めぇでるコラム

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>今年の説明会より

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第55
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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今年の説明会より
 
7月23日に雙葉小学校の説明会がありました。
梅雨明けしないままのはっきりしないお天気の中、二日間にわたり合計4回の
説明会が開催され、多数の参加者があった模様です。
説明会では、校長から学校の沿革、教育方針、ビデオで学校生活を紹介、最後
に教頭から教育の主な内容、受験に際して考慮していただきたいこと、お願い
したいことについて説明がありました。例年通り、無駄のないシンプルな説明
会でした。
説明会後、希望者には校内見学ができ、教室や図書館、専科の教室、お祈りの
部屋などを順に見て回りました。階段の踊り場や廊下など校内のいたる所にお
花が生けられ、なごやかであたたかい雰囲気が感じられる学校でした。
 
 
さて、「共学がいいか、別学がいいか」、徹底的に分析をしてくれたのが、立
教小学校の田代教頭の話。ここ数年の話を基にまとめてみました。教頭は、そ
の容貌と話し方からして、大変な熱血漢であるとの印象を受けますが、おそら
く、子ども達から「金八先生」などと親しまれているのではないでしょうか。
 
「本校にはどんな男の子がいるか。男の子は単純で、雑駁で、ずぼらで、締ま
りがなく、言葉遣いは悪いし、けんかは日常茶飯事だが、私は好きだ。
 脳科学者の話で、すべてに当てはまるわけではないが、脳の厚さは、女性は
11歳で最大になるのに比べ、男性は18ヶ月遅れるとか、実証されているそ
うだ。成熟差を中学生で比べると、1年半から2年間ほど遅れるそうで、我々
が教えていてもそれは感じる。
 アメリカでは1932年に公立校の男女別学を禁止していた。しかし、20
06年10月に法改正がなされ、公立校で別学、共学を選択できるようになっ
た。脳の発達や思考、得意分野の違いをまったく無視し、同じ条件で教育した
ことに問題があるということで、別学が増えていく。
 イギリスの研究者の話では、男女別学では、性別による固定観念を打ち崩し
やすいが、共学ではこれが難しいといっている。歌を歌う場合、共学では恥ず
かしがってほとんど歌わない。男子校の合唱は一つの特徴でもある。女子校で
は今はやりの『リケジョ(理系女子)』ではないが、数学や科学を好む学生が増
えてきた。別学では男子らしさ、女子らしさという固定観念がなくなるのでは
といわれてきている。共学では逆に強調され、男女別学の良さが見直されて来
ている。アメリカの真似をするのが大好きな日本だから、文科省が力を入れて
いる中高一貫教育も、今に中高一貫男子校、女子校を作り出すかもしれない、
公立校の。我々は小中高大学までの一貫教育で男子校。皆さん方は、すでに先
見の明があるといえる。それを申し上げておきたい。18歳をこえると脳の成
長の差はなくなるそうだ。小中高で男女が分かれていて、大学で共学というの
は理想的な制度で、手前みそながら何ですが……」(会場から笑い声が起こりま
した!)
 
 リケジョについては、今年も国府台女子学院の平田史郎学院長は、医薬系へ
の進学実績からその傾向のことをおっしゃっていましたが、「女子だけだから
いいのです。共学にする考えはありません」と力説していた学院長、やはり科
学的な根拠があったわけです。もしかすると、公立校での中高一貫男子校、女
子校の誕生は、案外早い時期に実現するかもしれませんね。
 
そして、どんな家庭のお子さんがほしいかについて、
「最後に、いつもお願いしていることだが、どんな家庭のお子さんがほしいか、
メモをとるような話ではないが、訓練によって鍛えられた子どもではなく、読
み聞かせや自然の中で五感を使った遊びの体験やお手伝いを重視する家庭。そ
れらを基にして、豊かな会話をもっている家庭、そういう日常生活を大切にし
ている家庭で、社会のルールを守る社会性や協調性を厳しくしつけられている
家庭の男の子が欲しい。なぜなら、学校は社会性を訓練する場、男が成長して
父親になった時、知性を発揮できるように、キリスト教の精神に基づき行える
心の豊かさ、自分に対して優しさという知性を身につける場であり、こういっ
たことを理解し協力してくれるご家庭の子、男の子なら誰でも結構」
 
学校選びの基本は、「ご両親がどんな男に育てたいのか、そのためにはどういっ
た教育、環境が必要であるかではないでしょうか」とおっしゃっていましたが、
「はじめにご家庭の教育方針ありき」と言ってきた私は、素直にうなずいてし
まいました。
以前、紹介しました「教育の道は家庭の教えで芽を出し、学校の教えで花が咲
き、世間の教えで実がなる」(明治時代、高等小学校から親に配られた「家庭心
得」)ではありませんが、そのとおりですね。最近、高学歴者の不祥事が伝えら
れていますが、「世間の教え」をないがしろにした結果でしょう。今までの努力
は何だったのだろうと、他人事ながらもったいないと思いますね。
 
47号でも紹介しました早稲田実業初等部の求める子ども像、こういった話です。
『どんな子どもに来てほしいか、いろいろとあるが主だったことを言うと、第
1に早実大好き、早稲田大学に進んで勉強したいと思う子。2つ目に規則正し
い生活ができる。もう一つ大切なことは、自分のことは自分でできるお子さん。
これができていないと宿泊学習が始まると辛くなる。中学で体験したことだが、
宿泊合宿のときの荷物作り、親御さんが詰めてしまう。忘れ物が出ても名前が
書いていないからわからないので処理するしかない。自分でやらないからわか
らない。3つ目は人の話を最後までしっかりと聞くことができる。4つ目は物
事に最後まで取り組むことのできる子を期待している。
 基本的な生活習慣は、ご家庭で教えて頂きたい。しつけの問題になるが、教
え方に問題があるのではないか。ご両親共に子どもと接する時間が少なくて忙
しい。うまくできないと早くしなければならないから、お母さん方はすぐに手
を貸してしまう。そうではなく言葉をかける。言葉を理解し自分でやることが
大切。だから時間はかかる。手を貸すと「また貸してくれる」と子どもは考え
る。その時はスムーズに通過できるが、後々それが癖になる。言葉を主体にし
て見守り、時間をあげて言葉で考えさせて、自分でできることを中心に考え、
できたところでしっかりと褒める。その繰り返しが大切。褒められると次に生
きてくる。また褒められたいという気持ちになる。そういうことを大切にして
ほしい。幼い時に身に付いたしつけ、習慣は、子どもにとって大切な宝物にな
る」
 
そして、モチベーションの上げ方について。
「学校見学会が9月に行われるが、初等部を見学できるのはこの日だけ。是非
ともお子さんと一緒に来てほしい。お子さんが自分の目で見ることが大事。私
の願いは、お子さんが『この学校に来て学びたい、勉強したい、一緒に友だち
と遊びたい』と思うだけでも、これからの受験勉強の励みとなり、お子さんの
モチベーションも上がる。それを狙っている部分もあるので、『勉強しなさい!』
と言ってもモチベーションは上がらず、そのへんはなかなか難しい。そのため
にも是非、一緒に来てほしい」
          (早稲田実業学校初等部 橋詰 敏長 前校長)
校長が森国吉雄先生に変わりましたのでこの話は、一昨年の説明会での話ですが、
参考になるのではと考え紹介しました。
 
森国校長は、「早稲田実業学校の伝統と歴史は、校是「去華就実」もとで形成さ
れてきた。上辺だけの華やかさではなく実をとる、外面より内面の美しさを求
める精神を大切にし、社会の各方面で貢献できる人材の育成を目指している。
校訓の「三敬主義」は、他者を、自己を、事物を敬うことの大切さを説いてき
た。謙虚で優しく、自重自立し、全てのことに敬う心をもって取り組む誠実な
姿勢を示すもの。こういった理念を受け継ぐ初等部6年間は、一人ひとりの個
性を尊重し、確かな学力を身につけ、自ら学び、考え、創り出し、表現する力
を育て、人間性豊かな児童を育てる」ことを目標に掲げている」と校是と校訓
についての話がありました。
 
最後に、竹田敏伸舎長に代わった幼稚舎、先生からは幼稚舎の教育の特徴、
「6年間担任に持ち上がり制と教科別専科制」について詳しい話がありました。
参考までに、一昨年の大島誠一前舎長の話を紹介しておきましょう。
 
「幼稚舎教育を通じて、子ども達にどういった人になって欲しいかというと、
『人生を楽しむ人になってほしい』『社会を肯定的に見る人になってほしい』『自
分の能力を生かして人の役に立つ人になってほしい』と私は願っている。人生
を楽しむと言っても、ただ、その場その場を面白おかしく生きるというのでは
ない。日々、辛い努力を積み重ねることも大切で、辛いことに辛抱することも
大事だ。しかし、究極的には『自分の仕事を楽しむ』ことだ。
 福澤諭吉が示した慶應義塾の目的に、『社会の先導者たらんとすることを欲す
るものなり』という語句がある。しかし、始めからリーダーになることを目指
すのではない。仕事に喜びを感じ、自分の好きなことをやっている内によい仕
事ができる。その結果として周りに支えられリーダーになっていくという考え
だ。もちろん、自分が嫌なこともやらなくてはならないだろう。しかし、やっ
ていることが楽しくなければ継続することは難しく、ましてやよい仕事ができ
るとは思わない。楽しいからこそ人から見れば辛いことも、たいして辛いと思
わずにできるのだろう。会社の組織の中で高い位置につくことができなくても、
あるいは先導者となり得なくても、年老いた時に、『自分の人生はよかった』と
思えるような生き方を私は大切にしたいと考えている。
 こういった考えは、福澤諭吉の生き方そのものだと思う。福澤の生き方は、
最初から立身出世位を目指したものではない。「知りたい、見てみたい、やって
みたい」という気持ちが凝縮した人生だったと思う。幼稚舎という学校を理解
していただくには、ここで私がくどくど申すより、福澤が自らの人生を振り返
った『福翁自伝』を読んでいただければご理解いただけるものだと考える。是
非、一読されることをお薦めしたい。そして『福翁自伝』は、幼稚舎を受験す
るだけではなく、自分の生き方を考える上でも素晴らしい書物だと思っている
ので、多くの方々に読んでほしいと思っている」
 
『福翁自伝』はわかりませんが、明治初期に発売された「学問のすすめ」は、
300万部以上売り上げ、超ベストセラーになっています。ちなみに、世界一
のベストセラーは「聖書」で、約3880億冊だそうです。
      (「マナビゲート 2016」P39 大学通信 発行より)
 
夏休みに入り、夏期講習会も始まりました。元気に通っていますか。夏本番です。
休養も十分取り、頑張りましょう。
    (次回は「よくある質問について」お話ししましょう)

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