めぇでるコラム

さわやかお受験のススメ<保護者編>第10章 終戦記念日、このことです 葉月(4)

 
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       「めぇでる教育研究所」発行
   2023さわやかお受験のススメ<保護者編>
   「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
     豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第39号-
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 第10章  終戦記念日、このことです   葉 月(4)
 
 
間もなく終戦記念日。小さな子ども達には難しい話ですから、今回の配信を機
に、戦争についてご両親はどう考えているか話し合ってみましょう。
 
 
【八月に読んであげたい本】
 
昭和20年3月10日、東京大空襲。たった一晩で、10万人もの尊い命が失
われました。
その東京大空襲を描いた「東京大空襲ものがたり」は、年長さんでも理解でき
るのではないでしょうか。当時の世相や風習もわかりやすく解説されています。
ダイジェストにするのはおこがましいと思い、本文を少し紹介することにしま
す。
 
  ◆東京大空襲ものがたり◆   早乙女 勝元 著
 
 「電柱だけが知っている炎の夜のこと。
 ゆかりと進一の家の近くに、真っ黒こげの電柱があります。
 これは、咲子おばさんにとっては、たった一つだけの、大事な目印なのです。
 東京大空襲の炎の夜に、おばさんは、赤ちゃんの螢子ちゃんと、ここではぐ
 れてしまったのです。
 二人は父さんから、その話を聞かされ……」
 
これが物語の始まりで、真っ黒こげの電柱の叫び声で終わります。
 
 亡くなった人は、何も語ることができませんが、どれだけたくさんの、つら
 く悲しいできごとがあったことでしょうか。焼け残りの電柱は、今も東京下
 町の、あの町角に立っています。北風の吹く寒い日も、夏のカンカン照りの
 日も、電柱は亡くなった人たちに変わって、「炎の夜」のできごとを、私に、
 そしてみんなに語り続けているように思われます。
 でも、その声は聞こえません。ですから、ゆかりと進一は、電柱にかわって、
 こう呼びかけるのです。
  誰もが、平和を守るための努力を、
  そのための、小さな勇気を、
  わすれてはいけない、と。     花房ゆかり 眞一
 
 (東京大空襲ものがたり  早乙女勝元著 有原誠治絵  金の星社 刊)
 
今となっては、空襲の辛い体験をされた多くの方々は、すでに冥界へ旅立たれ
たのではないでしょうか。こういった現実があったことを、しっかりと子ども
に伝えることも、親の仕事ではないかと思います。
 
 
 
  ◆長崎のピカ◆
 
 昭和20年の8月6日に、広島に原子爆弾が落とされたの。
 一発で広島中が燃え、何10万の人が死んだの。
 3日後の8月9日、今度は長崎に落ちて、私の家族8人は一人ずつ順々に死
 んでいったの。
 最初に死んだのは、おばあちゃん。外出中に被爆し、真っ黒になり、はらわ
 たを出して死んだの。次の日に、父さんと母さん、兄ちゃんと死んでいった
 けれど、上の妹、ゆみ子は、ずうっと見ていたの。次の日の明け方、きれい
 な船に、父さんと母さんと、おばあちゃんと兄ちゃんが笑って、おいで、お
 いでしていると、かぼそい声で言うの。「船に乗ったらだめ!」と叫んだけ
 れど、「みんなで迎えに来たよ」と言って亡くなったの。顔はボールのよう
 にはれあがり、歯ぐきはまっ黒にただれ、紫色の斑点が身体中に出て、口も
 動かないの。でも、そう言って死んだの。気がついたら、弟も死んでいたの。
 下の末っ子の妹、すず子は、防空壕で体を寄せ合っていたら、冷たくなって
 いくので、マッチをつけてみたら、もう死んでいたの。その身体を、一晩中
 だいて寝ていたの。冷たくて、皮がべろべろとはげるの。
 次の日、お隣のおじさんがきて、一人ずつ焼いたの。
 私は、12歳でした。
           
  夏休みのはなし
  「海ぼうず」 松谷みよ子/吉沢和夫監修 日本民話の会・編 国土社刊                                          
 
12歳の無残な夏、平和な時代に生かされていることに、ただ感謝するだけで
す。
もう一冊、戦時下を舞台にした話を紹介しましょう。
 
 
  ◆ホタルになった兵隊さん◆   堀田 貴美 著
 
 前の戦争のとき、九州南端の知覧に陸軍の飛行場があり、戦争末期、そこは
 特攻基地でした。
 特攻機は人間爆弾で、搭乗員は、二十歳前後の若者達だったのです。基地の
 近くに、おばさんと二人の娘が手伝う富屋食堂があり、隊員達に親しまれて
 いました。その中に、出撃後に飛行機が故障して、帰ってきた宮川三郎軍曹
 がいました。再び、出撃しましたが、二度とも機械が故障し、引き返したの
 です。整備隊長に、いい飛行機をくださいと訴えました。仲間が戦死し生き
 残るのは辛かったのでしょう。同じ頃、やはり、一人生き残った滝本軍曹が
 配属され、宮川さんと知り合い、富屋に一緒に顔を見せるようになりました。
 昭和20年6月5日の夕方、二人は、明日出撃するため、富屋へ別れにきた
 のです。
 娘たちは、出撃の鉢巻きを贈り、話もつきません。帰りがけに宮川さんが娘
 達に、「明日の晩9時に、ホタルが2匹入ってくるから、中に入れてやって
 ね」と言いました。
 翌日は天気が悪く、富屋の人達は、案じていましたが、夜8時頃、滝本さん
 が現われ宮川さんは行ったという。2機並んで飛び立ったが、雨雲にさえぎ
 られ、帰ろうと合図しました。宮川さんは、「お前は引き返せ」と、別れの
 合図をし、雨雲の中へ飛び去ったのです。娘達は、宮川さんの気持ちが、痛
 いように伝わってきました。
 その時、一匹のホタルが天上にとまり、時計を見ると、9時でした。宮川さ
 んが言った時刻と何秒も違いません。店にいた隊員もよってきて、滝本さん
 達は、ホタルを見ながら、宮川さんの思い出を話しました。ホタルは、話を
 聞いているようでした。               
 「宮川さん、やっぱり帰ってきたんじゃねえ。」
 おばさんは、ぽつんと言いました。
   日本むかしばなし 23
     ジェット機とゆうれい 日本民話の会 金沢祐光 絵  ポプラ社刊 
                                         
最後の、おばさんのつぶやきが、悲しく、何とも言えません。多くの人達の犠
牲でつかんだ平和を、私達は、無駄遣い、浪費していないでしょうか。
 
 
                                         
戦争の話から離れ、盛夏、真夏に怪談話を一席。 
むかし話にも怪談はありますが、現代っ子は、昆虫を殺しても、「電池、取り
替えてよ、お母さん!」というそうですから、こんな話、恐がらないかもしれ
ませんね。                
 
 
 ◆あめかいゆうれい◆   中本 勝則 著
 
 ある夏の暑い晩のこと。
 あめ屋のじいさんのところへ、青ざめた顔をした一人の女が、あめを買いに
 きたのです。
 それからというもの、決まったように、夜遅く、あめを買いに来ます。七日
 目の晩のことでした。
 「あめをください」と差し出した手に、銭はありません。いつもより、青ざ
 た顔は、悲しそうに見えるのです。じいさんは、何もいわずに、あめをあげ
 ました。
 「どこの人だろう」と後をつけると、不思議なことに、山寺の山門まで来る
 と姿を消したのです。
 すると、寺の中から、赤子の泣き声が聞こえるのでした。驚いたじいさんは、
 和尚さんに訳を話すと、まだ新しい墓にじいさんを連れていったのです。
 先日、赤子を身ごもったまま女の人が亡くなり、それがこの墓だというので
 す。掘り出してみると、棺桶の中で、玉のような男の子が、母の胸にしがみ
 つき、見れば男の子は、あめをにぎっているではありませんか。じいさんが
 売ったあめでした。
 昔、死んだ人には、一文銭を六枚、手に握らせ墓に埋めたそうです。死んだ
 ら渡る「三途の川」の渡し賃でした。しかし、母親の手の中には、六文銭は
 なかったのです。
 和尚さんは、泣いている男の子を抱き上げて、「母さまは、わしが供えた銭
 で、毎晩、お前のために、あめを買いに行ったのだ」と言って、静かに念仏
 を唱えたのでした。                     
    海ぼうず  松谷 みよ子/吉沢 和夫 監修
                             日本民話の会・編  国土社刊 
 
妖怪やお化けの話は、たくさんあります。幼児用に、怖くない話が多いですか
ら、お子さんが興味を持ったときは読んであげましょう。無理なく、勧善懲悪
を教えるように構成されているからです。
 
     ( 次回は、「お月見です」についてお話しましょう。)
 
 
 
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話 
情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、
制作したものです】

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