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めぇでるコラム : 2016年3月

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>入試問題を分析する   推理・思考に関する問題(3)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第39号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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(4) 推理・思考に関する問題(3) 
 
◆入試情報◆
◎神奈川私立小学校フォーラム
日時 5月8日(祝)10:00~15:00
場所 新横浜プリンスホテル5F
横浜雙葉小学校他29校参加 幼児広場開催予定。
詳しくは「神奈川私立小学校フォーラム」のホームページをご覧ください。
 
◎横浜雙葉小学校 
学校説明会 4月23日(土)午前中 (申し込み不要)
学校見学会 5月12日(木)午前中 (要 事前の申し込み)
オープンスクール 6月25日(土)午前中 (要 事前の申し込み)
詳細は、4月1日以降、本校ホームページに掲載。
 
[科学性の問題]
(風の吹く向き、影や水に映っている絵を見て)
◆ 下の絵で、おかしなところに×をつけなさい。
 
問題集に取り組む前に、以下の実験をしておくと、好奇心の触角となる「ナゼ、
ナゼ、ドウシテ?」の探査用アンテナを張りはじめます。
風の吹く様子は、ぶら下げたひもにドライヤーで風をあててみましょう。
影は、お日さまの出番ですが、懐中電灯でもわかりやすいでしょう。
水に映る様子は、前回の実験で使った画用紙を縦にして半分に折り、上の部分
に矢印↑や▲を描いてみましょう。そして、色を塗り、重ねて、よくこすりま
す。どのように写るかががわかれば、直ぐに理解できるでしょう。
 
磁石にくっつくもの、水に浮くもの、沈むもの、これも同じです。磁石を持た
せて、十分も遊んでみると、わかります。おもちゃ箱には、いろいろなものが
入っていますし、部屋の中にも、実験用の教材は豊富です。しかし、うっかり
コンセントに近づけると危険ですから、よく説明しておき、絶対に一人ではや
ってはいけないと約束し、実験中も監視の目をゆるめないことです。 
缶はアルミ製とスチール製を用意しましょう。「エッ!」となるはずです。 
砂の中に磁石を入れると面白いのですが、最近の砂場は衛生上、問題がありま
すから勧められません。砂場で砂鉄を採集し、紙の上にのせ、下から磁石をあ
ててみましょう。これは、子どもにとっては、驚きの現象となるはずです。
少し難しいかもしれませんが、どうすれば折り紙を磁石で持ち上げることがで
きるか、挑戦してみましょう。ヒントは、クリップなど磁石にくっつくものを
利用することです。
 
コップや空き缶は、どんなときに浮き、沈むのでしょう。  
ジュースの入ったビンは、浮くでしょうか。
水をいっぱい入れたビンと、少し空気を入れたビンでは、どうなるでしょうか。
1円玉、10円玉は、どうですか。
紙は、条件で変わります。
輪ゴムも面白いですね。
さつま芋は浮くでしょうか。
すいかも面白いのですが、今は、丸ごと買いませんから、ピンチヒッター、メ
ロンでどうでしょう。
 
ところで、昔、大関に小錦という大きなお相撲さんがいましたが、プールで泳
いでいるのをtれビデ見て、「どうして、あんなに大きなお相撲さんが、水に
浮くのですか?」と真剣な顔をして質問した子がいました。皆さんは、どのよ
うに説明しますか。
 
その他に、植物の成長の段階や昆虫の生育状態を、絵を並べて答える問題もあ
ります。
朝顔やひまわり、チューリップなど家で栽培できるものを、お子さんと一緒に
育てながら、観察絵日記をつけるのも、効果がありますね。
おたまじゃくし、めだか、やごなどは、川にはいくらでもいましたが、今は、
その気になって出かけて探しても、いません。
♪春の小川は さらさらいくよ♪
などという風景は、どこにあるのでしょうか。
本物に勝るものはありませんからお勧めできませんが、図鑑などで説明するし
かないでしょう。
「手に入らない、見ることができない」といっても、興味や関心の芽は育てて
おきたいものです。
 
文部省唱歌「春の小川」の情景は、どこにあったかご存知でしょうか。
渋谷を流れていた河骨川だそうで、今はコンクリートで固められた汚れた川、
宇田川と呼ばれ、東急東横線の渋谷駅前の歩道橋から見ることもできますが、
あまり見栄えのよい景色ではありませんから、お勧めできません。歌碑は、小
田急線の代々木八幡駅付近の線路沿いに建てられています。
ところで、平成25年3月から東急東横線の渋谷駅は地下にもぐって副都心線
と乗り入れになり、川越から元町・中華街まで乗り換えなしに行けるようにな
り、横浜雙葉小学校の説明会に出かけましたが、地下鉄を利用するたびに思う
ことは、すべて電気が頼りですから、電気が止まると、後期高齢者は、あの階
段を上り下りできませんね。停電の場合、どうなるのでしょうか。蛇足ながら、
目下、渋谷駅周辺は、再開発事業が進行中、46階建ての高層ビルが建つそう
で、街の様子が変わってきました。
 
[鏡映像]
これも勘違いしやすい問題ですね。
「左と右が、反対に映るんですよ!」
理論上は、そうですが、子どもには難しい問題です。
「お母さん、どうして左と右が反対になっているのに、上と下は変わらないの?」
こうなると、収拾がつきません。
鏡の前で、いろいろなポーズをとって、遊んでみましょう。右手を上げると鏡
の中の自分は、左手を上げていることに気づかせます
 
わかってきたら、子どもと向き合って、「鏡ゲーム」で遊びましょう。お母さ
んが鏡になり、子どもが右手をあげたら、どちらの手を上げますか。左手です
ね。お母さんのいうとおり、左右が反対に映っているのですが、理論的なこと
は、どういうふうに映るかが、よくわかってからにしましょう。
 
ところで、実際に出題されたかどうかわかりませんが、問題集にこのようなも
のがありました。
 
(子どもが、鏡の前で右手を上げている)
◆どのように映っているか4枚の絵から選びなさい。
 
鏡は手前にあり、どのように映っているかわからない仕掛けになっています。
子どもの絵を180度回転させなければわかりませんが、「鏡ゲーム」でやっ
てみると、右手に歯ブラシを持っている子は、鏡の中では左手に持っているこ
とがわかります。
 
ところで、鏡は不思議です。
左右が逆になるのに、なぜ、上下は、そのまま映るのでしょうか。      
「そんなこともわからないの。壁に掛かっているからだよ。足元に置いたら、
先生の姿は、逆さまになっているでしょ!」
こういって、鏡を私の足元に置いた子がいましたが、お父さんがお母さんの使
っている等身大の姿身を床に置いて見せてくれたそうです。
幾何学的にいえば、逆転しているように見えるのは、左右ではなく前後(奥行
き)だそうですが、理屈抜きです。このお父さんのように、実際にどう映って
いるかを見せることが大切で、幼児の学習は、これに限ります。難しい原理や
定理は、大きくなって学力がつき、疑問に思ったその時に、自分で調べること
ができるからです。
 
[四方図形]
最後は、四方図形です。
真ん中に、旗を持ったくまの縫いぐるみの人形があり、それを前後左右から見
ると、どう見えるかを答える問題です。
 
これも実験です。
大きめのコーヒーカップをテーブルの上に置いて、前、右、後、左と、回り方
はどちらからでもいいのですが、スケッチブックに描いてみると、すぐにわか
ります。
前から見るのと後ろから見るのとでは、逆になります。
右側から見えた持つところは、左側からは見えません。
これがわかれば理解できます。
 
しかし、積み木の四方図形は難しいですね。
二等辺三角形を上から見ても、横から見ても長方形に見えるのですが、これが
なかなか理解できないようです。傾斜を平面としてとらえるのは難しいですね。
底辺が四角の場合は四角に、長四角の場合は長四角に見えることを、よく確か
めておきましょう。
円柱もそうですね。
上から見ると○ですが、横から見た場合は、長さにより違いますが、四角や長
四角にも見えます。
扇形も、見る位置を変え、上から見ると長四角に見えます。
積み木をいろいろな角度から見て、スケッチブックに描いてみましょう。傾斜
が平らに見えるのは、描いてみると「なるほど!」と理解できます。
 
もう一押ししておきましょう。
対称図形でやった矢印です。
これを切り抜いて、お母さんが持って、子どもの前に立ち、
「お母さんから見たら、この矢印、どっちに向いていますか?」 
「(ぼくから見ると左向きだから、お母さんから見ると逆だな。)
お母さん、右向きでしょ!」
「ピン、ポン!」
しっかりと理解している証拠です。
 
しかし、こんなにややこしい四方図形などを、どうして出題するのでしょう。
毎年、出題している小学校があります。「これは思うに」などと気取ることでも
ありませんが、物は、見る方向によって、いろいろな形に見えますから、ある方
向からだけ見るのではなく、いろいろな方向から見ることが大切なのだといって
いるのではないでしょうか。 
子どもも、同じです。
子どもの能力をある方向から、たとえば、知的な能力だけで判断してはいけない
ということですね。子どもの持つ様々な能力を、きちんと見極めてあげるのが、
親の大切な仕事ではないでしょうか。
ところで、出題頻度の高い小学校は、愛子さまの通っていた学習院初等科で、掲
げる教育目標は、「視野の拡大と個性の尊重」ですが、学校にお伺いしなければ
わかりませんが、考え過ぎでしょうね(笑)。
 
いかがでしたか。
推理思考の問題は、やってみると、子どもの日常生活と、深くかかわりを持って
いることがわかります。幼児の試験ですから、判じ物のような試験をするわけは
ありません。問題集だけで知識を教え込むのではなく、子どもの周りには、たく
さんの教材がありますから、これを利用することが大切です。好奇心をそそるよ
うに仕向けていくのが、賢明な方法であり、問題意識を持たせることです。
「なぜ、どうして?」という疑問の芽を育ててあげましょう。そういった疑問を、
小学校に入ってから系統立てて勉強していくわけです。
 
問題集を広げ、鉢巻きを絞めて、机の上でガンガン、ビシビシと教え込むだけが
受験準備ではありません。前にもお話しましたが、記憶力は学習効果を高める大
切な能力の一つですが、記憶力だけに頼るのは、やはり、拙いのではないでしょ
うか。本物の力は、体験を伴った学習から培われるものです。疑問の芽を育てる
環境から、子どもの意欲は培われることを肝に銘じておきたいものです。この意
欲こそ、あすの学習につながるからです。
 
思い出してください。子どもが「わからない!」といったときは、本当のわから
ないのです。理解できない問題は決して無理をせず、お母さんも考え一緒に悩ん
でください。お父さんもお母さんに任せるだけではなく、共に学んでください。
そして、「あしたは、今日より、きのうより」の気持ちを大切に頑張りましょう。
 
桜、満開ではないでしょうか。桜といえば昔話の「花さかじじい」を思い出しま
す。「花さかじじい」「桃太郎」「さるかに合戦」「舌切り雀」「かちかち山」
は日本の五大昔話ですが、お子さんに読んであげているでしょうか。また、それ
ぞれ歌がありますが、「かちかち山」の作曲は瀧廉太郎で、YouTubeで視
聴できます。お子さんと一緒に歌ってみましょう。特に男の子、歌うことを苦手
としがちですが、お母さんと一緒に歌っていないからではと思います。ここ数年、
立教小学校では、歌や踊りを取り入れていますが、昨年は早稲田実業学校初等部
でも同じような課題がありました。学校側の狙いは……? 考えてみましょう。
(次回は、(5)「記憶に関する問題」についてお話しましょう)
 

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>名門幼稚園の保育方針 私立幼稚園編(9)

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2017さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第21
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私立幼稚園編(9)
 
ここで紹介する情報は、説明会や過去のホームページなどから得たものが中心
になっており、説明会、見学会、募集人員に関する情報は、昨年度のものであ
ることをお断りしておきます。本年度の情報は、各園のホームページをご覧く
ださい。(筆者)
 
立教女学院短期大学附属幼稚園 天使園
武蔵野の面影を残す井の頭公園の近くの高台に、立教女学院の広大なキャンパ
スがありますが、天使園は正式には裏門になる坂下門を入ったすぐ左側の、短
期大学の瀟洒(しょうしゃ)な学び舎の中にあります。
 
本園は、1970年(昭和45年)、キリスト教聖公会の精神に基づいて、幼児
の健全な発達を目指した保育を行い、あわせて本短期大学教育・研究施設とし
ての役割を担っています。一人ひとりの子どものよさを伸ばすために、4歳児
組、5歳児組共、合計男女約20名の、少人数による保育を行っています。よ
りよい保育の実現のために、幼児教育科の教員が研究活動を行い、保育運営に
関わるなど、本園教諭と連携しています。
 
大学内の幼児教育研究所では、広く地域社会に奉仕するために、どなたでも参
加できる土曜講座(年10回程度)や、保育者のためのステップアップ講座を
開催しています。詳しくは、立教女学院短期大学のホームページ、図書館/施
設のページをご覧ください。
 
天使園とは  
天使園では、「神様に愛されていることを信じ、自らの道を歩める人に」という
保育理念のもと、教育目標として、
○心豊かな子ども
○友だちと遊びを楽しむ子ども
○考えたり工夫したりする子ども
の3つを挙げて、
「キリスト教保育」「少人数保育・チーム保育」「遊びを中心とした保育」
の3つの柱を立てて、保育に取り組んでいます。
 
○ キリスト教保育
祈りの時を大切にし、周囲の世界と自分のつながりを感じ取り、相手の立場に
立って物事を考える力を育てます。
 
○ 少人数保育・チーム保育
少数の温かい雰囲気の中で一人ひとりが自分らしさを発揮しながら、互いのよ
さを認め合える関係を育てます。オープン施設における少人数という特色をい
かし、教員は十分な連携のもとで全幼児の理解を共有し、異年齢のかかわりを
大切にします。
 
○ 遊びを中心とした保育
遊びを通して人と関わる喜びや自己を表現する喜びを味わうことができるよう、
教員は適切な環境の構成を行い、遊びの充実を図ります。
幼児の主体性を育むためには、幼児の生活に即した教師の計画性が問われます。
長期の見通しを持って遊びの充実のための環境の構成を考えます。
 
自由保育が始まったのは平成4年。それ以前の駆け出しの頃、一斉保育時代に
説明会でうかがった話ですが、「監視や強制ではない保育」という言葉には、
新鮮な響きがあったことを今でも覚えています。文言は正確ではありませんが、
こうおっしゃっていました。
 
幼稚園生活は、毎日が、決して楽しいことばかりではなく、様々なことが起こ
りがちで、悔しい思いをする時もあり、そういった時には自ら友達とのかかわ
りを考え、工夫し、友達のよいところを見つけることが出来るような環境を作
っていきたい。監視や強制ではなく、子どもが先生を必要とした時、適切な助
言ができるように心がけています。
 
立教女学院高校から立教大学への進学は、以前は推薦制度(60名)でしたが、
2004年(平成16年)度からは、一定の要件を満たした進学希望者は、全
員進学できるようになりました。
さらに本園の園児が、立教女学院小学校を受験する場合、優先入学の特権や推
薦制度はなかったのですが、2008年(平成20年)度から、推薦で入学で
きるようになりました。
小学校と同様、制服はありません。
 
学院内には、創立当初からある聖マーガレット礼拝堂と小学校が改築されたと
きに設立された聖マリア礼拝堂がありますが、以前、小学校の説明会は聖マー
ガレット礼拝堂で行われていましたので、入ったことがありました。古色蒼然
たる礼拝堂で、宗教の香りが漂っている感じがしたものです。現在、杉並区の
指定文化財となり、部外者は入れないそうです。
 
【募集人員】 満4歳児 男児・女児  合計約20名
【説明会】 (※編集者注 平成27年実施済の前年度の情報です)
 9月5日(土)10:00~12:00
 於 立教女学院聖マリア礼拝堂
 施設見学会は入園説明会当日のみ 子ども同伴不可 スリッパ持参で実施。
公開行事として、「クリスマス礼拝」があります。詳しくはホームページをご
覧ください。
       
【Q&A コーナー】 よくある質問
Q 通園の方法について?
A 公共機関にて通園してください。車での送迎は認められません。
  また自転車で通園なさる方は、決められた場所に駐輪してください。
 
Q 通園時間に制限はありますか?
A 幼児の生活リズムを考え、30分~1時間以内が適当と考えています。
 
Q 現在は通園に1時間以上かかる所に住んでいますが、合格したら近い場所
に転居する予定です。それでもだめでしょうか?
A はっきりとした転居先を、入園願書に記載してください。
     
Q お子様の送迎について?
A 保護者の方とお顔をあわせ、その日の園での様子等をタイムリーにお話し
しています。そのことがお子様の成長を支えていく上で、重要であると考えて
います。送迎については原則として保護者の方にお願いしています。ご夫婦と
もにお仕事をお持ちの方も在園されていて、送り迎えのどちらかは保護者の方、
どちらかは祖父母の方にご協力いただきながら通われています。
Q 防犯・防災または危機管理面で園の取り組みはどのようにされているので
すか?
A 各門に警備員を配置し、不審者が入構しないように警備しています。また
構内各所に監視カメラを設置。構内の安全面をより強化しています。保護者、
勤務員は常にIDカードを携帯しています。その他、避難訓練、保護者による
引き取り訓練も随時実施し防犯・防災対策を強化しています。また、緊急の場
合の連絡ツールとして緊急配信メール、杉並区すぐメールを取り入れてもしも
の時に備えています。
 
Q クリスチャンではないのですが、入学は許可されますか?
A 宗教、宗派は問いません。但しキリスト教教育を行うことにご理解とご協
力いただくことが必要です。
 
Q 双子ですが、願書はどのように提供すればよろしいのでしょうか?
A お二人分の書類を一つの封筒に入れてご提出ください。
 
Q 事前に園長先生にお会いできますか?
A 事前面接は一切行いません。そのために、保護者面接を行っています。
 
Q 園から指定された面接日に父親が来られません。面接日を変更できますか?
A 面接日の変更は原則として行いません。保護者お一人での面接で十分です
ので、指定日にご来園ください。
 
Q 女学院小学校への進学は?
A 希望者は原則として園長推薦により本学院へ進学できます。
(平成28年3月29日現在のホームページより)
 
川村幼稚園
幼稚園には男の子もいますが、小学校から大学院まで、女子だけの別学で、宗
教色のない総合学園です。
登園時のJR山手線目白駅は、三つの幼稚園、本園と学習院幼稚園、日本女子
大学附属豊明幼稚園の園児たちの姿を見ることができます。おもしろいことに、
学園内で、もっとも駅から近いのが中学、高校で、体力的に弱い園児は、短大
と中高の校舎の間を歩き、学園本部前を通り、小学校の前を経て、区立目白児
童館の前を通って、やっと到着する一番奥にあります。
大学と大学院は、千葉県の我孫子市にあります。
本学園は、1927年(昭和2年)に開設され、学園の創立者、川村文子が掲
げた「感謝の心」と「女性の自覚」の教育理念が、脈々と受け継がれています。
 
【教育目標】  
「感謝の心」をもとにして、みんなと仲よく元気よく やさしい心を持てる子
どもになりましょう。
○ 豊かな「こころ」  
○ のびやかな「からだ」
○ 工夫する「あたま」
 
【教育目標達成に向かう取組】
◇ 集団のなかで伸びやかに
感謝の心を大切にした情操教育を基本に、日々の指導にあたっています。
(言葉で理解させる指導は難しいので、成長してから園での生活を振り返り、
納得してもらえればと思っています。例えば、順番を守ったり、「貸して」
「どうぞ」ということを集団生活の中で自然な流れで導くことにより、子ども
達は、生涯大切にするべきルールを素直に学んでいきます。また、)家庭生活
の延長線上にある幼稚園を目指し、本人・家庭・園の三位一体の教育を心がけ
ています。
(  )内は現在のホームページは掲載されていません。
◇ はじめの一歩を緩やかに
親から離れて初めての集団生活を開始する「はじめの一歩」であることを念頭に、
ゆっくり、あったかな場を整えます。子ども達の心の安定をはかるとともに、
個々の発達段階をよく見極めた援助をし、元気に一人で活動する力の基礎を作
ります。
 
◇ 行事を通して健やかに
日本に伝わる伝統と、その中にある礼儀を体得するとともに、季節や自然に気
づき、大事に思えるように、より多くの行事を取り入れています。また、友達
との協力や達成感を味わい、その過程で自分の存在や自分を支えてくれる人の
存在を知ることで、落ち着きのある豊かな心を持ち合わせた子どもの育成を目
指します。
 
「感謝する心」といった情操面の教育、礼儀作法や言葉遣いは、幼児期に身に
つくものです。これらは、決して幼稚園の先生方にお任せするものではなく、
ご家庭でご両親が、責任を持ってしつけるものです。
「躾」という字は、「身を美しくする」から成り立っています。また「仕付け」
とも書きますが、これは「服などの縫い目を正しくするために、仕付け糸で縫
い、仮に押さえておくこと」ですが、押さえておくことで、きちんと縫えるわ
けです。この「押さえ」こそ、ご家庭の教育方針であるべきではないでしょう
か。また、「“しつづける”がつまって“しつけ”になった」という解説を本
で読んだのですが、うっかり題名と著者名を書き損じてしまい、勝手に転用さ
せてもらい著者には申し訳ありませんが、これもわかりやすいですね。
 
その具体的なカリキュラムとして実施されているのが「蓼科修養会」です。
団体生活の訓練と精神教育を目的として、昭和36年から始まり、年長組が7
月に2泊3日の予定で、学園の蓼科山荘で行われていますが、ここにも3つの
柱があります。
○豊かな自然に触れ、自然を愛する気持ちを養う。
○集団生活を通して、自主的態度を助長する。
○規律を守る習慣を身につける。
 
2泊3日、父母のもとを離れて生活する、確実に何かをつかめる三日間となり
ます。これは子ども達だけではなく、子どものいない生活は、ご両親にも素晴
らしい体験になるはずです。かつて、毎年夏に、年長児を対象に2泊3日の合
宿を行っていた経験からわかるのですが、特にお母さん方にとって空白の二日
間は、育児の何たるかを実感させられる、絶好の機会となっているに違いあり
ません。
本園のことではなく一般的な話ですが、夏に行われているお泊り保育などで泣
くのは、男の子が多いそうで、過保護になっていると、こうなりがちです。入
園後は、お泊り保育などでの様子を聞いておきましょう。お子さんを客観的に
見る大切な機会だからです。
 
また、本園の特徴に、「行事を通して健やかに」とありますが、節分や七夕と
いった日本の伝統ある行事が、幼稚園や保育園のイベントとして行われている
傾向にあるだけに、ご家庭でもお子さんと一緒に楽しんでほしいということで
しょう。
園庭には、四季を楽しめる草木や花があり、笹は七夕祭り、薄(すすき)はお
月見に利用しているそうです。都内では薄を見るのも珍しくなっているだけに、
園児が楽しく遊ぶ姿が目に浮かぶようです。かつての車のコマーシャルではあ
りませんが、幼児期は「物より思い出」が大切です。幼児期の楽しい思い出は、
季節折々の年中行事で楽しむことから生まれるのではないでしょうか。
 
預かり保育「にじ組」、満3歳児保育「つくし組」、アフタースクール・セミ
ナーについては、ホームペ-ジをご覧ください。
 
「教育の三本の柱」と「三本」が掲げられていますが、これも訳ありでした。
学園の「三羽の鶴」の徽章(きしょう)は、三つの玉は川村の川を、鶴は「尊
厳の崇高」「平和と愛の心」「豊かさ」「永遠の向上」を表し、「三」という
数字は、古来、古今東西を通じて基本的な数であるから「三羽」となり、中央
で真っ直ぐ進もうとする鶴が「園児・児童・生徒・学生」で、それを左右から
支え導いている鶴が「保護者・学園・教員」を表し、この三者は学園生活では、
何れも欠くことができない関係を表しているそうです。
 
女子は、小学校へ原則として、全員進学できます。
 
ホームページの「Q&A」のところに、こういったものがありました。
Q 子どもが考査中に泣いてしまったら不合格でしょうか
A たとえ泣いても会場に入っていただければ、泣いている原因とその状況を
  みながら判断しています。
 
「泣いたら不合格になる!」といううわさもありますが、本園は心配ありません。
幼稚園の受験は、「親のもとを離れても楽しいことがある」を体験しているか
がポイントになるのですが、それでも受験生は幼児ですから、何が起きるかわ
かりません。こういった配慮は、親としてありがたいですね。
 
「幼稚園で遊ぼう」などのイベントや説明会の日程は、既に公表されています。
詳しくはホームページをご覧ください。
 
【募集人数】  3歳児男女  30名  4歳児男女  10名
 
【Q&A コーナー】  Q&A
 
★日常生活について
Q:通園時間に制限はありますか
A:通園時間に制限は特に設けていませんが、通園は保護者の方にお願いし
  ています。東京都内はもちろん埼玉県、千葉県、時には神奈川県から通
  う園児も在籍しています。
 
Q:幼稚園と保護者の連絡はどのようにとっていますか
A:毎日の送迎の中で日々の報告を行っています。また、月1回園だよりを
  発行しています。
  5月と12月、その他必要に応じて保護者会を開き、7月・12月には
  個人面談を行っています。
 
Q:給食はありますか
A:あります。給食の他に、週に一度水曜日をお弁当の日としています。毎
  月のメニューを検  討するため、教職員・管理栄養士による委員会を
  開催し、行事食や旬のものを取り入れ、材料の産地を確認した上でメニ
  ュー作りをしています。
 
★入園考査について
Q:事前にある保護者面接はどのようなものですか?
A:保護者の方に、ご家庭のことやお子様のことなどを質問しながら、愛情
  豊かに育っているか、また入園後、園とご家庭との協力関係が上手くで
  きるかどうかを推し量るためのものとお考えください。
 
Q:入園考査で行う「心身発育状況・健康面からの総合審査」はどのような
  ものですか?
A:子どもらしい安定した月齢相応の基本的なことができるか、また、集団
  生活に対応できるかどうか、さらに園生活を営む上で、運動機能等に支
  障がないかなどを見ています。
 
Q:早生まれが不利になることはありますか?
A:上記にありますが、一人ひとりの月齢を加味して全体の試験を行ってい
  ます。
 
Q:子どもが面接で泣いてしまったら不合格でしょうか?
A:(省略)
 
Q:子どもの面接は個人面接、集団面接のどちらですか?
A:集団面接です。
 
Q:男の子も入園できるのですか?
A:はいできます。
    (平成28年3月29日現在のホームページより転載したものです)
 
(次回は、桐蔭学院幼稚部、湘南白百合学園幼稚園についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<保護者編>第6章(2)桜について

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2017さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第21号-
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第6章(2)桜について
 
開花宣言が出て寒の戻り、東京の桜、今年も入学式まで何とか持ちそうで、ぴ
かぴかの一年生、大きく羽ばたいてほしいものです。
 
日本を代表する花といえば、桜と梅、そして菊でしょうか。
しかし、梅と菊は、たえなる琴の音が流れ、何やら辺りをはばかり、ひっそり
と観賞しなければならない風情が立ち込めています。梅は一輪、一輪が、きり
っと咲き、「私は私、人は人!」と独立自尊を固持する孤独な感じがし、大輪
の菊は、「きちんと見ないと承知しませんことよ!」と衣服を改め、居住まい
を正して観賞せざるを得ない雰囲気があります。しかし、桜とくれば下戸も上
戸も無礼講とばかりに、にぎやかに盛り上がるムードがあります。しかも、桜
は、木、そのものが綿菓子のような花の塊で、「全員、集合して、楽しみなさ
い!」と博愛の心を大らかに誇示しているような気がします。
 
しかし、本来、花見は、農耕と結びついた宗教的な儀式で、主役は人間ではあ
りませんでした。昔の人は、田の神さまは、秋の収穫が終わると山へお帰りに
なり、春と共に再び山から下りて来られると信じていました。ですから、田の
神さまを、桜の花咲く木の下にお迎えして、酒や料理でおもてなしをし、この
年の豊作を祈願する儀式であり、主賓は、神さまであったわけです。
 
「さ」は「田の神」を、「くら」は「神座(神のいる場所)」を意味し、田の
神がとどまる常緑樹や花の咲く木を指し、その代表として「さくら」の木をあ
てたもので、そめい吉野ではなく山桜でした」
(絵本百科 ぎょうじのゆらい 講談社 刊 P10)
 
平安時代の貴族には、花見は野山で神様を迎える儀式でしたが、武士の時代と
共に派手になり、例の秀吉の醍醐の花見のように、権力を示すための贅を尽く
した宴に変わり、やがて庶民にも浸透し、いつしか神さまは、主役の座から引
きずりおろされ、今では、はしなくも、夜桜のもとで酒盛りをし、カラオケを
楽しむ行事と成り下がりました。といっても、昔もあまり変わらないようです。
 
かの兼好法師も徒然草で、「花はさかりに、月はくまなくをのみ見るものかは」
(百三十七段)と自然の観賞の仕方から人生観を語っていますが、その厳粛な
雰囲気の中で、宴会を開き、大騒ぎをしていたことを紹介しています。もっと
も、そういった人々の教養のなさをこき下ろしていますが、古来、何やら人々
をその気にさせる花なのですね。
 
酔って人に迷惑をかける人たちは、無礼講をはきちがえた無礼者ですが、日本
人が桜や桃、梅を愛したのは、いずれの木にも宿る生命力を、分けていただこ
うと考えたに違いありません。一種の自然信仰であり、外国で行われている森
林浴と同じではないでしょうか。
ドンちゃん騒ぎは、桜にとっては迷惑な話だけで、ご利益などあるはずが、い
や、期待していないでしょうね。
あのライトアップですが、桜にとっては迷惑な話で、夜になってもゆっくりと
休めないと思いませんか。お日様が沈み、「さぁ、寝ようかな!」と思ったとた
ん、いきなり明るくなるのですから。「桜の樹権」などという言葉はないでしょ
うが、そっとしてあげられないものでしょうか。
JR高尾駅から徒歩10分ほどのところにある多摩森林科学園で、「本日、休
林日」の看板を見たことがありましたが、そこで働く人々の自然を愛する心意
気を感じ、うれしくなったものです。
 
ところで、桜の木は、にぎやかに盛り上がるだけではなく、人生を静かに、深
く、考察の場に導く花でもあります。いきなり雰囲気は変わりますが、黒船が
来る前に幕府に上申した「海防八策」は、明治維新の路線そのままであったに
もかかわらず、評価されずに暗殺された幕末の洋学者、佐久間象山は、
 折りにあはば 散るもめでたし 山桜 めずるは花の 盛りのみかは
と辞世の句を詠っています。これを真に受け、若い頃は、「人生、幸せな時ば
かりがあるわけないよ。闇夜もあるけど、日は、また、昇る!」などといきが
っていたものでしたが、何やら勘違いしていたようです。「人生は、プロセス
が大切なのです。一日、一日が人生ですよ」とおっしゃっているのでしょうね、
などと何も気取ることはないのですが(笑)。蛇足ながら、象山の奥方は勝海
舟の妹です。
 
子育て奮戦中のお母さん方ですから、よくおわかりかと思いますが、育児もプ
ロセスが大切ですね。生まれ月に応じて、一歩一歩、確かな歩みを見守りなが
ら、大らかな気持ちで育てるべきです。そして、育児しながら「育自」(誤植
ではありません)するお母さんであってほしいと願っています。
 
 願はくば 花のもとにて 春死なむ その如月の 望月の頃
 
西行法師の歌ですが、古来「花」といえば、奈良時代は「梅」のことでしたが、
平安時代から「桜」になったようです。俗界から逃れ、出家された中世の隠遁
者が、かくも桜の花に心を寄せているのですから、古くから人々に愛されてい
たことがわかります。西行は願い通り、「その如月の望月の頃」、お釈迦さま
が入滅された2月15日に、この世を去ったそうです。
(お断り 「花の下」と書き「花のした」とも読まれていますが、「花のもと」
の方が響きがいいので、ひらがなにしました)
 
古今和歌集から一首、好きなのです。
 
 ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ
                          紀 友則
 
和歌を解説するなど野暮の極みですが、「日の光がこんなにものどかな春の日
に、どうして桜の花だけは、さっさと散ってしまうのだろうか」、日本人の桜
のイメージは、これではないでしょうか。紀友則は「土佐日記」の著者、貫之
のいとこです。 
 
この和歌を口ずさむたびに、宮城道雄の秀作「春の海」の調べを思い浮かべ、
桜の花の散る、日本ならではの詩情豊かな情景が浮かぶと同時に、何とも言え
ない寂しい気持ちになる不思議な曲です。昭和7年に共演されたフランスのル
ネ・シュメーのヴァイオリンと箏(琴)の二重奏ですが、世界に誇ってよい素
晴らしい演奏だと思います。音はよくありませんが、パソコンで検索すると聴
けます。宮城道雄は、広島県福山市鞆ノ浦の出身だそうで、学生の頃に訪ねた
ことのある仙酔島から眺めた春の海が、印象に残っていました。
♪ターンタ タタタタタンー ターンタ タタタタタンー♪
曲想は、瀬戸内海の春の海なのですね。その時は知らなかったのですが、最近、
厳島に出かけたとき、バスガイドさんから教えてもらい、「さもありなん!」
と納得しました。しかし、バスガイドさんの中には、本当に物知りの方がいま
すね。豊かな経験から身に付いた自然な語りは、一級の話術で旅情を盛り上げ
てくれます。
 
さらに、もう一首。
  春の海 ひねもすのたり のたりかな  与謝 蕪村
俳句が出たところで脱線します。学生時代に読んだ雑誌の対談に出ていたと記
憶しますが、五木寛之氏は、こうおっしゃっていました。「短歌はリズム、和
歌はメロディー、物語はハーモニー」と。横文字を漢字に置き換えると「律動・
旋律・調和」となり、もう50年前になりますが、今でも納得できます。「さ
らばモスクワ愚連隊」を読んだ時、自称、文学青年であった私は、潔く、作家
の道を断念しました、冗談ですが(笑)。
 
ムードを変えまして、桜の散りぎわが潔いことから武士道の象徴となり、「花
に嵐のたとえもあるぞ、さよならだけが人生だ」といったように人生観にたと
えられるなど、何かにつけて桜は姿を現しています。原詩は中国の詩人、于武
稜(ウ ブリョウ)作の「勧酒」です。
 
    勧君金屈巵  君に勧む金屈巵
    満酌不須辞  満酌辞するを須(もち)いざれ
    花発多風雨  花発(ひらけ)ども風雨多し
    人生足別離  人生、別離に足る
 金屈巵(きんくつし)=曲がった把手(とって)の付いた黄金の盃  
 不須(もちいず)=~する必要はない
 足=多い
 
これを井伏鱒二が意訳したもので、僭越ながらこちらの方が響きもいいですね。
※意訳 原文の一語一語にとらわれず、全体の意味やニュアンスをくみとり、
翻訳すること(辞書「コトバンク」より)
 
    この盃を受けてくれ
    どうぞ、なみなみつがしておくれ
    花に嵐のたとえもあるぞ
    「さよなら」だけが人生だ
 (「十八史略の人物学」伊藤 肇 著 PHP文庫 P229より」
 
「黒い雨」など種本が明らかになり、前都知事の猪俣直樹氏も「盗作ではない
か」と指摘しましたが、この「勧酒」は、「阿佐ヶ谷会」文学アルバム(幻戯
書房 刊)によれば、井伏の抄訳に間違いないとのことです。
これを読むたびに思い出すのが、親鸞聖人の「明日ありと思う心の仇桜 夜半
(よわ)に嵐の吹かぬものかは」です。12月の沙羅双樹のところで、お釈迦
さまの教えである「今日すべきことは明日に延ばさず、確かにしていくことが
よい一日を生きる道である」を紹介しましたが、怠け者の私には耳が痛いばか
りで、「明日やればいいか……」と過ごしがちです、わかっているのですが
(笑)。
 
ところで、桜は、日本の灌漑治水に大いに貢献した木でもあるのです。かつて
日本は農耕民族でしたから、水との関わりは、大変に深いものでした。その水
を運ぶ川は、普段は静かですが、豪雨などで水かさが増すと氾濫し、田畑を水
浸しにして、丹精こめて作った作物を駄目にしてしまいます。そこで昔の人々
は、知恵を働かせ、堤防を作るときに、桜の木を植えたのです。桜は根を張り、
しっかりと土を抱きます。春になると花を咲かせます。
そこへ人々が花見に出かけてきます。大勢の人が歩くと土手の地盤が固まり、
桜の根もしっかりと張り、強い堤防ができます。人望のある人のもとには、自
然と人々が集まるものでしょう。人間もかくありたいものです。
 
桜ではありませんが、武蔵野市にある成蹊学園の校名の由来は、「桃李不言下
自成蹊」(桃李いわざれども下おのずから蹊を成す)で、校章も桃をかたどっ
たものですが、教育目標は人格者の育成です。明治維新の立役者の一人である
岩崎弥太郎の弟、弥之助の長男であった小弥太が、創立者中村春治に協力して
創った三菱系の学校です。隣の国立市には、大隈重信が創った早稲田大学の附
属小学校と西武が創った国立学園小学校があります。明治維新に活躍した岩崎
弥太郎と大隈重信、現代の代表的な企業三菱と西武、おもしろい組み合わせに
なっています。
 
ところで、桜の名所は、お侍さんの勤め先である城と寺社、そして河川に多い
ですね。面白いことに、私たち日本人は、なぜか、桜の下に陣取り、宴会を開
きがちですが、まったく縁のない所もあります。学校の校庭ですね。たびたび
お世話になります樋口清之先生の監修された本に、桜について見過ごせない話
がありましたので、紹介しましょう。
 
日本人が桜を愛したのは桜の生命力を享受するという自然信仰からであったが、
これが明治時代から少しおかしなことになった。
それは、国学者平田学派が、明治政府の文教政策の中枢にいすわるとともに、
本居宣長の「敷島の大和心を人問はば、朝日ににほふ山桜花」という桜を詠ん
だ歌がもてはやされ、桜こそ日本精神の象徴であるといったとらえ方が生まれ
てきたからである。
さらに、桜は日本精神の象徴から発展して、ぱっと散るその散りぎわが美しい
という美学が結びつけられ、いさぎよく散る軍人精神の象徴にされた。つまり、
死の美学に結びつけられたわけだ。このため陸軍を中心にさかんに兵舎に桜を
植えたのである。やがて軍国主義は学校にも及ぶようになり、校庭にも桜が植
えられるようになった。
関東では桜の開花と入学式が重なるので、桜が新学期の象徴となっている。も
ともとは、生命力の象徴だったのだから、現代の我々はそうした気持ちで校庭
の桜を眺めればいいのだが、一方で、学校の桜が軍国主義の死の美学から広ま
った歴史の皮肉な一コマも知っておいて損はないだろう。
(樋口清之の雑学おもしろ歳時記 樋口清之 監修 三笠書房 刊 P48)
 
「大和心」とか「大和魂」は、右翼的な考え方や国粋主義から生まれた言葉だ
と思っていましたが違うようで、明治以降の国家権力により利用されただけな
んですね。「学校の桜が軍国主義の死の美学から広まった」云々は、為政者の
巧妙な施政が実行されたことの結果であることに寒気を覚えますね。学生時代、
酒場で「同期の桜」を歌っていた時、「お前たち若者が歌う歌ではない!」と
年配の方に叱責されたことがありました。もしかすると、戦友を亡くされたか、
戦死されたお子さんがいたのではないでしょか。若い時はどうしようもないも
ので、「若気の至り」とはいえ、今思うと恥ずかしい限りです。
 
 同期の桜
  作詞 西條八十 作曲 大村能章
(一)貴様と俺とは同期の桜   同じ兵学校の庭に咲く
   咲いた花なら散るのが定め 見事散ります国のため
 
哀調を帯びた旋律で特攻隊員が好んで歌い次第に兵隊ソングとして兵士間で流
行し巷にも愛された。(www.geocities.jp/GUNKA より)
 
最後に、もう一首、皆さんよくご存知の名作がありますね。
 
 いにしえの奈良の都の八重桜 けふ九重に匂いぬるかな 伊勢 大輔
 
「大和心」は、こういうものではないでしょうか。とにかく桜は、日本人にと
って、何はともあれ、春に咲かなければ落ち着きませんし、承知できない花で
あることは確かです。
 
名優、渥美清のはまり役、「寅さんこと、車 寅次郎」の妹の名は、「さくら」
でなくてはおさまらないだろうなと思っているのは、私だけでしょうか。山田
洋次監督の笑顔が浮かんできそうです。
面白い話を紹介しましょう。佐藤利明氏の随筆「寅さんのことば 風の吹くま
ま 気の向くまま」(東京新聞 夕刊 平成25年4月)に、東大寺正倉院に
保管されている、現存する古代の戸籍部「下総国葛飾郡大嶋郷戸籍」(西暦
721年)には、嶋俣里(しままたり)、これは葛飾柴又のことで、その戸籍
の中に、孔王部 刀良(あなほべ とら)と佐久良賣(さくらめ)という名前
まで記載されているそうで、昭和の寅さんは家出をしましたが、奈良時代の刀
良さんは村長になったそうです。映画を見て、ひたすら笑っていましたが、元
をただせば、「とら」も「さくら」も昔からある由緒ある名前なんですね。寅
さんが自分で照れてしまう表情が好きで、こういった演技のできる俳優は、も
う出ないかもしれません。
 
外国にもある桜の名所、ワシントンのポトマック湖畔の桜は、大正元年に、時
の東京市長であった尾崎行雄が、日米親善のために寄贈した染井吉野のほか
10種、3千本の苗木が成長したものだそうです。そして、またしても驚きで
すが、私も、てっきりそうだと信じていましたが、事実は違うのです。有名な
話ですから、皆さんも誤解していたのではないでしょうか。こういうことだそ
うです。
 
このワシントンの地名は、初代大統領ジョージ・ワシントンからきている。
この人物が少年のときに、桜の木を切った過失をわびた正直さが立志伝の挿
話として有名だが、ポトマックの桜がその桜だと思い込んでいる人がかなり
いるそうだ。
 (新々ちょっといい話 戸板康二 著 文藝春秋 刊)
 
ところで、日本最古の桜は、どこにあるかご存知でしょうか。
何と推定樹齢千八百年から二千年にもなる古木で、しかも、今、なお、可憐な
薄紅色の花を咲かせているとなると、ちびまる子ちゃんではありませんが、目
が点になりますね。その桜とは、山梨県の北杜市、甲斐駒ヶ岳のふもとに建つ
日蓮宗の古寺、実相寺の境内に根を張る「山高神代桜(やまだかじんだいざく
ら)」だそうで、日本武尊(ヤマト タケルノミコト)が自ら植えたと伝えら
れています。神話の時代から花を咲かせ続けている姥桜(罰が当たるかな!)、
インターネットで見ましたが、「どうも、これは、いや、はや……」と椎名誠
氏風ですが、襟を正さずにいられませんでした。白一色の駒ヶ岳
(標高2967m)もすばらしく、いつかたずねてみたいと思っています。
なお、日本の三大桜は、福島県三春町の三春滝桜(樹齢千年)、岐阜県根尾村
の薄墨桜(樹齢千五百年)と山高神代桜で、黄門様の印籠と比べるのもなんで
すが、ただ、ひたすら、畏れ入るだけですね。淡墨桜は、つぼみの時は薄いピ
ンク、満開時には白、散り際には淡い墨色になり、この散り際の色にちなみ命
名されたそうです。30数年前、初めて訪ねたときは、今のように観光地化さ
れておらず、静かな山里にどっしりと根を張る雄姿には、いたく感動したもの
でした。
 
最後に、この歌に登場してもらわなければ収まらないでしょう、「さくら さ
くら」です。
歌詞は二通りあり、(一)が元のもので、(二)は昭和16年に改められたも
のですが、現在、音楽の教科書等には(二)を掲載しているものもあり、また
(二)を一番とし、元の歌詞を二番と扱っているのもあるそうです。日本古謡
と表記される場合が多いのですが、実際は幕末、江戸で子ども用の筝の手ほど
きとして作られたもので、作者は不明です。
 
 さくら さくら
(一)さくら さくら  
   やよいの空は  見わたす限り
   かすみか雲か  匂いぞ出(い)ずる
   いざや いざや 見にゆかん
 
(二)さくら さくら
   野山も里も   見わたす限り
   かすみか雲か  朝日ににおう
   さくら さくら 花盛り
(フリー百科事典 Wikipediaより)
 
日本のどこにでもある春の景色を淡々と詠んだ歌詞も素晴らしいですが、宮城
道雄の「さくら変奏曲」は、春の情緒を醸し出す名演奏で、いつ聴いても安ら
ぎを与えてくれます。
JR駒込駅の発車メロディーは、この「さくら さくら」ですが、発想のもと
は駅から徒歩七分ほどのところにある六義園の見事なしだれ桜でしょう、見ご
ろは三月下旬から四月上旬で、一見の価値はあります。六義園は小石川後楽園
と共に江戸時代の二大庭園で、和歌の趣味を基調とした回遊式築山泉水庭園、
見事なつつじやさつきを楽しめる庭としても親しまれています。
 
世の中に絶えて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし
                在原業平 (古今和歌集)
 
桜の〆は、やはり、これでしょうね。
何かと心を騒がせる桜ですが、皆さん方もいろいろな思い出があるのではない
でしょうか。
四季折々の息吹を味わえるのは、本当に素晴らしいことです。日本に生まれ、
この時代に生かされていることに、感謝せざるをえません。自然に勝るものは
ないことを、しっかりと子ども達に伝えるのも、親の使命ではないかと考えま
すが、いかがでしょうか。
(次回は、「入園、入学を迎えたお母さん方へ」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>入試問題を分析する   推理・思考に関する問題(2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第38号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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(4) 推理・思考に関する問題(2)
 
◆受験情報◆
聖徳大学附属小学校の資料「Q&A」編が大幅に改定されましたが、その中に
自家用車での通学の件が明記されていました。川越市にある星野学園小学校も
自家用車での送迎を認めていますが、入学後、子どもの方から、友達と通学す
るといって止めるケースが多いそうです。その聖徳大学附属小学校のホームペ
ージには、入学試験の問題の一部が掲載されていますが、これは本校だけでは
ないでしょうか。
【過去問題に挑戦しよう】
・次の絵の中に1つだけ種類の違うものがあります。その絵をクリックしてみ
 ましょう。
    菱餅  兜  七夕飾り  十五夜 (すすき・団子・月)
いかがでしょうか。正解は最後に紹介しましょう。
 
[図 形]
重ね図形、回転図形、対称図形などですが、かなり難しいですね。問題集を買
ってきて、「さぁ、やるぞ!」方式は失敗しがちです。まず、お母さんがやっ
てみましょう。やってみるとわかりますが、折り紙やセロハン紙、それとA4
位のビニールでできている袋や書類入れ、画用紙などを用意しておくと役に立
ちます。遊びの感覚を忘れないことが大切で、特に女の子は、推理の問題を苦
手としがちですから注意しましょう。
 
★重ね図形
2枚の絵を重ねるだけですから問題なさそうですが、何事も実験することが大
切です。
1枚の紙にひまわりの花を描いて、それを透明な書類入れに挟み、今度は茎と
葉っぱを、その上に描かせます。
書類入れに挟んだ紙を引き出して比べると、2枚の絵に分かれていることがわ
かります。
これを理解した後に、自分の好きな絵を、同じ要領で描かせます。 
面白がって描くはずで、上下左右、そのままに重なることがわかれば問題ない
でしょう。
 
★回転図形
言葉で説明すると、難しいですね。
こういった矢印[↑]を描いて、時計回りで実験すると、わかりやすいでしょ
う。
  a ↑ a がお手本です。これを90度回すと、
  b → b になります。
  c ↓ b を90度回すとc になり、
  d ← c を90度回すとd になり、  
      d を90度回すとa に戻るわけです。
 
もちろん、幼児の世界ですから、90度といっても理解できません。ですから、
90度、1回転は「グルリ」で、180度、2回転は「グルリ、グルリ」と繰
り返します。回転図形にはかなり難しい問題がありますから、理解できるまで、
こういった矢印や上下の形が違っているものを使って、子どもと一緒にゲーム
の感覚でやることです。チューリップの花などを描かせてやってみるのも、い
いでしょう。
 
問題によっては、錯覚を起こしやすいですから、その場合は切り抜いて、条件
に合わせて動かし、どのように変化していくか、その様子をしっかりと確かめ
させましょう。大切なことは、上下、左右がどうなるかを見極めることです。
プリントをぐるぐる回す子がいますが、初めのうちはいいのですが、これが習
慣になると、推理する力はつきません。ただ、変化する様子を見つけているだ
けです。
この種のテストの目的は、推理・思考する力が、年齢にふさわしく培われてい
るかを判定する問題ですから、仕掛けが理解できれば、プリントを回すことは
やめて、考える力を養いましょう。
 
★対称図形
正直にいって難しいです。
大人でも音をあげたくなる問題があります。問題集先行型は、失敗しがちです。
折り紙の出番ですね。はさみも使いますから、手先も器用になります。1枚の
折り紙を半分に折った背の側(山折りになっている側)に、図形などが描かれ
ており、それを広げた場合にどうなるか、それを推理する問題です。
 
半分に折った折り紙に、何回も描いては切る、この実験を繰り返し、対称を理
解することですね。
折った背の側に描かなければ、形はできてもバラバラ事件になります。まず、
これに気づかせます。雪だるま、クリスマスツリー、チューリップなど左右が
対称の絵から始めて、図形に移っていくのが無理のない方法です。
マスターできたら、四分の一に切った折り紙を使い、いろいろな対称図形を切
り取り、その両方をスケッチブックに貼りましょう。この貼り方にも、工夫が
必要です。
「手は第二の脳」でも詳しくお話しましたが、糊の使い方は難しいものです。
最初は、折り紙の上部左右の二ヶ所に、切り取ったものには上のところの一ヶ
所に、ほんの少しだけ糊を付け、貼る練習をしましょう。
繰り返し練習をすることで、糊の適量も、全体に薄くのばすこともわかってき
ます。これは、とても大切な作業ですから、家でしっかりと身につけてくださ
い。こういったことまで教室で指導を受けるのは、時間の無駄遣いと考えまし
ょう。
うまく貼れない場合は、箸の使い方、ボタン掛けなどの基本的な生活習慣にも、
影響が出ているのではないでしょうか。繰り返しますが、幼児の手作業は、脳
と運動機能の連携作業であることを思い出してください。制作の問題で、のり
を使うケースもあります。使い終わって手を拭く指示もあります。出題の意図
は、どこにあるか、明確ですね。
 
難しい問題もありますが、これも実験で克服できます。
半分に折った画用紙と、はっきりと色のつくクレヨン、赤色か黒色を用意しま
す。
折った画用紙の左側中央に矢印←を描いて、しっかりと色を塗ります。
そして、上の左端に三角▲、下の折り線のそばに四角□■を書きます。
きちんと塗らないと実験は成功しません。
そして、点線から半分に折って重ね、上からゴシゴシと擦ります。
これも、しっかりと擦らないと写りません。
そして、ひろげます。
まったく逆向きになるはずです。
矢印は→、上の左端の三角は右端に、下の□■は■□と、これも逆になっていま
す。
折り線に近い■は、逆になっても線に近く、線から遠い□は線から離れています。
この実験で、位置や向きが逆になることを確かめて、問題に挑戦しましょう。
難しい問題は、半分に折った紙に、黒色か赤色で問題と同じように線を引き、重
ねて擦ります。
そして、どのようになったかを、子どもに説明させましょう。
口でいえないときは、まだ十分に理解していませんから、再び、実験です。
 
同じことですが、半分に折った紙に矢印を描いて、はさみで切って広げてみまし
ょう。 
左右が逆になっていることを確かめられます。
手先も器用になりますし、後で出てくる巧緻性にもつながっていきます。
これを十分に理解してから、問題に取り組みましょう。
「右側に折って重ねるのだから、左と右が逆になるの!」
こんな乱暴な説明をするお母さんはいないと思いますが、言葉だけで説明しても、
わかりません。
まだ、左右の弁別もあやしいのですから、とにかく、実験を繰り返すことです。
 
スタンプの問題や湖に映った逆さ富士のように、水に映るとどうなるかといった
問題と一緒です。特に、スタンプの問題は、大人でも錯覚しやすいですから、し
っかりと実験をし、どのように変化するかを見極めることが大切です。
 
推理の問題は、いきなり問題集でやるのは、やめた方が賢明で、いたずらに混乱
するだけではないでしょうか。まず、ご両親で学習し、理解をしておくことです
ね。そして、実験、実験の繰り返しです。実験は、疑問を解決する楽しい学習で
あり、遊びの感覚で取り組めますから、子どもたちも喜ぶはずです。 このこと
を忘れないでほしいですね。
 
「過去問題に挑戦しよう」、正解は、「十五夜」で、五節句(正確には五節供)に
入っていないからではないでしょうか。五節句は、1月7日、人日(じんじつ)
七草の節句、3月3日上巳(じょうし)桃の節句、5月5日端午(たんご)菖蒲
の節句、7月7日七夕(しちせき)笹の節句、9月9日重陽(ちょうよう)菊の
節句です。その理由は、本校の学習の特色の一つでもある「礼法教育」で、五節
句を学ぶカリキュラムがあるからです。五節句、お子さんはわかりますか。人日、
上巳ではわかりませんが、桃の節句、菖蒲の節句で説明するとわかるのではない
でしょうか。でも、難しいですね。「お月見、十五夜の日はないから」、「かぶ
と、子どもの日でお休みだから」、「七夕、他の日は菱餅、柏餅、団子を食べる
から」などの答えが出るのではと思いますが、4月21日に説明会があるので確
かめてきましょう(笑)。
 
(次回は、「推理・思考に関する問題(3)」 についてお話しましょう)

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>名門幼稚園の保育方針 私立幼稚園編(8)

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2017さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第20
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私立幼稚園編(8)
 
ここで紹介する情報は、私が説明会や過去のホームページから得たものが中心
になっており、説明会、見学会、募集人員に関する情報は、昨年度のものであ
ることをお断りしておきます。本年度の情報は、各園のホームページをご覧く
ださい。(筆者)
 
光塩女子学院幼稚園 
本園は、幼稚園から高等科までの一貫教育校ですが、すべてが同じ敷地内にあ
るのではなく、幼稚園は少し離れた中野駅寄りにある珍しいロケーションにな
っています。
また、在園児数、200名を超える大きな幼稚園で、男の子もいますが、併設
校は女子だけですから女の子が多く、初等科への進学は、内部試験による選考
となっています。
選考にもれた場合は、一般の児童と入学試験を受けることになります。
 
設立母体は、13世紀にスペインを発祥地として、世界各地に広がったカトリ
ック・メルセス宣教修道会です。今世紀に、マドレ・マルガリタ修道女により
宣教会に改められ、以来、今日に至るまで、常に社会の必要にこたえて貢献す
るための活動を続け、日本における教育活動の場として、高円寺に設立された
学園です。
 
【教育目標】 
キリスト教的世界観を土台とした、自己に厳しく他人にやさしい人間を養い、
校名の由来ともなる「世の光、地の塩として社会に貢献できる」人間形成を、
幼児期から培うことを目的としています。
また、自主性に富み、正しい判断力、強い意志力、自己の行為に責任を持ち、
しかも情緒豊かな感謝の心を持ち温かい円満な人間として育つよう、幼稚園と
家庭が一体となって努力しています。
■ 日常生活の中でのけじめ、しつけを心がける。
■ 宗教・祈りを通して敬愛の心、感謝の心を、はぐくむ。
■ 宗教的な視野と自他に対しての理解を深めるため、“愛と奉仕”の実践の
  機会を持つ。
 
光塩女子学院の校名の由来である「あなたたちは世の光である、あなたたちは
地の塩である」については、初等科の教育理念がわかりやすいので紹介しまし
ょう。
 
(中略)人間は惜しみなく自己を他人に開くことができたときに、本当の自分
に成長する真理を私たちの校名に刻みました。すなわち、ろうそくの、自ら燃
えて他を照らし、塩の、自ら溶けて味をつけるように、本物の愛に生かされた、
成熟した女性に育つこと、ここに光塩の理念があります。
 
ろうそくは、己自身を燃やして周りに灯りをともし、塩は、料理など目に見え
ないところで効果を上げ、腐敗を防ぐ、人間の生活に欠くことのできない調味
料であり、防腐剤です。ろうそくや塩のように、他のものを生かしながら、自
らの使命を全うすること、これが本学院の基本的な教育理念です。
 
【保育の特色と内容】
明るく素直に 
生き生きと伸びる 
心豊かにたくましく
キリスト教世界観に基づき、かけがえのない子ども一人ひとりの心身の成長を
大切にします。一人ひとりの成長に必要なものを見つけ、園全体で丁寧で細や
かな保育をめざしています。
 
◇感謝の心、思いやりの心を育てる
集団生活の中で、様々な経験を通し、自分だけでなく他の人を思いやる気持ち
や感謝の心を育てます。
◇伸び伸びと遊べる環境
広い園庭での外遊びの機会を積極的に取り入れ、夏には裸足で水遊びや砂遊び
を思い切り楽しみます。また、年長組では、集団ならではの遊び(鬼ごっこ、
大縄跳び、ドッジボールなど)を経験します。
様々な年齢の友達と交わる縦割りの保育や、男児だけで集まりを楽しむ機会も
取り入れています。男女共学です。
(筆者注: 女子だけではないことを強調しているところが面白いですね)
 
◇ けじめのある生活
一斉保育と自由遊びをバランスよく取り入れ、話を聞くときは聞く、遊ぶとき
は遊ぶ、けじめのある生活を大切にします。
 
◇ 自分から挨拶のできる子ども
すすんで挨拶ができるように、園全体で気持ちの良い挨拶を交わすようにして
います。発達年齢に応じて、良いこと悪いことへの判断力を培い、「ありがと
う」「ごめんなさい」「はい」「いいえ」が言葉と行動で表せるよう家庭と協
力していきます。
 
◇ 専門講師による指導
体操教室、歌唱指導、英語、宗教(神さまのお話)
サッカー教室(課外活動 週1回)など。
 
◇ 預かり保育
1.保育終了~16時迄。 
2.保護者の就労、通院、介護などの理由のある場合は18時迄。
 
普通、遊戯会や運動会などの練習以外は、一斉に何かやる機会は少ないのです
が、自由保育と一斉保育の組み合わせ、いいですね。「何でもありの自由保育」
と誤解すると、入園できません。また、ボランティア活動として、キリスト教
世界観に基づき、世界中の様々な国のためにと、年間を通し、エコキャップ活
動、チャリティ―バザー、島田療育センター(障害者施設)への奉仕活動、子
ども達も、世界中の様々な環境にある人々を考える機会でもあるクリスマス献
金に取り組んでいます。
 
説明会の他に、園庭開放(おひさまキッズ)も行われています。いずれも予約
は不要ですが、上履きと靴を入れる袋が必要です。
また、未就園児を対象とした、2歳児、3歳児クラス「そら組」、満3歳児保
育「ことり組」がありますが、いずれも、詳しくはホームページをご覧くださ
い。
 
【募集人員】
一次 男女児 約120名 (3年保育、2年保育含む)
二次 男女児 若干名(3年保育、2年保育、1年保育含む)
【入園説明会】 (※編集者注 平成27年実施済の前年度の情報です)
5月14日(木) 午前9時30分~1時間程度
6月10日(水) 午前9時30分~1時間程度
9月18日(金) 午前9時30分~1時間程度
2016年2月3日(水) ことり組・そら組 午後13時30分~午後14時10分
  事前予約必要なし 上履きと外靴持参 
  お子様はなるべくお連れにならないでの条件で実施。
【園庭解放】
自由に園内を見学可能。本年度の日程は4月以降のホームページをご覧ください。
【Q&A コーナー】はありません。
 
聖学院幼稚園
小学校の正門から入ると、広い運動場の左側に園舎と緑の木々に囲まれた園庭
が、右側には中学、高校の校舎があり、シンボルでもある時計台が目に入りま
す。平成24年12月に完成した耐震力の優れた新しい園舎は、室内も広く、
明るく、のびのびと遊ぶ子ども達の姿が印象的でした。
聖学院は、幼稚園から大学まで、プロテスタント派のキリスト教に基づく教育
を行う総合学園です。
本園は、1912年(明治45年)、アメリカのディサイプルス派の宣教師、
ミセス・プレースによって中里幼稚園として創立され、1940年(昭和15
年)、女子聖学院付属幼稚園になりましたが、戦争のため1944年(昭和
19年)11月に閉園。
その後、1949年(昭和24年)4月、宣教師、ミセス・ヘンドリックスに
より再開され、1966年(昭和41年)に聖学院幼稚園と改称され、今日ま
で、いつの時代にも変わらず、子どもの人権を尊重した保育を続けています。
 
◇教育方針 
「神を仰ぎ、人に仕える」の精神のもと、子どもたちが謙虚な心で神を礼拝し、
生命の尊さを知り、感謝と奉仕の心を持てるように願っています。
集団の中で、「遊び」と「ことば」を大切に、発育段階に応じた保育を行い、
一人ひとりの個性と能力を伸ばし、元気な子どもになるように心掛けています。
 
「よく遊ぶ よく祈る」
*こころを育てる保育を
*他者を思いやるということ
 
集団の中での「遊び」とは、遊びながら、先生や友達との関わりを持ち、さま
ざまなことを体験させることでしょう。もちろん、自発性を培う一人遊びも必
要ですが、これから始まる集団生活をスムーズに過ごすためには、やはり、自
分でしなければならない基本的な生活習慣を身につけるために、頑張る子に育
てたいものです。
 
集団の中での「ことば」とは、毎日の生活を通して、自分で思ったことや感じ
たことを、自分の言葉で、どのように相手に伝えるか、その表現の仕方でしょ
う。幼児は、ちょっとしたいさかいからでも、たくさんのことを学習していま
す。自分で体験することが、何といっても大切で、そういった保育の方針が伝
わってきます。
 
「よく遊び よく祈る」の「祈る」について、ホームページで園長はこうおっ
しゃっています。
 
「祈るということは、自分のためにするのではありません。
病気やけがで休んでいる子がいたら、子どもたちはその子の回復のために祈り
ます。また災害のニュースを知ったときには、被災された方々のために祈りま
す。もちろん、東日本大震災以降、被災された方々、また愛する者を失うなど、
いまだ悲しみの中にいる方々のための祈りは今も続いています。
子どもたちは他者のために祈ることによって、人を思いやる気持ちが育つので
す」
 
「祈ることによって、人を思いやる気持ちが育つ」、耳の痛い言葉ですね。
「赤いろうそくと人魚」などで親しまれている童話作家、小川未明の作品に、
信仰とは何かを考えさせられる「頭を下げなかった少年」があります。「無心
に祈る」のは、見返りを期待しない幼子にしかできないことで、「自分に都合
よく作りあげた神は大人の幻想に過ぎない」などと、いい加減な解釈で信者の
方から怒られそうですが、一度は読んでおきたい名作の一つです。頭を下げな
かった少年に、神様はいきな計らいをするラストがさわやかです。
 
かつて、ホームページの「先生のことば」の中に、次のようなメッセージが入
っていましたので、その一部を紹介しましょう。
 
「(前略) さて、幼稚園に入り、友達付き合いが始まると、今まで以上に今
日あったことなどを、お母様にお子さんが話される場面が多くなると思います。
そんな時どんなに忙しくても、話がまだるっこくても、是非、ゆっくり聞いて
あげてほしいと思います。
そして、できるだけ、「よくお話しできたわね」などと褒めてあげてほしいと
思います。(中略)私たちは、忙しい毎日の中で(中略)イエス様が言われた
ように、その時にあって最善の行動とは、何かを考えなければならないのだと
思います。
子どもの話をゆっくり聞いてあげる、これもその時の最優先かも知れません」
 
「ママ、あのね!」と子ども達がいったときには、必ず、耳を傾ける、やさし
いお母さんになってあげましょう。
 
なお、2017年度入試の公開保育、体験入園(要予約)、説明会の日程は、
既に発表されています。詳しくはホームページを、「預かり保育」については、
Q&Aコーナーをご覧ください。
 
【募集人員】 3年保育: 約40名  2年保育: 約10名
 
【Q&A コーナー】
Q クリスチャンでないと入園できませんか?
A 入園に際して、クリスチャンであるかどうかは関係ありません。本園がキ
リスト教保育を行っていることを理解していただきたいと思います。
 
毎日短い時間ですが讃美歌を歌いお祈りの時を持ちます。その他「母の日礼拝」
「収穫感謝礼拝」「クリスマス礼拝」などの特別礼拝の他、毎月の誕生日にも
神様にいただいた命に感謝し礼拝を守ります。
(「入園をお考えの方 キリスト教保育について」より))
 
Q 預かり保育はありますか?
A はい、あります。在園児を対象に週4回預かり保育を実施しています。
(有料・3才児は2学期から)
 原則として月・火・木・金の週4回(保育終了~17:00)。
休園日(長期休暇を含む)には実施しておりません。また行事等で実施できな
い場合があります。
 
Q 保育時間について教えてください。
A 月曜から金曜の平日に保育を行います。水曜は午前保育、土曜は原則お休
みです。
  年 少 9:00~13:40 (水 11:20まで)
  年 中 9:00~13:50 (水 11:30まで)
  年 長 9:00~14:00 (水 11:40まで)
※月・火・木・金の週4回(保育終了~17:00まで)預かり保育を実施し
ています。
 
Q 給食はありますか?
A はい、あります。月曜と金曜の週2回です。食育の観点から、安全安心の
食材を使い、栄養バランスにも細心の配慮をしています。
 
Q 制服はありますか?
A 服装は原則自由です。(園帽と体操着は指定) 当園の教育理念である
「よく遊ぶ」に適した動きやすい恰好であれば、清潔で着なれたもの、お気に
入りのものが一番です。画一性よりもお子さんの自発性、個性を大切にしたい
と考えます。
 
Q 職員構成について教えてください。
A 園長・チャプレン・主幹・幼稚園教諭10名
  音楽、英語、ハンドベルの専任教師、警備員、事務職員
 
Q 小学校進学について教えてください。
A 聖学院小学校への推薦制度があります。毎年6~7割程度の園児がこの制
度を利用して進学しています。
   (平成28年3月22日現在のホームページより転載)
 
(次回は、立教女学院短期大学附属幼稚園天使園、川村幼稚園についてお話し
ましょう)
 

さわやかお受験のススメ<保護者編>第6章(1)花祭りでしょうね 卯月

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2017さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第20号-
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第6章(1) 花祭りでしょうね   卯 月
 
物の本によると、卯月(うづき)のいわれは、旧暦の4月は今の5月頃にあた
り、「卯の花」が咲く時期で「卯の花月」の略だそうで、わかりやすいですね。
何事も訳ありですが、逆に異説ありで、「卯の花」が咲くから「卯月」ではな
く、「卯」に咲くから「卯の花」であるともいわれているそうです。
 
★★花祭り★★
4月といえば、私たちの年代では、花祭りですね。
しかし、今はどうでしょうか。仏教系の幼稚園や学校以外では、見られないの
ではありませんか。キリスト、釈迦、マホメット、孔子の四人は、「世界の四
大聖人」といわれていますが、花祭りは、そのお釈迦さまが生まれた日で、正
式には「潅仏会(かんぶつえ)」といいます。
 
お釈迦さまは、今から2500年程前の4月8日にインドで生まれました。お
父さまは王様でシュッドーダナさま、お母さまはお妃でマーヤさま。
ある夜のこと、お母さまは何でも白い象がお母さまのお腹に入った、不思議な
夢を見られたのです。国一番の物知り博士によると、これは赤ちゃんを授かっ
た夢だそうで、お父さまもお母さまも大変、お喜びになり、お里に帰って赤ち
ゃんを生むことになりました。
 
その途中、お母さまがルンビニー園という花園で休まれた時のことです。百花
繚乱、咲き乱れる花をご覧になっている時に、急にお腹が痛くなり、そばにあ
った菩提樹の木に倒れかかり、お母さまは元気な男の子をお産みになりました。
何と、赤ちゃんは、前と後、右と左に七歩ずつ歩いてとまり、その小さなかわ
いい右手で空を指差し、例の有名なことばを発せられたのです。
 
「天上天下 唯我独尊」
(世の中の人々は、この世に一人しかいない、かけがえのない宝物です)
 
小鳥たちはさえずり、どこからともなく美しい音色の調べが流れ、空からは甘
い香の雨が降り注ぎ、赤ちゃんの誕生をお祝いしたのです。赤ちゃんは、その
雨で体を洗ったのでした。雨が止むと、空には美しい虹がかかり、菩提樹の木
が、何と一斉に白い花を咲かせたといいますから、ただごとではありません。
この赤ちゃんが、お釈迦さまです。大きくなって、世の中の人々が幸せになる
ように長い間修行を重ね、悟りを開き、「人生の苦悩は、自我に執着する迷妄
から生じるのであり、無我の境地に立ち、安心立命せよ。そのために欲望を抑
え、心の平静を保ち、生けるものに対して慈悲を及ぼせ」と説いたのが、ご存
知の仏教です。
 
花祭りは、お釈迦さまの誕生日をお祝いするお祭りですが、今ではキリストの
誕生日であるクリスマスの方が盛大ではないでしょうか。同じアジア民族とし
て、ちょっと寂しい気がします。そうはいっても、仏壇のある家は、少ないの
ではないでしょうか。ご先祖様がいたから、今の自分があるのです。感謝の心、
忘れていませんか。
 
ちなみに、灌仏会と悟りを開いたことを祝う「成道会(じょうどうえ)12月
8日」、入滅の日とされる「涅槃会(ねはんえ)2月15日」を合わせて「三
大法会(ほうえ)」といいます。
 
ところで、法隆寺、五重塔の最下部の内陣には、奈良時代の初めに造られた、
仏典中の有名な場面がパノラマのように東西南北の4面に表現されていますが、
北面には、お釈迦さまの入滅を嘆く素晴らしい塑像があり、「聖徳太子の死に
対する号泣の声ではないか」と考えた哲学者、梅原猛氏は、「隠された十字架
 法隆寺論」で、その独自の解釈を披露しています。それはさておき、号泣す
る塑像は、まるで生きているようで、息をのむほど圧倒されますが、その写真
を氏の著書「塔(上)」(集英社文庫 刊)のP220-221で見ることがで
きます。
 
お釈迦さまの「天上天下 唯我独尊」について、作家の五木寛之氏は、次のよ
うにおっしゃっています。
 
この言葉には、いろんな解釈があります。世間にはそれを、世の中で自分だけ
尊く、偉いんだ、と解釈する人も少なくありません。しかし、私はこれを自分
流に、次のように解釈しています。
「自分の価値は他人との比較によって決まるものではない」と。
この世の中で、自分の価値を決めるのは、あくまでも自分であって、他人に決
めてもらったり、他人との比較で決まるものではありません。自分は「生老病
死」を背負った世界でただ一人の人間だという自覚が必要です。
(「他 力」 五木寛之 著 講談社 刊 P71)
 
誰しも「ただ一人の存在」であり、誰しも「不透明な存在である自分」を励ま
しながら生きているからこそ、人を殺めることは、絶対に許されません。相手
は「誰でもよかった」その「誰」が自分自身であったならば、その恐ろしさに
思いいたらないのでしょうか。人を思いやる心を失うと、他人をねたましく思
い、不満を内に抱え込み、人間は限りなくばか者になるだけです。社会は、基
本的には自己責任で成り立っていることを、何としても、親は子どもに教え、
成人させたいものです。
「自分でまいた種は自分で刈り取れ」、これも明治生まれの親父の口癖でした。
 
★★お釈迦さまは、なぜ、甘茶が好きなのですか★★ 
花祭りには、桜の花などを飾った小さなお堂を作りますが、これを花御堂とい
います。  そのお堂の真ん中に、甘茶の入ったタライを置き、お生まれにな
ったばかりのお釈迦さまを表した仏さまを、お祀りします。右手は空を指し、
左手は地面を指している、あのお姿です。そして、お釈迦さまの体に柄杓(ひ
しゃく)で甘茶をかけ、無事、お生まれになられたことをお祝いしたのです。
 
なぜ、甘茶をかけるのでしょうか。
言い伝えによると、お生まれになった時に、空から甘い蜜のような雨が降って
きたからとか、龍香油を注いで産湯を使わせたなど、いろいろあるようです。
甘茶は、五香水、五色水とも呼ばれ、五種類の香水をもちいるそうです。
 
これが、そもそもの発端ですが、人間、欲深なもので、次第に、自分の都合に
合わせて願望祈願成就的なお祭りになってしまったのです。無病息災、家内安
全、商売繁盛、入学祈願、交通安全などなど、本当に厚かましく、いろいろな
お願い事をするのですから、お釈迦さまは、苦笑していらっしゃるでしょう。
「私の誕生日ではありませんか、祝ってもらうのは、私です」 
そうおっしゃらずに、せっせと願い事を聞いておられるところが、偉いです。
でも、お祭りに参加するのは、ほとんどが子どもで、その願いも純真ですから、
お釈迦さまも真剣に聞かざるをえないでしょう。
 
余談になりますが、子どもの頃、硯に紅茶を入れて墨をすると、字がうまくな
るといわれ、何回も挑戦しましたが、私には効き目がありませんでした(笑)。
 
★★仏教童話★★
お釈迦さまといえば、何やら難しい経典などを思い浮かべがちですが、とても
いいお話がたくさん残されています。わが国でも、花岡大学先生が仏教童話と
して再現されています。
先生は「情操」について、次のようにお話されています。
 
「情操」とは何かといえば、それは「高尚な心の働きによって生ずる複雑な感
情のことだ」といわれているが、「高尚な心」とは「下品な心」の反対であり、
それゆえに分かりやすくいえば、それは「やさしい心」「温かい心」「思いや
りの心」「美しい心」ということであり、その「最も」やさしいもの、あたた
かきもの、美しきものは、「宗教」と次元を同じくするものだと私は考える。
(中略)
優れた本とは、第一に子どもに感動を与えるものであり、(中略)第二に、作品
の根底に「宗教性」を踏まえることが必要だが、それがむきむきに出てくると
説教となって文学性を消滅する。
(ほとけさまといっしょに 仏教児童文学目録 P2
       小松 康裕 法楽寺くすの木文庫 編集 朱鷺書房 刊)
 
先生の作品は、宗教がむきむきに出てきませんから、抹香臭くなくて分かりや
すく、清らかに生きる人々の話からは、勇気と感動さえ与えてくれます。子ど
もの頃には、似たような話をお年寄りから聞き、「正直に生きないと地獄に落
ちるのだよ!」と脅かされていましたね(笑)。私達の年代は、こういったこ
とも情操を養う機会となっていたのではないでしょうか。多くの作品の中から、
一編だけ紹介しておきましょう。
 
 金色の鹿
  濁流に飲まれ、溺れ死にそうになっている狩人を、森の王さまである金色
の鹿が、身をていして助けます。その時、金色の鹿は、「私がこの山にいるこ
とを、誰にも話さないで下さい」と狩人と約束をします。
その国のお妃さまが、ある晩のこと、金色の鹿の夢を見、王さまに探し出して
欲しいとお願いします。そこで、王さまは狩人たちに「見かけた者はいないか、
案内すればほうびを使わすぞ」と呼びかけたところ、現れたのが、命を助けて
もらい、絶対に他言しないと約束したはずの、あの狩人でした。
王さまは、狩人の案内で家来を連れて山に入り、金色の鹿を見つけ出します。
「王さま、あれが金色の鹿です」
と指を指すと、狩人の手首がぽろりと落ちてしまったのです。驚いた狩人は、
約束を破って申し訳ないと泣いて謝ります。わけを聞いた王さまは、かんかん
に怒り、狩人を射殺そうとしました。すると、金色の鹿がこういったのです。
「その男は罰を受けていますから助けてやってください。どうしても許せない
なら、私を殺してください」
それを聞いた王さまは、胸を打たれました。今まで王さまは狩が好きで、生き
物を追いかけまわして喜んでいたからです。鹿の気高い心を前にして、恥ずか
しくて顔をあげられませんでした。鹿は、仏さまが姿を変え、私をまともな心
に引き戻すために現れたのかもしれない。
王さまは、弓と矢を地面に投げつけ、金色の鹿に、
「生き物の命をとる狩を止めることができました。あなた様も森へ帰って、い
つまでも幸せに暮らしてください」
といったのです。狩人も心から後悔すると、地面に落ちていた手先は、男の腕
に戻ってきたのでした。
(仏教童話 かもしかのこえ 花岡 大学 著 善本社 刊)
 
仏教童話「かもしかのこえ」他3巻には、この他に、欲の汚さをといた「仏さ
まの連れてきた少年」、乱暴者をいさめる「なきだした王さま」(いさめ方は、
観音様と孫悟空の話とそっくり)、売り飛ばそうと捕まえるとただの鳥になっ
てしまう「金色の鳥」、本人とまったく同じ人が現れ、どうやっても自分が本
物であることを証明できずに泣きを見るけちな男を描いた「えらい目にあった
けちん坊」など、「みんなも一緒に考えましょう」と話しかける形式で構成さ
れています。
 
また、花岡大学仏教童話には、幼子を取りっこし、本当の母親が引っ張って痛
がるわが子の手を離す「母親裁き」(「大岡政談」にもある話)など、たくさ
んの童話が収められています。いずれも、お釈迦さまの清らかに生きる姿勢を
表したもので、仏教を説くのではなく、幼子に、清らかな心とは何かを、やさ
しく話しかける作品になっています。
淑徳幼稚園は仏教系だけにお釈迦さまの教えに違和感はないとはいえ、進学教
室でこういった話をするたびに、この時期だからこそ、純真な子ども達の心に、
素直にしみこむものだと教えられました。幼児期の情操教育、こういった体験
からも培われるものではないでしょうか。図書館で見かけることがありました
ら、ぜひ、お子さんに読んであげてください。
 
仏教童話 かもしかのこえ 他全3巻  花岡大学 著 善本社 刊
花岡大学仏教童話 消えない燈 金の羽 花岡大学 著 ちくま文庫 刊
 
余談ですが、「Wの悲劇」「第三の女」「喪失」などで楽しませてくれた推理
作家の夏樹静子さんが、3月19日に冥界へ旅立たれました。「椅子がこわい
私の腰痛放浪記」(文春文庫 刊)の3年間にわたる悪戦苦闘、自殺まで考えた
ときもあったとか、痛みの原因は心身症。同じ痛みに悩む私は、「椅子がこわ
い」を実感しています。わからないことは図書館で調べた頃と違い、何でもパ
ソコンのお世話になってから、椅子が一段と怖くなりました。「楽をするな!」
との警告かもしれませんね(笑)。ご主人は、「海賊とよばれた男」、出光興産
の創業者、出光佐三氏の甥であることは、あまり知られていないようです。勝
手な思い込みで恥ずかしいのですが、私にとり宮尾登美子さんは母上、夏樹さ
んは1歳年上の姉さんといった有り難い存在でした。(合掌)
(次回は「さくら」ついてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>入試問題を分析する   推理・思考に関する問題(1)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第37号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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[6] 推理・思考に関する問題(1)
 
系列完成、欠所補完、図形、科学性に関するもの、鏡映像などの問題ですが、
これもかなり難しいですね。
知能指数(IQ intelligence quotient 知能検査で得られた精神年齢を、
実際の年齢で割り百倍した数で、100が普通程度を表す)を調べる知能テスト
に、このような形式の問題があるのは、お母さん方もご存じだと思います。
 
かつて、この種の問題が小学校入試の基本であった頃に、「IQが120以上
でなければ合格しない!」との噂がまことしやかに流れたことがありました。
ある小学校の説明会で校長先生が、「IQが120位ないと入学してから大変
ですよ」とおっしゃったのですが、これに尾ひれがつき、「140以上なけれ
ば合格できない!」と姿を変え、指数を上げるために繰り返し練習することが
行われたものでした。
私は説明会場にいて、ことの真相を知っていましたから、無責任な噂が恐くな
り、「そんなことをしていると、お子さんの実際の知能指数がわからなくなる
から止めなさい」と、その弊害をお母さん方に話したことを覚えています。
本来、知能テストは、たとえば5歳の子どもなら、他の多くの5歳の子どもと
比べて、知能の発達の度合いを調べるテストで、訓練をし、無理に上げるもの
ではありません。今は、そういった噂も誤解も、姿を消したようですね。
 
[系列完成]
動物や果物、記号やさいころの目などが、ある決まりで並び、ところどころに
空欄がもうけてあり、そこに入るものを考える問題で、おもしろいことに美醜
の感覚やリズム感まで刺激を与えていることがわかります。
      
    ○△□○△○△□○△□○△○△□
    ●○△●▲○▲□●○△●□○▲●
 
上段は、見た目もきれいで、リズミカルで心も落ち着きます。
下段は、見た目も煩わしく、不協和音が聞こえそうで、心もいらだちます。
きれいな並び方には、一定の決まりや規則性があり、それを見つける問題です。
 
 1  リンゴ・( )・ミカン・リンゴ・バナナ・ミカン
 2  □○△( )□○△◎( )○△◎
    ↑     ↑
   (左人差し指)(右人差し指)
 
3つか4つ、多くても5つまでの系列ですから、上の問題のように、
「リンゴ・ナントカ・ミカン・リンゴ・バナナ・ミカンだから、バナナだな!」
と口調もなめらかで、抵抗なく出てきます。
 
下のような問題は、ちょっと困ります。
しかし、左右の人差し指で、同じものを(この場合は□)押さえて、右へ1つず
つ移動させると、□○△◎の決まりであることがわかります。
これを私は「お引っ越しゲーム」といっています。
決まりを見つけるゲーム感覚でやると、子どもは面白がって挑戦します。
このゲーム感覚ほど、子どもの学習意欲に刺激を与えるものはないでしょう。
身の回りに注目してみましょう。
この決まりを守っているものが、たくさんあると思います。
ブラウスやセーターの図案、カーテンの模様、台所やふろ場のタイル、外に出れ
ば、舗装された道路のタイルなど、きちんとした決まりで並んでいませんか。
お子さんと一緒に、決まりを見つけるのも楽しいものです。
大切なのは、こういったことから好奇心の芽を養うことです。
好奇心は、やる気を起こす起爆剤で、その意欲から自発性も芽生えてきます。
 
[欠所補完]
文字通り、欠けているところを補い完成させる問題で、ジグソーパズルの感覚で
取り組めます。
全体の中で欠けている部分を推理し、4枚程の中から、そこに入るものを見つけ
ます。
正解は1枚でダミーが3枚入っていますから、それを除いていけばいいわけです。
直感力のすぐれている子は、サッと見つけますが、それで安心して、「うちの子、
頭、いいわ!」などと早合点をすると、後々、困ったことになりがちです。
選択肢は、わずか4枚で、確率四分の一ですから、偶然に答えが見つかる場合も
あるからです。
時間が、かかってもかまいません。
1枚、1枚、比べて、
「これは、ここが違っている! これも違う!」
と、辛抱強く比較していくことが大切です。
繰り返しますが、この違いを見つけることは、観察力を培う大切な作業です。
しかも、根気が必要ですから持久力もつきます。
そこから、じっくりと物事に取り組む姿勢も身につきます。
コンピュータの基本的な原理も、一つ一つ比べる比較選別方式ですが、桁違いに
速い結果が出るのは、電気で処理しているからです。
 
以前にも紹介しましたが、イソップ物語の「うさぎとかめ」の話を思い出してく
ださい。油断をいさめた寓話ですが、ひらめき型とじっくり型の話として読むと、
幼児期の教育のあり方について、重要なヒントになっているのではないかと思い
ます。
毎度のことながら、私の勝手な思い込みですから読み流してください。
 
ウサギは、ひらめき方の直感派で、カメは、じっくり型の思考派です。
小学校の低学年までは、断然、直感派がリードをします。
選択肢が2つか3つの場合は、直感力の優れているひらめき型のウサギさんは、
あまり苦労することなく答えを選び出せます。
じっくり型のカメさんは、選択肢が少なくても、一つ一つ検証して答えを出し
ますから、時間はかかりますが、試行錯誤を繰り返すことで、きちんと答えを
出します。
 
ところが、分数や小数、光合成といった、目に見えない世界の学習が始まる中・
高学年になると、思考派が徐々に頭角を現します。
じっくり型の思考派のカメ型タイプの子は、欠所補完の問題でも、一枚一枚、
きちんと比べて納得していますから、慎重に考えながら物事に取り組む習慣が
身につきます。
しかし、どちらがいいのだろうなどと、決めてかかるのはどうでしょうか。
いろいろなタイプの子がいて、当然です。
 
「じっくり型の、思考派の、カメ型のタイプは理系だな!」と思い込み、「何
で、もっと、じっくりと考えないの!」となるようでは、子どもには迷惑な話
になりかねません。
問題集をやる時などに、答えが間違っていると、こういいがちではないでしょ
うか。
しかも、そういう時のお母さん方は、恐い顔をしていますから、子どもも考え
ようとせずに、隣の絵をさっと指差したりします。
それも間違っていると、
「何回、いったらわかるの。考えなきゃ駄目だといっているでしょう!」
これでは何回やっても同じです。
子どもは、怒られたくない一心で答えているだけですから、考えていません。
お母さんは、考える時間をあげていないことに気づいてほしいですね。
 
幼児の場合、正解を求めるだけが学習ではありません。
なぜ、お母さん方は、「どうしてなの?」と聞いてあげられないのでしょうか。
不思議な気がしますね。
「正解は一つしかない」と信じて疑わないからではないでしょうか。
答えは間違っていても、意外に、面白いところへ目をつけているときもありま
すから、その理由を聞いてあげましょう。
それから間違っていることを説明してあげれば、子どもも納得します。
こういったことをしてあげずに、子どもの考えを無視して、繰り返し、ひたす
ら正解なるものを求めていると、お母さんの顔色を見て答えはじめます。
これでは学習ではなく勉強です。
「強いて勉めるのが勉強」であることを思い出してください。
お母さんの気持ちを満足させるためにやっているようなものですから、止めた
方がいいですね。
 
「ひらめき型」には、言葉で説明するチャンスを。
「じっくり型」には、これは手を付けない方がいいでしょう。
うっかり急がすと、思考回路が混乱しかねません。
子ども達に、「お母さんからいわれる、いちばん嫌いな言葉は何かな」と聞い
てみると、「ハヤクシナサイ!」が圧倒的に多いのです。
大人は何とか工夫しますが、できるように配線が組みこまれないと、できない
のが子どもです。
子どもが「わからない」という時は、「本当にわからない」のです。
そこを考えてあげないと、お子さんはパニック状態に陥りがちです。
いやな思いをさせては、小学校へ入る前から勉強嫌いな子になりかねません。
「忍の一字」で過ごした、おむつを外した時のことを思い出してください。
 
ところで、負けたウサギはどうなったかご存知でしょうか「カメに負けた駄目
ウサギ」として、ウサギ村から追放されますが、「子ウサギをえさに差し出せ!」
と脅迫してきた狼を負かし、無事、ウサギ村へ復帰します。
 
脱線したついでに、なぜ、ウサギの耳は長いのでしょうか。
ウサギは弱い動物で、ほとんど抵抗できずに、強い動物の餌食になってしまい
ます。そこで神様は襲ってくる動物の存在を、いち早くキャッチして逃げられ
るように、よく聞こえ自在に動く耳と強じんな後ろ足を授けたそうです。「弱
肉強食」の世界をお創りになったのは神様でしょうけれど、いささか不条理で
はないでしょうか。真偽のほどは定かではありませんが、入試問題で「□肉□
食」を「焼肉定食」と答えた学生がいたそうです……。
このイソップの話、明治時代の小学生の教科書の題名は、何と「油断大敵」で
す。
(次回は 「推理・思考」の2についてお話しましょう)
 
春休みの講習会が始まります。会員の方は11月からの学習を確かなものとし、
さらなる飛躍へ、4月から通会を予定している皆さん方は「最初の一歩を確実
に」、そのためにも講習会から始めることをお勧めいたします。

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>名門幼稚園の保育方針 私立幼稚園編(7)

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2017さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第19
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私立幼稚園編(7)
 
ここで紹介する情報は、私が説明会や過去のホームページから得たものが中心
になっており、説明会、見学会、募集人員に関する情報は、昨年度のものであ
ることをお断りしておきます。本年度の情報は、各園のホームページをご覧く
ださい。(筆者)
 
淑徳幼稚園
 
幼稚園から大学まで、仏教教育を基本とする総合学園は珍しいでしょう。学園
の創立者、輪島聞声(もんじょ)は尼さんですが、ここまで発展するとは思っ
ていなかったのではないでしょうか。総合学園としての規模は、学習院、青山
学院と遜色がないそうです。
正確には大乗淑徳学園といい、大乗、小乗は仏教の二代流派で、罰が当たりそ
うで何ですが、「皆で涅槃に行くのが大乗で、一人で修行を積み涅槃に行くの
が小乗」と考えるとわかりやすいと思います。涅槃は、お釈迦さまがすべての
煩悩をなくし、この世を去ったことをいうそうで、私たち凡人には到達できな
い境地ですが、それはあきらめるとして、日本人は大乗仏教派でしょうね。
「赤信号、皆で渡れば怖くない」だからです。
幼稚園は、東上線の自由が丘といわれている常盤台の静かな住宅街にあります。
 
【教育方針】 
幼児が尊いのは、それぞれのお子さんが無限の可能性を持っているからです。
それぞれのお子さんが、個性を伸ばして、のびのびと自分らしい光をかがやか
せて、大きく育ってほしいと願っています。
この可能性と個性を引き出し、大きく伸ばす手助けをすること、それが教育で
あると私たちは信じています。明るく、元気で、こころ豊かなひとに成長する
よう願っています。
 
○淑徳の心
 
ありがとうの心
人は自分の力だけで生きられるものではありません。
自分の周りの人たちは勿論のこと、その他の多くの人々の支えがあってこそ、
私たちの今日の生活があることを忘れてはいけない、と思います。
 
命を大切に
地を這う小さな虫にも、野に咲く一本の草花にも命があります。
そんな小さな命にも、限りない愛を注ぎ大切にしていく、そんな「思いやりの
ある心」をいつまでも持ち続けたいものです。
 
玄関に入ると、みほとけさま(善財童子)の姿を見ることができますが、その
前を通る園児達はもちろんのこと、お母さん方も歩みを止め、手を合わせ、お
じぎをしていきます。
みほとけさまの前で、おじぎをする現代っ子、いるでしょうか。これがかわい
いそうで、おじいちゃん、おばあちゃんには、たまらないようです。形から入
って心を育むのが、宗教教育の目指すところで、おじぎはその第一歩です。
善財童子は、華厳経を求道した偉いお方で、菩薩さまです。罰があたりそうで
すが、やさしいお顔の童子ですから、襟を正さなくても、素直に頭を下げられ
る雰囲気を醸し出していらっしゃいます。
しかし、幼い時に、幼いながら、目に見えないものに畏敬の念を抱くことは、
決して悪いことではありません。
 
かつての園からのメッセージですが、紹介しておきましょう。
 
 園からのメッセージ 
 
幼稚園では、数々の経験・体験を通して、その心身の発達を図るとともに、さ
らに、宗教的情緒の芽生えを育み、徳・知・体のバランスを考えながら、生活
をより豊かなものにしたいと念願しています。
また、お互いの個性を認め、尊敬し合い、自分らしさを発揮する中で、集団に
おけるルールを覚え、協力すること、人と共に生きることの大切さ、素晴らし
さを知ることができます。
人格形成の基礎となる幼児期に、無理なく無駄なく教育し、心豊かな子どもに
育てます。
 
「徳・知・体のバランス」の言葉も、あまり聞きません。今は、「知・徳・体」
と知育偏重型の教育が、歓迎されているからですが、幼児期には、心の教育、
情操教育が大切ではないでしょうか。
 
宗教教育を行う幼稚園を希望する親御さんが、増えているようです。情報過多
社会で、価値観が多様化し、“Anything goes”、「何でもあり」の世の中です。
幼児期にこそ「生きとし生けるもの」に、もっとも必要なものを身に付けさせ
たい、親心ではないでしょうか。
 
働くお母さん方を支援する預かり保育、「なでしこクラブ」があります。
今年も、未就学児公開保育を実施しますが、詳しくはホームページをご覧くだ
さい。
 
【募集人員】 3年保育:(男女)35名 
      (2歳児クラスからの内部入園者を含む)
【Q&A コーナー】はありません。
 
【入園説明会情報】(※編集者注 平成27年実施済の前年度の情報です)
第1回 5月27日(水) 9:00~11:30
第2回 6月24日(水) 9:00~11:30
第2回 9月30日(水) 9:00~11:30
※説明会、公開保育とも、事前予約が必要。
 上履き持参 お子さんの預かり用意なしで実施。
 
宝仙学園幼稚園
青梅街道を少し入ったところに山門が見え、向かって右側が境内、左側が墓地
で、その奥に宝仙学院があり、幼稚園と小学校は、山門の左側の墓地の塀沿い
に、およそ半周したところにあります。
 
真言宗豊山派宝仙寺の第五十世住職 冨田斅純(こうじゅん)大僧正が、昭和
2年、感応幼稚園(現宝仙幼稚園)を設立し、翌3年、中野高等女学校(現宝仙
学園中学校・高等学校)を設立。その後昭和10年に仏教保育教会保母養成所
(現 宝仙学院短期大学保育学科)が、同28年に小学校が開設され、さらに
同39年には短期大学に生活芸術科(現 造形芸術学科)を新設、総合学園と
なりました。
 
本学園は、創立以来、一貫して大乗仏教精神に基づき、「人をつくる」を基調
とし、宗教教育を押しつけるのではなく、「学年生活を送ることにより、自然
の有する力や恵み、理(ことわり)を感受することのできる豊かな人格の育成」
を目指しています。本園の仏教保育も、子ども達が宗教的な環境の中で、自然
に仏教に親しむことを目指しています。
 
真言宗の開祖は、ご存知の弘法大師(空海)で、「お大師さん」と庶民に親しまれ、
学費を気にすることなく、誰でも入学できた、日本で最初の私立学校、綜芸種
智院を設立された方です。
大乗の仏教精神は、淑徳幼稚園で紹介しましたが、誤解を恐れずに簡単にいえ
ば、みんなで大きな乗り物に乗って修行をし、悟りを開くことではないでしょ
うか。
ちなみに、園歌は、作詩、西條八十、作曲、中山晋平のゴールデンコンビです。
 
 ~豊かな感性と思考力~   Sensitivity and ability to think rich
 
ホームページを開くと、この文字が飛び込んできましたが、何やら、仏教の目
指す道を暗示しているような気がしました。仏教は、悔いのない人生を送るた
めの啓蒙の書でもあるのですが、由緒ある寺院を気軽に訪ねるように、やさし
く解説してある経典にも、一度は目をとおしておきたいものです。
 
私事で何ですが、般若心経にお世話になっています。学生時代に、「観自在」
とあるのを「自ら在るを観る」と勘違いし、デカルトの「我思う。故に我あり」
(I think、therefore I am.)」と同じではないかと
狂喜し、お経に触れるきっかっけとなったのですが、解説によると、「観自在」
とは観音菩薩、観音さまのことでしたから、全くの誤解からの出会いでした。
若い頃、哲学者気取りで、“I think、therefore I am.”
を、お経のように唱えてはいきがっていましたが、落ち込んだ時、役に立ちま
した。
デカルト(1596~1650)は、 フランスの哲学者、近代哲学の祖とい
われ、「方法序説」は、パスカルの「パンセ」と共に、学生時代に心を奪われ
た名著でした。本箱の片隅に筑摩書房から出版された世界文学大系13に「デ
カルト パスカル」があり、発行日を見ると、昭和33年10月、定価550円
(安い!)、あちこちに赤鉛筆のアンダーラインと拙い書き込みがあり、真面
目に悩んでいたのだなと、懐かしくなりました(笑)。
 
【幼稚園の教育目標】   
 ○考えてしとげる
  問題にじっくりと取り組み、試行錯誤しながら、解決する力を育てます。
 ○明るくおおらかに
  人の気持ちや立場を理解し、他人を受け入れることの大切さを育てます。
 ○無心に合掌する
  自分のことを願い、また、友だちのことを願うことで、思いやりの気持ち
  を育てます。
 
【教育方針】
楽しい遊びから学びを抽出する保育
○ 「まなび」を発見できる意欲を育てる。
○ 「あそび」を通して心身ともに健康な子どもを育てる。
○ 考えることや「じりつ」をうながす。
○ 他者への「おもいやり」をもった優しさを育てる。
 
宗教は、形から入って心を磨くことですから、まず、敬虔な祈りを身につけ、
そこから、明るく、おおらかな、安定した情緒の発達を目指すことでしょう。
「考えてしとげる」については、かつて、以下のような解説がありました。
 
たっぷりした時間と空間、その中で子ども達は自分で遊びを見つけ、友達を誘
い、幼稚園での生活を発展させていきます。子ども達が、時にはどう対応して
いいかわからない問題にぶつかった時、自分で問題を解決していく、その意思
と思考力、創造力を養っていくのを、保護者は、常に温かく見守りながら、そ
の力を伸ばしていきたいと思います。
 
過保護、過干渉な育児への戒めではないでしょうか。自分達の力で解決してい
く、子ども達は、その時期に入っていることを「自覚しなさい!」とさとしてい
るような気がします。
活動の様子を、ホームページの「その日の出来事」で見ることができます。
 
課外活動のスポーツランド、英会話、パソコンなどが盛んなようですが、本園
は、スポーツ一色です。
ユニホームに着替え、張り切って出かけていきます。子どもの体力及び運動遊
びの機会が少なくなってきているのでは? 安心して遊ばせられる遊び場はあ
るのかしら? 子ども達の生活環境を考え、保育の中に鬼ごっこやボール遊び
など運動遊びを積極的に取り入れ、体力増進に力を入れています。さらに幼児
期に心身ともにバランスのとれた子どもに育てたいと、課外活動の内容にも運
動能力や表現力を刺激する活動を取り入れています。
 火曜日:体操  木曜日:サッカー  金曜日:新体操
             
なお、未就園児クラブ、ベストリッチクラブを開設しています。幼稚園という
安全な環境の中で、家庭ではできない遊びを保育者と一緒に親子で楽しめるだ
けではなく、子育て相談・育児情報などの情報交換の場としても利用できるそ
うです。原則として、毎週水曜日13:00から15:00まで。
 
「しいのみキッズ」は、預かり保育のことで、通常保育期間中が中心で、夏・冬
・春休みなどの長期休業日は実施していません。預かり時間など詳しくはホー
ムページをご覧ください。
 
以前のホームページに、「保護者の経済的な負担を軽減するため、居住する各自
治体より補助金が支給され、詳しいことは入園後に説明がある」と出ていました
が、「綜芸種智院の精神」が生かされているということでしょうか。(Q&A
コーナー参照)
 
(※編集者注 平成27年実施済の前年度の情報です)
【募集人員】2年保育(4歳児)25名 3年保育(3歳児)40名
      満3歳児 35名
【入園説明会】9月 5日(土) 9:30~11:00
      10月10日(土) 9:30~11:00
               13:00~14:30(満3歳児)
       ※子ども預かりなし、スリッパ持参で実施。
【体験入学】10月 3日(土) 9:30~11:00
【公開保育】 6月20日(土) 9:30~11:00
       9月 9日(土) 9:30~11:00
       ※駐輪場、ベビーカー置き場なしで実施。
 
【Q&A コーナー】  よくある質問
 
(1)Q:幼稚園では一日中制服で過ごすのですか?
   A:制服を着るのは、登園時と降園時のみです。当園後は遊び着に着替
     え、その上からエプロンを着用し過ごします。のびのびと身体を使
     って遊び、汚れたことを気にせずに遊びに夢中になれるように遊び
     着に着替えています。また、毎日着替えを繰り返すことで、一人で
     着替えることが身についてきますし、自分の持ち物を管理する習慣
     も身についてきます。エプロンは市販のものもありますが、保護者
     の方の手作りのものを用意される方もいらっしゃいます。
 
(2)Q:給食制ですが、子どもに食事アレルギーがある場合、どのような対
     応策をとっていますか?
   A:アレルギー食材が含まれるメニューの除去・代替で対応しています。
     対応できない場合はお弁当を持参していただきますが、食べ物を
     「みんなで一緒に」をいただく気持ちを持たせるために、お弁当箱
     から食べ物を移し替えて、みんなと同じお皿に盛り付け一緒にいた
     だきます。また、好き嫌いについては、お子様に合わせた指導をし
     ております。
 
(3)Q:保護者の方で、お仕事をされている方はいらっしゃいますか?
   A:若干名いらっしゃいます。お仕事の都合で送り迎えが難しい場合に
     は、ご祖父母やベビーシッターに頼んでいらっしゃいます。教育懇
     談会や授業参観日などは年間予定表をもとにお仕事を調整されて、
     日曜参観や母の日の集いなどの行事にも積極的に参加いただいてい
     ます。また、降園後の延長保育として「しいのみキッズ」という預
     かり保育制度があります。
 
(4)Q:園バスはありますか?
   A:ございません。送り迎えは保護者の方にお願いしています。
     登園や降園の際には、保護者の方から保育者にお子様の家庭での様
     子を伝えたり、保育者から園での様子を聞いたり、幼稚園とご家庭
     の情報交換の貴重な場となっています。また、お子様と一諸に登降
     園することにより、親子の絆を深め、コミュニケーションを取る大
     切な時間だととらえております。地下鉄の駅やバス停が近くにあり
     ますので電車やバスなどの公共交通機関を利用される方もいらっし
     ゃいます。
     やむえず代わりの方にお願いされる場合は、受け渡しの責任上、必
     ず事前に連絡していただいております。
 
(5)Q:通園範囲や時間に制限はありますか?
   A:特にありません。通園は毎日のことですので、お子様の体力に負担
     にならない乗り物・コース・時間帯など選ぶようにしていただいて
     おります。
 
(6)Q:宝仙学園小学校への内部進学の状況を教えてください。
   A:内部入学の人数枠は、25名程度で小学校1学年の約1/3です。
     内部推薦の条件は、「本園在籍1年以上」「園の生活態度」の他に
     小学校からの条件として「知能検査」の基準をクリアする必要があ
     ります。9月の「内部推薦入試」で選考が行われます。
 
(7)Q:他の私立・国立小学校を受験する方はどのくらいいますか? また
     どんな学校を受験・進学していますか?
   A:1学年の約2/3分の方が受験を考えていらっしゃいます。年長ク
     ラスになると園長が園児と面接し、その様子を踏まえ、面談を希望
     された保護者へ園生活の様子から家庭生活の仕方や大人とのかかわ
     り方を助言し、ご家庭と一緒に進路を考えていきます。
 【主な進学先】
 慶應、早稲田実業、成蹊、学習院、立教、成城、立教女学院、御茶ノ水・
 学芸大付属
 
(8)Q:園の行事で保護者のお手伝いはありますか?
   A:入園と同時に全員が「母の会」会員となり、年に1~2回、園の行
     事やお手伝いや、母の会の活動に参加していただきます。また、各
     クラス、学年ごとに食事会を行い、幼稚園生活を楽しめるよう保護
     者同士の親睦を深めていきます。
 
(9)Q:トイレトレーニング中でも入園できますか?
   A:問題ありません。入園後、友だちとトイレに行く体験により刺激を
     受け、おむつを卒業するケースが多いようです。今までのトレーニ
     ング内容やご家庭の様子を伺いながら、おむつから早く解放できる
     よう、ご家庭と一緒にトレーニングに取り組みます。
 
(10)Q:ベストリッチクラブに入会していないと入園できませんか?
   A:同クラブに入会していなくても入園は可能です。自分のことは自分
     でしようとする気持ち、先生の話を聞く事の楽しさ、友だちと過ご
     すおもしろさなどを経験し、幼稚園入園の準備を行っています。
 
(11)Q:入園料や保育料を教えてください。また、補助金等の制度はありま
     すか?
   A:平成27年度の入園料等納入金は、下記の予定です。金額に変更が
     ある場合は、後日お知らせ致します。
     入園料 100,000円  施設費 35,000円
     保育料 月額(3歳児、満3歳児)30,000円 /
           (4歳児)28,000円
     また、各自治体の補助金については随時お知らせしております。
 
(12)Q:仏教精神を基盤とした教育方針ですが、仏教を信仰したほうがよい
     のでしょうか?
   A:宗教は問いません。ほとけ様に心静かに合掌することを大切にして
     おります。日々の生活の中や行事などを通して、「仏教の教え」を
     もとに心豊かな子どもが育つよう保育をしております。
      (平成28年3月現在のホームページから転載したものです)
 
(次回は、光塩女子学院幼稚園、聖学院幼稚園についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<保護者編>第5章(4) 雛祭りとお彼岸ですね  弥生

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2017さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第19号-
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第5章(4) 雛祭りとお彼岸ですね
 
【三月に読んであげたい本】
雛祭りですから、楽しい話がありそうですが、あまり縁がありません。やはり、
私が男だからでしょうか。その中でも、この話は珍しいと思います。
 
◆たまごから生まれた女の子◆(長崎県の話)
 むかし、ある所に、金持ちの夫婦がいましたが、子どもに恵まれません。奥
さんは、子どもを授かるように神さまに願をかけていました。
 ある日のこと、家の前に手まりほどのたまごが五十個、置かれていました。
神さまのお恵みと喜び、たまごをかえそうという奥さんに、主人は反対するの
で、いきさつを紙に書き、川へ流したのです。それを貧しい漁師の夫婦が拾い、
書付を読み、たまごをかえすことになりました。やがて、たまごから赤ちゃ
んが生まれ、夫婦は50人もの子持ちとなったのです。そして10年たち、
50人の子どもは元気に育ちますが、働きすぎたお父さんは病気でなくなりま
す。そこで、子ども達はお母さんから川上から流れてきた話を聞き、もう一人
の母さんを訪ね、会うことができたのです。50人の娘に囲まれ幸せでしたが、
育ててくれた川下のお母さんの恩を忘れられず、娘達は、川下と川上の二人の
お母さんが亡くなるまで、親孝行をしたのでした。
この話は、村々へと伝えられ、女の子が生まれた家では、この娘達にあやかろ
うと、たくさんの人形を飾り、よもぎとお米を供え、祝うようになったのです。
三月三日のひな祭りの始まりを伝える話となっています。
 日づけのあるお話 365日
 3月のむかし話 谷 真介 編著 金の星社 刊
 
たまごから五十人の娘が生まれるのも不可思議な話ですが、「つぶの長者」の
ように、たにしに変身した若者が登場するおとぎ話の世界ですから、理屈は抜
きです。親孝行ですが、近頃、この言葉に肩身の狭い思いをさせているようで
す。「親孝行、したい時には親はなし」、胸にしっかりと刻んでおきましょう。
 
ところで、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」に、こんな話がさり気なく語られてい
ます。
 
 その日は3月4日。
 雛の節句である。
 土佐藩では、節句は3日に行わずに4日に祝う習慣があった。
 
五節句(正しくは五節供)を定めたのは徳川幕府ですが、それに従わない藩も
在ったわけです。何気ない描写ですが、いごっそう(頑固で気骨ある様子)の
人物が多い土佐藩であることに意義があり、素直に肯いてしまいます。氏が、
珍しく女性を主人公にした作品に「功名が辻(1~4)」(文春文庫 刊)が
あります。持参金を出して馬を買い、主人を出世させた内助の功は、かなり知
られていますが、あれはどうやら事実ではないようで、例の山内一豊とその妻、
千代の物語です。信長、秀吉、家康に仕えた一豊が見た、三者三様の生き方が
描かれており、時代小説の苦手な女性の方にも気軽に読めるのではないでしょ
うか。「内助の功」、感謝されているお父さん方も多いのでは……、いつの時
代も女性は強いということですね(笑)。
 
◆ももの花酒◆   常光 徹 著
 むかし、長者の家に、器量がよく、気だてのやさしい、一人娘がいました。
ある晩のこと、訪ねてきた若者と仲良くなり、親も喜んでいたのですが、不思
議なことに、若者は、日が暮れると姿を現し、明け方になると音も立てずに帰
ってしまい、どこに住んでいるのかわかりません。変だと思い始めた頃、娘の
顔が青白くなり、やせほそってきました。心配したお母さんは、糸を通した針
を娘に渡し、若者が寝ている間に、この糸を着物につけておくようにいったの
です。その夜のことでした。寝ていた若者の着物のすそに針をさすと、若者は
大声をあげてとび起き、何やら叫びながら暗やみの中を走り去っていったので
す。翌日、お母さんが、若者に付けた糸をたどって行くと、山奥の大蛇が棲む
といわれている淵に、吸い込まれるように入っているではありませんか。する
と、淵の底から、うなり声がするのです。お母さんが聞き耳を立てると、娘は
蛇の子をみごもっているというのです。驚いたお母さんでしたが、この災難か
ら逃れる方法を、大蛇の親子の話から聞き出し、見事に解決します。その方法
とは、不気味な話ですが、三月の節句に、ももの花酒を飲むいわれが語られて
います。
 おはなし12ケ月 三月のおはなし
 「かえるとぼたもち」 松谷みよ子/吉沢和夫 監修
 日本民話の会・編 国土社 刊 
 
ももの花酒に代わり白酒を飲み始めたのは江戸時代頃だからだそうですから、
この話はそれ以前から伝えられてきた話であることがわかります。
 
恐い話ですが、この種の話は、よく聞きます。日照りが続き、農作物が駄目に
なってしまうことを心配したお百姓さんが、「雨を降らせてくれたら、娘を嫁
にやってもいい」とつぶやいたのを、やはり蛇が聞いてしまい、雨を降らせ、
娘を嫁にもらう話も、主人公は、蛇。その蛇を退治する方法は、針とひょうた
ん。
 
妖怪蛇、蛇のたたり、蛇の執念など、蛇ほど悪者扱いされるのも珍しいですね。
聖書でも禁断の木の実を食べるようにそそのかし、その罰として神様から地を
はって生きるように定められたのも蛇でした。しかし、蛇は水の神さまのお使
いだそうで、干支(えと)にも堂々と選ばれていますが、見た感じからも親しめ
ませんね。
 
古事記にも似たような話があります。
男の着物に針をさすのは同じですが、男の正体が神様であるところが古事記ら
しく、糸がわずか三輪しか残っていなかったことから、神様が宿るといわれた
奈良の三輪山の命名の由来となっているそうです。三輪山に登り、そこにいた
蛇とにらめっこをした怖い話が、黒岩重吾の「古代史の旅」(講談社 刊)に
出ていましたが、蛇は、まばたきをしないから余計に恐ろしいですね(笑)。子
ども頃、螢を取りに行ったとき、「光が消えないのは蛇の目だから手を出して
はダメ!」と兄が教えてくれたことを思い出します。信じがたい話でしょうが、
川端のあちこちに蛍が灯をともしていましたね。川がきれいだった証です。
 
民話といえば柳田国男、柳田国男といえば「遠野物語」を忘れることはできま
せん。面白い話があります。原作は文語体ですから読みづらいですが、口語体
で書かれた小学生上級用のものは、楽しく読めます。
 
◆ふえふき三太とオイヌ◆
 むかし、遠野盆地の東にオイヌ(狼)の群れの棲む笛吹峠があり、その近く
に住んでいた笛の上手な三太わらしの話が伝わっています。
 三太は、父(とう)ちゃも亡くなり、後から来たまま母(かぁ)ちゃと暮ら
していましたが、母ちゃは、三太につらくあたり、笛吹牧場の二才駒の守り役
をさせて、オイヌに食われればいいと考えました。牧場に住むことになったあ
る日のこと、のどにとげを引っかけたオイヌの子を助けたことから、オイヌ達
が三太の周りに寄って来るようになったのです。三太は淋しくなると、父ちゃ
譲りの横笛を吹き、心をまぎらせていましたが、オイヌ達が、その音色を聞く
ようになり、二才駒の守り役をしてくれるのでした。様子を見に来た母ちゃは、
三太も二才駒も、オイヌ達と遊んでいるのにびっくり。腹を立てた母ちゃは、
三太を焼き殺そうと、牧場に火をつけたのですが、オイヌ達は、火をくぐり、
三太と二才駒を、気仙沼の竜神洞に通じるといわれる風穴の方へ導くのでした。
炎に包まれ、逃げ回っていた母ちゃを見た三太は母ちゃも助けようとしました。
オイヌ達も一緒になって、風穴へ誘い込み、底へと進んでいったのです。
 そして、三太達は、二度と風穴から出て来なかったのですが、時折、風にの
って、笛の音が聞こえてくるという。そこで里の人達は、この峠を笛吹峠と呼
ぶようになったのです。
この話には続きがあり、桃の節句に、気仙沼の竜神洞には、不思議な神楽人達
が集まって、竜神神楽を奏でる伝えがあり、火事があった後には、笛の上手な
若者が加わり、母ちゃと十頭の二才駒とオイヌ達の群れが、神楽人達を守るよ
うに控えていたそうです。
 「遠野物語」の国へ 平野 直 著  つぼの ひでお 絵 講談社 刊
 
柳田国男が民俗学の研究に生涯をかけたきっかけは、少年の日に、川べりの地
蔵堂に奉納されていた、母親が赤ん坊を殺す様子を描いた絵馬を見た時の印象
と、「その絵馬が何のために掲げられているか」に疑問を持ったときに始まる
と、本書の読書ガイドに黒沢浩教諭は指摘しています。原文を紹介しておきま
しょう。
 
 「国男には、ふと目にした絵馬から、かつて、恵まれない暮らしに苦しんで
いた人々に思いがおよぶ誠実な心があったのです。国男が伝説や世間話に興味
や関心を持ち、それを記録して発表したのは、名もない人々の間に、語り伝え
られてきた話の中に、人々のさまざまな願いがこめられていることを、広く知
らせたかったからではないでしょうか。」
 
「遠野物語」は広く知れ渡っていますが、案外、読まれていない方が多いので
はないかと思います。原作を読むのはしんどいですが、小、中学生用に書かれ
たものがあり、これで十分に原作の雰囲気を味わえます。民話は、祖先が残し
てくれた貴重な文化遺産であることも忘れたくないものです。          
 
笛の出てくる話で忘れられないのは、ロバート・ブラウニングの「ハメルンの
笛吹き」でしょう。笛吹き男は、その音色でネズミを退治したにもかかわらず、
正当な報酬をもらえなかったために、足をけがしていた一人を除き、町中の子
ども達を笛の音色で誘い出し、姿を消してしまった恐ろしい話です。ドイツの
ハメルンで実際にあった事件で、その原因は何であったかわかっていないそう
です。
 
ところで、狼は犬の祖先になるわけですが、アメリカの民話に、その経緯を描
いた「草原の狼と高原の狼」があります。
 
 食べ物のなくなった森に棲む二匹の狼が、インディアン部落を訪ね、親切な
おじさんから食料を分けてもらいます。食料のありかを知った一匹の狼は、そ
れを全部盗もうといい、もう一匹の狼は止めますが、聞く耳をもちません。狼
は仲間を誘いに森に帰ります。インディアンに知らせれば友を失うことになり、
悩んだ末に、おじさんに事の次第を話します。仲間と襲撃してきた狼を、イン
ディアンは「この恩知らずめ!」と撃退します。「お前は、正しい心を持って
いるから、我々と一緒に暮らそう」ということで、食べ物の心配がなくなった
草原の狼は犬となり、人間と暮らすようになったのでした。
 
題名を思い出せないのですが、日本にも、足に刺さったとげを抜いてもらった
狼が、少年を襲った狼たちから守るという楽しい童話もあり、進学教室の子ど
も達も大好きでした。動物の恩返し、心温まる触れ合いは、メルヘンの世界で
しか経験できないだけに、新鮮な驚きを感じるようですね。人間と動物のロマ
ンを描いた作品は、間違いなく子どもの心を揺さぶります。
 
最初に紹介しましたが、私には狼を主人公にした話で、忘れられない思い出が
あります。椋 鳩十の「丘の野犬」です。
 
◆丘の野犬◆ 
野生の狼が人間と親しくなり、家で飼われるようになったのですが、鶏が盗ま
れる事件が起き、村の人々はアカ(狼の名前)ではないかと疑い、毒の入った肉
を食べさせ殺そうとします。利口なアカは、それを見抜き食べようとしません。
アカを捕まえに来た役人は、主人が与えれば食べるだろうと考え、実行を迫り
ます。「食べないでおくれ!」と祈りながら毒の入った肉を与えます。一口食
べたアカは、苦しそうに叫び、一目散に森の中へ駆け込んでしまったのでした。
アカと知り合った森の丘で、意気消沈し、しょんぼりと過ごしていたある日の
こと、そのアカが、突然、姿を現したのです。「アカ!」と叫ぶ主人公を、じ
っと見つめていたアカは、そのまま森の中へ姿を消し、二度と現れませんでし
た。しばらくたって、鶏を盗んだのは、町のならず者だったことがわかったの
ですが……。
   「野犬物語」 椋 鳩十 著 フォア文庫の会 刊
 
当時、私は子ども達に聞かせたい話をテープに吹き込み、教室の希望者に配布
していました。「母と子の20分読書運動」を広げ、読書の素晴らしさ、楽し
さを普及する運動に力をつくした椋 鳩十の作品からも、戦争で殺さなければ
ならなかった飼い犬と子どもとの交流を描いた「マヤの一生」、子熊を助けよ
うと滝つぼに飛び降りた母親の勇気を描いた「月の輪熊」、追っていた人間を
助ける「片耳の大シカ」など、人間と動物のロマンを描いた作品を10巻作り
ましたが、「丘の野犬」は45分ほどにもなるので、園児達に聞かせるのは無
理ですから、適当にアレンジしながら話してみました。授業に参加していた園
児は30名。15分ほどにもなりましたが、みんな真剣に聞いてくれ、最後に
犯人は「人間」であることがわかった時、「何だ、何だ!」といった雰囲気に
なり、涙ぐむ女の子もいました。子どもは興味があれば、それこそ一心不乱に
集中できます。大勢の子ども達の前で話をするには、物語を記憶し、子ども達
の目を見ながら話してあげることが大切です。このことを教えてくれたのは、
かわいい、小さな瞳がきらきらと輝く、幼い園児達でした。(涙)
 
 (次回は、「花祭りでしょうね 卯月」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>入試問題を分析する   常識に関する問題(2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第36号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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(3) 常識に関する問題 2
 
★受験情報★
国府台女子学院小学校は、2017年度入学試験においてインターネット出願
を導入します。
○出願時来校不要、願書も不要。
募集要項を確認して、本校WEBサイトから『インターネット出願サイト』へ。
出願の申込手続きは全てWEB上で完了できます。
○『インターネット出願サイト』は、パソコンやスマートフォンに対応してい
ますので、ご自宅で、外出先で、塾で、移動中でも出願申込をしていただけま
す。
受験料納入はクレジットカードや、金融機関ATM(ペイジー)などのお支払
方法が選べます。
○出願画面の指示に従って情報を入力し受験料をオンラインで支払うだけで出
願できます。受験票は、お手元で印刷していただきます。プリンターがないご
家庭でも、コンビニエンスストアのコピー機から印刷可能です。
詳しくは、4月以降、リニューアル予定のホームページをご覧ください。
         (2/28 千葉県私立小学校フェア  配布資料より)
 
日出学園小学校
 本年度の入試予定
  第一志望 10月20日(木) 8:30~
  一  般 10月25日(火) 8:30~ 
      (要注 一般の日程が早くなりました) 
 弁当発注システム (家庭から業者に発注した弁当が学校に送られるシステム)
  保護者アンケートの結果、要望が多いため、7月を目途に始める予定。
                  (3月5日 第1回学校説明会より)
 
[公衆道徳・躾に関する問題]
公園の中で、いろいろなことをしている子どもの絵を見て、やってはいけない
ことをしている子どもに○をつけたり、服を一人で着たり、後片付けができて
いない絵などから、自分一人でできた方がいいと思うものに〇をつけたりする
問題です。言うまでもありませんが、入学試験のために身につける知識ではな
く、しつけであり、マナーであり、基本的な生活習慣ですから、ご両親の育児
の姿勢、教育方針をみています。
 
変なお母さんが増えています。電車に乗ると、子どもは、なぜか、外を見たが
ります。それは、いいのです。しかし、靴を脱がない子がいます。お母さんの
言葉、ショックでした。
「○○ちゃん、お靴脱ぎますか、脱ぎませんか?」
「脱ぎたくないの」
「そうですか」
これで、おしまいです……!
おかしくありませんか。
着ている制服から、大学まである総合学園の幼稚園であることがわかります。
私の年代では、こういうことは考えにくいことです。親は、一貫教育制度のあ
る附属幼稚園に入れて、子どもの人生航路の設計図なるものを、小さい頃から
キッチリと引いてあげているにもかかわらず、他人様と共存して生きるために、
最低限必要なルールは、子どもの判断に任せていいのでしょうか。
いいわけはありません、これは逆です。
人生航路は自分で開いて行くものですが、しつけは親が責任をもって子どもに
身につけさせるものです。このような考え方を「子どもの自主性を認める」と
はいいません。放任です。親の責任を放棄していることに気づいてほしいので
すが、こういうお母さんが増えているようです。誰がかわいそうって、子ども
です。後で困るのは、子ども自身ですから。
 
試験で電車の中で悪いことをしている子に×をつけても、実際に電車に乗って、
靴を脱がずに外を見ているのでは、おかしいと思いませんか。これは常識であ
り、守るべきルールです。知識として知っていても「実際にはできない」、ど
ういうことでしょう。
これは知識と知恵の差です。
知識は知っているだけで、知恵は知っていることを実行する心の働きです。幼
児期の知識の詰込みは、こういう結果になりがちではないでしょうか。こんな
本末転倒なことを許していると、幼児の世界も、おかしくなります。 
 
「三つ子の魂百まで」は、幼児期に身につけたことは、大人になっても、その
まま受け継いでいくことを戒めた先人の知恵です。良い習慣をきちんと身につ
けてあげるのは、お子さんにとっても幸せであり、大切な財産になると思いま
す。「習慣は第二の天性である」と古代ローマの政治家、哲学者であるキケロ
も言っていますなどと、何も哲学者を出すこともありませんが、「大切だ」と
言いたいのです(笑)。
 
[その他の問題]
果物や野菜を、縦や横から輪切りにしたものから、何であるかを推理する問題
もあります。
これも体験でしょう。子どもは、見えないところを見たがるものです。りんご
やみかんを食べるとき、ただ、皮を剥くだけではなく、縦や横に輪切りにして、
見せてあげましょう。喜びます。
野菜なら、ピーマンなどを切ってみせると、不思議そうに見ています。ついで
に、匂いもかがせてみましょう。玉ねぎなどは、涙を流しても見たがります。
 
私が現役時代、「どうしてレンコンはあんなにたくさん穴があいているのかな?」
と聞かれ、絶句したことがありました。普段、そんなことを考えませんね、大
人は。こういう疑問には、即座に答えてあげなくては、子どもの信頼を裏切る
ことになりますから、家内に電話して、すぐ調べてもらい、事なきを得ました。
「レンコンの住んでいるところは泥の中で空気がなく、あの穴の中に空気を取
り入れ、それで呼吸しているのだよ。その穴は水の上に出ている葉っぱとつな
がっていて、茎がちょうどシュノーケルの役をしているんだよ」と説明できま
したが、今はパソコンで簡単に調べられますから、お子さんが「なぜ?」と聞
いてきたときには後回しにせず、きちんと答えてあげましょう。 
 
そして、野菜や果物を水の中に入れ、浮かぶか沈むか、実験してみましょう。
「すいかは、絶対に浮かばない!」と思い込んでいるお子さんが、かなりいま
す。見たことがないのです。丸ごと一個のすいかを買う機会は少ないでしょう
が、お子さんが疑問を持ったときには、説明するより見せることです。
 
動物の足の絵から、その動物が何かを考えたりする問題もあります。
かなり昔の話で、時効も成立しているはずですから紹介しましょう。さる国立
の名門大学の学生さんが、「鶏には足が4本ある」と真面目な顔で言い、話題
になったことがありました。見たことがないのです。
幼児には、見せるしかありません。動物園の出番です。
「今度の日曜日、ゴルフの予定もないから動物園に行くぞ!」
「……。」
お父さんの都合でお子さんに興味がない時に、動物園に行っても効果はありま
せん。
「お父さん、にわとりの足、どうなっているのかな?」
この「かな?」がついた時、子どもが興味を示した時が、絶好のチャンスです。
ジィーっと見ています、飽きもせずに。観察力だけではなく、集中力や持久力
もつきます。しかし、動物園に鶏、いるでしょうか、心配です。
 
我が家が川越へ越してきたのは、子ども達が幼稚園に入る頃でしたが、近所の
お百姓さんの庭には、放し飼いにしていた鶏がいました。長男は何が面白いの
か、毎日出かけて行っては、ジッと見ているのです。「パパ、ニワトリさんは
鳥でしょう。どうして、空を飛べないのかな」、これが不思議だったんですね。
お百姓さんに話したところ、一番元気のよさそうな鶏を抱き上げ、空へ放り投
げてくれたものです。羽をバタバタさせて飛びますが、すぐに着地してしまう。
「太っているから飛べないんだ!」と嬉しそうに答えたものでした。黙ってお
百姓さんは実験して見せてくれたことが、どんなに子どもにとって貴重な体験
であるか、教えられたものです。
その逆ですが、テレビのコマーシャルでペンギンが空を飛ぶ映像が流れた時、
「先生、ペンギンは、空を飛べないんですよね」と怒った子がいました。子ど
もは自分が知っていることと違ったことが起きると、許せないんですね。最近
は、牛が胡坐をかいている映像があったのを見て、先生方は困っているのでは
と心配しましたが(笑)。
 
最後に、絵を見て話をする問題です。
これは、たくさん本を読んでもらっている子は、得意です。たとえば、かぐや
姫の絵だとします。読んでもらったことのない子は、話せませんね。本を読ん
であげることは、前に説明しましたから止めますが、言語の学習から情操教育
まで、大変な学習になっています。話を聞く姿勢ができている子は、本を読ん
でもらうことが好きです。しかも、本人もお母さんも勉強をしているとは思っ
ていません。教えない教育の成果です。しっかり読んであげましょう。読んで
あげられるのも卒園までです。一人で読めるようになるのも、後わずかだから
です。読めるようになると、もう頼みにきません。そうなると、お母さんの読
書時間も増えます。親の本を読む姿は、最高の教材です。
 
テレビの内容にもよりますが、視聴時間の長さと教養の深さは、反比例するそ
うです。うまいことをいう人が、いたものですね、感心しました。こういった
お母さん方は、子ども達に、
「ゲームばかりやっていないで、お勉強をしなさい、お勉強を!」
といいがちではないでしょうか。これでは、説得力などありません。
 
絵を見て話をする問題については、言語のところでお話しましたから、もう一
度ご覧ください。「お母さん(お父さん)、あのね方式」です。
 
その他に、新幹線やブルドーザーなどの絵を見て名称と用途、花の名前と咲く
季節などをたずねる問題があります。昔話に出てくる「きね」「うす」「かま
ど」、雪国ではおなじみの「つらら」、「たけぼうき」「はたき」「ちりとり」
といった昔の掃除道具三点セットなど、普段、目にしなくなったものには、出
会ったときにきちんと説明しておきたいものです。
 
余談になりますが、ホワイトデーの習慣は日本生まれ、中国、台湾、韓国など
東アジアの一部で定着しているが、欧米にはない。記録として残っている元祖
は、昭和48年(1973)に不二家とエイワが協力し、チョコレートのお返
しにキャンディやマシュマロを贈ろうと「メルシーバレンタイン」キャンペー
ンを開催したとの記事が読売新聞にある。その中でホワイトには「幸福を呼ぶ」
「縁起が良い」という意味もあるということで、1ケ月後に設定したと伝えて
いる。(「ウィキペディア フリー百科事典」より抄訳) 
 
デコレーションケーキといい、お菓子屋さんのたくましい商魂ですね、孫もハ
マったようです(笑)
 
 (次回は、4 推理・思考の問題についてお話しましょう)

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

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