めぇでるコラム

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>この辺からが問題です (1)過保護な育児

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2020さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第6号
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この辺からが問題です (1)過保護な育児
 
3歳頃からの子育てに、問題がありそうです。
それは、自立を妨げる育児です。
 
自立の始まる大切な時期に、2歳頃と同じように手をかけていると、お子さん
は、どうなるでしょうか。
何でも、お母さんがやってあげていると、お子さんは「これでいいのだ!」と
勘違いをし、依頼心の強い子になりがちです。
自分でやらなくては、試行錯誤を積み重ねる機会がありません。
試行錯誤は、一つの能力を身につけるための大切な冒険であり、実験であり、
体験です。2歳頃から始まった模倣時期に、どのようにやるべきか、じっくり
観察されています。ですから、うまくいかなければ、子どもなりに工夫します。
できるようになるまで、辛抱強く挑戦するものです。
この挑戦する持続力は、できるようになったときの快感に支えられているので
しょう、夢中になって取り組みます。
モンテッソーリの「その時期に最も活動が盛んになり成長する敏感期」です。
 
  注 マリア・モンテッソリー
イタリアのローマで医師として精神病院で働き、知的障害児へ感覚教
育を実施し知的水準を上げる効果を見せ、1907年に設立した貧困
層の健常児を対象とした保護施設「子どもの家」において、独特の教
育法を完成させた。以後、モンテッソーリ教育を実施する施設を「子
どもの家」と呼ぶようになった。 
           (ウィキペディア フリー百科事典より)
 
何でもやろうとする時期なのです。
そこで、お母さんが手を貸してばかりいると、やってみようとする意欲がわき
ません。やらなければ、物事をやりとげる手順を学べませんから、その苦労が
わかりません。
そのような環境で育てられていると、意欲も集中力も持続力も培われません。
ですから、わがままな子や、飽きっぽい子になりがちです。
相手を思いやる気持ちなど育つわけがありません。
過保護、過保護の育児です。
 
困るのは、誰でしょう。
言うまでもなく、お子さん自身です。
信じられない話ですが、「かわいい、かわいい!」と甘やかすだけ甘やかしてお
いて、「しつけや生活習慣は幼稚園で」と考えているお母さんがいると聞きます。
そのような子育てをしていたらどうなるでしょうか。
幼稚園では、誰も手を貸してくれません。
今まで、お母さんがやってくれていたことを、全部、自分でしなくてはなりま
せん。
一人でできるでしょうか、無理でしょう。
どうなると思いますか。
みんなができて、自分だけできないとなると、「なぜ……?」となります。
先生に甘えても、限度があります。
 
「何で、そんなことができないの?」
初めて経験する同年代の子どもの冷たい目や批判の言葉に、戸惑います。
わがままな性格では、友だちとの接し方もうまくないですから孤立しがちで、
幼稚園など、少しも面白くないでしょう。
行きたくなくなるのも当然ではないでしょうか。
極端な話ですけれど、不登校生ではなくて不登園児、こんな言葉はないと思い
ますが、そんな状況に追い込まれかねません。
そこで気づき、子育ての軌道修正するのは、親子ともども苦労します。
普通の幼稚園でも、入園当初、非常に困ったことになるでしょう。
ここで気づかずに、「悪いのは幼稚園の先生!」と言い放って、平然としている
お母さんがいるそうです。
被害者は、子ども自身であることにも気づきません。
名門幼稚園の受験をお考えのお母さん方には、いらっしゃらないと思いますが、
こういった自己中心型の育児では、どの幼稚園からも歓迎されません。 
 
ところで、小・中学校の不登校児童は、どのくらいいるかご存知ですか。
文部科学省が10月25日(日)に公表した「平成29年度調査結果」による
と、13万4,398人で、割合は1,5%(前年度1,3%)と4年連続増加して
いるそうです。
 
その原因は、いろいろありますから、一概には言えません。
しかし、過保護な環境で、わがままいっぱい育てられ、他人との共生をきちん
と学習していないと、こうなりやすいと考えられないでしょうか。
そうであるなら、被害者は、やはり、子ども自身です。
 
ですから、3歳になっても、お子さんのやっていることを見て、手を貸してあ
げようかと思えば過保護であり、本当に手を貸していれば超過保護であると考
えましょう。
 
お母さんの手を借りずにできることが、たくさんある子の知的な能力は高いと
いわれていますが、当然だと思います。
一つのことができるようになるまでには、幼い子どもなりに、それだけ頭を使
って、体を使い、頭と体が一つになって苦労を重ね、苦心しているからです。
一つのことができれば、次のことをやりたくなります。
やる気です、意欲も育ちます。
「やった!」という快感も伴います。
これが好奇心をくすぐります。
何にでも興味を持つようになります。
連鎖反応を起こします、これですね。
 
幼児が初めてのことに挑戦して、失敗して当たり前です。
失敗したことを叱らないで、励ますことです。
そして、辛抱強く待ってあげましょう。
そうすれば、子どもは、やります。
励まして、再び挑戦する意欲を持たせることです。
 
おむつをはずしたことを思い出しましょう……。 
 
ところで、公立と私立校の違いは、どこにあるとお考えでしょうか。
東京と横浜に雙葉学園がありますが、女の子だけしかいない、ミッション系の
学校です。
系列校に皇太子妃の雅子様が、ご卒業された学校があります。
正確には、田園調布雙葉といって、幼稚園から高校まである学校です。
私立の学校には、公立の学校と違い、その学校、独特の教育方針があります。
簡単にいえば、一部の学校を除き応募資格(通学指定地域、通学時間)がなく、
宗教教育もできますし、小学校一年生から英語も教えられますし、土曜日を休
みにすることができます。
ただし、平成14年から、公立の小学校でも英語の授業を始め、週五日制にな
りましたから、後ろの2つは私立学校の特徴とはいえなくなりました。
建学の精神や校訓があること、宗教教育を行い、男女別学の制度があることな
どが公立校との違いでしょう。
 
その校訓ですが、雙葉学園は、「徳に於いては純真に、義務に於いては堅実に」
を掲げています。
この言葉が、育児にピッタリと当てはまると考えています。
しかし、私の勝手な解釈ですから、間違っているかもしれませんが、こういう
意味だと思っています。
「徳に於いては純真に」とは、たとえば、お母さんのお手伝いをして、
「お母さん、お手伝いしたら、あれ買ってくれる?」
といってお手伝いをするのは、純真といえるでしょうか。
いえません、動機が不純です。
明らかに見返りを考えていますから、計算済みのお手伝いです。
また、3歳なら3歳の子が、親に頼らず自力でできることを、お母さんに手伝
ってもらっているとすれば、「義務に於いては堅実に」といえるでしょうか。
いえません、軟弱です。
甘えん坊になるだけでしょう。
過保護な育児をしていると、こんな子になりがちです。
 
別学については、これはお父さん方に聞いてもらいたい話です。
たくさんの幼稚園がある中で、田園調布雙葉小学校附属幼稚園と靖国神社の側
にある白百合学園幼稚園は、女の子しかいません。
ですから、白百合学園の3年保育の幼稚園に入って、そのまま大学まで進んだ
とすると、幼稚園3年、小学校6年、中学校3年、高等学校3年、大学4年と、
19年間、女の園です。
これで宝塚歌劇団へ入ったら、どういうことになるのでしょうか。
この2つの幼稚園を選ぶときに、避けて通れない大切な志望理由になります。
もっとも、雙葉学園には大学がありませんから大学受験で共学の学校を選べま
すし、白百合の場合も学部の関係で併設の大学まで進む生徒は少ないですから、
余計なお世話といわれそうですが。(笑)
 
さらにもう一つ、紹介しましょう。
日本女子大学附属豊明幼稚園には募集人員84名中、男子が24名いますし、
雙葉小学校附属幼稚園、東洋英和幼稚園には、男の子もいます。
小中高には、男の子しかいない暁星幼稚園には、逆に女の子も若干名ですがい
ます。
小学校から別学になるのですが、幼稚園だけ共学です。
なぜでしょうか。素朴な疑問ですが、これも余計な詮索ですね。
しかし、いずれの幼稚園も倍率は高く、狭き門となっていますから、過保護な
育児では、合格の二文字を獲得できません。
 
今、お子さんに、どのくらい手を貸しているか、チェックしてみましょう。
こういったことを、きちんと指導してくれる幼児教室を、選んでいただきたい
と思います。
(次回は、この辺からが問題です(2)として、過干渉の育児についてお話し
ましょう)

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