めぇでるコラム

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★(2)言語に関する問題 (3)

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        「めぇでる教育研究所」発行
     2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
  現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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★★入試問題を分析する★★
[3] 数量に関する問題(3)
 
「城北・埼玉地域私立小学校合同相談会」が3月1日(日)、赤羽にある星美
学園小学校で行われましたが、急勾配の師団坂を上りきったところにある正門
の横に、「いかのおすし」のポスターがありました。これは防犯標語で、「い
か」は「いかない(知らない人についていかない)」。「の」は「乗らない(知
らない人の車や誘いにのらない)」、「お」は「大きな声で叫ぶ」、「す」は
「すぐ逃げる」、「し」は「知らせる(何かあったらすぐ大人に知らせる)」
の頭文字をとったもの。東京都教育庁と警視庁少年育成課が考えたもので、平
成16年から防犯用語として使用されているそうです。近所の小学生に聞いた
ところ知っていましたね。毎年、星美学園小学校の説明会に参加していて気付
かなかったのは、迂闊でした。
 
[量の問題]
辞書を引くと、「計って決められる、かさ、容積、軽重、大小、多少等」
(「岩波国語辞典」より)とありますが、これに、ひもや鉛筆、国旗を掲揚す
るポールなどの長短を加えれば、入試に対応できるでしょう。
 
また、実験です。
同じ形をした容量も同じコップを2個用意し、ジュースを片方に少し多めに入
れておき、「多い方、飲んでも、いいですよ」といったとき、サッと多い方に
手が出れば、量に関する概念も順調に発育しています。 数と同じように、直
感で見分けられることが大切です。 「直感力は、経験を積み重ねて培われる
力」であることを忘れないでください。    
                                 
こういった問題があります。        
             
(形も、大きさも、高さも、底面積も違うコップが3つ並んでいて、それぞれ
に、水が入っている絵がある)
◆水が、一番たくさん入っているコップに〇を、一番少ないコップに×をつけ
なさい。
 
これは難しいですね。                
ほとんどの子ども達が、たくさん入っているように見える底面積の狭い、細長
い背の高い形のコップに〇をつけ、少ししか入っていないように見える底面積
の広い、横幅の広いコップに×をつけがちです。
かさのある方が、たくさん入っているように見えるからですが、これも実験す
るしかありません。       
 
上の条件に合った3つのコップと同じ形のコップ3個、お茶など色のついてい
る水を用意し、同じ形のコップ3つに同じ量だけ水を入れ、入っている水の量
は同じことを確かめさせてから、条件の違うコップに、それぞれ入れ替えてみ
ます。
底面積の広いコップと狭いコップとでは、明らかな差がでます。
しかし、入っている水の量は全部、同じです。         
「不思議だな、お母さん。どうして、こうなるの?」             
底面積が広いほどたくさん水が入る、容量も大きくなることを説明してあげま
しょう。
これは「量の保存」といって、見た目は変わっていても、元々の量は保存され
ているからですが、「数の保存」と同様、言葉を教えることはありません。
       
このような問題もあります。
 
(3つのコップの中に、大きさの違う円いガラス玉が、1つずつ入っていて、
コップの水の量は、みんな一緒になっている絵が描いてある)
◆この中で一番たくさん水が入っているコップに〇、一番少ないコップに×を
つけなさい。
 
これなどは、子どもは見ているはずです、おふろに入ったときです。
「お父さんが入ると、どうして、お湯があふれるのかな?」
「……かな?」というアンテナを張っている子は、すぐわかります。
 
量も直感で多少を判断し、難しい問題は、必ず、実験で確かめることです。
これが、小学校へ入ると、リットル、デシリットルと正確に量を計る勉強に進
んでいくわけです。
ボールなどの大小、ひもなどの長短、旗を立てたポールの高低も同じです。
やはり、見た感じ、直感力で判断できることが大切です。
その違いを見極める力が、センチ、メートル、キロメートルと、正確に長さを
計る勉強に、軽重は、グラム、キログラムと量を正確に計る勉強につながって
いくわけです。
 
[重さ比べ]
しかし、軽重、重さ比べは、直感で判断するのは難しいでしょう。
しかも、問題集だけで教えると、幼い推理力では、混乱しがちですから無理は
禁物です。
 
こういった問題です。
 
(パンダとくまとうさぎが、シーソーにのっている絵があり、パンダとくまで
はパンダの方が下がり、くまとうさぎではくまの方が下がっている)
◆一番重い動物に〇、一番軽い動物に△をつけなさい。
 
重さ比べの定番的な問題です。
「パンダとくまではパンダが重く、くまとうさぎでは、くまの方が重い。故に、
パンダが一番重くて、うさぎが一番軽い」と説明しても無理でしょうね。
 
まず、3つの重さの違うものを手に持って、重さの順番に並べてみます。
できれば、天びんばかりを作り、手で持って判断したものと、合っているかど
うかを確かめるとわかりやすいはずです。
AとBを比べるとAが重い。 A>B
BとCを比べるとBの方が重い。 B>C
ここでAが一番重くて、Cが一番軽いことがわかります。 A>B>C
しかし、BとCを比べてCの方が重かったら、AとCを比べて決着をつけます
から、これが面倒です。
さらに、比べる物が4つ、5つと増えてくると、難しくなります。
1つ1つ、順番に比べて、納得できるまで、根気よくやることです。
 
その納得させる方法ですが、軽重を勝ち負けに置き換えると、子どもは興味を
示します。
パンダとくまではパンダが重いからパンダの勝ちで○、くまは●。
くまとうさぎでは、くまの方が重いからくまの勝ちで○、うさぎは●。 
最後に、パンダとうさぎは、パンダの勝ちで○、うさぎは●。    
結果は、パンダは○○で2勝、くまは○●で1勝1敗、うさぎは●●で2敗。                 
好奇心を刺激してあげる、遊びの中での学習ですね。          
                  
おもしろい子がいました。
パンダ、コアラ、リスの3匹が重さ比べをする問題です。
「パンダが2回下がって、リスが2回上がっているから、パンダが一番重くて、
リスが一番軽いのです」 
お母さんに教わったそうです。
理屈はそうですが、こういう教え方は、どうでしょうか。
シーソーの上がり下がりだけ見て判断するのは、直感力ではなく、受験用のテ
クニックですね。
 
「そうか、こうだな! こういうこともいえるぞ!」
1つ1つ比べ、試行錯誤して、自分で見つけたのであれば問題ありません。
考える力もつき、考える楽しさも学習しているからです。
出発点で楽をすると、応用力は身につきませんし、小さいときから、簡単に答
えだけを見つける訓練は、やるべきではありません。
 
簡単な問題から難しい問題へ、ステップをきちんと踏んでいくことが大切です。
そして、正解であれば○を付け、それで終わらせずに、比較する段階を言葉で
いえるようにしておきましょう。
言葉で表現できる、これは、とても大切なことです。
きちんと理解できていれば、説明も適切なはずですから、発表力も身について
きますし、それが個別テストや行動観察のテストに対応できる力を身につける
ことにもなっているからです。
 
[空間の問題]
図形は、[6]の構成力で触れることにして、最後に、空間について説明しま
しょう。
これも難しいです。
 
上下、左右、前後の関係です。 
前後は、幼稚園でも整列することで学んでいますから、わからない子は、あま
りいないようです。  
こんな問題があります。
(各階に5つずつ部屋がある5階建てのマンションが描かれてある)
◆キリンさんは、三階の左から三番目のお部屋です。キリンさんのお部屋に○
をかきましょう。         
 
子ども達には、上下は何とかなるのですが、左右が難しいですね。
年長になっても、左右の区別のおぼつかない子が、かなりいます。                                       
左の薬指にピンクのリボンつけていた女の子がいました。         
「先生、こっちが左ですよね!」
かわいいではありませんか。                     
お母さんの工夫した、やさしい気遣いが伝わってきます。           
                                  
左右の確認がきちんとできてから、問題集に取り組みましょう。
基本的な準備をせずに、プリントだけで「左から……、上から……」とやると
混乱しがちなのです。
 
□□□□□ こういった図を描いて、一番下、下から2番目(上から2番目)、
□□■□□ 一番上、左から(右から)何番目、左端、右端を確かめましょう。
□□□□□
少し難しいかもしれませんが、下の図のように、■を中心に左右、上下、左斜
め上、左斜め下、右斜め上、右斜め下を確認しておきましょう。
 □□□
 □■□
 □□□
 
幼児の学習は、生活と結びついていると、スムーズに対応できるものです。  
生活に必要なものであれば、喜んで挑戦するはずです。               
お手伝いをさせながら、学習できることがあります。          
たとえば、お子さん用の整理ダンスを利用して、たたんだ洗濯物を入れさせま
しょう。                 
「ハンカチは、一番上の左から二番目に、シャツは、上から三番目の右端にし
まってください」
女の子であれば、お母さんの手伝いをしながら整理の仕方を学ぶこともできま
す。
 
まだあります。毎日、幼稚園へ行くときに握手をしましょう。
「右手で握手!」といって、さっと右手を出してみましょう。
お子さんも右手でなくては握手できません。
間違えたときに、こっちが右手であると学習できます。
今日は右手なら、明日は左手と続ければ、いつのまにか習慣になります。
「サユウベンベツ(左右弁別)?」
大人でも首を傾げるような言葉を使っていると、混乱するだけでしょう。
幼児の学習は、生活の中で、楽しみながら身につけていくことが大切です。
(次回は「常識の問題」についてお話しましょう)
 

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