クラス/講習のご案内

  • 年長児クラス
  • 年中児クラス
  • 3歳児クラス
  • 2歳児クラス
  • 1歳児クラス
  • 特別講習
  • 時間割・日程

模擬テスト・講演会

  • 年長児模擬テスト
  • 年中児模擬テスト
  • 3歳児模擬テスト
  • 2歳児模擬テスト
  • 全統オープン
  • 合格テスト / テスト講習
itsuaki__240_p_01.jpg

めぇでる小学部

  • ことばの学校
出版物・問題集のご案内 よくある質問 めぇでる教育研究所 ワクわくアトリエ メールマガジン お受験情報・リンク

HOME > めぇでるコラム > アーカイブ > 2016年10月アーカイブ

めぇでるコラム 2016年10月アーカイブ

さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>求められる四つのパワー

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
        「めぇでる教育研究所」発行
 さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
            (第18号)
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
有名小学校の入学試験とは
■■[1]求められる四つのパワー■■
 
過去にNHKの「お入学」の放映で、全国区に昇格したかどうかはわかりませ
んが、私立の名門小学校の受験騒動、話題になりました。過熱気味であった私
立志向も、バブル経済が弾けて静かになったようです。しかし、学習指導要領
も「ゆとりの教育」から「心の教育」に改訂されるなど、公教育の指針は安定
しないことから、私立志向は根強く息吹いています。
 
その証といっては何ですが、埼玉県には、私立は浦和ルーテル学院小学校、1
校しかありませんでしたが、今では、4-4-4制を導入した開智小学校(岩槻
市)、水族館とプラネタリウムのあるさとえ学園、英語のシャワーで世界に発
信を目指す西武学園文理小学校(狭山市)、共学にシフトチェンジした星野学
園小学校(川越市)と5校になりました。登下校時の東上線川越駅は、スクー
ルバスを待つ西武文理小と星野学園小のかわいい子ども達で混雑しています。
小江戸と呼ばれている静かな城下町川越の住人である私には、信じられない光
景です。
 
さらに、副都心線を利用すると、川越から渋谷まで乗り換えなしで50分、青
山学院初等部、東京女学館小学校、慶應義塾幼稚舎、聖心女子学院初等科など
を受験する子どもたちも増えました。
 
また、東急東横線が副都心線と相互乗り入れを開始し、元町・中華街まで乗り
換えなしで行けるようになり、多摩川を境に川向うは不利といわれた横浜地域
の小学校、横浜雙葉小学校などへの受験も増えているのではないでしょうか。
 
東京都は53校、神奈川県は28校、千葉県は10校、茨城県には開智望小学
校が開校し7校と、私学の受け入れ態勢には、目を見張るものがあります。
(「お受験じょうほう」より)
 
そして、書店をのぞくと入学試験問題集も、たくさん売られています。中には、
「こんな難しい問題、本当にできる子いるのかな?」と、首を傾げたくなるの
もあります。しかし、問題集を読んでいると、学校側がどのような子どもを求
めているかがわかってきます。うわさでは、何やら、椎名誠風な表現で照れま
すが、「頭脳明晰成績優秀名門家庭の子女」だけを求めているといわれている
そうですが、そんなことはありません。
 
「知力・徳力・体力・気力が、学齢期にふさわしく、バランスよく育っている
子」です。この4つの能力は、小学校受験に必要な基本的な力ですが、一朝一
夕に身につくものではありません。何もできなかった赤ちゃんを、根気よく、
忍の一字で育ててこられた皆さま方ですから、納得していただけると思います。
受験準備は、育児と同様、一歩一歩、確実に前進を目指す、地道な努力が必要
です。
 
では、学校側は、この4つの能力を、どのように判定しているのでしょうか。
 
第1は知力です。
これについては、わかりやすい解説がありますので紹介しましょう。
 
「知能の定義には、いろいろありますが、ここではその中身を、知覚力・記憶
力・言語能力・数能力・思考力としておきましょう。
知覚力は、見たり聞いたりするものを、注意深く受け止める能力です。
記憶力は、覚えこむ力・覚えている力・忘れたものを思い出す力で、観察力・
弁別力もこの
中に入ります。
言語能力は、語彙力・表現力などです。
数能力は、数・量・図形・空間に関する能力です。
思考力は、推理力・構成力・判断力(洞察力・見通す能力)などを含みます。
思考力には、答えをいくつも考えられる拡散思考能力(創造的思考力)もあり
ます」
「ママ、生まれたらこんなふうに育ててね」 P224
(家庭教育システム研究会 著 横山ふさ子 画 サンマーク出版 刊)
 
「画」とありますように、この本は漫画です。サブタイトルが「赤ちゃんは親
を選べません」と、何とも厳しいのです。このタイトルに惹かれて買ったので
すが、内容はわかりやすく、これからママになる方に推薦したい本の一冊です。
 
第2は徳力です。
これはいうまでもなく、社会性や協調性といった「集団生活への適応力」です。
集団生活は人との関わりの中で培われていくものですから、自主的に取り組む
姿勢や自身をコントロールする自己統制力が養われてきます。
家では許されることでも、集団生活では認められないことを、幼稚園や保育園
での生活を通して経験し、少しオーバーではありますが、「共生、共に生きる
こと」を学んでいるはずです。
グループ別に行われる行動観察系のテストや運動テストなどで、日常の生活環
境や体験が姿を現します。過保護であればわがままに、過干渉であれば消極的
な態度になりがちです。
 
また、一つの例として、ペーパーテストでも、指示されたことをきちんと守ら
ないと、大きなマイナス点になります。
「始め!」 と言われる前に始めてしまったり、「止め!」 と言われても止め
られなくては、人の言うことを聞く姿勢ができていないと判定されるでしょう。
規則や約束を守ることは、集団生活をスムーズに進めるために、欠くことので
きないルールです。
公開模擬テストを受けて、「社会性や協調性に問題あり」とチェックが入った
場合は、通っている幼稚園や保育園の先生に相談しましょう。
「少し、問題がありますね!」
といった返事があった場合は、「大いに問題あり!」と受け取り、お子さんを
取り巻く環境を、ご両親で見直す必要があります。多くの場合、ご両親の育児
の姿勢に、その原因があるからです。
 
第3は体力です。
指示を理解し体で表現する理解力、機敏性や俊敏性を問う運動能力、どれだけ
頑張れるかといった持久力や耐久力などが判定されます。
もちろん、通学に必要な体力が培われているかも大切なポイントになります。
もやしっ子を鍛え直すために始めた暁星小学校のサッカーを持ち出すまでもな
く、現代っ子はスタミナ不足です。都会から原っぱが姿を消し、車が子どもの
足代わりとなっている生活が、スタミナをつける源を奪っているようです。
 
スタミナ不足は、単に体力的な面だけではなく、持久力や耐久力を培う「頑張
る意欲」にも、大きな影響を与えていることを、もっと真剣に考えるべきでは
ないでしょうか。集中力に欠け、すぐに飽きてしまうお子さんは、体力不足に
も原因があるとも言われています。
 
5分も歩かない内に「おんぶ!」と言うようでは心配です。夏休みから秋の試
験当日まで、大変なエネルギーを必要とします。それをクリアしなければ、小
学校の試験に挑戦できません。
ボールつきや縄跳びは、全身を使いますし、微妙なバランス感覚を養う運動で
す。目標を立てて挑戦し、続けることで力がつく、「持続こそ力を育む」こと
を、体験を通して学習させるべきだと思います。お子さんの運動能力をチェッ
クし、問題があれば、お父さんの出番です。
      
第4は気力です。
まだ、実感はわかないかも知れませんが、5歳の秋を制する決め手は、「気力」
です。 そして、これだけは、何十冊の問題集をこなすだけで身につくもので
はありません。本人の自覚です。本人にやる気力がわかなければ、本当に頑張
る力はつきません。モチベーションを上げる、これも、ご両親の育児の姿勢と
深い関わりがあります。
 
過保護や過干渉な環境で育てられていると、白百合学園小学校、立教女学院小
学校、光塩女子学院初等科のように、ペーパーの枚数が多く、限られた時間内
に取り組む試験には、俊敏に対応できません。
また、かつて慶應義塾幼稚舎が出題した、イーゼルを立てて絵を描くといった、
初めて経験することには、手が出ないでしょう。
 
成蹊小学校のように、反復運動を繰り返す運動テストに耐えられないと思いま
す。
 
私が言う気力とは、自分一人でやり遂げた体験、体験学習を豊富に積んでいく
ことから身についた「意慾」のことです。
ご両親が失敗を恐れずに、積極的にチャレンジさせ、自立心を身につけるよう
に心がけていれば、自ずと備わってくるものです。ご両親は、叱ることが少な
く、励ます言葉が多く、大らかな心を持っているはずです。お子さんのお手本
は、ご両親です。そういったご両親であれば、お子さんもできないからと言い
訳をすることもなく頑張ります。むやみに叱らないご両親からは、相手を思い
やる心が育ちます。
 
誤解されては困りますが、「何事にも叱ってはいけない」と言っているのでは
ありません。約束を守らない、嘘をついたときなどは、真剣に叱ります。「叱
るべきときは叱り、褒めるべきときは褒める」ご両親のことです。
 
自分でやり遂げた経験がたくさんあると、達成したときの快感を味わっていま
すから、何かに取り組もうとする意欲が育っています。
そして、いろいろなことを体験しているお子さんは、過去に出題された問題集
をやってみると、これと同じことを、普段、家庭や幼稚園で、一人遊びや仲間
遊びを通して、何らかの形でやっていることに気づくはずです。
 
幼児を対象にした試験は、大学などの入学試験とは違います。誤解を恐れずに
いえば、必要なのは、記憶だけに基づいた知識の量ではなく、体験をふまえて
培われた知恵の量だと思います。
 
すでに、公開模擬テストを受けられた方でしたら、ご存知のように、テストの
出題範囲は、ほとんどの場合、以下の10項目になっているはずです。
 
 1話の記憶  2数量   3常識   4推理・思考  5記憶力 
 6構成力   7巧緻性  8社会性  9言語     10運動
 
先にあげた4つの力を、ペーパーテストや行動観察、面接を通して、こういっ
た項目に分けて判定しているわけです。小学校側も、この10項目内で判定し
ていると思います。まもなく発売される今年度の問題集をお買いになると、納
得できるでしょう。10項目については、12月頃から解説する予定です。
      
以上の4つの力に加え、慶應義塾幼稚舎、桐朋小学校、桐朋学園小学校などを
除き、ご両親には面接があるわけです。その学校を選んだ理由をきちんと話す
ことで、合否の判定が行われます。小学校の入学試験は、試験を受けるのはお
子さん自身ですが、「判定されるのはご両親の育児の姿勢である」といわれる
のは、こういった仕組みになっているからです。推薦制度を取り入れる学校も
増えてきましたが、その条件は、やはり、育児の姿勢を重視しており、決して
安易なものではありません。
 
最後に、東日本大震災は、電車通学する子ども達に大きな課題を与えました。
暁星小学校の説明会では、生徒全員の寝袋を用意していることや、慶應義塾幼
稚舎では、プールの水を飲料水に還元できる機器や、自家発電装置を設置した
話などもあり、どこの学校も十分な対策を立てていると説明していますから、
心配はないでしょう。
 
今、子どもたちに求められているのは、災害時に対応できる気力と体力です。
東日本大震災が起きた年、成蹊小学校の説明会で8時間かけて自宅にたどり着
いた、1年生の書いた作文を披露しましたが、親切な女性3名の温かい応援が
あったとはいえ、まさに、幼いなりに、気力と体力を振り絞った「自奮、自励」
の体験談でした。
来年の学校選びには、登下校時に地震が起きたことを想定して、それに対処で
きる気力と体力を充実させる育児を心がけることも、学校選びの大切な条件に
なるのではないでしょうか。
      
次回からは、実際に行われている入学試験についてお話しますが、城山三郎氏
の著作、「素直な戦士たち」ではありませんが、かなり、すごいことをやって
います。
しかし、きちんと段階を踏んで学習し理解していけば、そんなに心配するもの
ではありません。
そのためにも、まず、試験の形式から説明しましょう。
(次回は、試験の形式についてお話ししましょう)
 
注 「素直な戦士たち」 城山三郎 著 新潮社 刊 昭和53年 発売 
内容は小学校の受験だけではありません。

さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>なぜ、ペーパーテストを行わない学校が増えたのでしょうか 

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
        「めぇでる教育研究所」発行
 さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
            (第17号)
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
なぜ、ペーパーテストを行わない学校が増えたのでしょうか
 
いささか古い話で恐縮ですが、平成4年の秋のことです。
当時、大手の幼児教室で、志望校別指導部門の慶應義塾幼稚舎を担当していま
した。試験を受けてきた子ども達が、こういったものです。
「先生、ペーパーは1枚だけでした」
事実、その年のペーパーテストは、「話の記憶」1枚だけでした。
 
同じ年の12月のことです。
今度は、お茶の水女子大学附属小学校の試験を受けてきた女の子が、
「先生、試験はありませんでした」
正しくは、「ペーパーテストはありませんでした」ですが、正直なところ、び
っくりしました。幼児教室で志望校を担当している者にとり、傾向を読めなか
ったのですから、これほど恥ずかしい話はありません。名誉挽回とばかりに、
その原因を探してみました。
 
この年から新しい学習指導要領が実施され、同時に幼稚園の保育も「幼稚園教
育要領」の改訂が行われ、今までの一斉保育から自由保育となり、一人ひとり
の個性を伸ばしていく保育に変わりました。ですから、皆さんのお子さんが通
っている幼稚園は自由保育であり、ここに注目してみると、おぼろげながら、
ペーパーテストを廃止した理由の一端がわかってきたのです。
 
ご存知のように、自由保育といっても自由奔放、何でもありの保育ではありま
せん。一口に言えば、みんなで一斉に同じことを強制的にやるのは止め、自発
的に活動できるように導く保育のことです。例えば、知識や理解力を培うにも、
自分自身で考えたり、工夫する機会や経験をたくさん持たせたり、自分勝手な
考えではなく、客観的なものの見方や考え方を身につけるように指導する保育
のことです。
 
もっと簡単に言えば、一斉保育は他律の保育で、自由保育は自律の保育のこと
です。他律と自律の保育については、わかりやすい歌があります。以前にも紹
介しました文部省唱歌、「雀の学校」です。
 
雀の学校
作詩 清水かつら  作曲 広田龍太郎 
チイチイパッパ チイパッパ       雀の学校の 先生は 
むちを振り振り チイパッパ       チイチイパッパ チイパッパ
生徒の雀は 輪になって         お口をそろえて チイパッパ
まだまだいけない チイパッパ      もう一度一緒に チイパッパ
チイチイパッパ チイパッパ
 
先生がムチを振りながら、「こっちを向きなさい!」とやるのが他律の保育で、
自由保育にはムチを持った先生はいません。こういった保育内容を踏まえ、ここ
からは私の勝手な解釈ですから、深くお考えにならずに、読み流してください。
 
新指導要領の狙いは、偏差値教育の弊害などを見直すことでした。
大胆に言えば、今までの学習指導の基本的な考え方は、ペーパーテストのように
持ち点を100として、「これもできない、あれもダメ」と点数を引く減点方式
であり、主に知力だけを判定したものでした。改訂された「幼稚園教育要領」で
は、持ち点ゼロから始め、子ども一人ひとりの個性を見極め、「これもできた、
あれもいいぞ」と点を積み重ね、合計で何点取れたかと点数を積み重ねていく保
育に変えましたが、ペーパーを使わない行動観察型のテストは、この加点方式な
のです。
 
ペーパーテストは、取れた点数で子どもの限られた能力を評価しますから、個性
の出る幕はありませんが、行動観察型のテストは、絵を描いたり、自分の意見を
発表したり、課題に取り組む子ども達の様子を観察し採点しますから、プロセス
を重視し個々の能力を評価します。つまり、個性の尊重です。
 
また、こんな定義はありませんが、計算の問題から考えてみました。ヒントにな
ったのは、「ママ、生まれたらこんなふうに育ててね」(家庭教育システム研究
会 著 横山ふさ子 画 サンマーク出版 刊) の育児の本で、「画」とある
ように漫画です。
1+9=□は、答えは1つしかありませんから、全員で同じことに取り組む集中
思考型保育、□+□=10は、答えが10通りありますから、一人ひとりを育て
ていく拡散思考型保育と考えると、
一斉保育(他律の集中思考型保育)→減点方式→ペーパーテスト
自由保育(自律の拡散思考型保育)→加点方式→行動観察型テスト
となり、幼稚園の保育の方針が、他律の一斉保育から自律の自由保育に変わった
ことから、小学校の入学試験の形式も減点方式だけではなく、加点方式を加えた
と言えるのではないでしょうか。
 
ペーパーテストを実施している学校も、制作や課題遊び、自由遊び、運動テスト
などを通して、社会性や協調性など集団生活への適応力を評価、採点し、バラン
スの取れた成長をしているかを判定しています。ですから、入試に必要な知識な
るものを、記憶だけに頼って詰め込む知育偏重型の受験対策は、どこの学校から
も歓迎されないと言えるわけです。
 
前回でもお話ししましたが、現在、国立附属校では、筑波大学附属小学校を除き、
お茶の水女子大学附属小学校、東京学芸大学附属竹早小学校等はペーパーテスト
をやっていません。私立校では、慶應義塾幼稚舎、青山学院初等部、学習院初等
科、成城学園初等学校、桐朋学園小学校、川村小学校などもやっていません。
(平成28年10月現在)
 
おもしろいのは、以前は運動テストもなく、ペーパーテストしかやっていなかっ
た立教小学校が、今ではペーパーテストを廃止して行動観察型に切り替え、運動
テストは勿論のこと、男の子が苦手とするダンスまで取り入れています。校長先
生は学校説明会で、文言は正確ではありませんが、「私学がよい子を取り合った
時期があったが、それは間違いでした」と指摘され、翌年の説明会では、「取り
っこではなく分けっこの時期に入った」とおっしゃっていました。
 
少し古くなりますが、「ペーパーテストを廃止した理由」を公表した学校があり
ます。慶應義塾幼稚舎の舎長が、以前、こうおっしゃったのです。これはわかり
やすい話ですから紹介しておきましょう。余談になりますが、舎長は校長のこと
で、東洋英和女学院小学部、青山学院初等部は部長、学習院初等科は科長、光塩
女子学院初等科は校長、国府台女子学院小学部は副学院長の名称となっています。
 
「受験という現象がある以上、その競争の社会の中で、人より抜きん出て勝利
を占めようと、どんどんエスカレートします。競争社会は、結果を争うわけです。
だから、私たちは、結果を争うようなテストをしません。結果を点数に直して、
点数で序列をつけるような教育をしていない。点数で子どもの序列をしないとい
うことは、ペーパーテストはしませんというのが、一番わかりやすいということ
です」  (週間ポスト 平成6年4月3日号)
 
辞任されて教員に復帰された加藤三明元舎長は説明会で、毎年「幼稚舎の教育目
標は、他人との競争ではなく自分との戦いである」とおっしゃっていました。
 
さらに注目したいのは、東京女学館小学校です。
平成12年に就任された田浦桂三校長(同15年に退任)は、面接と推薦状だけで
入学を決めるAO方式(アドミッションズ オフィス)を始めました。文言は正
確ではありませんが、「受験のために子ども達に大きな負担をかけたのは、塾や
親の責任ではなく、そういう環境を作った学校にある」と言い切った方です。募
集人員80名中、AO方式20名からスタートし、平成28年10月現在、AO
方式45名(内3名「国際枠」)、一般入試35名になっています。「やがてはす
べて、この方式に変えていきたいと」先生は抱負を語っていましたが、もし、こ
れが実現すると、「私学もやがて抽選で!」といった夢のような話……まあ、夢
でしょうけれど。子ども達のために頑張ってほしいと期待しています。残念なが
ら大学は、在学生全員が卒業した今年の3月に閉鎖されました。
 
ところで、皆さんご存知のごとく、平成14年度から実施されていた学習指導要
領ですが、学習内容が削減された問題などを含め、早々と改訂されました。しか
し、すべてが悪かったわけではありません。「ゆとりの教育」を目指し、私学の
大きな特徴であった週五日制、英語教育も始まりました。少人数制に至っては、
私立の小学校は都心の公立校にかなわなくなっているでしょう。この状態を「公
立校の逆襲が始まった」と、東洋英和女学院小学部の寺澤東彦前部長は説明会で
おっしゃっていました。ですから、私学には脅威でもあったわけです。
 
事実、日本女子大学附属豊明小学校、立教女学院小学校、東洋英和女学院小学部、
青山学院初等部、成蹊小学校、昭和学院小学校、日出学園小学校、国府台女子学
院小学部など、最近の私学の教育環境整備には、目を見張るものがあります。
 
また、桐朋小学校は1クラス24人、成蹊小学校では4年生まで1クラス28人、
日出学園小学校は2年生まで4クラス編成(1クラス25名、26人編成)、3
年生以上は今年より3クラス編成(1クラス34名)の少人数制を実施するなど、
私学ならではの対策が顕著になっているのも事実です。
 
さらに、2013年に慶應義塾横浜初等部、2014年に茨城県取手市に江戸川
学園取手小学校、そして2015年には神奈川県藤沢市に日本大学藤沢小学校が、
茨城県つくばみらい市には開智望(のぞみ)小学校が開校され、今年4月には千
葉県流山市に暁星国際流山小学校が開校されました。受験者が減る中で、なぜ新
しく私学が創立されるのでしょうか。誤解を恐れずに言えば、画一的な教育より
ユニークな教育環境で、そして東日本大震災以降、通学に安全な地元の学校で学
ばせたいと、希望する保護者が増えているからではないでしょうか。
 
そこで問題になるのは、志望校の選び方です。
なぜかと言えば、小学校選びは聖書の「始めに言葉ありき」ではありませんが、
「始めにご家庭の教育方針ありき」であるべきだからです。これが「始めに名門
校ありき」では、かつてバブル経済全盛期の頃、マスコミがお受験騒動と指摘し
たように、ブランド志向によって起きた「受験戦争の低年齢化」、「幼い子ども
を受験戦士に仕立てていいのか」などと批判の対象になりかねないからです。本
当は、こういったことが起きること自体、異常なのですが、いわゆる「受験地獄」
に陥らないためには、ご両親でよく話し合いをし、受験に取り組むことが大切で
す。
 
小学校の受験は、前回お話ししたスケ―ジュールをもとに、慎重に計画を立て、
「ゆっくり、じっくり、しっかり」と、ゆとりをもって挑戦するものであること
を、肝に銘じて頂きたいのです。
(次回は、「小学校の入学試験の内容」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>最近の入学試験の傾向 

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
        「めぇでる教育研究所」発行
 さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
            (第16号)
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
最近の入学試験の傾向 
 
小学校の試験を目指す皆様方ですから、既に、ご承知と思いますが、最近の傾
向として、ペーパーテストを実施しない学校が増えてきたことです。
その経緯については、あとで詳しく紹介するとして、ここ数年間の出題傾向に
ついて、簡単に触れておきましょう。
 
ペーパーテストを行わない学校は、慶應義塾幼稚舎、青山学院初等部、学習院
初等科、立教小学校、桐朋学園小学校、川村小学校などで、いわゆる行動観察
型のテストを実施しています。
「ペーパーテストを行わずに、何がわかるのですか?」と、疑問視する方も大
勢いらっしゃるようです。
ところが、これがよくわかる仕掛けになっているのです。
仕掛けといっては失礼になるかもしれませんが、ある年の桐朋学園小学校の学
校説明会で、たまたま顔を出された校長先生が、面接についておもしろい話を
してくれたのでした。
 
「私どもが面接をしないのは、親御さんに『趣味は何ですか』とうかがっても、
本当は競輪や競馬が大好きでも『読書、音楽鑑賞です』とおっしゃるでしょう。
だから面接をしません。しかし、私どもでは二日間、お子さんを預かりますか
ら、どのような家庭環境で育てられているかわかるのです」
 
文言は正確ではありませんが、内容は間違いありません。     
その通りではないでしょうか。
子ども達は演技ができませんから、育てられた環境を、そのまま正直に、試験
会場で見せることになります。
基本的な生活習慣やしつけ、言葉遣いから社会性や協調性といった集団への適
応力など、手に取るようにわかるのではないでしょうか。
ですから、「ペーパーテストがないから受験準備は楽だわ!」などと考えるの
は、とんでもない誤解で、行動観察型の試験は、ペーパーテストより難しいと
ころがあります。
なぜなら、先生方の言葉を聞き取り、理解し、考え、自分の言葉で表現したり、
絵を描いたり、行動する、それが行動観察型の試験だからです。
どういった準備が必要だとお考えでしょうか。
                           
ペーパーテストを実施している学校は、暁星小学校、雙葉小学校、白百合学園
小学校、東洋英和女学院小学部、聖心女子学院初等科(一時期、ペーパーテス
トを止めていたのですが)、立教女学院小学校、光塩女子学院初等科、国府台
女子学院小学部などです。
このように学校名をあげてみると、何かお気づきのことはありませんか。
そうです、何とも不思議なことに、宗教教育を行っている学校が多いのです。
しかも、いずれも、いわゆる名門校ですから、試験問題の難易度は、高いこと
も共通しています。
なぜ、難しい問題が出題されるのでしょうか。
 
おそらく、過去問といわれている、以前に出題された問題を集めた本などを使
い、繰り返し問題を解くといった受験準備ではなく、基礎知識をきちんと身に
つけ、問題を解く力を備えてほしいと、学校側は考えているのではないでしょ
うか。
 
簡単に説明するのは難しいのですが、わかりやすい話だと思いますので紹介し
ましょう。
試験問題の中に、「四方図形」があります。
これは、テーブルの上に置かれた左手をあげた縫いぐるみを、前後左右から見
ると、どのように見えるかといった問題です。
この場合、四つの方向から見ることになりますから、四つの違った答えがある
わけです。
つまり、学校側は、答えは一つだけではなく、いろいろな方向、立場からもの
を見て判断する、そういった力を持つ子どもを求めているのではないでしょう
か。 
 
さらに、ここ数年、こういった問題がありました。
 
・雙葉小学校
お皿に入っているプラスチックの玩具の宝石20個ほどを、細かく分かれてい
る箱に、塗り箸でつまんで入れる。
 
・白百合学園小学校
プラスチック製の穴の空いた板に紐が通してあるお手本を見ながら、同じよう
に紐通しをする。
 
・暁星小学校
机の上に弁当箱、弁当箱のふた、弁当袋、箸、箸箱、箸箱のふた、校内着、半
袖のポロシャツ、ハンカチ、ティッシュ、本、靴下などがバラバラに置かれ、
それをファスナー付きのカバンの中にきれいに詰める。
 
靴を脱いで、机にある折り紙をとってきて、好きなものを折る。
(5個折らせた年もありましたし、少し力の必要な折り方が出題されたことも
あります)
 
・青山学院初等部
靴を脱いで手を洗いにいき、椅子をテーブル代わりにして、煎餅、クッキー、
お茶を自分で用意し、いただく。食べ終えたらゴミを分けて捨て、後片付けを
し、席で待つ。
        
・日本女子大学附属豊明小学校
いろいろなビーズの入ったトレーから、自分のお皿にできるだけ多くのビーズ
を塗り箸で移す。     
細い紐にビーズを通して端を結びネックレスを作る。
クーピーで絵を濃淡に塗り分ける。
 
・東洋英和女学院小学部                
机に置いてあるカゴの中から、弁当箱とハンカチをとってくる。次にテスター
が持っているカゴから、ピンポン玉2個と豆を箸で取り、弁当箱に入れる。そ
して、テスターの手本どおりにハンカチで箸と弁当箱を包み、指示された机に
置く。
       
・立教女学院小学校
塗り箸で、さいころの形をしたキューブを隣の紙のお皿に移す。
  
・千葉日本大学第一小学校
教室の後ろのテスターのところに並び、洋服をハンガーごと持ってくる。ハン
ガーから洋服を取り、着ている服の上からきる。ボタンを1つかける。ボタン
を外し、着た服を脱ぎ、ハンガーにかけテスターのところへ持って行く。
       
・早稲田実業学校初等部
靴を脱いでじゅうたんに上がり、お手本を見て封筒を作る。作り終えたら机の
中から雑巾を出して手を拭いたあと、机を拭き、たたんで机の中にしまう。
 
・田園調布雙葉小学校
持参した服に着替え、着ていた服を風呂敷で包む。
       
・横浜雙葉小学校
お友達と床に正座して、おしゃべりをせずに、持参した弁当を食べる。
   
・日出学園小学校
   ふわふわボール6個を箸でつかみ、弁当箱に入れナフキンで包む。
 
学校側は、何を見ているか、おわかりいただけたと思います。
基本的な生活習慣が、きちんと身についているかを知りたいわけです。
基本的な生活習慣はしつけであり、それは、ご家庭の育児の姿勢でもあるわけ
です。
東洋英和女学院小学部の寺澤東彦前部長は、「しつけや言葉遣いは、生まれる
前に刷り込まれているわけではないから、強制的に教え込まなければならない」
とおっしゃっていますし、国府台女子学院の平田史郎学院長は、「訓練されて
いない個性は野性である」とさえいっています。
両校とも宗教教育を行う女子だけの学校です。
ご家庭の教育に何を求めているのでしょうか、受験準備のポイントは、ここに
あると思います。
つまり、知識だけ身についた偏った子どもではなく、知・徳・体の三つの能力
が、年令相応にバランスよく育った気力のある子を望んでいるのです。
 
ですから、小学校受験でもっとも大切なことは、就学前の子どもにふさわしい
基本的な生活習慣やしつけ、挨拶、言葉遣いなどを、きちんと身につけておく
ことなのです。
今からしっかりと計画を立てて、一つ一つ階段を上るように、地道な努力を積
み重ねていくことが求められています。
いわゆる、つけ焼刃などは、絶対にききません。
 
もう20年ほど前の話になりますが、バブル経済全盛期の頃で、私立志向が過
熱気味な状態にあったときでした。
あるミッション系の学校説明会で、校長先生は、こうおっしゃったものです。
 
「受験に必要な知識や礼儀作法なるものを泥縄式に詰め込んで、受験準備、こ
と足れりとお考えになるのは、間違いであることに気づいてほしい」
 
昔の話ですから文言は正確ではありませんが、内容は間違いありません。
このことではないでしょうか。
泥縄式とは、
「泥棒を見てから縄をなうことで、事が起こってからあわてて、その対策に手
をつけることをあざけていう言葉」
ですが、特に、幼児の受験の場合、泥縄式は、絶対に通用しません。
これからの毎日の生活の積み重ねが、来年の秋に実を結ぶことを、肝に銘じて
いただきたいのです。
 
(次回は、「なぜ、ペーパーテストを廃止する学校が増えたか」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>ご健闘をお祈りいたします

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第67号
             最終回
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
★★ご健闘をお祈りいたします★★
 
★アフターケアも慎重に★ 
昨年の7月から始まった「さわやかお受験のススメ 小学校受験編」も、最終
回を迎えました。
長い間、拙い連載を読んでいただいた方に、お願いをしておきたいことがあり
ます。
いうまでもなく小学校の受験は、お兄さんやお姉さんが在学している場合はと
もかく、ご両親が子どものためによかれと考えてはじめたことです。
もとより、子ども達が、
「ぼくは、幼稚舎へ行きたい」
「私は、雙葉へ……」
と、希望されたわけではありません。
にもかかわらず、子ども達は、一所懸命に頑張りました。
年中の頃から、受験勉強をはじめ、そして今、直前の講習会を終え、最終特訓
を経て、試験を迎えようとしています。
 
考えてみると、これはたいへんなことです。
基礎指導から実践指導、集団指導や個別指導、冬、春、夏の講習会、毎月行わ
れた公開模擬テスト、運動教室、絵画教室などなど、同年代の子ども達が、ほ
とんど経験しないことを体験してきたことになります。
それに加えて家庭学習があります。
これが、子ども達には、もっとも厳しかったのではないでしょうか。
とかく、お母さん方は、合格の二文字のために熱くなりがちです。
「なぜ、ぼくだけ、勉強しなくてはいけないのかな?」
と子ども達に疑問を持たせてしまったことも、あったのではと思います。
でも、お母さん方の気持ちに応え、頑張りました。
子ども達は、本当にえらいとほめてあげたい。
 
ですから、全員に、希望された学校から招待状が送られて来て欲しいと思わざ
るを得ません。
それほど子ども達は頑張り、頑張り続けたのですから。
しかし、残念ながら、すべての子ども達に、招待状が送られてくるわけではあ
りません。
「試験前なのに縁起でもない!」とお腹立ちの方も、心を静めてお読みくださ
い。
 
都心の幼稚園によっては、全員が受験というところもありますが、そういった
環境であれば、幼稚園側の配慮もあるでしょうし、ご両親もお子さんも、それ
なりの指導をきちんと受けられていると思います。
しかし、普通の幼稚園や保育園からの受験の場合は、そうはいかないのではな
いでしょうか。
わが子、一人だけが受験といったことも考えられます。
         
一昔前は、受験を意識させないで済ませるように、また、合格しなかったこと
を、子ども達にわからないように配慮したものです。
しかし、現状では難しいのではないでしょうか。
数校受験する子ども達もたくさんいますから、わかっているはずです。
合格すれば何ら問題はありませんが、結果が出なかった場合は、傷つく恐れも
あるでしょう。
このことです……。
 
今は、学校内で合格を発表せずに郵送やWebで知らせるところが増えてきま
したが、以前は、ほとんどの学校が校内に掲示していたものです。
私は、できる限り発表を見に行きました。
合格された方は、掲示板の前からいつまでも去ろうとしません。
不合格の方は、悄然と去っていきます。
気障で申し訳ありませんが、「倍率十倍の難関校」の文字からは浮かばない、
厳しい現実を実感させられたものでした。
 
そんなときに、ある学校で、とんでもない親子を見てしまったのです。
お母さんが早足で出口に向かい、お子さんが、
「ママ、ごめんね!」
と、泣きながら追いかけていくのです。
若いお母さんは、一言も口をきかず、むっとした顔をして出ていってしまいま
した。
こんな残酷な仕打ちは、いくら親でも許せません。
いちばん傷ついているのはお子さん自身であることに気づかない親であれば、
受験などする資格はないと思いました。
 
最近は、携帯電話で、大声で知らせている母親もいます。
気持ちは分かりますが、ぐっと喜びをかみしめて、そっと知らせる配慮も必要
です。
立場が逆であった場合のことも考えましょう。
 
ところで、不合格のときはお子さんに、どのように説明するか決めているでし
ょうか。
残念ながら合格しなかったご両親からは、
「公立の小学校から通知は来ますから、子どもには、私学の合否については知
らせないことにしています」
と、答える方が多いものです。
みなさん、お子さんにあった方法で対処なさることと思いますが、注意してほ
しいのは、ちょっとした言葉なのです。
 
「○○ちゃんは入ったのに、何で、あなたは駄目なんでしょう」
お母さんは、わが子をかわいそうに思い、つぶやいたこの一言で、お子さんは、
深く傷つき、劣等感を持ちがちなのです。
不用意な言葉が、お子さんに与える影響を考えてあげましょう。
とにかく、お子さんは、頑張ったのですから。
 
頑張ったことは、必ず、将来、芽を吹きます。
正しい指導を受けてさえいれば、子ども達は、同年代の子が体験しなかったこ
とを、たくさん学習しています。
国語の領域でいえば、「話の記憶」は、小学校の中学年から高学年にかけて学
習する長文読解の問題を、文字を使わず、耳から聞き取るだけで挑戦してきま
した。
算数の領域では、「数」の問題で、1年生で習う足し算、引き算、2年生で習
う掛け算、3年生で習う割り算、4年生で習う分数まで、数字や+-×÷など
の記号を使わずに学習してきました。
さらに、話を聞く姿勢、指示を理解し迅速に対応する行動力、自分で頑張る意
欲などを身につけたはずです。
 
ご両親も、心を一つにして、お子さんをバックアップしてきました。
学校を選んだ段階で育児をふりかえり、やはり間違っていなかったと確認し、
このことには反省しなければいけないと、話し合われたのではないでしょうか。
受験をしなければ、こういった経験をすることはなかったはずです。
驚かすようで申し訳ありませんが、これから先、ご両親が、これ程までに心を
一つにして、何かに取り組むということは、あまりないのではと思います。
まさに、育児のゴールデンアワーでもあったわけです。
 
文言は正確ではありませんが、舎長を辞任され教諭に戻られた加藤三明先生は、
説明会でこうおっしゃっていました。
 
「受験に合格しなかった方は、もしかすると親子ともども、敗北感を味わうこ
とになるかもしれま
せん。しかし、これはあくまでも幼稚舎の受験に限ったことで、人生の敗北で
はありません。ま
して、子どもがそういうことを思い続けていたら、本当に恐ろしいことです。
われわれが5歳の子に、本来は行うべきではない入学試験という罪なものを施
していて、言うのもなんですが、小学校受験をぜひ、最終目的だと思わないで
いただきたい。まだまだ、ほんの人生の始まりです。小学校の受験で、お子様
をスポイルしないでほしいというのが、私の願いです」
 
5歳の秋は、お子さんの人生の終着点ではなく、通過点と考えましょう。
不合格という結果を、お子さんが背負っていくことのないようにしてあげてく
ださい。
小学校の受験は、ご両親がお考えになり始めたことですから、終わりもきちん
と対処していただきたいと思います。
 
この連載を通して、ご両親、特にお母さん方にわかっていただきたかったのは、
「過保護や過干渉な育児から、子ども達を解放する」ことでした。
過保護な育児では、わがままな子になりがちで、相手を思いやる気持ちは育ま
れません。
過干渉な育児では、消極的で依頼心の強い子になりがちで、積極的に物事に取
り組む意欲は育ちません。
これから、小学校での集団生活を通して、共に生きる「共生」を学んでいくこ
とが大切です。
それには、相手を思いやる気持ちが育まれていなければ、スムーズに対応でき
ません。
また、学校生活を楽しくすごし、学習面で好奇心という触角を張りめぐらせ、
いろいろなことを学んでいくには、積極的に取り組む意欲が育まれていること
が大切です。
 
家庭学習で、お母さん方は、この2つのことを教えてきたと思います。
できない問題があっても、明日できればいいと励ましませんでしたか。
できるようになったとき、一緒に喜び、褒めてあげたでしょう。
子ども達は、お母さん方のやさしい気持ちに応え、ステップアップしてきたの
ではないでしょうか。
お母さん方の頑張れと励ます言葉とやさしい気持ちから、子ども達の心に「思
いやりの気持ち」と「できるまで頑張る意欲」が育ってきたのです。
 
この2つが育っていれば、たとえ不合格になっても、子ども達は大きく成長し
ているはずです。
同年代の子どもで、こういったことを経験できるのは、私学の小学校が最も多
い東京都でさえ、毎年、就学児童およそ60万人の内、約3%程度に過ぎませ
ん。
しかし、正しい指導を受けられた子ども達は、十分にエキスを与えられた根と
同じように、必ず、芽を出し、ご両親が期待する花を咲かせます。
子ども達を信じて、試験場に送り出してあげてください。
運悪く、結果が出なくても、あたたかく見守ってあげるご両親であって欲しい
と思います。
 
「あしたは、今日より、きのうより」は、今は亡き、いずみたく氏の作曲され
た某財団法人の社歌の題名で、断りもなく私の座右の銘にさせていただいてい
ます。
また、「育児しながら育自するお母さん」であれば、親子の絆は、生涯、ほこ
ろびることはありません。
この二つこそ、子育ての鉄則ではないでしょうか。
 
さらに一言、拙著のメールマガジン「日本の年中行事と昔話」の4月に出てき
ました、剣豪、塚原卜伝の作とも言われている剣の極意を紹介しましょう。
「映るとも 月も思はず 映すとも 水も思はぬ 広沢の池」
これは理想的な親子関係をあらわしているのではないでしょうか、私の勝手な
解釈ですが。「子は親の背を見て育つ」、口でうるさくいうより、良いお手本
を見せることが大切だと思います。
       
皆さま方に、希望された小学校から、招待状が届くことを、心からお祈り申し
上げます。
ベストを尽くせるように頑張ってください。
ご健闘を祈ります。
 
最後まで、拙文をお読みいただきまして有難うございました。
      平成28年10月吉日
        めぇでる教育研究所
        所 長 藤本 紀元

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>ご健闘を祈ります

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
         「めぇでる教育研究所」発行
   「2017さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第49
            最終回
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
 
ご健闘を祈ります
 
昨年の11月から始まった「さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」も、
今回で最終回を迎えました。
長い間、つたない連載をお読みいただいた皆様方に、最後のお願いがあります。
 
言うまでもありませんが、幼稚園の受験は、ご両親がお子さんのためによかれ
と考えてはじめたことです。
お子さん自身が、「ぼく、暁星幼稚園へ行きたいの!」「わたしは雙葉幼稚園
へ!」と希望したわけではありません。
何だかよくわからないけれど、当日を迎えてしまったというところでしょう。
 
教室へはじめていった時、泣き叫んで部屋に入れなかったお子さんもいたと思
いますが、今では教室が休みの日など、
「ママ、どうして?」
などと、不満そうな態度を示すようになっていないでしょうか。
「ママと離れても、楽しいことがたくさんあること」を学習していれば、幼児
期前期は、すばらしい体験をしたといえます。
 
子ども達にとって、お父さん、お母さん以外の人である先生や友達と、仲良く
遊びながら学んだことは、この先、いろいろなところで生きてきます。
2、3歳は、遊びといっても並行遊びが中心ですから、仲間同士で何かをする
といった経験は、なかなかできないものです。
また、幼児教育の専門家によって作られたカリキュラムによる知的な学習を、
この時期に体験できたのは、同年代のほんの一握りの子ども達でもあるのです。
ですから、正しい指導を受けていれば、貴重な体験をしたことにもなるわけで
す。
そして待合室で待つ間、同じように国立、私立の幼稚園を志望するお母さん方
と育児の情報交換もでき、役に立ったこともあったと思います。
さらに、ご両親もわが子の教育について、真剣に考え、話し合い、いろいろな
幼稚園の説明会へ参加され、保育方針などを聞くことにより、幼児期の育児で
何が大切であるかを学ばれたのではないでしょうか。
どこの幼稚園でも、過保護、過干渉の育児を戒めていませんでしたか。
 
核家族化、少子化が続く中で、育児に取り組み、そして受験まで経験するのは、
本当に大変なことであったと思います。
「ご苦労さまでした」とねぎらいの言葉、いや、「よく頑張りました」とほめ
てあげたい気持ちでいっぱいです。
 
それほど、育児は大変な仕事です。
育児と受験、全く違った領域の問題のように思えますが、幼稚園選択の大切な
ポイントは、ご両親の育児の姿勢と幼稚園の保育方針が一致していることにあ
るのですから、密接な関係にあることもご理解いただけたのではないでしょう
か。
 
しかし、こんなに努力をなさっても、残念ながらすべての方に、希望される幼
稚園から招待状が届くわけではありません。
名門の併設園は、幼稚園といえども狭き門です。
それを承知の上で受験されるのですから、不合格になった時のことも、しっか
りとご両親で話し合っておくことが大切です。
 
決して、「うちの子は駄目ね」とか「私達の育児の方法が間違っていた」など
と落ち込まないことです。
まだ、2、3年の人生経験しかない幼子の、吹き出し始めた、小さな、小さな、
かわいい芽なのです。
幼児期前期は、将来、大輪を咲かせるための大切な準備期間です。
期待した結果が出なくても、幼い子どもなりに、ご両親の期待に応えるべく、
頑張ったのではないでしょうか。
 
そして、ご両親も、力を合わせて最善の努力をされたのですから、そこで経験
した様々なことは、これからの子育てに、必ず、生きてきます。
そういったことが心の支えになり、お子さんの将来を導く羅針盤になっていく
はずです。
3年保育で縁がなくても2年保育で、2年保育で縁がなくても小学校受験があ
ります。
わが子の教育は、広い視野で計画を立ててあげるべきではないでしょうか。
 
試験当日は、面接があったり、お母さん自身が一緒に試験を受けたり、いろい
ろとプレッシャーがかかるかもしれませんが、大らかな気持ちで臨み、お子さ
んに負担になるようなことは、絶対になさらないようにしてください。
 
結果が出なくても、本人にはわからないで済みますから、ご両親の胸にしまい
こみ、失望し、がっかりした姿を、お子さんに見せないことです。
ご両親は、わが子を守る保護者であることを、決して忘れてはいけません。
わが子に非があるのではなく、ご両親に運がなかったと考え、これからの育児
に生かしてほしいと思います。
 
「明日は今日より昨日より」(あしたは きょうより きのうより)、これは、
日本のミュージカルに大きな足跡を残された、故いずみたく氏の作曲された、
ある財団の社歌ですが、子育ての鉄則ではないでしょうか。
また、「育児」は「育自」であることも忘れてはならないと思います。
2、3歳の秋は、到着点ではなく、一つの通過点と考えましょう。
そして、「明日は今日より昨日より」を、自身を励ます杖とし、「育自」を心
がける賢いお母さんになってほしいと願っています。
 
皆様方に、希望された幼稚園から招待状が届くことを、心からお祈り申し上げ
ます。
頑張ってください。
 
最後まで拙文をお読みいただきまして有難うございました。
    平成28年10月吉日
めぇでる教育研究所 所長 藤本紀元

さわやかお受験のススメ<保護者編>第13章 七五三ですね 霜月(3)11月に読んであげたい本 2 終わりにあたり 

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
         「めぇでる教育研究所」発行
     2017さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第49号-
            最終回
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
 
第13章 七五三でしょうな(3)  
【11月に読んであげたい本 2 終わりにあたり】
 
学生時代に映画で見た記憶があります。迫真の姥捨ての世界を描いた深沢七郎
の「楢山節考」を、木下惠介がメガホンを取ったもので、捨てられるおばあさ
ん、おりん役を田中絹代、背負っていく息子は高橋貞二といっても50年ほど
前の話ですから、若い皆さん方には、何のことやらわからないかもしれません
が、歌舞伎を見ているような導入部が印象に残った、怖い映画でした。映画は
恐かったのですが、ここでは、殿様を諌める話になっています。
 
◆うばすて山◆   吉村 輝夫 著
むかし、ある所に、年を取ったおっかあと息子が暮らしていました。その頃、
年寄は60歳になると山へ捨て、守らないと殺される掟があったのです。おっ
かあが60歳になったとき、山の奥までおぶって行ったのですが、捨てること
は出来ず、山を下り、家の裏に穴を掘って、隠したのです。
ある時、殿様が村の者に、「灰で縄を作ってこい」といってきました。灰は燃
えかすですから、縄などなえません。みんなが困っているのでおっかあに相談
すると、「わらで縄をきつく縛って、塩水につけてから燃やしてごらん」とい
うので、やってみると出来たのです。
すると今度は、「きれいに磨いた丸い棒を出して、どっちが根っこか調べてこ
い」というのです。太さも堅さも同じですからわかりません。また、おっかあ
に相談すると、「水に入れて、先の沈んだ方が根っこだ」と教わり解決します。
今度は、「玉に糸を通してこい」という。見ると、玉に糸の通る穴があいてい
ますが、曲がっているので、糸など通るわけがありません。そこで、おっかあ
に聞くと、「小さな蟻を捕まえて糸の先に縛り、穴の口に蜜を塗り、塗ってい
ない方の穴へ蟻を入れると、蟻は蜜の匂いに誘われ穴の中を進むはずだから、
糸を通せる」というのでした。やってみると、糸は通ったのです。
喜んだ殿様は、「こういった知恵は、どうして生まれたのか」と尋ねます。そ
こで、「60を過ぎたおっかあに教えてもらい、年寄は、何でもよく知ってい
るものです」と、震えながら告白したのです。決まりを破っていますから死刑
です。しかし、殿様は感心し、掟を改めたのでした。息子は褒美をもらって家
に帰り、穴蔵からおっかあを出し、仲良く暮らしたのです。
   寺村 輝夫のむかし話
      日本むかしばなし 4 寺村 輝夫・文/ヒサ クニヒコ・絵
         あかね書房 刊     
 
これと、そっくりな話が、チベットにあります。「賢い大臣」です。中国の唐
の時代の話で、皇帝の1人娘をめぐり、7つの国の王子さまが結婚を争うので
すが、その知恵比べとして皇帝から出された問題が、この話に出てくる殿様の
難題と同じでした。灰で縄をなう代わりに、五百頭の親馬と子馬を放ち、それ
ぞれ親子に分ける課題になっています。チベットの人は、馬の扱いになれてい
るからでしょう。その親子の分け方ですが、チベットの賢い大臣は、親馬にお
いしい牧草をたっぷりと与え、それから子馬を放します。すると親馬は、子馬
にむかっていななきます。その声を聞いて、子馬は母馬のところへ、一頭も間
違わずに行くのです。後の二題は同じで、見事に解決し、お姫様はチベットへ
嫁ぐ話です。
 
何度もいいますけれど、こういう話に出会うと嬉しくなります。遠くチベット
から陸を旅し、海を渡り、何百年も時を費やし、日本に伝わってくるのですか
ら、これは大変なことです。このように、昔話が長く語り継がれるのは、時代
が変わっても、共感する心に変わりがないからでしょう。
 
この話の馬の親子の様子が目に浮かぶ童謡、「おうま」があります。
(1)おうまのおやこは なかよしこよし いつでもいっしょにポックポックリあるく
(2)おうまのかあさん やさしいかあさん こうまをみながらポックリポックあるく
最近、知ったのですが、この歌の作曲者、松島彝(つね)は、国府台女子学院
の校歌の作曲者で、暁星学園、東洋英和女学院は、北原白秋、山田耕筰の大御
所コンビ、日出学園は、西条八十、山田耕作、聖徳大学附属学園は、サトウハ
チローの作詞と、私学の校歌も、有名人の手がけたものがあり、うかつにも見
逃していました(苦笑)。
 
ところで、年寄が増える高齢化社会です。
老後こそ人様に迷惑をかけないで生きたいものです。核家族化が進み、老後の
世話を誰が見てくれるのかと、老人受難の時代と嘆いても、若者からみれば、
これだけ多くなった年寄りの面倒をみるのですから、若者受難の時代だといわ
ざるを得ないでしょう。頼りは親子の絆ですが、これは小さい時に決まるよう
な気がします。過剰な愛情からは、強い絆は生まれないのではないでしょうか。
アルツハイマーになったら、頼りは連れ合いです。何だか寂しい話ですが、現
代版、「姥捨て山」、あちこちで聞かれます。年取ってからの生き方にこそ、
充実感を持ちたいものだと思います。体の健康も大事ですが、心の健康も大切
です。生きがいは、自分で作るものです。歳月で培われた知恵があるではない
ですかなどと、いきがることもありませんが(笑)。子どもの成長だけを生きが
いにするのは、子どもにとっても迷惑な話です。ましてや、「老後の面倒を子
どもに」と願うのは、年寄りのエゴではないかと考えます。「幼子に自立心を
養え」などと偉そうなことを言ってきましたが、年寄りこそ健康である限り、
自立心を強く持つべきではないでしょうか。ただし、若い皆様方には、「孝行
のしたい時分に親はなし」とならないようにお願いしておきましょう。
 
それはさておき、秋も深まってきました。紅葉狩りも、日本の風物詩に欠かせ
ない絶景の一つでしょう。♪秋の夕日に照る山もみじ♪ 童謡「もみじ」の世
界ですが、もみじという木があるわけではなく、カエデ科の木、ナラ、クヌギ
など赤や黄色に色づく落葉樹をもみじといい、「紅葉狩り」は「梨狩り」「き
のこ狩り」「潮干狩り」などと違い、木の枝や葉を取るのではなく、色づいた
木の葉を見て楽しむものですね。枝を折る不心得者もいますが、やめてほしい
ですね。
 
♪ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 見つけた♪
私の住む川越の郊外には、こういった秋の気配を楽しめる自然が残っています。
一幅の絵になるような、郊外でよく見かける素朴な晩秋の景色です。柿がたわ
わに実り、桜の落ち葉からは、ほのかな匂いが漂う、そんな雑木林を散歩でき
る幸せを、月並みな表現で恥ずかしい限りですが、噛みしめています。ここ数
年、やってくるようになった鴨が、間もなく今年も近くを流れる不老川に戻っ
てくるでしょう。どういう仕組みになっているのでしょうか、不思議ですね。
今年の春のことでしたが、その鴨親子に石を投げている子ども達がいて叱りつ
けましたが、何と女の子でした。愕然としましたね。家庭での教育をしっかり
とやらねばいけないと思うのは、年寄りの愚痴であればいいのですが。
 
ところで、近所の雑木林を散歩していたら、ポトンと何か落ちてくる音がした
ので探してみると、かなり大きな丸いどんぐりでした。風が吹くたびに、ポト
ン、ポトンと落ちて来るのでびっくりしましたね。その時に思い出したのは、
「どんぐりころころ」の歌でした。私は、「どんぐりころころ どんぐり子」
だと思っていたのですが、進学教室の歌姫こと、まいちゃんが、「先生違うよ。
♪どんぐりころころ どんぶりこ♪ですよ」といって歌ってくれたことでした。
向田邦子さんもある随筆で、野口雨情の「赤い靴」の歌詞、「異人さんに連れ
られて」を「いい爺さんに連れられて」と覚えていたと読んだことがあります
が、誤って覚えてしまうことは結構あるようですね(笑)。
 
枯葉といえば、私たちの世代では、イブ・モンタン、ジュリエット・グレコの
歌ったシャンソン「枯葉」と、マイルス・デイビスの名演奏を忘れることはで
きません。シャンソンもモダンジャズも、どこかへ消えてしまったようでさみ
しい限りですが、夜中、ひそかにレコード盤へ針を下ろし聴いているフアンも
いるのではないでしょうか。私もその一人です。モンタン、グレコの心にしみ
る歌声、デイビスのミュートをきかせたトランペットの音色と小粋なソロ(即
興演奏)も、静かな秋の夜が似合います。月を肴に人肌のかん酒で過ごすひと
時、晩秋は、人生をゆっくりと考えさせる自然の恵みかもしれません
やはり、日本の四季は、素晴らしいですね。(感謝)
 
【最終回にあたり】
思い返せば、幼児教育ほど難しく、奥の深いものはないと痛感させられること
ばかりでした。むずかる子ども達を、巧みにあやしてしまうお母さん方や保育
園、幼稚園、幼児教室の先生方を見るにつけ、「これはかなわない」と何度も
弱気になったものでしたが、その度に心の支えとなったのは、この言葉でした。
 
 心に火を点ける
  凡庸な教師はただしゃべる。
  少しましな教師は理解させようと説明する。
  優れた教師は自らやってみせる。
  本当に優れた教師は生徒の心に火を点ける。 
    ウィリアム・アーサー・ワード (19世紀のイギリスの教育学者)
 
おこがましくも、教師の代わりに「親」を、生徒の代わりに「子ども」と置き
換えると、「本当に優れた親は子どもの心に火を点ける」となりますが、親を
40数年やって、「まさにその通りだな」とうなずかざるを得ません。私の好
きな響きのいい言葉に置き換えると、「わが子の心に火をともす」となります
が、これこそ育児の究極の目的、ご両親の仕事ではないでしょうか。
 
本メールマガジンの情報の基礎となっている「年中行事を『科学』する」(産
経新聞社 刊)のまえがきで永田久先生は、「年中行事は民族を象徴する。年
中行事を知ることは民族の歩みを知ることである」と述べています。将来に目
を向けることも大切ですが、私達の祖先が、どのように歩んできたかを、日常
生活を通して知ることも、意義があると思います。なぜなら、年中行事やむか
し話には、幼い子ども達が、楽しく生きるために心の糧となるヒントが、たく
さん詰まっているからです。
 
思惑通りになったかどうかわかりませんが、お子さんの小さな心に、ささやか
な灯火を点火できればと願い挑戦してみました。若い皆様の育児の参考になれ
ば幸いです。最後まで拙文をお読みいただきまして有難うございました。
 
お子さんの健やかな成長を、心からお祈りすると共に、素敵なお父さん、お母
さんになっていただきたく、一遍の詩を紹介しましょう。ここ数年、雙葉小学
校の説明会で配布されているものです。「この詩のプリントと入学試験は関係
ありません」と校長先生はおっしゃっていましたが、私には、とても難しいこ
とでしたが……(苦笑)。
 
★親の祈り★
 神さま
 もっと よい私にしてください。
 子どものいうことを よく聞いてやり
 心の疑問に 親切に答え
 子どもを よく理解する私にしてください。
 理由なく 子どもの心を傷つけることのないように
 お助けください。
 子どもの失敗を 笑ったり 怒ったりせず
 子どもの小さい間違いには目を閉じて
 よいところを心から褒めてやり
 伸ばしてやることができますように。
 大人の判断や習慣で
 子どもを しばることのないように
 子どもが自分で判断し
 自分で正しく行動していけるよう
 導く智恵をお与えください。
 感情的に叱るのではなく
 正しく注意してやれますように。
 道理にかなった希望は、できるかぎりかなえてやり
 彼らのためにならないことは
 やめさせることができますように。 
 どうぞ 意地悪な気持ちを取り去ってください。
 不平を言わないように助けてください。
 こちらが間違ったときには
 きちんとあやまる勇気を与えてください。
 いつも穏やかな広い心を お与えください。
 子どもといっしょに成長させてください。
 子どもが心から私を尊敬し慕うことができるよう
 子どもの愛と信頼にふさわしいものとしてください。
 子どもも私も 神さまによって生かされ
 愛されることを知り
 他の人々の祝福となることができますように。
 
            平成28年10月吉日
            めぇでる教育研究所
               所長 藤本 紀元
お断り 
本文中に紹介しました作家名を、現役の男性には氏、亡くなられた方は敬称を
略しました。女性には、清少納言を除き全てさんをつけましたが、呼び捨てす
る勇気がなかったからです(笑)。

さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>受験までの1年間のスケジュール

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
        「めぇでる教育研究所」発行
 さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
            (第15号)
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
受験までの1年間のスケジュール
 
「入試の準備は、いつ頃から始めるのがよいのでしょうか」
よく受ける質問です。
年少の11月から2年間かけて、無理なく進めていくのが理想ですが、皆さん
方は、来年の秋に受験されるわけですから、この1年間、どのような予定で進
めていくかを考えてみましょう。
 
ほとんどの幼児教室は、11月が新学期で、次年度受験の新年長クラスはここ
から第一歩が始まります。
11月から7月まで、基礎知識を身につける講座が続きます。
 
この月から、年長向けの公開模擬テストも始まります。
年中から準備をはじめているお子さんは、模擬テストを受けていますから、既
にご存じのことですが、結果表には、得点から総合順位、偏差値まで、ある時
期から、志望校への合否判定も添付されてきます。
結果表にある男女別の順位は、男子校、女子校を受ける際の判定の基準に、男
女の総合評価は、共学の学校の判定基準としても利用できます。
テストの内容は、2月頃から始まる「合否を判定する10項目」で、詳しく解
説する予定です。
また、幼児テスト特有の生活習慣や、しつけ、社会性などの判定もついてきま
す。
「意外に、内弁慶だった」などと、普段、皆さん方が気づかないお子さんの素
顔を見ることもできます。
これは、非常に大切なことですが、案外、軽く見られている傾向にあります。
チェックが入った場合、ご両親の責任と考え、お子さんを取り巻く環境を、真
剣に考えてあげましょう。
なぜなら、多くの場合、育児の姿勢に原因があるからです。
 
12月の後半には冬期講習会が、3月の後半には春期講習会があり、2月頃か
ら志望校別講座など、さまざまな目的を持った講座も始まります。
教室によっては、レベルの高い特別講座を設け、難関校への準備も始まります。
 
5月の後半から7月中旬にかけて、学校見学会や説明会が始まります。
普段、学園内に入れませんから、できるだけ多くの説明会へ参加することをお
薦めします。
ミッション系の学校に関心がなくても、ぜひ、一度は参加しておきたいもので、
宗教教育の目的が、わかるからです。お勧めは青山学院初等部です。
「別学の学校はどうも」とお考えの方も、別学の学校を訪ねてみましょう。立
教小学校の田代教頭の「男子だけの良さ」の話は面白く、共学にはないものを
見つけることもできるからです。
雙葉小学校のようにはがきで申し込んだり、学習院初等科、聖心女子学院初等
科、慶應義塾横浜初等部、日出学園小学校、昭和学院小学校などWebでの予約
システムや参加用紙をダウンロードして持参する学校が増えてきました。受験
を考えている小学校のホームページでは今年の説明会の日程や予約の有無など
を見ることができます。
 
授業参観をかねている場合は、とかく1年生の教室が注目の的になりがちです
が、上級生の教室もこの機会に参観してみましょう。参加者も少なく、思った
より厳しい学習風景に出くわすこともあります。
 
説明会の日程は、各幼児教室で発表される一覧表を参考にし、うっかり忘れた
などのミスがないように、充分、注意しましょう。学校によっては、説明会を
1回しか開催しないところもあるからです。
学校見学会や運動会、文化祭などの行事に参加できるところもありますが、こ
ういった情報は、各学校のHPに紹介されていますから、しっかりと調べてお
きましょう。
 
面接で、説明会や行事に関して印象を尋ねられる場合もあります。普段、入れ
ない校舎に入り、子どもたちの遊ぶ様子から、意外な側面を見ることもでき、
学校選びの重要なポイントにもなります。
そして、トイレの場所も確認しておきたいものです。後で、役に立ちますから。
28年は、白百合学園小学校は校舎見学がなく、慶應義塾幼稚舎は外からの見
学だけでした。暁星小学校は、例年説明会は中高の講堂で開催、校舎見学はあ
りませんでしたが、講堂は改築工事中で、今年は上智大学の講堂で行われ、そ
のため会場での願書配布はなく、配布した9月5日、午後1時から4時まで1
階に限り校舎見学が可能でした。こういった変更のあることも覚えておいてく
ださい。
 
なお、最近は、昭和女子大附属小学校の「自己推薦型入試」、日出学園小学校
の「第一志望入試」といったように推薦制度を設ける学校が増えています。各
学校の本年度の入試要項がHPで公開されていますから、どういった形式にな
っているかチェックしておきましょう。
 
ところで、夏になると、ほとんどの幼稚園でお泊まり保育があると思います。
親のもとを離れて生活することで、どのくらい自立心が培われているかもわか
ります。一人っ子の場合は、とかく、過保護、過干渉の環境となりがちです。
また、幼稚園や保育園の先生から保護者会の折りなどに、「少し、社会性に問
題があるようです」などといわれている場合は、大いに問題があると考え、日
頃の育児の姿勢をチェックする必要もあるでしょう。
 
7月の後半から、夏期講習会が始まります。
「夏を制するものは、入試を制する」といわれているほど大切な時期で、幼稚
園の休みを、いかに計画的に利用するかがポイントとなってきます。
基本的な生活習慣は、この時期までにきちんと身につけておくべきです。
かなりハードなスケジュールになりがちですから、旅行や里帰りなどは、お子
さんを中心に、計画しておきたいものです。
 
ご両親、特に、お父さん方の意識を高めるために、模擬面接指導も始まります。
この指導は、できるだけ早い時期に受けておくべきです。「たかが、面接!」
などと侮っていては、失敗します。
当研究所では、毎年、6月から始めています。ここ数年、申し込みが9月に集
中する傾向にありますが、お子さんの普段では考えられないような応答、態度
を見て、びっくりされるお父さん方がいます。模擬面接は、どういった答えを
するかのテストではなく、お子さんが、初めての先生方とどういった話ができ
るかを見てもらうのが大きな目的です。9月では、マイナス面がわかっても、
わずかな期間では修正の効かないのが幼児です。特に難関校の場合は、夏休み
の前に済ませ、マイナス点を修正し、9月に再度挑戦されることをお勧めしま
す。
 
8月の後半から9月にかけて、直前講座が始まり、中断していた説明会も開始
され、願書も配布されます。
9月の後半から10月にかけて、願書の受け付けが始まります。
日程の関係で、出願してみないと併願が可能かどうかわからない場合がありま
す。
何校も出願する場合もあることを、頭に入れておいてください。
なお、今年も聖心女子学院初等科では、HPで願書の書き方を紹介しています。
他校の場合にも大いに参考になる解説となっていますから、ご覧になることを
お薦めします。
また、日出学園小学校、国府台女子学院小学部のように出願もWebで行う学
校もありますのでHPで見ておきましょう、今後も増えると思われるからです。
 
早いところでは、9月の中旬から面接が始まります。
そして、お子さんは直前の特別講習や個別の指導などを経て、ご両親は面接に
備えて心を一つにして、試験に臨むことになるわけです。
 
幼児教室や塾の選び方は、ご両親で研究されることです。
お母さん任せでは、手に負えません。
お父さんも一緒になって考えましょう。
そして、任せたからには、先生方のアドバイスに従い、家庭学習などもこなし
ていくべきで、幼児教室の掛け持ちはさけるべきです。
指導の方針に違いがあれば、迷ってしまうのはお子さん自身だからです。
 
公開模擬テストは、指導の結果をチェックできる大切な試験ですから、毎月1
回は受けるべきでしょう。
理解できていないところは、体験不足の結果と冷静に受けとめ、対応すること
が大切で、偏差値や順位に一喜一憂し、感情的にならないことです。
直前になれば、他の教室への他流試合も、本番に慣れるために必要ですが、あ
まり早くから挑戦するのは、お子さんにとっては、会場が変わるたびに緊張感
を強いられることになりがちですから、慎重な対応が求められます。
全統オープン等、小学校を会場とする模擬テストも上手に利用しましょう。
 
こういったスケジュールで1年間を過ごすことになります。
メールマガジンもこれに従って、ご両親で取り組むべきことを説明していきま
すが、最も大切な学校選びのポイントと願書の書き方、面接に関しては、当研
究所で発行しています、
「面接、ここがポイント 小学校編」(書籍)
「面接克服、ここがポイント~That's a Plenty」(CD版)
志望理由についてのアドバイスは、
「おとうさん、おかあさんの受験対策 全25冊」
(志望理由など面接で聞かれる質問事項の学校側の観点を分析した当研究所独
自の小冊子)
「心を鍛える賢い子どもの育て方」
(幼稚舎を始め28校、当研究所にしかないオリジナル学校ガイド CD版)
で詳細に解説していますから、参考にしていただければ幸いです。
メールマガジンの進め方として、面接と志望校選びについては、どうしても来
年の8月以降になりますので、ご両親の心の準備として、お薦めいたします。
詳しくはHPをご覧ください。
 (次回は「最近の入試の傾向」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>試験当日の留意点

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第66号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
◆◆試験当日の留意点◆◆
 
お見事! 3年連続、ノーベル賞受賞! おめでとうございます。
昨年は大村氏と梶田氏が2日連続受賞。今年は大隈良典氏がノーベル生理学医
学賞を受賞。
これで日本人のノーベル賞受賞者は25名となりました。
コツコツと研究を積み重ねた結果の受賞、こういった研究心を、しっかりと育
てたいですね。
 
台風が接近し、そのせいでしょう、朝晩、気温の変化の激しい毎日が続いてい
ます。今日4日は真夏日になるとか。お子さんの健康管理には、十分注意して
ください。
 
今回は、試験当日の留意点をあげておきましょう。
1.募集要項を丁寧に読み直し、持参するものの一覧表を作っておき、慎重に
チェックをしましょう。
受験票、面接票、当日のスケジュール表(出願後に学校側から送られてきた資
料)、募集要項、上履き(学校によってはご両親用も)、運動靴(雨天の場合
は雨具の他に、お子さんの着替えやソックスなど)、携帯電話(万一の交通事
故に備え)、スイカ、パスモなど。
親子一緒の控室のところは、お子さんが静かに待てるようなものも用意すると
いいでしょう。
 
2.当日は、いつもと変わらない朝を迎えてください。
学習院のように試験当日に両親面接があると、ご両親が緊張しがちです。
いつもは「行ってくるよ」と会社へ出かけるお父さんが、一生懸命に駄洒落を
飛ばすのですが、全くうけなくて、かえって、「パパ、どうしたの?」と怪し
まれてしまったと、笑いながら話してくれたお父さんがいました。
いつもと同じように、平常心を心がけましょう。
 
3.いかなる場合でも、遅刻は認められません。
特に、バスを利用する場合は、注意が必要です。
朝は、渋滞する可能性がありますから、事前によく調べておきましょう。
説明会でも開始間際にタクシーで、あわてふためきながらやって来るお母さん
方を見ました。
事故による渋滞や電車の遅れなどの場合は、他の交通手段も考えておきたいも
のです。
そして、携帯電話で学校に問い合わせ、指示を求めましょう。
そのためにも電話番号を登録しておくことです。
ただし、校門の所で必ず、電源を切ることをお忘れなく。
 
4.所定の手続きを指示に従い、あわてずに行いましょう。
頭をひねるような難しいことはありませんが、時間ぎりぎりに到着となると、
気のあせりからミスをしがちで、そういったときは、いつもと違ったご両親に
なっているものです。
そばで見ているお子さんは、どういった心境になるでしょうか。
控室で一息入れずに試験場へ向かい、すぐにテストです。
まわりは、知らない子ばかりです。
お子さんがいつものような状態で、テストを受けられるはずはありません。
それまで全力を尽くしてきたとしても、この一瞬で、すべてが台無しになる可
能性もあります。
十分な配慮が必要です。
 
5.服装は、動きやすく、着馴れたものを。
新品の革靴をはかせるようなことは止めましょう。
学校へ着けば履きかえるのですから。
靴擦れでもしたら、運動テストどころではありません。
髪の毛の長い女の子は、運動の時に困らないようにしておきましょう。
リボンが気になりマット運動ができなかった話を聞いたことがあります。
袖の長いブラウスなどは、制作の時に邪魔になることも考慮しておきましょう。
女の子は、お気に入りのブラウスなどを着せると、汚れが気になり、集中でき
ません。
 
6.テストの前に用便をすませておきましょう。
幼児教室へ通っている方は、教室へ入る前に、必ず、やっていると思います。
白百合学園小学校のように校舎見学の機会がない場合は特に、集合時間間際で
トイレの場所を慌てて探すことのないよう、時間に余裕を持って行くようにし
ましょう。
テスト中にトイレとなると、それまでです。
 
7.いつものように教室へ送り出しましょう。
控室で、「話をきちんと聞くのですよ」などと、くどくど注意するお母さん方
がいるようです。
そういうことが、みんなプレッシャーになってしまいます。
また、大勢の子どもを見て、驚き、緊張している様子が見えたときは、お子さ
んが、もっとも安心する態度で接してあげましょう。
よく聞く話ですが、しゃがんで、お子さんの目を見ながら手を握ってあげ、
「いつもと同じなのよ」
というのが効果的なようです。
お子さんの性格によっても違いますが、こういったことも起こりえると考えて
おきましょう。
 
8.万一の急病に備え、常備薬を持参しましょう。
幼稚園の遊戯会、ピアノなどの発表会の前の晩に、熱を出した経験のあるお子
さんは注意が必要です。
直前に、インフルエンザなどの感染症にかかった場合は、必ず学校側に連絡し、
指示に従ってください。
 
9.テストの時間によっては、昼食の用意をしておきましょう。
近所のレストランなどをあてにしていると、「日曜日で休み」となりかねませ
ん。
一口で食べられるサンドイッチやおにぎり、飲み物も自動販売機などで購入せ
ず、小さい水筒などを用意しておきたいものです。
 
10.幼稚園や保育園、幼児教室などの友達と会うことも考えられます。
緊張しているときに友達と会うと、ほっとして舞い上がるお子さんがいます。
あいさつ程度にし、お子さん同士がふざけ合うようなことのないようにしまし
ょう。
 
11.行動観察や運動テストなどで、子ども同士のトラブルが起こる場合もあ
ります。
先生から事情を聞かれたときは、はっきりと答えることです。
男の子は、これが苦手なようです。
 
12.お子さんがテスト中の控室では、たとえ友達や顔見知りの人がいても、
お互いに遠慮して話し込まずに、本を持参し静かに読むようにしましょう。
「携帯電話の電源は切るか、マナーモードにしてください」とある場合は、ス
マートフォンも使用禁止です。
 
入試本番まであとわずか、風邪を引かないように注意しましょう。
お子さん、お母さんは勿論のこと、お父さん、外出先から帰ったときは、必ず、
手洗いとうがいを励行してください。
そして、お母さん、お子さんにとっては、お母さんの明るい笑顔が頼りです。
精神的なコンディションを崩さないことも、ご両親の大切な役目です。
ここが正念場と考え、頑張ってください。
 
10月13日は十三夜です。天候次第ですが、スッキリと晴れた秋の空に、煌
々と輝く満月を見たいものですね。心に余裕を持ちましょう。
(次回は、最終回[ご両親の心構え]などについてお話しましょう)

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>直前と当日の心構え

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
         「めぇでる教育研究所」発行
   「2017さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第48
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
 
直前と当日の心構え 
 
昼と夜の気温の差の激しい日が続いています。台風接近のためでしょうか、今
日4日は夏日とか。お子さんは、ちょっとしたことで体調を崩しがちです。心
身の健康管理には、十分に気を配りましょう。
また、妙なうわさなどに惑わされることなく、リラックスして過ごすように心
がけてください。
 
【直前の心構え】
 
入園テスト直前、何とかしてベストの状態で試験に臨ませてあげたいのは、お
母さん方の切なる願いでしょう。しかし、特別なことをすると、かえってコン
ディションを崩しやすいのが幼児です。いつもと変わらない生活を続けること
が大切です。ただし、試験時間が朝早い場合は、その時間帯に合わせた生活に
切り替える必要もありますが、いきなり替えるのではなく、少しずつ余裕を持
って行うべきです。
 
入試に必要な知的なトレーニングは、通っている教室の先生方にお任せし、カ
ッとなりやすいお母さん方はやるべきではありません。ご両親は面接に備え、
最後の特訓に挑戦してください。
 
着ていく服も決まっているはずですから、休みなどに3人そろって正装し、幼
稚園まで行ってみましょう。お子さんも慣れることで、特別な気持ちになるこ
とも防げます。そして、楽しい雰囲気を作ってあげましょう。「受験する幼稚
園だよ!」などと言わないことです。
 
さて、これからと言うよりも、もうとっぷりと浸かっているお母さん方もいる
かもしれませんが、やっかいなのは怪情報、うわさです。雙葉小学校が昭和
60年代に3回ほど説明会を開催しました。その動機ですが、裏口入学を策し
たお母さんの子が不合格になったために、その理由を学校側に電話で問いただ
し、驚いた学校側は、「そんな馬鹿げたことは、絶対にありません」と否定す
るためでした。同時に、「どこそこの神父さんの紹介がなければ合格しない」、
「信者でなければ不利」などといったうわさは、単なるうわさであって、怪情
報なるものに惑わないでほしいと訴えたものでした。
 
うわさとは、根も葉もない根拠のない話に過ぎません。当事者であるお母さん
方は、とかく「藁にもすがる」心境に陥り、疑心暗鬼にかられるようですが、
後で振り返ると、「ナンダ!」となるものばかりです。受験料をとるからには
公平でなければ、法律に触れる詐欺行為ではありませんか。犯罪です。気にか
かるうわさを耳にした場合は、お父さんに話してみましょう。おそらく、笑顔
で否定してくれるはずです。頼みますよ、お父さん!
 
【当日の留意点】
 
次に、試験当日の留意点を上げておきましょう。
1.募集要項を丁寧に読み直し、持参するものなどのチェックリストを作り、
慎重にチェックをしましょう。
信じられない話ですが、受験票を忘れたお母さんがいたそうです。
極度の緊張からでしょう。
リストを作っておけば、忘れることもありません。
幼稚園によっては、募集要項を持参してほしいといっているところもあります
から、特別な記載事項には、十分に注意してください。
 
2.当日は、いつもと変わらない朝を迎えましょう。
お子さんの試験と面接が同時に行われる場合は、ご両親が緊張しやすいですか
ら、リラックスした気持ちで臨めるように、平常心を心がけましょう。 
また、お母さんが試験に参加する場合も、とかく緊張しがちです。
教室で体験済みと思いますから、その経験を生かしてください。
親子テストの留意点については、以前、お話ししましたが、普段、ご家庭で遊
ぶ延長と考え、楽しく参加することが大切です。
そして、主役は、お子さんであることを忘れないでください。
 
3.いかなる理由でも遅刻は認められないと覚悟をしておきましょう。
特に、バスを利用する場合は、要注意です。
朝は、渋滞する可能性がありますし、雨天などでは、どこで渋滞が始まるかわ
からないからです。
電車でさえも、改札システムのトラブル、事故など、何が起こるかわかりませ
んから、そういう場合は携帯電話で幼稚園に問い合わせ、指示を求めましょう。
そのためにも電話番号を登録しておきたいものです。
ただし、電源は、門のところで切ることをお忘れなく。
控室で呼び出し音が聞こえては、受験資格なしと考えてください。
 
4.所定の手続きを指示に従いながら、あわてずに行うことです。
頭をひねるような難しいことはありませんが、時間ぎりぎりに到着となると、
気のあせりからミスをしがちです。
そんな時、お子さんが普段、見たことのない顔になっているはずです。
それまで、全力を尽くしてきたとしても、この一瞬で台無しになることもあり
えます。やはり、余裕をもって到着することです。
ただし、暁星幼稚園の説明会で注意がありましたように、あまり早く行っても
お子さんが退屈してしまうこともあるので、30分以内が適当ではないでしょ
うか。
 
5.服装は、動きやすく、着慣れたものを。
幼稚園により、いろいろと注意がありますから、それに従ってください。
また、通われている教室の先生方のアドバイスで、準備は出来ていると思います。
清潔感は、さわやかな印象を与えます。
 
6.テスト前に用便を済ませましょう。
2歳のお子さんは、おむつをつけている場合もあります。
ある幼稚園の説明会では、「入園する4月までに取れますから、隠すようなこと
はしないで下さい。隠してもわかりますから」とおっしゃっていました。
自然でいいと思いますが、これは、ご両親の見識です。
よく話し合って決めてください。
 
7.控室では退屈しないように絵本などを持っていきましょう。
ぬいぐるみを手放せないお子さんがいるようですが、その日だけ取り上げるとパ
ニックになります。
原因があるはずですから、そこを取り除いてあげましょう。
 
8.万一の病気に備え、常備薬を持参しましょう。
何が起こるのか、予測のつかないのが幼児です。
特に、気温の差が激しい時です。
細心の注意を払ってください。
喘息の発作が出やすいときですから、きちんとした対応策を考えてください。
直前に感染症にかかった場合は、必ず、連絡を取り、幼稚園の指示に従いましょ
う。
 
9.テスト時間によっては、昼食の用意が必要になるでしょう。
一口で食べられるサンドイッチなどを用意し、飲み物も小さなポットに入れ持参
しましょう。
 
10.教室や塾などの友達と会う可能性もあります。
緊張しているときに友達と会うとホッとし、舞い上がるお子さんもいます。
2、3歳の子は、もとに戻るにはどうしたらよいかを知らないだけに、厄介なこ
とになりがちです。
そういったときはどうするか、対策を立てておきましょう。
 
11.お子さんがテスト中の控室では、たとえ友達や顔見知りの方がいても、話
し込むようなことはせず、静かに本を読んで過ごすことです。
当然ですが、「電源をお切りください」とある場合は、スマートフォンも見るこ
とはできません。
 
残りわずかになりました。
昨年の11月から始まったこのメールマガジンも、来週で最終回となります。
今回を入れて2回しか残っていません。
そこで、今回のアドバイスは、「これからが正念場と考え、毎日を、大切に過ご
してください」ということです。
お母さん方のいらいらした様子や元気の無い表情が、お子さんにどれだけ不安を
与えるか、しっかりと考えられる賢いお母さんになりましょう。
うわさなどに惑わされない、強い心を持ったお母さんであることが大切です。
お父さん、しっかりサポートしてください。
お母さんは、わが子のことになると、信じられないほど熱くなりがちです。
お母さんの気持ちになって、やさしくリードしてあげましょう。
そのやさしさが、お母さんの心の支えになるのですから、頑張ってください。 
(最終回は、「受験に臨むご両親の心構え」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<保護者編>第13章 七五三ですね 霜月(2) 

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
         「めぇでる教育研究所」発行
     2017さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第48号-
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
 
第13章 七五三ですね 霜月(2) 
 
9月15日の十五夜の満月をご覧になった方、10月13日の十三夜も見てお
きたいものです。「箱根、仙石原のすすきが見頃」とネットに出ていましたが、
お子さんに、満月とすすき、日本の秋の風物詩を肌で感じさせたいものです。
 
★★むかし話と伝説の違い★★
孫引きで気が引けるのですが、「昔話と伝説」について、わかりやすい解説が
ありますので、紹介しましょう。
 
昔話と伝説には区分がある。
「昔、昔、あるところにお爺さんとお婆さんがいました」と始まるのは昔話の
ほうである。いつ、どこで、だれが……を特定していない。いつでも、どこで
も、だれでもかまわない。
そこへ行くと伝説のほうは、
「伊吹山と浅井岳は古くから高さを競い合っていたが、あるとき浅井岳が一夜
にして背を高くした。伊吹山の神タダミヒコはおおいに怒って浅井岳の神アサ
イヒメの首を斬った。首は琵琶湖に落ちて島となり、これが竹生島である」と
いったぐあいに、まことしやかである。いつ、どこで、だれが、といった事情
がそれなりにはっきりとしている。とりわけ土地との結びつきが深い。どこで
起きたことなのか具体的に記されている。
 柳田國男 (1875-1962)の言葉を借りれば、
「伝説と昔話とはどう違うか。それに答えるならば、昔話は動物のごとく、伝
説は植物のようなものであります。昔話は方々をとび歩くから、どこに行って
も同じ姿を見かけることができますが、伝説はある一つの土地に根を生やして
いて、そうして常に成長してゆくのであります。雀や頬白(ほおじろ)はみな
同じ顔をしていますが、梅や椿は一本一本に枝ぶりが変わっているので見覚え
があります」(「日本の伝説」はしがき)
とあって、このたとえ話はわかりやすい。
伝説は土地との関わりにおいていろいろな枝葉をつけ、人々の願望を反映して
成長していく。昔話はどこにでも移っていく。同じような話があちこちにある。
多少姿がちがっても「同じものだな」と見当がつく。
(集英社文庫 「ものがたり風土記」P23  阿刀田 高 著 集英社 刊)
 
「さすが、柳田國男先生」などとおこがましい限りですが、「昔話は動物のご
とく、伝説は植物のようなものであります」の一言ですね。桜の名所を訪ねる
のも訳ありなのです。雀やほおじろ、どこにでも顔を出しているので、素直に
納得しています。
 
【十一月に読んであげたい本 (1)】
七五三は、親が子どもの健やかな成長を祈る日です。しかし、かけ過ぎる愛情
は、子どもの成長を妨げがちです。七五三は、親の子どもに対する愛情チェッ
クの節目ではないかと思います。子を思う親の素朴な愛情を描いた昔話は、心
があたたまります。
 
蛇というと、嫌われものの代名詞のようで、昔話でも悪役が多いのですが、こ
の話は違います。もともと蛇は、水の霊、水の神さまのお使いと信じられてい
ました。この話は、自然の恐ろしさと、お母さんの子を思う姿を伝えた話です
が、嫌われがちな蛇だからこそ、説得力があります。親子の愛情、特に母親の
見返りを求めない無償のほほ笑み的な子を思う心は、理屈を越えた素晴らしい
ものです。
 
しかし、今では、この親子の絆が壊れかけているような気がしてなりません。
ほとんどの場合、親に責任ありと考えます。「あなたのために、お母さんは……!」
という言葉は、子どもにとって釈然としないものがあるのではないでしょうか。
育児は、皆さんのご両親がそうであったように無償です。エゴ丸出しのうとま
しい母性愛は、子ども達にも迷惑で、やがて嫌われるものではないでしょうか。
気持ちはわかるのですが……。
 
愛には、報われることを目標とするエロス的愛と、与えるだけで全くお返しを
期待しないアガペー的愛があることは言われているが、親でありながら、エロ
ス的愛しか持たぬものがけっこう多いのである。
(完本 戒老録 自らの救いのために P86 曽野綾子 著 祥伝社 刊)
 
「アガペーとエロス」、学生時代にキリスト教倫理学で習った記憶があります
が、この年になってお目にかかるとは思いませんでした(笑)。
曽野さんは聖心女子大学出身の才媛で、キリスト教倫理に基づく数々の小説や
歯に衣を着せぬ評論で知られていますが、アフリカなどでのボランティア活動
を知れば、さもありなんと納得せざるを得ません。近著の「人間にとって成熟
とは何か」(幻冬舎 刊)は、50代に出会いたかった本の一冊で、悔しい限り
です。(残念) 
現在、聖心女子学院には昭和46年に廃止したため幼稚園はありませんが、入
園した曽野さんは何かの随筆に、「私の時は、名前と年を聞かれただけでした」
と書かれていました。今、幼稚園があれば、とてもじゃありませんが、「名前
と年」だけでは済まないでしょう。学院は4・4・4制に移行し、中学受験は
なくなりました。
 
◆へびのよめさま◆   丸山 邦子 著
むかし、あるところに、一人のお百姓さんが住んでいました。
ある時、子どもたちがいじめていた蛇を助けてあげると、その晩、美しい女性
が、一晩泊めてほしいと訪ねてきました。次の日、お百姓さんが仕事を終えて
帰ってくると、その美しい女性が食事の支度をしていたのです。そうこうして
いる内に夫婦になり、子どもができ、お産の時は見てはいけないと言われまし
たが、心配のあまりのぞいたのです。
すると、部屋の中には大きな蛇がいて、とぐろの上に赤ん坊を乗せ、なめてい
たのです。
やがて、赤ん坊を抱いて出て来て、
「私は、助けてもらった蛇で恩返しに嫁になりましたが、姿を見られては、と
どまることは出来ません」と言い、赤ん坊が泣いたら、しゃぶらせてほしいと
美しい玉を渡すと、沼に姿を消したのです。赤ん坊は、玉をしゃぶり、健やか
に育ちました。
ところが、話を聞いた殿様は玉が欲しくなり、家来に言いつけて、取り上げて
しまったのです。腹を空かせた赤ん坊は、泣きやみません。途方に暮れたお百
姓さんは、沼の淵で、ことの次第を話しました。すると、大きな蛇が、口に玉
をくわえて現れたのです。一つの目から血が流れ、もう一つの目は、ふさがっ
ていました。美しい玉は、蛇の片目だったのです。取られたのなら仕方ないと、
もう片方の目玉をくれたのでした。
しかし、この玉も殿様に奪われてしまうのです。
お百姓さんが、このことを告げると、蛇は怒り、
「子どもを連れて山へ逃げてください!」
と言ったので、お百姓さんは、子どもを背負って駆け出しました。頂上に着い
たとき、沼の水が盛り上がり、城に向かって流れ出したのです。恐ろしい力で
向かってくる水の力に、城は、ひとたまりもありません。みんな流されたその
後は、湖になってしまったのでした。 
九月のはなし きのこのばけもの  松谷 みよ子/吉沢 和夫 監修
        日本民話の会・編 国土社 刊 
 
日常生活を快適に過ごすために、やってはいけないことを定め、それを破ると
破局を招く発想は、先に紹介しました「古事記」の上巻に、豊玉姫(トヨタマ
ヒメ)の出産をのぞいたことで離別する神話があります。姫の正体はふかでし
たが、その他にも、機を織る仕事場をのぞいてしまった「鶴の恩返し」や、魚
や貝が恩返しをする話などでよく知られています。「見ないでください」とい
われると見たくなるのは、「怖いもの見たさ」と同様、人間の悪しき性(さが)
のようですね。
 
これとよく似た話があります。
両目を失った蛇から、「私は盲目となってしまい、わが子の姿を見ることがで
きなくなりました。三井寺の鐘を毎日ついて、子どもの無事を知らせてくださ
い。年の暮れには、1年過ぎたことがわかるように、多くの鐘を撞いてくださ
い。お返しに人々に幸運を授けましょう」という滋賀県の伝説「三井寺の晩鐘」
です。以来、三井寺では、除夜の鐘に際し、多くの燈明を献じ、目玉餅を供え、
108に限らず、できるだけ多くの人に、できるだけ多く鐘を撞いてもらう特
別の儀式が行われています。
(www.shiga-miidera.or.jpより)
 
余談になりますが、晩鐘というとジャン=フランソワ・ミレーの馬鈴薯畑で働
く農夫が、教会から流れる夕方のアンジェラスの鐘に合わせて祈りを捧げる名
画「晩鐘」があり、小学校6年生の頃、図工の先生が画集を持ってきては絵の
解説をしてくれたことを思い出します。「落ち穂拾い」「羊飼いの少女」と共
に忘れられない作品となりましたが、先生から「馬鈴薯はジャガ芋」、「アン
ジェラスはラテン語でエンジェル」と教わり、言葉の響きが新鮮で今でも覚え
ています。おそらく、自分で解説書を読んだだけでは、このような印象を受け
なかったのではないかと思います。そういったことからも音読は、非常に大切
ではないかと考え、小学生の子ども達に薦めています。井沢元彦氏の「言霊
(ことだま)の国・解体新書」(小学館文庫 刊)ではありませんが、言葉にも
生命があるような気がしますね。万葉集をはじめ古今集などの歌集が今でも読
まれているのも、言霊が脈々と生き続けいる証(あかし)ではないでしょうか。
 
ところで、最近、落語を聞く機会がほとんどなくなりましたが、「寿限無
(じゅげむ)」という噺があります。子どもがけんかをして、寿限無にぶたれ
た子が、こぶを寿限無の親に見せるのですが、名前があまりにも長いために、
文句をいっているうちに、こぶがへこんでしまった噺です。名前の長さは、こ
の話に出てくる名前の五倍ほどあり、それをきちんと覚えている噺家さんは、
すごい記憶力だなと、子ども心にも感心させられたものです。
YouTubeで若き日の故立川談志師匠の「寿限無」を聞くことができます。
気持ちはわかるのですが、親の愛情が行き過ぎると、妙な具合になる話です。
名前は、一生の付き合いですから、あまりこったものでは、本人が大変です。
そういえば、「悪魔」という名前を、役所で受け付けなかった話がありました
ね。
 
◆長い名まえ◆   浜田 廣介 著
むかし、ある村外れに、「やぶん中」と呼ばれる家がありましたが、どうした
わけか、子どもが無事に育たず、3、4歳になると、あの世に行ってしまうの
です。ある年に、男の子が生まれ、心配したおじいさんは、長生きできるよう
に、長い名前をつけることにし、和尚さんにお願いしたのです。
つけた名前は、「一丁ぎりの丁ぎりの、丁丁ぎりの丁ぎりの、あの山こえて谷
こえて、ちゃんばちゃく助、なんみょう長助」でした。これで、長生きできる
と、おじいさんは安心して帰るのです。
ある日のこと、長助は川へ菖蒲をとりにいき、丸太の橋を渡ったときに、足を
滑らせ落ちてしまったのでした。友達は、おじいさんに知らせました。
「やぶん中のおじちゃん、大変だぁ。おじいちゃんちの、一丁ぎりの丁ぎりの、
丁丁ぎりの丁ぎりの、あの山こえて谷こえて、ちゃんばちゃく助、なんみょう
長助ちゃんが、落っこちたぁ、落っこちちゃったぁ、川ん中へ!」
声を聞いて、出てきたおじいちゃんは、
「おおい、子どもしゅう。一丁ぎりの丁ぎりの、丁丁ぎりの丁ぎりの、あの山
こえて谷こえて、ちゃんばちゃく助、なんみょう長助が、どうしたって。どう
したぁ?」
「川ん中へ落っこちたぁ!」
「そいつは、たいへん」
おじいさんは飛び出していき、近所の人も駆けつけ、間一髪のところで助かっ
たのでした。
 世界民話の旅 9
   日本の民話 浜田 廣介 著  さ・え・ら書房 刊
 
「長い名前で助かった」と思いたいのが人情ですね。原作では、井戸に落ちて
死んでしまうことになっているそうです。再話で命を救ったのは、作者、浜田
廣介の愛情ではないでしょうか。
 
私事でなんですが、名前を「紀元」(きげん)といいます。誕生日は昭和15
年2月11日で、今でいう「建国記念の日」でした。二月にお話しましたが、
当時は「紀元節」といい、日本の誕生した日を、日本書紀に記されている神武
天皇が即位されたといわれる年(西暦紀元前660年)を皇紀元年として、明
治5年(1872)に定めた祝日だったのです。しかも、昭和15年
(1940)は、皇紀二千六百年にあたり、時あたかも太平洋戦争の前の年で
もあり、戦意高揚のためか、皇室礼賛のためかわかりませんが、「紀元二千六
百年、ああ一億の胸がなる!」と歌を歌い、提灯行列をし、全国的にお祝いを
したそうです。「紀元二千六百年の二月十一日生まれで名前は紀元」ですから、
畏れ多い名前であったわけで、戦争に勝っていたら、名前負けをした非国民と
いわれたかもしれません。しかし、命名されても、名前負けをしない立派なも
のもあります。世界自然遺産に登録され、椋鳩十の「片耳の大鹿」の舞台であ
る屋久島にある杉の巨木、推定樹齢3千年の「紀元杉」です。いつの日か訪ね、
同名のよしみとしてご対面したいものです。ちなみに縄文杉の推定樹齢は7千
2百年で、世界最古の植物といわれていますが、あくまでも推定で、本当のこ
とはわからないようです。
 
ところで、世界の名機と言われたゼロ式艦上戦闘機「ゼロ戦」は紀元2600
年に開発され、年号の末尾のゼロを使い命名したそうで、宮崎駿監督最後の作
品「風立ちぬ」が上映されましたから、若い皆さん方にもおなじみになったの
ではないでしょうか。
ゼロ戦と聞くと特別攻撃隊、「特攻」のことを思い出します。私は国のために
命を捧げた純真な心には畏敬の念を抱いています。しかし、あまりにも人命を
無視した唾棄すべき史上最低の作戦であるため、涙なくして読めませんから読
みたくないのですが、250万部も売れていると聞き、百田尚樹氏の「永遠の
ゼロ」を読み、これは若い人達に読んでもらいたいと思いました。小説にも絶
対に謝らない日本の為政者、職業軍人の幹部、高級官僚、マスコミに怒りをぶ
ちまけていますが、読み終わり感じたことは、「少しも変わっていないな」と
いうことでした。先の大戦で300万人(戦場で230万人、原爆や空爆で70
万人)の命を失ったにもかかわらず、何もやってこなかった自分を棚に上げて
何ですが、むなしくなりましたね。(合掌) 
 
最後に、今は秋祭りの最中ではないでしょうか。
ここ川越市でも、来週の15(土)、16日(日)は、「川越まつり」でにぎわい
ます。大江戸天下祭りを今に伝える歴史ある祭りで、十数台の山車(だし)が、
蔵造りの街に姿を表し、にぎやかなお囃子と愉快な踊りが見所です。出会った
山車同士が、互いに向き合い、独自の囃子と踊りを競う「曳(ひ)っかわせ」
は、祭りの醍醐味で、一見の価値があります。パソコンで「川越まつり」を検
索すると、その様子を見ることができます。昨年6月に火災があった菓子屋横
町、火元にも店舗が出来上がり営業開始。もう一つの観光スポット、時の鐘は、
先にもお話ししましたように、29年1月の完成を目指し耐震化工事中のため、
シートをかぶっているかもしれません。
ところで、今年も3年連続でノーベル賞を受賞しました。以前、お話しました
が、母国語で自然科学など殆どの分野を日本語で学べるのは、奇跡に近いこと
です。それを支えているのが、漢字仮名交り文です。日本語をしっかりと学ぶ
ことが、いかに大切であるか、しっかりと子ども達に教えたいものです。他の
アジアの国の人々は、英語などで書かれた本を読むことになり、外国語をマス
ターしなければ、専門書は読めないことになっているようです。
(次回は、「11月に読んであげたい本(2)と最終回にあたり」についてお
話ししましょう)

1

« 2016年9月 | メインページ | アーカイブ | 2016年11月 »

このページのトップへ