めぇでるコラム

2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>★★ご家庭で伸ばせる基本的な能力開発(1)

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2016さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
               第8号
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ご家庭で伸ばせる基本的な能力開発(1)
 
入園試験に関する実践的な指導は、幼児教室の先生方にお任せするとして、ご
家庭で伸ばせる能力開発、9項目について2回に分けてお話しましょう。繰り
返しますが、お子さんの月齢、生まれ月を忘れず、無理をしないことが大切で
す。
 
(1)言語の領域
何も話せなかった赤ちゃんが、いつのまにか、驚くほど話せるようになります。
しかし、自然に身についたわけではありません。ご両親、特に、お母さん方の
献身的な努力があったからです。言葉の意味がわからない赤ちゃんに、いつも
言葉を浴びせていたからこそ、今のように話せるようになったわけです。
「ママ、オミズ!」といったとき、黙って水をあげたお母さんはいないでしょ
う。
「のどが渇いたから、お水を飲みたいのね」
と話しかけていたと思います。これが、言語の学習になっていたわけです。
モンテッソーリの「言葉の敏感期(もっとも活動が盛んになり発達する時期)」
です。
この時期を逃すと、オオカミに育てられた少女ではありませんが、言葉を話せ
なくなるそうです。
 
2歳前後で平均三百語ぐらいだった言葉も、3歳になると平均して八百から千
ほどの言葉を使えるようになるといわれています。ですから、3歳過ぎると、
うるさいほど話しかけてくるわけです。「なぜ、どうして?」の問いかけが盛
んになります。面倒がらずに、やさしく聞いてあげ、答えてあげましょう。い
ろいろなことに興味を持ち、それを言葉で表現しようと努力しているのですか
ら、その意欲を大切に伸ばしてあげることです。興味を持ったことに、お母さ
んが答えてくれれば、それだけで話を聞く姿勢が身についてきます。
会話の弾む楽しい雰囲気を作ってあげることが大切です。
 
そして、本を読んであげましょう。
絵が中心であった絵本から、短いながら物語風なものに興味を示しはじめてい
ませんか。
面白い話には表情も和み、恐ろしい話になると不安そうな顔をし、悲しい話に
は涙ぐむなど、幼いなりに情緒が育っていることもわかります。
 
幼児用の本も、まだ理路整然とはいきませんが、いつ・どこで・だれが・なに
を・なぜ・どのようにと「5w+1H」から成り立っています。もちろん、幼
児が「いつ・どこで・だれが……」などと意識しながら聞いているわけではな
いでしょうが、「ノンタンは、どうして泣いているのかなぁ」などと思いなが
ら聞いていると思います。これで「話を筋道立てて聞く練習」になっているば
かりか、そこから「話を聞く姿勢」が身についてきます。しかも話は、「起承
結」と「転」がなく、わかりやすく構成されています。
 
話を聞きながらわからない言葉が出てくると、
「ママ、にじって、なあに?」
絵本を見ながら、お母さん方は、虹をわかりやすく説明することで、新しい言
葉を覚え「語彙」が増えます。
 
話が面白いと、覚えようとします。絵本を見ながら、何やらぶつぶつと言うよ
うになりますが、あれは話を思い出しているのでしょう、記憶力が培われます。
そして、何度も読んでもらうことで、一本の弱々しい木が根を張り枝葉をつけ
大きな木に成長するように、話をきちんと理解し、言葉はイメージ化され、映
像とともに記憶されます。
 
また、話は勧善懲悪から成り立っていますから、幼いなりに道徳、善悪など襟
を正して説教しなくても学習し、「自前の判断力」も養われます。
 
さらに、本を読んであげている時のお母さん方の表情は豊かで、やさしい語り
かけが何よりのスキンシップになっています。赤ちゃん時代の「無償のほほえ
み」と同じではないでしょうか。
 
本の読み聞かせは、これだけたくさんの学習になっているのですから、「ママ、
読んで!」と言われた時は、しっかりと読んであげましょう。
 
(2) 数量の領域
2、3歳の幼児の数量に関する理解力は、日常生活、特に食べ物や飲み物と深
い関わりを持っています。数は、多い、少ないがわかればいいでしょう。例え
ば、ビスケットが2枚と4枚入ったお皿を置き、「多い方を食べていいですよ」
といって4枚のお皿に手が出れば、数感は順調に発達しているといえます。ま
た、2つのコップに違った量のジュースを入れ、同じくたくさん入ったコップ
に手が出れば、量に対する感覚も順調に発達しているといえます。数や量にこ
だわるのは、決して卑しいことではなく、「数の多少」「量の多少」を直感で
判断できる証(あかし)でもあるのです。
 
いくつまで数えることが出来ればいいのかとよく質問を受けますが、2、3歳
の幼児に、「そこにあるみかんを10個持っておいで」などと指示を出す親は
いないでしょう。3歳までに4から5までの数を認識できれば十分でしょう。
 
1、2、3、4、5といえるより、みかんなどを1つずつ手にとって、「1個、
2個」と具体的に、量を実感しながら数えることが大切です。
2、3歳の幼児に数字は必要ありませんから、必ず、具体物を使って、1枚、
2枚、1本、2本と数えるようにしましょう。数詞を無理なく学習できるから
です。
(筆者注「数感」とは聞きなれない言葉ですが、音感、語感と同様、数に関す
る感覚のことで、香川大学の小林名誉教授が使用されていた言葉です)
 
(3) 記憶力の領域
記憶力は、毎日の生活で体験する、「見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触る」の五
感を通して培われていきます。その印象が強ければ、より鮮明に残るわけです。
五感を刺激させる環境を作ってあげましょう。
 
2歳は模倣の時期で、お手本はご両親です。真似るのも、記憶力を養う基本的
な訓練です。
よいお手本をたくさん見せてあげましょう。
 
3歳になると自発性が芽生え、自立の時期に入りますから、いろいろなことに
挑戦しはじめます。学習も、基本は記憶です。まだ、危険なことをしますから、
監視する必要はありますが、夢中になって遊べる時間をふやしてあげましょう。
何かに夢中になって取り組みはじめた時には、見守る態度で接してあげること
です。子どもの遊びは、より楽しく遊ぶための記憶の積み重ねであり、基本的
な生活習慣を身につけるのも記憶の蓄積された結果です。同じことを何回も何
回も繰り返すのも、手順の確認作業と考え、あたたかく見守ってあげましょう。
夢中になって取り組むことから、記憶力は養われていくものです。
 
このように幼児の記憶力は、決して、机の上だけで鍛えられるものではありま
せん。
 
(4) 常識の領域  
2、3歳の幼児にとって常識とは、やはり、自分のことは自分でやらなくては
いけない、基本的な生活習慣でしょう。第3号で紹介しましたが、「2、3歳
児の心身の発達特徴」を参考にしながら、お子さんの成長を見守ることです。
 
少子化現象から、兄弟姉妹のいる家庭が少なくなり、親が子をかまいすぎるこ
とから、手のかかる子が増えているようです。3歳までは、適切な保護が必要
ですが、3歳に近づくにつれ、子ども自身に自分でやろうとする意欲も芽生え
てきます。簡単に出来ることまで手をかすのは、愛情ではなく過保護です。自
発性も、自主性も育ちません。ここでも、失敗は成功のもとです。
 
年令相応に、自分で出来ることを増やしてあげましょう。自力で出来るまで、
試行錯誤を重ねますから、知的な能力も育まれます。そして、モンテッソーリ
の「ママ、ひとりでするのを手伝ってね!」を忘れないように心がけてくださ
い。
注 モンテッソーリ
イタリアのローマで医師として精神病院に働き、知的障害児へ感覚教育を実施
し知的水準を上げる効果を見せ、1907年に設立した貧困層の健常児を対象
とした保護施設「子どもの家」において、独特の教育法を完成させた。以後、
モンテッソーリ教育を実施する施設を「子どもの家」と呼ばれるようになった。
 (ウィキペディア フリー百科事典より)
 
「ママ、ひとりでするのを手伝ってね!」
講談社から発売された、相良敦子著の本の題名
白百合学園幼稚園を受験される方、必読の書です。説明会は、モンテッソーリ
教育の話が中心になっているからです。
 
(次回は、「ご家庭で伸ばせる基本的な能力開発 (2)」についてお話しま
しょう)
 
 
 

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