めぇでるコラム

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>建学の精神、教育方針の理解の仕方 (2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
     2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第54号)
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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建学の精神、教育方針の理解の仕方 (2)
 
今日は、雙葉小学校の説明会です。校庭には、皇后陛下が、ご成婚を記念して
植樹されたメタセコイアの木が一本、大きく成長している姿を見ることができ
ます。皇后陛下は、幼稚園と小学校を雙葉学園で過ごされ、それから聖心女子
学院へ進まれました。これで説明会も夏休みです、私だけのことですが(笑)。
 
なでしこジャパン、残念でした。体力の差を痛感させられましたね。アメリカ
の80歳になるトランペット奏者(ワイルド・ビル・デビソン、YouYubeで
見ることができます)と共演させて頂いたことがあるのですが、彼が40代に
吹き込んだレコードと同じ高い音を、苦も無く吹くので度肝を抜かれました。
アルカポネが経営するバーで演奏していたこともある歴史的な人物でしたが、
「かなわないな!」と思いました。録音したCDが残っていますが、私の唯一
のお宝です(笑)。
 
そのサッカーですが、もやしっ子をなくすために取り入れた学校といえば、暁
星小学校です。今は、どうでしょうか。もやしっ子は、たくましくなり、全国
高校サッカー選手大会に出るほどの実力を備え、強豪といわれるまでになりま
した。
 
ところで、サッカーですが、かなり、過激なスポーツです。
手を使いませんから、体を張った足技が、ものすごいです。
このことです。
サッカーは、いってみれば格闘技です。ワールドカップを見ていても、「ここ
までやるか!」といったプレーが随所に見られました。ですから、イエロー・
カードやレッド・カードと、反則に厳しいペナルティーを与えます。「ルール
を守って戦うフェアーな精神の持ち主」であることも大切な条件です。さらに、
11人で戦うゲームですが、一人ひとりは、敵を自分に引き付けておき、ぎり
ぎりのところで味方にパスをつなぎ、最後にゴールポストにシュートを決める
チャンスを勝ち取れるのは、たった一人です。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬あり」
ではありませんが、犠牲的な精神が求められます。チームワークです。フェア
ーな戦いとチームワーク、ここに着目しましょう。
 
さらに、小学校の門には、「困苦や欠乏に耐え、進んで鍛練の道を選ぶ気力の
ある少年以外は、この門をくぐってはならない」と書かれた額が掲げられてい
ます。以前は小学校のエントランスに掲げてありましたから、説明会など以外
には見ることができませんでしたが、受験される方、説明会は中高の校舎内に
ある学園の講堂で行われていますから、帰りに小学校の門まで足を運び見てお
きましょう。
 
また、高校までの一貫教育に関しては、そのまま大学へ進んでしまうより、社
会へ出る前に受験勉強をし、その厳しさを体験させるべきだと考えるお父さん
方が多いようです。
 
「宗教教育」「別学の教育環境」「高校までの一貫教育制度」に期待すること、
プラス、「困苦や欠乏に耐える気力のある少年」をどのように解釈するか、こ
こがポイントではないでしょうか。「質実剛健」だけでは、説明しきれないの
ではと考えます。
最近の説明会で佐藤校長は、暁星小学校の求める子ども像として、日本昔話の
キャラクターでもある「気は優しくて力持ち」といっていましたが、この比喩
はわかりやすいのではないでしょうか。
以前、「いじめの問題」について、かなり時間をかけて話されたことがありま
したが、また、いじめによる中学生の自殺事件が起きましたから、今年もある
かもしれません。加害者は、今日も学校へ出ているのだろうか。「絶歌」とい
い、なぜ、加害者は守られ、被害者にその配慮がないのか、腹立たしい限りで
す。もしかすると、面接で質問があるかもしれませんが、そうでなくても、
「いじめの問題」は他人事ではなく、大人の社会の縮図と考え、ご両親できち
んとした見識を持ち、お子さんの健やかな成長を支えるのも、ご両親の大切な
仕事ではないでしょうか。
 
閑話休題、青山学院初等部は、宗教教育を実施する学校は別学が多い中で、め
ずらしく共学です。ランドセルも通信簿もありません。これが、青山の教育方
針です。
ランドセルは、昭和40年に廃止しています。その理由は、ランドセルは、
「学校追従型のシンボル」と考えているからだそうです。1に勉強、2に勉強、
3、4がなくて5も勉強です、現代っ子は。
家で宿題やら予習やら復習やらをがんがんする前に、「家で、きちんと身につ
けなければならないことがあります」ということだと思います。
家庭でしっかりとやらなくてはならない基本的な生活習慣や躾、言葉遣い、そ
して情操教育が、なおざりにされていないでしょうか。青山は、家庭での教育
を重視しているということです。
 
通信簿は、相対評価が多いものです。
5が2人いれば1も2人といった評価ですから、通信簿は相手との比較表にな
りがちです。比較表ではなく、学習の質を問うのが勉強の評価ではないでしょ
うか。ですから、期末試験の結果や出てきた偏差値といった評価をする資料の
ない状態で、先生と子ども、先生と保護者が、直接、話し合うそうです。
通信簿がないことは、結果よりプロセスを重視する学習観ではないでしょうか。
自分で考え、判断して、行動する、自発性です。結果さえよければそれでいい
という価値観と違い、思考力、判断力、行動力を育てる教育ということでしょ
う。
 
ところで、意外に知られていないことがあります。
初等部のホーム・ページを開き、「教育」のところの「国内短期留学・止揚学園」を
ご覧ください。
30数年前、ある本を読み知ったのですが、「すべてが教場」の意味を理解で
きたものでした。青山学院は、こういう教育を実施している学校でもあるので
す。
 
「宗教教育」「共学」「大学までの一貫教育制度」に期待することは何でしょ
うか。「共学」を忘れがちですが、これも大きな特徴です。そういったことか
ら、まとめてみましょう。
 
国府台女子学院のことを、千葉の白百合学園とさえおっしゃるお母さん方がい
ます。小学部の入学試験の難しさといい、高校からの大学への進学状況を見て
も、「さもありなん」と思わざるをえないほど実績を上げています。
 
価値観が多様化し、社会全般が「エニシング・ゴーズ、何でもあり」の風潮を
歓迎するムードがありますが、そういったウイルスに感染することなく、小さ
い頃から一つの価値観に基づいた教育を受けさせたい、そう考えるご両親が増
えていることも事実です。
 
仏教教育を行う女子だけの学校です。
月毎に行われる仏教行事は、本学院の校是である「敬虔・勤勉・高雅」を身に
つけるための、貴重で重要な教養教化となっています。「教養教化」ですが、
「教養は、徳をみがき、人格を高めること」で、「教化は、キョウゲと読み、
人を教え、よい影響を与えて善に導くこと」だそうです。
となると、校是である「敬虔・勤勉・高雅」を、どのように解釈するかが問題
になってきます。
 
たいへん難しい言葉ですが、わたくし流に考えると、こうなります。
「敬虔」は、仏につつしんで仕えることから、深く敬って態度をつつしむさま、
「勤勉」は、勤めて骨を折ることから、何事も一所懸命、
「高雅」は、気高く、雅(みやび)やかなことから、だれからも愛される気品、
 
このように置き換えてみると、わかりやすいのではないでしょうか。「つつま
しく、一所懸命に頑張る、心のやさしい子」といった子ども像が浮かんできま
す。そういった子どもに育ってほしいと考え、育児の基本にしているご両親で
あれば、学校の教育方針と一致していることになります。
以前、校是を俳句もどきに、
控えめで 慎み深く 雅やか
などとお母さん方に紹介したことがありました(笑)。
 
24年の説明会は、小学部、改築中のため中高の校舎内で行われ、そのおかげ
で素晴らしい「慈母観音像」を拝することができ、何とも優美なお姿に、しば
し見とれてしまいました。25年の説明会は新装なった寿光殿(講堂)で行われ
ましたが、ホールは中高の校舎と直結しているため、またしても、慈母観音像
にお会いできました。説明会に参加すればお会いできる、「七夕の彦星ではな
いですか」と無礼を省みず思ってしまいました。こんなことを言っては罰が当
たるかもしれませんが、まさに、「控えめで 慎み深く 雅やか」でした(笑)。
 
余談になりますが、広隆寺(京都)や中宮寺(奈良)の弥勒菩薩を始め、日本
の仏像の優しいお顔と優美なお姿には、お粗末な言葉ですが、心が和みます。
 
ある年の説明会で、平田史郎学院長は、不作法で言葉遣いの乱暴な者を評して、
「訓練されていない個性は野性である」とおっしゃっていました。
創立記念日に招かれ、講堂に案内されたとき、左手に数珠を持ち、私の左側に、
腰をかがめながら先導してくれた、児童のその姿が何とも優雅であったことが
印象に残っています。また、1年生が、きちんと挨拶をするのにも驚かされま
した。宗教教育は、形から入って心を作っていくものと思っていましたが、納
得したものです。
 
女子だけの環境については、「女子だけだからいいのです。女の子しかいない
ので、男子のする仕事までやることになり、体験の幅が豊かになります」とい
われ、共学にする予定は、まったくないと断言されていました。
 
こういったことをヒントに、「宗教教育」「女子だけの教育環境」「高校まで
の一貫教育制度」に期待することをまとめてみましょう。
 
2回に分けて、「私学の建学の精神、教育方針の理解の仕方」について、「お
とうさん、おかあさんの受験対策」(めぇでる教育研究所 刊)からピックアッ
プして紹介しましたが、これは、あくまでも「わたし流の考え」にすぎません。
こういった解釈を情報として公表するのには、少し、心配があります。それは、
幼稚舎が作文を止め、面接を廃止した理由が、あまりにも「傾向と対策化され
ている現状から意味がないと判断したから」とおっしゃったことと同じ理由か
らです。一つの考え方、ヒントとしてお読みいただき、ご自身の言葉でお話し
できるようにしていただきたいと、老婆心ながらお願いしておきたいと思いま
す。
 
夏休みに入りますが、夏休みの講習会にも参加し、キチンと計画を立てて、乗
り切りましょう。
「夏を制する者は秋を制す」、この気持ちで頑張ってください。
(次回は、「夏休みの過ごし方」についてお話ししましょう)
 

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