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めぇでるコラム : 2025小学校受験

2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>◆◆試験当日の留意点◆◆

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第67号>
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 ◆◆試験当日の留意点◆◆
 
 
季節の変わり目、朝晩、気温の変化の激しい初秋ですが、体調を崩しやすいですから、お子さんの健康管理には、十分注意してください。
 
今回は、試験当日の留意点とご両親の心構えについてお話しましょう。
 
(1)募集要項を読み直し、持参するものの一覧表を作っておき、慎重にチェックをしましょう。
   受験票、面接票、当日のスケジュール表(出願後に学校側から送られてきた資料)、募集要項、上履き(学校によってはご両親用も)、運動靴(雨天の場合は雨具の他に、お子さんの着替えやソックスなど)、携帯電話(万一の交通事故に備え)、スイカ、パスモなど。
   親子一緒の控室のところは、お子さんが静かに待てるようなものも用意するといいでしょう。
 
(2)当日は、いつもと変わらない朝を迎えてください。
   学習院のように試験当日に両親面接があると、ご両親が緊張しがちです。
   いつもは「行ってくるよ」と会社へ出かけるお父さんが、一所懸命に駄洒落を飛ばすのですが、全くうけなくて、かえって、「パパ、どうしたの?」と怪しまれてしまったと、笑いながら話してくれたお父さんがいました。
   いつもと同じように、平常心を心がけましょう。
 
(3)いかなる場合でも、遅刻は認められません。
   特に、バスを利用する場合は、注意が必要です。
   朝は、渋滞する可能性がありますから、事前によく調べておきましょう。
   説明会でも開始間際にタクシーで、あわてふためきながらやって来るお母さん方を見ました。
   事故による渋滞や電車の遅れなどの場合は、他の交通手段も考えておきたいものです。
   そして、携帯電話で学校に問い合わせ、指示を求めましょう。
   そのためにも電話番号を登録しておくことです。
   ただし、校門の所で必ず、電源を切ることをお忘れなく。
 
(4)所定の手続きを指示に従い、あわてずに行いましょう。
   頭をひねるような難しいことはありませんが、時間ぎりぎりに到着となると、気のあせりからミスをしがちで、そういったときは、いつもと違ったご両親になっているものです。
   そばで見ているお子さんは、どういった心境になるでしょうか。
   控室で一息入れずに試験場へ向かい、すぐにテストです。
   まわりは、知らない子ばかりです。
   お子さんがいつものような状態で、テストを受けられるはずはありません。それまで全力を尽くしてきたとしても、この一瞬で、すべてが台無しになる可能性もあります。
   十分な配慮が必要です。
 
(5)服装は、動きやすく、着馴れたものを。
   新品の革靴をはかせるようなことはやめましょう。
   学校へ着けば履きかえるのですから。
   靴擦れでもしたら、運動テストどころではありません。
   髪の毛の長い女の子は、運動の時に困らないようにしておきましょう。
   リボンが気になりマット運動ができなかった話を聞いたことがあります。
   袖の長いブラウスなどは、制作の時に邪魔になることも考慮しておきましょう。
   女の子は、お気に入りのブラウスなどを着せると、汚れが気になり、集中できません。
 
(6)テストの前に用便をすませておきましょう。
   幼児教室へ通っている方は、教室へ入る前に、必ず、やっていると思います。
   校舎見学の機会がない場合は特に、集合時間間際でトイレの場所を慌てて探すことのないよう、時間に余裕を持って行くようにしましょう。
   テスト中にトイレとなると、それまでです。
 
(7)いつものように教室へ送り出しましょう。
   控室で、「話をきちんと聞くのですよ」などと、くどくど注意するお母さん方がいるようです。
   そういうことが、みんなプレッシャーになってしまいます。
   また、大勢の子どもを見て、驚き、緊張している様子が見えたときは、お子さんが、もっとも安心する態度で接してあげましょう。
   よく聞く話ですが、しゃがんで、お子さんの目を見ながら手を握ってあげ、
   「いつもと同じなのよ」
   というのが効果的なようです。
   お子さんの性格によっても違いますが、こういったことも起こりえると考えておきましょう。
 
(8)万一の急病に備え、常備薬を持参しましょう。
   幼稚園の遊戯会、ピアノなどの発表会の前の晩に、熱を出した経験のあるお子さんは注意が必要です。
   直前に、感染症にかかった場合は、必ず学校側に連絡し、指示に従ってください。
  
(9)テストの時間によっては、昼食の用意をしておきましょう。
   近所のレストランなどをあてにしていると、「日曜日で休み」となりかねません。
   一口で食べられるサンドイッチやおにぎり、飲み物も自動販売機などで購入せず、小さい水筒などを用意しておきたいものです。
 
(10)幼稚園や保育園、幼児教室などの友達と会うことも考えられます。
   緊張しているときに友達と会うと、ほっとして舞い上がるお子さんがいます。
   あいさつ程度にし、お子さん同士がふざけ合うことのないようにしましょう。
 
(11)行動観察や運動テストなどで、子ども同士のトラブルが起こる場合もあります。
   先生から事情を聞かれたときは、はっきりと答えることです。
   男の子は、これが苦手なようです。
   密を避け、この種のテストをしない学校もありますが、行われる場合は、その指示にきちんと従うように教えておきましょう。
 
(12)お子さんがテスト中の控室では、たとえ友達や顔見知りの人がいても、お互いに遠慮して話し込まずに、本を持参し静かに読むようにしましょう。「携帯電話の電源は切るか、マナーモードにしてください」とある場合は、スマートフォンも使用禁止です。
 
 
入試が始まっているご家庭もいると思います。
風邪など引かないように注意しましょう。
お子さん、お母さんはもちろんのこと、お父さん、外出先から帰ったときは、必ず、手洗いとうがいを励行してください。
そして、お母さん。お子さんにとっては、お母さんの明るい笑顔が頼りです。
精神的なコンディションを崩さないことも、ご両親の大切な役目です。
ここが正念場と考え、頑張ってください。
 
 
ご両親の心構え
 
★アフターケアも慎重に★ 
 
昨年の7月から始まった「さわやかお受験のススメ 小学校受験編」も、最終回を迎えました。
 
長い間、読んでいただいた方に、お願いをしておきたいことがあります。
 
言うまでもなく小学校の受験は、お兄さんやお姉さんが在学している場合はともかく、ご両親が我が子のためによかれと考えてはじめたことです。
もとより、子どもたちが、
「ぼくは、幼稚舎へ行きたい」
「私は、雙葉へ……」
と、希望されたわけではありません。
にもかかわらず、子どもたちは、一所懸命に頑張りました。
年中の頃から、受験勉強をはじめ、そして今、直前の講習会を終え、試験を迎えようとしています。
 
考えてみると、これはたいへんなことです。
 
基礎指導から実践指導、集団指導や個別指導、冬、春、夏の講習会、毎月行われた模擬テスト、絵画教室などなど、同年代の子ども達が、ほとんど経験しないことをやってきたことになります。
それに加えて家庭学習があります。
これが、子どもたちには、もっとも厳しかったのではないでしょうか。
とかく、お母さん方は、合格の二文字のために熱くなりがちです。
「なぜ、ぼくだけ、勉強しなくてはいけないのかな?」
と子どもたちに疑問を持たせてしまったことも、あったのではと思います。
でも、お父さんやお母さんの気持ちに応え、頑張りました。
 
子どもたちは、本当にえらいと褒めてあげたい。
         
ですから、全員に、希望された学校から招待状が送られて来て欲しいと思わざるを得ません。
それほど子どもたちは頑張り続けたのですから。
しかし、残念ながら、すべての子どもたちに、招待状が送られてくるわけではありません。
「試験前なのに縁起でもない!」とお腹立ちの方も、心を静めてお読みください。
 
都心の幼稚園によっては、全員が受験というところもありますが、そういった環境であれば、幼稚園側の配慮もあるでしょうし、ご両親もお子さんも、それなりの指導をきちんと受けられていると思います。
しかし、普通の幼稚園や保育園からの受験の場合は、そうはいかないのではないでしょうか。
わが子、一人だけが受験といったことも考えられます。
         
一昔前は、受験を意識させないで済ませるように、また、合格しなかったことを、子どもたちにわからないように配慮したものです。
しかし、現状ではなかなか難しいのではないでしょうか。
 
数校受験する子どもたちもたくさんいますから、わかっているはずです。
合格すれば何ら問題はありませんが、結果が出なかった場合は、傷つく恐れもあるでしょう。
 
このことです……。
 
今は、学校内で合格を発表せずに郵送やWebで知らせるところが増えてきましたが、以前は、ほとんどの学校が校内に掲示していたものです。
私は、できる限り発表を見に行きました。
合格された方は、掲示板の前からいつまでも去ろうとしません。
不合格の方は、悄然と去っていきます。
気障で申し訳ありませんが、「倍率十倍の難関校」の文字からは浮かばない、厳しい現実を実感させられたものでした。
 
そんなときに、ある学校で、とんでもない親子を見てしまったのです。
お母さんが早足で出口に向かい、お子さんが、
「ママ、ごめんね!」
と、泣きながら追いかけていくのです。
若いお母さんは、一言も口をきかず、むっとした顔をして出ていってしまいました。
こんな残酷な仕打ちは、いくら親でも許せません。
一番傷ついているのはお子さん自身であることに気づかない親であれば、受験などする資格はないと思いました。
最近は、Webや郵送で知らせるようになりましたから、こういった心配はないと思いたいですね。
 
ところで、不合格のときはお子さんに、どのように説明するか決めているでしょうか。
 
残念ながら合格しなかったご両親からは、
「公立の小学校から通知は来ますから、子どもには、私学の合否については知らせないことにしています」
と、答える方が多いものです。
 
みなさん、お子さんにあった方法で対処なさることと思いますが、注意してほしいのは、ちょっとした言葉なのです。
 
「○○ちゃんは入ったのに、何で、あなたは駄目なんでしょう」
お母さんは、わが子をかわいそうに思い、つぶやいたこの一言で、お子さんは、深く傷つき、劣等感を持ちがちなのです。
不用意な言葉が、お子さんに与える影響を考えてあげましょう。
とにかく、お子さんは、頑張ったのですから。
 
頑張ったことは、必ず、将来、芽を吹きます。
 
正しい指導を受けてさえいれば、子どもたちは、同年代の子が体験しなかったことを、たくさん学習しています。
 
国語の領域でいえば、「話の記憶」は、小学校の中学年から高学年にかけて学習する長文読解の問題を、文字を使わず、耳から聞き取るだけで挑戦してきました。
 
算数の領域では、「数」の問題で、1年生で習う足し算、引き算、2年生で習う掛け算、3年生で習う割り算、4年生で習う分数まで、数字や+-×÷などの記号を使わずに学習してきました。
 
さらに、話を聞く姿勢、指示を理解し迅速に対応する行動力、自分で頑張る意欲などを身につけたはずです。
 
ご両親も、心を一つにして、お子さんをバックアップしてきました。
学校を選んだ段階で育児をふりかえり、やはり間違っていなかったと確認したこと、反省しなければいけなかったことを話し合われたのではないでしょうか。
受験をしなければ、こういった経験をすることはなかったはずです。
驚かすようで申し訳ありませんが、これから先、ご両親が、これ程までに心を一つにして、何かに取り組むということは、あまりないのではと思います。
 
まさに、育児のゴールデンアワーでもあったわけです。
 
文言は正確ではありませんが、慶應義塾幼稚舎の舎長を辞任され教諭に戻られた加藤三明先生は、説明会でこうおっしゃっていました。
 
 「受験に合格しなかった方は、もしかすると親子ともども、敗北感を味わうことになるかもしれません。しかし、これはあくまでも幼稚舎の受験に限ったことで、人生の敗北ではありません。まして、子どもがそういうことを思い続けていたら、本当に恐ろしいことです。われわれが5歳の子に、本来は行うべきではない入学試験という罪なものを施していて言うのもなんですが、小学校受験をぜひ、最終目的だと思わないでいただきたい。まだまだ、ほんの人生の始まりです。小学校の受験で、お子様をスポイルしないでほしいというのが、私の願いです」    
                     
年長の秋は、お子さんの人生の終着点ではなく、通過点と考えましょう。
例え不本意な結果だったとしても、そのことをお子さんが背負っていくことのないようにしてあげてください。
 
小学校の受験は、ご両親がお考えになり始めたことですから、終わりもきちんと対処していただきたいと思います。
 
この連載を通して、わかっていただきたかったのは、「過保護や過干渉な育児から、子どもたちを解放する」ことでした。
 
過保護な育児では、わがままな子になりがちで、相手を思いやる気持ちは育まれません。
 
過干渉な育児では、消極的で依頼心の強い子になりがちで、積極的に物事に取り組む意欲は育ちません。
 
これから、小学校での集団生活を通して、共に生きる「共生」を学んでいくことが大切です。
それには、相手を思いやる気持ちが育まれていなければ、スムーズに対応できません。
また、学校生活を楽しくすごし、学習面で好奇心という触角を張りめぐらせ、いろいろなことを学んでいくには、積極的に取り組む意欲が育まれていることが大切です。
 
家庭学習で、お父さん、お母さんには、この2つのことを教えてきたと思います。
 
できない問題があっても、明日できればいいと励ましませんでしたか。
できるようになったとき、一緒に喜び、褒めてあげたでしょう。
 
子どもたちは、お父さんやお母さんのやさしい気持ちに応え、ステップアップしてきたのではないでしょうか。
「頑張れ」と励ます言葉とやさしい気持ちから、子ども達の心に「思いやりの気持ち」と「できるまで頑張る意欲」が育ってきたのです。
 
この2つが育っていれば、たとえ不本意な結果だったとしても、子どもたちは大きく成長しているはずです。
 
同年代の子どもで、こういったことを経験できるのは、私学の小学校が最も多い東京都でさえ、就学児童およそ10万人前後の内、応募者を公表していない学校もあり推定に過ぎませんが、応募者は約1万5、6千名程、何校かチャレンジすることも考えると実際はもっと少ない人数ですから、受験準備をするのも限られた子どもたちなのです。
しかし、正しい指導を受けられた子ども達は、十分にエキスを与えられた根と同じように、必ず、芽を出し、ご両親が期待する花を咲かせます。
子どもたちを信じて、試験場に送り出してあげてください。
運悪く、結果が出なくても、あたたかく見守ってあげる保護者であって欲しいと思います。
 
「あしたは、今日より、きのうより」は、今は亡き、いずみたく氏の作曲された某財団法人の社歌の題名で、断りもなく私の座右の銘にさせていただいています。
また、「育児しながら育自するお母さん」であれば、親子の絆は、生涯、ほころびることはありません。
 
この二つこそ、子育ての鉄則ではないでしょうか。
 
皆さま方に、希望された小学校から、招待状が届くことを、心からお祈り申し上げます。
ベストを尽くせるように頑張ってください。
ご健闘を祈ります。
 
最後までお読みいただきまして有難うございました。
 
 
   令和6年10月吉日
                めぇでる教育研究所 職員一同
 
 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試直前の心構え ★★

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第66号>
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  ★★入試直前の心構え ★★
 
 
既に模擬面接も終え、面接の心構えもできていると思いますが、合否のカギを握るといわれている「志望理由」について、念入りにチェックし、自然に話せるように練習をしてください。プレッシャーをかけるようで申し訳ありませんが、小学校受験合否のポイントは、「保護者(主にお父さん)の志望理由5割、子どもの成長度5割」とも言われていることを思い出し、頑張りましょう。お子さんのためです。
 
 
 ◆ベストコンディションを作る 
 
入試直前、何とかベストコンディションで試験を受けさせてあげたいと、お母さん方は計画を立てることでしょう。例えば、外から帰ってきたときは、手を洗い、うがいをさせることから、栄養のバランスを考えた食事、早寝、早起きをさせ、睡眠時間を十分にとるなど、配慮しなければならないことがたくさんあります。
 
その1つに、時間の管理があります。
朝、8時半から試験が始まる場合、起きてから学校までかかる時間を逆算し、その時間帯に合わせ、生活のリズムを作り直す必要があります。人間の脳は、目を覚ますと、すぐにフル回転するものではなく、スイッチを入れれば、パッと光る電球のようにはいかず、柔軟なお子さんの頭でも、2、3時間かかるともいわれているようです。こういった試験時間に対処できるコンディション作りも親の大切な役目となります。
 
 
 
 ◆家庭学習について 
 
家庭学習をどのように進め、ベストの状態を保っていくかも難しい問題となります。直前のことですから、もう苦手な問題は克服されていると思いますが、「あなたはできる。これだけ頑張ったのだから大丈夫ですよ!」とあたたかい言葉で励ましてください。
 
そして、ここが大切なのですが、得意な問題の場合、お子さんも自信がありますから、保護者が読んでいる設問を、よく聞いていないこともありがちです。
 
「お母さん(お父さん)が読み終わるまでしっかりと聞き、始めといわれたら始め、終わりといわれたら、きちんとやめること」、この約束を徹底することです。点図形、模写、同図形(異図形)発見、系列完成、図形、しりとり等、設問を聞かなくてもできる問題があります。しかし、最後まで聞かないと指示される記号(○、×、//など)がわかりません。皆が出来るやさしい問題であれば、このミスを挽回することは不可能でしょう。そのためには、設問を読んでいる間は筆記用具を持たせず「手はお膝」、「そこまで」と時間がきたら筆記用具は机の上に置き「手はお膝」、を徹底させましょう。
 
さらに、次のページに移る指示があっても、その問題にこだわっていると、明らかにチェックの入る学校もあると聞きます。
また、制作や、ごっこ遊び、運動テストなども、話を聞いていなければ、うまくできません。最後まで聞かずに勝手にやり始めると、当然、「指示の理解」や「約束事を守れるか」などにチェックが入ります。
「先生のいうことを聞いてから始める、そしてやめる」、これを徹底させましょう。
 
「何回、教えたらわかるの!」             
「これができなければダメなの!」           
「そんなことができなければ、小学生になれません!」  
 
メールマガジンをお読みになっていらっしゃる皆さん方は、こういった言葉を使っていないと信じていますが、励ましているつもりが、逆の効果になってしまうものです。
 
試験場でできない問題があると、トイレにいってしまう子どもがいるそうです。
なぜでしょうか。
「先生、トイレ!」                               
と言われれば、先生はトイレに連れて行くしかないでしょう。
「その時間にいなかったから、問題をやれなかった」
と言い訳を作っているとしたら、これは恐ろしいことではありませんか。5、6歳の子どもが言い訳を考える、こんな気持ちに追い込んではかわいそうです。
 
お母さんが怖いのです。最近は、怖いお父さんもいるようですね。
中には、「できない!」といって泣きだす子ども達もいると聞きます。                
保護者の合格をさせたいという気持ちは、痛いほどわかりますが、言葉がけには十分に注意しましょう。不用意な言葉は、自信を失わせます。情緒が不安定になるような言葉は、絶対に使わないでください。
 
また、テスト会場で、隣の子の答案をのぞくお子さんがいるそうです。これは、いわゆるカンニングではありません。正解であるにもかかわらず、隣の子の答えを見て訂正してしまうのです。
なぜでしょうか……。やはり、自信がないのです。                                
 
隣の答案をのぞく子にしないためにも、
「あなたが思ったとおりでいいのですよ」
と、自分の考えたことに自信を持たせましょう。
「お母さんは、一所懸命に考えて頑張る子、大好きなの。それでもわからなければ、仕方がないことなのよ」
と、笑って励ましてください。
ただし、「一所懸命、考えてもわからない場合」と、約束しましょう。
 
よくできるお子さんでも、できない問題にぶつかるとパニックになってしまうケースがあるようです。
できる子だけに、厄介なのです。「できない」ことにこだわり、次の問題に取り組めないのです。こういったことも十分に考えられますから、「あなたが考えてもできないような問題なら、他の子もできませんよ。大丈夫、自信を持って、次の問題に挑戦しましょう」といった言葉がけも必要ではないでしょうか。
 
 
 
 ◆試験についての説明 
 
次に、試験について、どう説明するかです。
以前は、子ども達に試験といったイメージを与えないようにしたものですが、これだけ情報が広がり、いろいろと体験をしていると、そうはいかないでしょう。受験する学校での公開模擬テストやホームグラウンド以外の教室や、他の幼児教室、塾などで試験を受けることから、お子さん自身も心づもりはできているかと思いますが、やはり、プレッシャーはかかります。心身共に強い子どもは、そうはいません。「頑張れ!」といわれれば、本当に頑張る子もいれば、その一言で駄目になってしまう子もいます。
ピアノなどのお稽古ごとの発表会や幼稚園のお遊戯会などの前夜になると、突然、腹痛や発熱する神経過敏なお子さんには、「今日は、いつもの教室と違って、ここの学校でやるのですよ」といった説明がいいのではないでしょうか。
控室でゼッケンをつけ試験場に入り、テストの内容も、ほとんどの場合、教室で受けているのと同じだからです。「パパ(ママ)の言うとおりだ!」と安心し、そして頑張るのが子ども達です。お子さんの性格をよく知っているのはご両親ですから、こういったことにも注意し、当日の朝を迎えてあげましょう。
 
 
 
 ◆怪情報、うわさについて 
 
一時ほどではなくなりましたが、厄介なことが一つあります。それは、怪情報、うわさです。
以前、昭和60年代に開かれた四谷の雙葉小学校の説明会の様子を紹介しましたが、うわさとは、多くの場合、根も葉もない、単なるうわさに過ぎません。
当事者であるお母さん方は、とかくわらをもつかみたくなる心境になりやすいでしょうが、そこにつけ込むのがうわさです。後で思い出すと「ナンダ!」となるものばかりのはずです。
「受験する前に、もう合格者は決まっている!」
「紹介者がなければ駄目!」
といったことが本当なら、受験料を取る学校は、まさに詐欺行為ではありませんか。司直が許すわけがないのです。税務署も同様です。
 
「紹介者がなければ駄目!」
といったことが本当であれば、暁星小学校の説明会でも、「紹介状や推薦状は必要ありません。本人の実力を第一とする」とおっしゃったことが、うそになります。マリア様が、うそをお見逃しになるわけがありません。
 
また、青山学院初等部のホームページのQ&Aのコーナーには、
Q「紹介状や推薦状の必要はありますか」
A「必要ありませんし、用意されても受け取りません」
とあります。
 
さらに、幼稚舎のホーページのQ&Aコーナーには、
A「入学試験に関して、舎長および教職員との面会は一切できません」
と掲示されていますが、ほとんどの学校で、校長先生はもちろんのこと、教職員の方々が、受験に関する面談に応じることはありませんし、お断りしているはずです。
 
気になるうわさに心を痛めるようでしたら、お父さんに聞いてみましょう。おそらく、一笑されるはずですから。お願いしますよ、お父さん!
 
「暑さ寒さも彼岸まで」とは、猛暑を経験しただけに、ありがたいものですが、お彼岸を過ぎても暑い日が続いたりと初秋はとかく気候が不順になりがちです。
健康管理には、十分、注意してあげましょう。
 
昔の曲ですが、大橋節夫作詞、作曲の「幸せはここに」(YouTubeで聴けます)があります。
    秋の夜は更けて すだく虫の音に
    疲れた心いやす わが家の窓辺
    静かに ほのぼのと 幸せはここに
お子さんの寝顔を見ながら、すだく虫の音に、耳を傾ける余裕を持ちましょう。
 
         
 (次回は、「当日の留意点とご両親の心構え」についてお話しましょう)
 
 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>合否のカギを握るのは「志望理由」(2)

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第65号>
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合否のカギを握るのは「志望理由」(2)
 
 
今回は、地元千葉県の4校を取り上げてみました。国府台女子学院小学部は、第52号「志望理由の決め方(2)」で紹介しましたので割愛しました。
 
 
■日出学園小学校 
 
教育理念と目標 
 ここから大きく育つ、生きる力。
 自主性  向上心  想像力  好奇心
 小学校6年間を通じて「なおく・あかるく・むつまじく」の校訓をもとに、人間教育の実践をしています。
 
 「なおく」とは、正しいこと正しくないこと、良いこと悪いことが判断できること。
 「あかるく」とは、笑顔を絶やさず感動を体験しながら、一生懸命取り組むこと。          
 「むつまじく」とは、文字通り仲良くする、共に生きる、共生のこと。
 
健康で潤いのある人間性や想像力を養い、基礎学力の定着を図る、これが本校の目標です。具体的な内容に関しては、学校長のあいさつを参考にしてください。 
         
「日出学園は昭和9年(上皇陛下が誕生した翌年、市川が市となった年)に市川在住の有志によって創設されました。その中心になった青木要吉は若い日にアメリカに留学し民主主義と自由主義を肌で感じ、その体験から生徒の特性を伸長することに重点をおいた私塾的な雰囲気をもつ寺小屋のような少人数、男女共学の教育を目指していたと聞いています。
人間形成の土台づくりは、児童期の体験で決まると思います。小学校では、学校行事の関わりの中から楽しさ、悔しさなどいろいろな想いを体験してもらい、その都度いろいろなことを考えて前に進んでほしいと願っています。そのために、異学年交流・宿泊合宿など集団の中で、友だち・下級生・上級生という立場で物事を考え行動し、そのような体験の中から社会性や共感性などを身につけてほしいと常々思っております」           
 
教科では、国語力の向上に力を注ぎ、現在、約54、000冊の蔵書があり、恵まれた環境の中で、考え、思い、学び、表現するための手立てである「言葉の力」をつけさせ、「生きる力」へとつなげていけるように指導していること。
また、「書は人なり、心を写す力」とも言われているように、正しい「書写力」を身につけることが一番の目標で、低学年のうちから、一点一画、ていねいに書く習慣を身につけるように心がけている学校です。
 
創立者の信念でもあった「昼食はお母さんの手作りのお弁当」は、少し形を変え、ネットで注文し、購買部で購入できるシステムが導入されています。また、学内で学童保育とアフタースクールが開かれ、働くお母さん方への支援、これも歓迎されているようです。
 
共学で、高校までのゆとりのある一貫教育で、大学受験は、本人の実力次第。なお、中学受験に関しては、従来から、受験対策のノウハウは充実しており、ホームページの中学校合格状況に、その実績を見ることができます。小学校は地元で安全に通学、中学から東京の学校へと考えているご両親も多いようです。
 
 
 
■聖徳大学附属小学校
 
以前は、中学から女子校でした。
そのため、男子は中学受験する必要がありました。かなりの進学実績をあげていましたので、その進学体制は充実したものであったのではないでしょうか。
幼児教室対象の説明会でも、外部の優秀な指導者を招いていると聞いたことがあります。
2021年4月より、光英VERITAS(ヴェリタス)中学校・高等学校と校名を変更し共学の進学校となりました。大学は女子だけですから、男子は受験となりますが、「共学でゆとりのある教育環境で学び、自分の進む道を選ぶ」をあげてもいいのではないでしょうか。
これで小学校がある女子だけの別学校は、国府台女子学院だけになりました。
 
最近、日本女子大学附属豊明小学校、聖心女子学院初等科をはじめ、学童保育やアフタースクールが盛んですが、本校の「アフタースクール」の大きな特徴として、車でのお迎えを容認していることでしょう。
 
登下校についても車での送迎ができるようになりましたので、お仕事を持っているお母さん方には強い味方になるのではないでしょうか。また、車でのコミュニケーションが貴重な親子の時間になっている、というお父様の声もあると聞いています。
 
校名の聖徳の由来は、聖徳太子の道徳や礼節などに対する思慮の深さを教育の基礎とし、豊かな人間づくりを実現したい思いから。読み方を変えたのは、聖徳太子に深い尊敬の念からで、「しょうとく」と読むのを控え「せいとく」としたそうです。
 
「思いやりと、礼を尽くす、こまやかな心を学ぶ」を目指す小笠原礼法宗家の指導による礼法教育、明和班、全校生が一緒に食事をする「食堂(じきどう)」など、学園の「礼節」「知育」「勤労」の3つの教育方針について、どのように期待するかをまとめてみましょう。
礼法教育は、1年生から6年生まで、年間指導計画があり、電車の中で化粧をしている女性や、歩きながら物を食べている無作法者に見せたいほど、日本古来の文化が伝承されている学校です。これも欠かせない志望理由になるのではないでしょうか。
 
 
 
■千葉日本大学第一小学校
 
創立時は男子だけの別学でしたが、平成8年4月から共学校になりました。大学までの一貫教育校ですから、受験を考えなければ、16年間のゆとりのある教育環境で、自分の進む道を、ゆとりを持って学べることでしょう。
 
本校の児童は、一定の内部進学規定を満たすことで、学園の2つの中学校へ約70%(受験等で外部の中学への進学が30%)、2つの高校へは90%以上、そして大学へは60%の生徒が進んでいます。
 
本校の校訓「真(まっすぐに) 健(すこやかに) 和(なごやかに)を、わたし流に、心を表す言葉として考えると、真は「飾り気のない、偽りのない心」 健は「すこやかな精神」 和は「おだやかな心」となりますが、いかがでしょか。
 
本校の特色として、「大学との連携」「学習習慣の定着と学力向上」などがあります。
大学との連携では、近年、生産理工学部との連携も始まり、大学までの一貫校の強みを発揮しています。
学習については、6年間の自学が特長的です。1年生から課題を設定するのは、子どもたちにとっても自主性を身につけることができるツールではないでしょうか。また、創立以来、英語教育に力を入れ、卒業時に6年生「全員」が実用英語技能検定5級合格を目指していると、話しています。そして、縦割りグループによる学年を超えたユニークな「さくら活動」でしょう。
こういったことからまとめてみましょう。
 
なお、本校もアフタースクールを始めました。
 
 
 
■昭和学院小学校
 
教育目標に「知・徳・体の全人教育(知識だけにかたよった教育ではなく、性格教育、情操教育なども重視する教育)」を掲げていますが、開校以来、少数の児童に行き届いた教育を行うことを目標に、道徳教育を重視し、児童の基本的生活習慣の形成に力を注いでいます。それが、校是「明敏謙譲」の狙いであり、教育目標に表れています。「学校案内」には、「明敏とは活力を持って未来を開くこと、謙譲とは英知を持って社会に生きること」で、「明朗にして健康で、自主性に富み、謙虚で豊かな人間を育てること」と説明されています。
 
2020年の入試から1学年105名募集となりました。
 
青木伸生校長先生は、説明会のとき、次のようにお話しされました。
「我々が育てたい子ども像は、『どのように時代が変わっても、その中で生き抜く力を持つ子ども』。そのために、教育目標として『高い学力』と『やさしい心』を掲げている。
『やさしい心』を育てるために、日々の教育活動の中で、教師が子どもの小さなやさしさを見逃さず、それを価値づけるという活動を積み重ねていく。それがやがて、子ども同士でやさしさを認められるようになっていくと考えている。
次に『高い学力』。本校で言う「高い学力」というのは、いわゆる受験対策のような知識やテクニックだけではない。それらを包括しているが、『未知の問題に立ち向かうことができる力、試行錯誤しながら何とか解決していこうとすることができる力』を高い学力と位置付けている。」
 
また、鈴木祐子元校長は以前、
「『明敏謙譲』の建学の精神のもとに、心と体と頭を磨き、謙虚さを備えた心身ともに健康な子を育ていく」とおっしゃっていました。
 
「心と体と頭を磨き」、響きのいい言葉ですね。「頭を磨き」が先行すると、頭でっかちな子になりがちです。子どもが望むのではなく、親がそう仕向けることに問題ありですね。
 
建学の精神である「明敏謙譲」については、例によって、育児の姿勢として私ども流に考えるとこうなります。
 
「謙譲」とは、「へりくだること」という意味で、「謙譲の美徳」ともいいますが、最近は、お目にかかれない言葉となりました。むしろ、「謙虚」の方がおなじみかも知れません。「自分が偉いものと思わず、素直に他に学ぶ気持ちがあること」という意味です。すると校是の「明敏」は、「明朗にして健康で、自主性に富む」ですから、「元気で、明るく、自力で挑戦する子」に、「謙譲」は「謙虚で心の豊かな人間を育てる」ですから、「素直な子」と置き換えることができるでしょう。
 
独自の国語教育、伝統の図書館教育に加え、「視写」があります。
文章をそのまま写すことです。おそらく子ども達は、名文を写し、記憶し、漢字を覚え、語彙も増えるといったように、楽しい学習をしているのではないでしょうか。当然、やっていると思いますが、音読を加えれば効果抜群、などとおこがましい限りですが。
 
幼稚園では、年少から英語を正課にしていることについて、受験されるお母さん方から、「英語の勉強について、何らかの準備をしておかなくても、ついていけるでしょうか」と質問を受けることがあります。附属の幼稚園では、年少から正課として英語を保育に取り入れ、年少組は週1回30分程度、年中、年長組は週5日40分程度行っています。3年間でかなり力がついていると考え、入学後、英語を学んでいない子どもにとって、それがハンデになるのではと考えるのも当然ではないでしょうか。
それについて鈴木祐子元校長は、
「本校では、ESL用に開発された『グレープシード』という英語のカリキュラムを使用しています。入学時には個々のバックグランドにより英語力がまちまちな児童たちですが、少人数制の英語授業を通し、ほぼ1年で経験に由来する差はなくなります」
とおっしゃっていますから、心配ないようです。
   注 ESL(English as a Second Language)英語を母語としない人のための英語教育を目的としたプログラム
 
また、本校のアフタースクールには英語の授業が3講座設けられており、これを利用することで、ハンデをなくす対策になっているのではないでしょうか。
本校のアフタースクールは半端ではなく徹底していますから、学校側も自信を持って対応できると考えているようです、私見ですが。
 
共学で、高校までの一貫教育校と期待する教育内容からまとめてみましょう。
日出学園と同様、中学受験のノウハウは充実しており、ホームページで進学状況の実績を見ることができます。これは、現在共学ですが、それ以前は、中高は女子だけの別学であったため、男子は受験を控えていたためです。念の為、お断りしておきますが、面接で「中学受験を目指しています」は、そういう考えを持っていても、言う必要はありません。
 
2回に分けて、「私学の建学の精神、教育方針の理解の仕方」について、「おとうさん、おかあさんの受験対策」(めぇでる教育研究所 刊)からピックアップして紹介しましたが、これは、あくまでも「わたしども流の考え」にすぎません。こういった解釈を情報として公表するのには、少し、心配があります。
それは、幼稚舎が作文をやめ、面接を廃止した理由が、あまりにも「傾向と対策化されている現状から意味がないと判断したから」とおっしゃったことと同じ理由からです。一つの考え方、ヒントとしてお読みいただき、ご自身の言葉でお話しできるようにしていただきたいと、老婆心ながらお願いしておきたいと思います。
 
暑かった夏の疲れが出る頃です。家庭学習は無理をせず、体調を崩さないように、ゆったりと構えて取り組みましょう。無理は禁物です。
 
 
    (次回は「直前の心構えについて」を予定しています)

 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>合否のカギを握るのは「志望理由」(1)

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第64号>
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合否のカギを握るのは「志望理由」(1)
 
 
志望理由のまとめ方について、模擬面接をしていて少し気にかかることがありましたので、付け加えておきましょう。それは何かと言いますと、志望理由にあまり説得力がないことが多いなと感じます。
 
例えば、雙葉小学校を志望されるご家庭との面接を再現すると、こうなりがちです。
 
「お父さんにお伺いします。本校を志望される理由をお聞かせください」
「はい、校訓である『徳においては純真に、義務においては堅実に』に賛同して受験しました」
「では、お子さんに、普段の生活で、どのように教えていますか」
と尋ねると具体的な説明がありません。
 
小学校の案内書やガイドブックに書かれている建学の精神や校訓を、そのままおっしゃる方が多いのですが、これでは学校側を納得させることは不可能ではないでしょうか。
既に、志望理由も明確になっているはずですが、もう一度、原点に戻り、以下のように、学園全体の教育体制について考えてみましょう。
ただし、ここでいう共学は小学校の場合で、中高は別学の学校も含まれていることをお断りしておきます。
 
また、慶應義塾幼稚舎、桐朋小学校、桐朋学園小学校は、面接はありませんが、志望理由をまとめる参考にしてください。
 
白百合学園小学校、東洋英和女学院小学部、聖心女子学院初等科、立教小学校、立教女学院小学校など。
1.宗教教育 2.別学 3.大学までの一貫教育 4.賛同できる教育方針
1から4について、どういったことを期待しているかを書いてみましょう。
4については、例えば、白百合学園小学校の場合、学園の校訓である三徳、 勤勉・従順・愛徳について、
  従順…すすんでみがこう正しい心
  勤勉…すすんでなんでもいっしょうけんめい
  愛徳…すすんで親切よろこんで
ということですが、これをわたしども流に、従順は「素直」、勤勉は「一所懸命頑張る」、愛徳は「思いやり」と置き換えると、いずれも皆さん方が育児で大切にしていることではないでしょうか。
 
青山学院初等部、淑徳小学校、聖学院小学校、玉川学園小学部など。
1.宗教教育 2.共学 3.大学までの一貫教育 4.賛同できる教育方針
4について、青山学院初等部のスクールモットー「あなた方は世の光、あなた方は地の塩である」は、幼児の場合ですから、「世の光」は自立していること、「地の塩」は協調性や社会性といった集団生活への適応力と考えると、「5つの約束」の意味がよく理解できるのではないでしょうか。
 
   5つの約束
    ・しんせつにします
    ・しょうじきにします
    ・れいぎただしくします
    ・よくかんがえてします
    ・じぶんのことはじぶんでします
 
「『しんせつにしよう』ではなく『しんせつにします』と自ら発信していることだ。ここに初等部教育の原点がある」と説明会でも当時の部長は言っていましたが、ポイントは、自立と自律、そして集団生活への適応力ですが、育児で大切にしていることではないでしょうか。
さらに、ランドセルなし、通信簿もありませんが、こういったことも視野に入れる必要はないでしょうか。
ホームページの「国内短期留学 止揚学園」を見てください。「すべては教場」、初等部はこういった教育をする学校でもあるのです。
 
慶應義塾幼稚舎、学習院初等科、成蹊小学校、早稲田実業学校初等部、千葉日本大学第一小学校、桐蔭学園小学部など。
1.共学 2.大学までの一貫教育 3.賛同できる教育方針
 例 慶應義塾幼稚舎
   独立自尊について   
   一年生が入学した時に「三つの約束」をします。
    ・うそをつかない。
    ・お父さん、お母さん、先生のいいつけを守る。
    ・自分でできることは自分でする。
この三つの約束こそ、独立自尊の精神を身につけるための第一歩です。
皆さん方は、普段からお子さんに、
「うそをついてはいけません」「約束は守りなさい」「自分でできることは自分でしなさい。お母さんを頼っても知りませんよ!」と言ってきかせ、実践しているのではないでしょうか。
お母さんの教えこそ、まさに「独立自尊の精神」そのものではありませんか。
 
日本女子大学附属豊明小学校、川村小学校など。
 1.別学 2.大学までの一貫教育 3.賛同できる教育方針
 例 日本女子大学附属豊明小学校
   三綱領 信念徹底・自発創生・共同奉仕について、 
     ○ 信念徹底(正しいと考えたことはやりとげる)
     ○ 自発創生(自ら考え、工夫し、実行する)
     ○ 共同奉仕(心を合わせて皆のために仕事をする)
 
わたしども流に解釈すれば、
     ○ 信念徹底は、はじめたことは途中でギブアップせずに、最後まで頑張る子
     ○ 自発創生は、夢中になって遊び、楽しく遊ぶ工夫のできる子
     ○ 共同奉仕、友達と仲良く遊べる情緒の安定している子
となりますが、こういったことを大切にしていれば、三綱領を育児に取り入れていると言えるのではないでしょうか。難しく考える必要はないと思います。
 
雙葉小学校 田園調布雙葉小学校 横浜雙葉小学校 光塩女子学院初等科 暁星小学校など。
1.宗教教育 2.別学 3.高校までの一貫教育 4.賛同できる教育方針
 
雙葉小学校については、しばしば紹介してきましたので、ここでは暁星小学校を取り上げますが、雙葉小学校に対して一点付け加えておきましょう。それは「バラはバラらしく、スミレはスミレらしく、その人らしく生きる。自分で自由に学び、決定することができ、責任のとれる人に育てていく」という言葉です。前校長の河野先生が例年おっしゃっていましたので参考にしてください。
ちなみに子ども達には、「置かれた場所で咲きなさい。」と都度お話があったそうです。
 
例 暁星小学校
「鍛える教育」の究極の目的は、日本昔話のキャラクターである「気は優しくて力持ち」の男子の育成です。
もやしっ子を解消するために始めたサッカーを考えてみましょう。サッカーは11人で戦いますが、ボールをキープした選手は、相手を自分に引きつけておき、ギリギリのところでパスをして味方にボールをつなぎ、最後にゴールへ蹴りこめるのは、たった一人です。旺盛なファイトとフェアーな精神、チームワークの育成、しかし、学業をおろそかにしていると、優秀な選手でも練習に参加させてもらえない「練停」があり、文武両道、ここに暁星学園の教育目標が表れていないでしょうか。
 
以前の話になりますが、平成27年の説明会では、現役で東京大学と早稲田大学に入った二人の出身者の小学校時代の体験をつづった作文を朗読、東大生は聖歌隊、早大生はサッカー部の話でしたが、いつもの校長の話を裏付ける厳しい「文武両道」の話は参考になりました。
特に運動の得意な子でなくてもやればうまくなる話は、自ら挑戦する意欲こそ、鍛える教育の原点であることや、部員のすべてが東大をはじめ難関校を目指す中での切磋琢磨する話は、説得力がありました。
 
模擬面接でも、「小学校は親が良かれと選んであげるが、大学は自らの力で挑戦すべきだ」とおっしゃるお父さん方が多く、二人の話はこれを裏づける頼もしいもので、こういったことも参考にされてはいかがでしょうか。
 
「れんてい」という言葉は、サッカー部出身の学生さんの話にあったので、「練習参加停止」のことではないかと思い、勝手に「練停」と当て字を書きましたが、説明会で先生に伺ったところ、「練停」でいいそうです。
 
 
 (次回は、「合否のカギを握るのは「志望理由」(2)」 についてお話しましょう)
 

 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>面接編4

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第63号>
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面接編4
 
今回は、ご両親の面接についてお話をしましょう。
 
◆父親編◆
 
ほとんどの学校で、お父さん方には、志望理由と職業を尋ねられています。
ですから、合否の鍵を握っているのは、お父さん方といっても過言ではないでしょう。
責任重大です、何しろお父さんは、一家を代表して面接に臨むわけですから。
 
「なぜ、この学校を選んだのか」をきちんとおっしゃってください。
 
そして、私学の運営は、ご家庭に経済的な負担をかけることで成り立っていますから、学校側は、その基盤がしっかりと築かれているかを確認しなければなりません。
職業を尋ねられるのも、このためです。
会社名と所属課、仕事の内容によっては簡単な説明も必要です。
しかし、専門家でなければわからない言葉を使うべきではありません。今では普通に使っていますが、模擬面接で「システムアナリストです」と言ったお父さんがいましたが、これだけでは不親切で、誠実とはいえません。簡単な説明も必要です。
自営業の場合は、仕事の内容がわかるようにまとめておきましょう。
時には、営業年数、年商、従業員数など必要になる場合もあるかもしれません。
 
お父さんの応答で気になることがあります。
仕事柄、人と接する機会の多い方、営業関係の方は、話に如才のない分、長くなりがちです。
面接は、限られた時間内で、手際よく済ませるべきです。
1分間で、相手にどのくらい情報を伝えることができるか、一度、録音し、聞いてみましょう。
すると、聞く人には、どのくらい負担がかかるかがわかります。
そうすれば、簡潔明瞭な回答こそ、思いやりのある、誠実な態度であることが理解できるはずです。
 
制限時間のあることを、常に頭に入れておきましょう。
 
最後に、お子さんの姿勢が崩れたときに、恐い顔をして「駄目!」を出すお父さんもいますが、前にお話したお母さんのように、「やわらかくたしなめるサイン」を考えておきましょう。
 
 
 
◆母親編◆
 
「あがって話せなかったらどうしよう!」
などと考える必要はありません。
参加しているお母さん全員が、同じ不安な気持ちでいるのですから。
そんな心配をせずに、「私は保護者です!」と言い聞かせることです。
男には、よくわかりませんが、「出産のことを考えれば恐いものなし」とおっしゃったお母さんがいました。
 
それはともかく、一所懸命、お話しできれば、道は開けます。
誠意です。
 
ただし、その学校を選んだことに自信がなければ、不安になり、緊張しますから、あがります。
そこがポイントであり、全てです。
 
お父さんのところでも触れましたが、話がくどくて、長く、まとまりに欠ける場合があります。それを避けるために、例えば、お子さんの長所、短所を話すことを想定して、話し言葉で文を書き、録音し、聞いてみましょう。
ご自身で聞き、長いと思えば、相手にとっては、とてつもなく長いものです。
質問事項にもよりますが、あまり長く話すのは、私学の求めているであろう謙虚さにふさわしいでしょうか。
 
また、言葉遣いも、気になるところでしょうが、普段、あまりなじみのない敬語や、「……参りました」「……存じます」などの謙譲語を使って話すのは、かえって緊張のもとになりますから考えものです。
何事も、不自然な感じを与えない、自然体がいいのではないでしょうか。
ところで、最近、気になるのですが、若いお母さん方の中には、「そういったこととかにぃー、興味を持ち始めましたぁー」といったように、語尾をのばし、妙なアクセントで話す方がいます。
お母さん同士ではいいでしょうが、やはり、初対面の学校の先生方と話をするには、ふさわしいとはいえません。
 
また、自分のことしか考えずに、お子さんやお父さんが話されたことを、よく聞いていないお母さん方がいます。
 
例えば、面接の先生に、
「お子さんの言っていることは、こういうことですか」と確認を求められるかもしれませんし、「お父様がおっしゃったことについて、どう思いますか」と聞かれることもあるようです。
そんなときに困った顔をするようでは、保護者とはいえないでしょう。
質問事項を想定し、うまく言えるだろうかなどと心配していると、「心、ここにあらず」といった状態になり、お子さんやお父さんの回答を聞き逃すことになりがちです。
お母さん自身も、気を静め、落ち着くためにも、しっかりと話を聞きましょう。
 
そして、お父さんが、例えば、間違ったことを言っても、即座に訂正しないことです。「お子さんが、成長したと感じられることはありますか」といった質問に、「去年の秋、予防接種に行ったとき、泣かずに頑張ったときのことです」と答えたお父さんに、少し顔をしかめて、「パパ、今年の春でしょ!」と、静かに、きっぱりと訂正したお母さんがいました。
お父さんは、気分を害されたような表情をして、お母さんの方を見ましたが、二人の間に、なにやら気まずいムードが漂いはじめたのは、言うまでもありません。
予防接種の時期を間違えたから、育児に関心のない父親で減点などされるわけがないでしょう。
即座に訂正をしたお母さんの態度こそ問題です。
私学には、古い道徳観念が残っているとはいいませんが、やはり、初対面の人の前で、どうでもいいようなことで、お父さんの間違いを訂正するのは、私学の求めているであろう「謙虚なお母さん」としていかがでしょうか。
もっとも、お父さんが同様なことをするのも、言わずもがなですね。
 
 
 
◆退室◆ 
 
「本日は、ご苦労さまでした」
「失礼します」
立ち上がり、礼をして退室するわけですが、お父さんが先頭で、お子さん、お母さんという順が良いでしょう。
そして、出口で、立ち止まり、面接官の方を向いて、「失礼します」とあいさつをしましょう。
この時、お子さんは、一刻も早く外へ出たい気持ちから、あいさつどころではありません。
しかし、ここは面接の最後の場ですから、「お世話になりました」といった気持ちを伝えたいものです。
お父さんが一言、声をかけ、あいさつを促しましょう。
入室の時と違い、これから始まる面接にプレッシャーをかけるわけではありませんから、お子さんも、あいさつできるはずです。
「ごあいさつは」より「さよならしようね」といった言葉がけの方が、お子さんにも抵抗がなく、自然にできると思います。
最後に、お母さんがあいさつをし、ドアを閉めて、部屋を出ます。
 
これで終わったわけですが、うまく進んだ場合は、緊張から開放され、ほっとされたお母さんから、
「ご苦労さまでした」
などと、ねぎらいの言葉がかかるのですが、結果が思わしくないときは、部屋を出たとたんに、
「なぜ、私が願書に書いたとおりに言ってくれなかったの!」
などと、非難をするお母様もいるそうです。
「壁に耳あり、障子に目あり」ではありませんが、先生方が見ていないとは限りません。
 
しかし、聞いているお子さんが、どんな気持ちになるかを考えられない母親であるなら、受験はやめるべきでしょう。
面接の後にお子さんの試験があり、もう一度、学校へ来る場合、悪い印象を与えると、同じ場所へ行きたがらないものです。
本番の入試にも影響しかねません。
 
また、お子さんが、うまく応答できなかったとしても、そのことには触れずに、嘘でもいいですから、次につながる言葉がけを忘れないことです。
 
「初めての先生と、よくお話できていたね。お父さんもびっくりしたほどだったよ。今度はね、一人でどんなことができるか、お友達と楽しく遊べるかを見てくれるんだって。お父さんは来ないけれど、頑張るんだよ。ママ、今夜は、ユキの好きな焼肉がいいね」ユキちゃんが、好んで挑戦した受験ではないことを、保護者は、決して、忘れてはなりません。 
 
掛け持ち受験について、まだわかりませんが、10月に入ると、受験日と面接の日が決まり、学校から通知も来ますし、出願してみなければわからなかった、受験可能な学校も判明します。
どういったスケジュールになるか作戦を立てることになりますが、掛け持ち受験は、お子さんにとって大変な負担になります。
精神的にも、肉体的にもタフなお子さんばかりとは限りません。
ご両親で、しっかりと話し合いましょう。
 
また、試験のために早朝に家を出なければいけない場合もあります。
少しずつ、起きる時間を早めてみるとか、ベストコンディションで臨めるように工夫しましょう。
 
幼稚園も始まりました(保育園はいつも通りですね)。元気に通っていますか。
生活のリズムが戻るまで、あまり無理されないことです。心身ともに健康第一です。
 
そして、お母さん方へ。妙なうわさなどに心を惑わされない、賢いお母さんになりましょう。
もうあとわずかです、頑張ってください。
 
 
(次回は、「鍵を握るのは志望理由」についてお話します)

 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>面接編3<お子さん編>

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第62号>
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★説明会情報★
 
 国府台女子学院小学部
  学校説明会 9月14日(土)10時~11時30分
  学院祭見学 9月21日(土)、22日(日)
   
     詳しくはホームページをご覧ください。
 
 
 
 ■ 面接編(3)
 
<お子さん編>
 
ほとんどの場合、質問は、お子さんから始まります。
緊張をほぐすために、名前や生年月日、幼稚園(保育園)のことなどから聞くようです。
しかし、住所や電話番号は、通常、あまり聞かれませんから、うまくいえない場合があります。
そんな時、ほとんどの子ども達は、お母さんを見ます。
すると、お母さんは、
「東京都新宿区………」とやりがちです。
 
これはどうでしょうか。
 
住所や電話番号を、面接のために記憶させていると、こうなりがちです。
言えないと「減点される」と思っているのではないでしょうか。
ですから、答えなるものを、すぐに教えてしまうのです。
「ほら、迷子になったとき、どうする約束でしたか」などと、二人だけでわかるヒントを出せるお母さんであってほしいのです。
遊園地やデパートなどで迷子になったとき、何が頼りになるでしょうか。
名前と住所を言えば、すぐに探してもらえることを知っていれば、お子さんも覚えるはずです。
 
自然災害を含め、緊急事態が発生した場合、電話は連絡に欠かせないものです。
いずれも、面接のために覚えることではなく、自力で物事に対応しなければならない時のために、身につけておかなければならない知恵ではないでしょうか。
 
「幼稚園(保育園)は、楽しいですか。仲良しのお友達の名前を教えて下さい」
幼稚園や保育園が楽しく、友達がたくさんいれば、すぐに答えられるでしょう。
こういった質問からは、集団生活への適応力である社会性や協調性が育まれているかがわかります。
 
幼児への質問は、日常の生活が中心となっていますから、難しい質問はないはずです。返答に詰まったときは、「答えられなくてもよい」とは言いませんが、面接官が、ご両親の態度を見ていると思えばいいでしょう。
 
余計な口出しをせず、温かく見守ることが基本ですが、状況に応じてお子さんがわかるヒントを出せる保護者であってほしいのです。
その時には、面接官に、「よろしいでしょうか」と一言、確かめることもお忘れなく。
 
絶対にやってほしくないのは、お子さんの回答を訂正することです。
 
親子面接の指導をしているときに、こういったことがありました。
「何人家族ですか」
「はい、5人です」
お父さんが、あろうことか、「えっ!」といって、少しですが、笑ったのです。
「違うでしょ、4人ですよ」
お母さんが、あわてて、恐い顔をしながら、間違いであることを指摘しました。
びっくりしたのは、答えたお子さんです。
これはまずいと思い、すぐに質問をしました。
「5人家族なのですね。では、どなたがいらっしゃるのかな」
「お父さん、お母さん、お姉ちゃん……、ぼくと……、ポチです」
お母さんを気にしながら、小さな声で答えました。
ポチは、いうまでもなく犬ですが、みんなでポチを可愛がっている様子が伝わり、微笑ましいではありませんか。
犬を家族に入れたから、「常識外れで減点!」などと考えにくいことです。
あわてて訂正したお母さんこそ、「保護者として失格!」、マイナス点がつくと思います。なぜなら、その質問を境に、お子さんはそわそわし始め、それまでの元気な姿が見られなくなったからです。
笑ったお父さんは、その後のお子さんの様子を見て、後悔したのは言うまでもありません。
 
お子さんは、質問の内容を理解し、自分の言葉で、堂々と答えたのですから、うなずいてあげるべきです。
お子さんの回答を訂正することはもちろん、笑うなどとは、保護者としてすることではありません。
 
お父さんやお母さんに関する質問で、お子さんが困った顔になるのは、保護者の仕事です。
「お父さんは、どのようなお仕事をしているのですか」の質問に、「国家公務員です」と「みんなのために役に立つお仕事です」との答えでは、どちらが子どもの答えとして、ふさわしいでしょうか。
「サラリーマン」では、わかりません。
お子さんは、お父さんやお母さんの仕事を、きちんと説明できますか。
こういった質問から、普段の親子関係がわかるとは言いませんが、仕事はご自身の生きがいと考えれば、あだやおろそかに出来ないのではないでしょうか。
「お父さんやお母さんは、ぼく達のために一生懸命に頑張っているんだ!」
と思っていないお子さんは、いません。
 
お父さん方、「お子さんがわかるように、お父様のお仕事を説明して下さい」といわれた場合、どうお話ししますか。模擬面接でも戸惑うお父さん方が多いですね。「お子さんがわかるように」が、難しいのです。
お母さんにも同じ質問をしてみると、どうしたわけか、お父さん以上に説明ができないことが多いですね。
ご両親共に、お子さんにわかるように説明しておきましょう。
 
姿勢の崩れるお子さんもいます。
 
質問を聞きながら、足をぶらぶらさせたり、手を机の上に乗せたり、女の子は、スカートを握りしめるなど、落ち着かなくなり、姿勢の乱れる場合があります。
普段から、食事のときなど、だらしなく食べているお子さんは、その通りにしますから問題外として、心配なのは、緊張のあまり、本人が気づかずに、そのようにふるまうことがあるのです。
 
姿勢の乱れた姿など見たこともないお母さんは、びっくりしてしまい、あわてて手足をたたいたり、手を膝に戻したり、心配のあまり、膝をつねってしまうお母さんもいます。もっとすごいお母さんになると、恐い顔をして、にらみつけます。
これもどうでしょうか。
本人は緊張しきって、無意識にそういった動作をしているにすぎないのです。
何もしなくてよいとは言いませんが、やはり、修正をしなくてはならないでしょう。
 
これはいいなと思ったお母さんがいました。
 
「タロウくん、足が笑っていますよ」
と、やさしくいったのです。
気づいた本人は、お母さんを見て、手で頭をかくような仕草をし、照れ笑いしながら、腰を少し前に進めて、足をしっかりと床につけ、手はお膝になりました。
お母さんは、「申し訳ありません」といった気持ちを表すかのように、軽く会釈をしたのです。
 
見事でした。
 
お子さんが緊張した場合、どのようなことをするか、よくわかっていて、椅子に浅く腰掛けて訂正する方法を、親子で体験済みだったのでしょう。
これが保護者の役目ではないでしょうか。
 
また、本人の質問が終わり、ご両親の番になると、今度は緊張感から開放され、退屈になり、姿勢の崩れることがあります。
模擬面接のときに、男の子には、「お父さんやお母さんがお話をしている間は、手をひざに置き、背を伸ばして聞いているのが、一番、かっこいいのだよ」、女の子には、「一番、かわいいのですよ」と話しています。
「じっとしているんですよ!」だけでは、ほとんど効果はありません。
親が話をしているとき、終わるまで静かに待てる方法を考えてあげましょう。
 
かつて、暁星小学校では、お父さんとお子さんがゲームをし、その様子を両親に聞くといった形式で行いましたが、狙いは、3人が醸し出す雰囲気から、日常生活の様子を判断したのではないでしょうか。つまり、面接のための定番的な訓練は、「役に立ちませんよ」と言いたかったのだと思います。暁星小学校ですが、今年も面接は保護者面接、また、保護者に作文の提出があります。
 
最後に一言。
 
家庭学習で苦手な問題にとり組む時には、細心の注意が必要です。
繰り返しますが、幼児がわからないといった時は、本当にわからないのです。
お子さんがわかるように工夫してください。
「何でできないの!」といった不用意な言葉がけは、今までの自信を崩すことにもなりかねません。
お子さんが萎縮するようなやり方だけは、絶対にやめましょう。
 
夏の疲れが出やすい時期です。健康管理には、十分に気をつけてください。       
 
 
   (次回は、「ご両親の面接」についてお話をしましょう。)
 

 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>面接編2

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第61号>
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◇説明会等情報◇
 
 立教小学校 説明会(3)
  9月7日(土)のミニ学校体験は満席
  9月11日(水)以降、入試に関する動画公開
 
 日本女子大学附属豊明小学校 
  豊明秋の運動会
   日程:9月28日(日)
   申込:ホームページから申込
     
  ※それぞれホームページで確認してください。
 
 
 
面接編(2)
 
 
今回は、面接当日のお話をしましょう。
 
 
[学校へ到着]
 
★緊張する様子が見えたら★ 
 
面接の日でも、多くの人が集まりますが、試験当日は、その比ではありません。
それを見ただけで、しり込みをするお子さんも出てきます。こういった経験がないからです。公開模擬テストを受ける目的の一つは、知らない子ども達の中に入って、いろいろなことを経験できるからです。
 
また、過保護に育てられていると、こういった時に拒絶反応を示しがちです。
手をかけ過ぎていると、自分でやることが少なく、失敗の経験が少ないですから、こういった事態に対処できません。過干渉な環境では萎縮してしまい、「ママ、助けて!」となりがちです。
 
何度も繰り返しますが、小学校の受験は、お子様の成育史、言い換えれば、ご両親の育児の姿勢が、そっくり出てくるものです。
 
普段、元気いっぱいのお子さんでも、大勢の人をみてびっくりする場合もあるでしょう。その時は、お子さんが、いちばん安心する様子を、お子さんに示してあげることです。世界で一番強いと思われているお父さんの出番です。たくましいお父さんであってください。間違っても、「しっかりしなさい!」などと言わないことです。それだけでパニックに陥ってしまうお子さんもいま
す。
しゃがんで目を合わせ、
「いつもの教室でやるのと同じだから、心配することはないんだよ」
と、やさしく教えてあげましょう。
 
 
★所定の手続きを的確に★ 
 
何事も初めてとなると、緊張しがちです。
しかし、心配はありません。学校側も、全員、初めての受験を想定して、マニュアルを作ってありますから、難しい手続きはありません。落ち着いて取り組めば、何でもないことです。
ミスをしがちなのは、指定された時間間際に来て、手続きをする時でしょう。
気持ちに余裕がありませんから、どうしてもあせりがちで、ミスも起きがちです。そんな時は、おそらく、普段、お子さんが見たこともないご両親の姿になっていると思います。それを見たお子さんは、どのような心境になるでしょうか。
面接は、まだ、ご両親がそばにいますから、ショックも少ないでしょうが、試験当日は、そこから一人で行動しなければなりません。普段どおり、というわけにはいかないでしょう。
余裕を持って出かけ、こういった気持ちにさせないのも、ご両親の大切な役目です。
 
 
 [控室]
 
★静かに待つ工夫を★ 
 
幼児にとって、静かに待つのは、大変、苦手なものです。
ここでも、普段の育児の姿勢が姿を現します。ましてや、緊張していますから、いつもよりテンションもあがり、舞い上がってしまうお子さんもいます。普段のしつけが大切です。 
最近、よく見かけますが、幼児用の図書室で、大きな声でしゃべったり、走り回ったりする子もいます。親も注意しません。お菓子を食べている子さえいます。
また、電車などでも親同士が話に夢中になり、子どもが騒いでいても、知らん顔をしています。こういうことが許されていて、面接に来たときは、「静かにしなさい!」では、無理というものです。 
 
面接当日は、しばらく待つ時間がありますから、退屈させない工夫をしましょう。
 
お子さんの好きな本を控室で読み聞かせするわけにはいきませんから、自分で読める本がいいでしょう。そういう本であれば、気に入っているはずですから、静かに待てることになります。
一人で静かにできる折り紙やあや取りなどもいいでしょう。手先を使って遊ぶ折り紙やあや取りは、手順を間違えると遊びは成り立ちません。楽しみながら脳に刺激を与えるすぐれもので、口頭試問の準備運動にもなるはずです。
 
お子さんが気にいっているからといって、ぬいぐるみの人形や恐竜のおもちゃ、ゲーム類はどうでしょうか。5、6歳の幼い子ですが、それなりの自立ができているはずですから、公の場に人形を持ち歩くのは、よい印象を与えないものです。また、おもちゃやゲーム類は、他のお子さんに迷惑がかかりますから、持ち込むことすら常識を疑われます。 
 
しかし、何と言っても大切なのは、ご両親の落ち着いた悠揚迫らぬ態度です。
お子さんの学校選びが確かであれば、面接に臨んでも、何ら心配はないはずです。そして、保護者としての自覚があれば、そこから余裕が生れ、お子さんに安心感を与えるものです。
 
 
 [入室] 
 
面接会場は、学校によって設定が異なりますから、一概には言えませんが、ドアが閉まっている時はノックをして、ドアが開いている場合でも、開いているドアをノックして、カーテンの場合は、「失礼します」と声をかけて、様子を見ましょう。
そして、「どうぞ、お入り下さい」といった返答があってから、「失礼します」といって入ります。こういった余裕を持ってほしいのです。
お父さん、お子さん、お母さんの順で入るのが自然でしょう。主人公は、お子さんです。
お父さんが露払いをし、お母さんはお子さんをしっかりガードして入ることをお勧めします。
 
また、入室の時にお子さんが、「失礼します」ということがありますが、これもどうでしょうか。日常生活で、盛んに使われている言葉とはいえません。不自然ですから、こういった言葉は
教えこまないことです。「おはようございます」や「こんにちは」で十分です。
 
模擬面接でも、白百合学園小学校を受験する場合、「ごきげんよう」という女の子もいますが、入学後でいいのではないでしょうか。普段、幼稚園などで、そういったあいさつをしていなければ、やはり、とってつけたようで、さまになっていない場合が多いからです。考え直した方がいいのではとアドバイスはしますが、お母さん方が不満げな態度をしがちですから、後はお父さんにお任せしています。 
 
入室の際に、あいさつのできないお子さんが、かなりいます。
特に、男の子は、できません。
すると保護者が、「ごあいさつは!」と催促をしがちです。
すごい保護者になると、言葉だけではなく、頭を押さえつけるようにして、あいさつをさせようとします。これもどうでしょうか。  
あいさつができなかったから、マイナス何点などと採点するはずはないと思います。
 
お子さんが、初めての所へ来て、初めて会う人の前に立っているのですから、それだけ緊張しきっています。あいさつができなくても、当たり前ではないでしょうか。
 
それを考えずに、あいさつを無理強いするのは,保護者としてふさわしい態度とは思えません。あいさつができなかったら、保護者が面接官に黙礼して、静かに頭を下げておけばいいのではないでしょうか。保護者の態度を見ていると思います。
 
そして、入室しても、いきなりテーブルもしくは椅子が置かれているところまで直進せずに、入った所で横一列に並び、次に指示を待ちます。あわてることはありません。
「お父さんは、こちらへ」などの指示に従い、椅子の後ろに並び、三人がそろったところで、お父さんから、「失礼します」といって席に着きましょう。
お父さんを見て、お子さんも座り始めます。
お母さんは、お子さんが着席するまで見守り、それから座りましょう。
(お子さんが座ってからご両親が座ることができれば、より良いですね。)
 
お子さんには、椅子に浅く腰をかけさせ、両足をきちんとそろえ、手を膝に置くようにすれば、座る形も決まり、姿勢も崩れにくくなります。わずか、これだけのことですが、普段の生活習慣が見事に現れます。食事の時、いい加減な姿勢で、テレビなどを見ながら食べていると、だらしのない座り方になり、座れても、すぐに姿勢がくずれがちです。
 
言うまでもないことですが、お母さん方へ一言、長い髪は、お辞儀をするときに、バサッと前に落ちてきます。これも感じのいいものではありませんから、きちんとまとめておきましょう。また、ミニスカートでは、膝が気になり、面接どころではなくなりがちですから、やめた方がいいと思います。 
そして、着席後は、お子さんの様子を見守るために、視線の中に入れておきたいものです。お子さんが不安そうにお母さんを見たときなど、知らん顔をせずに、笑顔で応じてあげましょう。これが何よりの精神安定剤になるからです。
 
9月に入ったとはいえ、今年は残暑も厳しいようです。疲れが出ないように、あせらず、ゆったりとした気持ちで、家庭学習を続けてください。
 
 
  (次回は、「面接編3 子ども編」についてお話しましょう)

 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>面接編1

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面接編1 
 
 
今回から4回に分け、面接についてお話しましょう。なお、面接に関する話は、当研究所発売の「面接、ここがポイント ~That’s a Plenty 小学校編」から抜粋したものです。
 
 
 ★面接当日の服装★
 
ある年のミッション系の学校説明会で、「子ども達から、『先生、今日はお葬式があるのですか』と聞かれました」と、校長先生が苦笑いしながら話されたことがありました。
面接のために訪れた皆さん方の服装が、申し合わせたように紺や黒だったからです。子どもたちには、異様に思えたのでしょう。
「○○小学校は、紺で統一しなければ失礼にあたる」などといった噂があるようですが、これも単なる噂に過ぎません。
 
雙葉小学校の説明会でも、かつて「よくある質問」の中から、
「入学試験時の服装は、親子とも紺でなければいけないのでしょうか」
に対し
て、文言は正確ではありませんが、以下のような説明がありました。
「そんなことはありません。その場に応じた服装であればよいと思います。紺や黒でなければいけないということはありません」
説明がなかったとしても、「紺や黒の服装で決めてほしい」といっているわけではないと信じていますが、これは受験者の判断にお任せしましょう。
 
ある年の立教小学校の説明会で、「服装で判断しているわけではありません」とおっしゃっていましたし、かつて、ある小学校の面接の折に学校側から、「皆さんが同じように紺の洋服では、不自然とは思いませんか」といった質問もありました。
 
しかし、だからといって、人と違った服装をするには、勇気が必要でしょうし、抵抗もあるでしょう。
 
学校も幼稚園も、「服装などどうでもよい」といっているのではありません。
やはり、初めての方と、しかも、これからお世話になるかもしれない先生方とお話をするのですから、それなりの礼を尽くすのは、当然のことです。
 
問題は、普段、お子さんは、紺の洋服を着ることに慣れているでしょうか、このことです……。面接当日、初めて袖を通した服になりがちです。大人でも、新調した服を着ると気持ちが変わるのではないでしょうか。しかも、ご両親も、普段と違った服装で決めています。お子さんが、「あれっ!」と思わないわけがないのです。これだけで緊張するのが子ども達です。
「お子さんに、余計なプレッシャーをかけないで下さい」
といった、学校側の配慮ではないかと思います。
 
ですから、面接や試験の日だけ着せるのではなく、何回も着て慣れておくことです。そして、お父さんにはひげを剃ってもらい、当日と同じ服を着て、食事や買い物などに出かけることです。
 
また、受験される学校まで出かけるのもいいでしょう。そういった経験をしておけば、お子さんは、特別な気持ちにはならないはずです。「特別な気持ちにさせないでほしい」という学校側の配慮が、伝わってきませんか。このことだと思います。
 
そして学校側は、昔風に言えば、「堅実な家庭を築くお父さん、それを支える謙虚なお母さん」を求めています。それが身だしなみとして現れます。装飾品はマリッジリングだけにし、化粧も香水も控えめになさるのが、賢明でしょう。
服装や身だしなみに自信がもてないときは、ご両親に見てもらうことです。面接される先生方と同じセンスで判断してくれるはずだからです。
 
 
 
 ★面接前夜★
 
〔お子さんに緊張感を持たせないこと〕
まず、ご両親が、絶対に忘れてならないのは、小学校の入学試験は、ご両親の意志で始めたことです。そして、ご両親はいうまでもなく、お子さんの保護者です。保護とは、「(外からの危険などに対し)気をつけて、かばい守ること」であり、保護者とは、「(児童などを)保護する義務のある人」(岩波国語辞典)です。
 
多くのお子さんは、生れて初めて、大事業に挑戦するわけです。その緊張感は、計り知れないものがあり、小さな胸は、張り裂けんばかりに波打っているはずです。
 
この緊張感をやわらげるのは、難しい注文であることは確かですが、ご両親の、普段と変わりのない姿であり、笑顔です。専業主婦であれば、交際範囲も限られていますから、初対面の人と話をするのは、やはり、相当のプレッシャーとなるでしょう。
「きちんと話せるかしら…!」などと不安を感じていると、それが態度に表れ、「普段のママと、何だか違うみたいだなぁ?」お子さんは、微妙な変化を見逃さないものです。
こういう心境になっている時に、
「明日は、面接ですから、ちゃんとお話しするのですよ!」
などといいがちで、これが、お子さんに余計な緊張感を持たせることになるのです。
こういった不安を感じてしまう原因は、志望校選びが適切ではないからではないでしょうか。
 
ご家庭の育児の姿勢と学校の教育方針に違和感がなければ、自信をもって、面接に臨めるはずです。ご両親でよく話し合い、万全の態勢で臨まなくては、保護者としての役目を、果たせるわけがないのです。ご両親は、保護者であることを肝に銘じて、面接に臨むべきです。緊張したり、あがったりする時ではありません。仕掛け人は、ご両親であることを絶対に忘れないでほしいのです。
 
 
[持参するものを再点検する]
 
信じられない話ですが、ある小学校の説明会で「試験当日に受験票を忘れた方がいる」といった話を聞いたことがあります。普段では考えられないことですが、緊張のあまりおかしてしまったミスでしょう。こういったことのないように、持ち物のチェックをしましょう。それには、「面接日に持参するもの一覧表」を作っておくことです。
 
(1)面接票(受験票 お子さんが受験している間に面接のある場合)
(2)アンケート用紙 
(3)募集要項や試験当日のスケジュール表(学校から提示される資料)   
(4)筆記用具や消しゴム、携帯用の辞書
   その年だけ突然、アンケートの記入を求められる場合もありますから、用意しておきたいものです。鉛筆と消しゴムは、下書きのための必需品です。書き損じても消せますし、薄く書いて、ボールペンなどで清書すれば、出来栄えも違います。慣れているといってもサインペンは除外します。  
(5)上履きや運動靴、体操着などは、新しいものは避けましょう。特に、新品の靴は、運動のときなどに足を痛めがちですし、当日だけ履く革靴は、まめなどができて痛々しいものです。履きなれた靴を用意して下さい。
   両親も上履き持参かどうか確かめておきましょう。名前は見えないところにといった指示はきちんと守って下さい。
(6)雨に備えて、雨具を入れるものやズボン、ソックスなどの着替えも用意しましょう。ある学校では、体操着に着替えますが、それをしまう紙袋にも、○○製のものなどという噂があるとか、そんなのは、嘘です。
(7)あってはいけないことですが、万一の病気に備え、解熱剤や整腸剤の用意を。お子さんは、ちょっとしたことから体調を崩しがちです。ピアノの発表会などで、前夜に、突然、発熱や腹痛を訴えたことはありませんでしたか。お母さんの気配りは、万が一に備える用心深さです。
(8)スイカ、パスモなどを用意しておくと便利です。
   スマートフォンや携帯電話は、交通機関などで事故など非常事態が起きた場合に欠かせません。
   受験する学校の電話番号を登録しておきましょう。ただし、校門をくぐる前に、電源を切るか、マナーモードにしておきましょう。充電もお忘れなく。
   控室でスマホを見るなどとんでもないことです。
 
 
 
 ★当 日★
 
〔いつもと変わらない朝を〕
当日は、いつもの朝と同じように迎えたいものです。 
こんな涙ぐましい話まであります。普段、あまり冗談など言わないまじめなパパが、今日に限って陽気にふるまうので、「ママ、パパ、どうかしたの?」と、かえって怪しまれ、何かあるなと思わせてしまったのです。平常心で迎えましょう。
ピクニック気分とはいいませんが、
「今日は、学校の先生に、どういったお話ができるのかを見ていただくのだよ」
こういった雰囲気を演出できればいいのではないでしょうか。
 
そうすれば試験当日は、
「この間は、よくお話ができたから、今日は、どういったことができるかを見てくださるそうだよ」
となれば、お子さんも緊張することなく、試験場で普段の力を発揮できると思います。
 
「一所懸命、頑張らなければ駄目よ!」
これだけで、どれほどプレッシャーがかかると思いますか。こういうときのお母さんは、言葉は励ましていますが、顔は緊張しているものです。それに加えて、受けた公開テストなどで、成績がよくなかったときの「顔」になりがちなものです。どれだけプレッシャーがかかり緊張するか、考えてあげましょう。 
 
 
〔遅刻は、認めてもらえません〕
ある学校の説明会では、「たとえ、交通ストのために遅れても認めません」といっているほどです。面接は、限られた短い時間に、網の目のような密度で、スケジュールが組まれています。一組の遅刻者のために、時間を変更すると、多くの人に迷惑がかかりますから、できない相談です。
交通上のトラブルがあった場合は、速やかに連絡をし、学校側の指示に従いましょう。 
早めに出発し、15分か20分ぐらい前には着くようにしたいものです。志望校の決め方でも触れましたが、試験当日に使用する交通機関を、その時間に合わせて試乗しておくべきです。
 
また、少し遅れても、タクシーを使えばと考えるのはやめましょう。渋滞に巻き込まれれば、それまでです。バスも同じです。都心のバス路線は、いつ、どこで、渋滞が始まるかわかりません。特に、雨の日は注意が必要です。 
 
自家用車での来校は、説明会へ参加するときでも、ご遠慮くださいといっています。
面接日、試験日とも、禁止されています。「私どもだけ……」は、困ることになるだけです。学校周辺は、多くの場合、駐車禁止ですし、学校にも大きな駐車場はありません。
 
面接や試験の時間が、昼食にかかる場合は、軽食を持参しましょう。小学校の周辺には、食事をするレストランなどは少ないものです。あったとしても、当日は混雑が予想されますし、日曜日は、休日の所が多いのではないのでしょうか。一口で食べられるサンドイッチやおにぎり、温かいお茶やお絞りなども用意しておけば、万全でしょう。
 
心配なお父さん、お母さん方へ、面接での質問事項に回答を用意し、声に出して読み、録音をして聞いてみることです。要領を得ない長い話は、聞いてもらえないでしょう。自己中心的な親は、どこでも歓迎されません。また、お子さんには普段、使わないような言葉を教えこまないことです。
 
少し気になることがあるのですが、こういった答え方をする子が増えています。
「お名前を教えてください」
「私の名前は、△△○○です」
「お誕生日を教えてください」
「私の誕生日は、平成○○年△月□日です」
「幼稚園の名前を教えてください」
「私の通っている幼稚園は○△幼稚園です」
 
普段、こういった答え方をしているでしょうか。常にお子さんが、こういった丁寧な答え方をしているのであれば、もっと自然な答え方になるはずですが、どうにも様になっていない場合が多いのです。大人の受験対策的な思惑から教え込んだ場合、どうしても不自然になるのは否めない事実ではないでしょうか。
 
お子さんが緊張して固まってしまい言葉が出なくなれば、それまでです。これは、ご両親が決めたことですから、模擬面接でも「やめなさい」とはいえません。今更仕切り直しでは混乱するだけですから。「ご両親が面接を担当する先生であった場合、どういった印象をもたれるでしょうか」とアドバイスはしています。
 
ゴールを目指し、直前の各種講習会も始まりました。まだまだ暑い日が続くでしょう。昼寝は気分転換にもなります。お子さんの健康管理には、十分に気を付けましょう。
 
 (次回は、面接編2 面接当日の留意点などについてお話しましょう)

 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>願書の書き方

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         「めぇでる教育研究所」発行
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      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第59号>
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◇説明会情報◇
 桐朋小学校
  学校説明会・学校体験会
  日時:8月31日(土)
   ※本メルマガ発行時点で説明会は満席、体験会は受付中
 
 光塩女子学院初等科
  日時:9月7日(土)10時15分
   ※当日8時20分から授業公開も行われます。
 
 ※満席の場合でも空きがでることがありますので、こまめにHPを確認して
  ください。
  
 
 
★★願書の書き方★★
 
志望校も決まれば、願書の記入となります。
 
願書は、保護者の考え方や性格など、いろいろなことが浮かび上がってくるものです。
面接される先生方は、この願書を読まれて面接に臨むわけですから、いってみれば、学校側が知ることのできる唯一の情報であり、書き方によっては、それが決め手となりかねません。
志望理由やご家庭の教育方針、お子さんの性格や育児の留意点、職業、通学経路など、記入されたデータをもとに質問が始まるのですから、親としての責任は、限りなく重いものです。
 
簡潔で、的を射た表現から、面接は和やかな雰囲気で進み、お互いのコミュニケーションが成り立ちます。
逆に、要領を得ない、冗漫な表現では、悪い印象を与えかねません。
 
WEB出願の場合は問題ないですが、手書きの願書の多くは、「楷書で丁寧に記入し、使用する筆記用具は黒の万年筆かボールペン」と注意を促しています。
達筆な草書で書かれた願書は、注意を無視することになり、見た目はきれいであっても、簡単に読み切れませんから、何百通の願書を読む立場になれば、これほど思いやりの欠けた願書もないでしょう。
また、記入欄いっぱいに小さすぎる字で書き込むのもどうでしょうか。
もし、あなた自身が面接を担当する先生の立場でしたら、どういった願書を歓迎するか考えましょう。
やはり、一点一画を丁寧に、読みやすく書くことが大切だと思います。
 
また、書き慣れているからと、サインペンを使用することは避けましょう。
サインペンは水に弱く、にじんで願書を汚したり、字、そのものが消えたりしがちだからです。
 
このことは、面接資料や参考票、アンケートといったものも同様です。
 
●願書記入に関しての留意点
 
・氏名で齋(斎、斉)、澤(沢)、邊(辺)、壽(寿)など、普段、略字で書き慣れている方は注意しましょう。
 氏名の「ふりがな」は、ひらがなで書かれている場合は「ひらがな」で、カタカナの場合は「カタカナ」で記入します。
 
・現住所は、住民登録票に記載されている通りに記入します。
 やりがちなミスは、
 〔東京都新宿区○○町4ー5ー6 メゾン△△△△ ××号〕
 といった住所の記入です。
 住民登録票には、以下のように表記されているはずです。
 〔東京都新宿区○○町4丁目5番地6-メゾン△△△△ ××号〕
 
・職業は、簡潔に記入しますが、説明をしなければわからない場合もあります。
 記入欄は限られていますから、面接の折りに質問を受けることを考え、わかりやすく説明できるようにしておきましょう。
 自営業の方は、年収や従業員数等を尋ねられたケースもありましたから、まとめておきましょう。
 私学はご家庭の経済力に依存しており、経済的な基盤が安定しているかを確認していると考え、的確に応じることが大切です。
 
 職業を持っている母親は不利といわれているので、書くことを躊躇されるお母さん方がいると聞きますが、これもうわさの一つです。
 学校によっては共働きのご家庭の方が多いのでは、という現状です。
 入学後の送迎や、緊急時のお迎え、学校の行事や参観授業など、きちんと出席し、協力できれば問題ありません。
 
 都内でも、日本女子大学附属豊明小学校、聖心女子学院初等科などには学童保育があり、仕事を持つお母さん方を応援しています。
 
 ただし、緊急時のお迎えについては、東日本大震災以後、速やかに対応できることも求められています。
 学校側に不安を与える条件がなければ、専業主婦より、苦労をするわけですから、もっと自信を持ってください。
 
・通学方法、所要時間は、電車の場合は、各駅停車を利用した時間を、乗り換えがある場合は、それに要する時間、自宅から最寄りの駅、駅から学校まで歩く時間は、子どもの足でかかる時間を記入します。
 駅から学校までの時間は、学校側から○○分と指定している場合もありますので、読み落とさないように注意しましょう。
 
 通学時間は、多くの場合、ラッシュアワーを避けるようにはなっていますが、お住まいによっては、その時間帯になることもありますし、バスの場合は渋滞などから、時間がかかることもあります。
 正確な時間を知るためにも、登校時間に合わせて出かけ、所要時間を把握しておきましょう。
 乗り換えがある場合、特に地下鉄などは、迷路のような所もありますから、注意が必要です。
 
・写真は、カラーでも白黒でも可、写真屋さんで撮らなくてもスナップ写真でも可、といっている学校もあります。
 制限があるとすれば、3ヵ月以内に撮影されたもので、本人と確認できるものです。
 「○○写真館ご用達の写真でなければ合格しない」は、単なるうわさですが、気になさる方は、ご利用ください。
 ホームページに受験用の家族写真を載せている写真館がありますから、参考にされると良いでしょう。
 最終的にはご家庭の判断でお願いします。
 
・性格、長所、短所は、正直に書きましょう。
 子どもは、演技できませんから、試験場のどこかで、あらわれるものです。
 短所の表現には、十分に気をつけてください。
 「気が短くて飽きやすい」などと書かれる方はいないと思いますが、これでは、保護者として失格でしょう。
 
 「だれが、そのように育てたのか」と思われるだけです。
 
 親の愛情の伝わる表現の仕方があるものです。
 短所は、育児でうまくいかなかったところが表われているといえますし、遺伝もあると考えられますから、お子さんだけの責任ではありません。
 
・誤字や略字に注意が必要です。
 働(仂)、卒(卆)、言(云)、その他 問、職、点、第など。
 
 
願書の記入上の注意に関しては、9月から始まる説明会でお話がある学校があります。また、WEBでも公開している学校もありますので、ホームページ等でご確認ください。
 
学習院初等科、青山学院初等部では、記入例を細かく記した資料も同封されていましたが、今年はどうでしょうか。
それでも、印鑑の押し忘れや、記入漏れなどがあると注意を促していますから、記入例や注意書きにしたがって、慎重に書くべきです。
 
書き損じた場合は、修正液を使用してもよいという学校もありますが、やはり、願書は「お願いの書」ですから避けるべきで、そのためにも何部かコピーを取り、下書きをすべきでしょう。
 
WEB出願の学校も増えてきています。出願登録後に願書等のダウンロードという学校の場合は、「予備の願書を購入しなければ」ということがなくなりました。
暁星小学校も願書だけを販売していましたが、出願サイト「miraicompass」からの出願となり、学校での願書発売はしません。出願サイトの案内は、8月下旬に本校のホームページにアップする予定。今年もテーマ作文がありますが、テーマタイトル、気になるところです。
 
慶應義塾幼稚舎や早稲田実業学校初等部などの願書のように、志望理由などを書く欄に線の引いてあるものは書きやすいのですが、雙葉小学校や白百合学園小学校(両校ともにWEB出願併用となり、今後変更されるかもしれません)、昭和学院小学校、日本女子大学附属豊明小学校の面接書類のように、白紙で線がなく、書く欄も広い場合は、あらかじめ鉛筆で薄く線を引き、万年筆かボールペンで記入した後、完全にインクが乾いてから消しゴムで線を消せば、字も揃い、読みやすくなります。
 
なお、こういった願書に関する情報は、昨年以前のものであることをお断りしておきます。
 
最後に、「夫は字が下手なものですから、私が書いた方がよいでしょうか」といった質問をよく受けますが、一点一画、丁寧に書けば、決して読みづらい願書にはならないと思います。
また、「父親が書かなければ合格しない」ともいわれているようですが、これもおかしな話で、どうやら、願書の最後のところなどに、雙葉小学校のように「記入者」と書かれているところから、こういったうわさが流れているようです。
 
「字が下手」「主人が書く」などは、どうでもよいとはいいませんが、一点一画、丁寧に書かれ、志望理由などが要領を得たものであれば、それで十分ではないでしょうか。
 
「形を繕うより心」です。
 
わが子のために心から、その学校への入学を希望されているならば、そこには、自ずとご両親の心意気が表われているはずです。
 
「願書は、ご家庭の顔」といわれる理由は、ここにあるのです。
 
猛暑が続いています。体調を崩さないように、お子さんの健康管理には十分に注意してあげましょう。入試直前講座も始まります。頑張ってください!
 
 
     (次回は、「面接について」お話ししましょう)
 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>よく受ける質問から

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第58号>
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★説明会情報★
 
<東洋英和女学院小学部>
 入試説明会
  日時 9月7日(木)13時
  申込 HPから申込
  備考 本年度入学希望者の保護者限定
     
 詳しくはホームページをご覧ください。
 
 
 
雙葉小学校の説明会は、今年は対面と動画配信と2本立てとなり、渡部祐子校長、武宮和慶教頭から教育方針や入試について説明がありました。
 
さて、その雙葉小学校の河野久仁子前校長の話で、受験される方には参考になるのではという話がありますので、紹介しましょう。ただし、文言は正確ではないことをお断りしておきます。
 
 学校生活は、競争の場ではなく、共に祈り、共に学び、助け合う場です。
 「先生と子ども」「子どもと子ども」という関わり合いの中で、人間同士の信頼関係を築き、自分が愛されることを感じながら、子どもの人間としての成長を助けていくようにと考えています。一人ひとりの子どもが、人との関わりの中で自己を表現しながら、その人らしく生きることができるように祈っています。バラはバラらしく、スミレはスミレらしく、その人らしく生きる。また、自分で自由に学び、決定することができる、責任の取れる人に育てていこうといったように、子ども達が、これからの世界を支えていく人に育っていくように願っています。
 
「バラはバラらしく、スミレはスミレらしく、その人らしく生きる」。「その人らしく」は、自己中心ではなく、幼稚舎の「独立自尊」と同様「共生他尊」の心です。
 
 
 
 ■よく受ける質問から
 
 
暑い夏休み、元気でお過ごしでしょうか。
この時期によくある質問からいくつかを紹介しましょう。
 
Q.慶應義塾幼稚舎の試験では、絵がうまく描けなければ合格しないそうですね。
 
A.「うまく描けなければ」という文言は、大人の考える絵に対する評価でしょう。
  この考えが、子ども達を苦しめているようです。
  入試で絵を描かせるのは、絵の巧拙、上手、下手だけを見ているのでありません。
  大人は自分の考えを相手に伝えるのに、言葉だけで足ります。
  しかし、幼児は、言葉だけでは不十分です。
  言葉で足りなければ、体全体で表す身体表現も、大切なコミュニケーションの方法で、絵もその一つです。
  自分で思っていること、考えていることを絵で表現したいのです。
 
  子どもの絵は写生ではなく、イメージ、感じたことを描いていると思います。
 
  ですから子どもは、絵の巧拙にこだわらず、思い通りに、せっせと描きます。
  そばで見ていると、本当に楽しそうです。
  以前、幼稚舎が、画家が絵を描くときに使うイーゼルを立て、絵を描かせましたが、当時の舎長は、その目的を「子ども達の表情を見たかった」とおっしゃっていました。
 
  ですから、一つの話を聞いたあとに、「この続きの絵を描いてみましょう」といった問題に発展させ、子どもの感性を見ているのではないでしょうか。
 
  「うまい」に越したことはありませんが、それが、子ども自身の感性ではなく、誰かに教え込まれたものであれば、評価されないと思います。
  どなたがおっしゃったかわかりませんが、そういった絵を「大人の手垢のついた絵」というそうです。
 
  「お子さんは、楽しく絵を描いていますか」
 
  そうであれば、子どもらしい絵が描けていると思います。
  学校の狙いも、そこにあるのではないでしょうか。
  
  最近の傾向として、例えば、5~6人のグループに、模造紙1枚とクレヨン1箱が用意され、「弁当の絵」「水槽の絵」などのテーマが与えられ、相談しながら描くといった形式で出題されていますが、使いたいクレヨンを他の子が使っている場合、何もしないで使い終わるまで待っている子がいると聞きます。ポイントは「相談して」にあるのですが、お子さんは積極的に参加できますか。
 
 
Q.1枚の絵を見て話を作るのが苦手なのですが、うまくなる方法はないでしょうか。
 
A.「うまくなる方法」などありません。
  技術的なことを教えても、お子さんは、おそらく理解できないと思います。
  1枚の絵から話を作るのは、本当に難しいものです。
  絵を見ても、自分で体験をしたことがなければ、話せないのが幼児です。
 
  まず、4枚ほどの絵からできている「お話作り」の問題からやってみましょう。4枚の絵であれば、どういった状況か把握できるからです。
 
  そこから話を作る方法を、自分なりに考え始めるものです。
  最初は、つたない話になりがちです。
  最後まできちんと聞いてあげ、できたことを褒め、それからおかしなところは、「ママは、こう思うけれど、どうかな?」と、お子さんに考えるヒントを出してあげることです。
  「違うでしょ、こうなの!」では、お母さんの作品になってしまいます。
  これを十分にやった後に、3枚の絵、2枚の絵に進み、そして1枚の絵に挑戦しましょう。
 
  苦手なお子さんには、「お母さん(お父さん)、あのね!」方式がいいでしょう。
 
  お母さんやお父さんに話しかけるように作ることです。
  幼児の経験は、まだ狭いものですから、体験していないことを表現するのは苦手です。
  日常生活で、「ママ(パパ)、あのね!」と話しかけてきたときは、必ず、聞いてあげましょう。
  自分で体験したことを話す、これが話作りの基本でもあるわけです。
  話すチャンスをたくさん作ってあげることが大切です。
  なお、「お母さん、あのね!」方式は、某国立大学附属小学校で、作文の時間に実践していた学習方法です。
 
 
Q.問題に取り組む時に時間がかかり過ぎるのですが心配ないでしょうか。
 
A.幼児には、問題集をやるときにも、さっさと答えるタイプと、じっくりと考えて答えを出す二つのタイプがあるようで、イソップ物語の「ウサギとカメ」の話から、前者を直感が働くウサギ型、後者をじっくりと考えるカメ型と考えることもできます。
 
  難しい対称図形や回転図形の問題でも、ウサギ型は、4つの答えから正解を選び出すのにも時間がかからず、カメ型は、慎重に取り組みますから時間がかかります。一つ一つ検証して、答えを出しているからです。
  おそらくお子さんは、カメ型のタイプではないでしょうか。
  一つ一つ比べ、「これは、ここが違う」と納得しなければ、次の答えに手を出せないのですから、むやみに急がすことはありません。
  一度、仕組みや方法が理解できれば、スピードもアップします。
 
  思考派のカメさん型は、小学校の中学年を過ぎる頃から、力を発揮し始めます。
  考える力が育まれ、基礎学力がしっかりと身についているからです。
 
  直感派のウサギさん型は、この頃に、一度つまずきますが、頭の回転の速さから立ち直れます。
 
  ですから、カメさんの場合は、時間がかかってもあせらせることなく、問題は時間内に解くことを、少しずつ教えてあげましょう。
  ウサギさんは、ひらめきだけに頼らず、正解であっても、他の答えはどうして駄目なのか、その説明をさせましょう。
  どちらもお子さんの大切な能力ですから、良いところを伸ばしてあげる、賢いお父さん、お母さんになってほしいですね。
 
 
Q.文字や数字の読み書きは、できた方がいいと友達は言うのですが、やった方がいいのでしょうか。              
 
A.小学校の入学試験には、文字の読み書き、数字を使った計算はありません。
  ただし、答えをイラストではなく、書いてある文字に印をつけるテストを実施している学校もありますが、それは、その学校の方針ですから、受験する方は、そのための準備が必要です。
 
  また、暁星小学校でも、かつて年中行事と関係のある数字、例えば母の日は5月ですから5に○をつける、記憶の問題でスクリーンに映った数字と同じものに○をつける問題がありましたから、1月・正月、2月・節分、3月・雛祭り、4月・花祭り、5月・子どもの日、母の日、6月・父の日、7月・七夕、9月・お月見、10月・お祭り、運動会、11月・七五三、12月・クリスマスなど、その月と数字がわかるようにしておきましょう。
 
  やっていると思いますが、毎朝、カレンダーを見て、「今日は8月15日、日曜日」というだけで、月日と曜日も無理なく覚えるものです。
  ただし、数字を書く必要はなく、読めればいいでしょう。
 
  文字は問題用紙に氏名を書きますし、靴を脱ぎ、試験が終わった後で靴を履くときなど、書かれた名前を見て判断することもありますから、名前の読み書きはできるようにしておきたいものです。
 
  年長になる頃から、文字と数字を書きたがるようになりますが、その場合は、正しい書き順を教えましょう。
 
  自己流で覚えると、直すのに苦労するからです。
 
  文字を書くことの得意であった子が、小学校へ入ってからことごとく直され、自信を失う話をよく耳にします。
  数字は「0・5・7・8・9」、文字は「と・も・や・よ」、書きにくい「あ・お・そ・ぬ・む・め」などです。
 
  ただし、教える場合でも、テストで数字や文字で答えては得点にならないことを教え、約束してください。
 
  ところで、お子さんは、ブツブツとつぶやきながら、昔話や童話の本を読んでいませんか。「話の読み聞かせ」の効果です。話を記憶することで、教えなくても、文字が読めるようになるのです。本を読んであげるのは、大切な学習になっていることを忘れないでください。
 
 
以上の「Q&A」は当研究所発行の「さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A」からピックアップしたものです。
詳しくは、ホームページをご覧ください。
 
夏はまだ続きます。「夏を制する者は秋を制する」ともいわれています。
無理は禁物ですが、頑張りましょう。
 
 
  (次回は「願書の書き方」についてお話ししましょう)
 
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