めぇでるコラム

さわやかお受験のススメ<保護者編>★★第7章(1) 端午の節句です  皐月

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2016さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
             -第24号-
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第7章(1) 端午の節句です    皐 月
 
物の本によると、皐月(さつき)のいわれは、この月は田植えをする時期で、
早苗(さなえ)を植える「早苗月」から「さつき」となったそうです。「五月
晴れ」と書いて「さつきばれ」と読みますが、こちらの方が親しみやすいです
ね。
 
★★端午の節句★★
5月といえば、端午の節句ですね。今は「子どもの日」の方が、なじみやすい
のではないでしょうか。男の子も女の子も、元気よく育つようにと、お祝いを
する日です。しかし、昔は、「端午の節句」といって、男の子のお祭りの日で
した。3月3日が「ひな祭り」で、女の子のお祭りでしたから。 床の間に、
さまざまな幟(のぼり)を背にした神武天皇を中心に、武者人形や兜(かぶと)
を飾った記憶があります。
 
枕草子にも、平安時代の5月5日の情景が描かれています。
 
   節は、五月にしく月はなし。
   菖蒲、蓬などのかほりあひたるも、いみじうをかし。
                    (枕草子 第四十六段)
 
端午の節句のルーツは、お武家さん、お侍の世界です。
お侍さんの家では、立派な侍になるように、鯉のぼりを立て、よろいやかぶと、
鍾馗(しょうき)や金太郎、桃太郎のような勇ましい人形を飾り、武運長久を
祈り、お家安泰を願ったのです。それが、いつの頃か定かではありませんが、
お侍さんではない家でも、まねるようになり、端午の節句に 欠かせない風物
詩となっているのです。その経緯は、伝説「コイのぼりのはじまり」に記され
ています。この日に、家の屋根や軒先に、菖蒲の葉や蓬をのせたり、菖蒲を入
れた風呂に入ったりしたものです。それで、この日を「菖蒲の節句」ともいい
ます。
 
今では、軒先に菖蒲の葉や蓬を見ることはできませんが、男の子のいる家では、
菖蒲湯をやっているのではないでしょうか。スーパーマーケットなどで、菖蒲
を売っていますから。
菖蒲湯に入って、菖蒲の根っこを額に当て、鉢巻きをしたものです。こうする
と、風邪を引かなくなるし、頭もよくなるといわれたのです。確かに、匂いが
強いですから、風邪薬の感じはありましたが、頭脳明晰になるとは、子ども心
にも信じていませんでした。どちらかといえば、けんかに強くなるイメージは
ありました。菖蒲の葉は、先が細長くとがっているので、刀のような感じがす
るからです。新聞紙で折ってもらったかぶとをかぶり、木で作った刀でちゃん
ばらごっこ。これが、私たちの遊びの定番でした。「ちゃんばら」は、「チャ
ンチャンバラバラ」の略で、歌舞伎の立ち回りや、映画の殺陣(たて)をまね
たごっこ遊びのことですが、今どき、こんな遊びをする子はいないでしょうね。
 
そして、私には楽しみでしたが、粽や柏餅を食べる日です。粽や柏餅は、おい
しかったのですが、蓬で作った草餅は、子どもにとっては匂いが強烈で、喜ん
でいただきますとはなりませんでしたが、何しろ蓬の葉には、悪魔を追い払う
力があるといわれ、私は男の子だけに、食べざるをえない雰囲気があり、否応
もなかったのです。
しかし、今の蓬の草餅は、おいしいですね。匂いといい、味といい、まるで違
ったものを食べている感じがします。
 
★★なぜ、鯉のぼりなのでしょう★★
鯉は硬骨魚で、鱗(うろこ)が36枚あるといわれ、別名、六六魚(りくりく
ぎょ)と呼ばれているそうですが、実際には31枚から38枚ほどで、泥沼の
川や池に棲み、2本の口ひげを備え、食用、観賞魚として珍重されるばかりか、
立身出世の象徴ともされています。
「なぜ、鯉のぼりなのか」、その理由は文部省唱歌に歌われています。鯨はい
くら体が大きくても、鮫はいかに強そうだからといっても、端午の節句の主役
になる資格はありません。
その答えは、3番の「百瀬の滝」を昇って竜になるにありそうです。
 
 鯉のぼり (文部省唱歌)
        作詞 不明
        作曲 広田 竜太郎
    一、いらかの波と 雲の波   重なる波の 中空を 
      橘かおる   朝風に   高く泳ぐや 鯉のぼり
      
    二、開ける広き  その口に  船をも呑まん 様(さま)見えて
      ゆたかに振う 尾鰭(おひれ)には  物に動ぜぬ  姿あり
                   
    三、百瀬の滝を  昇りなば  忽(たちま)ち竜に なりぬべき
      わが身に似よや 男子(おのこ)ごと  空に躍るや 鯉のぼり 
 
中国の黄河の中流にある竜門の滝には、下流からいろいろな魚が、群れをなし
てさかのぼってくるそうです。見たわけではありませんが、何しろ清流逆巻く
滝です。他の魚達は、ギブアップしても、鯉だけは滝を昇りきって、竜になる
言い伝えがあり、そこから出世する糸口となる関門を「登龍門」といい、「鯉
の滝昇り」として、立身出世のシンボルとなったのです。流れに水をさすよう
ですが、昇りきれない鯉もいたのではないでしょうか。納得できる言葉があり
ます。
 
 「点額」という言葉があり、これは『額にケガをする』という意味で、流れ
を昇らずにケガをした魚にたとえ『落伍者』『落第生』のことを表しています。
   (目からうろこ!日本語がとことんわかる本 日本社 講談社 刊P134)
 
また、「鯉の水離れ」といって、水揚げされた鯉は一度跳ねるだけで、あとは
じたばたせずに生きており、しかも「まな板の鯉」といって、まな板の上にの
せられても、きっちり覚悟を決め、悠々と横たわっている姿から、潔い、強い
魚として、お侍さんから尊ばれていたのです。
 
「五月の鯉の吹き流し」といって、鯉のぼりの中は空っぽで、何も入っていま
せん。さわやかな風を腹いっぱいに流し込んで泳ぐ、はらわたのないのびやか
な姿が「腹黒く」もなく「腹に一物」もない、さっぱりとした男らしい気性を
表しています。ですから、男の子の節句には、世の中で役に立つ、たくましく
て立派な人物になってほしいとの願いをこめて、鯉のぼりを立てたのです。
 
ところで、鯉のぼりの一番上に飾る「吹き流し」は、滝や雲をなぞらえたもの
で、風になびきながら泳ぐ鯉の姿を、美しく引き立てています。吹き流しは、
青、赤、黄、白、黒の五色で、木火土金水の五行を表わしています。五行とは、
簡単にいえば、古代中国で考えられていた、人間の生活に必要な材料を表した
ものですが、これにも訳があります。
 
 五行とは、木・火・土・金・水の5つの要素で、自然界、人間界のすべての
 現象をつかさどるものとする。木から火、火から土、土から金、金から水、
 水から木が生まれ、水は火に、火は金に、木は土に、土は水に勝つとする。
 そして、それぞれを表す色として木に青、火に赤、土に黄、金に白、水に黒
 があてられたが、後に最上の色とされる紫に変わり用いられるようになった。
 また、木には仁、火には礼、土には信、金には義、水には智という道徳観が
 あてられた。
    (日本の年中行事百科3 夏 民具で見る日本人のくらしQ/A P32
                      監修 岩井 宏實 河出書房新社 刊)
 
この五行には、病気を引き起こすもとと考えられていた「邪気」を払う力があ
ると信じられていました。しかも、鯉をとって食おうとする竜は、この五色が、
大嫌いだったそうです。ですから、竜は近づくことができず、鯉は五色の吹き
流しに守られ、五月の空を、さわやかな薫風にのり、悠々と泳いでいるのです。
最近は、黒に代わって緑や紫が使われていますが、黒と白では縁起が悪いから
ではなく、本来、黒でなくてはいけない理由があるわけです。そういえば、船
旅で別れを惜しむときに、五色のテープを使っていますが、もしかしたら、海
に棲むといわれていた竜から、身を守るためのセレモニーかもしれません。
 
しかし、最近は郊外に出ないと、悠々と泳ぐ鯉のぼりの姿を見かけなくなりま
した。端午の節句が、子どもの日と改められても、男の子の健やかな成長を願
う親心には、変わりはないと思うのですが。マンションや団地のベランダに小
さな鯉のぼりが泳いでいると、「やっているな!」とほほえましくなります。
 
プロ野球の好きな方へ、広島東洋カープは、なぜ「カープ(鯉)」なのでしょう
か。命名の由来は、何と城の名前です。原爆ドームのすぐそばにある広島城
(築城 毛利輝元)は、別名を「鯉城(りじょう)といい、そこから『広島カ
ープ』となったもので、城の名前をつけている球団は、他にありません。原爆
で倒壊した天守閣は、昭和33年に復元されましたが、中御門跡付近には原爆
でこげた石垣があり、風化されてなるものかと訴えているような気がしました。
 
今年の日本人の大リーガー、ファンである松井秀喜がいないのでほとんど見て
いませんが、ヤンキースのマー君こと、田中将大は開幕戦でノックアウト。新
聞に“Who is that guy!”と厳しくたたかれましたが2勝、NT紙に雪辱を果
たしました。マーリンズへ移籍したイチロー、忍者顔負けのスチールには脱帽。
広島に帰った黒田、前田の2枚看板で優勝争いかと思いましたが……。レッド
ソックスの上原、初セーブ。レンジャーズのダルビッシュ有、故障、マリナー
ズの岩隈、ブルーワーズの青木が頑張っていますね。ムネリン、川崎にも期待
しているのですが。
松井は、師匠の長嶋氏と共に国民栄誉賞を背番号にちなみ5月5日に東京ドー
ムで受賞しました。私がドームに行くと、必ずホームランをかっ飛ばしてくれ
感激したもので、星陵高校時代、甲子園での敬遠される姿を見て、その態度が
潔く、以来、応援していました。
松井は怪我さえしなければもっと活躍できたはずです。先日、ヤンキースのユ
ニホームを着て若手にアドバイスをしている映像を見ましたが、人柄が愛され
ていたことがわかります。次期監督候補、ジータの参謀になれるかどうか、楽
しみが増えました(笑)。
ところで、日本球界に復帰した選手が、満足に働けない姿を見るにつけ、本場
の野球のすさまじさを想像できます。日程と試合数を見ただけでも、エネルギ
ーを搾り取られる感じがしますから、技術の前に体力と精神力、これが秀でて
いなければ活躍する場はないですね。イチローの凄さがわかります。
大リーガーといえば、忘れてならないのは野茂英雄投手で、日本の野球界は、
快く渡米させなかったことを思い出します。とかく開拓者には、逆風が吹きが
ちですが、それを乗り越える実力も、精神力も、体力も備えた、すばらしい選
手でした。彼には国民栄誉賞をもらう資格が十分あるのでは。
それにしても、天は二物を与えるものですね。大谷君と結弦君! 若者の活躍
は、本当に楽しいですね。(感謝)
(次回は、「第7章(2) なぜ、しょうぶ湯なのでしょうか」などについて
お話しましょう)
 
 

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