めぇでるコラム

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する★★[7]記憶に関する問題 

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         「めぇでる教育研究所」発行
「2023さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
      現年中児のお子様をお持ちの方々へ
 2023年度入試(2022年秋に実施)を成功に導く手引きです。
          ★第38号★
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★★入試問題を分析する★★
 
 [7] 記憶に関する問題
 
プロジェクターを使い、スクリーンに映し出された映像を何十秒か見て、どれ
だけ覚えているかをみる問題で、映像は、イラスト、色、図形、位置などがあ
ります。
 
上映されている間、問題用紙は裏返しにし、本人には見えないようになってい
ます。問題がスクリーンに映っている間に、覚えなくてはならないのですが、
裏返しにされている答案用紙を、そっと見る子がいるそうです。そんな暇はな
いのですが……。
こういった態度には、どんなチェックが入るのでしょうか。まさか、「カンニ
ングの行為でマイナス5点!」などはないでしょう。ただ、不安なのです。不
安の種は、どうやら子どもの頭に浮かぶ保護者の顔のようです。
できないと、怒られるからなのでしょうか。
もし、そうだとすれば、こういったところに、普段の育児の姿勢である「満点
主義の教育ママ・教育パパ」の顔が、表われかねませんね。結果ばかりにこだ
わらないで、どうしてできないのだろうと、そのプロセスを考えてあげる賢い
保護者になってほしいのです。
 
「私どもは、試験でさえもプロセスを大切に見極めています」
文言は正確ではありませんが、かつて、桐朋小学校の説明会で聞いた話です。
「プロセス重視」、これは家庭学習で忘れてはならない大切な心構えです。 
 
 
◆絵の記憶
 
公園で動物たちが遊んでいる絵を20秒ぐらい見て、うさぎがいたところに○、
たぬきがいたところに×、りすがいたところに△をつける問題です。
スクリーンをボーッと見ていたら、
「動物が遊んでいたなぁ……!」
でおしまいですね。
 
 
 
◆色の記憶
 
四角や、三角、丸などの図形に、三色から多くても五色ぐらいの色を塗ったも
のを見て、それと同じところに同じ色を塗る、同じ色のシールを貼るなどの問
題です。
「きれいだな!」
気持ちはわかりますが、感心している場合ではありません。
あっという間に終わります。
集中力です。
 
 
 
◆形の記憶
 
☆△□○といったように、形が並んでいるものを見た後に、下の中から同じも
のを選んで印をつける問題です。
形は、難しいですね。
抽象的で、つかみどころがないからです。
 
 
 
◆位置の記憶
 
ます目の中に、動物や昆虫、花や果物、記号や図形がかかれているものを見て、
右側の解答用紙の同じ所に印をつけたり、おはじきを置いたり、シールを貼っ
て答える問題です。
動物や花などは、覚えやすいようですが、図形は抽象的だけに難しいのです。
 
 
 
◆音の記憶
 
例えば、太鼓が6回たたかれた音を聞き、その数だけ○を書くとか、映像を使
って、動物たちが順番に楽器を鳴らし、だれが、どの楽器であったか、動物と
楽器を線で結ぶ問題などがあります。
 
 
 
記憶の問題は、やった経験がなければ、ほとんどできないでしょう。
テストは、このように行われるからです。
 
(スクリーンには、動物たちが公園で遊ぶ様子が映されています)
★スクリーンを見てください。………………………(20秒経過)
「くまさんがいたところに○、うさぎさんのいたところに×をかきましょう。」
 
「記憶の問題です」などといった説明もなく、スクリーンに問題が映り、しば
らく沈黙が続きます。
「スクリーンを見てください」と言っていますから、説明なしとは言えません
が、ボーッと見ていたら、それまでですね。人間の脳は、「覚えなさい!」と
の明確な指示があって、初めて記憶する作業が始まりますから、これは、心構
えが必要です。
 
登場する動物も多く、公園の様子も複雑な問題がありましたね。
子どもは、どのようにして覚えるのでしょうか。
大人は、「ブランコにくまがいて、滑り台にパンダが、砂場にはうさぎが……」
と理詰めに記憶しようとしますから、これでは覚えきれません。
ところが、子どもは、全体をパシッと頭に収めてしまうそうです。
カメラを考えれば、いいようです。
全体を、頭に写し撮ってしまうらしいのです。
子どもの頭は柔軟ですから、記憶できるそうです。
 
子どもの記憶力には、驚かされることがあります。
電車の好きな子が、山手線の全部の駅の名前を覚えた話など聞きませんか。車
博士から鉄道博士、昆虫博士と、よくぞ覚えたものだと感心させられます。
 
話を戻します。
こういった問題があるからといって、問題集を買い、ひたすら繰り返し訓練す
るのは考えものです。第一、面白くありません。20秒ぐらい絵を見せられて、
サッと隠して、
「今、何がありましたか!」
「こんなことして、何になるの、お母さん?」
こういわれて説得できなければ、やっている親の立場がなくなりますね。
お気に入りの絵本の、1ページに描かれている情景をいわせてみると、驚くほ
ど細部にわたり記憶しているものです。こういったものを利用しながら、記憶
するという意識を刺激してみましょう。
トランプを使った「神経衰弱」なども、絶好の教材となります。
こういったステップを十分に踏み、それから問題集を利用すれば、お子さんも
やる気十分に挑戦するはずです。問題意識が芽生えないと、興味を示しません
から、意欲もわきません。
 
記憶は、本当に気ままなものです。 
自分の好きなことは覚えますが、嫌いとなると、もういけません。
やはり、出発点は好奇心ですね。 
そこから、注意力や集中力が働いて、記憶するのでしょう。
普段から、注意力の散漫な子は、やはり、覚えるのも苦手ではないでしょうか。
身辺の整理ができない、おもちゃ箱が乱雑な子も、どうでしょうか。
過保護、過干渉な育児も駄目でしょうね。
何でも自分でやらなければ、段取りがわかりません。
段取りは、前にやった時の経験が生きてきます。
経験は記憶されますから、自分でやることが大切です。
記憶力も試行錯誤を積み重ねて身につくもので、子どもの生活体験と深い関わ
りがあります。
自発性にとみ、自立心の身についている子の記憶力は、すぐれているはずです。
それは、いろいろなことに自力で挑戦しているからです。
 
小学校側も、単に記憶する能力をみているのではないでしょう。
五感を刺激されていれば、記憶力もつきます。
このことです。
ですから、机の上で、問題集だけで覚えた知識は、あまり役に立ちません。
単に、大脳神経の回路を刺激して記憶するだけですから、忘れやすいのです。  
しかし、頭と体が一体となって覚えたものは、忘れません。
それは、知識ではなく知恵だからです。
身についた知恵の主語は、自分自身です。
詰め込まれた知識の主語は、多くの場合、第三者やお母さん、お父さんではな
いでしょうか。
 
記憶力を培うのは、五感に刺激を与える環境でしょう。
お子さんが、夢中になって取り組む遊びはありますか。
好奇心の旺盛な子は、やはり、記憶力も順調に発達しているといえるのではな
いでしょうか。  
 
春休みの講習会、元気に通っていますか。冬の講習会と同様、短い期間ですが、
毎日通い学習することで、学ぶことの面白さを体験していると思います。この
意欲と学習習慣を、4月以降にうまく活かしたいものです。頑張ってください。  
 
 
(次回は、「構成力・観察力に関する問題(1)」についてお話しましょう)
 

 

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