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めぇでるコラム : 2014年9月

2015さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★お子さん編★★

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        「めぇでる教育研究所」発行
     2015さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第64号)
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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説明会情報
先週の土曜日に行われた暁星小学校の説明会で今年の受験番号は、生年月日順
(8月-12月-3月-7月)で実施。立教小学校の第2回目の説明会では、
田代教頭は面接で「ミッション系のカトリックの教育に云々」ではなく「ご自
身の言葉で話してほしい、本気度をみたい」とおっしゃっていました。
 
お子さん編
ほとんどの場合、質問は、お子さんから始まります。
緊張をほぐすために、名前や生年月日、幼稚園(保育園)のことなどから聞くよ
うです。
しかし、住所や電話番号は、通常、あまり聞かれませんから、うまくいえない
場合があります。
そんな時、ほとんどの子ども達は、お母さんを見ます。
すると、お母さんは、
「東京都新宿区………」とやりがちです。
これはどうでしょうか。
住所や電話番号を、面接のために記憶させていると、こうなりがちです。
いえないと「減点される」と思っているのではないでしょうか。
ですから、答えなるものを、すぐに教えてしまうのです。
「ほら、迷子になったとき、どうする約束でしたか」などと、二人だけでわか
るヒントを出せるお母さんであってほしいのです。
遊園地やデパートなどで迷子になったとき、何が頼りになるでしょうか。
名前と住所を言えば、すぐに探してもらえることを知っていれば、お子さんも
覚えるはずです。
緊急事態が発生した場合、電話は連絡に欠かせないものです。
いずれも、面接のために覚えることではなく、自力で物事に対応しなければな
らない時のために、身につけておかなければならない知恵ではないでしょうか。
 
「幼稚園(保育園)は、楽しいですか。仲良しのお友達の名前を教えて下さい」
幼稚園が楽しく、友達がたくさんいれば、すぐに答えられるでしょう。
こういった質問からは、集団生活への適応力である社会性や協調性が育まれて
いるかがわかります。
幼児への質問は、日常の生活が中心となっていますから、難しい質問はないは
ずです。返答に詰まったときは、答えられなくてもよい、とはいいませんが、
面接官が、ご両親の態度を見ていると思えばいいでしょう。
余計な口出しをせず、温かく見守り、お子さんがわかるヒントを出せる保護者
であってほしいのです。
その時には、面接官に、「よろしいでしょうか」と一言、確かめることもお忘
れなく。
 
絶対にやってほしくないのは、お子さんの回答を訂正することです。
親子面接の指導をしているときに、こういったことがありました。
「何人家族ですか」
「はい、5人です」
お父さんが、あろうことか、「えっ!」といって、少しですが、笑ったのです。
「違うでしょ、4人ですよ」
お母さんが、あわてて、恐い顔をしながら、間違いであることを指摘しました。
びっくりしたのは、答えたお子さんです。
これはまずいと思い、すぐに質問をしました。
「5人家族なのですね。では、どなたがいらっしゃるのかな」
「お父さん、お母さん………、お姉ちゃん…、ぼくと……、ポチです」
お母さんを気にしながら、小さな声で答えました。
ポチは、いうまでもなく犬ですが、みんなでポチを可愛がっている様子が伝わ
り、微笑ましいではありませんか。
犬を家族に入れたから、「常識外れで減点!」などと考えにくいことです。
あわてて訂正したお母さんこそ、「保護者として失格!」、マイナス点がつく
と思います。なぜなら、その質問を境に、お子さんはそわそわし始め、それま
での元気な姿が見られなくなったからです。
笑ったお父さんは、その後のお子さんの様子を見て、後悔したのはいうまでも
ありません。
お子さんは、質問の内容を理解し、自分の言葉で、堂々と答えたのですから、
うなずいてあげるべきです。
お子さんの回答を訂正することはもちろん、笑うなどとは、保護者としてする
ことではありません。
 
お父さんに関する質問で、お子さんが困った顔になるのは、お父さんの仕事で
す。
「お父さんは、どのようなお仕事をしているのですか」の質問に、「国家公務
員です」と「みんなのために役に立つお仕事です」との答えでは、どちらが子
どもの答えとして、ふさわしいでしょうか。
「サラリーマン」では、わかりません。
お子さんは、お父さんの仕事を、きちんと説明できますか。
こういった質問から、普段の親子関係がわかるとはいいませんが、仕事はご自
身の生きがいと考えれば、あだやおろそかに出来ないのではないでしょうか。
「お父さんは、ぼく達のために一生懸命に頑張っているんだ!」
と思っていないお子さんは、いません。
お子さんにわかるように説明しておきましょう。
 
姿勢の崩れるお子さんもいます。
質問を聞きながら、足をぶらぶらさせたり、手を机の上に乗せたり、女の子は、
スカートを握りしめるなど、落ち着かなくなり、姿勢の乱れる場合があります。
普段から、食事のときなど、だらしなく食べているお子さんは、その通りにし
ますから問題外として、心配なのは、緊張のあまり、本人が気づかずに、その
ようにふるまうことがあるのです。
姿勢の乱れた姿など見たこともないお母さんは、びっくりしてしまい、あわて
て手足をたたいたり、手を膝に戻したり、心配のあまり、膝をつねってしまう
お母さんもいます。もっとすごいお母さんになると、恐い顔をして、にらみつ
けます。
これもどうでしょうか。
本人は緊張しきって、意識せずにそういった動作をしているにすぎないのです。
何もしなくてよいとはいいませんが、やはり、修正をしなくてはならないでし
ょう。
 
これはいいなと思ったお母さんがいました。
「タロウくん、足が笑っていますよ」
と、やさしくいったのです。
気づいた本人は、お母さんを見て、手で頭をかくような仕草をし、照れ笑いし
ながら、腰を少し前に進めて、足をしっかりと床につけ、手はお膝になりまし
た。
お母さんは、「申し訳ありません」といった気持ちを表すかのように、軽く会
釈をしたのです。
見事でした。
お子さんが緊張した場合、どのようなことをするか、よくわかっていて、椅子
に浅く腰掛けて訂正する方法を、親子で体験済みだったのでしょう。
これが保護者の役目ではないでしょうか。
 
また、本人の質問が終わり、ご両親の番になると、今度は緊張感から開放され、
退屈になり、姿勢の崩れることがあります。
模擬面接のときに、男の子には、「お父さんやお母さんがお話をしている間は、
手をひざに置き、背を伸ばして聞いているのが、一番、かっこいいのだよ」、
女の子には、「一番、かわいいのですよ」と話しています。
「じっとしているんですよ!」だけでは、効果はありません。
親が話をしているとき、終わるまで静かに待てる方法を考えてあげましょう。
 
ところで、家庭学習で苦手な問題にとり組む時には、細心の注意が必要です。
繰り返しますが、幼児がわからないといった時は、本当にわからないのです。
お子さんがわかるように工夫してください。
「何でできないの!」といった不用意な言葉がけで、今までの自信を崩すこと
にもなりかねません。
お子さんが萎縮するようなやり方だけは、絶対に止めましょう。
 
朝晩、涼しくなってきましたが、暑かった夏の疲れが出やすい時です。
健康管理には、十分に気をつけてください。
     (次回は、「ご両親の面接」についてお話をしましょう。)
 

2015さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★面接編2★★

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        「めぇでる教育研究所」発行
     2015さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第63号)
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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面接編2
 
今回は、面接当日のお話をしましょう。
 
[学校へ到着]
★緊張する様子が見えたら★ 
面接の日でも、多くの人が集まりますが、試験当日は、その比ではありません。
それを見ただけで、しり込みをするお子さんも出てきます。
こういった経験がないからです。
そのためにも、公開模擬テストなどを受けるのがいいでしょう。
知らない友達の中に入って、いろいろなことを経験できるからです。 
また、過保護に育てられていると、こういった時に拒絶反応を示しがちです。
手をかけ過ぎていると、自分でやることが少なく、失敗の経験が少ないですか
ら、こういった事態に対処できません。
過干渉な環境では萎縮してしまい、「ママ、助けて!」となりがちです。
何度も繰り返しますが、小学校の受験は、お子様の成育史、言い換えれば、ご
両親の育児の姿勢が、そっくり出てくるものです。 
普段、元気いっぱいのお子さんでも、大勢の人をみてびっくりする場合もある
でしょう。その時は、お子さんが、いちばん安心する様子を、お子さんに示し
てあげることです。世界で一番強いと思われているお父さんの出番です。
たくましいお父さんであってください。
間違っても、「しっかりしなさい!」などといわないことです。
それだけでパニックに陥ってしまうお子さんもいます。
しゃがんで目を合わせ、
「いつもの教室でやるのと同じだから、心配することはないんだよ」
やさしく、教えてあげましょう。
 
★所定の手続きを的確に★ 
何事も初めてとなると、緊張しがちです。
しかし、心配はありません。
学校側も、全員、初めての受験を想定して、マニュアルを作ってありますから、
難しい手続きはありません。
落ち着いて取り組めば、何でもないことです。
ミスをしがちなのは、指定された時間の間際に来て、手続きをする時でしょう。
気持ちに余裕がありませんから、どうしてもあせりがちで、ミスも起きがちで
す。
そんな時は、おそらく、普段、お子さんが見たこともないご両親の姿になって
いると思います。
それを見たお子さんは、どのような心境になるでしょうか。
面接は、まだ、ご両親がそばにいますから、ショックも少ないでしょうが、試
験当日は、そこから一人で行動しなければなりません。
普段どおり、というわけにはいかないでしょう。
余裕を持って出かけ、こういった気持ちにさせないのも、ご両親の大切な役目
です。
 
[控室]
★静かに待つ工夫を★ 
幼児にとって、静かに待つのは、大変、苦手なものです。
ここでも、普段の育児の姿勢が姿を現します。
ましてや、緊張していますから、いつもよりテンションもあがり、舞い上がっ
てしまうお子さんもいます。
普段のしつけが大切です。 
最近、よく見かけますが、幼児用の図書室で、大きな声でしゃべったり、走り
回ったりする子もいます。
親も注意しません。
お菓子を食べている子さえいます。
また、電車などでも親同士が話に夢中になり、子どもが騒いでいても、知らん
顔をしています。
こういうことが許されていて、面接に来たときは、
「静かにしなさい!」
では、無理というものです。 
 
面接当日は、しばらく待つ時間がありますから、退屈させない工夫をしましょ
う。
お子さんの好きな本を控室で読むわけにはいきませんから、自分で読める本が
いいでしょう。
そういう本であれば、気に入っているはずですから、静かに待てることになり
ます。
一人で静かにできる折り紙やあや取りなどもいいでしょう。
手先を使って遊ぶ折り紙やあや取りは、手順を間違えると遊びは成り立ちませ
ん。
楽しみながら脳に刺激を与えるすぐれもので、口頭試問の準備運動にもなるは
ずです。
 
お子さんが気にいっているからといって、ぬいぐるみの人形や恐竜のおもちゃ、
ゲーム類はどうでしょうか。
5、6歳の幼い子ですが、それなりの自立ができているはずですから、公の場
に人形を持ち歩くのは、よい印象を与えないものです。
また、おもちゃやゲーム類は、他のお子さんに迷惑がかかりますから、持ち込
むことすら常識を疑われます。 
 
しかし、何と言っても大切なのは、ご両親の落ち着いた悠揚迫らぬ態度です。
お子さんの学校選びが確かであれば、面接に臨んでも、何ら心配はないはずで
す。
そして、保護者としての自覚があれば、そこから余裕が生れ、お子さんに安心
感を与えるものです。
 
[入室] 
面接会場は、学校によって設定が異なりますから、一概には言えませんが、ド
アが閉まっている時はノックをして、ドアが開いている場合でも、開いている
ドアをノックして、カーテンの場合は、「失礼します」と声をかけて、様子を
見ましょう。
そして、「どうぞ、お入り下さい」といった返答があってから、「失礼します」
といって入ります。
こういった余裕を持ってほしいのです。
お父さん、お子さん、お母さんの順で入るのが自然でしょう。
主人公は、お子さんです。
お父さんが露払いをし、お母さんはお子さんをしっかりガードして入るべきで
す。
 
お母さんが先頭になって入るのでは、母親主導型の家庭と見られるので、よい
評価を得られないとは言いませんが、お子さんのためです、この際、ご主人を
立てましょう。
ただし、外国生活が長く、レディーファーストが身についている場合、普段の
生活もそうなっていると思いますが、「郷に入っては郷に従え」ともいわれて
いますから、ご両親でよく話し合って決めましょう。
 
また、入室の時にお子さんが、
「失礼します」ということがありますが、これもどうでしょうか。
日常生活で、盛んに使われている言葉とは思いません。
不自然ですから、こういった言葉は教えこまないことです。
「おはようございます」や「こんにちは」で十分です。
「ごきげんよう」という女の子もいますが、入学後でいいのではないでしょう
か。
普段、幼稚園などで、そういったあいさつをしていなければ、やはり、とって
つけたようで、さまになっていない場合が多いものです。 
 
入室の際に、あいさつのできないお子さんが、かなりいます。
特に、男の子は、できません。
するとお母さんが、
「ごあいさつは!」と催促をしがちです。
すごいお母さんになると、言葉だけではなく、頭を押さえつけるようにして、
あいさつをさせようとします。
これもどうでしょうか。  
あいさつができなかったから、マイナス何点などと採点するはずはないと思い
ます。
お子さんが、初めての所へ来て、初めて会う人の前に立っているのですから、
それだけ緊張しきっています。
あいさつができなくても、当たり前ではないでしょうか。
それを考えずに、あいさつを無理強いするのは,保護者としてふさわしい態度
とは思えません。
あいさつができなかったら、お母さんが面接官に黙礼して、静かに謝っておけ
ばいいのではないでしょうか。
 
そして、入室しても、いきなりテーブルもしくは椅子が置かれているところま
で直進せずに、入った所で横一列に並び、次に指示を待ちます。
あわてることはありません。
「お父さんは、こちらへ」などの指示に従い、三人がそろったところで、お父
さんから、「失礼します」といって席に着きましょう。
お父さんを見て、お子さんも座り始めます。
お母さんは、お子さんが着席するまで見守り、それから座りましょう。
 
お子さんには、椅子に浅く腰をかけさせ、両足をきちんとそろえ、手を膝に置
くようにすれば、座る形も決まり、姿勢も崩れにくくなります。
わずか、これだけのことですが、普段の生活習慣が見事に現れます。
食事の時、いい加減な姿勢で、テレビなどを見ながら食べていると、だらしの
ない座り方になり、座れても、すぐに姿勢がくずれがちです。
言うまでもないことですが、お母さん方へ一言、長い髪は、お辞儀をするとき
に、バサッと前に落ちてきます。
これも感じのいいものではありませんから、きちんとまとめておきましょう。
また、ミニスカートでは、膝が気になり、面接どころではなくなりがちですか
ら、止めた方がいいと思います。 
そして、着席後は、お子さんの様子を見守るために、視線の中に入れておきた
いものです。
お子さんが不安そうにお母さんを見たときなど、知らん顔をせずに、笑顔で応
じてあげましょう。
これが何よりの精神安定剤になるからです。
(次回は、面接「お子さん編」についてお話しましょう)
 

2015さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★面接編1★★

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        「めぇでる教育研究所」発行
     2015さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第62号)
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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面接編1 
 
後半の説明会が始まりました。
9月6日(土)は、8時50分から立教小学校(2回目)、午前9時30分から
青山学院初等部(2回目)、午前10時(午後1時)から学習院初等科、午前
10時(午後2時)から成蹊小学校(2回目)、そして早稲田実業学校初等部の
学校見学会とこんなに日程が重なったのは、私の経験では初めてでした。立教小
学校の田代教頭の「落とす試験ではない」話が受けていました。
13日(土)10時から暁星小学校の説明会が行われますが、場所は小学校内で
はなく中高にある学園講堂です。そして帰りには小学校の正門に掲げられている
「困苦と欠乏に耐え、進んで鍛錬の道を選ぶ、気力のある少年以外は、この門を
くぐってはならない」と刻まれた額を見ておきましょう。ご存知と思いますが、
中高の校門を出て道なりに行くと右側にあります。
願書も発売されていますから、早めに手に入れておきたいものです。
 
幼稚園も始まりました。
猛暑も峠を越しましたが、子ども達は、夏休みの講習会などで頑張ったのではな
いでしょうか。
最後の胸突き八丁、正念場を迎えます。
心身ともにコンディションを崩さないよう、特に精神面の健康管理には、十分に
注意してください。
メルマガの読者にはいらっしゃらないと信じていますが、
「どうして、こんなことができないの!」
「何回いったらわかるの!」
などの不用意な言葉がけは、幼い子ども達には、悪魔の声に聞こえていることを、
しっかりと心に刻んでおきましょう。
 
今回から4回に分け、面接についてお話しましょう。
なお、面接に関する話は、当研究所発売の「面接、ここがポイント小学校編」、
「面接克服、ここがポイント~That’s a Plenty」(CD版)か
ら抜粋したものです。
 
★面接当日の服装★
ある年のミッション系の学校説明会で、「子ども達から、『先生、今日はお葬式
があるのですか』と聞かれました」と、校長先生が苦笑いしながら話されたこと
がありました。
面接のために訪れた皆さんの服装が、申し合わせたように紺や黒だったからです。
子どもたちには、異様に思えたのでしょう。
「○○小学校は、紺で統一しなければ失礼にあたる」などといった噂があるよう
ですが、これも単なる噂に過ぎません。
昨年まで雙葉小学校の説明会でも、「よくある質問」の中から、
「入学試験時の服装は、親子とも紺でなければいけないのでしょうか」に対して、
文言は正確ではありませんが、以下のような説明がありました。
「そんなことはありません。その場に応じた服装であればよいと思います。紺や
黒でなければいけないということはありません」
なぜかわかりませんが、今年はこの説明がありませんでした。
だからといって、「紺や黒の服装で決めてほしい」といっているわけではないと
信じていますが、これは受験者の判断にお任せしましょう。
6日の立教小学校の説明会で田代教頭は「私は服装で判断しているわけではあり
ません」といっていましたし、かつて、ある小学校の面接の折に学校側から、
「皆さんが同じように紺の洋服では、不自然とは思いませんか」といった質問も
ありました。
また、幼稚園の募集要項に、「親子で紺色にそろえる必要はありません」と注意
書きがあったことからも、つまらない噂であることがわかります。
しかし、だからといって、人と違った服装をするには、勇気が必要でしょうし、
抵抗もあるでしょう。
 
学校も幼稚園も、「服装などどうでもよい」といっているのではありません。
やはり、初めての方と、しかも、これからお世話になるかもしれない先生方とお
話をするのですから、それなりの礼を尽くすのは、当然のことです。
問題は、普段、お子さんは、紺の洋服を着ることに慣れているでしょうか、この
ことです……。
面接当日、初めて袖を通した服になりがちです。
大人でも、新調した服を着ると気持ちが変わるのではないでしょうか。
しかも、ご両親も、普段と違った服装で決めています。
お子さんが、「あれっ!」と思わないわけがないのです。
これだけで緊張するのが子ども達です。
「お子さんに、余計なプレッシャーをかけないで下さい」
といった、学校側の配慮ではないかと思います。
 
ですから、面接や試験の日だけ着せるのではなく、何回も着て慣れておくことで
しょう。そして、お父さんにはひげを剃ってもらい、当日と同じ服を着て、食事
や買い物などに出かけることです。
また、受験される学校まで出かけるのもいいでしょう。
そういった経験をしておけば、お子さんは、特別な気持ちにはならないはずです。
「特別な気持ちにさせないでほしい」という学校側の配慮が、伝わってきません
か。
このことだと思います。
 
そして、学校側は、「堅実な家庭を築くお父さん、それを支える謙虚なお母さん」
を求めています。
それが身だしなみとして現れます。
装飾品はマリッジリングだけにし、化粧も香水も控えめになさるのが、賢明でし
ょう。服装や身だしなみに自信がもてないときは、ご両親に見てもらうことです。
面接される先生方と同じセンスで判断してくれるはずだからです。
 
★面接前夜★
〔お子さんに緊張感を持たせないこと〕
 
まず、ご両親が、絶対に忘れてならないのは、小学校の入学試験は、ご両親の意
志で始めたことです。
そして、ご両親はいうまでもなく、お子さんの保護者です。
保護とは、「(外からの危険などに対し)気をつけて、かばい守ること」であり、
保護者とは、「(児童などを)保護する義務のある人」(岩波国語辞典)です。
多くのお子さんは、生れて初めて、大事業に挑戦するわけです。
その緊張感は、計り知れないものがあり、小さな胸は、張り裂けんばかりに波打
っているはずです。
この緊張感をやわらげるのは、難しい注文であることは確かですが、ご両親の、
普段と変わりのない姿であり、笑顔です。
専業主婦であれば、交際範囲も限られていますから、初対面の人と話をするのは、
やはり、相当のプレッシャーとなるでしょう。
「きちんと話せるかしら……!」などと不安を感じていると、それが態度に表れ、
「普段のママと、何だか違うみたいだなぁ?」
お子さんは、微妙な変化を見逃さないものです。
こういう心境になっている時に、
「明日は、面接ですから、ちゃんとお話しするのですよ!」
などといいがちで、これが、お子さんに余計な緊張感を持たせることになるので
す。
こういった不安を感じてしまう原因は、志望校選びが適切ではないからではない
でしょうか。
ご家庭の育児の姿勢と学校の教育方針に違和感がなければ、自信をもって、面接
に臨めるはずです。
ご両親でよく話し合い、万全の態勢で臨まなくては、保護者としての役目を、果
たせるわけがないのです。
ご両親は、保護者であることを肝に銘じて、面接に臨むべきです。
緊張したり、あがったりする時ではありません。
仕掛け人は、ご両親であることを絶対に忘れないでほしいのです。
 
[持参するものを再点検する] 
信じられない話ですが、ある小学校の説明会で「試験当日に受験票を忘れた方が
いる」といった話を聞いたことがあります。
普段では考えられないことですが、緊張のあまりおかしてしまったミスでしょう。
こういったことのないように、持ち物のチェックをしましょう。
それには、「面接日に持参するもの一覧表」を作っておくことです。
 
1 面接票(受験票 お子さんが受験している間に面接のある場合)
 
2 アンケート用紙 
 
3 募集要項や試験当日のスケジュール表(出願後に学校から送られてくる資料)   
 
4 筆記用具や消しゴム、携帯用の辞書
  その年だけ突然、アンケートの記入を求められる場合もありますから、用意
  しておきたいものです。鉛筆と消しゴムは、下書きのための必需品です。書
  き損じても消せますし、薄く書いて、ボールペンなどで清書すれば、出来栄
  えも映えます。慣れているといってもサインペンは除外します。  
 
5 上履きや運動靴、体操着などは、新しいものは避けましょう。特に、新品の
  靴は、運動のときなどに足を痛めがちですし、当日だけ履く革靴は、まめな
  どができて痛々しいものです。履きなれた靴を用意して下さい。両親も上履
  き持参かどうか確かめておきましょう。名前は見えないところにといった指
  示はきちんと守って下さい。
 
6 雨に備えて、雨具を入れるものやズボン、ソックスなどの着替えも用意しま
  しょう。ある学校では、体操着に着替えますが、それをしまう紙袋にも、○
  ○製のものなどという噂があるとか、そんなのは、嘘です。
 
7 あってはいけないことですが、万一の病気に備え、解熱剤や整腸剤の用意を。
  お子さんは、ちょっとしたことから体調を崩しがちです。ピアノの発表会な
  どで、前夜に、突然、発熱や腹痛を訴えたことはありませんでしたか。お母
  さんの気配りは、万が一に備える用心深さです。
 
8 スイカ、パスモなどを用意しておくと便利です。
  携帯電話は、交通機関などで事故のような非常事態が起きた場合に欠かせま
  せん。
  受験する学校の電話番号を登録しておきましょう。ただし、校門をくぐる前
  に、電源を切るか、マナーモードにしておきましょう。
  充電もお忘れなく。
 
★当 日★
〔いつもと変わらない朝を〕
当日は、いつもの朝と同じように迎えたいものです。 
こんな涙ぐましい話まであります。
普段、あまり冗談など言わないまじめなパパが、今日に限って陽気にふるまうの
で、
「ママ、パパ、どうかしたの?」
と、かえって怪しまれ、何かあるなと思わせてしまったのです。
平常心で迎えましょう。
ピクニック気分とはいいませんが、
「今日は、学校の先生に、どういったお話ができるのかを見ていただくのだよ」
こういった雰囲気を演出できればいいのではないでしょうか。
そうすれば試験当日は、
「この間は、よくお話ができたから、今日は、どういったことができるかを見て
くださるそうだよ」
となれば、お子さんも緊張することなく、試験場で普段の力を発揮できると思い
ます。
「一所懸命、頑張らなければ駄目よ!」
これだけで、どれほどプレッシャーが、かかると思いますか。
こういうときのお母さんは、言葉は励ましていますが、顔は緊張しているもので
す。
それに加えて、受けた公開テストなどで、成績がかんばしくなかったときの「顔」
になりがちなものです。
どれだけプレッシャーがかかり、緊張してしまうか、考えてあげましょう。 
 
〔遅刻は、認めてもらえません〕
ある学校の説明会では、「たとえ、交通ストのために遅れても認めません」とい
っているほどです。
面接は、限られた短い時間に、網の目のような密度で、スケジュールは組まれて
います。一組の遅刻者のために、時間を変更すると、多くの人に迷惑がかかりま
すから、できない相談です。
交通上のトラブルがあった場合は、速やかに連絡をし、学校側の指示に従いまし
ょう。 
早めに出発し、15分か20分ぐらい前には着くようにしたいものです。
志望校の決め方でも触れましたが、試験当日に使用する交通機関を、その時間に
合わせて試乗しておくべきです。
また、少し遅れても、タクシーを使えばと考えるのは止めましょう。
渋滞に巻き込まれれば、それまでです。
バスも同じです。
都心のバス路線は、いつ、どこで、渋滞が始まるかわかりません。
特に、雨の日は、注意が必要です。 
 
自家用車での来校は、説明会へ参加するときでも、ご遠慮くださいといっていま
す。
面接日、試験日とも、禁止されています。
「私どもだけ……」は、困ることになるだけです。
学校周辺は、多くの場合、駐車禁止ですし、学校にも大きな駐車場はありません。
 
面接や試験の時間が、昼食にかかる場合は、軽食を持参しましょう。
小学校の周辺には、食事をするレストランなどは少ないものです。
あったとしても、当日は混雑が予想されますし、日曜日は、休日の所が多いので
はないのでしょうか。
一口で食べられるサンドイッチやおにぎり、温かいお茶やお絞りなども用意して
おけば、万全でしょう。
 
心配なお母さん方へ、面接での質問事項に回答を用意し、声に出して読み、録音
をして聞いてみることです。
要領を得ない長い話は、聞いてもらえないでしょう。
自己中は、どこでも歓迎されません。
また、お子さんには普段、使わないような言葉を教えこまないことです。
 
少し気になることがあるのですが、こういった答え方をする子が増えています。
 
「お名前を教えてください」
「私の名前は、△△○○です」
「お誕生日を教えてください」
「私の誕生日は、平成○○年△月□日です」
「幼稚園の名前を教えてください」
「私の通っている幼稚園は○△幼稚園です」
 
普段、こういった答え方をしているでしょうか。
常にお子さんが、こういった丁寧な答え方をしているのなら、もっと自然な答え
方になるはずですが、どうにも不自然な場合が多いのです。
大人の受験対策的な思惑から教え込んだ場合、どうしても不自然になるのは否め
ない事実ではないでしょうか。
お子さんが緊張して固まってしまい言葉が出なくなれば、それまでです。
これは、ご両親が決めたことですから、模擬面接でも止めなさいとはいいません
が、ご両親が面接を担当する先生であった場合、「どういった印象をもたれるで
しょうか」とアドバイスはしています。
そこから、判断してほしいと思います。
 
季節の変わり目は、昼と夜の温度差が激しくなりがちです。
健康管理には、十分に気をつけましょう。
 (次回は、面接編の2 面接当日の留意点などについてお話しましょう)

2015さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★願書の書き方★★

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        「めぇでる教育研究所」発行
     2015さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第61号)
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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★★願書の書き方★★
 
志望校も決まれば、願書の記入となります。
 
願書は、ご両親の考え方や性格など、いろいろなことが浮かび上がってくるも
のです。
面接される先生方は、この願書を読まれて面接に臨むわけですから、いってみ
れば、学校側が知ることのできる唯一の情報であり、書き方によっては、それ
が決め手となりかねません。
志望理由やご家庭の教育方針、お子さんの性格や育児の留意点、職業、通学経
路など、記入されたデータをもとに質問が始まるわけですから、親としての責
任は、限りなく重いものです。
 
簡潔で、的を射た表現から、面接は穏やかな雰囲気で進み、お互いのコミュニ
ケーションが成り立ちます。
逆に、要領を得ない、冗漫な表現では、悪い印象を与えかねません。
 
ほとんどの願書には、「楷書で丁寧に記入し、使用する筆記用具は黒の万年筆
かボールペン」と注意を促しています。
達筆な草書で書かれた願書は、注意を無視することになり、見た目はきれいで
あっても、簡単に読み切れませんから、何百通の願書を読む立場になれば、こ
れほど思いやりの欠けた願書もないでしょう。
また、記入欄いっぱいに小さな字で書き込むのもどうでしょうか。
もし、あなた自身が面接を担当する先生の立場でしたら、どういった願書を歓
迎するでしょうか。
やはり、一点一画を丁寧に、読みやすく書くことが大切だと思います。
 
また、書き慣れているからと、サインペンを使用することは避けましょう。
サインペンは水に弱く、にじんで願書を汚したり、字、そのものが消えたりし
がちだからです。
 
●願書記入に関しての留意点
 
・氏名で齋(斎、斉)、澤(沢)、邊(辺)、壽(寿)など、普段、略字で書
 き慣れている方は注意しましょう。
 氏名の「ふりがな」は、ひらがなで書かれている場合は「ひらがな」で、カ
 タカナの場合は「カタカナ」で記入します。
 
・現住所は、住民登録票に記載されている通りに記入します。
 やりがちなミスは、
 〔東京都新宿区○○町4ー5ー6 メゾン△△△△ ××号〕
 といった住所の記入です。
 住民登録票には、以下のように表記されているはずです。
 〔東京都新宿区○○町4丁目5番地6号 メゾン△△△△ ××号〕
 
・職業は、簡潔に記入しますが、説明をしなければわからない場合もあります。
 記入欄は限られていますから、面接の折りに質問を受けることを考え、わか
 りやすく説明できるようにしておきましょう。
 自営業の方は、年収や従業員数等を尋ねられたケースもありましたから、ま
 とめておきましょう。
 私学はご家庭の経済力に依存しており、経済的な基盤が安定しているかを確
 認していると考え、的確に応じることが大切です。
 
 職業を持っている母親は不利といわれているので、書くことを躊躇されるお
 母さん方がいると聞きますが、これも噂の一つです。
 入学後の送迎や、緊急時のお迎え、学校の行事や参観など、きちんと出席し、
 協力できれば問題はありません。
 緊急時のお迎えについては、東日本大震災以後、速やかに対応できることも
 求められています。
 学校側に不安を与える条件がなければ、専業主婦より、苦労をするわけです
 から、もっと自信を持ってください。
 
・通学方法、所要時間は、電車の場合は、各駅停車を利用した時間を、乗り換
 えがある場合は、それに要する時間、自宅から最寄りの駅、駅から学校まで
 といった歩く時間は、子どもの足でかかる時間を記入します。
 駅から学校までの時間は、学校側から○○分と指定している場合もあります
 ので、読み落とさないように注意しましょう。
 
 通学時間は、多くの場合、ラッシュアワーを避けるようにはなっていますが、
 地域によっては、その時間帯になることもありますし、バスの場合は渋滞な
 どから、時間がかかることもあります。
 正確な時間を知るためにも、登校時間に合わせて出かけ、所要時間を把握し
 ておきましょう。
 乗り換えがある場合、特に、地下鉄などは、迷路のような所もありますから、
 注意が必要です。
 私は青山学院初等部、東京女学館小学校、聖心女子学院初等科へ行く時に、
 副都心線を利用しますが、渋谷駅で、いつもうろうろしてしまいます。
 上記の学校の他に、幼稚舎、立教女学院小学校(制服がないので推定?)、
 昭和女子大附属小学校の生徒達の姿を見かけますが、みんな何の苦もなく乗
 り換えています、当たり前の話ですが(笑)。
 
・写真は、カラーでも白黒でも可、写真屋さんで撮らなくてもスナップ写真で
 も可、といっている学校もあります。
 制限があるとすれば、三ヵ月以内に撮影されたもので、本人と確認できるも
 のです。
 「○○写真館ご用達の写真でなければ合格しない」は、単なる噂ですが、気
 になさる方は、ご利用ください。
 メールマガジンで「噂といっていたから撮らなかったので不合格になった」
 などと、あとでいわれても困りますから・・・、冗談ですが。
 
・性格、長所、短所ですが、正直に書きましょう。
 子どもは、演技できませんから、試験場のどこかで、あらわれるものです。
 短所の表現には、十分に気をつけてください。
 「気が短くて飽きやすい」などと書かれる方はいないと思いますが、これで
 は、保護者として失格でしょう。
 「だれが、そのように育てたのか」と思われるだけです。
 親の愛情の伝わる表現の仕方があるものです。
 短所は、育児でうまくいかなかったところが表われているといえますし、遺
 伝もあると考えられますから、お子さんだけの責任ではありません。
 
・ミッション系の学校の願書には、宗教について書く欄があります。
 そこへ「無し」「無宗教」などと書かれる方がいますが、これはどうでしょ
 うか。
 日本人であればどこかの宗派に属しているはずですから明記しましょう。
 「仏教だと不利」は、噂にすぎません。
 
・誤字や略字に注意が必要です。
 働(仂)、卒(卆)、言(云)、その他 問、職、点、第など。
 
願書の記入上の注意に関しては、9月から始まる説明会でもやっていますし、
学習院初等科、青山学院初等部では、記入例を細かく記した資料も同封されて
います。
それでも、印鑑の押し忘れや、記入漏れなどがあると注意を促していますから、
記入例や注意書きにしたがって、慎重に書くべきです。
 
書き損じた場合は、修正液を使用してもよいという学校もありますが、やはり、
願書は「お願いの書」ですから避けるべきで、そのためにも何部かコピーを取
り、下書きをすべきでしょう。
 
また、慶應義塾幼稚舎や早稲田実業学校初等部などの願書のように、志望理由
などを書く欄に線の引いてあるものは書きやすいものですが、雙葉小学校や白
百合学園小学校、日本女子大学附属豊明小学校の面接書類のように、白紙で線
がなく、書く欄も広い場合は、あらかじめ鉛筆で薄く線を引き、万年筆かボー
ルペンで記入した後、完全にインクが乾いてから消しゴムで線を消せば、字も
揃い、読みやすくなります。
なお、願書に関する情報は、平成25年度(平成24年11月受験)のもので
あることをお断りしておきます。
 
最後に、「主人は字が下手なものですから、私が書いた方がよいでしょうか」
といった質問をよく受けますが、一点一画、丁寧に書けば、決して読みづらい
願書にはならないと思います。
また、「主人が書かなければ合格しない」ともいわれているようですが、これ
もおかしな話で、どうやら、願書の最後のところなどに、「記入者」と書かれ
ているところから、こういった噂が流れているようです。
 
「字が下手」「主人が書く」などは、どうでもよいとはいいませんが、一点一
画、丁寧に書かれ、志望理由などが要領を得たものであれば、それで十分では
ないでしょうか。
形を繕うより、心です。
わが子のために心から、その学校への入学を希望されているならば、そこには、
自ずとご両親の心意気が表われているはずです。
 
 「願書は、ご家庭の顔」といわれる理由は、ここにあるのです。
 
猛暑も峠を越したようですが、まだ、油断できません。幼稚園も始まり、講習
会も最後の仕上げに入ります。胸突き八丁にかかりますが、もう一息です、頑
張りましょう。
     (次回は、「面接について」お話ししましょう)
 

2015さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★よく受ける質問から

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        「めぇでる教育研究所」発行
     2015さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第60号)
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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よく受ける質問から
 
◆説明会情報◆
9月に入ると説明会が始まります。6日は、立教小学校、学習院初等科、成蹊
小学校の説明会と早稲田実業学校初等部の学校見学会が行われます。
9月4日(木)光塩女子学院小学校 10:15~11:30 (参観授業は8:00から)
9月6日(土)
立教小学校 (第2回)8:50~11:30
学習院初等科(入試説明会)9:30~11:00 13:00~14:30 初等科正堂
成蹊小学校 10:00と14:00(2時間程度)成蹊大学4号館ホール
早稲田実業学校初等部 見学会 9:00~12:00
[注]HPで確認されてからお出かけください。
 
暑い夏休み、ここで一息つきましょう。
この時期によくある質問からいくつかを紹介しましょう。
 
Q.慶應義塾幼稚舎の試験では、絵がうまく描けなければ合格しないそうです
  ね。
 
A.
「うまく描けなければ」という文言は、大人の考える絵に対する評価でしょう。
この考えが、子ども達を苦しめているようです。
入試で絵を描かせるのは、絵の巧拙、上手、下手だけを見ているのでありませ
ん。
大人は自分の考えを相手に伝えるのに、言葉だけで足ります。
しかし、幼児は、言葉だけでは不十分です。
言葉で足りなければ、体全体で表す身体表現も、大切なコミュニケーションの
方法で、絵もその一つです。
自分で思っていること、考えていることを絵で表現したいのです。
子どもの絵は写生ではなく、感じたことを描いていると思います。
ですから子どもは、絵の巧拙にこだわらず、思い通りに、せっせと描きます。
そばで見ていると、本当に楽しそうです。
以前、幼稚舎が、画家が絵を描くときに使うイーゼルを立て、絵を描かせまし
たが、舎長は、その目的を「子ども達の顔の表情を見たかった」とおっしゃっ
ていました。
ですから、一つの話を聞いたあとに、「この続きの絵を描いてみましょう」と
いった問題に発展させ、子どもの感性を見ているのではないでしょうか。
 
「うまい」に越したことはありませんが、それが、子ども自身の感性ではなく、
誰かに教え込まれたものであれば、評価されないと思います。
どなたがおっしゃったかわかりませんが、そういった絵を「大人の手垢のつい
た絵」というそうです。
「お子さんは、楽しく絵を描いていますか」
そうであれば、子どもらしい絵が描けていると思います。
学校の狙いも、そこにあるのではないでしょうか。
 
Q.1枚の絵を見て話を作るのが苦手なのですが、うまくなる方法はないでし
  ょうか。
 
A.
「うまくなる方法」などありません。
技術的なことを教えても、お子さんは、おそらく理解できないと思います。
1枚の絵から話を作るのは、本当に難しいものです。
絵を見ても、自分で体験をしたことがなければ、話せないのが幼児です。
まず4枚ほどの絵からできている「お話作り」の問題からやってみましょう。
4枚の絵であれば、どういった状況か把握できるからです。
そこから話を作る方法を、自分なりに考え始めるものです。
最初は、つたない話になりがちです。
最後まできちんと聞いてあげ、できたことを褒め、それからおかしなところは、
「ママは、こう思うけれど、どうかな?」と、お子さんに考えるヒントを出し
てあげることです。
「違うでしょ、こうなの!」では、お母さんの作品になってしまいます。
これを十分にやった後に、3枚の絵、2枚の絵に進み、そして1枚の絵に挑戦
しまし
ょう。
苦手なお子さんには、「お母さん(お父さん)、あのね!」方式がいいでしょう。
お母さんやお父さんに話しかけるように作ることです。
幼児の経験は、まだ狭いものですから、体験していないことを表現するのは苦
手です。
日常生活で、「ママ、あのね!」と話しかけてきたときは、必ず、聞いてあげ
ましょう。
自分で体験したことを話す、これが話作りの基本でもあるわけです。
話すチャンスをたくさん作ってあげることが大切です。
なお、「お母さん、あのね!」方式は、某国立大学附属小学校で、作文の時間
に実践していた学習方法です。
 
Q.問題に取り組む時に時間がかかり過ぎるのですが心配ないでしょうか。
 
A.
幼児には、問題集をやるときにも、さっさと答えるタイプと、じっくりと考え
て答えを出す二つのタイプがあるようで、イソップ物語の「ウサギとカメ」の
話から、前者を直感が働くウサギ型、後者をじっくりと考えるカメ型と考える
こともできます。
難しい対称図形や回転図形の問題でも、ウサギ型は、4つの答えから正解を選
び出すのにも時間がかからず、カメ型は、慎重に取り組みますから時間がかか
ります。
一つ一つ検証して、答えを出しているからです。
おそらくお子さんは、カメ型のタイプではないでしょうか。
一つ一つ比べ、「これは、ここが違う」と納得しなければ、次の答えに手を出
せないのですから、むやみに急がすことはありません。
一度、仕組みや方法が理解できれば、スピードもアップします。
 
思考派のカメさん型は、中学年を過ぎる頃から、力を発揮し始めます。
考える力が育まれ、基礎学力がしっかりと身についているからです。
直感派のウサギさん型は、この頃に、一度つまずきますが、頭の回転の速さか
ら立ち直れます。
ですから、カメさんの場合は、時間がかかってもあせらせることなく、問題は
時間内に解くことを、少しずつ教えてあげましょう。
ウサギさんは、ひらめきだけに頼らず、正解であっても、他の答えはどうして
駄目なのか、その説明をさせましょう。
どちらもお子さんの大切な能力ですから、良いところを伸ばしてあげる、賢い
お母さんになってあげましょう。
  
Q.文字や数字の読み書きは、できた方がいいと友達は言うのですが、やった
  方がいいのでしょうか。
 
A.
小学校の入学試験には、文字の読み書き、数字を使った計算はありません。
ただし、答えをイラストではなく、書いてある文字に印をつけるテストを実施
している学校もありますが、それは、その学校の方針ですから、受験する方は、
そのための準備が必要です。
また、暁星小学校でも、年中行事と関係のある数字、例えば母の日は5月です
から5に○をつける、記憶の問題でスクリーンに映った数字と同じものに○を
つける問題がありましたから、1月・正月、2月・節分、3月・雛祭り、4月
・花祭り、5月・子どもの日、母の日、6月・父の日、7月・七夕、9月・お
月見、11月・七五三、12月・クリスマスなど、その月と数字がわかるよう
にしておきましょう。
やっていると思いますが、毎朝、カレンダーを見て、「今日は8月17日、日
曜日」というだけで、月日と曜日も無理なく覚えるものです。
ただし、数字を書く必要はなく、読めればいいでしょう。
文字は問題用紙に氏名を書きますし、靴を脱ぎ、試験が終わった後で靴を履く
ときなど、書かれた名前を見て判断することもありますから、名前の読み書き
はできるようにしておきたいものです。
 
年長になる頃から、文字と数字を書きたがるようになりますが、その場合は、
正しい書き順を教えましょう。
自己流で覚えると、直すのに苦労するからです。
文字を書くことの得意であった子が、小学校へ入ってからことごとく直され、
自信を失う話をよく耳にします。
数字は「0・5・7・8・9」、文字は「と・も・や・よ」、書きにくい「あ・お・そ・
ぬ・む・め」などです。
ただし、テストで数字や文字で答えては、得点にならないことを教え、約束し
てください。
 
以上の「Q&A」は当研究所発行の「さわやかお受験オススメ 小学校受験 
Q&A」からピックアップしたものです。
詳しくは、ホームページをご覧ください。
 
暑い夏も、もう一息。
「夏を制する者は秋を制する」ともいわれています。
無理は禁物ですが、頑張りましょう。
(次回は「願書の書き方」についてお話ししましょう)

2015さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★今年の説明会より(2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
     2015さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第59号)
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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今年の説明会より(2) 
 
前回に続き、説明会の話を紹介しましょう。
加藤三明幼稚舎長は任期を残して3月に辞任し、4月から大島誠一幼稚舎長が
就任。
私が参加した7月12日(土)午後2時からの説明会では、その件について何
の説明もありませんでしたが、週刊誌に、こういった記事が掲載されていまし
たので、紹介しておきましょう。
 
加藤舎長の退任について、慶應義塾大学は本誌に「教育現場に戻りたいという
のが加藤教諭の希望。幼稚舎の担任は1年生から6年生までの持ち上がる方式
で、年齢的に、新1年生の担任に就任する最後の機会だった」
(広報部)と回答した。
 (週刊金曜日 平成26年4月15日(火)16時48分配信より)
 
大島誠一舎長の話は、「慶應義塾幼稚舎の教育方針について」の説明に終始し、
受験に関しては、「応募者も多く、厳しい条件であることを承知して受けてほ
しい」との話だけでしたが、加藤前舎長の「受験に関する心構え」は、受験さ
れるご両親には耳の痛くなるほど痛烈な話でした。
再び聞くこともないでしょうから、その一部を紹介しておきましょう。
文言は、正確ではないことをお断りしておきます。
 
次に、受験に関する心構えのようなものを申し上げたいと思います。
毎回、ここで皆さんは手帳を開かれるのですが、メモをするような内容ではあ
りません。気楽に聞いて頂ければいいと思います。
これだけ競争率が高い慶應義塾幼稚舎にチャレンジする皆様方に、これから申
し上げることを、どれだけ聞いて頂けるかわかりませんが、あえて言わせて頂
きます。
 
一言でいえば、5歳のわが子を受験のためにスポイルしないでほしいというこ
とです。
われわれは児童のありのままの様子を見て判断したいと思っています。
与えられた課題が単に、できる、できないで判断しているのではないというこ
とです。
できる、できないだけではなくて、その児童のあらゆる面を見たいと思ってい
ます。
中学以上の受験と違って、算数、国語、社会、理科のように、教科の中の限ら
れた知識を見ようと思っているわけではないのです。
もっと広い範囲で、子どもの様子を見たいと思っています。
しかし、このことに対処しようとすると、限りなく多くのことに対処しなくて
はならなくなります。
そんなことできるはずがありません。
ですから、5歳の子どもに、この時期に、やがて一人前になるために、どうい
うことをやってあげたらいいかという観点で考えるべきだと思います。
そして、それが何かと申しますと、ご家庭でそれぞれ考えて頂くしか方法はな
いと思うのです。
 
先程から繰り返して申していますように、教育にオールマイティの方法はあり
ません。
それぞれのご家庭の教育方針のどれがよいかということは言えないのです。
人は、それぞれの父母から受けた価値観、そして成長の途中で学校や関わって
きた人から受けた価値観によって人格が形成されます。ですから、どの価値観
が正しいか、間違っているかなどということはいえません。
それより、自分が持っている価値観を、どうやってわが子に伝えていくかとい
うことが、大切になっていくのではないでしょうか。
 
ですから、本来は、5歳の子どもに試験を強いるのは、どうかなと思っている
ことを、受験のためにさせるのはいかがなものかと思います。
はっきり言えば、それは親のエゴです。
子どもにとって5歳の時期は1回しかありません。
子どもを犠牲にしてまで受験の準備をすることは、本当にいいことでしょうか。
 
とにかく、どんな犠牲を払っても、「入学してしまえばそれでよし!」という
考えもないわけではないと思いますが、私は、それには同意しません。
受験ということを考えるとき、また世間の風潮に惑わされずに、それぞれの家
庭で5歳の子どもに何をしてあげたらいいのか、考えるべきではないでしょう
か。
そして、裏を返せば、子どものあらゆる面を見たいと思っているテストに対す
る準備にしても、このことは最善の方法だと思います。
 
たとえ、幼稚舎に合格できなくても、わが子に能力がなかったと思わないで頂
きたい。
これも先ほど申しましたように、私立学校には、それぞれの方針があります。
その方針にわが子が合わなかっただけのことなのです。
「いや、学校は、そういう理想論を言うけれど、現実は違う!」とお思いの方
も多くいらっしゃると思いますが、私は少なくとも建前ではなく、心底そう思
っています。
 
幼稚舎では「競争の相手は他人ではなく自分だ」と申しました。
しかし、皆さんがこれから挑まれる受験は、他人との競争です。
「競争の相手は他人ではなく自分だ」という幼稚舎が、「他人との競争である
受験を行うとは何事だ!」とおっしゃるかもしれません。
しかし、実際に、受験という以外に方法のないことも確かです。
受験に合格されなかった方は、もしかすると、親子ともども、敗北感を味わう
ことになるかもしれません。
しかし、これはあくまでも幼稚舎の受験に限ったことで、人生の敗北ではあり
ません。
まして、子どもがそういうことを思い続けていたら、本当に怖いことです。
ですから、われわれが5歳の子に入学試験という罪なものを施して、そう言う
のもなんですが、小学校受験を、ぜひ、最終目標と思わないで頂きたい。
まだまだ、ほんの人生の始まりです。
小学校受験でお子さんをスポイルしないでほしいというのが、私の願いです。
 
以上、幼稚舎に対する、また、小学校受験に対する私の考えを述べてきました
が、幼稚舎の特徴をご理解して頂けたでしょうか。
これまで述べてきた考えをご理解していただいたうえで、ぜひ、幼稚舎にチャ
レンジして頂きたいと思います。
     (平成25年7月13日(土) 自尊館にて)
 
いかがでしょうか。
「教育とは何か」「小学校の受験は、いかにあるべきか」と冷静に考えるヒン
トになっているのではないでしょうか、
男女ともに1,000名を割りましたが、募集人数は、男子 96名、女子46名、
計144名ですから、最難関校には変わりありません。
ちなみに、過去5年間の応募状況は、以下の通りです。
 
2010年度(2009年11月受験) 男子 1,184名 女子 920名 合計 2,104名
2011年度(2010年11月受験) 男子 1,167名 女子 777名 合計 1,944名
2012年度(2011年11月受験) 男子  988名 女子 661名 合計 1,649名
2013年度(2012年11月受験) 男子 1,020名 女子 659名 合計 1,679名
2014年度(2013年11月受験) 男子   987名 女子 620名 合計 1,607名
    (2014年度用 説明会試料「幼稚舎入学試験 Q&A」より)
 
今年の雙葉小学校は、去年と同様、小学校内の5階にあるホールで行われ、校
内見学も実施されました。
28年前(昭和61年)に行われた説明会もここで行われ、元気よく階段を歩
いたものですが、今年は息が切れました。
説明会終了後、校舎見学を辞退した人は、昨年と同様、一人しかいませんでし
たが、それが私で、また目立ってしまいました(笑)。
河野 久仁子校長の話の一部を、文言は正確ではありませんが紹介しましょう。
 
学校生活は、競争の場ではなく、共に祈り、共に学び合い、助け合う場である。
「先生と子ども」、「子どもと子ども」という関わり合いの中で、人間同士の
信頼関係を築き、自分が愛されていることを感じながら、子どもの人間として
の成長を助けていくように考えている。一人ひとりの子どもが、人との関わり
の中で、自己表現をしながら、その人らしく生きるように祈る。バラはバラら
しく、スミレはスミレらしく、その人らしく生きる。また、自分で自由に学び、
決定することができ、責任のとれる人に育てていこうといったように、子ども
達が、これからの世界を支えていく人に育ってほしい。
 
本学園は、それぞれ推薦入学で上級校へ進学する子ども達に、小学校と中学校
で同じ数の新入生を加え、新しい風を入れながら幼小中高と進んでいく一貫校。
特別な進学体制をとらず、一人ひとりの子ども達の人間としての成長を大切に
しているので、学習面だけに重きを置くのではなく、一貫教育の中で、伸び伸
びと能力を伸ばしてほしいと考えている。そのために本校では、保護者の方に、
このような学校の教育方針を理解していただき、学校と共に心を合わせ、手を
携えてお子さんを育てていこうとお願いしたいと考えている。
 
「最後に、私たちが教育の現場で大切にしている祈りについてお話しいたしま
す。祈ることは自分のため、人のために、心に思い願うことを神様に話すこと
です。何ができるかできないかで物事を判断するのではなく、人の心と努力を
大切にすることを願うことも祈りといえるのです。雙葉学園に集うシスター方
と私達、教職員が希望し願うものに、今まで大切にしてきた祈りの一部を皆さ
んに紹介させていただきます。それは「親の祈り」という題名ですが、親だけ
ではなく、教師も、世の中のすべての大人に必要な大切な祈りです。配布した
思慮の中に挟んでありますので、お持ち帰りになってお読みください。なお、
この「祈り」のプリントは、入学試験には関係ありません」
 
   親の祈り
  神様
  もっと よい私にしてください。
  子どものいうことを よく聞いてやり
  心の疑問に 親切に答え
  子どもを よく理解する私にしてください。
  理由なく 子どもの心を傷つけることのないように 
  お助けください。
  子どもの失敗を 笑ったり 怒ったりせず
  子どもの小さい間違いには目を閉じて
  良いところを見させてください。
  良いところを 心から褒めてやり
  伸ばしてやることができますように。
  大人の判断や習慣で
  子どもを しばることがないように
  子どもが自分で判断し
  自分で正しく行動していけるように
  導く知恵をお与えください。
  感情的に叱るのではなく
  正しく注意してやれますように。
  道理にかなった希望は できるかぎりかなえてやり
  彼らのためにならないことは
  やめさせることができますように。
  どうぞ意地悪な気持ちを取り去ってください。
  不平を言わないように助けてください。
  こちらが間違った時には
  きちんとあやまる勇気を与えてください。
  いつも 穏やかな広い心を お与えください。
  子どもといっしょに 成長させてください。
  子どもが 心から私を尊敬し慕うことができるよう
  子どもの愛と信頼にふさわしいものとしてください。
  子どもも私も 神様によって生かされ
  愛されていることを知り
  他の人々の祝福となることが できますように。
(平成26年7月19日  小学校内ホールにて)
 
帰る時、私一人でしたから守衛さんに、「美智子妃殿下がご成婚記念に植樹さ
れたメタセコイアの木が1本残っていると聞いたのですが」と尋ねたところ、
校庭の一角に5階建ての中高の校舎と同じ高さの大きな杉の木を紹介され、び
っくりしました。幼稚園、小学校を本学園で過ごされ聖心女子学院へ進まれた
妃殿下。ご成婚は昭和34年4月、55年前になりますから当然でしょうが、
幼稚園側の道路から見ることができます。
 
耳の痛い話であったかも知れませんが、我が家の受験体制、育児について、客
観的に見直す機会にしていただければ幸いです。
 
夏休みも後半に入りましたが、暑い日が続いています。
疲れも出てくるときですから、無理をせず、心身ともにリフレッシュできる機
会を作りましょう。
   (次回は、「よくある質問について」についてお話しましょう)

2015さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★今年の説明会より(1)

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        「めぇでる教育研究所」発行
     2015さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第58号)
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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今年の説明会より(1)
 
◆入試情報◆
8月23日(土)、24日(日)恒例となった「東京都私立学校展 進学相談
会」が有楽町の東京国際フォーラムで開催されます。各学校とも質問コーナー
を設け個別に相談できるようになっています。詳しくはホームページをご覧く
ださい。
     
横浜雙葉小学校 学校説明会(平成26年6月21日(土)13:00-
15:05)およそ30年ぶりに訪問。川越から副都心線、みなとみらい線で
元町中華街へ1時間30分ほどで到着。駅は地下にもぐり景観がすっかり変わ
りびっくり。緑に囲まれた外人墓地の先に、昔と変わらない学び舎が懐かしく、
この辺は変わっていないなと妙に安心したものでした。会場ロビーで参加票を
記入するのに時間がかかり遅れて始まり、1時間の予定も30分ほど伸び、配
布した資料にミスがあるなど、久しぶりの説明会に先生や職員の方々も戸惑い
があったようで、翌日のHPにお詫びと訂正の記事が出ていました。
 
田中順子学園長は、「私とかなり世代の違う若い皆さま方に申し上げたいこと
が、中々まとまらずに苦労しました」の挨拶から始まり、文言は正確ではあり
ませんが、以下のような話をされました。
 
子育ては人間を育てる大変な仕事。教育というと学校で行われるものと思われ
がちだが、結婚し、子どもを授かり、神のもとで育てる育児も大切な教育、使
命と確信している。神の前で結ばれた固い絆のもとで、許し合い、助け合いな
がら、本当の愛が深まり、子を育てていくことが、もっとも大切な使命と考え
る。子育てを疎かにすることは、神のみ姿に似せて作られた、尊い人間になる
ことが歪められてしまう。人間らしく成長していくことが、子育ての役目だと
思う。私の言っていることは難しいと思われるかもしれないが、これは人間と
しての根本的な務めで、男性も女性も父となり母となることで成熟していくの
が、本来の人間の生きていく道ではないだろうか。
 
そのために大切なことは、第一に、豊かな愛情の中で愛を注いで育てること。
第二は、難しくなってきていると感じるが、あらゆることが進歩した社会の中
で、物も豊かに出回り、物を与え過ぎて、大切にしない子どもになってしまう
傾向にある。ゲームなども与え過ぎると、学習意欲をそいでしまい、物を大事
にしない子になる。人と人との触れ合いを中心にして、自然に触れたり、近所
や地域の人々との関わりを通じて、何が大切かを学び、子育てに生かしてほし
い。第三に躾、躾は3歳までと言われている。小さい時から他人に迷惑をかけ
ないように躾ける。子どもを大切に育てるために自己中心に過ごし、他人を思
いやらない子育てになっているのではないだろうか。
 
瀬戸内寂聴さんは、こうおっしゃっている。
「人間は生きている以上、何かしら自分を豊かにしなければならない。そして、
あらゆる面で心を鍛えなければならない。それには何が必要かというと想像力、
イマジネーション。想像力、私達は生まれた時から同じ分量を与えられて、こ
の世に生まれてきている。
ところが、ある時期に達すると、非常に想像力の豊かな人、欠けている人、あ
るいは少ない人が出てくる。これはなぜかというと、想像力を同じようにもら
っていても、それを育てなければならない。想像力に栄養を与えなければなら
ない。一番の栄養は本を読むこと。読書は、想像力を鍛えるには欠かせないも
のだ。想像すること、相手は何を思っているか、想像力を働かす、これが思い
やり。思いやりは愛。想像力、思いやり、イコール愛、そういうものだと思う」
と。
 
想像力を鍛えるには本を読む。本を読むことは想像力を鍛えるための栄養だか
ら、絶対に必要なことだ。お母さんは子ども達が分かっても分からなくても、
小さい時から本を読んであげる。お母さんが忙しいのならお父さんが字の読め
ない子に代わり読んであげる。これがとても大事なことだと思う。読んでもら
うことで、お父さんやお母さんが考えていることが分かってくるし、言葉を覚
え、想像力を養い、豊かな心が育っていく。今の子ども達には、話を読み聞か
せる、親の寝物語が少なくなっているのではないかと懸念している。皆さんが
親にやってもらっていた大事なことだから、こういったことは、大切に受け継
いでいくべきではないだろうか。
 
第4に躾の面で強調しておきたいことがある。公共の場での躾、これは大きく
なってはもう遅い。登下校のマナーも、その時になってからでは間に合わない。
子ども達までも自家用車で行動する生活ではあるが、小さい時から、今の時か
ら、習慣にすることが大事。周りの方に不快を与えないことは、誰もが守らな
ければならないマナーだから、小さい時からきちんと躾けることが大切だ。挨
拶にしても、ご両親が挨拶をしていれば、自然と真似をして身につくもの。不
快を与えない躾を、きちんと小さい時から養っていく。寂聴さんのいうように、
想像力を培い、思いやりの心を育てる。小さい時にしっかりとした躾をしてお
けば、うるさく言わなくても自立し、やがて自己責任において、ものごとを判
断できる子になっていくのではないだろうか。
 
わが子は、神から授かった賜りもので、個人の所有物ではないから、自分勝手
に育てるものではない。尊い一人の人格を持つ、自分と違う存在だから、その
子が持っている可能性を伸ばし、周りの人に良い刺激を与える子に育てたいも
のだ。これは私の長い人生で感じたことで、子育てを決して疎かにしないこと
が大切だと申し上げて起きた。
 
かなりのご高齢で、司会の先生の助けを受け演壇に登られたのですが、昔、こ
の講堂で聞いた話と重複するところがあり、もしかすると学園長は、当時、校
長ではなかったかと思いました。
想像力を培うのは読書、話の読み聞かせがいかに大切であるか、そして。入学
試験には、必ず「話の記憶」が出題されていることも納得いただけたのではな
いでしょうか。
 
聖心女子学院初等科の説明会には、今年はスケジュールの都合で参加できませ
んでしたが、おそらく、今年も同じ話があったのではないかと思いますので、
その一部を紹介しておきましょう。
 
大山校長は、女子校について、次のようにおっしゃっていました。
「女子校という環境で、何事も女子で実行している関係で、児童、生徒は自ら
の可能性に挑戦します。女子だからと自分の可能性を狭めてしまうのではなく、
一人の人間として、あらゆることにチャレンジし、女子としての可能性を引き
出していく、リーダーシップの機会に恵まれることが多く、これも女子校なら
ではのことではないでしょうか」
 
また、「初等科の教育について」、広瀬 眞一副校長から話がありましたが、
その中で、「学校側が望む子ども像について」、以下のような指摘がありまし
た。
・心身ともに健康で子どもらしさがある子。
・身の回りのことを自分できちんとできる子。
・人の話をきちんと聞ける子。
・じっくりと取り組む根気のある子。
・友達と仲良く過ごせる子。
・わがままをいわず我慢のできる子。
これらの子どもの姿に近づけるために、毎日の生活で大切なことは、
第一に、実際に体を動かし、いろいろな体験を積むこと。
第二は、心を安定させること。
むらがあり心が安定していない子どもは、周りに対して暴力的になる。子ども
本人が愛されている気持ちを感じることが大切。
第三は、他人を大切にすること。それも多くの人を。
親が他人を大切にすることを実現することによって、子は親の姿勢を見てまね
をするもの。
第四は、褒めて子どもを育てる。褒めることと甘やかすことは違うと考えてい
る。
第五は、規律正しい態度を育てる。
第六は、どんな時にも笑顔で挨拶をし、明るく返事をする。
第七は、過ちをした場合は素直に謝る。
最近の子ども達は、素直に謝ることができにくい状況にある。素直に謝ること
を大切にしていきたい。
 
日常生活は、いろいろな制約の中で営まれています。今話した事柄を日常の生
活の中で、大切に育てることが、親の使命ではないでしょうか。これらのこと
を含め、本校の教育方針を理解していただき、受験してほしいと願っています。
(平成25年6月29日(土) ソフィア バラ ホールにて)
 
終了して解散。
大山校長の話の中に、1年生から国語の辞書を使っている話がありましたが、
20数年ほど前に初めて説明会へ参加し、校舎を見学した時、1年生の各教室
に人数分(たぶん40冊)の辞書があるので、びっくりしたことを思い出しまし
た。
その時、校長先生は、「自国の文化を理解せずに他国の文化を理解できない」
と、英語だけ学ぶのは片手落ちではと話していました。
ミッション系の学校では、外国語を大切にしていると考えるお母さん方が多い
のですが、どこの学校も低学年時代から、国語をじっくりと学習しています。
日本人は考えるとき、当たり前ですが、日本語で考えます。
小学校から英語の授業、結構ですが、国語をきちんと学習しなければ、考える
力は育まれないのではと懸念しますが、皆さん方はいかがお考えでしょうか。
L・M・モンゴメリの小説「赤毛のアン」の翻訳で知られる村岡花子の半生を
描いたNHKの連続テレビ小説「花子とアン」、好評のようですが、原作を読
んだ時、日本語が実にデリカシーといいますか、翻訳ではなく、生きた言葉に
なっていることがよくわかり、後で知ったことでしたが、村岡花子は東洋英和
時代、短歌の佐佐木信綱門下に入り、短歌や古典の研鑽に努めたそうで、さも
ありなんと納得してものでした。
 
ところで、素人考えですが、聖心女子学院が導入した4-4-4制は、共学に
は適さない気がしました。
男女の発育の差が、邪魔になるのではないでしょうか。
立教小学校の田代教頭は、「男の子の方が心身ともに発育が遅いから、男子だ
けの方がゆったりと教育できる」と別学の良さ話していましたが、5年生から
50分授業ですから、男の子では、まだ無理ではないかと思ったからです。
ところが、埼玉にある開智小学校(開智学園総合部)では共学で4-4-4制
を導入しています。
何をさておき説明会にはせ参ずるべきで、情報収集の仕事をしている者がこれ
では、恥ずかしい限りです。(陳謝)
 
田代教頭の話が出たところで、今年の説明会での話を紹介しておきましょう。
教頭は話し方からして、大変な熱血漢であるとの印象を受けますが、おそらく、
子ども達から「金八先生」と親しまれているのではないでしょうか。
 
本校にはどんな男の子がいるか。男の子は単純で、雑駁で、ずぼらで、締まり
がなく、言葉遣いは悪いし、けんかは日常茶飯事だが、私は好きだ。
脳科学者の話だが、すべてに当てはまるわけではないが、脳の厚さは、女性は
11歳で最大になるのに比べ、男性は18ヶ月遅れるそうで実証されているそ
うだ。成熟差を中学生で比べると、1年半から2年間ほど遅れるそうだ。我々
教えていてもそれは感じる。
アメリカでは、1932年に公立校の男女共学を禁止していた。しかし、
2006年10月に法改正がなされ、公立校で別学、共学を選択できるように
なった。脳の発達や思考、得意分野の違いをまったく無視し、同じ条件で教育
したことに問題があるということで、別学が増えていく。
イギリスの研究者の話では、男女別学では、性別による固定観念を打ち崩しや
すいが、共学ではこれが難しいといっている。先程の校長の話では、歌を歌う
場合、共学では恥ずかしがってほとんど歌わない。男子校の合唱は一つの特徴
でもある。女子校では今はやりの「リケジョ」ではないが、数学や科学を好む
学生が増えてきた。別学では男子らしさ、女子らしさという固定観念がなくな
るのではといわれてきている。共学では逆に強調され、男女別学の良さが見直
されて来ている。アメリカの真似をするのが大好きな日本だから、文科省が力
を入れている中高一貫教育も、今に中高一貫男子校、女子校を作り出すかもし
れない、公立校の。我々は小中高大学までの一貫教育で男子校。皆さん方は、
すでに先見の明があるといえる。それを申し上げておきたい。18歳をこえる
と脳の成長の差はなくなるそうだ。小中高で男女が分かれていて、大学で共学
というのは理想的な制度で、手前みそながら何ですか……。
 
リケジョについては、国府台女子学院の平田史郎学院長も進学実績からその傾
向にあるとおっしゃっていましたが、「女子だけだからいいのです。共学にす
る考えはありません」と力説していた学院長、やはり科学的な根拠があったわ
けです。
もしかすると、公立校での中高一貫男子校、女子校の誕生は、案外早い時期に
実現するかもしれませんね。
 
盛夏、休養も十分取り、頑張りましょう。
 
(次回は、慶應義塾幼稚舎、雙葉小学校の説明会についてお話ししましょう)
 

2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★手は第二の脳 2★★

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        「めぇでる教育研究所」発行
     2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第13号)
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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★★手は第二の脳 2 ★★
 ●切る●
「切る」は、はさみの場合、ナイフのように押して切るのではなく、文字通り
チョッキン、チョッキンと音がするように、上下の刃をしっかりと開閉させて
切るようにします。
最初は、5センチほどの細長い紙を切らせ、はさみの操作をマスターしましょ
う。   
できるようになれば、はじめは直線からです。
これもスピードは、必要ありません。 
「かにの床屋」ではありませんが、あくまでもチョッキン、チョッキンです。
音がリズミカルになれば、曲線や円、三角、そして複雑な形に挑戦しましょう。
新聞に挟まれてくる広告やダイレクトメールには、上質紙を使い、デザインの
凝ったものがありますから、利用させてもらいましょう。
「ママが、後で使うから切り取っておいてください!」
お母さんのお手伝いだと聞けば、子ども達は頑張ります。
ただし、はさみは、操作を誤ると危険な道具になりますから、必ず、一緒にや
りましょう。
 
成蹊小学校や学習院初等科では、2本の線で囲まれた中心をはさみで切る問題
がありましたが、これは難しいですね。
きちんと操作できるようになってから、挑戦してみましょう。
 
そして、はさみを相手に渡す場合、どうすればよいかを教えてください。
後輩から聞いた話ですが、大卒の女性新入社員が、はさみを渡すときに、相手
に刃の方を向けているのに驚き、その訳を聞いたら、
「だって、私が刃の方を持つと危ないではないですか!」
といったそうで、ここまで自己中になれるものかと、あきれていました。
躾やマナーは、小さい時から身につけさせるべきで、これは家庭の文化だと思
いますが、いかがでしょうか。
 
 ●貼る●
次は、「貼る」です。
貼るは、現代っ子の苦手とする作業の一つでしょうが、そうならざるを得ない
でしょう。
家で糊を使っているでしょうか、主役はセロテープでしょうね。
リップスティック型の糊は、あるかもしれませんが、少しつけただけでピタリ
と貼れますから、幼児用の糊とは、接着力も使い方も違います。
 
幼児の使う「つぼ型の容器」に入った糊には、いろいろと教育的な配慮がなさ
れています。
ふたを開けることを考えてみましょう。
右利きの子なら、左手に糊の入った容器を持ち、右手でふたについている取っ
手を持ち上げ開けます。
両手を使っていますから、目も手元の作業を監視しています。 
司令塔からの命令です。
 
次に、使う量ですが、これが難しいですね。
適量を取れるようになるには、ある程度の経験をつまなければなりません。
貼る面積を計算し、分量を計りで量るわけではなく、目分量、勘です。
分量を間違うと、多ければベタベタに、少なければ直ぐにはがれます。
数を見極める直感と同じです。
 
まだ、あります、糊のつけ方です。
左手で糊をつける紙をしっかりと押さえ、右手人差し指は、表面全体に、のり
が滞りなく行き渡るよう、ノビロ、ノビロとつけていきます。
これは練習が必要ですし、根気がいります。
このことです……。
根気のいる作業を丁寧に続けることで、持久力や忍耐力も培われてきます。
 
ところで、作業に時間がかかるお子さんや、器用ではないお子さんに、いって
ほしくない言葉があります。
「ハヤク シナサイ!」、この一言です。
子ども達が、お母さんからいわれたくない嫌な言葉の第一位は、これです。
子ども自身は、一所懸命にやっているにもかかわらず、うまくできないからで
す。
苦戦している時に、せかされるのですからあせります。
あせるとプレッシャーがかかり、うまくできません。
こんなことが続くと、やがて、苦手意識を持ちはじめ、手作業を嫌がるように
なります。
第二の脳の発達は、これで止まります。
お子さんにとって大変な損失であることを、肝に銘じて下さい。
 
お子さんには、大雑把に分けると「ウサギ型」と「カメ型」があります。
「ウサギ型」は、器用に物事をこなしますが、根気に欠けます。
「カメ型」は、作業の一つ一つを納得しながら取り組みますから、時間はかか
りますが、根気があります。
「ウサギ型」は、小学校の低学年までは光り輝いています。
「カメ型」は、中学年頃から光りはじめ、やがて、立場は逆転します。
「カメ型」は、試行錯誤を繰り返していますから、じっくりと考える習慣が身
についてくるからです。
カメ型のお子さんは、せかさないことです。
ウサギ型のお子さんには、「うちの子、頭がいいわ!」で安心せずに、考えさ
せる工夫をしましょう。
ところで、イソップ物語にある「ウサギとかめ」の話、明治時代の教科書では、
どのようなタイトルがついていたと思いますか。
「油断大敵」です。           
明治時代の漢字文化が生きていますね。(脱帽)
 
「面倒だな。お母さんのを借りよう!」
楽をしようとしていますが、これだから不器用になるのでしょう。
はっきりといわなくても、これは手抜きです。
「手が汚れるから、セロハンテープにしようかな!」
こういった発想は、いただけませんし、この場合の「かな!」は、子どもらし
くありませんね。   
 
最後は、事後処理です。
手を拭き、糊の容れ物にふたをして、終わりです。
糊で汚れた手を拭く作業までも含まれていますが、「汚れたらきれいにする」
は、幼児にとって清潔感を身につける、大切な、大切な学習です。
手の汚れないのが気に入らない理由は、これです。    
        
このように、糊を使う一連の手作業には、深い教育的な配慮がなされているこ
とが、おわかりいただけたのではないでしょうか。
ですから、だじゃれのようですが、使わない手はありません。
こういった手順を踏んだ作業は、子どもの成長に欠かせない大切な経験です。
手順は記憶され、作業に流れのあることがわかり、やがて、手際よく進める工
夫をする、基本的な訓練になっているのです。
使いやすく、便利になるのは結構ですが、子どもの発育段階を考え、今は面倒
でも、糊を使うべきだといった見識を持つのも、親の役目ではないでしょうか。
 
また、糊を使うのを嫌がる子は、泥んこ遊びをやらせていないと思います。
砂場で遊べない子は、糊を使うのを嫌がるはずです。
お子さんは、いかがですか。
 
最後に貼る練習ですが、切るところで紹介しました新聞に入ってくる広告など
切り取ったものを、スケッチブックに貼ってみましょう。
初めは少量の糊で貼れる面積の狭いものを選び、中心に糊をつけ、ノビロ、ノ
ビロと満遍なく伸ばす練習をすることです。
同じ大きさのものを扱うことで、適量をとるこつもわかってきます。
そして、次第に大きなものへといった段階を踏むことが大切です。
 
最後に、セロテープについて、気にかかることをお話ししておきましょう。
なかなか適切な長さに切れないものです。
これも難しい作業ですから、少し無駄になりますが、2,3センチの長さに切
れるように練習することです。
練習しなければ、何ごともうまくなりません。
うまくできない時は、切り取るぎざぎざの部分にセロテープを固定させ、右端
から少し斜め下へ引っ張るように切ってみましょう。
慣れてくれば、必要な数だけ切り、テーブルの端などに軽く貼っておくと、
「切る」と「貼る」の作業が、スムーズにできます。
 
 ●結ぶ●
「ひも」もそうですね。
昔は、寝巻でしたから、毎日、ひもと付き合っていました。
結ばなければ、格好がつきません。
パジャマはボタンですが、ボタンかけにも苦労している子、いますね。
お母さんが、いつまでも手を貸しているからではないでしょうか。
お子さんにさせましょう。
過保護からは、自立心は育ちません。
 
箱にひもをかけて、結び方を練習しておきましょう。
あやとりもいいですね。
巧緻性ばかりか記憶力も刺激されます。
複雑な作品になると、手順を忘れるとどうにもなりません。
ところが不思議なもので、遊びとなるとかなり複雑なものでも、積極的に練習
をし、覚えてしまうものです。                     
おばあちゃんに教わったといって、三段梯子をこしらえたお子さんがいました
が、お子さんが、どのような環境で育てられているかわかりますね。
お母さんが作って見せ、お子さんに好奇心を持たせることです。
「ママ、すごい!」と間違いなく賞賛され、お子さんの知的な能力も開発され
ます。
一石二鳥ではありませんか(笑)。
 
 ●摘む(つまむ)●
 「箸を使った問題」
 
 :お椀の中のものを、別のお椀に箸を使って、一つずつ移してください。
 
これが試験です。
立教女学院小学校や白百合学園小学校などで出題されています。
豆を買ってきて、割り箸を使い、懸命に練習する話を聞きますが、何かおかし
くないでしょうか。
これは練習をして身につけるものではなく、身体の運動機能的な発達にかかわ
ることですし、基本的な生活習慣の一つですから、しつけと関係あります。
一応の目安として、箸は3歳頃から使えるようになり、5歳頃には巧みに使え
るようになるといわれています。
練習用の工夫された箸がありますから、もっと早く使えるようになっているか
もしれません。
問題集を読むと、箸でカラーボールや玩具のミニチュアの果物、大豆、ビー玉、
落花生、金平糖を摘む(つまむ)、積み木をハンカチで包むなどの課題がありま
す。
なぜ、学校側がこんな試験をするのでしょうか。
手先の器用な子は頭もいいから、箸を持たせて選抜しようとは、考えにくいこ
とです。
しかし、箸を満足に持てない子が多いからとすれば、これこそ問題です。
園児がペーパーテストに強くても、箸を使って食事をできない方が、よほど恐
ろしい話ではありませんか。
こんなことまで試験で調べるのは、幼き戦士たちは、頭が良くても、こういっ
たことが苦手なのでしょうか。
誤解を招いてはいけませんから、今年6月に行われた立教女学院小学校の学校
説明会での教頭先生の話を紹介しておきましょう。
 
  あえてこの場で申し上げますが、テストの中でお箸を使う場面がありまし
  たら、お箸で物を運ぶ速さを競っているのではなく、正しい箸の持ち方が
  できているかを見ていることをご理解いただきたい。テストの主旨はそこ
  にあります。日本の文化でもある箸の持ち方を、きちんと身につけてほし
  いと考えています。
 
第3号でも、「正しい箸の持ち方の写真を2カット使用した説明があった」と
紹介しましたが、それほど箸の持ち方のおかしな女の子がいるのかなと首をか
しげたくなりましたが、お子さんはいかがでしょうか。
 
五感に刺激を与え、脳を鍛えましょう。
言葉は使わなければ進歩しないと同様、手作業もやらなくてはうまくできません。
しかも、この二つの能力は、ご家庭で楽しみながらできることです。
 
お母さん方が、もっとも得意とする料理、レシピを見ながら作るでしょうか。
素材選びから料理の手順、味付けまで、きちんと頭に入っているはずです。
司令塔の脳と実戦部隊の手との共同作業がスムーズに行われるのは、積み重ねた
経験が、頭脳にしっかりと記憶され、手が指示通りに反応しているからです。
 
失敗を恐れず、試行錯誤を繰り返しながら挑戦することで、第二の脳は鍛えられ
ます。
鍛えられると同時に、自力でできるようになることで、自立心が育まれます。
「手は第二の脳」といわれるのは、こういった仕組みになっているからです。
家庭でやらないとは、もったいない話ではないでしょうか。
 
以上が、ご家庭でやってほしい基礎トレーニングです。
しかし、手作業は、月齢差が無残なほど表れますから、その点をきちんと判断し
ながら、あせらずに頑張ってください。
これまでのトレーニングだけでも、脳の活性化はかなり進み、お子さん自身、物
を作ることに興味を持ち始めてはいないでしょうか。
物を作る楽しさを体験させる、絶好のチャンスです。
市販されている幼児用の制作、折り紙、お絵描きなどの本を参考に、お子さんと
一緒に取り組みましょう。
季節折々の年中行事も、格好の教材になります。
門松、鬼の面、ひな人形、かぶと、紫陽花、朝顔、七夕飾りなどを作り、楽しい
思い出をたくさん残してあげましょう。
その思い出から、独特の家庭の文化が間違いなく築かれていくのです。
 
ところで、私のお勧めしたい手作業は折り紙で、お金をかけずに、これほど楽し
める遊びはありません。
といっても、後期高齢者になった私は、ぼけ防止のためにやっているのですが(笑)。
 
(次回は、「鍛えてほしい第二の脳3」についてお話しましょう。

2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★手は第二の脳 1★★

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        「めぇでる教育研究所」発行
     2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第12号)
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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★★手は第二の脳 1★★
ペーパーテストの対策は、ご家庭でも問題集などを使い、充分すぎるくらい行
われているようですが、ものを作る作業、制作やモールにおはじきを通す、糸
を結ぶ、箸を使うといった手作業の問題に関しては、教室や塾の指導にお任せ
の場合が多いのではないでしょうか。
いわゆる、巧緻性の問題です。
辞書を引くと、「きめこまかく上手にできていること」となっています。
聞き慣れない言葉ですが、小学校の入学試験では、きちんとやっておかなけれ
ばならない重要な項目の一つです。
 
「塗る、折る、切る、貼る、結ぶ、摘む」などの手作業の他に、制作や絵を描
く、手本と同じものを描く模写の問題があります。    
手作業からは、手伝ってもらわずに自分で思っているようにできることから自
立の状態が、筆記用具の持ち方からは、基本的な生活習慣やしつけ、制作やお
絵描きからは、身体表現と同様に、幼児が自分の考えを表す大切な方法、手段
ですから情緒の発達状況が、模写からは、観察力、模写力、集中力が判定でき
るので、出題されるわけです。
     
こういった作業は、子どもの発育段階と密接な関係があり、その年令にふさわ
しい経験を積んで身につくもので、手を抜くとできません。
学校側は、年令にふさわしい経験を積んでいるかを見たいのです。
 
さらに、もう一押ししておきましょう。
なぜ、筆記用具の持ち方から基本的な生活習慣やしつけがわかるのでしょうか。
それは、食事をするように箸を持ち、一本抜くと、正しい筆記用具の持ち方に
なっているからです。
妙なボールペンの持ち方で字を書いている若者がいますが、小学校の勉強が始
まる前に、身についてしまう場合が多いようです。
「名は体を表す」ともいいますが、字もそうではないでしょうか。
メールでわからなくても、書いた字を見れば一目瞭然です。
就職するときにあわてても間に合いません。
「たかが筆記用具の持ち方」などと思う前に、お子さんのための大切なしつけ
と考え取り組みましょう。
巧緻性の問題が、「ご両親の育児の姿勢を評価している」といわれる理由は、
ここにあるからです。
年中から年長にかけて、たいへん重要なことですから、4回に分けてお話しま
しょう。
ただし、巧緻性は、子どもの発育状態と密接な関係がありますから、お子さん
の月齢を十分に考慮しながらお読みください。
         
◆基礎作業編◆
 ●塗る●
まず、「塗る」から考えてみましょう。
簡単なようですが、子ども達は、大変な作業をやっているのです。
たとえば、クレヨンで、円の中をはみ出さないように塗ることを考えてみまし
ょう。
まず、左手で紙を押さえます。
そして、右手でクレヨンを持ち、はみ出さないように注意しながら、できるだ
け丁寧に、白い部分が残らないように、まんべんなく塗ります。
この一連の作業を、試験の場合を想定し分析してみましょう。
 
まず、最初に、先生の模範演技を見て、頭脳の司令塔にある何とかいう神経に、
目と耳から情報がインプットされます。
説明終了と同時に、きちんと理解した脳から指示が出ます。
 
 「右手で赤のクレヨンを持って、左手は、画用紙が動かないように、しっか
 りガードしなさい。
 まず、黒く印刷されている円の内側を、円に沿って、はみ出さないように描
 きなさい。 
 次に左から右へ塗る反復作業を根気よくやりなさい。
 左上の方、少し塗りが足りません、至急、補足しなさい。
 残り時間は、あと30秒程です。
 スピードを上げなさい」
 
目は手元を、指示どおりにやっているか見ています、監視カメラですね。
リアルタイムで、次々と正確な報告が届きます。
それに従い、即座に指示が出ます。
話を聞き取る力が備わっていないと、こうはいきません。
きっちりとした指示が出ないことには、手の方も、動きません。
このことです……。
 
手先の器用な子の知的な能力は高いといわれています。
それは、持って生まれたものではないと思います。
頭も使わなければ、よくなりません。
試行錯誤を繰り返すことで手順を覚え、その度に司令塔から指示が出、手先も
それに応えて頑張ります。
記憶する力がつき、手先も器用になるのです。
いってみれば、頭と目と耳と手の合同訓練ですね。
 
これがバラバラでは、おかしなことになります。
目がきちんと見ていないと、状況がわかりません。
耳がしっかりと聞いていないと、指示されていることが理解できません。
わからない状態ですから、脳からの指示も、不正確になります。
この意味不明、「……わかりません」の状態で作業が始まると、どうなるでし
ょうか。
色を塗れば線からはみ出します。
折り紙を折れば、グチャグチャに折ります。
はさみで切れば、ギザギザだらけです。
糊を使えば、量を無視してベタベタに貼ります。
紐を結べば、ユルユルです。
 
こうなるでしょうね、合同練習不足です。
最近、こういう子が増えているそうです。
この責任の一端は、ご家庭の教育にありではないでしょうか。
過去問などを買い求めて知的なトレーニングは、積極的になさっているようで
すが、こういったことこそ、ご家庭で時間をかけ、ゆっくりと、じっくりとや
ってほしいのです。
お子さんと一緒にやりましょう、簡単にできますから。
それに、問題集を使っての勉強と違い、腹を立てないで済みます。
 
たとえば、色塗りです。
5センチの正方形を縦、横4個ずつ作って、色を塗らせましょう。
色を決めて、斜めに塗ると、きれいな模様ができます。
最初は、この程度から始めて、ます目を増やしてあげましょう。
後で出てくる系列完成の学習にもなります。
・・・・・・・・・・・・・
・ 赤 ・ 緑 ・ 青 ・ 赤 ・
・・・・・・・・・・・・・
・ 緑 ・ 赤 ・ 緑 ・ 青 ・
・・・・・・・・・・・・・
・ 青 ・ 緑 ・ 赤 ・ 緑 ・
・・・・・・・・・・・・・
・ 赤 ・ 青 ・ 緑 ・ 赤 ・
・・・・・・・・・・・・・
こういった遊びから、脳も手先も鍛えられ、美醜の感覚も育ってきます。
塗り絵の苦手な男の子は、こういった遊びをしていないのではないでしょうか。
大人には何でもないことが、幼児にはとてつもなく難しいということがたくさ
んあります。
何事もそうですが、基本的な作業をおろそかにしないことです。
 
塗る問題でも難しいものがあります。
 
★鉛筆を使い、一番目の四角を最も濃く塗り、二番目は少し薄く、三番目はそ
れより薄く塗りなさい。
 
日本女子大学附属豊明小学校で、よく出題されています。
今の段階では、まだ難しいですが、こういった問題もあることを覚えておきま
しょう。
 
●折る● 
「折る」は、折り紙の登場です。
これから折り紙には、いろいろな領域でお世話になりますから、常備しておき
ましょう。
折ってみるとわかりますが、メーカーにより色が微妙に違い、厚さにも変化が
あり、硬いもの、柔らかいものがあります。
柔らかいものだけ使っていると、硬いものは折りにくくなります。
最初は柔らかいものを使い、うまく折れるようになれば硬いものも使ってみま
しょう。
 
折り紙は、楽しいものです。
何しろ、1枚の紙から、立体作品ができるのですから、すぐれものです。
簡単なものから始めましょう。
 
大切なのは、最初の一折りで、ここを、キチンと押さえましょう。 
スピードは、必要ありません。
丁寧に、しっかりと折ることが大切で、一つ一つの作業は、まさに巧緻性その
ものです。  
さらに、折り紙は、手順を忘れると完成しませんから、記憶力もつき、一石二
鳥の効果を期待できます。
基本は、折り紙の角をきちんと揃えて半分に折り、長四角と三角を作ることで
す。
 
正確にきれいに折るには、指先の力も鍛えなければなりません。
うまく折れない場合には、紙をちぎりましょう。
新聞紙で十分です。
最初はうまくちぎれなくても心配ありません。
きちんとちぎれるようになるには、いろいろと工夫する必要があります。
これは、とても大切なことで、教える前に挑戦させてください。
 
「子どもが、考え、工夫する前に、教え込んでしまう」のは、決していいこと
ではありません。
育児が過保護や過干渉のタイプのお母さん方は、とかく教えがちですが、まず、
子どもにさせることです。
 
うまくちぎれるようになるには、工夫が必要です。
工夫してできるようになれば、やる意欲も育ちます。
できたことから達成感を味わえるからです。
大人から見れば「何だ!」と思えることが、子どもにはすばらしい発見でもあ
るのです。
ちぎった紙を使って、1つに丸めた後折り紙などで包み、ボールを作ってみま
しょう。
はさみを使わずに、紙をちぎってものを作るテストもあることも覚えておいて
ください。
 
また、機会があれば、お母さんが折ったものを広げて、どういった線ができて
いるか見せてあげましょう。
あまりにもきれいな幾何学的な模様に、きっと驚くと思います。
左右、上下が対称になっているなどと難しい説明はいりませんが、やがて挑戦
しなければならない対称図形の学習に役に立ちます。
 
以前、暁星小学校では、少し工夫しないと難しいと思える折り方をさせました。
日本女子大学附属豊明小学校では、座布団に正座をして折り紙をしたこともあ
りました。
 
ところで、私には信じがたい話ですが、鶴を折れないお母さんがいるようです。 
お子さんは、さみしがりませんか。
お子さんばかりに要求せず、練習し、お子さんの期待を裏切らないようにして
ください。
 (次回は「手は第二の脳2」についてお話しましょう)

2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★ご家庭で楽しくできる受験準備 養ってほしい数感覚 2

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        「めぇでる教育研究所」発行
     2016さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第11号)
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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ご家庭で楽しくできる受験準備
★★養ってほしい数感覚 2 ★★
 
[アバウトから正確に] 
さて、何回も続けていく内に、お子さんは、たとえば10と5では、10の方
が多いとわかると、今度は数字で多少の判定をはじめます。
そこまでわかってきましたら、「では、いくつ違いますかゲーム」に切り替え
ましょう。
ゲームのやり方は、同じです。
  
最初は、同じマークから始めましょう。
1枚ずつカードをめくり、お子さんが8、お母さんは3が出たとします。
お子さんは、「ぼくの勝ち!」と宣言して、その違いを調べます。
この場合も、[8-3=5]ではなく、数の少ない方のカード[3]を覚え、
数の多い[8]のカードのマークを3個、指で押さえて隠します。
そして残ったマークを数え、「ぼくの方が5個多い」と、必ず、言葉で判定結
果を言うようにします。
 
今度は、お子さんのカードが4、お母さんのカードが7で、お母さんが勝った
場合も、 「ぼくの負け!」とお子さんに宣言をさせ、お母さんのカード[7]
を使い、4個を指で押さえ、残ったマークを数えて、「ぼくの方が3個少ない」
とお子さんに判定させ、結果を言うようにします。
お母さんは、一切、言葉をはさむ必要はありません。
正解の場合は「ピン、ポン!」、間違った場合は「ブッ、ブー!」と警告する
程度にし、ゲームの進行は、お子さんに任せます。
このゲームは、正確に「いくつ違うか」を判定するものですから、スピードは
必要ありません。 
先程も触れましたが、[10と9]、[8と7と6]のカードでは、マークの
配列が[4と3]の違いに気づけば、どこをどう押さえて隠せばよいかもわか
り、真ん中のマークの数だけで判定できるようになると、自然とスピードアッ
プしますが、答えは、必ず、口頭でキチンといえるようにします。
4種類のカードをまぜてやるのは大変ですから、2種類、10回戦で十分です
が、お子さんが希望する場合は挑戦してみましょう。
 
これができるようになれば、次に同じマークのカードを4枚並べ、「一番多い
ものと少ないもの」を見分けるゲームをやってみましょう。
指でさして、答えさせます。
これも直感で判定させたいのですが、ここまで、かなりゲームの量をこなした
ことになりますから、数字とマークの数の関係で、わかるお子さんも出てくる
でしょう。
 
例えば、[5、3、7、9]のカードが、並んだとします。
「9が一番多くて、3が一番少ない」
と、数字でいえるようになれば、もう、カードでのゲームは、卒業してもいい
でしょう。
 
ところで、数字は抽象的ですから、数詞がつかなければ、幼児には具体的な数
は、わかりにくいものです。
[1]といってわからないことでも、「りんごが1個」となると、頭にりんご
が1個浮かび、具体的な数を把握できるわけです。
トランプは、5のカードであれば、数字の5とマークが5個ありますから、抽
象的な数字をマーク5個で具体的に表しています。
小学校の入試では、数字を使いません。
ですから、1は○が1個、2は○が2個、10は○が10個であることが理解
できれば、十分なのです。
数の多少がわかれば、トランプでのゲームを卒業し、数字のない遊びへ進みま
す。
しかし、お子さんがゲームを面白がるようでしたら、楽しみながら続けてあげ
ましょう。
 
ここまで進むと、数字を書きたいお子さんも出てくるでしょう。
その場合、[0・5・7・8・9]の書き順を、きちんと教えてください。
自己流で覚えてしまうと、直すことになりますから、小学生になってから苦労
します。
そして、数字を覚えても、問題集や模擬テストなどでは、「絶対に数字を使っ
て答えてはいけない」と約束しましょう。
答が合っていても、得点にはならないからです。
当然のことですが、入学試験で数字を使って答えては、絶対に合格しません。
設問のどこにも、数字で答えなさいとの指示はないからです。
新しいことを覚えると、つい、使いたくなるものです。
ここで、きちんと押さえておきましょう。
 
次の遊びは、お母さんが教材を作ります。
トランプより少し大きい長四角のカードを20枚(1から10まで各2枚ずつ)
作り、ハートやスペードの代わりに●で表します。
トランプに慣れていますから、最初はマークと同じ配置にしましょう。
慣れてきたら、市販されている問題集などを参考に、オリジナルカードを作っ
てあげましょう。
市販されているシールを貼って作ると、きれいなカードができます。
 
最初のゲームは、直感で見分けた「多少の違い」をやってみましょう。
今度は数字がありませんから、直感が頼りです。
きちんと見分けられれば、「いくつ違うか」のゲームに挑戦しましょう。
今度は、トランプより大きいですから、答えも出しやすいと思います。
 
それもできるようになれば、4枚並べ、直感で「一番多いものと、一番少ない
もの」を当てるゲームに進みますが、お母さんが意図的にカードの配置をした
方がいいと思います。
[1・2・3・4][1・10・5・8]のように、[1と10]が入ったも
のばかりでは、緊張感に欠けるからです。カードをうまくアレンジしてあげま
しょう。
市販されている「数量の問題集」などを参考にされるのもいいですが、難易度
を考えて選んでください。
 
慣れてきましたら、「二番目に多いものと、二番目に少ないもの」に挑戦して
みましょう。
やり方は「一番多いものを見つけ、それより少ないものが二番目」になり、
「一番少ないものを見つけ、それより多いものが二番目に少ないもの」になり
ます。
最初は戸惑うかもしれませんが、あくまでもゲーム感覚で、楽しみながらやっ
てください。
 
幼児の場合は、何事においても誕生日、生まれ月を考慮する必要があります。
衣服の着脱、歯磨き洗顔などの基本的な生活習慣はもちろんのこと、こういっ
た遊びを通した知的なトレーニングにも、十分に注意してほしいと思います。
「隣のケンちゃんができるのに、なぜ、うちの子はできないのかしら」
と思う前に、必ず、生まれ月を考えましょう。
早生まれのお子さんには、無理をしないように気をつけてください。
「できなくても、できるまで待ってあげる」、この気持ちが大切です。
 
お子さんのおむつを外すとき、お母さん方はどうしましたか。
粗相をしても、叱り飛ばさなかったはずです。
その心は、「まだ、できないから待ってあげる」であり、その心は「今に、必
ずできる」ではなかったでしょうか。
待ってくれたから、お子さんは期待に応えたのです。
 
知的な能力の開発も、同じです。
いや、知的なことだけに慎重な対応が必要なのです。
できなくても、あせる必要はありません。
幼児は、体験を積んでいないからできない場合が多く、決して能力だけに問題
があるわけではありません。
いろいろと体験させ、待ってあげましょう。
待ってあげるお母さんのやさしい心が、必ず、できるように導くからです。
待ってあげるやさしい思いやりから、頑張る意欲は育ってきます。
お子さんの成長した姿を見て、自信を持ちましょう。
 
こういった遊びで、十分に数感を養ってから、○を使った数の多少、和(合わ
せていくつ)、差(いくつ違うか)、対応(いくつ必要か)、分割(分けると
いくつ)といった問題に進むのが、幼児にふさわしい算数の学習であることを、
ご理解いただけたのではないでしょうか。
ゆっくり、じっくり、しっかりと、ゲーム感覚で楽しんでください。
 
最後に、トランプの絵札は、普通、11はJ、12はQ、13はKとアルファ
ベットで表されています。
Kはキングで王さま、Qはクイーンで王女さまの頭文字であることはわかりま
すが、Jは何を表しているのでしょうか。
これは、「ジャック」という名前の頭文字からとったものだそうです。
ジャックとは、イギリスではありふれた名前の代名詞で、日本では「太郎」に
あたると考えればわかりやすいでしょう。
よくある名前を付けることで、名もない一兵士を象徴させているそうです。
騎士道の精神ではないでしょうか。
そういえば、中学一年で習い始めた英語のテキストは、「JACK AND 
BETTY」だと記憶していますが、ベティーは「花子」にあたるとすれば、
「太郎と花子」になるわけですね。
フルネームは、JACK JONES とBETTY SMITH でしたか
ら、JONESとSMITHは、鈴木さんや小林さんになるかどうかは、定か
ではありません(笑)。
  (次回は、「第二の脳を鍛えましょう1」についてお話しましょう)
 

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