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めぇでるコラム : 2017年7月 2ページ目

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー 2

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2018さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第36
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面接 ケース・スタディー編 (2)
「あれっ、あの人………?」
 
何が起こるかわからないのが、幼児の世界です。
今まで静かに待っていたユミちゃんは、係りの先生が呼びに来たので、立ち上
がりました。
面接室の前まで来たのですが、中をのぞいたところで、急に、お母さんの後ろ
に隠れてしまったのです。
何が起きたのでしょうか。
 
「幼稚園の先生とお話しをするだけだから、こっちへ出てきなさい!」
お母さんが、振り返るなり、ユミちゃんの手を強く引っ張ったのです。 
いやいやをしながら、今にも泣き出さんばかりです。
困ったことに、面接をする先生方からは、よく見える位置でした。
 
「パパと手をつないでいこうね!」
この一言で、先生方の前まで進みましたが、心は不安で、いっぱいです。
見かねた先生が、
「今日は、ユミちゃんですね!」
と声をかけてくれたのですが、返事をしたユミちゃんの声は、当然のごとく、
小さく、かぼそかったのです。
それこそ消え入るような声でいえたのがやっとでした。
「大きな声で答えなければ、先生方に聞こえないでしょう!」
きつい追い打ちです、何を考えているのでしょうか。
 
このような事態になったのは、実は、ユミちゃんがシスターを見るのは、初め
てだったからです。
それで、びっくりしてしまったのでした。
よく聞く話です。
気配りが足りません、あまりにも不用意ではないでしょうか。
 
入園説明会などは、
「小さなお子さんをお連れにならないでください」
といっていますし、普段、園内には入れません。
しかし、いくらでも方法はあります。
外からの見学は自由ですから、降園時などに行ってみましょう。
 
「一人っ子で、私が余りにも手をかけ過ぎたせいでしょう、初めての人と会っ
たり、初めてのところへ行くと、すっごく、用心深くなるんです。主人も『見
せておいたほうがいいよ』と心配し、それで、受験する幼稚園の周りを何回も
散歩とかにぃ、出かけました。
ある時、シスターが出てこられたのです。
娘は、予想通り、私の後ろに隠れ、スカートを力いっぱい握りしめているんで
す。
私は、『こんなチャンスはないわ!』と自分にいい聞かせ、意を決し、
『今日は!』
と、あいさつしました。
すると、シスターもあいさつしてくださったばかりか、娘に向かって、
『今日は、お嬢さん!』
と言葉をかけてくれたのです。
小さな声でしたが、娘もあいさつでき、力が入っていたスカートを握る手もゆ
るみ、
『ママ、だあれ?』
と聞かれ、私の説明に納得し、うなずいていました。
面接が終わったあとで、
『ママ、この間の、おばちゃまですよね?』
といった程度の認識なんですが、やはり、見せておいてといっては失礼ですが、
よかったと思います」
 
この気配りです。
シスターには悪いのですが、見たことのない子には、奇妙な感じを与えないで
しょうか。
怒られそうですが、映画で見るようなシスターとは違いますし、普段、見慣れ
ていないはずだからです。
当日が本番では、ユミちゃんのようになりかねません。
しかし、お母さん、「すっごく」や「散歩とかにぃ………」は、もう卒業しま
しょう、お子さんのためですよ。
 
また、幼児の初体験は、大人の想像を遥かに越えた大変なものです。
たとえば、園舎です。
校舎に比べれば小さい建物ですが、それでも幼児にとっては、相当、大きく見
えます。
それだけで、萎縮してしまうのが子どもです。
見慣れておくことも大切ではないでしょうか。
できれば試験前に、お父さんにはひげをそってもらい、当日、着ていくだろう
スーツを着、3人で出かけておきましょう。
初めての場所は、大人でも緊張しがちだからです。
 
まだ、あります。
入試当日は、大勢の親子が集まります。
お子さんは、そんな体験をしていないはずです。
「どうなっているのだろう?」
ほとんどの子は、驚いています。
「ママ、帰る!」
こういう子もいるそうです。
びっくりして、感情の揺れ動く気持ちを、しっかりと理解しておきましょう。
 
ましてや、動揺しているわが子に、
「聞こえないでしょう!」
と追い打ちをかけるようでは、母親、いや、保護者としていかがなものでしょ
うか。
私は、その資格なしだと思います。
見ているシスターの心も、おそらく怒りでふるえていたはずです。
こういう無神経な母親には、試験を受けてもらいたくないでしょうね。
合格するはずはありません。
 
幼い子どもの、微妙な心のざわめきを察知できないようでは、保護者とはいえ
ません。
幼稚園の受験の難しいことを、しっかりと心に刻んでいただきたいと思います。
 
「『関東地方も梅雨入りしたとみられます』と何やら頼りない宣言ですが、昨
年より2日遅く、平年より3日早いそうです。北海道で雪が降り、関東地方も
冷え込み、日光では霜が降りました」
これは昨年の今頃の気象状況ですが、今年は猛暑、暑いですね。お子さんの健
康管理には、充分に気をつけてあげましょう。
(次回は、面接ケース・スタディー編 3についてお話しましょう)
 
 (次回は、面接ケース・スタディー編2をお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<保護者編>第10章 終戦記念日、このことです 葉月(1)

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2018さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第36号-
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第10章 終戦記念日、このことです   葉 月(1)
 
物の本によれば、葉月のいわれは、季節は秋になり、木の葉が落ちる「葉落月」
の略されたものが親しみやすいですね。この他に、稲穂の「発月」、雁が渡っ
てくるので「初来月(はっきづき)」、南から台風の風が吹きはじめるので
「南風月(はえつき)」などの説があるそうです。
 
★★終戦記念日★★
8月といえば、終戦記念日です。8月15日、忘れてはならない日です。これ
は、季節の行事と違いますから、おかしな話と思うかもしれません。しかし、
私たち日本人は、この日を忘れてはならないのです。とにかく、大勢の人が死
にました。戦場で230万人、原爆、空襲で70万人、およそ300万人の命
が奪われたといわれています。この中には、戦場となったアジアをはじめ他国
の人々は含まれていませんから、犠牲者はさらに増すはずです。この事実だけ
でも、戦争は絶対に許せません。
 
最近、「なぜ、日本は世界を相手に戦争をしなければならなかったのか」、そ
の真相を明らかにする書物も多く出版され、知らなかった経緯を知る機会も増
えてきました。その最たるものは、「あの戦争は、日本の自衛戦争であった」
といった、日本と戦った連合国最高司令官、ダグラス・マッカーサー元帥の言
葉でしょう。
 
私は、長い間、宣戦布告もせず、真珠湾を奇襲攻撃し、戦争を始めたのは日本
であると思っていました。ところが、上智大学名誉教授である渡部昇一先生の
数々の著書や文芸春秋の名編集長であった堤堯氏の「ある編集者のオデッセイ
(戦争の仕掛人はルーズベルト大統領)」、西尾幹二氏の「日米百年戦争」
(徳間書房 刊)、山崎豊子さんの「二つの祖国」(上下 新潮社 刊)等に
は、マッカーサー元帥の言葉を裏づける事実が証明されているではありません
か。
 
そして、テレビでも放映された清朝が崩壊していく経緯を書いた破天荒な作品、
浅田次郎氏の「蒼穹の昴」(4巻 講談社 刊)で、欧米人は、肌の色の違う
人種を決して認めない「人種差別」と「宗教の違い」を指摘し、「気づかない
でいると大変なことになる」と憂慮していたことが現実となり、「石油」を絶
たれ、戦争でしか解決できないように追い込まれた結果、開戦のやむなきに至
ったのが、戦争の大きな原因ではなかったでしょうか。「日本は戦争をしたく
てやったのではない。仕掛けてきたのはアメリカやイギリスの白人達だ!」と
親父は、常に激怒していましたが、今は、その気持ちがよくわかってきました。
 
とは言え、戦争は、人間の引き起こす最も愚劣な罪悪です。しかし、戦時中は、
全国民が真剣に戦争をしていたのも事実です。国家権力は絶対で、国民は逆ら
えません。これが恐い。たとえば、赤紙1枚で、たった1つの生命を交換させ
られたのです。その赤紙は、わずか1銭5厘(当時の葉書の値段)、1銭5厘
です……。
※赤紙 兵を集める召集令状のこと、淡赤色の紙を用いたもので、俗に赤紙と
いう。(広辞苑)
 
「戦争反対」の四文字は、禁句の時代でした。叫ぶのも命がけです。非国民と
弾劾されながら、特高(特別高等警察の略。戦前の警察制度で政治思想関係を
担当した課の警察官のこと)の監視を逃れ、どれだけの人が戦えたか。このこ
とです……。その記録さえ、わずかしか残っていないのではないでしょうか。
戦時体制になれば、国を挙げて戦争に協力しなければなりません。しかも、そ
れが正義、正論として、まかり通ります。協力しなければ非国民となり、生活
できなくなるのですから。
 
若いお父さんやお母さん方は、知らないかもしれませんが、日本の軍隊が他国
の地で戦ったことを、その国の人々は忘れません。日本人なら、広島と長崎を
忘れられないのと同じです。
昭和20年8月6日、午前8時15分、B29 爆撃機 エノラ・ゲイ号、原
爆の名前はリトルボーイ、死者約14万人。
同年8月9日、午前11時2分、B29 爆撃機 ボックス・カー号、原爆の
名前はファットマン(太った男)、死者約7万人。リトルボーイとファットマ
ンで死者約21万人、ふざけた名前に腹立たしくなります。いまだに後遺症で
苦しんでいる日本人がいることを、アメリカ人は知っているのだろうか。
「戦後、原爆投下によって日本の降伏が早まったと、アメリカは宣伝したが、
それは全くの嘘である。新型爆弾の実験をしたかったというのが、本当のとこ
ろであろう」とは、左翼系の新聞が書きそうなことですが、朝日新聞と徹底的
に戦った渡部昇一先生の指摘です。
 
いや、同年3月の東京大空襲も同じです。東京だけではありません。長い歴史
と文化遺産のある奈良、京都の一部を除き、多くの都市で大勢の人々が殺され
ました。日本の木造家屋を燃やしやすいように、B29という爆撃機からガソリ
ンをまき、焼夷弾(建造物を焼き払う目的で使う、燃やす薬剤を入れた投下爆
弾や砲弾)を落としていったのです。しかも、命を奪われたほとんどの人が、
武器をもたない非戦闘員、ごく普通の市民です。
 
「永遠の0」でデビューした百田尚樹氏の作品に「海賊とよばれた男」があり
ます。第二次世界大戦から1970年代まで、石油の生産を独占していた7社、
国際石油資本「セブンシスターズ(7人の魔女)」と出光興産の創業者、出光
佐三(いでみつ さぞう)の戦いは、アメリカの戦略で石油を断たれ、南方に
侵出しなければならなかった、戦争を始めなければならなかった恨みを晴らす
かのような凄まじい闘魂には、涙なくして読めませんでしたが、それ以上にシ
ョックを受けたのは、この数字でした。
 
驚くべきデータがある。財団法人「日本殉職船員顕彰会」の調べによれば、大
東亜戦争で失った徴用船は、商船3,575隻、機帆船2,070隻、漁船
1,595隻の計7,240隻。そして戦没した船員、漁民は60,000人
以上に上る。彼らの戦死率は約43パーセントと推察され、これは陸軍軍人の
約20パーセント、海軍軍人の約16パーセントをはるかに上回る数字である。
自ら身を守る手段を持たない船乗りたちは、命懸けで貴重な物資を日本に運び
続けたが、それでも国内の需要を満たすことができず、国民は慢性的な物質不
足に苦しんでいた。
(「海賊とよばれた男」 上巻 P373 講談社 刊) 
 
銃器や魚雷など武器を何も持たない船が、重装備をした軍艦に沈められたのは、
先にもお話しした日本の各都市をじゅうたん爆撃で徹底的に焼き尽くしたのと
同じではないですか。戦争で犠牲になるのは、国の根底を支える名も無き普通
の人々、つまり、私達です。平和ぼけしている日本人は、この事実を忘れかけ
ていないでしょうか。(合掌)
 
ですから、子どもに戦争の悲惨なこと、二度と繰り返してはならないことを、
しっかりと伝えておきたいのです。何とか主義や何とかという思想のもとで、
戦争反対を叫ぶのとは違います。平和運動さえ派閥ができ亀裂が生じます。こ
れも、争いを生むもとですから、用心しなくてはいけません。戦争は、ゲーム
と違います。リセット、やり直しはできません。ゲーム・オーバーで、本当に
「ゲーム・セット」ですから。現代っ子は、いとも簡単に人を殺めます、殺し
ます。人間は、お互いに、労わりあう心がなければ生きていけません。人間と
して、生きとし生ける者の掟、それは「共生」「ともいき」ではないでしょう
か。これを、責任をもって教えるのは、ご両親の大切な仕事です。
 
しつこく繰り返しますが、幼児期に必要なのは、知識を詰め込むのではなく、
情操豊かな子に育つ環境を作ることです。そこから、自分自身で考え、行動す
る力が身につくからです。価値観が多様化し、「何でもありの人生観」をもつ
のも自由ですが、「共に生きる」意識がぜい弱では、やはり、偏った考えしか
身につきません。などと年がいもなく青いことをほざいていますが、恥をかく
ついでにもう一言、「共生の反対は自己中心、自己中」です。自己中は、恥じ
ることを知らない人のことです。ハードボイルドの作品は、刺激が強すぎてあ
まり読まないのですが、レイモンド・チャンドラーの作品「プレイバック」に
は、「タフでなくては生きていけない。やさしくなければ生きる権利はない」
という忘れられない言葉があります。あまりにも強烈で座右の銘にできません
が、心だけはタフでありたいと念じています。
 
ところで、1982年6月の国連軍縮特別総会で、ケロイドの広がる自身の写
真を振りかざしながら、「ノーモア・ヒバクシャ」を訴えた日本原水爆被害者
団体協議会の代表委員、山口仙二さんが平成25年7月6日に亡くなりました。
核兵器の犠牲者の存在を世界に知らしめた、鬼気迫る歴史的な瞬間でしたが、
どれだけの人がその業績をたたえ、冥福を祈ったでしょうか。
 
昨年の5月27日、オバマ大統領は、原爆慰霊碑の前で演説をしましたが、そ
の碑に刻まれている「安らかに眠ってください。過ちは繰り返しませぬから」
は、核保有国が言うべき言葉ではないか。その国の首脳者こそ、国立広島原爆
死没者追悼平和祈念館に足を運び、地獄絵図を見るべきではないか。大統領が
爆心地を訪問したとはいえ、核兵器の廃絶を、本気になって考えた人々が、世
界中にどれほどいたか、そのことを思うと、暗澹たる気持ちにならざるを得ま
せん。8日に採択された「核兵器禁止条約」、核保有が戦争の勃発の抑止力に
なる、アメリカの核の傘の下にいるから安全、だから日本は賛成しないでは、
持った方が勝ちの世界になります。何時までたっても国の安全をアメリカの力
に頼っていては、本当の独立国といえないでしょう、情けない。
 
戦後、72年を迎え、戦争も原爆も、何やら遠い昔の出来事として、風化され
ているのではないでしょうか。しかし、忘れてはならないことです。事実は事
実として、きちんと語りつがれなければ、戦争のために死んでいった人たちは
浮ばれませんし、申し訳ないではありませんか。これこそ、「現代の民話では
ないだろうか」と、今月に紹介する本の解説者、米屋陽一氏はおっしゃってい
ます。
 
浅はかにも、万物の霊長などと威張っていますが、人間だけではないでしょう
か、殺し合うのは。
それも、憎しみをこめて、徹底的に……。他の動物も同じ仲間同士、争います
が、負けのサインを出すと、攻撃しないものです。満腹のライオンは、しま馬
がそばを通っても襲いません。本当に、人間って、不思議な動物です。極限状
態になると、何をしでかすかわからないのですから。宗教と民族の問題がから
むと、必ず、泥沼に落ち込みます。  
ニューヨークにある世界でも有数なブロンクス動物園には、鉄格子をはめ込ん
だ檻、「鏡の間」があり、その前に立つと、人間の上半身が鏡に映り、その鏡
の上には、こう書かれてあるそうです。
THE MOST DANGEROUS ANIMAL IN THE WORLD
(世界で最も危険な動物)
 
昨年、バングラデシュの首都ダッカで起きた武装集団のテロ事件、被害に遭わ
れた7名の同胞の方々に、何の落ち度があったのか。2度とあのようなテロ事
件を起こしてもらいたくない。
テロも怖いが、直ぐ近くに、核弾頭を装填したミサイル開発に力を入れている
国があることに、もっと恐怖を感じなければいけないのではと思いますが、若
い皆さん方は、どうお考えでしょうか。
 
ところで、少しひっかかる言葉があります。「終戦記念日」です。
これで、親父と大げんかになったことがありました。
「敗戦記念日ではないのですか」
「ばか者! わが日本は、神州不滅の国や。日本は敗けん。天皇陛下様におか
れては、人民の犠牲をすくのうするために、戦いをお止めになさったのや!」
アジアの国々を戦火に巻き込んだモンスターの正体を確認しなければ、「戦争
を起こした東洋の鬼畜」と非難だけされ、やがてこの国は、元気のない国に成
り下がってしまうのではないでしょうか。
 
国際化などといわれていますが、自国が起こした戦争だからと、むやみに平身
低頭して謝るだけでは、他国から馬鹿にされるだけです。きちんとした見識を
もっていなければ、国際人として通用しないことを、もっと真剣に考えるべき
ではないでしょうか。特に、これからの日本を背負ってたつ若い人達は、自虐
史観ではなく、自身の歴史観を身につける必要があります。「なぜ、日本は戦
争を起こしたか」、書店をのぞけば情報は山ほどあります。自分自身のためで
す、わが子のためです。お読みになって、自身の考えを持ち、お子さんに伝え
るべきではないでしょうか。「水に流す」は、日本民族独特の解決の仕方で、
外国では絶対に通用しません。
渡部昇一先生の遺作となりましたが、「渡部昇一の少年日本史」(致知出版 刊)」
も、お薦めしたい1冊です。まだ読んでいませんが、目次を見ると、既刊の
「[増補]決定版 日本史」(扶養文庫刊)が基になっていると思われます。その
本から紹介しましょう。これが自虐史観の正体です。
 
アメリカは、日本のような天然資源もない「持たざる国」がなぜ近代戦を戦え
たのかを分析し、「その源は日本精神にある」という答えにたどり着いたので
ある。その「日本精神」を破壊するために、勝者が敗者を裁くという公平性の
全くない東京裁判で、「戦前の日本は悪い軍国主義で、侵略国家である」と決
めつけた。そして日本に戦争責任のすべてをなすりつけ、日本人に自分たちが
悪かったという負の意識を徹底的に刷り込んだ、いわゆる「東京裁判史観」で
ある。
 ([増補]決定版 日本史 P278 扶養文庫 刊)
 
ところで、童謡に反戦歌があるのをご存知ですか。
「里の秋」です。
 
里の秋
作詞 斉藤 信夫   作曲 海沼 実 
 
一 静かな静かな 里の秋
  お背戸に木の実の落ちる夜は
  ああ、母さんと ただ二人
  栗の実煮てます 囲炉裏端
 
二 明るい明るい 星の空
  鳴き鳴き夜鴨の 渡る夜は
  ああ、父さんの あの笑顔
  栗の実食べては 思い出す
 
三 さよならさよなら 椰子の島
  お船に揺られて 帰られる
  ああ、父さんよ ご無事でと
  今夜も母さんと 祈ります
*お背戸(裏口のこと)
 
終戦の年(1945年 昭和20年)の12月に、NHKの「外地引き上げ同
胞激励の午後」という番組で発表された曲で、兵隊になって戦地に行ったお父
さんが、引き上げ船に乗って帰ってくる、その日を待っている親子の気持ちを
歌ったものです。確か、古賀さと子さんという、可愛い童謡歌手が歌っていた
と記憶しています。しかし、当時は、こういった歌であるとは知りませんでし
た。
作曲者の海沼実は、児童合唱団「音羽ゆりかご会」の設立者で、川田正子、
孝子、美智子の三姉妹をはじめ多くの童謡歌手を育てたことでも知られていま
すが、若い皆さん方には、「みかんの花咲く丘」「見てござる」「夕焼け小焼
け」などの作曲者といった方が、うなずけるのではないでしょうか。
 
ところで、戦後、外地で苦労された人々の話はたくさん残されています。山崎
豊子さんの「不毛地帯」も忘れられない小説の一つですが、完成させてほしか
ったと悔やむ作品があります。平成26年2月に新潮社から1巻のみ発売され
た「約束の海」です。“海上自衛隊の潜水艦と釣り船が衝突、若き士官を待ち
受ける苛烈な日々。その父は昭和16年、真珠湾攻撃で捕虜となり生き残った
特攻隊員、「この日本の海を二度と戦場にしてはならぬ!」”、これがキャッ
チフレーズ。残念ながら山崎さんは平成25年9月29日に亡くなり、未完の
大作となってしまいましたが、残された構想を読むと3巻の予定で、最後まで
読みたくなりますね。(残念)
 
かつて、森村誠一氏が、友人であった「木枯し紋次郎」など380数冊の著者、
故笹沢佐保の絶筆となった未完の「海賊船幽霊丸」を完成させた例もあります。
「海賊と呼ばれた男」の百田尚樹氏に完成させてほしいと思っていたのですが、
「殉愛」を読み、「違うかな」と諦めました。……が、「カエルの楽園」を読
み、Daybreakを叩きまくったHundredに、また、希望を抱いてしま
いました(笑)。
(次回は、「なぜ、鳩は平和のシンボルなのでしょうか」などについてお話しましょう)
 

2019さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>創刊号

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        「めぇでる教育研究所」発行
    2019さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
            創刊号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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2019 さわやかお受験のススメ
現年中児 今から始める小学校受験  創刊号
 
受験者が最も多い慶應義塾幼稚舎、横浜に初等部を開設し、応募者が二分化さ
れたとはいえ、受験者は、2014年度以来(2013年受験)、男子は
1,000名を割っています。
 
2017年度(2016年11月実施) 
慶應義塾幼稚舎 応募者  男子 873名  女子 622名  計 1,495名
慶應義塾横浜初等部    男子 702名 女子 540名 計 1,242名
 
ところが、私立小学校は増えているのです。
全国の私立小学校は230校、東京都53校、神奈川県31校、埼玉県5校、
千葉県10校、茨城県7校の計106校(財 日本私学教育研究所 28年
度版より)で、さらに平成31年4月には、東京農業大学稲花(とうか)小
学校が世田谷に開設されます。
立教女学院短期大学が2018年度以降の募集を停止、廃校することになり
ましたが、これも少子化減少の影響ではないかとも言われているにもかかわ
らずです。
 
このように、受験者が減っているのですが、小学校は増えています。何故で
しょうか。その理由は、やはり、私学には独特の教育理念があり、伝統と歴
史があり、宗教教育、男女別学、大学(高校)までの一貫教育制度などが歓
迎され、そういった環境のもとで教育を受けさせたいと考えるご両親が増え
ているからではないでしょうか。
 
さらに、小学校側も、様々な計画を発表していますが、最も注目されている
のは、学童保育、アフター・スクールの充実ではないでしょうか。
記憶に間違えがなければ、初めて取り組んだのは、ノーベル賞をめざして開
校されたさとえ学園(さいたま市)ではなかったでしょうか。複合型教育と
命名され、正課の授業後、特色あるアフタースクールプログラムを多数開発
したもので、校内に水族館があり、度肝を抜かれたものでした。その後、淑
徳小学校、昭和学院小学校、聖徳大学附属小学校(最長19時、自家用車で
のお迎え可)、そして聖心女子学院初等科がジョアニークラブを、国府台学
院小学部もオリーブグリーンルームを開設し、一層の充実を目指し、共働き
の家庭を応援する貴重な制度に成長しています。
 
では、受験者が減り小学校が増え、入学しやすくなったかといえば、そうで
はないようです。学校側は、定員割れをしても厳しい態度で評価をする姿勢
を見せていますし、専願、推薦でも、入学が叶わないケースも出ています。
    
最近、家庭での学習と公開模擬テストの受験だけで、塾へは年長の夏休み頃
から通い、無事合格と考えるご両親のいることも事実ですが、その結果、あ
と一歩足りなかったと悔やむご両親の増えていることも確かなのです。
 
「入試に必要な知識や礼儀作法なるものを泥縄式に詰め込み、「受験準備、
事足れり」と考えるのは、誤りであることに気づいてほしい」、
 
これはあるミッション系の校長先生の話ですが、ここが小学校受験の難しい
ところなので
す。やはり年中から時間をかけ、無理なく準備することが大切なのです。
 
「泥縄式では通用しません」、その意味を一つ一つ解説し、お子さんには何
が必要なのか、そして学校を選ぶご両親には何が求められているかについて、
じっくりと説明し、納得して頂き、お子さんにとって最もふさわしい学校へ
入学できるように応援いたします。
 
「明日は今日より昨日より」を目標に、「ゆっくり、じっくり」と一緒に頑
張ってみませんか。
 
平成29年7月
めぇでる教育研究所  所長 藤本 紀元

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>夏休みの過ごし方(1)

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        「めぇでる教育研究所」発行
    2018さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
            (第53号)
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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夏休みの過ごし方(1)
 
◇説明会情報◇
慶應義塾幼稚舎の2018年度1年生の入学試験は、2017年11月1日
(水)より8日(水)に実施。実施内容の詳細は、「2018年度1年生入学
試験募集要項」にて説明。「募集要項」は、2017年9月11日(月)から
10月3日(火)幼稚舎事務所で頒布。1部 1.000円。
 
大島舎長は、文言は正確ではありませんが、こうおっしゃっていました。
「最後に、受験に対する保護者の心構えのようなものを申し上げたいと思いま
す。本来、5,6歳の幼い子どもに入学試験を通して、課題を与えて、判断し
たくはありません。しかし、冒頭に申し上げましたように、志願者は多く、男
子約10倍、女子約14倍の倍率を示しています。そのために何らかの試験を
行い選抜せざるを得ません。横浜初等部を開校し、幼稚舎の定員数は増えまし
たが、合格する志望者もいれば、不合格になる志望者もいます。およそ10人
に1人の割合になります。こういう競争にあることを踏まえ、志願して頂きた
いと考えています。入学試験のために、5、6歳の幼い子ども達に、不自然な
生活態度を強いることを望んでいません」
 
東京、神奈川、埼玉、千葉の小学校の入学試験本番まで、後3ヵ月有余、「夏
を制するものは受験を制す」ともいわれています。夏休みの過ごし方に、合否
の鍵があるといっても過言ではありません。
大島舎長ではありせんが、不自然な生活態度を強いることなく、大切な日々を
有効に過ごすポイントは、ご両親の考え方にあります。
 
まずは、何といっても健康管理です。幼稚園が休みになると、生活のリズムが
狂いがちです。幼稚園があるときと同じように、規則正しい生活のリズムを崩
さないことです。1日のスケジュールを立て、それにしたがった、メリハリの
ある生活を送りましょう。 ただし、あれもこれもと、過密なスケジュールで
は、お子さんの負担を増やすだけで、かえってマイナスになりかねません。余
裕を持って、計画を立てることです。遊び時間をきちんと配慮してあげましょ
う。
 
知的な能力は高いが、体力に不安がある子が多いのも、小学校受験の特徴のよ
うです。机の上での勉強だけではなく、体を十分に動かす時間を設けましょう。
買い物などに出かけるときは、車を使わずに歩き、汗を流す機会を作ることで
す。十分も歩かない内に、「おんぶ!」をせがむようでは、とても受験に対応
できません。 
肉体的なスタミナがなければ、精神力も弱いものです。一所懸命に頑張る意欲
や耐久力は、入試に欠かせない大切な要素です。運動教室にお任せだけでは、
真のスタミナはつきません。冷房の効いた快適な環境から、失うものもたくさ
んあります。お父さんにも手伝ってもらい、一緒に汗を流しましょう。お父さ
んのリフレッシュにも、役立ちます。夏休みの間は、ゴルフバッグに封をして
おきましょう。
 
ところで、夏休みに入ると、友達と遊ぶ時間が、不足しがちです。受験一色に
なると、友達との遊びを悪いことと考えるお母さん方がいると聞きますが、そ
れは間違いです。
社会性や協調性といった集団生活への適応力に欠ける子は、どこの学校からも
歓迎されません。
行動観察型のテストでは、こういったところがはっきりと表れます。集団生活
への適応力は、問題集をこなすだけでは養われません。
 
最近、友達が家に来て遊ぶ機会も、少なくなっていると聞きます。
自分の家と全く違う生活習慣があるなど、本来は、貴重な体験をする機会でも
あるのですが、あまり歓迎されていないようです。せめて、同じくらいの年齢
の子がいる親戚を訪ね、違った生活を送るのも貴重な体験になるのですが。
 
また、一人遊びも大切です。
遊びを通して自発性、考える力はもちろんのこと、一生懸命に取り組む意欲や
持久力もついてきます。入学試験に備えて、親が勝手に子どもの遊ぶ時間まで
管理するのは、いかがなものでしょうか。何から何まで管理していると、無気
力、無関心、無感動、無表情な「指示待ち子ども」になりかねません。遊びを
通して培われる力こそ、子どもにとっては、大切な財産になることを、忘れな
いようにしてほしいのです。
 
任期前に辞任し、現場の教師に復帰した加藤三明元幼稚舎長は、毎年説明会で
「5歳のわが子を、受験のためにスポイルしないでほしい」とおっしゃってい
ました。受験準備は、早稲田実業初等部の教育目標ではありませんが、「ゆっ
くり、じっくり、しっかり」と余裕を持って取り組みたいものです。
(私の記憶に誤りがなければの話ですが、今年の説明会で紹介されたスライド
の入学式に、加藤先生が出席されていました)
 
ここで一言。
夏の幼稚園や保育園の行事に、お泊り保育があると思います。その時の様子を
先生から伺っておきましょう。家族から離れて生活した時、今まで気づかなか
ったお子さんの一面が、現れることもあるからです。泣き出してしまうお子さ
んもいて、先生方も意外な思いをする話を、よく耳にします。入学試験は、
「生まれて初めての場所に入り、生まれて初めて会った先生の指示に従い、初
めて会った同年代の子ども達とグループを組み、いろいろなことに取り組む」
からです。心配なところが見つかった場合は、育児が過保護、過干渉、自由放
任になっていないかをチェックし、自信を持って取り組める気持ちを育ててあ
げましょう。
特に、過干渉になりがちなお母さん方、口を挟む前に「1,2,3,4,5」
と数えましょう。そんなわずかな間でも、お子さんに考えさせる時間を与えて
いることに気づいてほしいのです。
 
★家庭でできる具体的な受験準備 
次に、ご家庭でできる具体的な受験準備についてお話しましょう。
本メールマガジンを通して、しつこく触れてきましたので、またかと思われる
でしょうが、大切なことですから繰り返します。
 
1.聞き取る力をつけるには
小学校の入学試験は、話を聞き取る力がついているか、いないかで決まります。
ペーパーテストには設問はありませんし、行動観察型のテストでは、先生の話
を聞かなければ、何もできません。
本を読んであげましょう。
耳と目から入ってくる情報から好奇心は刺激を受け、言葉を映像化する作業が
フル回転で行われ、記憶する意志が自然と働きます。一人になったとき、本を
見ながらお母さんに読んでもらった言葉を、筋道立てて思い出しているのです。
語彙がふえることで言語力、
イメージが豊かになることで想像力、
話を筋道立てて思い出すことで思考力、
より正確に覚えようとすることで記憶力、
言葉や絵、身体で表現することで表現力、
そして、何よりも大切な集中力、話を聞き取る力、話を聞く姿勢が身につきま
す。
 
「本の読み聞かせと対話」の効果を、説明会で最初に力説されたのは、平成14
年に就任した立教小学校の田中司校長で、今年も田代教頭が力説していました。
さらに、お子さんと話をする時間をたくさん作り、よい聞き手に徹してあげま
しょう。 言葉は、とにかく話をしなければどうにもなりません。どんな拙い
表現でもよく聞いてあげ、お母さんが正しい言い方に直してあげましょう。言
葉のキャッチボールを楽しんでください。
「対話の反対は沈黙ではなく、命令と強制」といったのも田中校長でした。含
蓄のある言葉ではないでしょうか。
 
そして、正しい指示を出しましょう。
「ユキちゃん、そこにある、あれ取って」
などと言っていないでしょうか。 
これでは、指示を出した本人しか理解できません。
「ユキちゃん、テーブルの上にあるお料理の本を、お母さんのところまで持っ
てきてください」
「これ・それ・あれ・どれ」は代名詞ですから、きちんと名詞に置き換え、丁
寧なことばで応対しましょう。
 
面接の折りに、「デス、マス」を自然に使って話をさせたければ、お母さんが
お子さんの前で、響きのよい言葉をたくさん使ってあげることです。心地よい
言葉は、使ってみたくなるものです。
 
また、あいさつは、きちんとするように心がけましょう。
 
そして、用事を頼み、お手伝いをしてもらったときは、必ず「ありがとう」と
感謝のことばをかけてください。こういった気配りから、お子さんの心の中に、
相手を思いやる心も育まれてきます。
 
さらに、しりとり、同頭語、同尾語、反対語、短文の復唱などは、言葉遊びと
して、楽しみながら学習すれば、お子さんは喜んで挑戦するはずです。
 
この時期になると、「お話作り」を苦手とするお子さんが増えてくるようです。
前にもお話しました、「ママ(パパ)、あのね!方式」を採用してみましょう。
話す相手がお父さんやお母さんであれば、プレッシャーもかからず、気軽に話
せるからです。
そして、親が作った話を覚えこませるようなことはせずに、自分で思っている
ことを、自分の言葉で話せるように、しっかりと聞き手にまわり、上手、下手
は、二の次と考えることです。
こういった課題は、とにかく、言葉が出なければ、どうしようもないからです。
「こんなこと言ったら笑われるかな!」とか「これでは、ママに叱られるかしら?」
などと思い始めると、言葉は出てきません。
どんな内容でも相槌を打ち、よく聞いてあげてから、
「こうした方が、ママはいいと思うけど、ユキちゃん、どうかしら?」
と、お子さんの話を認めてあげ、導いてあげると、お子さんは納得してついて
くるものです。
 
言葉が出ないのは、お母さんがしゃべりすぎの場合も考えられます。
「何とかしなければ」とお母さんがあせれば、お子さんは苦手意識を持ち始め
ます。自信をなくしますから消極的になりがちで、これでは行動観察型の試験
に対応できません。お子さんの話に耳を貸し、うなずき、認めてあげてから、
お母さんが考える方向へ、「ゆっくり、じっくり、しっかり」と導いてあげまし
ょう。
 
2.考える力をつける
最初のところでもお話しましたが、トランプは、数字と同じ数のマークがかい
てありますから、数感を養うすぐれた教材です。
1枚ずつカードを出しあって勝敗を争えば、直感で多少を見分ける力がつきま
す。
これを繰り返していると不思議なもので、引き算の練習をしているのではない
のですが、 
「6と3では、6の方が3つ多い」
「10と8では2つ違う」
と多少の学習になります。
数の違うカードを5枚並べ、いちばん多いもの、少ないもの、2番目に多いも
のなどの学習もできます。
 
ところで、数え方ですが、たとえば、15個あるリンゴを、お子さんはどのよ
うに数えていますか。
a. 1,2,3,4と1個ずつ指で押さえて正確に数える。
b. 2,4,6,8と2個ずつ押さえて数える。
c. 3,6,9と3個ずつ押さえて数える。
d. 4,8,12と4個ずつ押さえて数える。
e. 5,10,15と5個ずつ押さえて数える。
eは最も速い方法ですが、幼児の手の大きさから考えると、5個ずつ押さえる
のは容易ではありませんから、無理をしないことです。
できれば、3個ずつ、掛け算の3の段、3とびをマスターすると、早く、正確
に数えられます。
    
15個のおはじきをばらばらに置き、からやってみましょう。
言葉と数が一致しないと、に(二),し(四),ろく(六),や(八),とお(十)
と数えられても「や、っていくつ?」といったように混乱しがちです。これを
理解させましょう。数を訓読みで覚えると、一日を除き、日にちに対応できま
す。
15の場合10までいったところで元へ戻り、2、4で止め、1個あまりで14
個、つまり、数え終わったときの4を10にくっつければ14となり、それに
余った1を加えれば15となることを教えます。
この場合、トランプの10と4のカードを使うとわかりやすいと思います。理
解できたら、おはじきは、どんな並べ方でも簡単にできますから、どんどん並
び替えて挑戦してみましょう。
 
以下、同じように、c,dにも取り組みたいのですが、cをマスターできれば
最高と考え、後はできる場合は挑戦してもかまいませんが、絶対に無理をさせ
ないで下さい。
 
そして、eの5個押さえる方法ですが、たとえば、7個のリンゴを数えるとき、
5個の集まりを手で押さえれば、残り2個ですから、合計7個であることがわ
かります。いきなりeの数え方を教えず、きちんと段階を踏んであげましょう。
大人が考えるほど簡単ではないからです。
 
合成、分解も、カードを使うと面白く学習できます。
10のカードを使い、マーク1つを指で押さえれば[1と9]であることがわ
かります。
同様に、2つ押さえて[2と8]、3つ押さえれば[3と7]であることもわ
かります。
以下、同様にして挑戦しましょう。
[10]は[1]が10個集まっていると考えれば、楽しく取り組めるはずで
す。
 
3個の合成、分解について、遊びながら学ぶ方法を紹介しましょう。
おはじきを5個、横に並べます。
1個指で押さえて左へ少し移動させ、次に、左から2番目のおはじきを1個左
に動かすと[〇・〇・〇〇〇]となり、以下同じように、左から3番目のおは
じきを1個左へ動かすと[〇・〇〇・〇〇]、4番目のおはじきを左へ動かす
と[〇・〇〇〇・〇]となり、これをスケッチブックにかいておきます。
元に戻して、最初に2個左へ動かす組み合わせの場合は、[〇〇・〇・〇〇]
[〇〇・〇〇・〇]となります。
これもスケッチブックにかいておきます。
再び、元へ戻し左へ3個動かす場合は、[〇〇〇・〇・〇]しかできません。
これもスケッチブックにかいておきます。
a[〇・〇・〇〇〇]
b[〇・〇〇・〇〇]
c[〇・〇〇〇・〇]
d[〇〇・〇・〇〇]
e[〇〇・〇〇・〇]
f[〇〇〇・〇・〇]
aとcとf、bとdとeは同じ組み合わせであることがわかりますから、
[〇・〇・〇〇〇]と[〇・〇〇・〇〇]の二通りの組み合わせになることが
わかります。
 
興味を示した時は、6,7,8,9,10、それぞれ何通りずつできるか、お
子さんと遊びながら探してみましょう。ただし、嫌がる場合は、絶対にさせな
いで下さい。できないと、合成、分解の問題に、苦手意識を持ちがちだからで
す。あくまでも、「遊び」として挑戦することが大切です。
 
トランプは、神経衰弱からは記憶力が、7並べでは1から13までの数列や系
列完成、下のように並べると上から、下から、左から、右から何番目、黒を中
心に左斜め上、右斜め下といったように位置の問題の学習にもなります。
 □□□
 □■□
 □□□
その他、オセロやおはじきなどで分割を、積み木では、立方体を積み重ねるこ
とで、見えないところにある数の発見、模倣構成、四方図形なども楽しく学習
できます。
積み木の四方図形は、斜面を正面から見る場合、子ども達は「……?」となり
がちですが、実際に積み木を使ってやってみると、理解できます。 
プリント学習に疲れたときなどにゲーム感覚でこういった遊びをすると、気分
転換にもなります。    
数量や推理・思考、図形など、苦手な分野の問題は、じっくりと時間を使える
夏休みにこそ、全力で取り組みましょう。
 
ここで問題を。
折り紙を磁石で持ち上げたいのですが、どうすればできるでしょうか。実験は、
遊びの感覚で取り組むことが大切です。
 
7月に入りました。
間もなく梅雨も明け、猛暑が待っています。夏はこれからが本番です。頑張り
ましょう。    
(次回は、「夏休みにできる家庭学習2」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー 1

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2018さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第35
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面接ケース・スタディー 1
「ジッとしてなさいといったって……!」
 
これから紹介します話は、幼稚園を受験された方々から伺った面接に関する話
や私が担当しています模擬面接、また実際に面接を担当している先生方から教
えて頂いた話などをまとめたものです。
合格された方が意外にも、
「今だから言えますが、こんな幼い子に受験させていいものかと不安のあまり、
何回受験をあきらめようと考えたかわかりませんでした。そのたびに、『私ど
もの教室では、背伸びをさせる無理な受験準備は一切しません。ご両親の考え
が一つになれば、期待通りの結果が出ますから頑張りましょう』と励まされま
した。大切なのは、両親は迷わずに、幼児教室の先生の指導にお任せすること
ですね」
と笑いながら話してくれました。
まさに、2、3歳児の受験の難しさを表す言葉ではないでしょうか。繰り返し
申し上げますが、ポイントを握っているのは、ご両親なのです。
 
それでは、ご両親の育児の姿勢や受験に対する考えが、どのように表れてくる
かを、面接のいろいろな場面を通して紹介しましょう。
 
面接が始まるまで、控室で待ちます。
ここで毎年、いろいろな光景が繰り広げられているようです。
多くの場合、お子さんはもちろんのことですが、両親にとっても、おそらく、
生まれて初めて入った場所でしょうから、緊張するのは当然です。しかし、ご
両親は、自身で選んだ道ですから、自力で解決できないようでは困ります。お
子さんは、もっと、もっと緊張しています。子どもは、緊張しなくても、じっ
としているのは苦手です。控室で、座っていられなく、立ち上がったとしたら、
どうしますか。
 
「ジッとしてなさい!」
この一言で、いろいろなことがわかります。
お子さんのことを少しも考えていない不用意な言葉です。
お子さんの緊張した状態を考えれば、こういった言葉を口には出来ないはずで
す。
困ったことにお母さんの顔は、恐い表情に変わってきています。
顔だけではなく、言葉も、声も怒っていると、お子さんは感じないはずはあり
ません。
これでは、ますます緊張するだけで、中には泣き出すお子さんさえいるそうで
す。そのような親子を見た幼稚園の先生方は、どう思われるでしょうか。
 
一歩外へ出れば、その時から、守らなければならないルールがあり、マナーが
あります。ルールやマナーは、その場で取り繕って、教えるものではありませ
んし、ましてや、このお母さんのように言葉できつく叱責しても、お子さんは
静かに待つようになるものでもありません。
 
普段、図書館など公共の施設を利用した時や、電車やバスに乗った時など、ど
んなことに注意しているでしょうか。
静かに待つ工夫をしているのではありませんか。
大勢人が集まるところでのマナーは、小さい時から、年齢相応に教えているは
ずです。
 
静かに待つために、お子さんの好きな絵本を用意したり、混んだ電車では、お
子さんをひざに乗せたり、外を見る時は靴を脱がせるなどしていると思います。
こういったことは、受験のためにやってきたことではないはずです。一人の人
間として生きるために守らなければならないルールを教えてきたのではないで
しょうか。この積み重ねが、幼い子どもなりのマナーとなって身につくのです。
 
マナーは、肝心な時に表れます。
手抜きをしていると、抜いている分だけ、正直に、子どもは表現します。
そこで慌てても、手遅れです。
子どもの責任ではありません。
きつい言葉で注意を促されても、子どもは混乱するだけです。
 
このように、緊張を強いられるような場面で、お子さんが何よりも頼りにして
いるのは、お母さんのほほ笑みです。
お母さんは「保護者」です。
保護者は、弱いものを守る義務があります。
この控室へ連れてきたのは、ご両親ではありませんか。
上がってしまうようでは、お子さんに申し訳ないと考えましょう。
お子さんの小さな心臓は、ドキンドキンと激しく波打っているはずです。
その鼓動を聞いてあげられる余裕を持ちましょう。
上がっている暇などありません。
普段と変わらないお母さんが、そこにいれば、お子さんも安心して、いつもと
変わらないはずです。
 
お子さんが興味を持っている絵本など用意して、緊張をほぐしてあげましょう。
ただし、お子さんがいくら興味を持っているからといって、怪獣のおもちゃや
ぬいぐるみを持っていくのは、面接や試験を受ける控室には、ふさわしくあり
ません。幼児教室へ通う時に、おもちゃなどを持っていく習慣がついていると、
試験当日だけ「駄目!」は、お子さんに通じないと心得ておきたいものです。
 
また、教室の控室などで、入室する前に、ジュースやお菓子を食べさせること
もあるようですが、幼児の場合は、こういった習慣がつくと、肝心な時に、お
菓子がないといってぐずる場合もあるようです。
こういった生活習慣のけじめも、きちんとつけておきたいものです。
 
お母さんと絵本を見ながら、静かに待っているお子さん。
ゆったりと構えて順番を待つお父さん。
育児にご自身の哲学を持ってほしいとは、こういうことなのです。
このような親子を、幼稚園が歓迎しないわけがありません。
 
育児に「付け焼刃はきかない」ことを肝に銘じておきましょう。
 (次回は、面接ケース・スタディー編2をお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<保護者編>第9章(4)七夕祭りでしょう 文月

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2018さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第35号-
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第9章(4) 七夕祭りでしょう   文 月
 
私はラグビー・ファンの一人ですが、勝てませんね。体力の差、私も経験があ
ります。80歳になったアメリカのトランペット奏者、ワイルド・ビル・デビ
ソンと共演したことがありますが、40歳の時に吹き込んだレコードで聴いて
いた、その通りの高い音が出て来るので、愕然としました。80歳ですよ。シ
カゴのギャングの親分、アル・カポネの経営するバーで演奏していた、もう歴
史上の人物ですが、私の憧れのジャズプレイヤーで、その時録音したCDを時々
聴いていますが、私の唯一のお宝です(笑)。
 
【七月に読んであげたい本】  
七夕とお盆です。どちらも、その縁起話があるので、紹介しましょう。
 
◆天女のよめさま◆   常光 徹 著
むかし、ある村の若い猟師が、沼のほとりで昼寝から目を覚すと天女が三人、
泳いでいました。若者は、木にかけてあったとび衣(羽衣)を一枚隠したので
す。水浴びが終わると、天女はとび衣を着て、天へ舞い上がって行きましたが、
隠された天女は天上に帰れません。若者は、泣いていても仕方がないと慰め、
家に連れて帰ったのです。
  やがて、天女は若者の嫁になり、三人の子どもが生まれました。ある時、
上の子が、むずかる下の子をあやす歌を聞き、その歌詞をヒントにとび衣を見
つけ、子どもを連れて、天上へ帰ったのです。家に帰った若者は、「会いたけ
れば、一番鶏が鳴く前に、わらじ百足分を肥やしにし、夕顔の種を植えてくだ
さい」との置き手紙を読み、わらじを作ったのですが、あと一足で夜が明けた
ので、わらじを埋め、夕顔の種を植え、眠ってしまいました。目覚めた若者が
見たのは、空に伸びた、夕顔のつるでした。これで、嫁や子どもに会えると、
犬を抱えて登ったのですが、もう少しの所で、つるは止まっていました。若者
は、犬を天上に放り上げ、しっぽにつかまり、天の庭に跳ね上り、家族と再会
できたのです。
ところが、天上のじいさまは、若者を快く思わず、「四町歩の畑を一日で耕せ!」
などと難癖をつけるのです。その度に、嫁さまの助けで解決しますが、最後は、
うまくいきませんでした。うりの収穫が終わると、じいさまは、縦に切れ(本
当は横に切る)というので切ると、積んであるうりが、音をたてて裂け、水が
あふれ出して大水となり、若者をのみこみ、流れていくのです。嫁さまは、毎
月、七日に会いましょうと呼びましたが、若者は、七月七日と聞いてしまい、
それ以来、年に一度、七月七日に、二人は会うことになったのです。
うりからあふれ出た大水が、夏の夜空に見える天の川になったのでした。 
七月のおはなし 「かっぱのおくりもの」 松谷 みよ子/吉沢 和夫 監修
       日本民話の会・編 国土社 刊
  
同じような話に、鈴木三重吉の「星の女」があります。馬車や蜘蛛(くも)の
王様が出てくるので、「羽衣伝説」は日本の他にあるのかなと、不思議に思っ
たことを思い出します、何しろ、天女には、三保の松原が、最もお似合いの場
所だと信じていましたから。世界文化遺産に登録された富士山、三保の松原か
ら見た富士の姿は、見た人でなければわからないのではと心配していましたが、
わかっていた方が大勢いらっしゃったということですね。約7kmに渡る海岸
線に、およそ5万4千本の松が茂る、国指定の名勝、絶景です。富士山につい
ては、8月に詳しくお話しします。
鈴木三重吉は、立ち往生したソリで過ごす少年の素晴らしい知恵を描いた「少
年駅伝夫」、肉屋と野良犬の心温まる生活を描いた「やどなし犬」など、子ど
もたちに読んでもらいたい作品が残されています。
 
この話から、「ジャックと豆の木」を思い出しませんか。何回もいいますが、
人間、どこに住んでいても考えることは同じなのです。そう思うと、何やらう
れしくなります。本当は、心のやさしい生きものなのです、人間は。ところで、
「ジャックと豆の木」に出てくるのは「鬼」でしょうか、それとも「大男」で
しょうか。
 
◆お盆のはじまり◆
七月十五日は、祖先や亡くなった人たちの霊をなぐさめるお盆の日です。お盆
の縁起を伝える話が残されています。
お釈迦さまに、目蓮上人という神通力にたけたお弟子がいて、修行中に息を引
きとり、あの世へ旅立ちました。死んだお母さんに会いたいと思い、三途の川
を渡り、閻魔大王のいる関所に着き、母に会わせてくれるよう、願い出たので
す。大王は、上人を、湯が煮えたぎる大きな釜の所へ連れていきました。釜の
中では、釜茹の刑を受ける人達がうめき、叫び声を上げていたのです。上人が、
母の名前を呼んでいると、釜の中から一匹のカメがはい上がり、「私がお前の
母だ」というのです。その訳を尋ねると、お前が可愛くて、賢いことを自慢し、
お前さえ長生きすればよいと罪深いことばかり考えていたからだというのです。
上人は、お母さんを助ける方法はないかと尋ねると、毎日、石に一字ずつお経
を書き、それからお経を読んでと言いかけたとき、番人の鬼がきて、カメを湯
の中へ投げ込んでしまい、二度と姿を見せません。そこで上人は、大王にお礼
を言うと、不思議なことに、再びこの世に戻ってきたのです。               
次の日、上人は神通力で、八千人もの羅漢(悟りに達した仏教の修行者)を集
め、一つ一つの石に、一字ずつお経を書き、お母さんのために、盛大な供養を
行ったのです。すると、紫雲たなびく天上遥かから、「お前のおかげで極楽浄
土へ行けるようになったよ」というお母さんの声が聞こえてきたのでした。上
人は、その後、毎年、七月十五日になると、お灯明をあげ、祭壇に新鮮な野菜
を備え、お母さんや祖先の供養をしたそうです。
これが、お盆の始まりだそうです。
日づけのあるお話 365日
  七月のむかし話 谷 真介 編・著 金の星社 刊
 
この話を聞くたびに、私は「子煩悩」という言葉を思い出します。この言葉か
ら、子どもをかわいがる親のイメージを持ちがちですが、本当はそうではあり
ません。煩悩とは、「心身にまといつき心をかき乱す、一切の妄念・欲望」
(岩波国語辞典)のことです。「子煩悩」は、「子は煩悩のもと」と考えるべ
きなのです。すると、目蓮上人のお母さんが、なぜ地獄へ落ちたかわかります。
「お前のことが可愛くて、可愛くてね。お前が賢いことを人に自慢ばかりして
いたのじゃ。他の人は早く死んで、おまえだけ長生きしてくれればいいと、罪
深いことばかり考えていたからだよ」。
少子化時代のお母さん、過保護な育児をしていると、「子煩悩地獄」に落ちま
す。被害者は、お子さん自身であることに、早く気づいてほしいものです。
 
また、「子ゆえの闇」という言葉があります。
    
「人の親の 心は闇に あらねども 子を思ふ道に まどひぬるかな」
   藤原 兼輔 
親の心は普段は正しいが、子どものことを思うときだけは、迷いが生じてしま
う、という意味の歌である。ここから「子ゆえの闇」という言い方が生まれた。
どんなに理性的な人でも、ことわが子が置かれた環境や将来の話になると思慮
分別をなくしてしまう……子を持つ親なら、そういう気持ちはよく理解できる
はずである。早い話が親ばかだが……。
(知らない日本語 教養が試される341語  谷沢永一 著 幻冬社 刊 P57)
 
「早い話が親ばかだが……。」わかっていますが、つける薬はないということ
ですね。目下、孫バカにはまりそうで、自戒しています(笑)。
 
話に出てきた「羅漢」、小江戸と呼ばれる川越市の喜多院の境内にも、五百の
羅漢さんがいらっしゃいますが、同じ顔は一つもないそうです。喜多院には、
家光誕生の間や春日局が使っていた化粧の間があり、時の鐘、蔵造などと共に
欠かせない観光スポット。
なぜ、春日局が家光の乳母になれたのか、その訳は本能寺の変にあったのです。
本能寺の変は、信長が光秀に命じて家康を討つ手はずが狂い起きたもので、
「なぬ!」と目をむきたくなる事実を、光秀の子孫にあたる明智憲三郎氏が
「本能寺の変 431年目の真実」(文芸社文庫 刊)で解き明かしています。
なぜ、あの用心深い信長や家康が、わずかな手兵で本能寺へやってきたのか、
(家康を油断させて光秀に討たせるため)。なぜ、秀吉があれほど速く戦場か
ら引き返し光秀を討つことが出来たのか、(計画を知っていた)など、驚くこ
とばかり。謀反を事前に察知した家康は岡崎に帰り、甲斐、信濃の織田家に敵
対行動に出たが、光秀は秀吉に討ち取られる。加担した家康のことを知ってい
たが、口を割らずに処刑されたのが光秀の重臣であった斉藤利三、その娘がお
福で後の春日局。感謝の意味で乳母にしたとのことで、単細胞の私は、納得し
てしまいました(笑)。
 
そして光秀が本能寺の変の前に詠んだ連歌の発句、「時は今天が下しる五月か
な」の「時」は「土岐一族」で、「天が下しる」は「天下を治(し)る、統治
する」、「六月には天下を取る」という意味で、光秀の謀反は土岐氏にとって
は再興の戦い。これは秀吉が書かせた「惟任退治記」にあるもので、この本を
もとに脚色され世に出たのが「明智軍記」、司馬遼太郎の「国盗り物語 全4
巻(新潮文庫 巻)」は、これを使ってベストセラーになったと言う。
 
本能寺の変は、秀吉、家康、幽斎の3人がかかわったことだが、光秀一人に責
任を負わされたと結ぶ。膨大な資料と子孫の意地が、ここまで切り込むことを
可能にしたのでしょう。何が起きてもおかしくない戦国時代、まだ新たな事実
を知る機会は残されていると思いました。(感謝)
 
それにしても不思議な存在が細川幽斎(藤孝)。長子、忠興の正室は、光秀の
妹、珠子、かの細川ガラシャ。再三の出陣の要請に応えなかった幽斎。「足利、
織田、秀吉、家康の4つの時代に生き、どの時代にも特別席に座り続けた、生
き方の名人」と司馬遼太郎は、「あとがき」で述べていますが、文武両道の達
人、戦国時代の生き様そのものに、度肝を抜かされますね。
蛇足ですが、松本清張の「火の縄」(講談社文庫 刊)では、珠子の違った性
格があぶり出されており、さすが巨匠とうなずかされる傑作もあります。
 
ちなみに、16万部売れたそうですが、「絶歌」は15万部印刷されたとか。
パソコンで検索し、「神戸連続児童殺傷事件」(ウィキペディア)を読むと吐
き気をもよおすほど気分が悪くなり、自称、活字中毒気味の私ですが、読む気
になれません。(激憤)昨年のことでしたが、どうなりましたか。
 
次に紹介する話は、「ナヌ?」となるはずです。そうです、芥川龍之介の世界
です。こういった作品に出会うと、「やってくれるではないですか」とうれし
くなりますね。
 
◆にんじんのしっぽ◆   水谷章三 著
むかし、けちなばあさんが、じいさんと隣同士に住んでいました。じいさんが
風邪を引き、薬にんじんを分けてくれと頼むと、一本あげるのを惜しみ、細い
にんじんを半分に折り、曲がったしっぽのところを、あげたのです。じいさん
の風邪は治りました。その後しばらくして、ばあさんが死にました。行き先は、
地獄です。
釜に投げこまれ、首だけ出して苦しみ、もがいていた時、天の神さまが、雲に
乗り通りかかったので、助けてくれと大騒ぎをしたのです。その声が神さまの
耳に届き、何か方法はないかと、使いの者を閻魔大王のもとへ走らせたのでし
た。困ったのは、大王です。ばあさんは、何も善いことをしていないからです。
閻魔台帳を見ていると、やっと見つかったのは、隣のじいさんに、薬にんじん
をあげたことでした。大王は鬼に言いつけ、薬にんじんのしっぽを、使いの者
に渡しました。
神さまは、「お前が人助けをした、にんじんのしっぽだ。これにつかまって上
がれ」と釜の上に降ろしたのです。それにつかまったばあさんを、神さまが引
き上げはじめました。釜から二本の足が出ると、右足に一人、左足に一人、亡
者が飛びついたのです。すると、四本の足に一人ずつ飛びつき、八本の足とな
り、十六人、三十二人と亡者が飛びつきます。ばあさんは、かなり上まで来た
と思い下を見ると、足の下に亡者がつながっているではありませんか。にんじ
んが切れてしまうと、ばあさんが足をこねまわしたからたまりません。取りつ
いていた亡者どもは、地獄の釜に落ちてしまいました。ばあさん一人になり、
天国に上れると思ったのですが、あと一息のところで、しっぽは切れ、ばあさ
んも地獄に戻ってしまったのです。そして、「人のこと、降り落とさねばよか
ったってか、どうかな」と、つぶやいたのでした。                    
九月のはなし   きのこばけもの 松谷みよ子/吉沢和生・監修
         日本民話の会・編 国土社 刊     
 
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」と違うのは、ばあさんの最後の一言でしょう。お釈
迦さまが、犍陀多(カンダタ)の無慈悲な心を哀れんだのに対して、このばあ
さんの一声は、「人のこと、降り落とさねばよかったのではないのかだって、
どうかな。そんなことはわからないよ」と、ばあさん本人に言わせているとこ
ろがいいですね。後悔しないで開き直っています。昔話は、その時代に生きた
庶民の息吹を感じることができます。この話も意味深長ではないでしょうか。
人生を達観している気がします。こんなことをいうと、芥川龍之介のファンか
ら「生意気いうな!」とお叱りを受けそうですが、気の小さな私は、蜘蛛を踏
み潰さなかった犍陀多の気持ちがよくわかりますし、このけちなばあさんのふ
てぶてしい言葉には、「さすが女性だな」と思うのですが、女性の方からブー
イングがあるかも知れません(笑)。こういった話に出会うと民話にも説得力
があり、読んでいて楽しくなります。
 
最後に、うなぎに関した面白い話があるのですが、パソコンで検索しても見つ
かりません。寺村輝夫氏の「とんち話・むかし話シリーズ」の「わらいばなし
編」(あかね書房 刊)ではないかと思います。題もうろ覚えで間違っている
かもしれませんが、こういった話です。
 
においの値段
うなぎ屋さんの店の前に、舌を出すのもいやな、けちべえさんが住んでいまし
た。昼時になると、けちべえさんは、お茶碗にご飯をいっぱいつめ、家の窓を
あけ、うなぎの焼ける匂いをかぎながら、美味そうにご飯を食べるのでした。
うなぎ屋さんはこれがしゃくで、何とかお金を取れないものかと考えていたの
です。
ある日のこと、請求書を持って、けちべえさんの家に行ったのでした。
「けちべえさん、あなたは、毎日、お昼になると、うなぎの匂いをかいで、ご
飯を食べていますが、うなぎはただではありません。匂い代を払ってくれませ
んか」
「ああ、いいですよ。毎日、ご馳走になっていますから」
といって、けちべえさんは、奥にいって、何と財布を持って出てきたではあり
ませんか。
「いくらですかな?」
驚いたのはうなぎ屋さんです。 けちべえさんが、お金を払ってくれるなど、
信じられなかったからです。
「1月分ですから、ちょうど○○です」
「おや、安いものですな。じゃ、払いますよ」
といって、お金を床に投げ出したのでした。チャリン、チャリンと音を立てた
のを聞いたけちべえさんは、
「私は、匂いだけをかぎましたから、お前さんにもお金の音だけで払ってあげ
ましょう」
といって、お金を拾い、さっさと奥に入ってしまったのでした。
 
落語にも同じ話があったと記憶しています。これは、とんち話ですから、子ど
も達の方が知っているかもしれません。私たちの世代にとってとんち話は、エ
スプリを磨くといってはオーバーですが、子ども達には人気がありました。し
かし、本は手に入らず、ほとんど祖父母や両親から聞いたものでした。今は、
あふれるほど本は出版されていますから、読まなければもったいないですね。
この「もったいない」という言葉、粗末に扱われているのではないでしょうか。
子ども達に、きちんと教えたい言葉です。
 
環境保護と民主化に情熱を注ぎ続けたケニアのワンガリ・マータイさんは、
2011年10月25日に亡くなりましたが、2005年に来日、「もったい
ない」という言葉に感銘を受け、「MOTTAINAI キャンペーン」を世
界中に広めました。本家が無駄遣いをしているようでは、マータイさんも浮か
ばれません。
「節電」を徹底し、無駄な電力は使わず、原子力発電だけに頼らなくても生活
できることを、実証すべきで、絵に描いた餅のようでは、いざという時に役立
ちません。計画停電や食料品、飲料水が、店頭から姿を消してしまった日のあ
ったことを忘れては、また自然災害が起きた時、後手に回り、塗炭の苦しみを
味わうだけではないでしょうか。
マータイさんは、私と同じ1940年生まれで、他人事とは思えず、私なりに
「もったいないキャンペーン」を心がけています。
「人の心に火をともす」、キャンペーンは、かくありたいものです。
 
7月1日、幼稚舎の説明会へ行ってきましたが、毎年見られた七夕飾りが、あ
りませんでした。幼稚舎の子ども達の短冊に込められた願い事を知る機会でし
たが、残念!
(次回は「終戦記念日、このことです」についてお話しましょう)

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