めぇでるコラム

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>志望校選びの10のチェックポイント(1)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第49号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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志望校選びの10のチェックポイント(1)
 
★カトリックフェア2016より★
「今年の暁星小学校の学校説明会は、9月24日(土)10時より上智大学10
号館で開催、当日、願書の販売はしません」とHPに掲示されていますが、そ
の理由を尋ねたところ、「昨年までの会場であった中高の講堂改築のため」で、
願書の販売は小学校の事務室で9月6日(火)から26日(月)まで販売する
そうです。毎年、片山善次郎先生の温かく、そして厳しく叱責する心に沁みと
おる詩集「まごころの泉」も、今年は手に入らないようです。
 
白百合学園小学校の校長挨拶が、昨年以来、HPに登場しないわけを聞きたか
ったのですが、大変混雑していたのでパス、説明会で確かめることにしました。
昨年の説明会は、中高の校長が話をしていましたから、兼任ということでしょ
うか。
 
キャンパス内には、きれいなバラが咲いていましたが、創設者ソフィア・バラ
をあがめるためでしょうか。しかし、バラは日本語ですから、これは私のこじ
つけでしょうね(笑)。旧久邇宮(くにのみや)家跡だけに、他の大学では味
わえない雰囲気が漂っていました。
 
今回から3回に分けてお話します「志望校選びの10のチェックポイント」は、
めぇでる教育研究所から発売されている、拙著の「さわやかお受験 面接 こ
こがポイント 小学校編」の第一章に、PDF版「面接克服 ここがポイント」
の第1章に紹介してあるもので、読んでいただければ、必ず、お役に立つと自
負しています。詳しくは、めぇでる教育研究所のホームページをご覧ください。
 
模擬面接で「この学校を選んだ理由、志望理由をお聞かせください」といった
質問に、ただ、その学校の建学の精神や校訓、教育目標などを、そのまま、淡
々とおっしゃる方がいます。 
「それでは、校訓をどのように育児に取り入れていますか」と尋ねると、具体
的な回答がない場合があります。校訓や教育方針とご家庭の育児の姿勢に共通
点がなければ、なぜ、その学校を選んだのかがわかりません。
これでは、学校側を説得するのは難しいのではないでしょうか。
「なぜ、わが子に、この学校を選んだのか」、ご両親できちんと考えていただ
く基礎資料として、ここでは、10のポイントについてお話しましょう。
 
小学校の受験に際し、もっとも重視されるのは、なぜ、その学校を選んだかと
いう「志望理由」です。
 
出身者の場合は、ご自分の体験から選ぶわけですから問題はありませんが、そ
うではない場合は、学校に関する情報、例えば、建学の精神や教育方針、その
学校ならではの特色、年間行事や課外活動、学童保育(アフタースクール)、
併設校への進学状況などについて、わからないことが多いわけです。そういっ
たハンディキャップを解消するために開かれているのが学校説明会です。
過去には説明会をやっていなかった学校もありましたが、私学のディスクロー
ジャーではありませんが、今はほとんどの学校で説明会が行われています。
平成10年には慶應義塾幼稚舎が、同11年には日本女子大附属豊明小学校が、
同12年には白百合学園小学校が、創立以来、初めての説明会を開催しました。
雙葉小学校も平成17年に、学園講堂で説明会を再開しました。昭和60年代
には説明会をやっていましたから、16年ぶりということになります。その時
は小学校の5階のホールで行われましたが、平成25年からその小ホールに移
り、5階までの階段が、かなり厳しくなりました(笑)。
 
既に、早稲田実業学校初等部、立教小学校(第2回目は7月2日・土)は終了
しましたが、これから白百合学園小学校、成蹊小学校、7月には慶應義塾幼稚
舎、同横浜初等部(事前に申し込みが必要で6月22日 水曜日からウエブサ
イトで受け付け開始)、雙葉小学校(はがきで申込受付中)などの説明会が行
われます。
説明会は、こういった貴重な情報公開の場ですから、必ず参加されて、これか
らお話しする10項目のチェックを行い、お子さまにもっともふさわしい学校
を選んであげていただきたいと思います。
 
[一]一貫教育制度について
最初に考えてほしいのは、「一貫教育制度に、何を期待しているか」です。
 
併設校のない幼稚園があります。幼稚園だけなのですが、不思議なことに人気
があり、入園することが、大変、難しいといわれています。
若葉会幼稚園、枝光会附属幼稚園に入園される方の目的は、慶應義塾幼稚舎、
青山学院初等部、聖心女子学院初等科、東京女学館小学校などへの入学でしょ
う。例えば、こういった幼稚園の入園テストの倍率が、仮に1.5倍前後だと
しても、その数字よりも限りなく重い1.5倍なのです。名門校への合格実績
も折り紙付きですから、受験される保護者の期待を十分にかなえられているこ
とがわかります。
 
幼稚園と小学校だけの学校があります。
国立市にある国立学園です。西武が設立した学校で、小学校しかありませんか
ら、ほとんどの生徒が中学受験に挑戦します。6年の間に実力をつけ、中学の
名門校に入り、中高一貫教育で大学受験を考えている保護者が多いのでしょう。
学校案内の最後のところに、過去5年間の進学状況の一覧表があり、麻布、開
成、武蔵という、いわゆる中学校御三家をはじめ、いろんな学校に何名入って
いるといった情報が紹介されています。教育方針の一つに、クラスを能力別に
分けて指導していく「習熟度別クラス編成」があります。説明会で、その指導
の内容を知ることができます。
 
高校までしかない学校もあります。
暁星小学校、桐朋学園小学校、雙葉小学校、田園調布雙葉小学校、横浜雙葉小
学校、光塩女子学院初等科、日出学園小学校、国府台女子学院小学部などです。
大学へは、12年間で培われた実力でチャレンジしなさいというのが、こうい
った学校の教育方針の一つです。
また、保護者の立場からいえば、小学校は、お父さん、お母さんが選びレール
を敷いてあげるが、後の進路は、自分で決めるという制度に賛成しているとい
うことです。社会へ出る前に、大学受験というハードルをクリアする関門が待
ち受けています。つまり、厳しい競争の社会に出る前に、大学受験という戦い
を経験しておくべきだと考える保護者に支持されているということでしょう。
 
横浜雙葉小学校は説明会を再開しましたが、以前の説明会で、雙葉系の学校は、
幼子にキリスト教を教えるために創立された学校で、12年間、学んできたこ
とを、よその大学へ行って布教することを目的としているので、大学を設立す
る方針はないといった話を聞いたことがありました。こういった学校から大学
への進学率は、ほぼ百パーセントであり、東大をはじめ有名校で占められてい
ることは、よく知られています。
しかし、だからといって、「名門大学への進学率が高いから高校までの学校で
いい」という志望理由には、賛成できません。雙葉小学校では、進学校ではな
く、そういった体制になっていないと説明会でも言っています。
なぜ、進学率が高いのか、教育方針やその内容をしっかりと把握する必要があ
ります。
 
それから、学習院、青山学院、白百合学園、東洋英和、豊明、立教女学院(立
教大学への推薦枠が条件付ですが増えました)といったように、幼稚園から短
大、大学、大学院まで、慶應義塾幼稚舎、成蹊小学校、聖心女子学院初等科の
ように幼稚園はありませんが、高校、大学までといったように一貫教育制度を
とる学校があります。なお、東京女学館小学校の大学は25年度より募集はせ
ず、同27年度末に廃校を発表、高校までの学校になりました。
 
「幼稚園から大学まである学校に入れてしまえば、受験戦争は一回限りで済む」
というお母さんがいました。幼、小、中、高、大学と、そのたびに受験するこ
とはないでしょうが、もしそういうことがあったとしたら、受験する本人も、
付き合う親も大変なのは事実です。幼稚園受験が過熱気味なのも、こういった
考えが根底にあるとすれば、それは、過保護ではないでしょうか。
しかし、受験に費やすエネルギーはたいへんなものですし、精神的な戦いもす
さまじいものがあります。そこを回避して、受験勉強をしない分、精神的にも、
時間的にも余裕があるわけですから、それを学問や趣味にと考えるのは親心で
しょう。
しかし、一貫教育制度は、入ってしまえば、エスカレーター式に、大学まで行
けるという制度ではないことも忘れてはなりません。それなりに厳しいもので
す。
 
幼稚園のない学校があります。
慶應義塾幼稚舎、聖心女子学院初等科(開設していた時代あり)、東京女学館小
学校、成蹊小学校、立教小学校には幼稚園はありません。(立教女学院短期大
学附属天使園は、推薦入学制度を導入しましたから、立教女学院小学校は幼稚
園のある学校になりました)
四谷と田園調布の雙葉には幼稚園はありますが、横浜雙葉にはありません。
同じ系列校でありながら、調布にある桐朋小学校の方には桐朋幼稚園がありま
すが、国立にある桐朋学園小学校にはありません。
では、どうして幼稚園はないのでしょうか。
これも一つの教育方針だと考えられないでしょうか。
たとえばの話ですが、幼稚園時代から、同じ環境で保育を受けた集団よりも、
違った環境で、さまざまな保育を受けてきた、いろいろな子どもを集めて教育
を始めましょう。つまり、義務教育と同じ狙いがあるのではないでしょうか。
 
学校を選ぶときに、こういった制度の目的を考えてみると、建学の精神の一端
がわかるかも知れません。
 
[二]共学制度について
二番目に、「共学制度」について考えてみましょう。
共学の学校といえば、慶應義塾幼稚舎、学習院初等科、青山学院初等科、成蹊
小学校、成城学園初等学校、玉川学園小学部、桐朋小学校、桐朋学園小学校、
日出学園小学校、昭和学院小学校などで、桐朋、桐朋学園などは、中高は別学
になりますが、こういった学校を選ぶ理由としては、義務教育は共学であり、
共学が自然であることでしょう。
多くの方は、共学の経験があるはずですが、私立校へ進まれた方には、共学の
経験がないかも知れません。
男女、別学の環境で教育を受けられた方が、お子さんには共学を選ぶ理由、こ
れについて、しっかりと話し合ってみることです。
 
参考までに、共学の良いところ、悪いところをあげておきましょう。
良いところは、小さいときから、自然に男子は女子を、女子は男子を理解する
ようになり、男子は男らしさ、女子は女らしさを身につけることができます。
つまり、お互いに助け合い、特性を生かして、それぞれの領域を分担すること
で、競争心が芽生え、負けないように頑張ることができることでしょう。
悪いところは、男子にやさしさが育まれる反面、男子を厳しく指導したくても、
女子がいることで、徹底しにくい点や、女子は、言葉がきつくなり、敬語や丁
寧語があまり使われなくなるといったことでしょう。
受験に際し女子がいると学力が低下して邪魔になるといったお父さんがいまし
たが、柳眉を逆立てるお母さんがいらっしゃるかも知れませんね。
 
[三]男女別学制度について
三番目は、「別学制度」についてです。
男子では、暁星小学校、立教小学校の二校、女子では、ミッション系の学校は、
ほとんど女子だけで、雙葉小学校、白百合学園小学校、東洋英和女学院小学部、
聖心女子学院初等科、国府台女子学院小学部などへは、毎年、多くの応募者が
集まり、高い倍率を示しています。いずれも伝統のある学校であり、その教育
方針や校風が、圧倒的に支持されている証でしょう。
 
では、別学の学校の長所を考えてみましょう。
まず、なんといっても男女の特性を生かした教育ができることで、共学とは違
った意味での男らしさ、女らしさが身につき、異性がいないことから、男子は
女子に憧れる気持ちが、女子には男子を尊敬する気持ちが育まれやすい環境に
あることでしょう。
また、共学では体験できないこと、例えば、男子がする仕事を女子がしなけれ
ばならないことから、体験の幅が豊かになるとも考えられます。
その反面、女子が、あるいは男子がいない不自然さは否めないでしょう。
また、同性同士ということから、男女がお互いに何かをすることがありません
から、助け合う気持ちが育ちにくく、羞恥心が欠けがちで、男の悪さ、女の悪
さが出やすい環境にあるともいえるでしょう。
 
白百合学園へ三年保育で幼稚園に入って大学まで行くと19年間、女の園です。
田園調布雙葉も幼稚園から入ると、高校までですが、14年間、女の子だけで
す。
これについて、お父さんはどうお考えでしょうか。
模擬面接などで、ご両親に別学の経験がない場合、
「お父さん、別学についてどう思いますか」
と聞いてみると、
「私は、共学の方が自然でいいと考えていますが、家内が賛成ですから」
などとおっしゃるのですが、「それでは、共学の学校へどうぞ」となるだけで、
適切な学校選びとはいえません。
なぜ、別学を選ぶのか、よく話し合っておくことが大切です
例年、立教小学校の説明会で田代教頭は、「男子に比べ女子の成長が早く、何
かにつけて差が出るので、男子だけの方がいい」といっていますが、2年前か
ら、「脳の大きさは18歳頃で止まり、差がなくなるといわれている。小中高
と別学で学び、大学で共学になるのは、手前味噌ながら理想的な教育環境であ
り、皆さまのお目は高い」とおっしゃっています。
 
幼稚園だけが共学、幼稚園が共学というのもおかしいですが、四谷の雙葉幼稚
園には男の子がいます。
暁星幼稚園には女の子が、東洋英和幼稚園には男の子がいます。
面白いのは日本女子大学附属豊明幼稚園で、昨年から3年保育だけに切り替え
ましたが、女の子が60名に対して男の子が24名います。
そこに入った男の子は、小学校は受験になります。
雙葉や暁星、英和に入った男の子、女の子は、近所にミッション系の幼稚園が
ないために、無理して通わせるケースもありますが、幼稚園の送迎は、保護者
がついていきますから、多少の無理はききます。目的は、ミッション系の小学
校へ入学させたいと考える方が多いようです。幼稚園を選ぶ場合は、こういっ
たことも考えておく必要があると思います。
 
関東地方も「梅雨入りしたとみられます」とはっきりしない宣言。昨年より2
日遅く、平年より3日早いそうです。北海道で雪が降ったり、日光では50年
ぶりに霜が降ったりとか。昔だと、「自然の異変は神の怒り」と考えられてい
ましたが、厚顔無恥な政治屋に、神さまも見放して頂きたいと切望する、今日
この頃です。(怒り心頭!)
 
(次回は「志望校選び10のチェックポイント (2)」についてお話しまし
ょう)
 

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

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