 
以前にも紹介しましたが、「桃太郎」「かちかち山」「さるかに合戦」「舌切りすずめ」「花咲じじい」は、日本の五大昔話ですが、皆さんは粗筋を言えるでしょうか。
 
ところで、鬼退治の主人公は、なぜ、栗太郎や柿太郎ではなく桃太郎なのでしょうか。また、家来は、「犬猿の仲」といわれる犬と猿がいるのは、なぜでしょうか。
 
命名の由来は、桃は木偏に兆と書き、桃には未来を予知し、魔を防ぐという信仰があったためで、栗太郎や柿太郎ではだめなのです。
陰陽五行説では、鬼は丑寅の方向、鬼門に棲み、その反対側、裏鬼門に配置されているのが申酉戌と考えられ、そこから知恵のある猿、勇気のある雉、仁、思いやりのある犬の家来が生まれ、「犬猿の仲」を取り持っているのが間にいる雉で、けんか騒ぎにならず収まっているのだそうです。聖徳太子の「和をもって貴しとなす」の考えが、こんなところにもありました。
 
面白いことに福澤諭吉は、家訓「ひゞのをしへ」の中で、「鬼の宝物を取るとは、けしからん!」と非難しています。(ウィキぺディアより)
 
 
(次回は、「[4]数量に関する問題(1)」についてお話しましょう。)

 
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2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第3章(3)何といっても正月ですね 睦月

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       「めぇでる教育研究所」発行
   2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第12号-
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第3章(3)何と言っても正月ですね 
 
【一月に読んであげたい本】
 
正月に関するむかし話は、たくさんありますが、この話は欠かせないでしょう。
「子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥」の十二支のことで、これを決めた事の次第を話にしたものですが、いたちが出てくるとは知りませんでした。
 
 
◆十二支のはじまり   小沢 重雄 著
 
「元旦の朝、新年のあいさつにきた順番に、その動物の年にして、人間世界を守らせてやる。ただし、一番から十二番まで」と神さまからのお触れが出て、動物たちは大喜び。ところが、ねこは、その日を忘れてしまい、運良く、本当は運悪くですが、会ったねずみに、二日目の朝だと嘘をつかれます。計られたとも知らずに、ねこは神さまのお住まいになる御殿の門を叩いたのですが、
「十二支は決まった。寝ぼけていないで、顔でも洗ってこい!」
と神さまに怒られ、だまされたと気づいたのです。それからというもの、ねこは寝ぼけないように、いつでも顔を洗うようになり、嘘を教えたねずみを追いかけるようになったのでした。
 ところが、ねこの他にも十二支に入れなかった動物がいました。いたちです。
お触れがこなかったから、やり直してほしいと申し立てをします。手を焼いた神さまでしたが、名案を考え出します。
「一年に十二日だけ、おまえの日にしてあげよう。月の始めは縁起のいい日だから。ただし、『いたちの日』とすると、他の動物が騒ぎだすから、頭に「つ」をつけることにしよう。数をいうときには、一つ、二つと、必ず『つ』をつける大切な字だから」と提案をします。
「つ、いたちですか?」
「いや、いや、『つ、いたち』では、わかってしまうから、『ついたち』と続けていうことにしよう」と説得され、月の初めを「ついたち」と呼ぶようになったのです。
 
 一月のおはなし ねこの正月 松谷 みよ子/吉沢 和夫 監修 
        日本民話の会 編 国土社 刊
 
 
12月にもお話しましたが、朔日(ついたち)は、月立(つきたち)の音便で、こもっていた月が出はじめる意味からできた言葉ですが、これを読んだとき、しばらく笑いがとまりませんでした。神さまといたちのやりとりが、本当におかしいのです。しかも、場所は図書館でしたから、困りはてた様子をご想像ください。ネットで「十二支に猫のいないわけ」を検索すると、面白い話が出ています。
 
5、6歳の子どもにとって、一日から十日までと、十四日、二十日、二十四日は、漢字の音読みと訓読みが、入り混じっていますから覚えるのも難しく、きちんといえる子はあまりいません。一日は、これで覚えられますね。二十日は、「二十日ネズミは二十日間しか生きられないから二十日ネズミというんだよ」と、得意そうに教えてくれた子がいましたが、真相は定かではありませんけれど、これで覚えられるでしょう。(※実際には妊娠期間が20日だそうです。
<編集者注>)
 
ところで、かつて小学校1年生の子どもが、この読み方を歌にしたものがあるといって歌ってくれましたが、実にうまくできていて、これで簡単に覚えられます。YouTubeで「日付の歌」と検索すると、当時は2曲でしたが、現在では何曲か出てきます。「とおか」が「とうか」となっていたりすることがありますが、よく間違える仮名遣いで、1年生の時に習います。「遠くの、大きな、氷の上を、多くの、狼、十ずつ、通った」は全部「お」ですので、覚えておくと便利です。
 
 “日付の歌”
♪いちは「ついたち」には「ふつか」 さんは「みっか」でよんは「よっか」 
ごは「いつか」ろくは「むいか」 ななは「なのか」はちは「ようか」
きゅうは「ここのか」じゅうは「とおか」 にじゅうは「はつか」♪
 
 “Days of the month in Japanese”
♪ついたち ふつか みっか よっか いつか
 むいか なのか ようか ここのか とおか
 じゅうよっか じゅうくにち はつかは私の誕生日♪
(少し省略しています)
 
「日付の歌」は、スローテンポで二十日までの入門編。リズミカルに歌うのが、“Days of the month in Japanese”です。
少し難しいかなと思いましたが、子ども達は、興味があれば、すぐに覚えてしまうものです。苦手なようでしたら、「日付の歌」で検索してみましょう。
 
 
 
正月といえば、欠かせないのは七福神でしょう。この話には、神さま一人ひとりの紹介はありませんが、七福神の話です。暮れから正月の話ですが、七福神の登場ということで、一月の話にしました。
 
◆正月の神さん   渋谷 勲 著
 ある年の大晦日に、貧乏なじいさまの家へ、七人の旅人が来て、笠を貸してほしいというので、家中、探したのですが六人分しかなく、大事にしまっていたご祝儀用の合羽を貸したのでした。
 それから一年たった大晦日の晩のことです。今年も年越しのご馳走の用意ができずに、白湯を呑んでいると、急に騒がしくなり、あの七人の旅人が入ってきたではありませんか。実は、旅人は神さまで、笠のお礼にきたのでした。打出の小槌から、米や魚やら二人の欲しいものが何でも出て、寝る場所もなくなるほどです。もっと欲しいものはないかという神さまに、「もう少し若ければ、子どもを授かりたいものだ」と、おばあさんはいいました。すると神さまは、
「明日は、元旦だ。目が覚めたら、二人そろってあいさつをしなさい」といって帰ったのです。
 元旦の朝、目を覚ました二人は、「おめでとう」とあいさつをすると、十七、八のいい若者になり、それからというもの、何人もの子宝に恵まれて一生、安穏に暮らしたのでした。
 
  一月のおはなし
   ねこの正月 松谷みよ子/吉沢和夫 監修 日本民話の会・編
                          国土社 刊
 
七福とは、「仁王経」(仁王護国般若波羅蜜経)の「七難即滅して七福即生す」に由来するものといわれ、江戸時代を築いた徳川家康が、七福によって天下を統一したとして、家康の相談役・天海僧正が、神仏の七徳を崇めるようにと七福神信仰を勧めたため、江戸時代に流行したものです。     
ちなみに、七徳とは、恵比寿の清廉、大黒の有徳、弁財天の愛敬、毘沙門天の威光、福禄寿の人望、寿老人の長寿、布袋の大量(心が広いこと)をいいます。
 
ところで、七福神の国籍(?)を調べてみると、恵比寿は日本の神道、大黒天と毘沙門天はインドの仏教、弁財天はインドのヒンドゥー教、そして布袋、寿老人、福禄寿は中国の道教から生まれた神様なのです。
 
八百万の神、森羅万象に神様がいると信じた日本人らしいですね。
 
 
 
昔は、帆掛け船に乗った七福神の絵を枕の下にしいて、いい夢を見たそうです。
その夢ですが、正月というと、これも忘れられませんね、初夢です。初夢は室町時代には、除夜から元旦にかけて見る夢でした。それが江戸時代の中頃から、除夜は起き明かす習慣となり、元日の夜に見る夢となっていましたが、「すべての事始めは二日」ということから、江戸時代後期には二日の夜に見る夢が主流となったようです。そして、現代では、元日または二日の夜に見る夢となっています。初夢といえば、これも一つ紹介しておかないといけないでしょう。
 
◆ゆめみこぞう   渋谷 薫 著
 ある長者のところに、風呂たきをしている、灰坊と呼ばれる若者がいました。
ある正月の二日の晩、灰坊は、よい夢を見たのです。その夢を長者が買おうといいますが、灰坊は売りません。怒った長者は下男に命じ、灰坊を縛り上げて木箱の中へ詰め、海に投げ込んでしまいました。
 二十一日間、波に揺られて着いたところは、鬼が島。鬼の親方に食べられる前に、海に流されたわけを聞かれ、その話をすると、親方が、その夢をくれれば食わないで、家に返してやるという。断ると、三つの宝物、刺すと死ぬ死に針、死人を生き返せる生き針、千里を一飛びする千里車と交換しないかと灰坊の前に置いたのですが、灰坊が「本物か?」と疑わしそうにいうと、試してみるがよいと腕を出したので、灰坊は、その腕に死に針を刺して殺し、生き針を持って千里車に乗り、鬼が島を脱出したのです。
 着いたところが、ある村の観音さまのお堂。休んでいると、お参りに来た人達が、朝日長者の十七になる娘が死んだと話しているのです。それを聞いた灰坊は、長者の家にかけつけ、「死んだ者を生き返す、日本一のお医者さま! 死んだ者は、おらんかなー!」と大声で叫びます。直ぐに死んだ娘の座敷に案内され、人払いをしてもらい、生き針を娘に刺してみると、生き返ったのです。
喜んだ長者は、婿になってほしいと頼み込み、灰坊は朝日長者の娘婿になったのです。これこそ灰坊が、見た夢、そのものだったのです。
 
 一月のおはなし
  ねこの正月 松谷みよ子/吉沢和夫監修 日本民話の会・編
                        国土社 刊
 
 
 
さて、初夢を見て、おせち料理をいただきますが、おせち料理の次は七草粥ですね。
「七草」に関する話が「御伽草紙」にあります。この「御伽草紙」には、「鉢かつぎ」「酒呑童子」「浦島太郎」「ものぐさ太郎」など子どもの頃に聞いた懐かしい話が入っています。原文を読むのは少し面倒ですが、図書館の子どもの部屋には、小学生から中学生向きに書き直されたものがあり気軽に読めますので大人も改めて読んでみてもいいですね。。
 
◆七草草紙 北畠 八穂 著
 正月七日に七草がゆを食べる習慣になったのは、唐国(中国)の楚の国のそばに住んでいた、大しゅうという人が始めたものだそうです。大しゅうの両親は百歳をこえ、腰は曲がり、目も耳も悪くなるばかり。そこで、両親を若くしたいと、天地の神仏に二十一日間、祈ったのでした。すると、二十一日目の夕方、帝釈天王が現れ、若返りの秘訣を授けてくれたのです。それは須弥山(しゅみせん 仏教でいう世界の中心にそびえ立つ高山のこと)に棲む白鵞鳥が八千年も生きるのは、春に七色の草を集めて食べるからで、その白鵞鳥の命を両親の命にしてあげようと、摘んでくる七草の種類、たたく順序、時間など秘薬にする方法を授けたのです。大しゅうは、七草を集め、六日の夕方からたたきだし、七日の朝に飲ませると、両親は若さを取り戻したのでした。この話が帝にも届き、褒美として広い土地をあたえ、殿さまにしたのです。それから正月七日に七草を帝へ差しあげることになったそうです。このように親に心を尽くす人には、天の幸いが授かるのです。 
 
 御伽草子  古典文学全集 13 ポプラ社 刊
 
 
 
まもなく節分です。お父さん、お母さん、大きな声を出して、元気いっぱいに豆まきをしましょう。最近、やらない家庭が増えているようですが、お子さんには、楽しい思い出になります。幼稚園や保育園で、節分の話を聞いているはずです。小さな夢を育ててあげましょう。
 
 
 
(次回は、「第4章 節分と建国記念の日でしょう」についてお話しましょう)
 
 
 
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情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する -合否を判定する必須十項目-★★[2]言語に関する問題 (1) 

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第28号>
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コロナウィルスの影響で、開催されていなかった東京私立小学校児童作品展「ほら、できたよ」が本年は開催されるようです。1月25日(木)から1月30日(火)まで松屋銀座で開催されます。意欲的な作品が多く展示され、各校の教育方針の一端を伺うこともできる作品展ですので、足を運んでみてはいかがでしょうか。
 
また、千葉県私立小学校造形展が23日までニッケコルトンプラザで開催中です。千葉県の私立小学校10校の児童の作品が展示されます。
 
 
 
★★入試問題を分析する★★
 
[2] 言語に関する問題 (1)  
 
言語に関する問題は、面接、お話作り、類似差異、しりとり、同頭語や同尾語、反対語、復唱、逆唱、同音異義語、拗音、促音、長音など発音の問題と、言葉に関するだけに、広範囲にわたっています。
 
 
[面 接]
 
親も参加する面接ではなく、制作や絵を描いているテストの中で、
「お名前を教えてください」
「住んでいるところと、電話番号を教えてください」
といった質問があります。
 
面白い話を聞きました。
名前を聞かれた子が、
「私の名前は、○○イチロウと申します」
普段、子どもがこのように言うわけはありませんから、先生は、びっくりしたそうです。
教え込むと、こういった不自然な言葉遣いになりがちですね。
 
しかし、本当に話せない子どもたちがいます。
親子の会話が、弾んでいないのでしょうね。言葉は使わなくては、肝心なときに役に立ちません。お母さんが一方的に話さずに聞き手に回りましょう。お子さんに話をさせることです。
「うちの子は、口が重いのですよ」とおっしゃるお母さん方は、「こうなんでしょう」「ああいうことなのね」と、お子さんが口を開く前に先回りをして、話をしきっている場合が多いのではないでしょうか。
 
聞くことの上手なお母さんは、話上手な子を育てます。
 
緊張して話せない場合は、先生方も無理に話しかけません。雰囲気になれるまで待ってくれるようですが、限度がありますから、尋ねられた場合は、自分の思っていることを恥ずかしがらずに話すことを教えてください。
「こんなことを言うと笑われるかな」と思っている子ども達が、案外、多いものです。
「そんなことはありませんよ」と自信を持たせることです。
 
 
 
[お話作り] 
 
★この絵を見て、どんなことを考えますか。お話してください。
★この3枚の絵を順番に並べて、お話を作り、先生に話してください。
★「電車」「お父さん」「新聞」の三つの言葉を使って、お話を作ってください。
 
これも難しいですね、絵を見て話を作るからです。
話の内容から、お子さんの情緒の発達状況もわかります。
以前にもお話しましたが、未分化であった「喜び」「愛情」「恐れ」「心配」「怒り」といった情緒が分化する時期だからです。
ダンボールに入れて捨てられている子猫の絵を見て、子どもはどう思うでしょうか。
これは情緒の分野ですから、大人の思惑を押し付けずに、子どもの感性に心を傾けることが大切です。
 
月齢の差が激しく出る時期でもありますから、子ども自身の発想を引き出すのは、本当に難しいですね。
ある国立大学附属小学校で作文の時間に、「『お母さん、あのね!』と、お母さんに話しかけるように書きましょう」と指導している話を聞き、早速、取り入れると、これは効果がありました。
お母さんに話しかける気持ちで作ると、話を聞いてくれる対象が決まりますからリラックスでき、何を伝えたいかを考え、発想も豊かになるようです。
もちろん、「お父さん、あのね!」でも、同じ効果を発揮します。
 
大人もそうですが、経験していないことはわかりません。それでも大人は、今まで積んできたよく似たような経験や、本などで読んだことなどから想像して、何とか答えられます。
しかし、子どもは、まだ経験の範囲も狭く、読書量も少ないですから、おかしな話になりがちです。そこでお母さんが教え込むと、大人の考えが顔を出している話になりがちです。
 
「いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのようにと、筋道立てて作らなければいけないのでしょうか」などとおっしゃるお母さん方がいますが、まだ、幼児には難しい注文です。日本の昔話などで知らず知らずのうちに身についているお子さんは別として、小学校でも、高学年にならないとできませんし、そんなことを強制していると、国語の嫌いな子になります。
 
国語は、すべての勉強の基礎ですから、大変なことになりかねません。
こういった鋳型にはめ込むようなことを無理強いしても、子どもらしい発想は、湧き上がってきません。お子さんの感性を大切にしてあげましょう。
しかし、どう考えても妥当でないと思える場合は、全部、否定するのではなく、お子さんの話をよく考えてあげ、修正することが大切です。
認めてあげることでやる気を起こさせ、そこから子どもの力は伸びていくからです。
 
問題集を買って、「話づくりのテクニック」なるものを教え込む前に、やるべきことがあります。 
本をたくさん読んであげ、子どもの話に耳を傾けることです。
そして、身の周りのことに、こだわりましょう。
花瓶にいけてある季節折々の花、道端に咲くたんぽぽの花、投げ捨てられた空き缶1個からでも、話を作るきっかけになります。
「これ、どう思う?」
一緒に考えて、思ったこと、感じたことを話し合うことも大切です。
とにかく、言葉は使わなければどうにもなりません。
しかし、遊びの感覚で取り組まなくては、子どもは嫌がります。
お母さんの顔をチラッチラッと見ながら話すようでは、やめましょう。
お母さんの期待する話に展開しないため、不満気な顔になっているはずだからです。
 
「話を聞き、どう感じたか」、「その後の展開はどうなるか」といったことを話したり、絵で表現し、描いた絵について質問をされたり、みんなの前で発表するなどの試験も行われています。
ある年の慶應義塾幼稚舎で、ドラえもんの縫いぐるみを着た先生が、水色のドアの前に来て、ドアを開け、「行きたいところの絵を描きなさい!」といった試験がありました。「どこでもドア」ですが、学校側は、何を評価したかったのでしょうか。
 
絵は、心で感じたことを表したものですから、言葉で表現できるはずです。一枚の絵から、どんな世界が表現されてくるか、耳を傾けましょう。また、絵を描かせるのは、絵の巧拙だけを見ているのではありません。どう感じたか、感性の世界です。感性は、体験を積み重ねて育まれたものであることを忘れてはならないでしょう。
オーバーかもしれませんが、特定のテーマに関し肯定側と否定側に分かれ行う議論、ディベートの苦手な私たち日本人は、小さい頃から、こういった経験が少ないことにも原因があるのではないでしょうか。
 
 
 
[類似差異の問題]
 
★「チューリップと桜を比べて、似ているところと違うところを先生に教えてください」
 
何回もお話しましたが、幼児の頭の働きは、ものを見て、比べ、同じところ、違うところを見つけることから始まります。
大人の観察力と違っているところがあります。チューリップと桜では、大人は木に咲く花、球根から育つ、花の大きさなど目で見えるものなど、理科の領域内で考えます。
 
こういう子がいました。
「チューリップは、『親指姫』のお話に出てきて、桜は、『花さかじいさん』に出てくるから、話に出てくるところが同じです」
童話の世界です、いいではありませんか。
 
「チューリップは食べられませんが、桜は食べられます」
桜餅のことで、食文化の世界です。食べたときの食感が残っていたのでしょう。
桜の葉は、何ともいえない香りが、ほのかにします。
また、落ち葉にも、同じような香りが残っていますが、この子は、それを知っていたのでしょう。おそらく、落葉の頃に、公園で拾った桜の葉の匂いをかいだのかも知れません。
 
好奇心と観察力をほめてあげるべきです。こういう発想は、頭が堅くなった大人には無理でしょう。これで、いいわけです。
 
「子どもが考えて、自分の言葉で発表できる」、これは素晴らしいことです。
そして話を聞き、なるほどとうなずける内容であれば、正解と認めてあげましょう。
 
しかし、塩化ビニールの葉っぱでくるまれた桜餅では、こういった発想は生まれませんね。
また、落ち込みそうです。
 
この問題は、自分の考えを言葉で表現しますから、やるべきです。お母さんと二人でできます。ただし、教え込まないことです。子どもの発想を無視せずに、きちんと聞いてあげることです。そして、子どもの考え方に妥当性があれば、それで正解です。しかし、「これはおかしい」と思う場合は、やさしく訂正してあげましょう。
 
かつて、アメリカでベストセラーになった「人生で必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」(河出書房新社 刊)の第1章 私の生活信条(19ページ)に、こう書いてあります。
 
「『不思議だな』と思う気持ちを大切にすること。(中略)デイックとジェーンを主人公にした子供の本で最初に覚えた言葉を思い出そう。何よりも大切な意味を持つ言葉。“見てごらん”」(“  ”は引用者)
 
「見て(自然に目に入るseeではなく意識して見るwatch)、考え、そして類似と差異に気づくこと」、こういった感性を大切に育んであげたいものです。
 
 
 (次回は、「言語に関する問題(2)」についてお話ししましょう)

 
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2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第3章(2)何といっても正月ですね 睦月

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       「めぇでる教育研究所」発行
   2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第11号-
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コロナ禍で実施されていなかった東京私立小学校児童作品展「ほら、できたよ」が今年は開催されることとなりました。今回で39回を迎えます。1月25日(木)から30日(火)まで、銀座の松屋で開催されます。毎回、意欲的な作品が展示され興味が尽きませんが、受験する学校の作品、見てみませんか。
 
 
 
第3章(2)何といってもお正月ですね  睦月
 
◇お節料理◇
 
お雑煮を食べながらいただくのがお節料理です。木製できれいな絵や模様で飾られ、二重から五重に積み重ね最上段にふたのある重箱にいろいろな料理を詰めます。お節料理は、元日の朝、元旦に神さまと一緒にお祝いをして、家族が健康で良いことがたくさんあるように、お祈りをするための食事ですから、縁起ものしか選ばれません。
 
「三つ肴」または「祝い肴」といって、この三種でお節料理を代表するものがある。三は完全を意味し、全体を一つにまとめる働きをしている。三つ肴とは、関東では黒豆、数の子、五万米(ごまめ)をいい、関西では、黒豆、数の子、敲き牛蒡(たたきごぼう)をいう。
(年中行事を『科学』する 永田 久 著 日本経済社 刊 P9)
 
黒は魔除けの色といわれ悪魔が嫌う色、豆は「まめに生きる」、真面目に健康に生きる願いが、数の子は、鰊(にしん)の卵巣で、数万の卵があることから「数多い子」、子孫繁栄の意味で、縁起がよいといわれ、「春告魚」とも書き「春よ早く来い!」と願い、ごまめは「五万米」とも書くことで豊作を、牛蒡(ごぼう)は、お米がたくさん取れた時に飛んでくるといわれる黒い瑞鳥を表したものです。
 
他にも、きんとんは「金団」と書いて「金の塊」のこと、だて巻の「伊達」は「粋で美しいさま」、かまぼこの赤は、黒と同様に「魔よけ」、白は「清浄」を表し、八つ頭は「人の頭に立つ人になってほしいことを願っている」といったように、お節料理は縁起を担いだ食べ物からできています。
 
正式なお節料理は、四段重ねです。上から一の重、二の重といい、一の重には三つの肴、黒豆、数の子、ごまめ、二の重は「口取り」といい金団、ゆず玉、だて巻などオードブルが、三の重は海老や鮑、鯛などの「海の幸」を、四の重は「与の重」といい、八つ頭、はす、くわい、里芋などの「山の幸」を入れ、詰める品数は奇数がよいとされ、ここまでこだわります。
 
お節料理は、三が日の間、お母さん方から料理する手間を開放してあげる配慮があったと聞きましたが、その通りではなかったでしょうか。
 
 
 
◇屠 蘇◇
 
読み方からしてやっかいですが、「とそ」といって、山椒、肉桂(にっけい)、桔梗(ききょう)、ぼうふうなどの薬草を、砕いて調合した屠蘇散をひたした味醂のことで、正月のセレモニーの主役です。これを杯に注いで「おめでとうございます」と言って、新年の朝祝いが始まります。
 
現代は年末年始に旅行に行くご家庭も多いので、このセレモニーをされているご家庭でどれくらいでしょうか。
 
さて、話を戻しましょう。
 
この屠蘇ですが、不老長寿の効き目があると言われ、正月の祝い酒でした。山椒はうなぎを食べるときに使うものですし、肉桂はにっきのことで刺激が強く、桔梗は根を干したものはせき止めの薬で、ぼうふうはセリの仲間です。聞いただけで飲むのを遠慮したくなりそうです。
 
しかし、何事も訳ありです。
屠蘇は、「鬼気を屠絶し、人魂を蘇生させる」という意味があり、「その年の邪気を払い、寿命をのばす働きがある」と信じられ、正月には欠かせない祝い酒でもあったのです。
 
 
 
★★初詣★★
 
朝祝いが済むと、近所の氏神さまへお参りをします。現代は、全国的に有名な神社、仏閣に参拝している方も多いようですが、生まれた土地の神さま、産土(うぶすな)神社へ、神さまに失礼にならない服装に着替え、出かけてみましょう。
 
そして、お子さんにも神前で、静かに頭を下げ、新年の希望や誓いなどをさせましょう。目に見えない大いなる存在に畏怖を抱くのは、決して悪いことではありません。親が、きちんと礼拝をする姿を見せれば、それで十分なのです。
 
我々日本人は畏怖することを忘れ、目に見えないものを敬うことを忘れ始めたような気がしてなりません。
(「平成お徒歩日記」 宮部 みゆき 著 新潮社刊 P193)
 
帰りには、不幸をもたらす悪魔を払う「破魔矢」や、七転び八起きを願う「だるま」などの縁起物を買い、そのいわれを話してあげ部屋に飾っておきましょう。
 
 
 
★★正月の遊び★★
 
かつては、たこ上げ、羽根つき、カルタにすご六、福笑いが、正月の遊びの定番でした。
今の子どもは、友だちと遊ぶにも、テレビゲームやスマートフォン、タブレット、など、画面を通して遊ぶことが多くなっています。
画面を介してではなく、直接触れ合って遊ぶことで社会性が育ちます。社会性が育たないと、共に生きる共生の心も育まれません。人は一人では生きられないことを、もっと教える必要があるのではないでしょうか。
 
ところで、昔の遊びの中にもいいものもあります。例えば、すご六です。サイコロを振り、出た目だけ動かなければなりません。しかも前後左右に進んだり戻ったりしますから、混乱しがちです。5、6歳の子にとって、出た数だけ上下、左右に移動するのは難しいものです。いわゆる「位置の確認」で、こういう遊びで覚えるのが効果的なのですが……。
 
このサイコロですが、2つ使うと最高12までの足し算ができます。二人で1個ずつ振り、数の大きさで勝ち負けを競えば、引き算になります。数字を使いませんが、出た目を数えるだけで、簡単に答えが出ます。その上をいく優れ物が、トランプです。ゲームは勝敗が伴いますから、真剣に遊びます。カードにはマークと数字がありますから、算数の学習、数感の学習になっています。
 
トランプの4つのマークですが、ハートは僧侶、スペードは軍人、ダイヤは商人、クラブは農民と身分階級を表しています。何事も訳ありなのですね。
 
 
 
★★春の七草★★
 
言葉だけが、一人歩きしているようです。
七草は、せり、なずな、御形(ごぎょう 母子草)、はこべら(はこべ)、仏の座(たびら子の別称)、すずな(かぶ あおな)、すずしろ(大根 鏡草)のことです。昔は、春を告げる七草を親子で摘み、お節料理やお餅を食べすぎて、お腹の調子が少し悪くなった時に、消化のよいお粥に七草を入れて食べ、春を実感していたのでしょう。
 
ちなみに、セリは解毒・食欲増進・神経痛・リュウマチに、なずなは高血圧・貧血・食欲増進に、御形は咳止め・痰切り・利尿作用に、はこべらは歯槽膿漏・催乳・健胃整腸に、仏の座は体質改善に、すずな、すずしろは骨粗鬆症・腸内環境改善に良いという説があるそうです。(三島函南農業協同組合「七草がゆセット」のしおり より)
 
この七草に関して、覚えやすい歌があります。
  せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、
  すずな、すずしろ、これぞ七草
      左大臣 四辻 善成(平安時代)
 
最後に、おもしろい話を紹介しましょう。
 
大根は、野菜の王様で消化によく、食あたりしない。大根役者とは、当たらない役者のことである。「千六本」というのは、大根を細長く刻んだものであるが、大根を中国では「蘿蔔」といい、これを唐宋音でローポと発音した。細長く刻んだ大根=繊蘿蔔(センローポ)が日本でセンロッポンと訛って千六本と書いた。千という字によって「たくさんの」という意味を感じて細かく切り刻んでしまう人もいれば、「人参を千六本に切って」などと料理教室で教える先生もいる。六本というのをどう解釈しているのかと考えると、ふきだしたくなる。
(年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P33)
 
最近はニンジンを切る時にも使われているようですが、語源を知っていると永田先生でなくても笑えますね。
 
 (次回は、「1月に読んであげたい本」についてお話しましょう)
 
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話 
情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、
制作したものです】
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する -合否を判定する必須十項目-★★[1]巧緻性に関する問題

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第27号>
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★★入試問題を分析する -合否を判定する必須十項目-★★
 
[1]巧緻性に関する問題
 
聞き慣れない言葉です。
「きめこまかく上手にできていること」という意味ですが、11月に詳しくお話しました「手は第二の脳」(11号から14号)を思い出してください。重複するところもありますが、大切な問題ですから繰り返します。巧緻性に関しては、「塗る・折る・切る・貼る・結ぶ・摘む・包む」といった手作業、何かを作ったり、絵を描いたり、手本と同じものを描いたりする問題があります。なぜ、出題されるのでしょうか。手作業は、誰の手も借りずに、指示されたことができるかどうかで、自立の状態がわかるからです。
 
 
[制 作]
 
課題制作と自由制作があります。
 
◆課題制作
★「今から、動物の起き上がりこぼしを作ります。
 このように、画用紙を半分に折り、折り目のところが背中になるように動物を描きます。描けたら動物を、このように切り抜きます。そして、別の紙を筒のようにまるめ、それに動物をホチキスで止めます。最後に、セロテープで粘土を筒の中に貼り、出来上がりです。」
 
先生が、やっているのを見てから制作に取り組みます。
 
◆自由制作
★(空き箱、画用紙、色紙、折り紙、セロハン、リボン、ひも、モール、輪ゴムなどの材料や、はさみ、のり、ホチキス、クレヨンなどが置かれています。)
 「ここにあるものを自由に使って、自分の好きなものを作りなさい。」
 
まず、注意しておきましょう。
子どもたちの大好きな制作ですから張り切りますが、先生の説明中に手を出す子がいます。待てないのです。きちんと聞いておかなければ、手順がわかりませんから、途中でギブアップすることになりかねません。
普段の生活態度が、そのまま正直に出がちです。お子さんに何かを頼んだときなど、最後まできちんと聞いているでしょうか。聞いていれば心配ありませんが、何といっても「話を聞き、指示どおりに行動できるか」がポイントだからです。
幼稚園は自由保育ですが、小学校は一斉授業ですから自分勝手にやるわけにはいきません。
しかも試験ですから、規則違反にチェックが入ります。
 
なお、制作を苦手とするお子さんの場合は、もう一度、「鍛えてほしい第二の脳」をお読みになり、早いうちに対処しておきましょう。基本作業は、幼児教室の先生にお任せではなく、家庭できちんと身につけるものです。これをおざなりにしていると、制作に興味をもてなくなりがちで、行動観察型のテストが苦手になることを、しっかりと胸に刻んでおきましょう。
 
 
 
[模 写]
 
★お手本と同じように描きましょう。
 
模写は、文字通り、お手本と同じものをまねて写すことです。
点図形と線や図形の模写があります。点図形は、対称図形が多く、見た目もきれいですから面白そうですね。簡単なものも手抜きをせず、きちんと線を引くことが大切です。
 
しかも、大人が考えるより難しい作業です。どこから始めたらよいのか迷ってしまうものや、必ずしも点と点を結ぶとは限らず、点と点の間を抜けていくのもあります。これは、納得するのに時間がかかります。
「点と点を結ぶのに、何で抜かすのですか? そんなのずるいですよ!」
と不満に思っている子がいますが、こだわるから仕掛けに気づいて間違わないわけです。
 
そして、この問題も根気がいります。どこがどうなっているのか、試行錯誤を積み重ねた方が、後で効果が表れます。観察力と集中力、そして持久力や忍耐力も身につきます。さらに、全体のバランス感覚を養うのにも役立ちます。なぜなら、隅から隅まで、全体をきちんと見なければならないからです。それが絵を描くときにも生きてきます。
 
模写の問題で見逃せないのは、性格まで姿を表すことでしょう。
 
点と点をつなぐ直線がよじれたり、脱線をしたり、通過すべき点を無視する子は、何をやっても雑なところがありますね。スピードを競っているようですが、描けていればいいのではありません。完成度から美醜の感覚、基本的な生活習慣、しつけ、育児の姿勢まで判定することも可能です。最初が、肝心です。ゆっくりと丁寧に、時間をかけて、美しく描くことが基本です。そして、忘れがちなことですが、姿勢が悪ければ描く線も乱れます。背筋をきちんと伸ばし、左手でペーパーをしっかりと押さえ、筆記用具をきちんと持って描く習慣を身につけましょう。
 
<線の模写>
はじめに、点線などで手本が示されていますから、それを指でなぞり、どのようにすればスムーズに描けるか、必ず確かめましょう。
指で何回もなぞり、脳に一筆で描ける感覚をしっかりと学習させることが大切です。
三角形が連続する鮫の歯のような直線や、半円が上下に反転しながら連続するもの、曲線では、筆記体のアルファベットの小文字「エル」の連続したものもあり、上下が逆になると、ぶどうの房のように見えますが、「エル」は下から上に左回りで描きますから、それに従い連続して描き、上からの場合は、上から下へ右回り、時計回りで描きます。房の長さや間隔が乱れないように注意を促しましょう。
しかし、いずれも難しい作業でなかなかうまく描けませんから、根気よく取り組むことが大切です。
 
<図形の模写>
これは、難しいですね。
線の模写と違い、四角、三角、円、菱形、ハートなどさまざまな図形が、いろいろな組み合わせで出題されますから、それを描く子どもたちには、至難の業だと思います。やってみるとわかりますが、全体の配置状態、バランスをつかむことは容易ではありません。
 
以前にもお話しましたが、図形の○△□は、書写、運筆の基礎トレーニングですから、正確に描けるようにすることが大切です。
 
○は、下から時計まわりで描きます。上から左回りに描くのは数字のゼロです。
△は、頂点から左斜め下へ、そこから頂点に戻って右斜め下へ、最後に左から右へ底辺を描きます。左斜め下から、いきなり右方向へ底辺を描き、今度は左斜め上の頂点を目指して描くのは、大人の使う簡略法で、子どもにとっては書写違反です。
□は、漢字の国がまえと同じです。左から下におりて、そのまま戻らずに、左回りで一周する子がいますが、これも書写違反になります。
文字には筆順がありますから、こういった図形をきちんと描ける子は、きれいな字を書けるようになります。
 
基本的なトレーニングとしてお勧めしたいのは、例えば、大きな○を描き、その中に、それより小さな形をどんどん描くことです。□△◇も同じようにやってみましょう。前のものより小さく描き、その微妙な差を脳に教えることができるからです。線の模写と同様、難しいですから、お子さんはうまく描けずに嫌がると思います。あせらず、じっくりと時間をかけ、丁寧に描けるように導いてあげましょう。
 
ところで、頼りない線を引く子がいますが、多くの場合、鉛筆を正しく持てていないからで、おそらく、はしの持ち方もおかしいのではないでしょうか。これを解決してから挑戦しましょう。
 
ただし、はしの持ち方は、食事の時にうるさく言わないことです。朝、昼、晩と三度、同じことを言われていては、気が滅入りますから、以下のようなトレーニングがいいのではないでしょうか。
 
Bか2Bの鉛筆で、直線や円などを殴り描きさせると効果が表れるものです。
これは、スピードを上げてもかまいません。なぜなら、速く描くには、鉛筆をしっかりと持たねばなりませんし、どの辺を持てばよいかもわかるからです。
力み過ぎは、手首を疲れさせるだけですが、力配分やバランスも、やっているうちにわかってきます。
三角軸の鉛筆を使うのもいいですね。
そして、ボール遊び、縄跳び、鉄棒など両手を使う運動をやることで握力をつけましょう。
机の上だけではないトレーニングにも、目を向けてください。はしの持ち方にも変化が出てくるはずです。
 
 
[はしを使った問題]
 
★(角砂糖ぐらいの大きさのプラスチックの立方体が、たくさんお椀の中にあり、はしと空のお椀が用意されている)
 「お椀の中のものを、別のお椀にはしを使って、一つずつ移してください。」
 
「摘む」手作業の試験です。豆の他に、はしでスーパーボールや玩具のミニチュアの果物、落花生、金平糖をつかむ問題が出ています。
 
豆を買ってきて、割りばしを使い、懸命に練習をする話を聞きますが、何かおかしな気がします。これは、試験のために練習をして身につけるものでしょうか。体や筋肉の運動的な発達に関わることですし、基本的な生活習慣の大切な課題ですから、しつけと関係があります。
 
一応の目安として、3歳ぐらいからはしを使えるようになり、5歳頃には、巧みに使えるようになるといわれています。
 
生活習慣とは、「誰の手も借りずに自力で生活していくために身につけるもの」であることを忘れては、受験準備どころではないのではと思います。
 
第14号で紹介しました、立教女学院小学校の説明会での話を思い出してください。当時の教頭先生は、こうおっしゃっていました。
 
「鉛筆の持ち方やはしの持ち方は、一度悪い癖がつくと直しにくいので、家庭で正しい持ち方、使い方を身につけさせてほしい。あえてこの場で申し上げますが、今年度もテストの中ではしを使う場面がございましたら、はしで物を運ぶ速さを競っているのではなく、正しいはしの持ち方ができているかを見ていることをご理解いただきたい。テストの主旨はそこにあります。日本の文化でもあるはしの使い方を、きちんと身につけてほしいと考えています」
 
幼稚園児が、ペーパーテストに強くても、正しくはしを持ち食事のできない方が、よほど恐い話です。「九九、八十一!」とそらんじている子が、お母さんに靴をはくのを手伝ってもらっているようでは、やはり、おかしいですね。
 
練習しなければ、うまくはけないのは当たり前です。それを手伝うのですから、脳から司令は出ませんし、筋肉も反応しません。手をかけた分、脳も筋肉も楽をしているのですから、不器用になるわけです。
 
手を貸し過ぎていることはありませんか。
 
モンテッソーリの「敏感期」ではありませんが、幼児期には、これから使う筋肉を鍛えなければならない大切な時期があります。赤ちゃんは、なぜ、はいはいをするのか思い出してください。
 
ある私立の名門校では、鉛筆を削るのに「肥後守」(ひごのかみ)を使っていたという話を聞きました。「肥後守」とは、刃を収めるさやに「肥後守」と銘のある折り畳み式の小刀(こがたな)のことです。鉛筆削り器が出る前は、小刀で鉛筆を削るということは、誰もが練習をし、身につける、当たり前のことでした。しかし、全神経を手先に集中しなければ、けがをしかねない大変な作業です。危険を伴う作業は、大げさにいえば、幼いなりに危機管理が必要であることを学習していたのではないかと思います。使い方を誤れば凶器になることを教えずに、ただむやみに禁止するのは、教育的な配慮に欠けますが、こういったことはお父さん方が使って見せることもいいのではないでしょうか。
 
脱線しましたが、その他に、折り紙を折ったり、はさみで線や、線と線の間を切らせたり、ひもを結ばせたり、積み木をハンカチで包ませる問題もあります。
ひも結びやハンカチでものを包むのも苦手ですね、特に、男の子は。やったことがないからできないのだと思います。普段、お母さん方も風呂敷で物を包むことなど、ほとんどないでしょう。お弁当をハンカチで包むようにすれば、解決できます。第二の脳を活用すれば知力も向上しますから、一石二鳥にもなります。
 
巧緻性の問題には、お子さんの生活環境までわかる要素も含まれています。乱暴な線や心細い線を引くような場合、その原因は、日常生活の中で、いろいろな形でサインが出ていると思います。口うるさく注意する前に、どのようなサインが出ているかチェックしてみましょう。
 
 
   (次回は、「言語の問題」についてお話しましょう)
 
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2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第3章(1)何といっても正月ですね 睦月

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       「めぇでる教育研究所」発行
   2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第10号-
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第3章(1)何といっても正月ですね 睦月
 
 
物の本によれば、睦月(むつき)のいわれには、正月は身分の上下、老若男女、分け隔てなく行き来し、親族一同、仲よく「睦み合う」という説が有力だそうで、その他にも「元つ月」、草木が萌えいずる「萌(もゆ)月」、春陽が発生する「生む月」、稲の実を初めて水に浸す「実(み)月」なのだとする説もあるようです。
 
   お正月の歌
     ♪もういくつ寝るとお正月   お正月には凧あげて
      こまを回して遊びましょう  早く来い来いお正月♪
 
正月になるとこの歌ですね。子どもは正月が楽しみにしていますね。お餅を食べられるのとお年玉を貰えるますから。
 
ところで、この歌の作曲者はどなただと思いますか。瀧廉太郎です。童謡や唱歌には素晴らしいものがたくさんあります。お子さんと一緒に歌うべきだと思いますね。幼児期の思い出は、こういった歌からも残っていくものではないでしょうか。
 
さて、元日の朝ですが、いつもの朝と違い「特別な朝」という感じがしたものです。
 
元日は、その年の神さま、年神さまがやってきて、前の年の神さまと交代する日でした。ですから、神さまを中心に生活が営まれていた時代には、「おめでとうございます」といっていたのは、人と人が挨拶をするのではなく、新しい神さまを迎える言葉として使っていたそうです。
 
ですから、「あけおめ」などという言葉を聞くと「何と不謹慎なことよ!」と神さまに叱られそうですね(笑)。門松、しめ飾り、鏡餅、そしておせち料理も、みんな神さまをお迎えするセレモニーに必要なものだったのです。中には語呂合わせのようなものもありますが、「これはすごい!」と思わず膝を叩きたくなるのもあります。
 
 
 
★★正月の三点セット★★
 
◇しめ飾り◇
本来、しめ縄は、神前など神聖なものと不浄なものとの境界線を示すために張る縄のことで、わらを左捻(よ)りにして、三筋、五筋、七筋と順々にひねり垂らし、その間に四手を下げたものです。四手とは、紙(昔は木綿)を細長く切ってさげたものです。   
稲や麦の茎を干したわらで作ったしめ飾りで神さまを迎えるのも、農耕民族の生活の基盤は米ですから、わかるような気がしませんか。
 
地方によっては、えびや橙(だいだい)を一緒に飾った豪華版もあります。えびは「海老」とも書きますが、文字、そのものが「海のご隠居さん」で、体が曲がっている姿からお年寄りにたとえ、長寿を祈願したものです。これが漢字の楽しいところで、何となくイメージが浮かんできます。“LOBSTER”と書かれていても、何のイメージもわきませんが、字の並びに何か意味があるのでしょうか。橙は、一家の幸せが、「代々」続いて欲しいという語呂合わせです。神さまを迎えるしめ縄に、いろいろとお願いするのですから、頼まれる神さまも大変です。
 
 
◇門 松◇
門松の方が、まだ受け継がれているかもしれません。しかし、庶民派の門松は松だけです。銀行やデパート、大きな会社の入り口には、立派な門松が飾られています。松竹梅、鰻重が頭に浮かびますが、これも当然、意味ありでした。
 
松は常緑樹ですから、葉は一年中、緑色で冬の寒さをものともしません。
竹は真っすぐ伸びていきますから、横道にそれない芯の強さがあり、雪の日など他の木は雪の重みで折れがちですが、竹はしなって頑張り、雪の方が我慢できずに滑り落ちます。
かぐや姫の生れ故郷は竹の中、空っぽで「腹に一物もなく」、唐竹を割ると一直線に割れることから曲がったことが嫌いということを表していますね。
梅は北風が吹き荒れ、他の木々は葉を落とし寒そうですが、梅は頑張って小さな花をリンと咲かせ、「春近し」を告げています。
 
松竹梅、語呂もいいですね。この縁起物の三つを玄関に飾り、年神さまが、確実に我が家に来ていただくための道標、表札の役をしていたのではないでしょうか。昔は盆にはきゅうりの馬となすで作った牛を飾りましたが、正月は神さまを、盆には仏さまを迎えるための飾り物で、季節折々の花や農作物を供えるところからも、農耕民族であることがわかります。
 
何かにつけて、事の起こりは中国ではと考えますが、松竹梅も、厳しい冬を堪えて生きるみやびやかな木、「厳冬の三友」といわれ、それが日本に伝わり、「長寿・節操・清廉」などの解釈を加え、めでたいもののシンボルとなったのです。いや、それだけではありません。後程、紹介しますが、あっと驚く秘密が隠されているではありませんか。
 
 
◇鏡 餅◇
鏡餅は、年神さまから頂いた新しい魂を表したものです。丸い形は、角を立てないように、みんなで仲良く暮らそうという意味が込められています。お飾りは、地方によって勝栗、干柿、扇など多種多彩ですが、橙、ゆずり葉、昆布、裏白などが一般的でしょう。橙は長寿、ゆずり葉は新しい葉が出てから古い葉が落ちることから「譲り葉」、家督を子孫に譲ること、昆布は「喜ぶ」の語呂合わせと子生(こぶ)、子どもが生まれることを願い、裏白は葉の裏側が白いしだ類(わらび、ぜんまいの仲間)で、うしろ暗いところがなく、清らかで汚れのない心を表しています。
 
 
 
★★松竹梅に隠された秘密★★
 
何やら週刊誌の見出し風ですが、文句なしにすごい秘密が隠されているのです。
初めて読んだときの驚きといったらありませんでした。少し長くなりますが、紹介しましょう。
 
陰陽の立場から松竹梅をみると、松は陽、竹も陽、そして梅は陰である。
松竹梅は陰と陽が相まって完全な世界を構成するという哲理にもかなっている
わけである。さらに、植物学の上から考えると、松竹梅が植物界を代表してい
ることが知られている。植物を分類すると、顕花植物と隠花植物に分けられ、
顕花植物は裸子植物と被子植物から成り立っている。さらに被子植物は、単子
葉類と双子葉類に分類される。ところで、松は種子を裸にしているので裸子植
物であり、竹は種子が実の中にあって、しかも子葉が一枚しかないので、被子
植物の単子葉類、梅も被子植物であるが子葉を二枚持っているので双子葉類と
いうわけで、松竹梅が顕花植物の典型的な代表例となっている。このすばらし
い事実を古代人が知っていたのであろうか。松竹梅の意義の深さに、めでたい
ということよりも、頭の下がる思いがする。
ついでに隠花植物について述べると、正月飾りとしてすでに述べた裏白をその
代表にあげることができる。こうして松竹梅と裏白とで植物界をおおうことに
よって、正月をより意義のあるものにすることができるというわけである。
  
■植 物 界■
 ◆花が咲き実を結び種を作る(顕花植物)
  種が裸のもの  (裸子植物)………………………………… 松 
  種が実の中のもの(被子植物) 葉が一枚(単子葉類)…… 竹 
  葉が二枚(双子葉類)…… 梅   
 ◆花は咲かせず胞子で増える(隠花植物)…………………… 裏白 
 
(年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P28-29)
 
 
いかがでしょうか。先生の書かれた図を参考に、わたし流に書き加えると以下のようになります。植物には、梅、桜のように種を作るものと、コケやシダのように花を咲かせないで胞子でふえるものがあります。種には、竹や梅のように種が実の中に包まれているものと、松、銀杏(いちょう)、蘇鉄(そてつ)のように種が裸のままのものがあります。種が実の中にあるものをまくと、芽を出した時に最初に出る葉が、一枚のものと二枚のものとあります。
 
松竹梅というと、寿司屋などでは、上中並と同じように値段を表すのに使っていますが、実は、こういう素晴らしい意味があるのです。本当に不思議ですね。
 
「なるほど!」と納得するばかりではなく、感動しませんか。昔から受け継がれているものには、それなりの意味があるわけです。また、こういったことを科学的に実証する先生がいらっしゃったのも、頼もしい限りではありませんか。
 
 
 
★★正月の食べ物★★
 
正月の食べ物といえば、雑煮とお節料理ですが、皆さんは食べましたか。
 
◇雑 煮◇
雑煮は、大晦日の夜に、神さまをお迎えするためにお供えをした食べ物を、神さまと一緒に食べ、神さまの力を授かる食べ物です。雑煮は、必ず、青い葉っぱを入れるのが決まりで、「葉っぱを入れる」「菜を入れる」から「名をあげる」「成功して名前が知られるようになる」に通じるので、青い葉っぱを入れるのだそうです。
 
餅は本来、丸いものですが、東日本では四角に切った切り餅を、関西では丸い餅を使っています。雑煮の作り方ですが、東京では、餅を焼いてから椀に入れ、具や汁を入れますが、大阪では、ゆでてから椀に入れます。
 
味付けも、すまし・醤油ベースや白味噌ベースなど、地域によって様々です。
 
織田信長に面白い逸話が残されています。ある年の元日の朝、信長の雑煮の膳に、箸が片方しか添えられていなかったのです。あの短気な信長のことですから、平穏に収まるわけがありません。しかし、怒り心頭に発した信長を、木下藤吉郎(後の太閤秀吉)が、「今年から諸国をかたはし取りにされる吉兆でございます」と言い換え、ご機嫌が直ったそうです。
 
また、「曽呂利新左衛門のとんち話」の中に、病気見舞いに送られてきた松竹梅の盆栽が枯れたのを見て落胆した秀吉を、新左衛門の機知で吉報に変えてしまう話があります。
 
とんち話には傑作な話がたくさんありますが、おすすめは、寺村輝夫のとんち話シリーズ「一休さん」・「吉四六(きっちょうむ)さん」・「彦一さん」(あかね書房 刊)で、大人でもしっかりと笑えますので、ご一読を。
 
(次回は、「正月の食べ物」他についてお話しましょう)
 
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話 
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