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めぇでるコラム : 2025小学校受験

2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>夏休みの過ごし方(2) 

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第55号>
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◯受験情報◯
 
■学習院初等科
学校見学会
 開催日 2024年9月7日(土)
 申込  8月下旬よりWEBから申し込み
 
■白百合学園小学校
学校見学会
 開催日  2024年9月7日(土)
 開催時間 (1)9時~、(2)10時~、(3)11時~
 申込期間 2027年7月20日(土)
  ※7月26日発行時には各回とも満席
   キャンセルが出ることがありますので、ご希望される方はこまめに確認されることをお勧めします。
  
 
 
夏休みの過ごし方(2)
 
 
前回に続き、夏休みの過ごし方についてお話しましょう。
 
 
3.観る力をつける
 
動物園、植物園、博物館、水族館、プラネタリウムなどを利用して、観ることで名称、種類、性質、形、大きさ、色、用途などがわかります。
図鑑人間、驚くほどよく知っていますが、残念ながら大きさのわからない子がいます。
 
本物を見せてあげてください。
 
ただし、お子さんが興味を示さないときは、あまり効果はないでしょう。
「今度の日曜日は休みだから、水族館でも行こうか」ではなく、「パパ、ラッコってどうやって貝を食べるのかな?」といったように「かな?」の二文字がついたときは、何はさておき連れて行きましょう。
疑問の芽が、好奇心を刺激しているからです。
 
そして、観てきたことを絵日記に描ければ素晴らしいですね。
なぜなら、絵日記は、体験したことを思い出しながら、整理して、映像化し、記録することですから、知的な訓練にもなっているのです。ただし、絵の巧拙にはこだわらないようにしましょう。楽しく描けることが何よりも大切だからです。
かつて、慶應義塾幼稚舎で、画家が使うイーゼルを立て、絵を描かせましたが、その目的は「子ども達の顔をみたかったから」と当時の舎長はおっしゃっていました。夢中になって描いている子ども達の表情は「素晴らしい!」の一言に尽きるからです。
 
似ているところ(類似点)と違っているところ(差異点)を見つけ、話をさせることも大切です。
言葉は、実際に話してみなければ、どうにもならないからです。自分で考えたことを、自分の言葉で話す機会をたくさん作ってあげましょう。野菜(キャベツときゅうり)、花(さくらと朝顔)、果物(りんごとみかん)、乗り物(飛行機と客船)などの組み合わせです。お子さんの話したことで、妥当性がある場合は、正解です。
 
たとえば、「自転車とオートバイの違うところをいってください」の問題のとき、「仮面ライダーはオートバイに乗るけど、自転車に乗って来ない」といった子がいましたが、お父さん、お母さんはどう対処されますか。
 
「テレビのせいだ!」と怒りをあらわにする前に、とりあえず間違いではありませんから、まず、その考えもいいけれどとうなずき、「仮面ライダーを知らない外国の人にお話ししてわかるかしら?」といえる保護者になってほしいのです。すると、お子さんは、自分の考えを認めてもらいましたから、人力と動力の差に話が進むはずです。まず、認めてあげ、それから、正解に導いていくことが大切です。
 
皆さん「花火と雪だるまの似ているところ」について、子どもがどんな答えを言うのか想像してみてください。
 
さて、話を戻しましょう。
 
朝顔やひまわり、家庭菜園で栽培した野菜などの観察絵日記(成長過程や咲いた花の数、色、葉の形など)を描いてみましょう。成長の変化に気づく目が育ちます。
 
また、種まき、発芽、葉、花、種といった成長の過程を観察することで、科学的にものを学ぶ姿勢も養うこともできます。
郊外の畑では、ナスやキュウリの小花を見せてください。鮮やかな紫色と黄色の花にびっくりするのではないでしょうか。
 
また、幼児用のプールや風呂を利用して、浮くものや沈むものを実験してみましょう。
スイカは絶対に浮かないと思っている子がいますが、お子さんはどうでしょうか。迷っている時は実物で実験するしかありません。最近は、小さなスイカ、小玉スイカが出回っていますから見せてあげましょう。
 
水がいっぱい入っているビンと少し空気が入っているビン、フタがしてあって中に何も入っていないビンの実験など、興味を示すはずです。
 
磁石につくものも探してみましょう。アルミ缶とスチール缶では、「うん?」となるはずです。砂場で磁石を入れるのも面白いので、実験してみましょう。
しかし、「コンセントなどに近づけると危険ですから、使う場合は目を離さないで、終わったら手の届かないところへ片付けるようにしましょう。
 
前号で取り上げた「折り紙を磁石で持ち上げる問題」ですが、折り紙の下にクリップなどを置くと持ち上げることができます。
 
 
 
4.絵を描くことに興味を持たせる 
 
絵を描くことを嫌う子が増えていると聞きますが、事実なら困ったことです。
絵は、言葉や身体表現と同様、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感が受けた刺激から観察力が働き、記憶したことがらを表したものといえます。
幼児の描く絵は写生ではなく、イメージ化したものと考えてあげましょう。
 
「絵は心の窓」ともいわれています。
 
お子さんの、心境が表れているのです。
絵の巧拙にこだわる必要はありません。
 
お子さんが、描けた絵を見ながら話を弾ませる、よい聞き手に徹することです。
お子さんが、絵を描くときの顔を見たことがあるでしょうか。楽しそうに描いていれば、心配ありません。先程の舎長の話ではなりませんが、夢中になって
描いているときの表情は、楽しそうで、素晴らしいものだからです。
 
 
 
5.ものを作る意欲を育てる
 
最近の入学試験でも、制作は重要な課題の一つになっています。
「折る、塗る、切る、貼る、組み立てる、結ぶ」は、幼児教育の基礎、基本ですから、当然なのですが、知的なトレーニングに力を入れがちではないでしょうか。
 
「手は第二の脳」で詳しくお話しましたが、たとえば、つぼ型の容器に入った、ふたのついた糊には、教育的な配慮がなされています。
左手で持ち、右手でふたに付いている取っ手を上にあげないとふたは開きません。
適量をとらなければなりません。少なければはがれやすく、多ければベタベタになります。
まんべんなく塗るには適量をとり、左手で紙を押さえ、右手で、のびろのびろと丁寧に塗らなくてはなりません。
そして、ふたを閉め、手を拭きます。
汚れた手をきれいにするのは、清潔感を身につける基本的な生活習慣の一つです。
 
スティック型の糊は、粘着力もあり、手も汚れませんが、大切な作業を省いています。
体験しない分、不器用になるということでしょう。家庭では、ふたつきの糊を使ってほしいですね。
 
セロテープの使い方、適当な長さに切れない。切って貼るのではなく、必要な分を切り、そして貼るといったように「切る」と「貼る」の作業を分けてみましょう。はさみの使い方、紙の折り方、ちぎり方、こういった作業がスムーズにできないと、制作は面白くないでしょう。
 
得意な子ども達は、お父さんやお母さん方が、こういった作業の重要なことを理解し、こまめに自分で扱う機会を作っていると思います。
 
また、材料となる箱や、紙コップ、モールやリボン、もしかしたら、穴あけパンチなども用意しているのではないでしょうか。
苦手な作業は、じっくりと時間をかけ、出来るようにしてあげましょう。
 
通っている教室にお任せだけではなく、家でも制作に励んでください。
 
折り紙は、巧緻性と記憶力を高める大切な遊びです。
かつて、暁星小学校の入学試験で5個作らせたことがありました。
簡単なものを、丁寧に折ることが大切です。雑に折ると、出来栄えも悪く、それが子どもたちの興味をひかない原因になっているからです。
折り紙の得意な子は、姿勢もよく、物事を丁寧にする習慣も身に付いているといえます。
 
粘土遊びも大切な作業です。
砂場で遊ぶ機会が少なくなっているようですから、せめて、粘土で造形のおもしろさを体験させておきたいものです。
「子どもの頃、砂場で遊ばなかったためか、最近の学生は、塑像作りが苦手のようだ」と東京藝術大学の彫刻科の教授がおっしゃっていたそうです。折り紙と同様、立体作りは、子どもにとって楽しい学習になっていることを忘れてはいけないと思います。
 
ここで問題です。
 
小さなみかんほどの粘土の塊があります。これを3つの同じ大きさの丸い形に作ってください。
 
丸い粘土の塊を粘土板の上で、手で押さえながら棒状に伸ばし、それを3等分して丸めると、ほぼ同じ大きさの丸い塊を作ることができます。お母さんと一緒にクッキーを作ったときに教わった子が、実際にやって見せてくれたことがありました。
     
ある年のこと、3つに分けた塊を一つに戻した時、「先生、1+1+1=1になりますね」といった子がいました。皆さん方は、どう説明しますか。分数の基本です。「量の保存」を思い出してください。
 
手先の作業として、輪ゴムつなげやクリップを長くつなげる遊びは、頭の疲れているときなど、気分転換にもなります。
 
 
 
6.身体を動かし、体力と持続力を育てる
 
ボールつき、縄跳びは、バランスを必要とする全身運動です。
広い場所もいりません。目標を決めて、できるだけ長くできるように挑戦させましょう。お父さん、お母さんと共に頑張ったことが試験に出れば、一所懸命にやらない子はいません。持久力や耐久力もついてきます。
 
加えて、散歩に連れ出し、歩くことの楽しさも教えてください。車中心の生活では、足腰が鍛えられず、スタミナ不足では、我慢する力も育ちません。
クーラーのある快適な生活は、半面、汗をかかない不自然な環境でもあるわけですから、汗をかく運動は、ぜひ、行ってください。
 
そして、教室へは、電車で通いましょう。お子さんと電車に乗ることで、歩くことで、たくさんのことを学習できます。電車内で時々見かけますが、お子さんと一緒の時は、スマホを見るべきではなく、対話の楽しさを味わうべきです。
スマホをほしがる小学生に聞くと、「パパ(ママ)だって、見てるもん!」と答える子が多く、「ママが見ているから面白いに違いない」と思っています。
「何が面白いの?」と聞くと「ゲーム」ですから、子どもの見ている時にゲームなどすることは極力控えたいですね。
 
しっかり観察されていることを肝に銘じておきたいものです。何事も、親が手本です。
 
また、お母さん、お子さんと一緒に歌を歌い、踊りましょう。お父さんでもいいですね。
身体表現をやってください。楽しい思い出が残っていれば、試験場でお子さんも一所懸命にやります。
 
男女問わず必修科目と考えましょう。
盆踊り大会があると思いますが、お父さん、お母さん照れないでお子さんと一緒に踊ってください。特に男の子は、恥ずかしがり屋が多いですから、その鎖を切ってあげましょう。
 
親子で「動物変身ごっこ」をしてみるのも良いですね。
 
この夏は、お子さんの負担になる旅行はさけ、秋に備えて健康管理に留意してください。
そして、起こしてならないのは事故です。ちょっとした油断が恐いのです。
親として、監視の目(管理の目ではありません)は、絶対にゆるめないことです。
 
夏休みの講習会も始まってきています。楽しく通えることが第一で、そういった雰囲気を作ってあげましょう。毎日学ぶことから身についた学習習慣を、家庭でも楽しくできるように、うまく利用することです。
 
そして、苦手な領域は、時間をかけて理解できるように、決して感情的にならずに、気持ちを落ち着け、「ゆっくり、じっくり、しっかり」を目標に、お子さんと共に頑張ってください。
 
 
先ほど3でお話しした「花火と雪だるまの似ている点」ですが、子どもから、「花火は消えて、雪だるまはとける。両方とも形が残らない」という答えがありました。素晴らしい着眼点ですね!
 
 
(次回は、「今年の説明会」についてお話しましょう)
 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>夏休みの過ごし方(1) 

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第54号>
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☆説明会等情報
 ≪白百合学園小学校≫
   学校見学会
    日  時:9月7日(土)
    申込方法:WEBからの申込
    申込期間:7月20日(土)9時~
     ※詳しくは学校のHPをご覧ください。
 
 
 
夏休みの過ごし方(1)
 
 
東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城の小学校の入学試験本番まで、後3ヵ月有余、学校によっては2ヵ月半です。「夏を制するものは受験を制す」ともいわれています。夏休みの過ごし方に、合否の鍵があるといっても過言ではありません。
 
大切な日々を有効に過ごすポイントは、ご両親の考え方にあります。
 
まずは、何といっても健康管理です。
うがい、手洗い励行、お子さんだけではなく、ご両親こそ率先垂範を。
 
保育園の場合は、日々の生活は変わりませんが、幼稚園の場合、夏休みになると、生活のリズムが狂いがちです。幼稚園があるときと同じように、規則正しい生活のリズムを崩さないことです。1日のスケジュールを立て、それにしたがった、メリハリのある生活を送りましょう。ただし、あれもこれもと、過密なスケジュールでは、お子さんの負担を増やすだけで、かえってマイナスになりかねません。余裕を持って、計画を立てることです。
 
遊び時間もきちんと配慮してあげましょう。
 
知的な能力は高いが、体力に不安がある子が多いのも、小学校受験の特徴のようです。机の上での勉強だけではなく、体を十分に動かす時間を設けましょう。
 
買い物などに出かけるときは、車を使わずに歩き、汗を流す機会を作ることです。十分も歩かない内に、「おんぶ!」をせがむようでは、とても受験に対応できません。
 
肉体的なスタミナがなければ、精神力も弱いものです。
 
一所懸命に頑張る意欲や耐久力は、入試に欠かせない大切な要素です。運動教室にお任せだけでは、真のスタミナはつきません。冷房の効いた快適な環境から、失うものもあります。お父さんにも手伝ってもらい、一緒に汗を流しましょう。お父さんのリフレッシュにも役立ちます。
 
ところで、夏休みに入ると、友達と遊ぶ時間が不足しがちです。受験一色になると、友達との遊びを悪いことと考えるお母さん方がいると聞きますが、それは間違いです。
 
社会性や協調性といった集団生活への適応力に欠ける子は、どこの学校からも歓迎されません。行動観察型のテストでは、こういったところがはっきりと表れます。集団生活への適応力は、問題集をこなすだけでは養われません。
 
最近、友達が家に来て遊ぶ機会も、少なくなっていると聞きます。
自分の家と全く違う生活習慣があるなど、本来は、貴重な体験をする機会でもあるのですが、あまり歓迎されていないようです。せめて、同じくらいの年齢の子がいる親戚を訪ね、違った生活を送るのも貴重な体験になるのですが。
 
また、一人遊びも大切です。
 
遊びを通して自発性、考える力はもちろんのこと、一生懸命に取り組む意欲や持久力もついてきます。入学試験に備えて、親が子どもの遊ぶ相手や時間、内容も全て管理するのは、いかがなものでしょうか。何から何まで管理していると、無気力、無関心、無感動、無表情な「指示待ち子ども」になりかねません。
 
遊びを通して培われる力こそ、子どもにとっては、大切な財産になることを忘れないようにしてほしいのです。
 
任期満了前に辞任し、現場の教師に復帰した慶應義塾幼稚舎の加藤三明元幼稚舎長は、毎年説明会で「5歳のわが子を受験のためにスポイルしないでほしい」とおっしゃっていました。受験準備は、早稲田実業初等部の教育目標ではありませんが、「ゆっくり、じっくり、しっかり」と余裕を持って取り組みたいものです。
 
ここで一言。
 
夏の幼稚園や保育園の行事に、お泊り保育があると思います。その時の様子を先生に伺っておきましょう。
 
家族から離れて生活した時、今まで気づかなかったお子さんの一面が、現れることもあるからです。泣き出してしまうお子さんもいて、先生方も意外な思いをする話を、よく耳にします。入学試験は、「生まれて初めての場所に入り、生まれて初めて会った先生の指示に従い、初めて会った同年代の子ども達とグループを組み、いろいろなことに取り組む」からです。心配なところが見つかった場合は、育児が過保護、過干渉、自由放任になっていないかをチェックし、自信を持って取り組める気持ちを育ててあげましょう。
 
特に、過干渉になりがちな方は、口を挟む前に「1,2,3,4,5,6」と数えましょう。そんなわずかな間でも、お子さんに考えさせる時間を与えていることに気づいてほしいのです。
 
この「6まで数える」というのは、感情的になりそうになったときのアンガーマネジメントとしても知られています。
 
 
 
★家庭でできる具体的な受験準備 
 
次に、ご家庭でできる具体的な受験準備についてお話しましょう。
本メールマガジンを通して、しつこく触れてきましたので、またかと思われるでしょうが、大切なことですから繰り返します。
 
<1> 聞き取る力をつけるには
 
本を読んであげましょう。
 
小学校の入学試験は、話を聞き取る力がついているか、いないかで決まります。
ペーパーテストには設問はありませんし、行動観察型のテストでは、先生の話を聞かなければ、何もできません。
 
本を読むことを通して、耳と目から入ってくる情報から好奇心は刺激を受け、言葉を映像化する作業がフル回転で行われ、記憶する意志が自然と働きます。
一人になったとき、本を見ながらお母さんに読んでもらった言葉を、筋道立てて思い出しているのです。
 
語彙がふえることで言語力、
イメージが豊かになることで想像力、
話を筋道立てて思い出すことで思考力、
より正確に覚えようとすることで記憶力、
言葉や絵、身体で表現することで表現力、
そして、何よりも大切な集中力、話を聞き取る力、話を聞く姿勢が身につきます。
 
「本の読み聞かせと対話」の効果を説明会で最初に力説されたのは、平成14年に就任した立教小学校の田中司校長(当時)でした。
 
さらに、お子さんと話をする時間をたくさん作り、よい聞き手に徹してあげましょう。言葉は、とにかく話をしなければどうにもなりません。どんな拙い表現でもよく聞いてあげ、お母さんが正しい言い方に直してあげましょう。言葉のキャッチボールを楽しんでください。
 
「対話の反対は沈黙ではなく、命令と強制」といったのも田中先生でした。含蓄のある言葉ではないでしょうか。
 
そして、正しい指示を出しましょう。
「ユキちゃん、そこにある、あれ取って」
などと言っていないでしょうか。
 
これでは、指示を出した本人しか理解できません。
 
「ユキちゃん、テーブルの上にあるお料理の本を、お母さんのところまで持ってきてください」
「これ・それ・あれ・どれ」は代名詞ですから、きちんと名詞に置き換え、丁寧なことばで応対しましょう。
 
面接の折りに、「デス、マス」を自然に使って話をさせたければ、お子さんの前で、響きのよい言葉をたくさん使ってあげることです。心地よい言葉は、使ってみたくなるものです。
 
また、あいさつは、きちんとするように心がけましょう。
 
そして、用事を頼み、お手伝いをしてもらったときは、必ず「ありがとう」と感謝のことばをかけてください。こういった気配りから、お子さんの心の中に、相手を思いやる心も育まれてきます。
 
さらに、しりとり、同頭語、同尾語、反対語、短文の復唱などは、言葉遊びとして、楽しみながら学習すれば、お子さんは喜んで挑戦するはずです。
 
この時期になると、「お話作り」を苦手とするお子さんが増えてくるようです。
前にもお話しました、「ママ(パパ)、あのね!方式」を採用してみましょう。
 
話す相手がお父さんやお母さんであれば、プレッシャーもかからず、気軽に話せるからです。そして、親が作った話を覚えこませるようなことはせずに、自分で思っていることを、自分の言葉で話せるように、しっかりと聞き手にまわり、上手、下手は、二の次と考えることです。
 
こういった課題は、とにかく、言葉が出なければ、どうしようもないからです。
「こんなこと言ったら笑われるかな!」とか「これでは、ママに叱られるかしら?」などと思い始めると、言葉は出てきません。
 
どんな内容でも相槌を打ち、よく聞いてあげてから、
「こうした方が、ママはいいと思うけど、ユキちゃん、どうかしら?」
と、お子さんの話を認めてあげ、導いてあげると、お子さんは納得してついてくるものです。
 
言葉が出ないのは、お母さんがしゃべりすぎの場合も考えられます。
 
「何とかしなければ」とお母さんがあせれば、お子さんは苦手意識を持ち始めます。自信をなくしますから消極的になりがちで、これでは行動観察型の試験に対応できません。お子さんの話に耳を貸し、うなずき、認めてあげてから、お母さんが考える方向へ、「ゆっくり、じっくり、しっかり」と導いてあげましょう。
 
 
<2> 考える力をつける
 
最初のころでもお話しましたが、トランプは、数字と同じ数のマークがかいてありますから、数感を養うすぐれた教材です。
 
1枚ずつカードを出しあって勝敗を争えば、直感で多少を見分ける力がつきます。これを繰り返していると不思議なもので、引き算の練習をしているのではないのですが、 
「6と3では、6の方が3つ多い」
「10と8では2つ違う」
と多少の学習になります。
 
数の違うカードを5枚並べ、いちばん多いもの、少ないもの、2番目に多いものなどの学習もできます。
 
ところで、数え方ですが、たとえば、15個あるリンゴを、お子さんはどのように数えていますか。
(1)1,2,3,4と1個ずつ指で押さえて正確に数える。
(2)2,4,6,8と2個ずつ押さえて数える。
(3)3,6,9と3個ずつ押さえて数える。
(4)4,8,12と4個ずつ押さえて数える。
(5)5,10,15と5個ずつ押さえて数える。
(5)は最も速い方法ですが、幼児の手の大きさから考えると、5個ずつ押さえるのは容易ではありませんから、無理をしないことです。
 
できれば、3個ずつ、掛け算の3の段、3とびをマスターすると、早く、正確に数えられます。
    
15個のおはじきをばらばらに置き、(2)からやってみましょう。
言葉と数が一致しないと、に(二),し(四),ろく(六),や(八),とお(十)と数えられても「や、っていくつ?」といったように混乱しがちです。
これを理解させましょう。数を訓読みで覚えると、一日を除き、日にちに対応できます。
 
15の場合、10までいったところで元へ戻り、2、4で止め、1個あまりで14個、つまり、数え終わったときの4を10にくっつければ14となり、それに余った1を加えれば15となることを教えます。
 
この場合、トランプの10と4のカードを使うとわかりやすいと思います。理解できたら、おはじきは、どんな並べ方でも簡単にできますから、どんどん並び替えて挑戦してみましょう。
 
以下、同じように、(3)、(4)にも取り組みたいのですが、(3)をマスターできれば最高と考え、後はできる場合は挑戦してもかまいませんが、絶対に無理をさせないで下さい。
 
そして、(5)の5個押さえる方法ですが、たとえば、7個のリンゴを数えるとき、5個の集まりを手で押さえれば、残り2個ですから、合計7個であることがわかります。いきなり(5)の数え方を教えず、きちんと段階を踏んであげましょう。
 
大人が考えるほど簡単ではないからです。
    
合成、分解も、カードを使うと面白く学習できます。
10のカードを使い、マーク1つを指で押さえれば[1と9]であることがわかります。
 
同様に、2つ押さえて[2と8]、3つ押さえれば[3と7]であることもわかります。
 
以下、同様にして挑戦しましょう。
[10]は[1]が10個集まっていると考えれば、楽しく取り組めるはずです。
    
トランプは、神経衰弱からは記憶力が、7並べでは1から13までの数列や系列完成、下のように並べると上から、下から、左から、右から何番目、黒を中心に左斜め上、右斜め下といったように位置の問題の学習にもなります。
         □□□
         □■□
         □□□
その他、オセロやおはじきなどで分割を、積み木では、立方体を積み重ねることで、見えないところにある数の発見、模倣構成、四方図形なども楽しく学習できます。
 
積み木の四方図形は、斜面を正面から見る場合、子ども達は「……?」となりがちですが、実際に積み木を使ってやってみると、理解できます。 
プリント学習に疲れたときなどにゲーム感覚でこういった遊びをすると、気分転換にもなります。 
   
数量や推理・思考、図形など、苦手な分野の問題は、じっくりと時間を使える夏休み期間にこそ、全力で取り組みましょう。    
 
ここで問題を。
 
折り紙を磁石で持ち上げたいのですが、どうすればできるでしょうか。実験は、遊びの感覚で取り組むことが大切です。
 
    
(次回は、「夏休みにできる家庭学習(2)」についてお話しましょう)

 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>建学の精神、教育方針の理解の仕方(3) 

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第53号>
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建学の精神と教育方針の理解の仕方(3)
 
 
今回は、地元千葉県の私立小学校を取り上げます。国府台女子学院小学部は、前回第52号でお話ししましたので、4校について紹介いたしましょう。
 
 
≪ 日出学園小学校 ≫
 
教育理念と目標 
 
   ここから大きく育つ、生きる力。
   自主性  向上心  想像力  好奇心
 
  小学校6年間を通じて「なおく・あかるく・むつまじく」の校訓をもとに、人間教育の実践をしています。
 
  「なおく」とは、正しいこと正しくないこと、良いこと悪いことが判断できること。
  「あかるく」とは、笑顔を絶やさず感動を体験しながら、一生懸命取り組むこと。          
  「むつまじく」とは、文字通り仲良くする、共に生きる、共生のこと。 
           
健康で潤いのある人間性や想像力を養い、基礎学力の定着を図る、これが本校の目標です。具体的な内容に関しては、荻原巌校長のあいさつを参考にしてください。(現掲載との相違点があるかもしれませんが、本質に変更はありませんので、ご承知おきください。)
         
「日出学園は昭和9年(上皇陛下が誕生した翌年、市川が市となった年)に市川在住の有志によって創設されました。
その中心となった青木要吉は若き日にアメリカに留学し民主主義と自由主義を肌で感じ、その体験から生徒の特性を伸長することに重点を置いた私塾的な雰囲気を持つ寺子屋のような少人数、男女共学の教育を目指していたと聞いています。
当初は幼稚園、小学校のみでしたが、昭和22年中学校を、25年には高等学校を開設して現在に至っています。
 
人間形成の土台づくりは、児童期の体験数で決まると思います。小学校では、学校行事での関わりの中から楽しさ、悔しさなどいろいろな想いを体験してもらい、その都度いろいろなことを考えて前に進んで欲しいと願っています。そのために、異学年交流・異年齢交流・宿泊合宿など集団の中で、友だち・下級生・上級生という立場で物事を考え行動し、そのような体験の中から社会性や共感性などを身につけていってほしいと常々思っております」           
 
教科では、国語力の向上に力を注いでいます。図書室には現在約54、000冊の蔵書があり、恵まれた環境の中で、考え、思い、学び、表現するための手立てである「言葉の力」をつけさせ、「生きる力」へとつなげていけるように指導していること。
また、「書は人なり、心を写す力」ともいわれているように、正しい「書写力」を身につけることが一番の目標で、低学年のうちから、一点一画、ていねいに書く習慣を身につけるように心がけている学校です。
 
創立者の信念でもあった「昼食はお母さんの手作りのお弁当」は、少し形を変え、弁当をネットで注文し、購入できるシステムをはじめました。
また、令和4年度、アフタースクール「ひのキッズ」が開校しました。
注文弁当とアフタースクール、働くお母さん方への支援、これも歓迎されているようです。
 
共学で、高校までのゆとりのある一貫教育で、大学受験は、本人の実力次第。
なお、中学受験に関しては、従来から、受験対策のノウハウは充実しており、HPの中学校合格状況に、その実績を見ることができます。小学校は地元で安全に通学、中学から東京の学校へと考えているご両親も多いようです。
令和6年度からは進路指導部を作り、中学受験に対する応援体制が強化されました。
 
 
 
≪ 聖徳大学附属小学校 ≫
 
2021年度から、高校(光英VERITAS中学校・高等学校)までの共学となりました。それまでは、男子は中学受験する必要があり、かなりの進学実績をあげていましたから、充実した進学体制をあげても良いのではないでしょうか。幼児教室対象の説明会でも、外部の優秀な指導者を招いていると聞いたことがあります。
 
最近、日本女子大学附属豊明小学校、聖心女子学院初等科をはじめ、千葉県の私立小学校でも学童保育やアフタースクールが盛んですが、本校の「聖徳アフタースクール」の大きな特徴として、車でのお迎えを容認していることでしょう。お仕事を持っているお母さん方には強い味方になるのではないでしょうか。
 
朝の登校時も車での送迎ができるのですが、お父さんと子どものコミュニケーションの場になっているという声も聞こえる、と説明会でお話がありました。
 
校名の聖徳の由来は、聖徳太子の道徳や礼節などに対する思慮の深さを教育の基礎とし、豊かな人間づくりを実現したい思いから。読み方を変えたのは、聖徳太子に深い尊敬の念からで、「しょうとく」と読むのを控え「せいとく」としたそうです。
 
「思いやりと、礼を尽くす、こまやかな心を学ぶ」を目指す小笠原礼法宗家の指導による礼法教育、明和班、全校生が一緒に食事をする「食堂(じきどう)」など、学園の「礼節」「知育」「勤労」の3つの教育方針について、どのように期待するかをまとめてみましょう。
 
礼法教育は、1年生から6年生まで、年間指導計画があり、電車の中で化粧をしている女性や、歩きながら物を食べている無作法者に見せたいほど、日本古来の文化が伝承されている学校です。これも欠かせない志望理由になるのではないでしょうか。
 
 
 
≪ 千葉日本大学第一小学校 ≫
 
創立時は男子だけの別学でしたが、平成8年4月から共学校になり、大学までの一貫教育校です。共学が自然で、受験を考えなければ16年間のゆとりのある教育環境で、自分の進む道を、ゆとりを持って学べることでしょう。
 
本校の児童は、一定の内部進学規定を満たすことで、学園の2つの中学校へ約70%、2つの高校へは90%以上、そして大学へは60%の生徒が進んでいます。(令和6年7月のHPより)
 
本校の校訓「真(まっすぐに) 健(すこやかに) 和(なごやかに)を、わたしども流に、心を表す言葉として考えると、
 真は「飾り気のない、偽りのない心」
 健は「すこやかな精神」
 和は「おだやかな心」
となりますが、いかがでしょか。
 
本校の特色として、「学習習慣の定着と基礎学力定着」とあります。その一環として「自学」に1年生から取り組んでいることも特長です。
また、創立以来、英語教育に力を入れています。ステップアップタイムの活用などで、6年生「全員」が実用英語技能検定5級合格を目指しています。高学年では英語日記にも挑戦し、5年生では英語劇も行えることも大学付属ならではでしょう。
 
大学付属ならでは、といえば、近年大学との連携も積極的に行っており、これも魅力の一つとなっているようです。
 
そして、縦割りグループによる学年を超えたユニークな「さくら活動」でしょう。
こういったことからまとめてみましょう。
 
 
 
≪ 昭和学院小学校 ≫
 
教育目標に「知・徳・体の全人教育(知識だけにかたよった教育ではなく、性格教育、情操教育なども重視する教育)を掲げていますが、開校以来、少数の児童(現在は1学年3クラス)に行き届いた教育を行うことを目標に、道徳教育を重視し、児童の基本的生活習慣の形成に力を注いでいます。それが、校是「明敏謙譲」の狙いであり、教育目標に表れています。「学校案内」には「明敏とは活力を持って未来を開くこと、謙譲とは英知を持って社会に生きること」で、「明朗にして健康で、自主性に富み、謙虚で豊かな人間を育てること」と説明されています。
 
山本良和前校長は、就任の挨拶でこうおっしゃっていました。
 
「『人が未来』という言葉が本校の教育観を表した言葉です。人が、つまり、子どもが未来。今日の学びが子どもの未来を作っていくんだという思いで取り組んでいます。」
 
また、教育目標である「高い学力とやさしい心」については、
「高い学力というのは所謂受験のための学力ではなく、未知のものに立ち向かっていく力、『学ぶ力』です。 <中略> 悩みながら試行錯誤した結果、これまでできなかったことができた瞬間、全ての子どもは必ず笑顔になります。
この笑顔こそ、学校教育で目指すべき、実現すべき子どもの姿だと我々は考えています。」
「『やさしい心』とは、相手の事を自分事として捉え、一緒に感動したり、助け合ったり、分かち合ったりできることです。道徳教育として、全ての教育活動の中で、人の気持ちがわかる、共感するということを大事にしています。」とおっしゃっていました。
 
青木伸生現校長も同様のことをおっしゃっていました。
 
「明敏謙譲」、例によって、育児の姿勢としてわたしども流に考えるとこうなります。
 
「謙譲」とは、「へりくだること」という意味で、「謙譲の美徳」ともいいますが、最近は、お目にかかれない言葉となりました。むしろ、「謙虚」の方がおなじみかも知れません。「自分が偉いものと思わず、素直に他に学ぶ気持ちがあること」という意味です。すると校是の「明敏」は、「明朗にして健康で、自主性に富む」ですから、「元気で、明るく、自力で挑戦する子」に、「謙譲」は「謙虚で心の豊かな人間を育てる」ですから、「素直な子」と置き換えることができるでしょう。
 
独自の国語教育、伝統の読書教育に加え、「視写」があります。
文章をそのまま写すことです。おそらく子ども達は、名文を写し、記憶し、漢字を覚え、語彙も増えるといったように、楽しい学習をしているのではないでしょうか。
 
幼稚園では、年少から英語を正課にしていることについて、受験されるお母さん方から、「英語の勉強について、何らかの準備をしておかなくても、ついていけるでしょうか」と質問を受けることがあります。附属の幼稚園では、年少から正課として英語を保育に取り入れ、年少組は週1回30分程度、年中、年長組は週5日40分程度行っています。3年間でかなり力がついていると考え、入学後、英語を学んでいない子どもにとって、それがハンデになるのではと考えるのも当然ではないでしょうか。
 
それについて鈴木祐子元校長が以前、
「本校では、ESL用に開発された『グレープシード』という英語のカリキュラムを使用しています。入学時には個々のバックグランドにより英語力がまちまちな児童たちですが、少人数制の英語授業を通し、ほぼ1年で経験に由来する差はなくなります」
とおっしゃっていましたので、心配ないようです。
 注 ESL(English as a Second Language)
     英語を母語としない人のための英語教育を目的としたプログラム
 
また、本校のアフタースクールには12講座の内、英語の授業が3講座設けられており、これを利用することで、ハンデをなくす対策になっているのではないでしょうか。本校のアフタースクールは半端ではなく徹底していますから、学校側も自信を持って対応できると考えているようです、私見ですが。
 
共学で、高校までの一貫教育校と期待する教育内容からまとめてみましょう。
日出学園と同様、中学受験のノウハウは充実しており、HPを見ると進学状況を見ることができます。これは、現在共学ですが、それ以前は、中高は女子だけの別学であったため、男子は受験を控えていたためです。念の為、お断りしておきますが、面接で「中学受験を目指しています」は、そういう考えを持っていても、あえて言う必要はありません。
 
なお、令和3年度入試から105人募集に増え、それに伴い、校舎(ウェスト館)が増設されました。木造の校舎で、入ると木の良い香りがします。
 
 
3回に分けて、「私学の建学の精神、教育方針の理解の仕方」について、「おとうさん、おかあさんの受験対策」(めぇでる教育研究所 刊)からピックアップして紹介しましたが、これは、あくまでも「わたしども流の考え」にすぎません。
こういった解釈を情報として公表するのには、少し、心配があります。それは、幼稚舎が作文を止め、面接を廃止した理由が、あまりにも「傾向と対策化されている現状から意味がないと判断したから」とおっしゃったことと同じ理由からです。一つの考え方、ヒントとしてお読みいただき、ご自身の言葉でお話しできるようにしていただきたいと、老婆心ながらお願いしておきたいと思います。
 
間もなく夏休みに入りますが、夏休みの講習会に参加し、キチンと計画を立てて、乗り切りましょう。「夏を制する者は秋を制す」、この気持ちで頑張ってください。
 
 
 (次回は「夏休みの過ごし方」を予定しています。)
 

 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>建学の精神、教育方針の理解の仕方(2) 

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第52号>
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 建学の精神、教育方針の理解の仕方 (2)
 
 
■ 暁星小学校
 
もやしっ子をなくすためにサッカーを取り入れた学校といえば、暁星小学校です。今は、どうでしょうか。もやしっ子は、たくましくなり、全国高校サッカー選手大会に出るほどの実力を備え、強豪といわれるまでになりました。
サッカーは、かなり、過激なスポーツです。手は使えませんから、体を張った足技が、ものすごいですね、このことです。
サッカーは、まさしく格闘技です。ワールドカップ等を見ていても、「ここまでやるか!」といったプレーが随所に見られます。ですから、イエローカードやレッドカードと、反則に厳しいペナルティーを与えます。「ルールを守って戦うフェアーな精神の持ち主」であることも大切な条件です。さらに、11人で戦うゲームですが、一人ひとりは、敵を自分に引き付けておき、ぎりぎりのところで味方にパスをつなぎ、最後にゴールポストにシュートを決めるチャンスを勝ち取れるのは、たった一人です。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬あり」ではありませんが、犠牲的な精神が求められます。チームワークです。フェアーな戦いとチームワーク、ここに学園の教育の礎があるのではないでしょうか。
 
小学校の門には、「困苦や欠乏に耐え、進んで鍛練の道を選ぶ気力のある少年以外は、この門をくぐってはならない」と書かれた額が掲げられています。
 
以前の説明会では、小学校時代、運動の苦手だった子が、友の誘いでサッカーに挑み、サッカーチームの一員となったばかりか、切磋琢磨して難関校へ合格、共に励ましながら目標を達成する「鍛える教育」の成果を作文で披露しましたが、よくわかる話でした。
 
高校までの一貫教育に関しては、そのまま大学へ進んでしまうより、社会へ出る前に受験勉強をし、その厳しさを体験させるべきだと考えるお父さん方が多いようで、進学状況を見ても、生徒はしっかりと応えていることもわかります。
 
「宗教教育」「別学の教育環境」「高校までの一貫教育制度」に期待すること、プラス、「困苦や欠乏に耐える気力のある少年」をどのように解釈するか、ここがポイントではないでしょうか。「質実剛健」だけでは、説明しきれないのではと考えます。
 
以前、佐藤前校長が説明会で、暁星小学校の鍛える教育のイメージは、日本昔話のキャラクターでもある「気は優しくて力持ち」といっていましたが、この比喩はわかりやすいのではないでしょうか。吉川直剛校長からも、同じ話を聞くことができました。
ちなみに、運動会の入退場門、本校の入場門は健闘門、退場門は勇退門となっています。
 
コロナ禍前の面接では、志望理由や育児の方針といった質問ではなく、お子さんとゲームをしながら、その対応の仕方や、そばで見ているお母さん(またはお父さん)にゲームの様子を聞くなど、従来の面接とは違った形で行われる年もありました。
 
模擬面接の入室時にじゃんけんをして席を決めるときがありますが、「最初はグー、じゃんけんぽん!」、わずか数秒のことですが、照れずにじゃんけんに興ずる親子、見ていてもほのぼのとしますね。学校側の目的は、ありのままの親子の姿、家庭を見ることにあったと思います。
 
コロナ禍以降、保護者面接が続いています。本年も「保護者面接」となっていますが、親子面接に戻る日はくるのでしょうか。
 
 
 
■ 青山学院初等部
 
青山学院初等部は、ミッションスクールは別学が多い中で、めずらしく共学です。ランドセルも通信簿もありません。これが青山の教育方針です。
ランドセルは、昭和40年に廃止しています。その理由は、ランドセルは、「学校追従型のシンボル」と考えているからだそうです。1に勉強、2に勉強、3、4がなくて5も勉強です、現代の子どもたちは。
家で宿題やら予習やら復習をひたすらこなす前に、「家庭で、きちんと身につけなければならないことがありませんか」ということではないでしょうか。
 
家庭でしっかりとやらなくてはならない基本的な生活習慣やしつけ、言葉遣い、そして情操教育が、なおざりにされていないでしょうか。青山は、家庭での教育を重視しているということです。
 
通信簿は、相対評価が多いものです。
5が2人いれば1も2人といった評価ですから、通信簿は相手との比較表になりがちです。比較表ではなく、学習の質を問うのが勉強の評価ではないでしょうか。ですから、期末試験の結果や出てきた偏差値といった評価をする資料のない状態で、先生と子ども、先生と保護者が、直接、話し合うそうです。
 
通信簿がないことは、結果よりプロセスを重視する学習観ではないでしょうか。
自分で考え、判断して、行動する、自発性です。結果さえよければそれでいいという価値観と違い、思考力、判断力、行動力を育てる教育で、学習指導要領が掲げる“アクティブ・ラーニング”と同じではないでしょうか。
 
ところで、意外に知られていないことがあります。
 
初等部のHPを開き、「教育の特色・紹介」のところの「国内短期留学・止揚学園」をご覧ください。30数年前、ある本を読み知ったのですが、「すべてが教場」の意味を理解できたものでした。青山学院は、こういう教育を実施している学校でもあるのです。
 
「宗教教育」「共学」「大学までの一貫教育制度」に期待することは何でしょうか。「共学」を忘れがちですが、これも大きな特徴です。そういったことから、まとめてみましょう。
 
 
 
■ 国府台女子学院小学部
 
国府台女子学院のことを、千葉の白百合学園とさえおっしゃるお母さん方がいました。小学部の入学試験の難しさといい、大学への進学状況を見ても、「さもありなん」と思わざるをえないほど実績を上げています。近年、コンスタントに医学部医学科や薬学部への進学者が出ていることからも、「社会で活躍できる女子を育てる」方針が着実に実を結んでいるのではないでしょうか。
 
価値観が多様化し、社会全般が「エニシング・ゴーズ、何でもあり」の風潮を歓迎するムードもありますが、そういったウイルスに感染することなく、小さい頃から一つの価値観に基づいた教育を受けさせたい、そう考えるご両親が増えていることも事実です。
 
仏教に基づく教育を行い、女子だけの、高校までの一貫教育校です。
 
月毎に行われる仏教行事は、本学院の教育理念である「敬虔・勤勉・高雅」を身につけるための、貴重で重要な教養、教化となっています。「教養は、徳をみがき、人格を高めること」で、「教化は、キョウゲと読み、人を教え、よい影響を与えて善に導くこと」だそうです。となると、教育理念である「敬虔・勤勉・高雅」を、どのように解釈するかが問題になってきます。
 
たいへん難しい言葉です。HPにも解説がありますが、独自に解釈してみると、こうなります。
「敬虔」は、仏につつしんで仕えることから、深く敬って態度をつつしむさま。
「勤勉」は、勤めて骨を折ることから、何事も一所懸命。
「高雅」は、気高く、雅(みやび)やかなことから、だれからも愛される気品。
 
このように置き換えてみると、わかりやすいのではないでしょうか。「つつましく、一所懸命に頑張る、心のやさしい子」といった子ども像が浮かんできます。そういった子どもに育ってほしいと考え、育児の基本にしているご両親であれば、学校の教育方針と一致していることになります。
以前、教育理念を俳句もどきに、
 
  ひたむきで つつしみぶかく みやびやか
 
などとお母さん方に紹介していたこともありました(笑)。
 
ある年の説明会で、平田史郎学院長は、不作法で言葉遣いの乱暴な者を評して、「訓練されていない個性は野性である」とおっしゃっていました。
 
女子だけの環境については、「女子だけだからいいのです。女の子しかいないので、男子のする仕事までやることになり、体験の幅が豊かになります」といわれ、共学にする予定は、まったくないと断言しています。幼児教室対象説明会でも、その時々のデータを提示しながら女子教育の効果を強調しています。
 
こういったことをヒントに、「宗教教育」「女子だけの教育環境」「高校までの一貫教育制度」に期待することをまとめてみましょう。
 
 
(次回は、「建学の精神、教育方針の理解の仕方(3)」 についてお話ししましょう)
 
 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>建学の精神、教育方針の理解の仕方(1) 

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第51号>
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★説明会情報★
 慶應義塾幼稚舎 
  ・学校説明会(動画配信)※WEBからの申込要
    視聴期間:現在配信中で、7月5日(金)16:00まで
 
  ・学校見学会 7月6日(土)受付中
   
 
 
建学の精神、教育方針の理解の仕方 (1)
 
何やら、いかめしいタイトルで恐縮ですが、今回と次回に分け、建学の精神や教育方針を、どのように理解しておかなければならないかについて、例を挙げながらお話ししましょう。 
 
模擬面接では、お父さんに志望理由を伺うことが多いのですが、これでは本番で困ったことになるのではといった回答があります。それは、願書に書かれている志望理由を、そのままおっしゃる場合です。
 
たとえば、白百合学園小学校でいえば、
「御校の校訓である『従順、勤勉、愛徳の三徳』が、我が家の育児の方針とあい通じるところがあり、心から賛同できますので志望いたしました」
と答えたとします。
「では、三徳について、具体的にどのようにお嬢さんに教えていますか」
と尋ねてみると、はっきりとした答えが返ってこないことが起きがちです。これでは、志望理由になりません。説明会でも、三徳について簡単な説明があり、配布されたパンフレットにも書かれています。
 
 従順 すすんでみがこう正しい心
 勤勉 すすんでなんでも一生けんめい
 愛徳 すすんで親切よろこんで
 
これを、このまま願書に書き、口頭で答えるのもどうでしょうか。
 
「従順は素直な心、勤勉は最後まで頑張る子、愛徳は思いやる心」と置き換えれば、皆さんが育児で、大切にしていることではないでしょうか。
 
「私どもでは、素直な心、頑張る心、思いやる心を大切に育ててきました」と答えることができれば、すなわち、「従順、勤勉、愛徳」の三徳を、育児の中心にしてきたことになり、「心から賛同できる」となると思います。
 
こういったように、ご家庭の育児の方針と学校の教育方針が、限りなく近ければいいのですから、やはり、育児の姿勢に一本の筋がなければ、あやふやな回答になりがちです。
 
そして、学園全体のことも考慮されて、「宗教教育に何を期待しているのか」「女子だけの教育環境になぜ、賛成なのか」「大学までの一貫教育制度に期待することは何か」をまとめることです。
 
先週号で、併設の中高の進路状況を見ておきましょうとお薦めしましたが、大学への進学状況を見ておくことも大切です。白百合学園の中学・高等学校のHPを開いてみると、そのまま大学へ進む生徒は少ないこともわかります。     
              
ところで、平成25年の説明会で、校章の解説がありましたが、デザイン化されたユリの花の中央は「従順」、左側が「愛徳」、そして右側が「勤勉」を表しているそうです。校歌にジャンヌ・ダルクが出てきますし、「清くかんばし白百合の花」で始まり、終わりは「命のしるし白百合の花」……、白百合の目指す女性像は、半端ではありません。
 
もう一例として、日本女子大学附属豊明小学校の「三綱領」についてお話ししましょう。
学校案内には、こう説明してあります。
 
 信念徹底(正しいと考えたことはやり遂げる)
 自発創生(自ら考え、工夫し、実行する)
 共同奉仕(心を合わせて皆のために仕事をする)
 
信念徹底とは、はじめたことは途中でギブアップしないで最後まで頑張る子。
自発創生とは、夢中になって遊び、楽しく遊ぶ工夫のできる子。
共同奉仕とは、友達と仲良く遊べる情緒の安定している子。
 
こう考えると、わかりやすいのではないでしょうか。
こういったことを大切に考え、子育てをしているご家庭は、日本女子大学附属豊明小学校の教育方針と一致していると思いませんか。
 
それならば、願書に「三綱領に賛同いたしまして志望させていただきました」とお書きになられても、では具体的にと尋ねられた場合、躊躇せずに話せるのではないでしょうか。
そして、「女子だけの教育環境」「大学までの一貫教育に期待すること」をまとめるべきでしょう。
 
次は、面接をやっていない学校ですが、願書は提出しますから、やはり、志望理由は明確にしておかなければなりません。
出願者が、もっとも多いといわれている慶應義塾幼稚舎です。
 
最初の頃に触れましたが、もう一度、紹介しておきましょう。
第一に、教育方針の中に掲げてある独立心と自尊心、「独立自尊」の精神です。
この言葉は、福沢諭吉翁の精神として、明治33年に発表された「慶應義塾修身要領」の中で初めて使われた言葉です。
 
「自分の自由独立を守るためには他人の自由を認め、またその人の独立をも尊重しなければならない。人はすべて自主的、自発的に判断して行動する習慣をつけなければならない」
 
つまり、あることに関して、他人の考えに左右されずに、自分の考えや判断を最も尊ぶ心が自尊心であり、他人はどうあっても、自分はこうだという信念のある態度で生活することが大切であるということでしょう。
 
独立自尊については、この話がわかりやすいと思います。
新入生が入学したときに、三つの約束をします。
 
 一つ、嘘をつかない。
 二つ、お父さん、お母さん、先生のいいつけを守る。
 三つ、自分でできることは自分でする。
 
普段から、お子さんにいって聞かせていることを考えると、
「嘘をついてはいけません」
「約束は守りなさい」
「自分でできることは自分でしなさい。お母さんを頼っても知りませんよ!」
だとします。
そして、これらをやらないと叱り、諭しているとします。
お母さんの育児の姿勢と幼稚舎の教育方針と一致していることになりませんか。
 
この三つの教えは、先の諭吉翁の10ヵ条から成る「慶應義塾修身要領」の中から、特に大切な項目を取り上げたもので、通信簿の第1ページにも記されています。
成績をみるよりも前に目を通してほしい大切な事項、という意味からだそうです。
 
第二は、幼少時の者には、身体の健康と品格に重きをおく、「先ず獣身を成して後に人心を養え」の教えですが、これは「福澤諭吉全集」第六巻257ページにあるもので、これをどう解釈するかでしょう。
 
「獣身を成す云々」は、この話がいいでしょう。           
 
 「塾生皆泳というモットーを、日常の教育に文字通り実践しているのは幼稚舎である。幼稚舎を卒業するまで、プールで千メートルを全員で泳ぎ切る見事な成果は、先ず獣身を成せとの教えの端的な一歩であった」
 
卒業までに、千メートル皆泳です。
まだ、あります、冬の寒い時期の縄跳びです。
 
この二つのことに関しては、説明会でも力説されていました。
 
ところで、運動会場には入場門と退場門がありますが、幼稚舎の場合は、入り口は「獣身門」で、出口は「人心門」となっています。「陸の王者慶應」は、幼稚舎時代から鍛えられているわけで納得できました。
 
毎年、「担任の6年間持ち上がり制度」について詳しい説明がありますが、これも大切な教育方針であることはいうまでもありません。それに加え、「大学までの一貫教育に期待すること」「共学の良さ」を考慮されてまとめられてはいかがでしょうか。
 
話を戻しまして、このように、建学の精神や教育方針とご家庭の育児の方針に、どういった接点がうかがえるか、これを見つけだすのがポイントだと思います。
それがきちんと整理できれば、面接は、恐くありません。
 
新約聖書にある「始めに言葉あり」ではありませんが、小学校の受験は、「始めにご家庭の育児の姿勢ありき」でなければいけないといってきた理由は、ここにあるのです。
 
「絵に描いた餅」は、所詮、飾りもので役に立ちません。
面接に臨み、ご自身の考えを、ご自分の言葉で話すには、やはり、「我が家の育児の姿勢」が、しっかりとしていることが大切なのです。
 
古い話になりますが、文明開化を目指した明治時代、文部省から高等小学校(現在の5、6年生)の親に配布された「家庭心得」に、
「教育の道は家庭の教えで芽を出し、学校の教えで花が咲き、世間の教えで実がなる」
とあるそうで、まさに「はじめにご家庭の育児の姿勢ありき」、そのものではないでしょうか。
 
最後に、一言。
 
夏休みの講習会は、心身ともに鍛える絶好の機会です。
その体験を家庭学習に取り入れてほしいのです。継続は、間違いなく力を育みます。
 
「夏を制する者は秋に祝福を受ける」などとあおるようで気が引けますが、今年の夏休みのスケジュールは、お子さん中心に過ごせるようきちんと立て、頑張ってください。
 
また、お父さん方へ、模擬面接をお受けになることをお勧めします。
お父さんはともかく、お母さんやお子さんが、どのくらい緊張するかを知ってほしいのです。
後で悔やんでも始まりませんから、できれば秋に入る前に一度は受けておきましょう。
 
 
(次回は、暁星小学校、青山学院初等部、国府台女子学院小学部に関してお話しましょう)
 

 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>志望校選びの10のチェックポイント(3) 

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第50号>
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 志望校選びの10のチェックポイント(3) 
 
 
[七]志望理由
 
七番目は「志望理由」です。建学の精神や校訓、設立理念などを、どのように解釈するかでしょう。それが、ご家庭の育児の方針と、どういった接点があるかを、きちんと把握しておくべきです。学校側のいう「共通認識」です。母校を受験される場合は、ご自身の経験されていることですから問題はありませんが、出身者でない場合は、重要なポイントになります。学校側も、なぜ、受験されるのか、聞きたくなるのも当然ではないでしょうか。
 
雙葉小学校の校訓、「徳においては純真に、義務においては堅実に」について考えてみましょう。
これについては、ある年の横浜雙葉小学校の説明会で聞いたもので、文言は正確ではありませんが紹介しておきましょう。
 
「『ママ、これを手伝ったら、何かを買ってくれる?』と、見返りを考えるような子どもに育てるようでは、『徳においては純真に』ではないということで、4歳、5歳の子ができることを、お母さんの手を借りなくてはできないようでは、『義務においては堅実に』とはいえません。そういう子育てをしているご家庭のお子さんを、雙葉は歓迎しません」
 
つまり、「思いやりのある、自分のことは自分でしっかりやろうとする子」がほしいということでしょう。
そういう育児をしていれば、志望理由を聞かれても、私どもの育児の姿勢と一致しているから受験したと、自信を持っていえるのではないでしょうか。これが志望理由で、いちばん大切なことです。
 
聞いた話ですので、正確ではないかもしれませんが、ある学校の面接で、お子さんに、
「お母さんが作ってくれるお料理で、いちばん、おいしいのは何ですか?」
と尋ねたところ、
「電子レンジで、チーンをするカレーライスです!」
と、元気に答えたのです。
そして、お母さんに、
「なぜ、本校を受験されたのですか」
との質問があったのですが、お母さんは、躊躇せずに、
「御校の手作りの教育方針に賛同して、受験させていただきました」
と答えたとのことでした。
 
面接された先生も驚かれたでしょう。電子レンジで温める料理と手作りの教育では、違和感がありますから。
 
「育児の方針」と「学校の教育方針」に矛盾があるような志望理由では、今紹介したようなことになりかねません。絵に描いた餅のようなことをいっても、説得力はないでしょう。学校と家庭の考え方に食い違いがあっては、教育は成り立ちません。
 
コマーシャルになりますが、当研究所の「面接ここがポイント」の一読をお勧めします。詳しくは、ホームページ(https://www.medel.jp)をご覧ください。
 
 
 
[八]ご家庭の教育方針
 
八番目は「ご家庭の教育方針」についてです。学校側がいう「ご家庭の教育方針」とは、「ご両親の育児の姿勢」のことで、難しく考える必要はありません。
 
どんな時に褒め、どんな時に叱るか、箇条書きにしてみましょう。
 
できあがったものが、ご家庭の教育方針です。「嘘をついたら怒るよ」といえば、「嘘をついてはいけません」となるわけです。いろいろと出てくると思いますが、その日の気分次第で怒って、また、あとで怒らなければよかったと後悔するのは、教育方針ではありません。
 
ご両親で、別々に書いてみましょう。
 
一致していれば、ご両親の子育ては、うまく連携が取れているといえます。したがって、怒ったり叱ったりすることも少なくなっているはずです。反対に、異なる点が多ければ、育児の姿勢に問題ありといえるでしょう。被害者は、お子さん自身であることを忘れてはいけないと思います。
 
「叱る」と「怒る」は、全く違うことを知っている賢いお父さん、賢いお母さんになってください。
 
 
 
[九]お子さんの長所と短所
 
九番目は「お子さんの長所と短所」についてです。お子さんの長所と短所を箇条書きにしてみましょう。これも、ご両親で別々に書いてください。
 
お母さん方は、やや主観が入りすぎる傾向にあるように感じますので、注意が必要です。育児でうまくいっているところが長所で、そうでないところが短所として、表われているのではないでしょうか。
 
短所は、ご両親の育児の反省点として、修正していきましょう。子どもの短所を叱る前に、そういう環境で育ててきたことに目を向けるべきです。また、ご両親の性格を受け継いだ、いわゆる遺伝もあるかも知れませんから。
 
 
 
[十]テストの形式
 
最後に、テストの形式です。
小学校の入学試験は、ペーパーテストが中心になっていましたが、平成4年度から導入された幼稚園教育要領で、保育の方針が、従来の一斉保育から自由保育に変わりました。その結果、入学試験にも変化が見られ、ペーパーテストだけではなく、行動観察型のテストもする学校がふえてきたのです。
 
テストの形式を簡単に説明しますと、ペーパーテストは、持ち点百点から始まり、できなかった問題の合計点を引く減点方式であり、行動観察型のテストは、持ち点ゼロから始まり、できた問題の合計を加算していく加点方式といえると思います。
 
大胆な表現ですが、一斉保育は、みんな同じ方向を向き、「こういったことができないから、できるようにしましょう」という保育であり、自由保育は、みんな違った方向を向き、「子ども一人ひとりの個性をのばしましょう」という保育と考えると、一斉保育は減点方式的であり、自由保育は加点方式の保育といえないでしょうか。このように考えると、学校側のテスト形式の変更も納得できると思います。
 
さらに、平成12年度から、東京女学館小学校が、親子面接だけというAO型入試(アドミッション オフィス)を導入、一般入試と2つの方法で入試を行っています。誤った情報から、親子が過激な受験準備に落ち込まないためにも、画期的な方式として評価されています。令和7年度の募集人数は一般約30名、AO型約45名となっています。当初は一般が35名、AO型40名でしたので、この変化からも学校側の考え方を伺うことができます。
 
このように、学校によってテスト形式が違っていることにも目を向け、適切に対応すべきだと思います。
 
 テスト形式                                  
  ・ペーパーテスト中心
    暁星小学校、雙葉小学校、白百合学園小学校、東洋英和女学院小学部、立教女学院小学校、光塩女子学院初等科、国府台女子学院小学部、昭和学院小学校、日出学園小学校、千葉日本大学第一小学校など。
 
  ・行動観察
    慶應義塾幼稚舎、学習院初等科、青山学院初等部、成城学園初等学校、立教小学校、桐朋小学校、桐朋学園小学校、川村小学校など。
    ※青山学院初等部は令和3年度よりペーパーテストも行われています。
 
   
  ・個別テスト
    成城学園初等学校、桐朋小学校、桐朋学園小学校など。
 
  ・体験入学方式
    横浜雙葉小学校
    ※コロナ禍で内容が変更されましたので、現在では体験入学方式ではなくなっています。ただし、今までの経緯から敢えて掲載しております。
 
  ・AO方式
    東京女学館小学校(一部)
 
 
 
 
さて、改めてまとめますと、今までお話ししてきたのは以下の10項目になり
ます。
 
[10項目のチェックの方法]
 
  [一]一貫教育制度       [六]健康状態
  [二]共学制度         [七]志望理由
  [三]別学制度         [八]ご家庭の教育方針
  [四]宗教教育         [九]お子さんの長所と短所
  [五]通学距離と所要時間    [十]テスト形式
 
以上の10項目を、以下のようにチェックしてみましょう。
 
  [九]お子さんの長所と短所
  [八]ご家庭の教育方針
  [七]志望理由
  [五]通学距離と所要時間
  [六]健康状態
  [一]一貫教育制度
  [二]共学制度
  [三]別学制度
  [四]宗教教育
 
私たちの子どもには、こういう長所があり、こういった短所がある。
それは私たちが、こういう家庭の教育方針で育ててきたからだ。
そこで[一][二][三][四]のチェックポイントを基に、学校を調べると、○○小学校が、わが子にはふさわしい教育環境であることがわかる。
1時間以上かかり、電車を2回乗り換えるけれど、自力で通学できるか。
このような答えが出てくると思います。
 
参考までに、[一]~[四]のチェックポイントに該当する学校の一部を紹介しておきましょう。
 
共学で大学までを希望すれば慶應義塾幼稚舎、学習院初等科、早稲田実業学校初等部、成蹊小学校、成城学園初等学校、千葉日本大学第一小学校、桐蔭学園小学校、慶應義塾横浜初等部など。
昭和女子大学附属昭和小学校は、中高大は別学。聖徳大学附属小学校は大学が別学。
 
共学で高校までの学校は、森村学園初等部、日出学園小学校など。
 
共学で短大まである学校は、昭和学院小学校(姉妹校の昭和秀英は中高一貫教育)
 
別学で大学までならば、日本女子大附属豊明小学校、川村小学校など。
 
宗教教育がいいとなれば、共学で大学までならば青山学院初等部、玉川学園小学部、聖学院小学校(中高は別学)、淑徳小学校など。
 
別学の男子で高校までを望むなら暁星小学校、大学までなら立教小学校。
 
女子では高校までならば、雙葉小学校、田園調布雙葉小学校、横浜雙葉小学校、光塩女子学院初等科、東京女学館小学校(東京女学館大学は2016年3月で廃校)、国府台女子学院小学部など。
 
大学までとなると白百合学園小学校、東洋英和女学院小学部、聖心女子学院初等科など。
 
小学校だけでいいとなれば国立学園小学校。聖徳大学附属小学校は、男子は小学校まででしたが、2021年からは高校までの共学となりました。
桐朋小学校(仙川)、桐朋学園小学校(国立)は、小学校は共学ですが、中高は別学。
 
ただし、かつて白百合学園小学校の説明会で「併設中学には、ほとんど進学していることを一言申し添えておきます」とおっしゃっていましたが、一貫教育制度だからといって、無条件に進学できるわけではなく、お子さんの努力しだいとなることを改めてお伝えしておきます。
 
また、聖心女子学院初等科の説明会で、「私どもの学校は文系ですから、理系に進む場合は受験になりますが、最近、増える傾向にあります」とおっしゃっていました。大学に学びたい学部がなければ、高校までの学校と同様、受験することになります。
 
さらに、中学進学の際に他校へ受験するケースも多く、併設校への進学と外部受験の状況については、小中高のホームページに詳しく掲載されていますので、ご覧になることをお勧めします。
 
なお、聖心女子学院は4-4-4制の導入により中学での募集はなくなりましたが、ファーストステージは1クラス32名3学級で96名、セカンドクラスは1クラス40名3学級で120名編成のため、不足となる24名は、5年生の転入・編入試験で募集しています。応募資格は「原則国公立小学校在籍」です。詳しくはホームページをご覧ください。
 
最後に結論として、[六]から[九]までが、きちんとできあがらなければ、学校選びは、お子さん中心になっていないと思います。特に、[六]の健康状態、心身共に健康でなければ、小学校の受験は、無理であると断言しておきましょう。
 
さらに、私立を受験される方には、言わずもがなのことですが、公立の学校は、無理のない時間内で、幼稚園や近所の友達と一緒に通えますが、私立の場合は、友達と別れて、時間をかけ、しかもたいへんなお金をかけて通学させるわけです。本当に、お子さんのことを考えて選んだのでしょうか。自信を持ってうなずけるご両親であるように、よく話し合ってほしいと思います。
 
そして、しつこく繰り返しますが、ご家庭の教育方針と学校の教育方針に違和感のないことが、ベストの学校選びとなるのです。
 
次回から3回に分けて、志望理由の決め手となる学校の建学の精神や校訓、教育方針について簡単な解説をしてみたいと思います。
 
 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>志望校選びの10のチェックポイント(2) 

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第49号>
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 志望校選びの10のチェックポイント(2)
 
 
 ★説明会情報★
  雙葉小学校
   日時 7月19日(金)、20日(日)
      (22日~28日に動画配信)
   場所 雙葉小学校
   申込 6月17日(月)10:00~ WEBにて申込   
   対象 保護者の方1名のみ
     
 
  国府台女子学院小学部 第2回学校説明会
   日時 7月6日(土)10:00~ 
   申込 WEBにて受付中   
   備考 人数制限はありません。
   
  詳しくは各校のホームページをご覧ください。
 
 
 
[四]宗教教育について
 第四は「宗教教育に、何を期待しているか」です。
 
「宗教教育について、よくわからないのですが」
「信者にならなければいけないのでしょうか」
などとおっしゃる方が、少なくなったとはいえ、時々、こういった質問を受けることがあります。
宗教教育、例えば、キリスト教の場合は、キリストの教えに基づいた教育が行われますから、入学試験に際しても、信者でなければ不利といったうわさの流れた時期もありましたが、今では、そう信じる方はいないのではないでしょうか。
 
本来、ミッション系の学校は、宗教を布教することを目的としていますが、だからといって、信仰を強制することはありません。「在学中に洗礼を受けなければならない」といった怪情報があるようですが、それも単なるうわさに過ぎません。
 
説明会でも、
「信者でなくても結構ですし、お坊さんや神主さんのお子さんもいます。国籍、宗教、学歴、職歴、一切、関係ありませんが、条件といえば、日本語がわかることです」
とおっしゃっています。
 
入学後、お子さんは、キリストの教えにしたがった生活を始めます。例えば、食事の際にお祈りをしますが、その時に、「私は知らん」と、勝手に食事をしてもらっては困るということであり、学校の行事は、イースター、みこころ祭のように、宗教が中心となっていることを了解してほしいといったことなのです。
 
また、信者でない方のために「宗教講座」などを設けて、親子で学んでほしいといっていますから、何ら心配はありません。
 
それよりも大切なのは、宗教教育を通して、お子さんに何を学ばせたいかなのです。
 
皆さんは、普段から、
「嘘をついてはいけません」
「自分のことは自分でしなさい」
「人に迷惑かけてはいけないよ」
「ありがとうという気持ちを大切にしようね」
と言っているのではないでしょうか。これは、どれ一つを取り上げても、宗教の基本的な倫理です。キリスト教の愛、イスラム教の施与(施し与えること)、仏教の慈悲など、すべての宗教が唱える教えの礎(いしずえ)となるものです。
こういったことを大切にしていれば、学校側の指摘している「ご家庭の育児の方針と学校の教育方針が一致していること」になるのです。
 
価値観の多様化する世の中で、小さい時から絶対的な価値観、例えば、幼稚園で、「これは白色です」と教わったことは、大学へ行っても変わらない指導を受けられる教育、「心の教育」といいますが、そういったブレのない建学の精神に基づいた教育を受けさせたいと考えるご両親が増えていることも確かです。
 
知識だけを詰め込む知育偏重型から、感情と意志を育む情意育成型の教育、これが私学の大きな特徴でもあるわけです。
     
宗教教育について、非常にわかりやすい話があります。あるミッション系の学校の説明会で聞いた話で、文言は正確ではありませんが紹介しましょう。
 
この学校は日記指導に力を入れているのですが、ある年のこと、一年生が絵日記に、「昨日、お父さんとお母さんがけんかして、私は、さみしかったです」と書いてきたそうです。読んだ先生は、一年生の子が「さみしかった」と表現したことに感激して、五重丸の花丸をつけて返しました。
 
喜んだ子どもは、家に帰ると、「ママ、見て!」と嬉しそうに見せたものです。
 
ほめられると思っていた子どもは、お母さんから、「あなたは、なぜ、こんなことを書いたの!」と怒られてしまいました。日記を書くもう一つの目的は、「嘘をついてはいけない」ことを教えることなのです。日記を通して、宗教教育を実践しているわけです。
 
「昨日、日記を見せたら、ママに叱られました」
 
と、子どもは、あくまでも正直に書くわけです。すると、もっと大きな花丸がついて返ってきたので嬉しいのですが、お母さんには、もう見せません。怒られるとわかっていますから。
 
後日の父母会の折り、
「日記指導についてですが、私たちは作文を通して、子どもたちに嘘をいってはいけないと教えています。正直に書いたお子さんを叱るのは、お母さんが、『都合の悪いことは嘘をついてもいいのよ』と教えているのと同じではありませんか。『嘘をついてはいけない』というのが私達の教育の基本ですから、ご家庭でも、きちんと守ってください」
と先生はおっしゃったそうです。
 
いかがでしょうか、これはわかりやすい話だと思います。宗教教育は、学校の礼拝堂や日曜学校の教会でお祈りをして賛美歌を歌うといった表面的なことではなく、日常生活に、限りなく密着しているわけです。
                  
また、説明会で、賛美歌を歌い、牧師さんの講話(聖書の話)を聞き、お祈りをし、「アーメン」と唱和する学校があります。教会へ一度も行ったことがなく、ミッション系の学校を希望されるお父さん方に、是非とも参加してほしいのです。
 
それは、青山学院初等部の説明会です。今年も例年通り米山記念礼拝堂で行います。
 
参加されて、違和感を覚えたら、志望校選びを真剣に考え直すべきでしょう。
 
最近では、立教小学校も「開会(閉会)礼拝」を行っていますが、「アーメン」と唱和される方は少ないですね。以前のチャプレンは、「宗教の香りのする学び舎」と言っていましたが、説明会会場の上にある礼拝堂で、しばし時間を過ごすと、何となく思いは伝わってくるものです。
ただし、2024年は新校舎建設事業の関係で、説明会が仮校舎で行われるため、礼拝堂に入ることができず残念です。
 
かつて、あるミッション系の説明会で校長先生は、「信者でない方々に宗教上の儀式、お祈りなどを強制するのはいかがなものかと考え、私どもはやりません」とおっしゃったことがありました。いずれにしても、宗教の香りには、入学後、ほのかにただよう中で、自然と馴染んで行くようです。
 
 
 
[五]通学距離と所要時間
 
次は、「通学距離と所要時間」についてです。
 
国立大学附属小学校の場合は、地域指定や通学時間に制限がありますから、条件を満たさない場合は、受験できません。 
 
私学でも、桐朋小学校は通学地域を指定し、所要時間は60分以内、乗車時間は40分程度、乗り換えは2つまで、桐朋学園小学校も60分程度、雙葉小学校、立教女学院小学校は1時間以内、入学後引越しされてもこの条件を守ることになっていますが、多くの場合、通学時間、距離は、保護者の判断に任せています。
 
通学に1時間かかるとして考えてみましょう。8時までに登校するには、遅くとも7時前には家を出ます。その前に食事、着替えなどの準備が必要ですから、お子さんは6時に起床、お母さんは、朝食の支度のため5時半には起きることになるでしょう。週五日制が徹底されても、毎週五日間、この時程が繰り返されます。さらに、学校が都心にあれば、通勤ラッシュの時間帯に通学ということも考えられます。心身共に健康でなければ、通い切れません。
 
ここで、3つだけ質問しておきましょう。
 
その1、お子さんは、十分ぐらい歩くと、「おんぶして!」と言いませんか。
その2、遊園地などで迷子になった時に、係の人に名前と住所を聞かれたら言えますか。
その3、電話をかけられますか。
 
模擬面接で、住所も、電話番号も言えるお子さんに、
「ディズニー・ランドへ行ったとき、迷子になったらどうしますか」
と聞くと、答えられない場合があります。こういったちぐはぐなことが、入試準備として行われているようです。
 
迷子になったら、制服を着ている係の人に、住所と名前を言えば、場内に放送して、親に知らせてくれます。何のために住所や電話番号を覚えておくかを教えずに、面接のために記憶させていると、言えるけれども、それを使って何をするかがわからないのです。
 
これが、記憶だけに頼る受験準備のマイナス点ではないでしょうか。目的が分からないで知識だけを詰め込んでしまうと弊害が起きるもとだと思います。
 
「覚えさせておけば事足りる」といって教え込んだことは、幼児期には余り役に立たないものです。
 
かつて、ある学校の説明会で、「登下校中に、関東大震災級の地震が起きた場合、学校としては、とるべき手段がありません」と言ったことから、「学校の近くに住む子が有利、遠方からの通学者は不利」といったうわさが流れました。
東日本大震災以降、安全に通学できることも、学校選びの重要な条件になったようですが、学校側も、校舎の耐震性や飲料水、食料品の備蓄など災害対策には万全を期しています。
 
問題は、登下校時に起きたときの対策でしょう。幼いなりに対応できる、そういった育児をしっかりと心がけ、自立心を育てるべきではないでしょうか。
 
早稲田実業学校初等部は、保護者が同伴できるのは、入学式と翌日の始業式だけで、3日目から一人で通学します。しかも、携帯電話を持つことも禁じられています。
 
安全のために出来る限り保護者の同伴を望む傾向にあるようですが、それはともかくとして、子ども達の自立を妨げる過保護、過干渉の育児は、絶対にやめるべきです。
                        
通学距離、所要時間は、単に物理的な距離、時間ではなく、こういった精神的な面も考慮すべきではないでしょうか。
 
また、日本女子大学附属豊明小学校、聖心女子学院初等科も始めましたが、アフタースクール、学童保育も充実してきました。最長19時までの学校もあります。児童の安全を考慮し、自家用車でのお迎えを認めている学校もありますが、厳しい約束事もあり、説明会へ参加された時に確認しておきましょう。
 
 
 
[六]健康状態
 
「健康状態」についてですが、これは小学校受験で、もっとも大切なことです。
健康といっても体だけではなく、心身共に健康であることです。
 
小学校受験は、「初めての場所で、初めて会った同世代の子どもの集団に入り、初めて会った先生の指示を聞き、理解し、即座に対応する」ことです。自分だけが頼りの戦いです。
 
まず、話を聞く姿勢が身についているかです。
 
前にもお話しましたが、小学校の試験は、中高大学の試験と比べて、著しく異なることがあります。
 
ペーパーテストを考えてみましょう。通常、テストには、設問があり、それを読んで答えるわけです。ところが、小学校のテストには設問がなく、逆に、答えが全部、出ています。後は、スピーカーから流れてくる先生の指示を聞いて解答していきます。
 
中高大の試験では、やっているうちに、「あぁ、これは苦手だから飛ばそう。時間が余ったら後でやろう!」と自分のペースで挑戦出来ますが、小学校の試験は、これが出来ません。
 
「用意、ドン!」ではありませんが、始まればそのまま流れていきます。途中であっても、「ハイ、そこまで!」と言われれば、そこでやめないと、次の設問の説明が始まりますから、ついていけなくなります。マイペースは、認められません。
 
話を聞く力を身につける、これは試験だけではなく、何かを学習するためにもっとも必要な基本的な能力です。話を聞けなければ、何事も始まりません。話を聞く姿勢は、親子の対話から、話の読み聞かせから、指示をきちんと出すことから身についてくることを、くどいほどお話してきた理由は、ここにあるのです。
 
次に、保護者の手を借りないで、どのくらいのことが出来るかです。
 
お子さんの一日の行動をチェックしてみましょう。保護者が、どのくらい手を貸しているかを知ってほしいのです。衣服の着脱、歯磨き、洗顔、食事、排便、身辺の整理など、就学前には身につけておかなければならない「基本的な生活習慣」ですが、いかがでしょうか。
 
こういった生活習慣が身についていることは、子ども自身が、試行錯誤を積み重ねながら学習をした結果です。
 
幼児期は、この試行錯誤こそ大切な学習なのです。試行錯誤は、工夫をすることから起こります。手作業の得意な子の知的な能力が高いのは、試行錯誤を積み重ね、その手順を、きちんと学習し、覚えているからです。単なる記憶ではありません。
 
自分の頭と体を使って、
「こうしたらこうなるぞ、こうしたらまずいかな、こうやったらうまくいったぞ!」
と学習しているのです。
大げさに言えば、「誰にも頼らず、一人で生きていくための生活の知恵」を学んでいるのです。
 
小学校の受験は、問題集を買い、勉強して、「合格!」とはなりません。
 
そのことを、ものの見事に表現した言葉があります。この話も何回も紹介しましたから、もう耳にたこができているかも知れませんね。ある年のミッション系の学校の校長先生のおっしゃったことです。
「受験に必要な知識や礼儀作法なるものを泥縄式に詰め込んで、『受験準備、こと足れり』とお考えでしたら、それは誤りであることに気付いてほしい」
日常生活での積み重ねが、5歳か6歳の秋に表れるのです。つまり、ご両親の育児の姿勢が、そのまま表れます。これが小学校の受験なのです。
 
最後に、社会性や協調性といった集団生活への適応力が培われているかです。
 
これは園の先生や保育士の方に聞けば、すぐにわかります。先生方は、保護者の方に遠慮して、なかなか本当のことを言ってくれませんが、例えば、「うちの子、集団生活ではどうでしょうか」
と尋ねたとき、「多少、問題があるようですよ」といった返事が返ってきたときは、ものすごく問題があると考えて、日常生活を、きちんとチェックすべきです。多くの場合、集団生活に問題が起きるのは、ご家庭の育児の姿勢に原因があります。繰り返しますが、過保護、過干渉の育児です。
 
3歳を過ぎてもお子さんのやっていることを見て、手を貸したくなれば過保護であり、口を出したくなれば過干渉の育児と言われています。
 
過保護な育児からは、わがままで、我慢のできない子に、過干渉の育児からは、消極的で引っ込み思案な性格の子になりがちです。こういった環境で育てられていると、集団生活への適応力は、育まれません。困るのは、お子さん自身です。
   
ちなみに、脳科学者の研究によれば、集団生活への適応力の基本は、6歳頃までに身につくもので、その時期を逃すと臨界期といって、どうにも修正が効かなくなり、社会性や協調性を身につけるために、本人が非常に苦労すると言われています。
 
夏休みには「お泊り保育」があると思いますが、どういった状態であったか、必ず聞くようにしてください。親の元を離れたお子さんの本当の姿を見ることが出来るからです。
 
最近、行動観察型のテストで、集団生活への適応力を判定する問題が増えていますが、学校側は、何を見たいのか、おわかりいただけたのではないでしょうか。
 
お子さんの心身の健康状態は、いかがですか。    
 
 
(次回は「志望校選びの10のチェックポイント(3)」についてお話しましょう)

 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>志望校選びの10のチェックポイント(1) 

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第48号>
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★説明会情報★
成蹊小学校
  6月15日(土)
   申し込みは6月13日15時分まで。
   定員増となりましたが、既に残席わずかになっていす。
    
 
東洋英和女学院小学部
  6月13日(木)の説明会・公開授業は残席わずか。
  6月19日(水)オープンスクール
 
  いずれも本メルマガ発行時点での情報です。
  詳細は当該小学校のホームページをご確認ください。

 
志望校選びの10のチェックポイント(1) 
 
今回から3回に分けてお話します「志望校選びの10のチェックポイント」は、めぇでる教育研究所から発売されている、「さわやかお受験 面接 ここがポイント 小学校編」の第一章に紹介してあるもので、読んでいただければ、お役に立つと自負しています。詳しくは、めぇでる教育研究所のホームページをご覧ください。
 
模擬面接で「この学校を選んだ理由、志望理由をお聞かせください」といった質問に、ただ、その学校の建学の精神や校訓、教育目標などを、そのまま、淡々とおっしゃる方がいます。 
 
「それでは、校訓をどのように育児に取り入れていますか」と尋ねると、具体的な回答がない場合があります。校訓や教育方針とご家庭の育児の姿勢に共通点がなければ、なぜ、その学校を選んだのかわかりません。
これでは、学校側を説得するのは難しいのではないでしょうか。
 
「なぜ、わが子に、この学校を選んだのか」、ご両親できちんと考えていただく基礎資料として、ここでは、10のポイントについてお話しましょう。
 
小学校の受験に際し、もっとも重視されるのは、なぜ、その学校を選んだかという「志望理由」です。
 
出身者の場合は、ご自分の体験から選ぶわけですから問題ありませんが、そうではない場合は、学校に関する情報、例えば、建学の精神や教育方針、その学校ならではの特色、年間行事や課外活動、学童保育(アフタースクール)、併設校への進学状況などについて、わからないことが多いわけです。そういったハンディキャップを解消するために開かれているのが学校説明会です。
 
現在とは異なり、過去には説明会をやっていなかった学校もありました。
平成10年には慶應義塾幼稚舎が、同11年には日本女子大附属豊明小学校が、同12年には白百合学園小学校が、創立以来、初めての説明会を開催しました。
雙葉小学校も平成17年に、学園講堂で説明会を再開しました。昭和60年代には説明会をやっていましたから、16年ぶりということになります。
 
所謂コロナ禍では、動画配信という形での学校説明会も行われていました。
 
説明会は、貴重な情報公開の場ですから、必ず参加されて、これからお話しする10項目のチェックを行い、お子さまにもっともふさわしい学校を選んであげていただきたいと思います。
 
 
[一]一貫教育制度について
 
最初に考えてほしいのは、「一貫教育制度に、何を期待しているか」です。
 
併設校のない幼稚園があります。幼稚園だけなのですが、不思議なことに人気があり、入園することが、大変、難しいといわれています。
若葉会幼稚園、枝光会附属幼稚園に入園される方の目的は、慶應義塾幼稚舎、青山学院初等部、聖心女子学院初等科、東京女学館小学校などへの入学でしょう。例えば、こういった幼稚園の入園テストの倍率が、仮に2倍前後だとしても、その数字よりも限りなく重い2倍なのです。名門校への合格実績も折り紙付きですから、受験される保護者の期待を十分にかなえられていることがわかります。ちなみに東京の幼稚園御三家は、松濤幼稚園が廃園になり、現在は若葉会幼稚園、枝光会附属幼稚園、そして愛育幼稚園(港区、有栖川宮記念公園の直ぐ側)だそうです。
 
幼稚園と小学校だけの学校があります。
国立市にある国立学園です。西武が設立した学校で、小学校しかありませんから、ほとんどの生徒が中学受験に挑戦します。6年の間に実力をつけ、中学の名門校に入り、中高一貫教育で大学受験を考えている保護者が多いのでしょう。
ホームページの「進学指導」にアクセスすると進学状況の一覧表があり、麻布、開成、武蔵という、いわゆる中学校御三家をはじめ、どの学校に何名入っているといった情報が紹介されています。
 
なお、聖徳大学附属小学校も令和2年までは中高は女子だけの別学でしたので、男子は中学受験になり、幼稚園から進んだ場合は幼小一貫教育校でしたが、令和3年度からは中高も共学になりました。
       
高校までの学校は、暁星小学校、桐朋学園小学校、雙葉小学校、田園調布雙葉小学校、横浜雙葉小学校、光塩女子学院初等科、日出学園小学校、国府台女子学院小学部などです。大学へは、12年間で培われた実力でチャレンジしなさいというのが、こういった学校の教育方針の一つです。
 
また、保護者の立場からいえば、小学校は、お父さん、お母さんが選びレールを敷いてあげるが、後の進路は、自分で決めるという制度に賛成しているということです。社会へ出る前に、大学受験というハードルをクリアする関門が待ち受けています。つまり、厳しい競争の社会に出る前に、大学受験という戦いを経験しておくべきだと考える保護者に支持されているということでしょう。
なお、東京女学館大学は平成27年度末に閉鎖、高校までの学校になりました。
 
横浜雙葉小学校の以前の説明会で、雙葉系の学校は、幼子にキリスト教を教えるために創立された学校で、12年間、学んできたことを、よその大学へ行って布教することを目的としているので、大学を設立する方針はないといった話を聞いたことがありました。こういった学校から大学への進学率は、ほぼ百パーセントとなっています。布教といっても説教をするのではなく、自らを磨くことで雙葉学園の印象を広める、ということです。
 
しかし、だからといって、「名門大学への進学率が高いから高校までの学校でいい」という志望理由には、賛成できません。雙葉小学校では、進学校ではなく、そういった体制になっていないと説明会でも明言していますし、入学されたお母さん方も「のんびりとした学校です」と話しています。
なぜ、進学率が高いのか、教育方針やその内容をしっかりと把握する必要があります。
                    
学習院、青山学院、白百合学園、東洋英和、日本女子大学附属豊明は幼稚園から大学、大学院まで、昭和学院は幼稚園から短大まで、慶應義塾幼稚舎、成蹊小学校、聖心女子学院初等科は、幼稚園はありませんが、大学、大学院までの一貫教育校です。
 
「幼稚園から大学まである学校に入れてしまえば、受験準備は一回限りで済む」
というお母さんがいました。幼、小、中、高、大学と、そのたびに受験することはないでしょうが、もしそういうことがあると、受験する本人も、付き合う親も大変なのは事実です。幼稚園受験や小学校受験で、こういった考えが根底にあるとすれば、それは、過保護ではないでしょうか。
 
しかし、受験に費やすエネルギーはたいへんなものですし、精神的な戦いもすさまじいものがあります。そこを回避して、受験勉強をしない分、精神的にも、時間的にも余裕があるわけですから、それを学問や趣味に、と考えるのは親心でしょう。
 
ただし、一貫教育制度は、エスカレータ式に大学まで行ける制度ではないことも忘れてはなりません。それなりに厳しいものです。
 
大学までの一貫校の中で幼稚園のない学校があります。
慶應義塾幼稚舎、聖心女子学院初等科(開設していた時代あり)、東京女学館小学校、成蹊小学校、立教小学校には幼稚園はありません。
立教女学院短期大学附属天使園は、推薦入学制度を導入し、立教女学院小学校は幼稚園のある学校になりましたが、短期大学閉鎖に伴い、平成27年度入園児の卒園をもって閉鎖、幼稚園のない学校になりました。
 
四谷と田園調布の雙葉には幼稚園はありますが、横浜雙葉にはありません。
同じ系列校でありながら、調布にある桐朋小学校の方には桐朋幼稚園がありますが、国立にある桐朋学園小学校にはありません。      
 
では、どうして幼稚園はないのでしょうか。
 
これも一つの教育方針だと考えられないでしょうか。
たとえばの話ですが、幼稚園時代から、同じ環境で保育を受けた集団よりも、違った環境で、さまざまな保育を受けてきた、いろいろな子どもを集めて教育を始めましょう。つまり、義務教育と同じ狙いがあるのではないでしょうか。
 
学校を選ぶときに、こういった制度の目的を考えてみると、建学の精神の一端がわかるかも知れません。
 
 
[二]共学制度について
 
二番目に、「共学制度」について考えてみましょう。
共学の学校といえば、慶應義塾幼稚舎、学習院初等科、青山学院初等部、成蹊小学校、成城学園初等学校、玉川学園小学部、桐朋小学校、桐朋学園小学校、日出学園小学校、昭和学院小学校、千葉日本大学第一小学校などで、桐朋、桐朋学園などは、中高は別学になりますが、こういった学校を選ぶ理由としては、義務教育は共学であり、共学が自然であることでしょう。
多くの方は、共学の経験があるはずですが、私立校へ進まれた方には、共学の経験がないかも知れません。
男女、別学の環境で教育を受けられた方が、お子さんには共学を選ぶ理由、これについて、しっかりと話し合ってみることです。
 
参考までに、共学の良いところ、悪いところをあげておきましょう。
 
良いところは、小さいときから、自然に男子は女子を、女子は男子を理解するようになり、男子は男らしさ、女子は女らしさを身につけることができます。
つまり、お互いに助け合い、特性を生かして、それぞれの領域を分担することで、競争心が芽生え、負けないように頑張ることができることでしょう。
 
悪いところは、男子にやさしさが育まれる反面、男子を厳しく指導したくても、女子がいることで、徹底しにくい点や、女子は、言葉がきつくなり、敬語や丁寧語があまり使われなくなるといったことでしょう。
 
多様性の時代と言われ、なかなか「らしさ」と表現しなくなっている中、読者の皆様に分かりやすく説明するために敢えて使っていること、ご理解ください。
 
 
[三]男女別学制度について
 
三番目は、「別学制度」についてです。
首都圏の男子校は、暁星小学校、立教小学校の二校、女子では、ミッション系の学校は、ほとんど女子だけで、雙葉小学校、白百合学園小学校、東洋英和女学院小学部、聖心女子学院初等科、国府台女子学院小学部などへは、毎年、多くの応募者が集まり、高い倍率を示しています。いずれも伝統のある学校であり、その教育方針や校風が、圧倒的に支持されている証でしょう。
 
では、別学の学校の長所を考えてみましょう。
 
まず、なんといっても男女の特性を生かした教育ができることで、共学とは違った意味での男らしさ、女らしさが身につき、異性がいないことから、男子は女子に憧れる気持ちが、女子には男子を尊敬する気持ちが育まれやすい環境にあることでしょう。
また、共学では体験できないこと、例えば、男子がする仕事を女子がしなければならないことから、体験の幅が豊かになるとも考えられます。
 
その反面、同性同士ということから、男女がお互いに何かをすることがないので、異性を意識して助け合う気持ちが育ちにくく、羞恥心も欠けがちで、男の悪さ、女の悪さが出やすい環境にあるともいえるでしょう。
 
白百合学園へ三年保育で幼稚園に入って大学まで行くと19年間、女の園です。
田園調布雙葉も幼稚園から入ると、高校までですが、14年間、女の子だけです。
これについて、お父さんはどうお考えでしょうか。
模擬面接などで、ご両親に別学の経験がない場合、
「お父さん、別学についてどう思いますか」
と聞いてみると、
「私は、共学の方が自然でいいと考えていますが、妻が賛成ですから」
などとおっしゃるのですが、「それでは、共学の学校へどうぞ」となるだけで、適切な学校選びとはいえません。
なぜ別学を選ぶのか、よく話し合っておくことが大切です。
 
例年、立教小学校の説明会で田代先生(現校長)は、「男子に比べ女子の成長が早く、何かにつけて差が出るので、男子だけの方がいい」、「脳の大きさは18歳頃で止まり、差がなくなるといわれている。小中高と別学で学び、大学で共学になるのは、手前味噌ながら理想的な教育環境であり、皆さまのお目は高い」とおっしゃっています。
 
小学校から別学になる幼稚園もあります。四谷の雙葉幼稚園には男の子がいますし、暁星幼稚園には女の子が、東洋英和幼稚園には男の子がいます。
日本女子大学附属豊明幼稚園は、平成23年から3年保育だけに切り替えましたが、女の子が60名に対して男の子が24名います。
そこに入った男の子は、小学校は受験になります。
雙葉や暁星、英和に入った男の子、女の子は、近所にミッション系の幼稚園がないために、無理して通わせるケースもありますが、幼稚園の送迎は、保護者がついていきますから、多少の無理はききます。目的は、ミッション系の小学校へ入学させたいと考える方が多いようです。
 
 
   (次回は、
     「志望校選び10のチェックポイント(2)」
                    についてお話しましょう)
 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>よくある質問

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         「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第47号>
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★説明会情報★
 
5月、6月、7月は多くの学校で学校説明会が開かれます。
受験校を知るには、学校へ行くのが一番だけに、受験生をお持ちの保護者の皆さん方は、直接学校を訪問をできる貴重な機会を逃さないようにしたいですね。
 
慶應義塾幼稚舎は、6月に説明会、7月に学校見学が行われます。説明会は昨年同様動画配信となっています。
 
早稲田実業学校初等部も6月に早稲田大学大隈記念講堂で学校説明会、7月に学校見学会が行われます。昨年は対面の説明会を撮影したものを別の機会にオンラインで見ることができたのですが。
 
雙葉小学校は7月に2日間説明会が行われます。
 
白百合学園小学校の授業公開は終わりましたが、6月に学校説明会、9月に学校見学会が行われます。校内を見ることができる貴重な機会ですから、ぜひとも参加してみたいものです。
 
聖心女学院初等科は6月に説明会を行います。お遊び会も開催。
 
例年とは日程が変わっている学校もありますので、こまめにホームページをチェックしましょう。
 
早稲田実業学校初等部の学校説明会ですが、過去にこういった話がありました。
○どんな子どもに来てほしいか。
 ・早実、大好きな子。
 ・早稲田大学へ行って勉強をしたい子。
 ・規則正しい生活のできる子。
 ・人の話を最後までしっかりと聞ける子。
 ・自分のことは自分でできる子。
 ・基本的な生活習慣、しつけの身に付いている子。
「9月2日(土)の学校見学会に、ぜひ、お子さん同伴で参加してほしい。私の願いは、お子さんがこの学校へ来て、学びたい、勉強したい、友達と遊びたいと思っていただけることです。これだけでお子さんのモチベーションが上がるからです」
橋詰敏長、初等部校長(当時)の話です。見学して、モチベーションが上がり、「早実、大好きな子」になってくれれば、親として、これほどありがたいことはないのですが。 
 (平成29年5月28日〈日〉午後1時~2時30分 於 大隈講堂より)
 
 
 
さて、今回は、皆さんからこの時期によく受ける質問を、紹介しましょう。
 
Q「折り紙をする時、折り方が雑できちんと出来上がらないのですが、どのようなことに注意すればよいのでしょうか」
         
A「折り紙は、一枚の紙から立体を作り出す大変楽しい作業ですが、一つひとつきちんと折らなければ、本に出ているような作品にならないだけに、子ども達の失望も大きいようです。
 まず、折り紙を半分に折り、長四角を作ってみましょう。
 机の上で、上と下の辺を両手できちんと重ねます。左手の人差し指で重ねた辺の真ん中をずれないように押さえ、右手の人差し指を左手の人差し指のところから下の折り目の真ん中に向かいまっすぐに下ろしてしっかり押さえます。
 
 右人差し指で真ん中をしっかりと押さえながら、押さえた指のところへ左手の人差し指を並べ、左端まで指を滑らし、折り目をつけます。 
 次に、左人差し指を真ん中に戻し、しっかりと押さえ、右人差し指で右端まで指を滑らせながら、折り目をつけます。
 それを広げ、90度回転させ、同じ作業をし、正方形が4つできるように折ります。
 次に、今使った折り紙の角と角を合わせ三角形に挑戦しましょう、作業手順は同じです。
 
 文章にすると、敬遠したくなりますが、お母さん方がお手本を示してあげれば、難しいことではありません。
 
 折り紙がうまくできない原因は、こういった基本の折り方がきちんとできていない場合にもあるようです。
 いきなり作品に挑戦せずに、四角と三角の折り方の基本をマスターすると、折り紙も楽しくなると思います。
 何事も基本が大切ですが、その作業は退屈でつまらないことが多いものです。
 それにまじめに取り組むのが、技術を身につけるコツであることは、皆さん方も経験されていることではないでしょうか。
 「ゆっくり、じっくり、丁寧に」、これしかありませんね。
 
 
 
Q糊を使うのを嫌がるのですが。
 
A指で糊をつける作業は今の子どもが苦手とする作業ではないでしょうか。
 ご家庭では、セロハンテープやリップ・スティック型の糊を使っていると思います。
 最近は、入試でもこういった接着剤を使用することもありますが、今の段階では、ふたのついた、つぼ型の容器に入った、幼児用の糊を使ってほしいものです。
 これには、いろいろと教育的な配慮がされているからです。
  
 ふたを開けるにも、左右の微妙な力のバランス感覚を学べます。
 そして、使う量、適量を指に取るには、目分量、勘が必要です。
 多ければベタベタ、少なければはがれます。
 さらに、つけ方です。
 糊が、全体に滞りなく行き渡るには、かなりの練習が必要です。
 そして、貼ります。
 これだけのことをやり、作業が終わると手を拭き、ふたをして片付けるのですから、面倒に思うのも無理はないかもしれませんが、ここで手抜きすると不器用になるのではないでしょうか。
 
 もっとも厄介なのは、適量を取り、貼ることです。
 はじめは、折り紙を4分の1に切ったものを使い、上の真ん中に少しつけ、スケッチブックなどに貼る練習をしましょう。
 次に、四隅に糊をつけて貼り、それができれば糊を真ん中に縦に伸ばしてつけ、左右に伸ばす練習をしましょう。  
 ステップを踏んでいけば、必ずできるようになります。
 「不器用なのね!」などと、絶対にいわないことです。
 
 加えて、幼児期に身に付けておかなければならない「汚れたらきれいにする」という大切な生活習慣を身につけることができます。
 大切な、大切な生活習慣です。
 
 つぼ型の糊には、教育的な配慮がしてあるという理由は、こういったことなのですが、いかがでしょうか。
 
 
 
Q早生まれなのですが、幼い絵しか描けません。上手になるでしょうか。
 
A入試を控えると、こういった心配をする保護者が増えているようですが、お子さんの絵の描き方を思い返してみましょう。 
 
 2歳は点や線の殴り書きで、3歳から円や四角らしきものが描け、ある時、突然、頭から手足がニョキニョキと出ている人間を描いたと思います。
 やがて、頭と体が分かれ人間らしくなりますが、手は電信柱のようにまっすぐ伸びたままで、やっと年中の終り頃に手も下に降り、人間と認められる絵になったのではないでしょうか。
 このようになるまで4、5年かかる子もいますから、幼児にとって絵を描くのは、大変な仕事でもあるのです。
  
 そして、基本的な生活習慣と同じように、絵を描く作業は、速成も、いろいろなテクニックを駆使しての促成もできません。
 お子さんの成育史が、そのまま姿を現すものではないでしょうか。
 ご両親の得意、不得意もあるかもしれません。
 
 お子さんは、楽しく絵を描いていますか、そうであれば心配ありません。
 お子さんが描いている絵は、現時点で最高の作品であることを認めてあげましょう。
 
 そして、幼い絵でも描きたい目的があるのですから、そこを見つけて褒めることです。他の子ども達と比べて評価するのは、賢い保護者がすることではありません。
 ましてや、早生まれの子ども達にとっては、大変迷惑な話です。
 楽しく描ける雰囲気を作ってあげることが大切です。
 
 ところで、4、5人のグループで1枚の絵を描かせる学校があります。
 共同作業ですから、お互いにコミュニケーションが図れるかも大切なポイントになっています。使いたいクレヨンが1本しかない場合、「それが使えるようになるまで何もしないお子さんがいる」と聞きますが、学校側は、社会性や協調性といった集団生活への適応力を見ているのではないでしょうか。
 引っ込み思案の多い男の子、通っている教室の先生に聞いてみましょう。
 
余談になりますが、ある小学校のオープンスクールで、1年生全員の描いた絵が、幼い絵まで全て展示されていました。子どもの成長をありのままに受けとめている教育方針に感動したものです。展示された子どもがいやな思いをしない指導、私たち親こそ、そういった目で子どもの成長を見ることが大切ではないでしょうか。
 
  (次回は、「志望校選びのポイント」についてお話しましょう)
 
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>学校説明会で確かな情報を(3)

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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
      年長児のお子様をお持ちの方々へ
 2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
      <第46号>
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[入試情報]
 雙葉小学校説明会
     日 時 7月19日(金)、20日(土)
     場 所 雙葉小学校
     申 込 6月17日(月)午前10時から申し込みサイトよりお申し込みください。
 
          詳しくはホームページをご覧ください。
          
 
 
学校説明会で確かな情報を (3)
 
  ★紹介したい説明会でのエピソード(2) 
  
東日本大震災を受け、平成24年の49回目のメルマガでは、「説明会速報 立教小学校(6月9日)」で次の話を紹介していました。いずれは、いわゆるコロナ禍に関するエピソードが出てくるかもしれませんね。
 
  震災に対していろいろと対応を考えている。
  校舎は古いが理論上は震度7に耐えられる建物、震度5以上の予知情報が校内に流れるようになっている。
  乾パン二千食、水や毛布の備蓄もあり、グランドの奥にある水車小屋の下には井戸があり水は豊富。立教大学が通勤難民四千人あまりを収容、乾パンを配り、学生食堂では炊き出しをした。
  池袋周辺にいれば安全を確保で
きるので心配いただくことはない。現在、停電になっても発信できる緊急メールを準備している。
  大学院には放射線物理学科の専門の先生がいて、給食の食材、水道水の放射能値を測定するなど、学院の組織的なバックアップもあるので安心できる体制にある。
        (緊急メールは、現在完備されている)
 
その立教小学校も、立教学院創立150周年記念事業の一環として新校舎が建築されることとなりました。利用開始は2027年です。
 
さて、説明会へお子さんを連れてこないでほしいと明言している学校もありますが、そういった条件がある場合は別として、お子さんを会場へ連れていかなければならない事情のある方もいます。1時間から2時間ほどかかる学校もありますから、子どもは退屈します。
 
ある学校の説明会、体育館で行われたため、後ろの所に子ども達が遊べるような空間があったのです。そこで、子ども達が走り回りはじめました。うるさいのですが、親が注意をしません。             
見かねた校長先生が、                      
「元気な子と不作法な子は違います」               
とおっしゃったのですが、それでも注意する親が現われません。学校の教育方針と違うことをやっているにもかかわらず……、もっとも、出るに出られなくなってしまったのかも知れません。   
 
これは、その逆の話ですが、赤ちゃんを胸に抱いたお母さんが、会場の外の廊下で立ったまま話を聞いていました。恥ずかしい話ですが、「遅刻しないように」などとおこがましくもアドバイスしている私自身が、渋滞に巻き込まれ5分ばかり遅刻したことで、偶然、この光景に出会ったのでした。先生との話の様子から、会場へ入るようにすすめられても、辞退しているようでした。終わって廊下に出た時、何と同じ所にお母さんがいるではありませんか。約1時間半、大変だったと思います。この学校の教育方針は、「心身ともに強く、心のやさしい子」の育成です。お母さんは、出身者ではなかったでしょうか。
 
この話も、機会があれば、必ず、紹介することにしています。
 
 育児ないないづくし
   暖房きかせて寒さがない        冷房きかせて暑さがない  
   おやつが過ぎて空腹がない       歩かせないので疲れがない 
   おもちゃのやり過ぎで興味がない    テレビの見過ぎで考えない 
   何でもホイホイ我慢がない       点数以外に関心がない   
   わかっているけど行わない       これではまともに育たない
 育児を「育自」と置き換えて、育児を通して育自するお母さんを求めます。
 
こうおっしゃっていました。
育自は誤植ではありません、自らを育てることです。「育児を通して育自するお母さんになりましょう」と何やら偉そうに私は言っていますが、種を明かせば、その根拠はここにあるのです笑)。
 
次の話は、あるミッション系の学校で伺った話です。
母親の学歴が高くなる一方で、育児が下手になっているといわれています。核家族化、少子化の進む環境のもとでの育児ですから、決して母親だけの責任ではありません。バブル経済全盛期の頃に聞いた話ですから、かなり昔のことになりますが、今でも考えさせられてしまいます。子どもを取り巻く環境は、あまり変わっていないどころか、むしろ悪くなっていると思われるからです。
文言は正確ではありませんが、以下のような話でした。
     
  現代の価値観は多様化したとはいえ、世界各国のシスターから、日本人といえば、商売に道徳は無用とばかりに、自己の利益だけを求めるイメージが強くなるばかりと聞かされています。その歪みを正すのが教育に携わる私たちの使命です。教育が、こうまで荒廃した原因は、あまりにも豊かになり過ぎ、お金が評価の基準になって、そこには精神的な絆がないからです。教育の危機は、心を大切にしないことから発しています。
  学卒のママが多くなる一方で、いたわり合う心、思いやりの心を持った子が少なくなっているのはなぜでしょう。それは、心を育てるより知識を与えることに夢中になっているからです。無理に知識を詰め込もうとすると  過干渉になりがちで、素直な感情を押さえつけ、その結果、子どもの心は屈折してしまうのです。
 
30年以上前になりますが、すでに過保護、過干渉な育児の弊害を指摘しています。これは小学校受験だけではなく、早期教育や稽古事にもいえるのではないでしょうか。子どもが、あることを学習するために、ふさわしい成長をしていない状態で、いろいろなことを詰め込むのは、幼児に適した教育とはいえません。
 
では、幼児期にふさわしい教育とはどういうものでしょうか。
立教小学校の田中司元校長の話を、文言は正確ではありませんが紹介しましょう。
 
  0歳から6歳までの幼児期は、人間の一生でいちばん大切な時期です。最も大切なのは、対話です。子どものいうことをよく聞き、やりたいことをしっかりとつかむことです。親がしっかりと聞いてくれ、受けとめてくれることで、子どもは安心感を持ちます。人間にとって安心感ほど大切なものはありません。対話の反対は沈黙ではなく、命令と要求です。家庭内で対話が成立する、これが育児でいちばん大切だと思います。
 
  次は、本の読み聞かせです。現代の情報は映像で入ってきます。
  映像は視覚と聴覚を通して、瞬時にわかる反面、頭の中でイメージを作る想像性が欠如していく気がします。読み聞かせをする母親の、話しかける父親の言葉を聞きながら情景や動物、人間の姿を思い浮べることが、人間にとっていちばん重要な能力だと思います。イメージする力を育てることは、文学的な分野と考えがちですが、自然科学的な発想は、少ないデータをもとに発展させ、それぞれの世界をイメージすることでできたわけです。
  分子や原子は、どんな格好をしているか、太陽はどんな姿をし、宇宙はどのようになっているか見た者はいません。わずかな情報から科学者が創ったイメージの世界です。読み聞かせは、子どものイメージする力を育てるとともに、子どもの世界を一緒に楽しむ豊かな時間でもあるのです。
 
  3番目は、ご家庭の中に自然を楽しむ文化をもってほしいのです。神様が創った自然の美しさ、素晴らしさにかなうものを、人間は作っていないと思います。気をつけないと、人間が作ったものだけに囲まれて生活することが可能な時代になりました。土を踏んだことのない子もいます。土、石、葉っぱ、虫、砂といった地球を作っていく素材を、子どもが肌で感じることが大切です。休日に、森や海岸、川原や野原へ、弁当とシートを持って出かけ、自然って美しいな、風って気持ちがいいぞ、葉っぱはきれいだ、石ころにはいろんな形があって面白いな、何もプログラムを作らずに、ゆったりと、そこにいるだけで素晴らしい、そういう自然の楽しみ方、それは非常に高い文化ではないかと思います。
 
対話、読み聞かせ、自然を楽しむ文化、考えさせられることばかりですが、特にお母さん方は、「対話と読み聞かせ」については、ついこの間までキチンと実行していたはずです。
 
お子さんの赤ちゃん時代です。      
 
何もわからない乳飲み子に、一所懸命、話しかけませんでしたか。
赤ちゃん言葉を懸命に理解しようとしませんでしたか。
こういった姿は、無償のほほ笑みと共に、この世で最も美しい姿といわれています。
        
ところが、受験準備に夢中になりすぎると、「命令と要求」の日々になりがちです。でも今は、大丈夫なのです。心配なのは、夏休み以降です。
 
ちなみに、田中元校長が就任した年から、立教小学校はペーパーテストを廃止しました。
男の子の多くが苦手とする、音楽に合わせて体を動かすテストがあり、思わず笑ってしまいましたね。照れ屋で気が弱く繊細な神経の子が多いからです。運動会で楽しくダンスをしているのは女の子ではないでしょうか。お父さん方も何やら照れくさそうに踊っていますね(笑)。
 
2021年度から校長に就任した田代校長が副校長の時には、脳科学者の話を例に、18歳を超えると脳の成長の差はなくなるが、それまでは女子の成長が速いので、小中高が別学で、大学は共学が理想的な教育環境、「手前みそながら」と自慢されており、なるほどと納得できました。別学が禁止されていたアメリカでは、2006年に法が改正され、公立の学校でも別学を選択できるようになっているそうです。
 
 
最後に、平成9年6月に、白百合学園幼稚園が、創立以来、初めて説明会を開催したときにうかがった話を紹介しましょう。幼稚園を受験されるお母さん方への話ですが、小学校の受験も、基本的には同じことだからです。
 
あいにくの雨の中、熱心なお母さん方が、およそ500名、幼稚園のプレイルームは、立錐の余地なしといった状態でした。(第2回目以降は、学園内の講堂で行われていますから、園舎に入るという貴重な経験をしました!) 校訓である三訓、「従順、勤勉、愛徳」の説明、モンテッソーリ教育の目的、敏感期、縦割り保育のメリットを話された後に、幼稚園側が望む子ども像について、次のように話されたのでした。
 
  私どもの希望しておりますのは、小さいときから、入園テストですとか、面接テストを受け訓練された子ではなく、むしろ日常の生活の中で、特に、お父さま、お母さまの、生きたお手本の中で育てられたお子さま方、それから年齢相応に基本的な生活習慣が、これは、まだ完全にできませんから、ある程度、身についているお子さま、明るく、素直で、いきいきしたお子さま、そういう子ども達を期待しております。
 
いかがでしょうか。
「お父さま、お母さまの生きたお手本の中で育てられたお子さま方」云々は、幼稚園、小学校の受験は、まだ、中間報告ですが、お子さんを通して、ご両親の育児の集大成を判定しているということです。
 
ところで、小学校の受験は、「はじめにご両親の育児の方針ありき」とお話しましたが、その根拠となっている話を紹介しましょう。残念ながら、今では手に入りませんが、慶應義塾幼稚舎が願書に同封していた小冊子「第一学年入学志願者心得 入学受験について」に書いてあったことです。
 
  甚だ当たり前のことであるが、子供は手塩にかけて育てるものである。「両親が手塩にかけて、心を尽くして育ててきた我が子を、受け取らない学校があるなら、行かなくても一向に差し支えない」というように考えられないものであろうか
 
学校説明会は、建学の精神や教育理念を話すだけではなく、こういった育児についての話があることから、小学校の受験は、ご両親の育児の姿勢が問われていることが、おわかりいただけたと思います。
 
問題集だけを頼りにし、机の上だけで受験準備はできません。子どもは、ご両親の作った環境で育っていきます。基本的な生活習慣やあいさつ、言葉遣い、運動能力といったものは、ご家庭できちんとやっていかなければ、幼児教室や塾などで、受験に必要なノウハウの指導を受けても身につかないでしょう。
 
だらだらと食事をし、衣服の着脱ができないようでは、暁星小学校のような俊敏性を求めるテストに対応できません。
 
すぐ疲れておんぶをせがむようでは、筑波大学附属小学校や昭和学院小学校のような熊歩き(四足歩き)をやれといってもできないでしょう。
 
自立心や意欲が培われていないと、かつての白百合学園小学校のように立ったままで試験を受けることも難しいのではないでしょうか。
 
過保護になっていれば、話を理解し、素早く、積極的に取り組まなければならない幼稚舎のような、行動観察型の試験をクリアできるとは考えにくいことです。
 
学校側が試験を通して知りたいのは、「知育、徳育、体育の三つの能力が、就学前の子どもにふさわしく、バランスよく培われているか」であり、知的な能力だけを判定しているのではありません。こういった能力を育み、意欲のある子に育てるのはご両親であり、試験を受けるのはお子さん自身ですが、判定されているのはご両親であることを、納得いただけたのではないでしょうか。
 
数々のエピソードは、以前にもお話ししました「心を鍛える賢い子どもの育て方」などから一部を紹介したものです。説明会への参加とは別に、各校のホームページや学校案内のパンフレットだけでなく、こういった書籍なども前もってお読み頂き、万全の態勢で秋に向かってほしいと願っています。
 
めぇでる教育研究所のホームページ、「出版物・問題集のご案内」もご覧ください。
    
 
   (次回は、「よくある質問」についてお話しましょう)

 
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