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めぇでるコラム : 2016年7月

さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>幼児に必要なのは、 勉強ではなく学習です 

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        「めぇでる教育研究所」発行
 さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
            (第5号)
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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幼児に必要なのは、 勉強ではなく学習です 
 
ある年の白百合学園小学校の親子面接で、こういった質問があったそうです。
「何かお勉強をしていますか。どういうお勉強ですか」
「…………?」
こうなってしまったお子さんが、多かったのではないでしょうか。
 
模擬親子面接で、こういった質問をするのは控えますが、どのような受験準備
をされているのか聞きたくなるときがあります。それは、ペーパーテストの成
績は良いのですが、行動観察型のテストでは、それほど点数が取れていない場
合です。幼児に「勉強をしていますか」とは聞けませんから、いけないと思い
ながら誘導尋問をします。
「幼稚園から帰ったら、どんなことをしますか」
「塾へ行ったり、お母さんとプリントのお勉強をしています」
「お勉強は楽しいですか」
ここで、お母さんを見るお子さんがいます。どうやら勉強が楽しくないようで
すね。
しかし、そうはいえませんから、お母さんの顔を見て、そして、うつむいてし
まいます。
後で、親子関係が険悪になると困りますから、
「楽しいようですね。ところで……」
と話を変えます。
多くの子ども達に聞いても、受験準備は勉強だといい、女の子は「お勉強」と
いいます。
しかし、どういった勉強をしているかまでは、説明できません。
話の記憶から数量、推理・思考、図形、構成と勉強している領域は広く、取り
組んでいる内容も複雑だからです。
学校側は、何を聞きたかったのでしょうか。
 
それはともかくとして、教育の二文字から「勉強と学習」といった二つの言葉
が浮かんできます。
では、勉強とは、どのような意味があるのでしょうか。
辞書を引くと、こう書いてあります。
 
「1 そうする事に抵抗を感じながらも、当面の学業や仕事などに身を
   入れること。
 2 将来の大成・飛躍のために一時忍ばなければならない、
   つらい経験」       (「新明解国語辞典」三省堂 刊)
 
この勉強という字から、思い出すのは、先に紹介した「すずめの学校」の歌で
す。
本当は、こういう歌なのです。
 
   チイチイパッパ チイパッパ
   雀の学校の先生は むちを振り振り チイパッパ
   生徒の雀は輪になって お口をそろえて チイパッパ
   まだまだいけない チイパッパ もう一度一緒に チイパッパ 
   チイチイパッパ チイパッパ  
 
何か暗い感じがしませんか。
発展途上国の日本が、先進国に追いつけ追い越せと、国をあげて教育に熱を入
れた、お国のための教育の姿です。
先生がむちを振り、先生のように鳴けと問答無用です。
「命令と要求」そのものではないでしょうか。
かつて、バブル経済全盛期の頃には、こういった指導をする教室もあったと聞
きます。お母さん方は、「もっと鍛えてください」などと、空恐ろしいことを
いって、子どもを預けたそうです。幼児は肉体的にも精神的にも、鍛える指導
に対処できる成長などしているわけでもなく、また、そのような時期ではあり
ません。これでは、幼子にとって勉強とは、まさに「つらい経験」になりがち
です。
そうではないでしょうか。
 
しかし、学習を辞書で引くとこう書いてあります。
 
 「習い学ぶこと。とくに、学校などで系統的に勉強すること」
         (岩波国語辞典第三版 岩波書店 刊)
 
この「習い学ぶ」ことから、キリスト、釈迦、マホメッドと共に、世界の四大
聖人である孔子の話を思い出します。
「論語物語」の中にある「うぐいすの声」です。
テーマは君子に関することですが、学習について、息子の鯉(お祝いに王様か
ら鯉をいただいたのが命名の由来だそうです)に説明するシーンがあります。
論語を研究したことはないのですが、印象に残っています。もしかすると私の
誤解であって、専門家の先生から叱責を受けるかもしれませんが、「わたくし
流」に解釈して紹介しましょう。
文言は正確ではありませんが、ダイジェストすると、こういった話になります。
 
早春の朝、庭を散歩する孔子が、「ホーホケキョ」と鳴くうぐいすの声を聞き、
息子の鯉に、
「お父さんうぐいすが鳴いたね。今に、赤ちゃんうぐいすが鳴くよ」
というと、「ケッキョ!」と不器用に鳴く声が聞こえてきます。
「この赤ちゃんうぐいすは、親の鳴き方を一所懸命に真似て、繰り返し、繰り
返し練習するのだよ。赤ちゃんうぐいすにとって、学ぶということは、親の鳴
き方を真似するのであり、習うということは、何回も練習し、失敗を重ねるこ
とであって、やがて、親鳥のように、鳴けるようになるのだよ」
余談になりますが、ある年の夏に上高地へ行ったとき、大正池でうぐいすの親
子の鳴き声を聞きましたが、この話とそっくりで感激しました。
 
このように、幼児の教育は、勉強ではなくて学習ではないでしょうか。
受験勉強も「強いて勉める」のではなく、「学び習う」のが望ましく、また、
そうあるべきだと思います。
「そんなの理想でしょう。大人でも解けないような問題が出ていますよ。何で
あんなに難しい問題がでるのですか。できなければ合格しないということでし
ょう!」
柳眉を逆立て抗議するお母さんの姿が目に浮かびます。
ごもっともですといいたいのですが、難しい問題でも、きちんと段階を踏んで
いけば、できるようになります。多くの場合、取り組み方が間違っているから
できないだけです。
 
「二足直立歩行」など気取った表現ですが、歩けない我が子を、無理やり歩か
せようとしましたか。
十分に“はいはい”をさせ、つかまり立ちができ、少し歩いてはよろけて倒れ
る、これを繰り返すことで、やっと歩けるようになったわけです。発育段階を
無視せず、一歩一歩、ゆっくりと時間をかけて見守った、あたたかい愛情があ
ったからではないでしょうか。
また、しっかりと“はいはい”をして筋肉を鍛えるなど、さまざまな条件を乗
り越えた結果でもありますが、そこには「歩きたい」と願う本能があり、その
ために試行錯誤をいとわない意欲や行動力があったからです。
 
知的な能力を培うのも、同じだと思います。
幼児が、いろいろなことを知りたがるのは、一人で生きていくための知恵を備
えるためではないでしょうか。
 
幼児が、一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことによ
って学習していきます。いわゆる「体験学習」です。記憶力も大切な能力です
が、知的な能力は、記憶だけに頼った勉強だけで、身につくものではありませ
ん。
一度泳げるようになると、十数年泳がなくても、泳ごうと思えば泳げます。と
ころが、英単語などは使わなければ、簡単に忘れてしまいます。泳ぎは、体が
記憶している中枢神経系統に、記憶は大脳神経系統に属しているからだといわ
れています。学生時代に苦労して覚えた英単語、どこに隠れているのやら腹が
立ちませんか。
それはともかく、幼児は日常の家庭生活を通して、また、幼稚園や近所の友達
との関わりから、さまざまな能力が開発されていくのです。
 
さらに、幼児にとって大切なのは、「遊び」です。
幼児の遊びは、仕事です。
大人は仕事をするとき、報酬を考え取り組みますが、幼児の仕事には、金銭的
な報酬は何もありませんし、要求もしません。
しかし、一人で生きていくための知恵は確実に身につき、自立を促します。ゲ
ームをやっていて、つまらないからやめるといった遊びとは違います。ですか
ら全力をあげ、夢中になって取り組んでいるのです。
 
遊びには、一人遊びと仲間遊びがありますが、ここでは、一人遊びを考えてみ
ましょう。
一人遊びを見ていると、子どもが夢中になっている様子がよくわかります。
それも道具は、ウルトラマンと怪獣の人形だけで、大激戦が繰り広げられてい
ます。
円谷監督も顔負けの映像が、リアルタイムでポンポンと浮かんでいるのでしょ
う。
子どもの想像力や空想力は、大人の比ではありません。
台本を書いて、セットを組み、主演から脇役、対戦相手の怪獣、そして本人し
かわからない奇妙な効果音まで流し、監督までやっているのですから驚きです。
しかも、こんなにすごい想像力を働かしながらも、もっとおもしろく遊べる方
法はないものかと工夫しています。
ですから、子どもは遊びに夢中になれるのです。
どうしたらもっと面白くなるかと、いろいろなアイデアを考え、その中から、
「これが、いいぞ!」
と選び、遊びの場に引き出します。
やってみたところが今一だとすると、
「なんだ、おもしろくないな。カット、カット!」
と駄目出しをして、また新しい台本に挑戦し始めます。
「考え、実践し、評価し、新しい遊びを見つける」、幼児の遊びは、これの繰
り返しで、そこから新たな力が育まれていきます。
しかも、だれも教えていません。
教えてくれなくても、こんなに夢中になって取り組めるのです。
それは、一歩でも前進したい本能的な要求であり、そこから得た知恵が、自力
で生きる力になっているからです。
こういったすばらしい潜在能力を利用しない手はないと思います。
 
幼児の教育は、「体験学習」で培われ、「教えない教育」に基づいたものであ
るべきだと思います。
「教えない教育」とは、本人が教わっていると思わずに、たくさんのことを学
んでいる教育のことです。赤ちゃん時代から、お母さん方の育児の姿勢は、
「体験に基づいた教えない教育」に徹してきたはずです。
言葉を語りかけたとき、おむつを外したとき、スプーンやはしを使えるように
したとき、恐い顔をして、教え込んだでしょうか。
失敗しても怒らない、できるようになるまで「忍の一字」で待ってあげたはず
です。
「うちの子は、まだできないから」
ときちんとお手本を見せるという愛情があったからこそ、お子さんもそれに応
えて成長したのではないでしょうか。
 
受験準備も同じです。
できる、できないだけにこだわらず、どうすれば楽しく学習できるか、一緒に
考えてあげましょう。
それには、遊びの感覚を取り入れることです。
机の上で問題集を広げてする受験勉強は、基本的な力が備わっていなければ、
苦痛になるだけです。
お母さんとの学習が面白ければ、そして、楽しければ、お子さんは、一所懸命
に挑戦するはずです。 
受験勉強の第一歩は、ここから始めるべきだと思います。
 
梅雨が明ける前に蝉が鳴きだし、びっくり! 近所の雑木林に蝉など昆虫採集
に来る子ども達、帽子をかぶっていない子がいます。お子さんはいかがですか。
外から帰ってきた時は、手洗い、うがいを励行してください。良い習慣は、毎
日の積み重ねから身につくものです。
  (次回からは、「家庭でできる楽しい受験準備」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>今年の説明会より

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第56号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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今年の説明会より
 
「共学がいいか、別学がいいか」、徹底的に分析をしてくれたのが、立教小学
校の田代教頭の話。今年は少し端折ったところがありましたから、ここ数年の
話を基にまとめてみました。教頭は、その容貌と話し方からして、大変な熱血
漢であるとの印象を受けますが、おそらく、子ども達から「金八先生」などと
親しまれているのではないでしょうか。
 
「本校にはどんな男の子がいるか。男の子は単純で、雑駁で、ずぼらで、締ま
りがなく、言葉遣いは悪いし、けんかは日常茶飯事だが、私は好きだ。
脳科学者の話で、すべてに当てはまるわけではないが、脳の厚さは、女性は
11歳で最大になるのに比べ、男性は18ヶ月遅れるとか、実証されているそ
うだ。成熟差を中学生で比べると、1年半から2年間ほど遅れるそうで、我々
が教えていてもそれは感じる。
アメリカでは1932年に公立校の男女共学を禁止していた。しかし、2006
年10月に法改正がなされ、公立校で別学、共学を選択できるようになった。
脳の発達や思考、得意分野の違いをまったく無視し、同じ条件で教育したこと
に問題があるということで、別学が増えていく。
イギリスの研究者の話では、男女別学では、性別による固定観念を打ち崩しや
すいが、共学ではこれが難しいといっている。歌を歌う場合、共学では恥ずか
しがってほとんど歌わない。男子校の合唱は一つの特徴でもある。女子校では
今はやりの「リケジョ(理系女子)」ではないが、数学や科学を好む学生が増
えてきた。別学では男子らしさ、女子らしさという固定観念がなくなるのでは
といわれてきている。共学では逆に強調され、男女別学の良さが見直されて来
ている。アメリカの真似をするのが大好きな日本だから、文科省が力を入れて
いる中高一貫教育も、今に中高一貫男子校、女子校を作り出すかもしれない、
公立校の。我々は小中高大学までの一貫教育で男子校。皆さん方は、すでに先
見の明があるといえる。それを申し上げておきたい。18歳をこえると脳の成
長の差はなくなるそうだ。小中高で男女が分かれていて、大学で共学というの
は理想的な制度で、手前みそながら何ですか……」(会場から笑い声が起こり
ました!)
 
リケジョについては、国府台女子学院の平田史郎学院長も進学実績からその傾
向にあるとおっしゃっていましたが、「女子だけだからいいのです。共学にす
る考えはありません」と力説していた学院長、やはり科学的な根拠があったわ
けです。もしかすると、公立校での中高一貫男子校、女子校の誕生は、案外早
い時期に実現するかもしれませんね。
 
雙葉小学校の河野久美子校長の話。
学校生活は、競争の場ではなく、共に祈り、共に学び、助け合う場です。「先
生と子ども」「子どもと子ども」という関わり合いの中で、人間同士の信頼関
係を築き、自分が愛されていることを感じながら、子どもの人間としての成長
を助けていくようにと考えています。一人ひとりの子どもが、人との関わりの
中で、自己表現をしながら、その人らしく生きることができるように祈ってい
ます。バラはバラらしく、スミレはスミレらしく、その人らしく生きる。また、
自分で自由に学び、決定することができ、責任をとれる人に育てていくといっ
たように、子ども達が、これからの世界を支えていく人に育ってほしいと願っ
ています。(中略)
 本学園は、それぞれ推薦入学で上級校へ進学する子ども達に、小学校と中学
校で同じ数の新入生を加え、新しい風を入れながら幼小中高と進んでいく一貫
教育校ですが、特別な進学体制をとっていません。
先程お話ししましたように、一人ひとりの子どもの人間としての成長を大切に
しているので、学習面だけに重きを置くのではなく、一貫教育の中で、のびの
びと能力を伸ばしてほしいと考えています。ですから、本校では保護者の方に、
このような学校の方針をご理解して頂き、学校と共に心を合わせ、手を携えな
がら、大切なお子さんを育てていこうとお願いしたいと考えています。
 
「バラはバラらしく、スミレはスミレらしく」、女子校らしいですね。「単純
で、雑駁で、ずぼらで、締まりがなく、言葉遣いは悪いし、けんかは日常茶飯
事」、男子校らしく、これもいいですね。
 
そして、今年も「親の祈り」の詩が同封されていました。
 
神様
もっと よい私にしてください。
子どものいうことを よく聞いてやり
心の疑問に親切に答え 子どもを よく理解する私にしてください。
理由もなく 子どもの心を傷つけることのないようないに お助けください。
子どもの失敗を 笑ったり 怒ったりせず
子どもの小さな間違いには目を閉じて 良いところを見させてください。
良いところを 心から褒めてやり 伸ばしてあげることができるように。
お与えください。
感情的に叱るのではなく 正しく注意してやれますように。
道理にかなった希望は できる限りかなえてやり
彼らのためにならないことは やめさせることができますように。
どうぞ 意地悪な気持ちを 取り去ってください。
不平を言わないように 助けてください。
こちらが間違った時には きちんと謝る勇気を与えてください。
いつも 穏やかな広い心を お与えください。
子どもと一緒に成長させてください。
子どもが 心から私を尊敬し慕うことができるよう
子どもの愛と信頼にふさわしい者としてください。
子どもも私も 神様によって生かされ 愛されていることを知り
他の人々の祝福となることができますように。
 
如何でしょうか。
こういったお母さんになれれば、志望校から招待状は頂けるでしょうし、「お
母さんに育てられてよかった!」と間違いなく尊敬されますね。難しいことで
すが(笑)。
 
最後に、幼稚舎の大島誠一舎長の話を紹介しましょう。
 
 戦後すぐに幼稚舎長を務め、今の幼稚舎の理念を作られた吉田小五郎先生が
おられたが、先生は次のように述べられている。
「神様は良くしてくださったもので、学校の成績が悪くても、他に優れたこと
をたくさん授けてくださっていることに気づかずにいる。例えば、ひょうきん
でお友達に人気がある。
図工や工作がうまいとか、けんかに強いとか、木登りが上手だとか、かけっこ
が速いとか、おばあさんに親切だとか、動物が大好きでよく世話をするとか、
言葉がきれいだとか、物事を熱心にやるとか、人の悪口を言わないとか、これ
だけで、もう立派なのですよ。成績が悪いだけで、そんなに劣等感を持つこと
はありません」
 
 この話を聞くたびに、劣等感を植え付けているのは、親自身ではないかと考
えさせられますね。昔からテストや通信簿の成績にこだわるのは、親ではない
でしょうか。テストの結果や成績が良くないことを知っているのは、子ども自
身であることに、気を使ってほしいですね。
 
 また、受験者の心構えとして、
「本来、5、6歳の幼い子ども達に入学試験を通して課題を与え、判断したく
ないが、志願者が多いため、選択せざるをえない。倍率の高いことを踏まえ志
願していただきたい。入学試験のために、5、6歳の幼児に、不自然な生活態
度を強いることは望んでいない」とおっしゃっていました。
 
加藤三明前舎長は、「親のエゴで子どもをスポイルしないでほしい」といってい
ましたが、夏休み過ぎ頃から、過熱気味になりやすいですから、冷静に考え、
対処してほしいと願っています。
 
梅雨があけませんね。不順な天候が続いていますが、休養も十分取り、頑張り
ましょう。
(次回は「よくある質問について」お話ししましょう) 

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー 9

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2017さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第38
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ケース・スタディ編(9)   
「パパ、ママ、頑張ったね!」
 
 面接室から出てきた親子三人、顔を紅潮させています。
 お母さんが、お父さんに謝っています。
何があったのでしょうか。
 
「ごめんなさい、パパ、あがっちゃって。思っていたことの半分もいえなかっ
たわ。パパもケンちゃんも、きちんとお話できたのに。私が足を引っ張ったこ
とになるわ。ケンちゃん、ごめんなさいね」
「そんなことはないよ。ケンの性格なんか『私に似て、少しあわてんぼうのと
ころがあるけど、失敗にめげないで頑張るところは主人に似てよかったと思う』
なんて、僕を持ち上げたとこなんか、照れくさかったけど、落ち着いて話して
いたよ。ケンもがんばったし、よし、焼肉でも食べて帰るとしようか」
手をつなぎながら帰っていく後姿から、入試は、二人三脚で進められていたこ
とが、よくわかります。
 
こうあってほしいのです。
面接がうまくいかなかったといって、口論することがあると、お子さんは、ど
んな気持ちになるでしょうか。
しつこく繰り返しますが、
「ぼく、暁星幼稚園へ行きたい!」
「わたし、雙葉幼稚園へ行きたいの!」
で始めた受験ではないはずです。 
ご両親が、お子さんのためによかれと考えて、始めたことではありませんか。
 
実際に、ムッとした表情で、幼稚園の玄関から出られるご両親がいるそうです。
それどころか、園舎から園庭へ一歩出ると、
「『お父さんのおっしゃる志望理由と願書に書かれているものと違っています
ね。願書を記入されたのは、お母さんですか』、なんて聞かれたじゃない。何
で私が書いたとおりにいってくれなかったのよ!」
ご主人を食ってかからんばかりに責める母親もいるそうです。
そのそばには、ハラハラしながら見ているお子さんが、います。
目に入らないのです、お構いなしです。
いちばんつらい思いをし、傷ついているのはお子さん自身ではありませんか。
こういった考え違いをされているご両親は、受験するべきではないでしょう。
 
バスに乗ってきた親子の会話が、何気なく聞こえてきたことがありました。
「あんなに練習したのに、どうしたのよ。頭が悪いんだから!」
某有名幼稚園の停留所から乗ってきた親子です。
頭の悪いとは、どういうことでしょうか。
面接は、答え方の練習をし、訓練を積んで受けるものではありません。
こういう考え違いをしている母親は、面接会場でも、幼稚園側が嫌がる態度を
示しているはずですから、合格するわけはないのです。 
絶対に、お子さんだけの責任ではありません。
面接をする先生方の目は見逃しません。
 
しかし、お子さんがかわいそうです。
親を選べないのですから。そうでしょう、お母さん!
さらにです。
一緒にいたお父さん、お子さんをかばってあげないのは、どういうことですか。
あなたは、保護者ではありませんか。
腹立たしい限りです。
 
「今日は、楽しく遊べてよかったですね。また、遊びに来てくださいね」
幼稚園側は、ここまで気を配ります。
「何だか知らないけれど、パパもママもうれしそうだな!」
かくありたいものです。
 
2、3歳の秋は、お子さまが成長する一つの通過点と考えられないでしょうか。
それで、お子さまの一生が決まるわけではないのですから。
学歴から実力へ、社会は、確実に動いています。
「育児に哲学を持ってほしい」などと、キザで恥ずかしいですが、このことな
のです。
 
「ただ、一貫教育校の名門幼稚園に入れておけば」
などといった考えでは、どこの幼稚園からも歓迎されません。
ご紹介しました「面接 ケース・スタディ」を通して、幼稚園側は、どういっ
たお子さんを求めているかおわかりいただけたと思います。
やはり、もっとも大切なのは、ご両親の目指す育児の方針と幼稚園側の保育の
方針に矛盾がないことです。
お子さんは、日々、成長していきます。
その成長し、養われていく力を、面接会場で、試験場で、力一杯発揮できるよ
うに指導するのが、私達、幼児教室の使命です。
それを、しっかりとサポートしていくのがご両親の役目です。
正念場を迎えるまで、あと、わずかです。
 
幼稚園側の合否の割合は、お子さんの成長度2割、ご両親の面接8割ともいわ
れています。
面接がいかに重要な鍵を握っているか、ご理解いただけたと思います。
「たかが幼稚園の面接ぐらい!」
などと、安易にお考えでしたら、希望される幼稚園から招待状は、決して送ら
れてきません。
模擬面接を受けて、奥さんやお子さんがどういった反応を示すか確かめ、対策
を考え、実行する、これはお父さんの大切なお仕事です。
 
梅雨があけませんが、夏はこれからが本番です。元気に乗り越えましょう。
(次回は、「志望理由のまとめ方」などについてお話しましょう) 

さわやかお受験のススメ<保護者編>第10章 終戦記念日、このことです 葉月(3)

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2017さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第38号-
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第10章 終戦記念日、このことです  葉 月(3)
 
★★日本に富士山はいくつぐらいあるでしょうか★★
皆さんの住む街に「○○銀座」と命名されている所はありませんか。かなり、
あるはずです。なぜ、全国、至る所に銀座があるのでしょうか。
 
銀座は、もともと、江戸幕府が銀貨の鋳造や発行をした役所のあった所で、明
治を迎えて廃止されましたが、文明開化のもと洋風建築の商店街がつくられ、
以来、東京随一の繁華街と発展し、「銀座」の名前は残ったのです。後発の新
宿や池袋に押され気味でしたが、現在では1丁目から8丁目まで、大人の街と
して東京の観光スポットに欠かせない存在となっています。その繁栄にあやか
ろうと、各地の中心街の地名に用いられるようになり、そこから人のにぎわう
場所を表す言葉ともなって、全国に300もの「○○銀座商店街」が生まれた
のでした。その栄光の第一号は、東京都品川区にある「戸越銀座商店街」だそ
うです。
 
文化遺産に登録された富士の名も、銀座と同じように全国に見られます。
いうまでもなく富士山は、山梨と静岡の両県にまたがる日本の最高峰で、標高
3776メートルの火山です。宝永4年(1707年 徳川吉宗の時代)の噴
火で宝永山ができ、以来、活動を中止していますが、いつ噴火しても不思議で
はない、歴然とした火の山です。古くから霊峰とあがめられ信仰登山が盛んで、
頂上には浅間(せんげん)神社が祭られ、富士、不二、不二山、不尽山、富岳
(ふがく)、芙蓉峰(ふようほう)、ふじやま、ふじのやま、富士の高根、と
いった名称で親しまれ、桜と共に日本のシンボルとして、世界の人々にも知ら
れています。  
 
ところで、自然環境保全などのために入山料1,000円(6月1日~9月15日)
を徴収することになりましたが、あの登山ラッシュの様子を見ていると、休む
所も、トイレなどの設備も、十分とはいえず、また、安全登山を確保するのも、
問題が出そうですから、当然でしょう。ちなみに、白神山地は任意で一人300
円以上、屋久島は500円ですが、世界の最高峰エベレストにネパール側から
入山する場合、一人1万ドル(約100万円)以上が必要だそうです。
 
富士山へ1回だけ登りました。雲海は素晴らしい眺めで、神秘的な気持ちにな
りましたが、土と岩の殺風景な登山道は、人間を寄せ付けない無言の威圧を与
え、富士山は遠くから眺めるものだと痛感したものでした。様々な方角から眺
めるのが好きで、あちこちに出かけましたが、千円札の「逆さ富士」は本栖湖
に映る富士で、案外知られていないのではないでしょうか、絶景です。
 
上高地や尾瀬沼は、学生時代重装備で登ったものですが、今はサンダル履きで
も行けますから、人、人、人で味気なくなりました。民話風でなんですが、人
間があまり自然に手を加え過ぎると、山の神様の機嫌を損じることにならない
かなと懸念しています。地震と火山活動、日本列島に住むからには覚悟の上と
はいえ、何とか自然と仲良く暮らす知恵を働かせたいものです。これは古来、
わが民族の宿命ではないでしょうか。
 
富士山に関して、自慢できることが一つ。
昭和44年に初めてジェット機に乗ったのですが、当時西へ行く便は、富士山
の上を飛んでいたので、山頂のすり鉢を見ることができ、写真も撮りました。
乱気流で事故があって以来、山頂は避けているようです。
その山頂にある浅間大社には、古事記によれば、絶世の美女といわれている木
花之佐久夜昆売命(コノハナノサクヤヒメミコ)が主神として祀られています。
読みにくい、覚えがたい神さまがたくさん出てきますが、一度で覚えてしまっ
たのは、女神様だからです(笑)。富士山麓には、日蓮宗を崇める寺院があり、
神道と仏教が仲良く共存しています。一神教では想像できないことですが、な
ぜ、信仰の問題で殺し合うのか、不思議に思うのは、私が不信心者だからでし
ょう。
 
さて、銀座が繁栄にあやかろうと普及したものなら、富士山は、その秀麗な姿
を愛する私たちの心に、いわく言いがたいやすらぎを与えてくれることから、
「おらが故郷の富士」と自賛する富士の名称が、全国に生まれたのではないで
しょうか。 北は北海道から南は鹿児島まで、全国各地に富士の名山ありなの
です。ちなみに、日本には108の火山があり、不思議なことに、12月に紹
介しました人間の煩悩の数と同じでしたが、2011年(平成23)に110
となり、その後現在まで増えていません。一番多いのは北海道の29(北方領
土に11)、二番目は何と東京都で、三原山から最南端の日光火山に至る伊豆、
小笠原諸島に21、三番目は鹿児島で10、近畿、四国には活火山はありませ
ん。史上最悪の災害となった御岳山の噴火、霧島山系の硫黄山周辺、箱根大涌
谷、桜島など、地震と同様、自然災害には穏便に願いたいものです。
 
おらが故郷の富士を紹介しておきましょう。
蝦夷富士(羊蹄山)標高 1,989m
   北海道には、この他に富士に似た山が16山あります。
 
津軽富士(岩木山)標高 1,625m
   津軽の人々は、岩木山こそ日本一の美しい山で、本家を「駿河富士」と
   呼ばせたい思いがあるそうです。         
  
南部富士(岩手山)標高 2,038m
   静岡県から見た富士山に似ており、片側が削げているように見えること
   から南部片富士ともいわれています。   
  
吾妻富士(吾妻山)標高 1,707m
   浄土平のシンボル、別名吾妻小富士山、本家と同様、摺り鉢状の火口に
   は水はたまっていません。初めて訪れたとき、山頂から見上げる一切経
   山は、霧がかかり、地獄のような姿を見せてくれました。
  
榛名富士(榛名山)標高 1,391m
   榛名山中央にある火口丘で榛名湖の東にそびえ、湖畔に映る姿は美しく、
   頂上にある神社は縁結び、安産の神として信仰されています。
 
信濃富士(黒姫山)標高 2,053m
   黒姫山は妙高、戸隠、飯綱、斑尾山と並ぶ信越五山の一つで、野尻湖へ
   のびた裾野には世界中から集められたコスモスが咲く黒姫高原がありま
   す。 
 
伊豆富士(大室山)標高 581m
   お碗を伏せたようなやわらかな曲線の山で、山麓には35種3000本
   の桜を栽培した「さくらの里」があり10月から翌年5月まで咲いてい
   るそうです。  
 
八丈富士(八丈島 西山)標高 854m
   ひょうたん型に似た八丈島の北川にそびえる伊豆七島の最高峰、晴れて
   いれば、ご本家を眺望できます。
  
近江富士(三上山)標高 432m 
   湖国のシンボル、俵藤太の「百足伝説退治」で知られています。   
  
都富士(比叡山)標高 848m
   天台宗総本山延暦寺のある山で、西側の宝が池公園から見ると「ふるさ
   と富士」に見えます。     
  
有馬富士(角山)標高 374m 
   北摂・三田(さんだ)八景の一つで、「有馬富士 ふもとの海は霧に似
   て 波かと聞けば 小野の松風」と花山法皇が詠んだ花山院からの展望
   が絶景。
     
伯耆富士(大山)標高 1,711m
   鳥取西部にある火山、中国地方の最高峰。中腹に大山寺があり、伯耆
   (ほうき)富士、出雲富士ともいわれています。     
  
安芸富士(広島 似島)標高 278m
   広島市の沖に浮かぶ似島で、原爆投下後、1万人もの被爆者が運びこま
   れた島。
   安芸富士は8月6日を忘れません。
  
讃岐富士(飯野山)標高 421m 
   台形型の代表である屋島、奇峰型の代表五剣山と共に香川県の山の典型。
 
小富士(愛媛 興居島)標高 282m 
   霊峰富士を思い切って縮小すると、こうなるという見本のようなミニ富
   士で、興居島「ゴゴシマ」と読みます。
  
筑紫富士(浮岳)標高 805m
   浮岳は、越前と肥前を分ける背振山地の西端にある山で、唐津焼きで有
   名な唐津側から見ると富士の形に見えます。
  
豊後富士(由布岳)標高 1,584m
   日本を代表する温泉地湯布院町にあり、西峰で360度の展望を楽しめ、
   独立峰のため風が強く、冬は霧氷の名所として知られています。
 
薩摩富士(開聞岳)標高 922m          
   三方を海に囲まれた裾野がきれいな山で日本百名山の一つ。特攻隊員が
   目に止めた最後の内地の山。
 
ホームページで検索すると、標高2000メートルから300メートルに満たない
ミニ富士まで、四季折々の富士の山を見ることができます。いずれも見慣れた
コニーデ、円錐状の山で、あるものだなと感心してしまいます。
 
富士山の語源は、日本語説、アイヌ語説、南方語説などあり決め手はないそう
ですが、日本語説は、「『万葉集 巻3』の山辺赤人が詠んだ富士の歌に『不
尽山』と書いてあるところから、永久に尽きることない、千古万古にそびえ立
つ山という意味を込めて、あて字をしたものであろうと解釈する説」だそうで
す。
  田子の浦うち出でて見れば真白にそ不尽の高嶺に雪は降りける
    万葉集巻3(318)
(「つい誰かに話したくなる雑学の本」P65 講談社文庫 刊 より要訳)
 
話は脇にそれますが、友人に少し斜に構えてものを見る面白い奴がいて、富士
の形は、国家権力を表すヒエラルキーだから、富士山を愛するなど「おめでた
い奴よ」とバカにしていましたね。ヒエラルキーとは、ピラミッド型の階層的
な組織のことですが、明治政府が国民に、日本は将軍に代わり、頂上に天皇を
いただく国であることを印象づけるための国策として、富士山をプロパガンダ
(思想などの宣伝)として利用したのだそうで、その証拠に、銭湯の壁面には、
必ず富士山と松と桜に青い海が描かれ、昔は内風呂のある家は少なく、銭湯を
利用していましたので、入る人は否応なしに見ることになりますから、「国家
権力に従順な人間をこしらえるための陰謀だったのよ」というのです。
 
4月に紹介しました桜が、軍国主義に利用されたことを考えれば、奴の考えも
的を射ているかなとも思いますが、平和な時代に生きる私には、桜も富士山も
平和のシンボルとみていいのではというと、「だから、てめぇちは駄目な奴だ
というのよ!」と『我輩は猫である』に出てくる「クロ」の台詞をそっくり真
似て、切って捨てられたものです。
奴は、難しい局面に出会うと、
  来て見れば 聞くより低し 富士の山
         釈迦や孔子も かくやあるらん  村田清風
と、うそぶいたものでした。村田清風は、司馬遼太郎の作品にしばしば登場し
ますが、幕末、長州藩の破産同然の財政を立て直した人です。
学生時代の話ですから、もう50数年前にもなりますが、人間の記憶は、摩訶
不思議な仕組みになっているようですね。すっかり忘れていたことが、突然、
よみがえってくるのですから。でも、奴のいうことが本当の話であったら、何
とも国家権力は、巧妙な手段をこうじるものだと舌を巻きますね。
 
神社の境内を散策するときや、富士の高嶺を仰いだときに感じる気持ち、あれ
が大和心なのではないかなどと、うっかりいおうものなら、「ケッ、年はきち
んと取りたいものよ!」と笑われたに違いありません。何事にも自分の意見を
一つ言わなければ気の済まない一言居士でしたから……。
 
奴は、日本のライオネル・ハンプトンといわれたビブラフォン奏者、スイング
ジャズの素晴らしさを教えてくれた私の尊敬する大先生、平岡精二氏(生意気
にも精ちゃんと呼んでいました!)の作った「あいつ」や「つめ」が大好きで
したが、二人とも冥界に旅立ってしまいました。
「あとに残された者は、いつまでも思い出を背負っていくものなんだな」など
と感傷的な言葉を並べようものなら、「キザは、およしよ!」と容赦なくやら
れるだろうな、奴のことだから……。奴の好きだった「つめ」、こういう歌詞
ですが、かなりのロマンチストであったことも間違いありませんね。
 
次号でお話ししますが、当時、社会派の流行作家として大活躍していた梶山季
之が、建築学会と設計に関する醜い争いを暴露した傑作「女の斜塔」の中で、
この歌を紹介しています。氏も精ちゃんのファンであったのかと思ったもので
す。その「女の斜塔」、今読んでも十分、読み応えがあり、素晴らしいストリ
ーテラーであることがわかります。小説もジャズも、面白いことが生命ですね。
    
  つめ   作詞 作曲 平岡精二
(1)二人暮らしたアパートを  一人ひとりで出て行くの
   すんだことなの今はもう  とてもきれいな夢なのよ
   あなたでなくてできはしない 素敵な夢を持つことよ
   もうよしなさい悪いくせ 爪を噛むのはよくないわ
 
(2) 若かったのねお互いに あの頃のこと嘘みたい
   もうしばらくはこの道も 歩きたくないなんとなく
   私のことは大丈夫よ そんな顔してどうしたの 
   直しなさいね悪いくせ 爪を噛むのはよくないわ
 
精ちゃんの失恋の歌だと聞いていました。お相手は俳優の根上淳さんと結婚し
たペギー葉山さん。恥ずかしがり屋の精ちゃんが、つめを噛む姿を想像しがち
ですが、本当は、ペギーさんの癖だったそうです。
ペギーさんは大ヒットした「南国土佐を後にして」で、全国に知られるように
なりましたが、本当は江利ちえみさん(高倉健の元奥さん)、雪村いずみさん
と共に本格的なジャズを歌える、数少ないジャズシンガーだったのです。
 
ペギーさんのもう一つのビッグヒット曲、「蔦の絡まるチャペル」で始まる
「学生時代」は、青山学院時代に、当時の高等部の2年生であった精ちゃんが、
男子部校舎の窓から見ていたペギーさんの姿を見て作詩、作曲したもの。題名
を「大学時代」と決めていましたが、「大学に行っていない人もいるのだから」
とペギーさんが説得、最後は精ちゃんが折れたのだそうです。
 
正門から入って約1分、左側にあるベリーホール前に建てられた、歌詞と自筆
の譜面も刻み込まれた質素な歌碑で、青山学院初等部の学校説明会へ参加した
時には、必ず訪ねています。50年ほど前の話ですが、精ちゃんの演奏を聴く
ために、ジャズ喫茶に通っていた高校生時代が懐かしく思い出され、感無量で
した。
「歌声喫茶」はロシア民謡などを、アコーディオンの伴奏で、みんなで歌えた
場所であり、「ジャズ喫茶」は、当時の一流ジャズメンの演奏を、一杯100
円のコーヒーで聴けたライブハウスで、70歳前後の方々には、青春時代のよ
き思い出の一つになっているのではないでしょうか。しかし、若い皆さん方に
は、何のことやらわからないかもしれませんが、年寄りの昔話と読み流してく
ださい。こだわりますが、「ライブハウス」は和製英語で、正しくは
“Live  music club”です(笑)。
ちなみに、学院の校歌である「青山学院」の作曲も精ちゃんです。ジャズプレ
ーヤーが、母校の校歌を作曲しているのも珍しいのではないでしょうか。
スーパーで踊った馬鹿者、「十字架背負ってナンパする」と揶揄された大学で
学んだ者で、大きなことは言えないが、恥を知れ!
 
その立教大学にも歌碑があります。
鈴木章治(戦後のスイングジャズを支えた名クラリネット奏者)とピーナッツ
・ハッコー(アメリカのクラリネット奏者)が競演して大ヒットした「鈴懸け
の径」の歌碑です。6月の立教小学校の説明会の帰りに見てきましたが、4号
館前の鈴懸けの並木路に、ひっそりとたたずんでいました。もっとも大ヒット
をしたのは昭和30年代、作曲されたのは昭和17年ですから、無理のないこ
とかもしれません(笑)。
 
余談ですが、私の大好きなシカゴジャズの大御所、エデイー・コンドン(ギタ
ー奏者)とピーナッツ・ハッコーが共演している映像をYouTubeで視聴
できます。かつて来日した折に、一緒に演奏させて頂いたワイルド・ビル・デ
ビソン(コルネット奏者)も張り切って演奏しています。その時に収録したC
Dは、私の唯一のお宝。バンドマスターの丸山が吹いていたコルネットは、ト
ランペットより音色が柔らかいワイルド・ビルから譲ってもらった、かなり高
価な年代物で、今はプロのトランペッターに、丸山の遺言で贈呈し、余生を送
っています。いつか一緒に演奏し、その音色を楽しみたいのですが、プロの方
と演奏など、もう空恐ろしくて、できませんね(笑)。
 
(次回は、「8月に読んであげたい本」についてお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>お子さんは、幼稚園(保育園)で、どのように評価されていますか。

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        「めぇでる教育研究所」発行
 さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
            (第4号)
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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お子さんは、幼稚園(保育園)で、どのように評価されていますか。
         
第二は、社会性や協調性といった集団生活への適応力です。
小学校は集団生活ですから、社会性や協調性が育まれていなければ、スタート
でつまずくことになりかねません。しかも、こういった能力は、多くの場合、
ご家庭で培われるものです。
 
ある年の光塩女子学院初等科の説明会で、
「行動観察のテストでのお子さんの様子は、日頃、かかわりのある周囲の大人、
特に、ご両親の社会性や付き合い方が反映されるといわれています。明るく、
けじめのある付き合いができるかどうかが表れるからです」
とおっしゃっていましたが、まさにその通りではないでしょうか。
 
長年、幼児教育に携わり、教えられたのは、「お母さん方の子どもに与える影
響力には、計り知れないものがある」ことです。お母さん方の育児の姿勢次第
で、子どもは育つといっても、決してオーバーな表現ではありません。それほ
ど、お母さん方は、絶対的な力を持っているのですが、お母さん方自身が、こ
のことをあまり意識されていないのには、唖然としたものでした。
 
最近、公立、私立校を問わず、「KYJTママ」といって、「空気読めない自
己中ママ」が増えていると聞きますが、そういったことを踏まえ、どういった
子育てが集団生活への適応力を育まないかを考えてみました。
◆チェックシート(1)
[チェック方法]
はいの場合[○] いいえの場合[×] どっちともいえない場合[?]
 
 1.お子さんのやっていることを見ていると手を貸しがち。 [  ]
 2.お子さんのやっていることを見ていると口を出しがち。 [  ]
 3.他人の子どもはちっとも可愛くない。         [  ]
 4.けんかの原因をわが子だけから聞き、相手に談じ込む。 [   ]
 5.公開模擬テストの偏差値に何が何でもこだわる。    [   ]
 6.入試に関するうわさが気にかかり心を痛める。     [  ]
 
いろいろと出ましたが、全部[×]であれば、理想的なお母さんになれますが、
いかがでしょうか。
[?]は、若干、その気配があるかもしれないという場合です。
5.6.については、今の段階では関心はないと思いますが、来年の今頃は、
おそらく心を悩ますことになるかもしれませんので、覚えておいてください。
少し、解説しておきましょう。
 
[1.過保護型のお母さん]
こういったタイプのお母さんに育てられると、お母さんが何でも手伝いますか
ら、お子さんは、我慢をするといった忍耐力に欠け、わがままになりがちです。
何事も自分一人で取り組む機会が少ないために、工夫する力、想像力や独創力
が育ちにくく、基本的な生活習慣も身についていない場合が多いですから、集
団生活への適応力にも、不十分なところがありがちです。
 
[2.過干渉型のお母さん]
「こうしなさい」「ダメ」「早くしなさい」など、命令、禁止、要求、抑制の
言葉が多い環境のため、自立心や自発性、積極的にやろうとする意欲が育ちに
くく、何かをするときに、お母さんの指示を待つ消極的な子どもになりやすい
ものです。
 
[3.溺愛型のお母さん]
お母さんの愛情を一身に受け幸せそうですが、愛情を注ぐお母さんが、情緒不
安定な場合が多く、そのため叱られはしないかと、絶えずお母さんの顔色を見
る子になりがちです。大人の前ではよい子でも、子どもらしさに欠け、陰で弱
い子をいじめるといった問題を起こす子どもになりやすいといえます。
 
[4.自己中心型のお母さん]
「学校が、先生が、友達が悪い!」と、何かにつけて他人のせいにし、責任を
取ろうとしませんから、子どもも真似をし、社会性や協調性に欠け、集団生活
になじめず、孤立する恐れがあります。いわゆる「自己中心型」(自己中)の
お母さんです。
“KYJTママ”-空気読めない自己中ママ-という言葉があると紹介しまし
たが、小学校が、もっとも歓迎しないお母さんです。モンスターペアレント、
最近では、モンパレというそうですね(笑)。
 
[5.知育偏重型のお母さん]
子どもの生まれ月、月齢や発育段階を考えずに、能力以上のことを要求するた
めに、何事にも自信が持てず、極端に失敗を恐れ、落ち着きがなく、積極的に
取り組む意欲が表れにくい子になりがちです。お母さんは、「何回言ったらわ
かるの!」などの言葉が多くなるようです。
 
[6.付和雷同型のお母さん]
親が選んだ受験にもかかわらず、「コネ次第」「出身者有利」「職業で決まり」
などいった怪情報、噂などに振り回され、「わが子をみてください」といった
信念がないので、親子で受験地獄に陥りやすいといえます。「○○ちゃんは、
できるのに…」といった比較する言葉を不用意に使い、お子さんの心に傷を残
すことになりがちです。
 
いかがでしょうか。
気の弱いお母さん方にとっては、気が滅入ってしまうような言葉ばかり出てき
ましたが、実際には、こういったお母さん方が、いるわけではありません。お
母さん方の心の中に潜んでいるのではないかと思われる、“潜在的な欲求”を
表したものです。これらが表面に出るか、きちんと押さえこむことができるか
で、お子さんの社会性や協調性は、培われていくものです。それが学校側のい
う育児の姿勢なのです。
 
公立、私立を問わず、小学校では、「知育・徳育・体育の三つの能力が、年齢
にふさわしく、バランスよく育っている気力のある子」を求めています。こう
いったお子さんに共通しているのは、社会性や協調性といった集団生活への適
応力がきちんと身についていることです。ご両親がバランスの取れた育児を心
がけた結果といえるわけです。バランスのよい育児とは、紹介しました6つの
タイプに偏らない育児のことです。
 
次に、日常生活で、どのような育児が行われているかをチェックしてみましょ
う。
偏った育児になっているかどうか、これだけでも判定できます。
 
◆チェックシート(二)
[チェック方法]
今回は、○か×で判定してください。
 
1.ご両親であいさつをしていますか。[  ]
2.お子さんはご両親の話をきちんと聞いていますか。[  ]
3.お子さんの話をきちんと聞いてあげていますか。[  ]
4.お子さんに呼ばれて「ハイ」と答えていますか。[  ]
5.お子さんが何かできるようになったとき褒めていますか。[  ]
6.お子さんが悪いことをしたときに本気になって叱りますか。[  ]
7.何かお手伝いをさせていますか。[  ]
8.お子さんは約束を守っていますか。[  ]
9.本を読んであげていますか。[  ]
10.「なぜ、どうして」に答えてあげていますか。[  ]
11.指示はきちんと出していますか。[  ]
12.お子さんが泣いても「駄目なことは駄目」といえますか。[  ]
13.「おんぶ」をせがまれると、いつでもおんぶしていますか。[  ]
14.「早くしなさい!」という言葉が多くありませんか。[  ]
15.何か欲しがったときにはすぐに与えますか。[  ]
16.お子さんに好き嫌いはありますか。[  ]
17.お子さんがテレビのチャンネル権を握っていませんか。[  ]
18.じっと座っているのを苦手としていませんか。[  ]
19.遊んで帰ってきたお子さんの洋服の汚れが気になりますか。[  ]
20.叱った後、後悔することはありますか。[  ]
 
チェックする項目は、望ましい育児の姿勢を中心に作ってみました。
[1]から[12]までは「はい」、[13]以降は「いいえ」が理想ですが、
いかがでしょうか。今度は、どちらともいえない「?」のマークはありません
が、是非とも、ご両親で頑張ってほしいことだからです。
 
前回お話しました生活習慣や、こういったことを毎日の生活の中で、ご両親が
心がけていけば、自ずと集団生活の適応力である「社会性」や「協調性」は培
われ、学校側の歓迎するお子さんに育っていくものです。
 
心配な点がありましたら、幼稚園や保育園の先生に、「私どもの子どもは、集
団生活に何か問題はないでしょうか」と聞いてみましょう。
「少し、問題があるようですね」といった答えがあった場合は、「大変、問題
がある」と考え、ご両親の育児の姿勢をチェックする必要があると思います。
 
ところで、幼児教育に携わる者にとって、モンテッソーリの著書は必読の書で
すが、ある著書の中に、こういった言葉があります。
 
「親や教諭は、自分の考えや力で子どもを支配してはいけない。今、この子に
何をしてあげるべきか、何を成すべきではないか、ということを知らなくては
ならない。子どもが、今、成すべきこと、今、成し遂げるべきことを、自力で
させてあげることだ」
 
ここから、相良敦子氏の「ママ、ひとりでするのを手伝ってね!」(講談社 
刊)という名著が生まれたのですが、この本の題名のように、基本的な生活習
慣や集団生活への適応力などは、子どもが一人でできるように、一人で参加で
きるように手伝う姿勢が、大切ではないでしょうか。「命令と強制」だけでは、
こういった適正能力は育まれません。
なお、この本は、白百合学園小学校を受験されるお母さん方、特に、モンテッ
ソーリ教育に縁がなかった方には、是非、読んでほしいと思います。すると、
なぜ、本学園の入学試験の難易度が高いかがわかるからです。
 
注 マリア・モンテッソーリ
イタリアのローマで医師として精神病院で働き、知的障害児へ感覚教育を実施
し知的水準を上げる効果をみせ、1907年に設立した貧困層の健常児を対象
とした保護施設「子どもの家」において、独特の教育法を完成させた。以後、
モンテッソーリ教育を実施する施設は「子どもの家」と呼ばれるようになった。
  ウィキペディア フリー百科事典より
 
梅雨明けも間近、間もなく夏休みに。
夏はこれからが本番です。通園中と同じようにタイムスケジュールをきちんと
守り、楽しく生活できるよう心がけましょう。
(次回は、「幼児に必要なのは、勉強ではなく学習です」についてお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>夏休みの過ごし方(2)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第55号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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夏休みの過ごし方(2)
 
7月15日(金)、今年第1回目の雙葉小学校の説明会へ参加してきました。
ここ数年、45分ほどで終わってしまう、簡潔で、わかりやすい説明会。最近
は、どこの小学校もHPの内容は充実していますし、参加される皆さん方も先
刻、承知のはずですから、こういった形式でいいのではないでしょうか。今年
も「バラはバラらしく、スミレはスミレらしく、その人らしく生きる。自分で
自由に学び、決定することができ、責任のある人に育てる」と河野校長はおっ
しゃっていましたが、学園の教育方針を端的に表現した、わかりやすいい文言
ではないでしょうか。
 
前回に続き、夏休みの過ごし方についてお話しましょう。
 
3.観る力をつける
(See)ではなく(Watch)です。
動物園、植物園、博物館、水族館、プラネタリウムなどを利用して、観ること
で名称、種類、性質、形、大きさ、色、用途などがわかります。
図鑑人間、驚くほど知っていますが、残念ながら大きさのわからない子がいま
す。
本物を見せてあげてください。
ただし、お子さんが興味を示さないときは、あまり効果はないでしょう。
「今度の日曜日は休みだから、水族館でも行こうか」ではなく、「パパ、ラッ
コってどうやって貝を食べるのかな?」といったように「かな?」の二文字が
ついたときは、何をさておき連れて行きましょう。
疑問の芽が、好奇心を刺激しているからです。
 
そして、観てきたことを絵日記に描ければ素晴らしいですね。
なぜなら、絵日記は、体験したことを思い出しながら、整理して、映像化し、
記録することですから、知的な訓練にもなっているのです。ただし、絵の巧拙
にはこだわらないようにしましょう。楽しく描けることが何よりも大切だから
です。
かつて、慶應義塾幼稚舎で、画家が使うイーゼルを立て、絵を描かせましたが、
その目的は「子ども達の顔をみたかったから」と舎長はおっしゃっていました。
夢中になって描いている子ども達の表情は「素晴らしい!」の一言に尽きるか
らです。
 
似ているところ(類似点)と違っているところ(差異点)を見つけ、話をさせ
ることも大切です。
言葉は、実際に話してみなければ、どうにもならないものです。自分で考えた
ことを、自分の言葉で話す機会をたくさん作ってあげましょう。野菜(キャベ
ツときゅうり)、花(さくらと朝顔)、果物(りんごとみかん)、乗り物(飛
行機と客船)などの組み合わせです。お子さんの話したことで、妥当性がある
場合は、正解です。
 
たとえば、「自転車とオートバイの違うところをいってください」の問題のと
き、
「仮面ライダーはオートバイに乗るけど、自転車に乗って来ない」
といった子がいましたが、お母さん方はどう対処されますか。
「テレビのせいだわ!」と柳眉を逆立てる前に、とりあえず間違いではありま
せんから、まず、その考えもいいけれどとうなずき、「仮面ライダーを知らな
い外国の人にお話ししてわかるかしら?」といえるお母さんになってほしいの
です。すると、お子さんは、自分の考えを認めてもらいましたから、人力と動
力の差に話が進むはずです。まず、認めてあげ、それから、正解に導いていく
ことが大切です。私が現役の時、もっとも印象に残っている答えは、「花火と
雪だるまは似ている」でしたが、どんな答えか想像してみてください。
 
さらに、朝顔やひまわり、家庭菜園で栽培した野菜などの観察絵日記(成長過
程や咲いた花の数、色、葉の形など)を描いてみましょう。成長の変化に気づ
く目が育ちます。
また、種まき、発芽、葉、花、種といった成長の過程を観察することで、科学
的にものを学ぶ姿勢も養うこともできます。
郊外の畑では、ナスやキュウリの小花を見せてください。鮮やかな紫色と黄色
の花にびっくりするのではないでしょうか。
 
また、幼児用のプールや風呂を利用して、浮くものや沈むものを実験してみま
しょう。
スイカは絶対に浮かないと思っている子がいますが、お子さんはどうでしょう
か。迷っている時は実物で実験するしかありません。最近は、小さなスイカ、
小玉スイカが出回っていますから見せてあげましょう。
手に持たせた時「沈む!」といったのは、野球の硬球とゴルフボールでした。
水がいっぱい入っているビンと少し空気が入っているビンなど、興味を示すは
ずです。
 
磁石にくっつくものを探してみましょう。アルミ缶とスチール缶では、「うん?」
となるはずです。砂場は、放し飼い動物の共同便所化したときもありましたが、
夕方にシートをかぶせるなど清潔になっているようですから、磁石を入れるの
も面白いので、実験してみましょう。
しかし、「コンセントなどに近づけると危険ですから、使う場合は目を離さな
いで、終わったら手の届かないところへ片付けるようにしましょう。
前回の折り紙を磁石で持ち上げる問題ですが、折り紙の下にクリップなどを置
くと持ち上げることができます。
 
4.絵を描くことに興味を持たせる 
絵を描くことを嫌う子が増えていると聞きますが、事実なら困ったことです。
絵は、言葉や身体表現と同様、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感が受けた
刺激から観察力が働き、記憶したことがらを表したものといえます。
幼児の描く絵は写生ではなく、イメージ化したものと考えてあげましょう。
「絵は心の窓」ともいわれています。
お子さんの、心境が表れているのです。
絵の巧拙にこだわる必要はありません。
お子さんが、描けた絵を見ながら話を弾ませる、よい聞き手に徹することです。
お子さんが、絵を描くときの顔を見たことがあるでしょうか。楽しそうに描い
ていれば、心配ありません。先程の舎長の話ではなりませんが、夢中になって
描いているときの表情は、楽しそうで、素晴らしいものだからです。
 
5.ものを作る意欲を育てる
最近の入学試験でも、制作は重要な課題の一つになっています。
「折る、塗る、切る、貼る、組み立てる、結ぶ」は、幼児教育の基礎、基本で
すから、当然なのですが、知的なトレーニングに力を入れがちではないでしょ
うか。
 
「手は第二の脳」で詳しくお話しましたが、たとえば、つぼ型の容器に入った、
ふたのついた糊には、教育的な配慮がなされています。
左手で持ち、右手でふたに付いている取っ手を上にあげないとふたは開きませ
ん。
適量をとらなければなりません。少なければはがれやすく、多ければベタベタ
になります。
まんべんなく塗るには適量をとり、左手で紙を押さえ、右手で、のびろのびろ
と丁寧に塗らなくてはなりません。
そして、ふたを閉め、手を拭きます。
汚れた手をきれいにするのは、清潔感を身につける基本的な生活習慣の一つで
す。
リップスティック型の糊は、粘着力もあり、手も汚れませんが、大切な作業を
省いています。
体験しない分、不器用になるということでしょう。家庭では、ふたつきの糊を
使ってほしいですね。
 
セロテープの使い方、適当な長さに切れない。切って貼るのではなく、必要な
分を切り、そして貼るといったように「切る」と「貼る」の作業を分けてみま
しょう。はさみの使い方、紙の折り方、ちぎり方、こういった作業がスムーズ
にできないと、制作は面白くないでしょう。
得意な子ども達は、お母さん方が、こういった作業の重要なことを理解し、こ
まめに自分で扱う機会を作っていると思います。
また、材料となる箱や、紙コップ、モールやリボン、もしかしたら、穴あけパ
ンチなども用意しているのではないでしょうか。
苦手な作業は、じっくりと時間をかけ、出来るようにしてあげましょう。
通っている教室にお任せだけではなく、家でも制作に励んでください。
 
折り紙は、巧緻性と記憶力を高める大切な遊びです。
かつて、暁星小学校では、5個作らせました。
簡単なものを、丁寧に折ることが大切です。雑に折ると、出来栄えも悪く、そ
れが子どもたちの興味をひかない原因になっているからです。
折り紙の得意な子は、姿勢もよく、物事を丁寧にする習慣も身に付いていると
いえます。
 
粘土遊びも大切な作業です。
砂場で遊ぶ機会が少なくなっているようですから、せめて、粘土で造形のおも
しろさを体験させておきたいものです。
「子どもの頃、砂場で遊ばなかったためか、最近の学生は、塑像作りが苦手の
ようだ」と東京藝術大学の彫刻科の教授がおっしゃっていたそうです。
折り紙と同様、立体作りは、子どもにとって楽しい学習になっていることを忘
れてはいけないと思います。
 
ここで問題です。
小さなみかんほどの粘土の塊があります。これを3つの同じ大きさの丸い形に
作ってください。(解答は最後にあります)
手先の作業として、輪ゴムつなげやクリップを長くつなげる遊びは、頭の疲れ
ているときなど、気分転換にもなります。
 
6.身体を動かし、体力と持続力を育てる
ボールつき、縄跳びは、バランスを必要とする全身運動です。
広い場所もいりません。お父さんの出番です。目標を決めて、できるだけ長く
できるように挑戦させましょう。お父さんと共に頑張ったことが試験に出れば、
一所懸命にやらない子はいません。持久力や耐久力もついてきます。
また、散歩に連れ出し、歩くことの楽しさも教えてください。車中心の生活で
は、足腰が鍛えられず、スタミナ不足では、我慢する力も育ちません。
クーラーのある快適な生活は、半面、汗をかかない不自然な環境でもあるわけ
ですから、汗をかく運動は、ぜひ、行ってください。
 
教室へは、電車で通いましょう。お子さんと電車に乗ることで、歩くことで、
たくさんのことを学習できます。電車内で時々見かけますが、お子さんと一緒
の時は、スマホを見るべきではなく、対話の楽しさを味わうべきです。スマホ
をほしがる小学生に聞くと、「ママだって、見てるもん!」と答える子が多く、
「ママが見ているから面白いに違いない」と思っています。「何が面白いの?」
と聞くと「ゲーム」ですから、子どもの見ている時にゲームなどするなと言い
たい。しっかり観察されていることを肝に銘じておきたいものです。何事も、
親が手本です。
 
そして、お母さん、お子さんと一緒に歌を歌い、踊りましょう。
身体表現をやってください。楽しい思い出が残っていれば、試験場でお子さん
も一所懸命にやります。
今までは、女子だけの別学の学校では、必修科目と考えましょうといってきま
したが、立教小学校では、ここ数年、音楽にあわせて身体表現をしましたから、
受験される方は準備をしておきましょう。
町内で盆踊り大会があると思いますが、お父さん、照れないでお子さんと一緒
異に踊ってください。男の子は、恥ずかしがり屋が多いですから、その鎖を切
ってあげましょう。
 
この夏は、お子さんの負担になる旅行はさけ、秋に備えて健康管理に留意して
ください。
そして、起こしてならないのは事故です。ちょっとした油断が恐いのです。
親として、監視の目(管理の目ではありません)は、絶対にゆるめないことで
す。
 
夏休みの講習会、元気に頑張っていますか。楽しく通えることが第一で、そう
いった雰囲気を作ってあげましょう。毎日学ぶことから身についた学習習慣を、
家庭でも楽しくできるように、うまく利用することです。
そして、苦手な領域は、時間をかけて理解できるように、決して感情的になら
ずに、気持ちを落ち着け、「ゆっくり、じっくり、しっかり」を目標に、お子さ
んと共に頑張ってください。
東海地方まで梅雨も明けました。もう少しですね。不順な天候の続く毎日、健
康管理には、くれぐれも注意してあげましょう。
 
答え 花火と雪だるまの似ている点 
「花火は消えて、雪だるまはとける。形が残らない」(絶句!)
 
 丸い粘土の塊を粘土板の上で、手で押さえながら棒状に伸ばし、それを3等
分し
て丸めると、ほぼ同じ大きさの丸い塊を作ることができます。お母さんと一緒
にクッキーを作ったときに教わった子が、実際にやって見せてくれました。
 
ある年のこと、3つに分けた塊を一つに戻した時、「先生、1+1+1=1に
なりますね」といった子がいました。皆さん方は、どう説明しますか。分数の
基本です。以前お話しました、「量の保存」を思い出してください。
(次回は、「今年の説明会 前半編」についてお話しましょう) 

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー 8

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2017さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第37
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面接ケース・スタディ編(8)
「違うでしょって、何が……?」
 
面接の中で、お子さんにパズルや積み木の模倣構成(手本を見て同じ物を作る
問題)をさせる場合があります。パズルなら3分割、積み木も3個から5個ぐ
らいです。
 
こういうお母さんがいました。
「先生が作ったのと同じものを作りましょう」
お子さんが、チラッとお母さんを見ます。
「早くやらなくては駄目でしょう!」
お母さんの顔は、そういっています。
言葉に出さなくてもわかります。
お子さんはお母さんの顔を時々見ながら、不安そうに取り組んでいるからです。
完成したのですが、1つだけ積み木が裏返しになって、私の方から色が見えま
せん。
「どこか、おかしくありませんか?」
こう聞こうとした、その時です。
裏返しになっている積み木を指差しながら、
「ほら、左の積み木、先生から色が見えないでしょ!」
年長さんでも、左右をはっきり理解できていないお子さんがいます。
先生方の面前で間違いを指摘したことと合わせて、このお母さんを、どう思わ
れますか。
 
こういうテストの目的は、先生の指示を聞き取る力、お手本をしっかり見る観
察力、構成力、そして、自分自身の力で取り組む意欲など、2、3歳児にふさ
わしい能力が培われているかを見るわけです。
極端にいえば、やってみようとする意欲です。
とにかく、初めての場所で、初めて会った先生の指示を聞き行動できるかどう
かでしょう。
 
できないと泣き出す子もいます。
お子さんは、頑張ったではありませんか。
自分で一所懸命に取り組めたのにもかかわらず、「何ですか、お母さんは」と、
叱りたくなります。
この一言で、普段の育児の姿勢がわかるではありませんか。
「子どもの自主性を尊重した育児を心がけて……」
とおっしゃっても、信じられませんね。
メッキが、はげただけではないでしょうか。
幼児の知的能力とは、記憶された知識の量ではなく、体験を通して身につけた
知恵の量です。
知恵は、試行錯誤を積み重ねながら、身体全体で覚えるものです。
そこには、自分で考えながら取り組める、たのしい環境があるはずです。
うまくできなくても、失敗しても、
「そこまでできたのだから、頑張ってごらん!」
と励まされていれば、頑張るのが子どもです。
何とかしようと考えることから工夫力が、夢中になって取り組むことから集中
力が、できたことから次の課題に挑戦する意欲などが培われます。
 
「違うでしょう、こうでしょ!」
口を出し過ぎ、手を貸し過ぎていると、過保護、過干渉になりがちで、
「ママがやってくれるからやめよう!」
「間違えると怒られるからやぁめた!」
となりがちです。
自分からやろうとせずに指示を待つ子が増えているのは、こういった育児の姿
勢や、環境が、大きく影響していると思います。
お母さん方の大好きな考える力や、できるまで頑張る意欲や集中力、お母さん
の手助けを嫌う自主性などが育たないことを知ってほしいのです。
 
幼児のテストは、結果だけを評価するのではありません。
どのように取り組んだか、その過程、プロセスを見ている場合が多いものです。
結果だけにこだわるお母さん方には、幼児期に培う大切なものを失っているこ
とに気づいてほしいといいたいですね。
 
「ボクが、気づくまで教えないで!」
そんな叫び声が聞こえませんか。
聞こえていたら、絶対に手を出しませんし、口をはさまないと思います。
 
しつこく繰り返しますが、3歳になっても、お子さんのやっていることを見て、
口を出したくなるのは過干渉、手を貸したくなるのは過保護と考えましょう。
年長さんになっても、口を出し、手を貸すお母さんがいる時代です。
いやな言葉ですが、超過保護であり、超過干渉ですね。
まだ、危険なことをしますから、監視の目は緩めてはいけませんが、あたたか
く見守ってあげ、待ってあげるお母さんになってほしいと思います。
モンテッソーリ教育を解説した相良敦子氏の著書に「ママ、ひとりでするのを
手伝ってね!」(講談社 刊)がありますが、3歳は、そういう時期に入ってい
るからです。
 
梅雨明けも間近、猛暑が続きそうです。お子さんの昼寝には、お母さんも付き
合いましょう。
(次回は「ケース・スタディの最終回」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<保護者編>第10章 終戦記念日、このことです 葉月(2)

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2017さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第37号-
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 第10章  終戦記念日、このことです   葉 月(2)
 
★★なぜ、鳩は平和のシンボルなのでしょうか★★
神社、仏閣、さらに大きな公園には、なぜか鳩がいます。
いないと何か物足りない気がする不思議な存在でしたが、最近では、糞害など
で問題になり、駅などでは「餌を与えないで!」といった看板が目立ちます。
しかし、オリーブの枝をくわえた鳩は、依然として、平和のシンボルとなって
います。なぜ、鳩なのでしょうか。事の起こりは、聖書物語でおなじみの「ノ
アの方舟」なのですから驚きです。
   
「人間の邪悪さにあきれた神エホバは、大洪水を起こしてすべてを一掃しよう
と考えました。しかし、正しい人「ノア」だけは救おうと、神は彼に方舟をつ
くるように命じました。
ノアは人々に馬鹿にされながら巨大な方舟を作り、そこに家族と動物のつがい
を乗せました。やがて神が予告したとおり大雨が降りはじめ、陸地はすべて海
に沈みました。          
数日後、水が引いたことを確かめるため、ノアはまずカラスを放ちました。し
かし、カラスはどこにも羽を休める場所を見つけることができないまま戻って
きました。
それから一週間後、ノアは鳩を放ちました。やがて鳩はオリーブの小枝をくわ
えて戻ってきました。そこでノアは洪水が引いたことを知りました」
 
この物語から、「鳩+オリーブの小枝=平和」という図式ができあがったので
ある。そして、「オリーブの小枝をくわえた鳩」が平和の象徴として世界中に
広まったきっかけは、1949年にパリで開催された「国際平和擁護会議」に、
パブロ・ピカソが鳩のポスターを描いたからだといわれている。
  (「今さら誰にも聞けない555の疑問」        
       平川 陽一 編 株式会社 廣済堂出版 刊 P348)
 
映画「天地創造」を思い出します。
歴史に「イフ」はありませんが、しかし、あえて「もしも」です、最初に栄誉
ある偵察の任務を与えられたカラスが、オリーブの小枝をくわえて帰還してい
れば、カラスが平和の使者として、君臨していたことになります。
でも、悪食のカラスには、オリーブの小枝は似合いませんし、イベントなどで
鳩のかわりに真っ黒なカラスが一斉に飛び立つのでは、黒い稲妻のようで、何
やら不吉なムードに包まれそうです。
煙草のピースのデザインも変わっていたでしょうし、イトーヨーカ堂のロゴマ
ークにもなれなかったに違いありません。
煙草のピースですが、ヘビースモーカーであった私は、両切りにフィルターの
付いていないピースの愛好家の一人で、今でもそばでピースを吸われると、あ
の何とも言えない上品な香りに、クラクラとします。他の煙草の煙は単なる嫌
な煙で、吸わない人には限りなく迷惑な煙害であることを、愛煙者は十分に承
知して吸ってほしいですね。禁煙してわかったのですが(笑)。
 
鳩は、一時、情報を伝える貴重な鳥として、脚光を浴びた時代がありました。
伝書鳩です。
足に情報を括り、さっそうと目的地へ向かった、貴重な鳥でもあったのですが、
電信技術の進歩にはかなわず、いまでは引退し、伝書鳩レースとして、昔の面
影を残すだけになりました。帰巣本能を利用したものといわれていますが、そ
のメカニズムは、解明されていないそうです。 
しかし、まだ、主役として活躍している鳩もいます。手品で使われている、あ
の鳩です。マジシャンの使う白い小型の鳩は銀鳩と呼ばれ、観賞用としても人
気があるそうです。ところで、都会では、鳩とカラスが厄介者になりつつある
のも、不思議な縁ですね。
 
最近、知ったことですが、五輪憲章にある開会式の項で「聖火への点火に続い
て、平和を象徴する鳩が解き放たれる」と明記されていた文言も消えてしまっ
たそうです。ロンドン・オリンピックで確かめたかったのですが忘れてしまい、
8月5日、しっかり見るつもりです(笑)。
 
それにしても、東京五輪、何かとすっきりしませんね。「そもそもオリンピッ
クは、競技大会ではありませんか」と憎まれ口を叩きますが、某元都知事や関
係者の態度などを見るにつけ、選手抜きの祭典になっているのではありません
か。だったら止めればいい。切磋琢磨している選手の皆様には申し訳ない、と
いっても変な選手も出ているようで、何かが狂っているのでは。(疑問)
 
ところで、鳩の鳴き方ですが、実際に聞いてみると、「ズズーポッポー ズズ
ーポッポー」と妙な鳴き方です。これを「ポッポ ポッポ」と表現したのは、
童謡「鳩ポッポ」で、作詞は東くめ、作曲は瀧廉太郎、明治23年(1899)
のことでした。それまでの童謡は、文語体で難しかったのですが、子どもが楽
しく歌えるよう口語体にした童謡の第1号だそうです。現在、ほとんど歌われ
ていなく、よく歌われている ♪ポッポポ 鳩ポッポ♪は「鳩」という題名で、
この歌とは全く違う曲です。「鳩ポッポ」は、音は悪いですがYouTube
で聞けます。
  (大人の雑学 日本雑学研究会編 幻冬舎 刊P225より要約)
 
               ★なぜ、海の水は塩辛いのでしょう★★
平和のシンボルの話から一転して、自然の摂理についてお話しましょう、など
と気取ることはないのですが。
夏といえば、海水浴。海水パンツではなく、赤い褌(ふんどし)をしめて泳い
でいました。初めて海で泳いだとき、不覚にも海水を飲んでしまい、その辛い
こと、喉をゼイゼイならしながら鼻水を出した顔はゆがみ、こりているはずな
のに、またしても海水を目に入れたときの、あの痛さに泣いた記憶があります。
当然です。海水約4リットルには、およそ100グラムの塩が含まれています
から、塩辛いわけですし、目に入れば痛いわけです。
 
では、なぜ、塩辛くなるのでしょうか。
有史以前の地球は、火山が爆発し続ける、灼熱地獄でした。やがて火山活動も
沈静化し、豊富な水から植物が生え、動物が生息し、人間も地球の住民として
存在するようになったのです。火山活動により、いろいろな物質や鉱物が、地
上にばらまかれましたが、塩分もその一つで、地表からしみ込んだ塩分や岩石
に含まれている塩分が、雨に流され、河川の水に溶け込み、海に流れ着いたた
めに塩辛くなったのです。
     
海水ができたのは、今から38億年前、地球上に生物(バクテリア)が生まれ
たころで、地球誕生から約7億年たっていました。
当時の海水は、塩酸を含む酸性で、岩石に含まれるカルシウムやナトリウムを
溶かし、ナトリウムは海水中の塩素と一緒になって食塩になりました。
海水の成分はその頃から現在までほとんど変わっていません。
  (「雑学特ダネ新聞 読売新聞大阪編集局 著
    PHP研究所 刊 P283)
 
この海水ですが、どこから出てきたのでしょうか。
最近の説では、溶岩は地球の内部にあるマグマがかたまったもので、その内部
には10%ほどの水が含まれており、それが火山活動の時に地表や海に吹き出
し、38億年かけてしみ出した結果、今の海になったそうです。
 
そして、当時から成分は変わらないそうですから、驚かされますね。
人間は、生物の生態系や地形などを、地球に相談することなしに変えています
が、しっぺ返しを食うことはないでしょうか。
 
ところで、海水が太陽に温められ、蒸発して雲となり、それが雨となって地上
に戻ってくる原理を知ったとき、
「なぜ、雨は塩辛くないのかなぁ?」
と母に尋ねたところ、塩水を入れた鍋を七輪(土製のこんろ)に乗せて沸騰さ
せ、その蒸気を割り箸にあて、ついた水滴をなめさせてもらったことを覚えて
います。まったく辛くはないのですが、その割り箸で鍋の中の湯につけて口へ
運ぶと辛いのです。塩分は海に残り、水だけが蒸発することがわかりました。
でも、酸性雨は別物で、これは恐ろしい。もっと「地球にやさしい暮らしをし
てほしい」と、地球自身が警告を発している気がしてなりません。
 
★★海水浴は治療の一種だった!★★
昔から、夏になれば、川や海で泳ぐものだと思っていましたら、これは、とん
でもない間違いだそうです、ご存知でしたか。そういわれてみれば、時代劇で、
子どもたちが泳ぐ姿を見たことがありません。「水練」といって武芸の一つでし
た。こういうことだそうです。
 
海水浴は、病気を治す方法の一つとして始まりました。はじめは海に入っても
泳がずに、波打ちぎわで遊ぶだけでした。海水の塩分が体を刺激し、食欲が出
て体重が増えるので、健康にいいといわれていたのです。1885年に神奈川
県の大磯に、日本で最初の海水浴場が作られて、次第に泳いで遊ぶ海水浴とな
りました。
(心をそだてる 子ども歳時記12か月 監修 橋本 裕之
  講談社 刊 P64)
 
小学生の頃から、川や海で泳いでいましたから、夏になれば真っ黒に日焼けし
たものです。瀬戸内海の底まで澄んで見えるきれいな海に育った私は、東京に
出てきて、波がドーンと砕ける江ノ島の海岸に立ったとき、これが海かと信じら
れないほど汚く見えました。当時 (昭和25年頃)は、打ち寄せる波が砂を掘
り返すので汚れていたように見えたのですが、そこで大勢の人が泳いでいるの
ですから、びっくりしたものです。
 
高度成長時代に入り、河川や海洋汚染がすすみ、公害をもたらし、日本の至る
所で自然は壊され、無残な姿をさらけだしていました。自然と無邪気に遊べる
のは、子ども時代だけです。川や海で泳げないなど、私には想像できないこと
でした。10数年前になりますが、日本はおろか世界中の川や湖沼をカヌーで
旅をするリバー・ツーリングのスペシャリスト、野田知佑氏の本を読むたびに
憤慨していたものですが、憤慨しても何も始まらないだけに、虚しくなるだけ
でした。
 
ところが、最近、多摩川は地域の人々や関係者などの努力により、鮎が遡上す
るほど清流が戻り、「江戸前の鮎」を食べられるようになりましたが、少し気
になることがあります。平成24年は1、194万尾、25年は645万尾、
26年は541万尾、27年は435万尾、今年は463万尾と、少し回復し
ましたが、その数が減少していることで、何が原因なのでしょうか。「乱獲」
というほど鮎にはお目にかかりません。自然を壊すのは簡単ですが、もとに戻
すには、大変な資金と労力と時間がかかります。地道な努力を続けることで、
日本の自然は息を吹き返し、子ども達に自然を返してあげることができるので
はと大いに期待をしていますが、何とか原因を究明し頑張ってもらいたいもの
です。
 
この鮎ですが、縄張り意識が強く、他の鮎が近づくと攻撃する習性があり、こ
れを利用したのが「鮎の友釣り」で、おとりの鮎を釣り竿につけ、縄張に近づ
け、攻撃する瞬間を狙って吊り上げるそうですが、最近、過密放流が原因か、
鮎自身が群れるようになり、このやり方では釣れなくなっていると新聞に出て
いましたが、世の中、うまくいかないもんですね(笑)。
 
話を戻しまして、野田知佑氏のエッセーは、どれを読んでもわくわくさせられ
ます。
特に、カヌー犬、ガクとの生活は、痛快そのものです。ガクの親は、野田知佑
氏と椎名誠氏ですが、ガクは、人間だと思い込んでいるところがおもしろい。
ガクがご主人に内緒で外泊し(?)、朝帰りして言い訳する様子が、人間らし
くて、笑い転げましたね(大笑い)。
ちなみに、「岳物語」の主人公は、椎名誠氏の長男で、岳とガクが親友(?)
であるところが、また、おかしい。「岳物語」は、私にとっては、父親とは何
であるかを考えさせられた本でした。また、母親である渡辺一枝さんのエッセ
ー「時計のない保育園」も、育児の心構えを教えてくれた本でした。目下、孫
たちとの楽しい奮戦記が、笑わせてくれます。
 
ところで、「海水が、どうして辛いのか」と、その経緯を語るおもしろい民話
が残されています。図書館の紙芝居で見たのですが、廃館されてしまい、著者
と出版社がわかりません。確か、青森から沖縄まで、広い範囲で残っている民
話ではなかったかと思います。四国の場合は、阿波の鳴門となって、今も回り
続けているとなっていたような記憶があるからです。
 
◆塩ひき臼◆
金持ちで欲張りの兄と、貧乏で正直な弟がいました。
ある年越しの晩、弟が兄のところへ米を借りにきますが、断られます。
 家に帰ろうと山道を歩いていると、白いひげを生やしたじいさんに会
い、尋ねられます。
「この夜ふけに何をしているのだ」
「年神様に備える米がない」
といったところ、小さなきび饅頭をくれ、こういったのです。
「そこの森の神様のお堂の裏にいくがよい。そこに穴があり、住んでい
る小人が饅頭を欲しがるから、石の引き臼となら交換してもよいといい
なさい。必ず、欲しがるから」
そこで、弟は出かけていくと、小人はしきりに饅頭を欲しがり、二つとな
い宝物だが仕方がないといって、交換したのです。
もと来た道へ引き返してみると、まだ、じいさんはいて、こういったので
す。
「その引き臼を右に回せば欲しいものが限りなく出てきて、左に回すと
止まるものだ」
家に帰って、むしろの上に臼を置き、
「お米よ、出ろ! お米よ、出ろ!」
といいながら右に回すと、米が出てくるではありませんか。
そこで、餅や塩鮭などを出し、よい年越しをしたのです。
翌日には、屋敷や土蔵、お祝いの料理やら酒を出し、親戚や知り合いを
招き、盛大な祝い事をしたのでした。
驚いた兄は、これには何か訳在りと探りを入れ、石臼の秘密を見つけ、
盗み出したのです。
兄は、遠くで長者になろうと船で逃げ出します。
途中で腹が減り、臼と一緒に盗んできた菓子や餅を食べたのですが、
甘いものばかりなので、塩気が欲しくなりました。
そこで、
「塩、出ろ!」
といって臼を右に回すと、塩があふれ出てきました。
これで十分だと思い、止めようとしましたが、その方法がわかりません。
臼は、勝手に回り続け、塩でいっぱいになってしまった船は、兄を乗せ
たまま、海の底へ沈んでいったのでした。
臼は、今も続けて塩を出しているので、海の水は辛いのです。
 
こういった話であったと思います。
金持ちだが欲張りの兄、貧乏だが正直な弟も、むかし話の約束事ですね。
よく似ている話が、グリム作の「うまい粥」です。
塩の代わりに出すものはお粥で、止め方がわからず困り果てて、持ち主に返す
結末が異なっています。
 
ところで、最近、「花火のできない子どもが増えている」そうですが、我が家
の周りでも、小さな子どもがいなくなったせいもありますが、見かけませんね。
マンションではやる場所がない、近所の公園は花火禁止、花火を楽しむ空間が
ないということでしょうか。夏の夕涼みの楽しみの一つであり、日本の夏の風
物詩でもある花火。子ども達が楽しむ手持ち花火は、狭い場所でも、バケツに
水をくみ、その上で楽しんだものですが、皆さん方はどうしていますか。
 
27年の芥川賞は「花火」ではなく「火花」。芥川賞を貰えなかった太宰治は、
泉下で、どう思ったでしょうか。線香花火で終わるか、豪快な打ち上げ花火を
上げ、作家の仲間入りができるか、真価を問われるのは第2作、出ませんね。
自称、元作家志望の後期高齢者から一言、「頑張れ!」。とにかく受賞は、大
変なことなのですから。(称賛、少し羨望)
(次回は、「日本に富士山はいくつぐらいあるでしょうか」などについてお話
しましょう)
 
【お詫び】 前号の最後のところで、海沼実の作曲された曲の中に「夕焼け小
焼け」を紹介しましたが、私の思い違いで、正しくは「お猿のかごや」に訂正
させて頂きます。藤本

さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>お子さんは、朝起きてから寝るまで、どのくらいのことを自力でできますか。

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        「めぇでる教育研究所」発行
 さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
            (第3号)
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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お子さんは、朝起きてから寝るまで、どのくらいのことを自力でできますか。
 
まず、基本的な生活習慣のことです。
一言でいえば、「誰の世話にもならず、自力で生きていくために培われた、年
齢にふさわしい適応能力」のことで、食事・睡眠・排泄・清潔感・衣服の着脱
の5つが基本といわれています。
これは皆さん方が、今まで手がけてきたことばかりではないでしょうか。
おそらく、3歳頃からお子さん自身が自分でやる機会も増え、できることも増
えていったと思います。
その時から賢明なお母さん方は、手を抜き始めたのではないでしょうか。
お子さんの自立の始まりです。
ですから、3歳を過ぎても子どものやっていることをみて、手を貸そうとすれ
ば過保護であり、口を挟もうとすれば過干渉の育児になり、実際に手を貸し、
口を出していると、いやな言葉ですが、超過保護であり、超過干渉の育児にな
りがちで、お子さんの自立は阻まれてしまいます。
お子さんを取り巻く環境はいかがでしょうか。
 
20項目あげてみましたが、早生まれのお子さんでは、まだ無理なことも入っ
ていますし、今の時点でこれらのすべてが、きちんとできていなければいけな
いということではありません。
受験を考えていないお子さんの場合は、年長になる来年の4月をめどにして間
に合いますが、受験されるお子さん方には、少し厳しくなりますが、幼児教室
の新学期が始まる、今年の11月を目安にして頑張ってみましょう。
目的は、自立心を養うことです。
幼児教室では、手のかかるお子さんは歓迎されませんし、入室テストで断られ
ることもあるからです。
 
 1.毎朝一人で起きられますか。
 2.歯磨き、洗顔を一人でできますか。
 3.風呂で体を洗い、洗髪できますか。※
 4.衣服の着脱はできますか。
 5.ボタンの掛け外しはできますか。
 6.食事は一人でできますか。
 7.箸やスプーンの持ち方に気になることはありますか。
 8.食事に時間はかかりますか。
 9.幼稚園へ行くときの準備は一人でできますか。
10.幼稚園から帰ってきたとき一人で着替えができますか。
11.外から帰ってきたとき、手洗い、うがいはできますか。
12.おもちゃ等遊んだものを片付けられますか。※
13.自分の身の回りの整理整頓はできますか。※
14.ハンカチやちり紙を使えますか。※
15.はさみで形の切り抜きができますか。
16.ひもを結べますか。(かた結び)※
17.靴をはくことができますか。
18.玄関で靴をそろえて脱げますか。
19.毎朝、決まった時間にトイレに行っていますか。
20.早寝、早起きをし、睡眠は10時間以上とっていますか。
        ※は無理をしないことです。
 
3.洗髪は、幼児にとっては大事業ですから急がせる必要はありません。
毎年、年長の夏に2泊3日の合宿に出かけていた頃の経験ですが、いやがる男
の子には、耳をしっかりと押さえさせ、シャンプーも少しだけつけて洗ってあ
げると、意外に「何だ、ぼくにもできる!」となり、合宿から帰ってきたわが
子の変わった様子に驚かれるお母さん方がいましたが、怖がるからやらせなか
った場合が多いものです。
 
7.箸を正しく持ち、他人の世話を受けずに食事ができることは、排泄と共に
集団生活でも最も大切なことです。
立教女学院小学校の説明会で、教頭の吉田太郎先生は「今年も箸を使うような
問題が出たとしても、できるだけ速く物をはさみ移動させることを競っている
のではなく、生活習慣としてみせていただきます」とおっしゃっていましたが、
箸をきちんと持って食事のできるお子さんは、筆記用具を正しく持てています
から、お母さん方の育児の姿勢、しつけがわかるわけで、決してタイムを争わ
せているわけではありません。
筆記用具の持ち方は書写の基本であり、小学校の勉強の初めの一歩につながる
大切な生活習慣であり、適正能力です。「点図形模写」などの出題の意図はこ
こにあるのです。
 
11.幼児にとっては難しい習慣で、これこそご両親がしっかりとお手本を見
せることが大切です。
インフルエンザの防止のために、うがいを励行されたと思いますが、これが習
慣になっているようですね。
「外から帰ってきた時は、手を洗いましょう」は、清潔感を身につける大切な
習慣です。
 
13.整理整頓ですが、男の子は苦手ですね。
「まだ、小さいから、今にできるようになる」と思っているようではできるよ
うになりませんし、その度にうるさく注意するだけでは身につきません。
整理の仕方がわからない場合もあります。
「君は、まだ小さくてできないから、先生が手伝うよ」と一緒に片付けている
と、それが習慣になって1ヶ月もしないうちに自分から片付け始める子もいま
す。
おもちゃを箱に乱雑にしまう子は、片付ける手順がわからない場合が多いもの
です。
文句をいう前に、なぜできないか、その原因を考えてあげましょう。
我が家の長男も片付けが苦手でしたが、長女が「こうするのよ!」と言っては
やらせていました。女の子は、小さい時からお母さんをしっかり観察して、真
似していますね(笑)。
 
そして、お父さん方にも一言、「置きっ放しにしないで! だらしがないんだ
から」などとお母さん方から苦情が出ていませんか。出ている場合は、反省し
てください。
お母さん方へ、お子さんの前で、こういった乱暴な言葉は、絶対に使わないで
ください。
小さい時から、父親の存在をないがしろにする言動は、厳に慎むべきです。
子ども達は、強いお母さんを歓迎しているわけではありません。言われたお父
さんより、聞いている子ども達の方が、大いに傷つくことを忘れないでくださ
い。
 
14.男の子は、手でこすって始末したり、ズボンで拭いたりしがちですが、
どうしてティッシュペーパーやハンカチを使うか、時間をかけて教えましょう。
衛生感覚を身につける大切な生活習慣です。
 
15の手作業、関係のないように思えますが、切る、折る、貼るといった作業
は、自立心と深いかかわりを持っています。
誰の手も借りずに、はさみを使えることは、脳と筋肉が、ある目的のために、
自主的に共同作業をやっていることになるからです。
自らやろうとする意欲の育まれていることがわかりますから、出題されるわけ
です。
 
こういった基本的な生活習慣の身についている子は、試行錯誤を積み重ね、工
夫し、努力をしていますから、自立心や自発性が培われ、それが集団生活への
適応力を育むもとにもなっているのです。
 
さらに、加えておきたいのは、「あいさつができますか」ということです。
「おはようございます」「いただきます」「ごちそうさま」「いってきます」
「ただいま」「ありがとう」「ごめんなさい」「おやすみなさい」は、ご両親
が率先して行うことで、きちんと身につくものです。
特に、「ありがとう」「ごめんなさい」と素直にいえる子は、情緒も安定していま
す。
あいさつは、人とのかかわりをスムーズに行うための潤滑油であり、次回にお
話します、集団生活への適応力にも大きな影響を与えるものです。
 
基本的な生活習慣は、自力で生活できる適応能力のことです。
小学校の入学試験は、「初めての所へ行って、初めて会った友達の中に入り、
初めて会った先生のいうことを聞き、適切に対応できるか」を判定されること
であり、頼りになるのは自分自身だけで、誰も助けてくれません。
「子離れできないお母さん」「お母さん離れのできないお子さん」では、入学
試験に対応できないことをご理解いただけたのではないでしょうか。
どこの学校でも、「基本的な生活習慣が身についているかをみたい」といって
いるのは、適応能力が身についているかを知りたいからです。
 
最近の説明会でよく聞く、「当たり前のことが当たり前にできない」の意味は、
知的な能力ではなく生活習慣のことです。
まず、こういったことからしっかりと育てていくことが、合格への道を歩むこ
とになるのです。
ただし、繰り返しお願いしておきますが、お子さんの生まれ月を無視すること
は、成長を阻害するおそれもありますから、慎重に取り組んでいただきたいと
思います。
 
不安定な気候が続いています。夏が近づいている証でしょう。お子さんの健康
管理には十分に気をつけてください。
(次回は、集団生活への適応力についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>夏休みの過ごし方(1)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 2017さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
             第54号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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夏休みの過ごし方(1)
 
★説明会情報★
15日(金)と16日(土)は、雙葉小学校の説明会です。
校庭には、幼稚園、小学校に在籍されてから聖心女子学院へ進まれた美智子皇
后陛下が、ご成婚を記念して植樹されたメタセコイヤの苗木3本の内、1本が
大きく成長し、中高の校舎と背比べをしています。幼稚園側の門から出る手前、
右側に校庭があり、その一番奥、修道院の裏側に見ることができます。
 
東京、横浜、埼玉、千葉の小学校の入学試験本番まで、後3ヵ月有余、「夏を
制するものは秋を制す」ともいわれています。夏休みの過ごし方に、合否の鍵
があるといっても過言ではありません。大切な日々を有効に過ごすポイントは、
ご両親の考え方にあります。
 
まずは、何といっても健康管理です。幼稚園が休みになると、生活のリズムが
狂いがちです。幼稚園があるときと同じように、規則正しい生活のリズムを崩
さないことです。1日のスケジュールを立て、それに従った、メリハリのある
生活を送りましょう。 ただし、あれもこれもと、過密なスケジュールでは、
お子さんの負担を増やすだけで、かえってマイナスになりかねません。余裕を
持って、計画を立てることです。 そして、遊び時間をきちんと配慮してあげ
ましょう。
 
知的な能力は高いが、体力に不安のある子が多いのも、小学校受験の特徴のよ
うです。机の上での勉強だけではなく、体を十分に動かす時間を設けましょう。
買い物などに出かけるときは、車を使わずに歩き、汗を流す機会を作ることで
す。十分も歩かない内に、「おんぶ!」をせがむようでは、とても受験に対応
できません。 
肉体的なスタミナがなければ、精神力も弱いものです。一所懸命に頑張る意欲
や耐久力は、入試に欠かせない大切な要素です。運動教室にお任せだけでは、
真のスタミナはつきません。冷房の効いた快適な環境から、失うものもたくさ
んあります。お父さんにも手伝ってもらい、一緒に汗を流しましょう。お父さ
んのリフレッシュにも、役立ちます。夏休みの間は、ゴルフバッグに封をして
おきましょう。
 
ところで、夏休みに入ると、友達と遊ぶ時間が、不足しがちです。受験一色に
なると、友達との遊びを悪いことと考えるお母さん方がいると聞きますが、そ
れは間違いです。
社会性や協調性といった集団生活への適応力に欠ける子は、どこの学校からも
歓迎されません。
行動観察型のテストでは、こういったところがはっきりと表れます。集団生活
への適応力は、問題集をこなすだけでは養われません。
 
最近、友達が家に来て遊ぶ機会も、少なくなっていると聞きます。
自分の家と全く違う生活習慣があるなど、本来は、貴重な体験をする機会でも
あるのですが、あまり歓迎されていないようです。せめて、同じ年齢の子がい
る親戚を訪ね、違った生活を送るのも貴重な体験になるのですが。
 
また、一人遊びも大切です。
遊びを通して自発性、考える力はもちろんのこと、一所懸命に取り組む意欲や
持久力もついてきます。入学試験に備えて、親が勝手に子どもの遊ぶ時間まで
管理するのは、いかがなものでしょうか。何から何まで管理していると、無気
力、無関心、無感動、無表情な「指示待ち子ども」になりかねません。遊びを
通して培われる力こそ、子どもにとっては、大切な財産になることを、忘れな
いようにしてほしいのです。
 
任期前に辞任し、現場の教師に復帰した加藤三明元幼稚舎長は、毎年説明会で
「5歳のわが子を、受験のためにスポイルしないでほしい」とおっしゃってい
ました。受験準備は、「ゆっくり、じっくり、しっかり」と余裕を持って取り
組みたいものです。
 
ここで一言。
夏の幼稚園や保育園の行事に、お泊り保育があると思います。その時の様子を
先生からうかがっておきましょう。家族から離れて生活した時、今まで気づか
なかったお子さんの一面が、現れることもあるからです。泣き出してしまうお
子さんもいて、先生方も意外な思いをする話を、よく耳にします。入学試験は、
「生まれて初めての場所に入り、生まれて初めて会った先生の指示に従い、初
めて会った同年代の子ども達とグループを組み、いろいろなことに取り組む」
からです。心配なところが見つかった場合は、育児が過保護、過干渉になって
いないかをチェックし、自信を持って取り組める気持ちを育ててあげましょう。
特に、過干渉になりがちなお母さん方、口を挟む前に「1,2,3,4,5」
と数えましょう。そんなわずかな間でも、お子さんに考えさせる時間を与えて
いることに気づいてほしいのです。
 
★家庭でできる具体的な受験準備 
次に、ご家庭でできる具体的な受験準備についてお話しましょう。
本メールマガジンを通して、しつこく触れてきましたので、またかと思われる
でしょうが、大切なことですから繰り返します。
 
1.聞き取る力をつけるには
小学校の入学試験は、話を聞き取る力がついているか、いないかで決まります。
ペーパーテストには設問はありませんし、行動観察型のテストでは、先生の話
を聞かなければ、何もできません。
本を読んであげましょう。
耳と目から入ってくる情報から好奇心は刺激を受け、言葉を映像化する作業が
フル回転で行われ、記憶する意志が自然と働きます。一人になったとき、本を
見ながらお母さんに読んでもらった言葉を、筋道立てて思い出しているのです。
語彙がふえることで言語力、
イメージが豊かになることで想像力、
話を筋道立てて思い出すことで思考力、
より正確に覚えようとすることで記憶力、
言葉や絵、身体で表現することで表現力、
そして、何よりも大切な集中力、話を聞き取る力、話を聞く姿勢が身につきま
す。
「本の読み聞かせと対話」の効果を、学校説明会で最初に主張されたのは、も
う十数年前になりますが、立教小学校の田中司元校長ですが、今年も田代教頭
が力説していました。
 
また、お子さんと話をする時間をたくさん作り、よい聞き手に徹してあげまし
ょう。 言葉は、とにかく話をしなければどうにもなりません。どんな拙い表
現でもよく聞いてあげ、お母さんが正しい言い方に直してあげましょう。言葉
のキャッチボールを楽しんでください。
「対話の反対は沈黙ではなく、命令と強制」と言ったのも田中元校長でした。
含蓄のある言葉ではないでしょうか。「こうしなさい。それはダメ、こうする
の!」と、命令と強制の環境からは、自発性など育つわけがありません。
 
そして、正しい指示を出しましょう。
「ユキちゃん、そこにある、あれ取って」
などと言っていないでしょうか。
これでは、指示を出した本人しか理解できません。
「ユキちゃん、テーブルの上にあるお料理の本を、お母さんのところまで持っ
てきてください」
「これ・それ・あれ・どれ」は代名詞ですから、きちんと名詞に置き換え、丁
寧なことばで応対しましょう。
 
面接の折りに、「デス、マス」を自然に使って話をさせたければ、お母さんが
お子さんの前で、響きのよい言葉をたくさん使ってあげることです。心地よい
言葉は、使ってみたくなるからです。
 
また、あいさつは、きちんとするように心がけましょう。
 
そして、用事を頼み、お手伝いをしてもらったときは、必ず「ありがとう」と
感謝のことばをかけてください。こういった気配りから、お子さんの心の中に、
相手を思いやる心も育まれてきます。
 
さらに、しりとり、同頭語、同尾語、反対語、短文の復唱などは、言葉遊びと
して、楽しみながら学習すれば、お子さんは喜んで挑戦するはずです。
 
この時期になると、「お話作り」を苦手とするお子さんが増えてくるようです。
前にもお話しました、「ママ(パパ)、あのね!」方式を採用してみましょう。話
す相手がお父さんやお母さんであれば、プレッシャーもかからず、気軽に話せ
るからです。
そして、親が作った話を覚えこませるようなことはせずに、自分で思っている
ことを、自分の言葉で話せるように、しっかりと聞き手にまわり、上手、下手
は、二の次と考えることです。
こういった課題は、とにかく、言葉が出なければ、どうしようもないからです。
「こんなこと言ったら笑われるかな!」とか「これでは、ママに叱られるかし
ら?」などと思い始めると、言葉は出てきません。
どんな内容でも相槌を打ち、よく聞いてあげてから、
「こうした方が、ママはいいと思うけど、ユキちゃん、どうかしら?」
と、お子さんの話を認めてあげ、導いてあげると、お子さんは納得してついて
くるものです。
「そんなのおかしいでしょう!」と言われたお子さんの自尊心は、傷つきます。
一所懸命に考えたことを否定されるからです。意欲もくじけ、やる気をなくし
ます。
 
また、言葉が出ないのは、お母さんがしゃべりすぎの場合も考えられます。
「何とかしなければ」とお母さんがあせれば、お子さんは苦手意識を持ち始め
ます。自信をなくしますから消極的になりがちで、これでは行動観察型の試験
に対応できません。お子さんの話に耳を貸し、うなずき、認めてあげてから、
お母さんが考える方向へ、「ゆっくり、じっくり、しっかり」と導いてあげまし
ょう。
 
2.考える力をつける
最初のところでもお話しましたが、トランプは、数字と同じ数のマークがかい
てありますから、数感を養うすぐれた教材です。
1枚ずつカードを出しあって勝敗を争えば、直感で多少を見分ける力がつきま
す。
これを繰り返していると不思議なもので、引き算の練習をしているのではない
のですが、 
「6と3では、6の方が3つ多い」
「10と8では2つ違う」
と多少の学習になります。
カードを5枚並べ、一番多いもの、少ないもの、2番目に多いものなどの学習
もできます。
 
ところで、数え方ですが、例えば、ここに15個のリンゴがある場合、お子さ
んはどのように数えていますか。
 1. 1,2,3,4と1個ずつ指で押さえて正確に数える。
 2. 2,4,6,8と2個ずつ押さえて数える。
 3. 3,6,9と3個ずつ押さえて数える。
 4. 4,8,12と4個ずつ押さえて数える。
 5. 5,10,15と5個ずつ押さえて数える。
15個のおはじきをばらばらに置き、やってみましょう。
 
5.の5個押さえる方法ですが、たとえば、7個のリンゴを数えるとき、5個
の集まりを手で押さえれば、残り2個ですから、合計7個であることがわかり、
数え方は、一段とスピードアップします。しかし、いきなり5.の数え方を教
えず、きちんと段階を踏んであげましょう。大人が考えるほど簡単ではないか
らです。
2.を固守して譲らないお子さんもいます。お子さんに最も適した方法である
場合が多く、それはそれで良しとし、強制しないことも大切です。私の経験で
は、「5つ押さえて残りを6,7と数えれば早いよ」といって見せておけば、
早く数えたいですから、いつの間にか、ひそかに練習をして、自分のものにし
ているものです(笑)。「この方が早いのに!」などと押し付けずに、お子さ
んの数え方を認めてあげる、自尊心を傷つけない賢いお母さんになってくださ
い。繰り返しますが、お子さんは自尊心を傷つけられると、やる気をなくしま
す。お母さん方も「何回も同じミスをするんだから!」などとご主人に言われ
ると、腹が立つでしょう。それと同じです。
 
合成、分解は、○のシールを使い、下のような10のカードを作ると面白く学
習できます。
              ○○○○○○○○○○ 
マーク1つを指で押さえれば[1と9]、2つ押さえて[2と8]、3つ押さ
えれば[3と7]であることがわかり、指で押さえながら、[1と9]、[2
と8]、[3と7]と声を出しながらやっていると、自然と覚えてしまうもの
です。以下、同様にして挑戦しましょう。
[10]は[○]が10個集まっているとわかれば、楽しく取り組めるはずで
す。
 
子ども達は、大きな象も小さな蟻も抽象化して、全て○で表し、正確に「数え
る」ことからはじめ、加減乗除の仕組みを学んでいます。それが小学生になっ
て数字を習い、記号を使った計算につながっていく基本的な学習になっている
のです。
 
トランプは、神経衰弱からは記憶力が、7並べでは1から13までの数列や系
列完成、下のように並べると上から、下から、左から、右から何番目、黒を中
心に左斜め上、右斜め下といったように位置の問題の学習にもなります。
      □□□
      □■□
      □□□
その他、オセロやおはじきなどで分割を、積み木では、立方体を積み重ねるこ
とで、見えないところにある数の発見、模倣構成、四方図形なども楽しく学習
できます。
積み木の四方図形は、斜面を正面から見る場合、子ども達は「……?」となり
がちですが、実際に積み木を使ってやってみると、理解できます。 
 
プリント学習に疲れたときなどにゲーム感覚でこういった遊びをすると、気分
転換にもなります。    
数量や推理・思考、図形など、苦手な分野の問題は、じっくりと時間を使える
夏休みにこそ、全力で取り組みましょう。
 
ここで問題を。
折り紙を磁石で持ち上げたいのですが、どうすればできるでしょうか。実験は、
遊びの感覚で取り組むことが大切です。
 
間もなく梅雨も明け、夏はこれからが本番です。お子さんには、しっかりと昼
寝をさせ、健康管理には、十分に注意してください。
(次回は、「夏休みにできる家庭学習 2」についてお話しましょう)

よく聞かれる質問にお答えします

来週はクリスマスを迎えますが、いろいろ訳ありなんですね。
街にはジングルベルのメロディが流れ、至る所、赤、緑、白の3色で飾られま
すが、赤はキリストが人類のために十字架に流した血の色、緑はキリストの永
遠の命を象徴する色、白はキリストの純潔を表す色。クリスマス・ツリーは、
アダムが楽園から持ってきた「善意を知る木」で、キリストを表す不滅の生命
の木。ツリーの天辺に飾る星は、キリストが生まれたときに輝いた星で「ベツ
レヘムの星」といわれていますが、どの星かは不明。クリスマス・リースは柊、
刺はキリストの受難、赤い実はキリストの流した血を表したもので、節分で使
う柊とは別種。そして、クリスマスはキリストの誕生日ではなく、聖書の中で
も、その日を特定していません。ご存知でしたか、信者ではない私は、つい最
近まで知りませんでした(笑)。
(拙著 メールマガジン さわやかお受験のススメ 保護者編(6)
 12月11日号より)

今回は、読者の皆様からよく聞かれる質問を編集した『さわやかお受験のスス
メ 小学校受験 Q&A編(100問)』から抜粋したものを紹介しましょう。

Q「問題集をやりたがらないのですが、無理にでもさせた方がいいでしょうか」

A「教室から配布される家庭用の学習か、過去に出題された問題集での勉強か、
状況がわかりませんが、問題集を使っての家庭学習の場合をお話しましょう。
 
幼児の場合は、問題集を開いて、即、勉強とはなりません。
赤ちゃん時代を思い出してください。
例えば、歩くことを考えても、いきなり歩けるようになったわけではなく、は
いはいをし、つかまり立ちをし、歩いては転ぶことを繰り返し、やっと歩ける
ようになったはずです。
幼児が一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことにより
習い学ぶ、体験学習が必要です。
中高大学の入試と小学校の受験準備の異なるのは、勉強と学習の違いにあると
いえます。
勉強は、字のごとく「強いて勉める」であり、学習は「習い学ぶ」ことです。
幼児は、体験していないことは理解できません。
ですから、問題集を嫌がるのは、自分で体験していない領域のことをさせられ
ているからではないでしょうか。
泳げるようになると、十数年泳がなくても機会があれば泳げるのは、体が覚え
ている、中枢神経系に属しているからだそうです。
教室での宿題であれば、体験したことの復習ですから、苦にしないはずです。

『なぜ、嫌がるのか』、その点を見極め、無理をしないことが大切です。」 

Q「幼稚園の先生から、話をきちんと聞いていないといわれているのですが」

A「小学校の受験で最も大切なのは、話を聞く姿勢を身につけることです。
ペーパーテストのプリントを見ても、答えはダミーも含め、すべて出ています
が、設問はどこにも書かれていません。
中高大の試験のように、『苦手な問題は飛ばして後でやろう』など、できない
相談です。
文字を使えませんから、スピーカーから流れる言葉を聞き取り、素早く対応し
なければならないのです。
行動観察型のテストも同様で、先生の言葉を聞き、理解し、迅速に活動しなけ
れば、得点になりません。
幼稚園の先生にいわれる迄もなく、ご家庭でもサインは出ているはずです。
まず、お子さんの話をきちんと聞いてあげましょう。
話を聞いてくれるのは、子ども達にはとてもうれしいことなのです。
そこから、お子さんは「話はきちんと聞くものだ」ということを学習している
のです。
そして、本をたくさん読んであげましょう。
好きな本であれば、お子さんは静かに聞くはずです。
『話をきちんと聞きなさい!』と柳眉を逆立て、何回いっても改まらないでし
ょう。
話を聞く姿勢は、言葉のキャッチボール、楽しい会話と、お子さんが興味を持
っている本を読んであげる、本の読み聞かせなどから身につくものだからです。」

Q「同じ本を何回も読んでくれとせがむのですが、記憶力が弱いのでしょうか」

A「そんなことはありません。
お子さんは、読んでもらった話が面白いから、一所懸命に覚えているのです。
読んでもらったときは、『面白いな!』といった漠然としたイメージが、繰り
返し読んでもらうことで、物語を少しずつ覚え、小さな木が、時を経て成長す
るように、今では、かなりはっきりと話の筋を記憶しているものです。
完全に覚えてしまうと、次の本へ移っていくはずです。
一人になったとき、ぶつぶつと何やらつぶやきながら、本を見ていないでしょ
うか。
お母さんに読んでもらった話を、思い出しているのです。
また、読んであげている途中に、突然、『そこまでで、いいです』ということ
はないでしょうか。
一人で思い出しながら読んでいるときに、忘れてしまったのか、そこをはっき
りさせたくて『読んでください』と来るわけです。
これは大変なことで、言葉を覚えることで語彙は増え、物語を記憶することで
表現する力もついてきます。
話を聞く姿勢をきちんと身に付けることは、小学校受験で、もっとも大切なこ
とですから、根気よく読んであげましょう。
文字を習い、自分で読めるようになると、もう『読んでください』と来なくな
りますから。」

Q「読んだ後に感想を聞いても、きちんと答えられないのですが」

A「読んだ後に感想を聞くのは、まだ、早いと思います。
先にも触れましたが、1回だけ読んでもらい、きちんとした感想をいえないの
は、その本に対するイメージが、まだ、できていないからです。
何回か読んでもらうことで、次第に固まってきます。
そこまで待ってあげましょう。
ですから、1回だけ読んで、『面白かったでしょう』『何が面白かった』とい
った話かけは、するべきではありません。
また、よく聞く話ですが、お母さん方は、子どもの頃に読んでもらい、面白か
った本を読んであげることがあるようです。
それはいいのですが、『どう、面白かったでしょう』と聞いたことはないでし
ょうか。
そんな時、お子さんは、『……?』となったのではありませんか。
まだ、しっかりとイメージ化ができていないと、答えようがないからです。
2、3回読んだ後で、聞くようにしましょう。
ただし、『お母さんは、おばあちゃんに読んでもらい、こういったことを学ん
だのですよ』と、お母さん自身の感想をいうのは、いいのではないでしょうか。
『ママは、こういったことを感じたんだ』と、考えるヒントになるからです」

Q「昔話の出題率が高いようですが、なぜでしょうか」

A「常識の領域で、例えば、桃太郎と猿、犬、雉の家来や、黍団子、鬼など物
語に出てくるものを線で結ぶといった形で出題されています。
昔話は、多くの場合『昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんが、住ん
でいました』と、『いつ、どこで、誰が』と明らかにし、『何を、なぜ、どの
ように』と、いわゆる[5W+1H]の形式で展開しますから、わかりやすく
構成されています。
そして、内容は、勧善懲悪で、正しいものは必ず報われ、悪者は、懲らしめら
れます。
5歳頃から未分化であった情緒が分化され、喜怒哀楽の感情がはっきりと表れ
てきます。
それに刺激を与えられることで、ずるい人間には憤りを覚え、悲しい話には涙
ぐみ、幼いなりにも善悪に対する分別、倫理観や道徳観を育んでいると考えら
れます。

ですから、昔話が出題されるのも、うがった見方をすれば、昔話で学習した様
々なことを、幼稚園や保育園の生活で実地訓練をし、社会性、協調性といった
集団生活への適応力を養い、それが小学校生活をスムーズに送れる基礎となっ
ているからではないでしょうか。

ちなみに、日本の五大昔話は、『桃太郎』『花さかじいさん』『舌切り雀』
『さるかに合戦』『かちかち山』です。
皆さん方はお子さんに、この5つの昔話のあらすじを話すことができるでしょ
うか」

Q「3月生まれですが、図書館へ行っても幼い内容の本しか選べません。心配
ないでしょうか」

A「お子さんは3月生まれですから心配ありません。
興味を持って選べたことを褒めてあげ、必ず読んであげましょう。
お母さんが心を込めて読んであげれば、お子さんはきちんと理解し、次のステ
ップへ向かい、確実に歩み始めるはずです。
選んだ本が、自分で面白くないと判断できることが大切です。
「何よ、こんなやさしい本を!」といってしまうと、お子さんの自尊心は傷つ
き、自分から本を選ぶ気持ちもなくなります。
いろいろな本を読んでもらい、試行錯誤を積み重ねながら、取捨選択し、自力
でレベルをあげていくものです。
お母さんのお気に入りの本ばかり選んで読んであげても、内容をよく理解でき
なければ、読んでもらっている本人は、つらい思いをするだけで、結果的には
本の嫌いな子になりかねません。

ゆっくりと時間をかけ、お子さんの期待に応えてあげることが、レベルアップ
につながるのです。早生まれのお子さんの場合は、4月2日と翌年の4月1日
では、1年の差があるのですから、そのことを忘れずに無理をしないことです。
他のお子さんと比べて評価するのは、賢いお母さんのすることではないと思い
ます」

なお、CD版 『さわやかお受験のススメ 小学校受験 Q&A編(100問)』
は、目下、好評、発売中です。
(次回は、「入試問題の出題範囲」についてお話しましょう)

 

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