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めぇでるコラム : 2020年8月 2ページ目

さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー(7)

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2021さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第41号
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面接 ケース・スタディ編(7)
   「タイクツダナァ……!」
 
 
お子さんへの質問が終わると、今度はご両親の番です。
面接が終わると、お子さんだけ他の部屋へいって遊ぶような場合は心配ありま
せんが、親の面接が続く場合は、こういったことも十分に考えられます。
模擬面接でも、よくあるからです。
 
じっと座っていたお子さんが、足をブラブラしはじめました。
その時です。
お母さんが、手で制し、キッとにらみつけたのです。
子どもでなくても、びっくりします。
ハッとして、うつむいてしまいました。
テーブルをはさんでの面接ですから、直接、先生方には見えません。
おそらく、お母さんが、テーブルの下で足をおさえつけたのでしょう。
顔が、そういっています。
もっとすごいお母さんになると、手を叩くそうです。
どう思いますか。
 
ご両親の面接になると、お母さんもご主人の話を真剣に聞いています。
「いま、ご主人のおっしゃったことについて、どう思われますか」
などと質問されることもあるからです。
しかし、お子さんは退屈しはじめます。
足をブラブラさせるどころか、手をテーブルの上に置いたり、頭を触ったり、
とにかくじっとしていられません。
それどころか、椅子から立ち上がって歩き始めるお子さんもいます。
「お座りしていなさい」
といいながら、ほとんどのお母さんは、強引に手で引っ張り、座らせようとし
ます。 
これもどうでしょうか。
 
こういった経験をされたお母さんから、聞いた話です。
ミキちゃんは、じっとするのが苦手で、3分間が限界だそうです。
でも、それが幼児です。
30分間も、じっと座っている子がいたら、気持ちが悪くなりませんか。
面接当日、心配したとおりミキちゃんは、椅子から立ち上がろうとしました。
「ミキちゃん、もう少し頑張ってね!」
期待に応えて、少し頑張りました。
しかし、もう限界です。
でも、今度は、お母さんは止めませんでした。
そして、
「先生、すみません。このままでよろしいでしょうか?」
と尋ねてみました。
「もう少しですから、お母さんのおひざで待ちましょうね」
こうおっしゃってくれたそうです。
ミキちゃんの一番心の休まる場所ですから、静かに待てて、無事、面接を終え
たばかりか、合格しました。
 
2、3歳児にとり、静かに座って待つことは、大変に難しいものです。
とにかく、じっとしていないのが幼児です。
口だけで強制するのは、無理です。
このお母さんのように、強引に手を引かずに、先生に聞いてみることも大切で
はないでしょうか。
お母さんが聞けたのは、ミキちゃんの性格をよく知っているからです。
ミキちゃんの不安な気持ちが、立ち上がるしぐさに表われています。
子どもの置かれている状態を考えて、子どもの気持ちになって行動しようとす
るお母さんであることもよくわかります。
 
普段、お子さんと静かに過ごす時間を作っていますか。
お子さんの好きな絵本を、読んであげていますか。
お子さんの話をちゃんと聞いてあげていますか。
好きな話を読んでもらい、話を聞いてもらっていると、静かに待つ姿勢も身に
つきます。
 
「ここで立ち上がったからマイナス10点!」
幼稚園側が、そんな採点をするわけはありません。
その時のお母さんの取った態度が、採点の対象になるはずです。
強引に座らせ、叱責するだけでは、保護者とはいえません。
くどいようですが、繰り返します。
お母さん方は、保護者です。
お子さんが、初めての場所や、初対面の人には、どのような態度をとりがちか、
一番よく知っているのは、お母さん方ではありませんか。
起こりえるケースをいろいろと想定し、どのように対処すべきか、考えておく
べきではないでしょうか。
 
猛暑、いや酷暑といったほうが適切かもしれませんね。コンディションをくず
さないよう健康管理には、十分に注意して下さい。
 
 (次回は、ケース・スタディ編8についてお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<保護者編>第 11章 お月見です長月(2)

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2021さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第41号
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第11章  お月見です   長 月(2)
  
★★秋の七草★★
 
春の七草は、色彩的には黄色が多く、それに食べられるものばかりでした。
正月の7日に食べる七草粥には、春の七草が入っています。今年1年間、息災
で病気にならないようにと、払いの意味で食べたものですが、正月にご馳走を
食べすぎて、弱った内蔵をいたわる意味で食べたのでしょう。これも昔の人の
生活の知恵です。
 
秋の七草は、どうでしょうか。                  
萩(はぎ) 薄(すすき) 葛(くず) 撫子(なでしこ) 女郎花(おみなえし) 
藤袴(ふじばかま) 桔梗(ききょう)をいいます。見るとわかりますが、紫色が
多くて観賞用です。葛は、根は解熱剤として使われていますし、粉にした葛粉
は食べられますが、春の七草とは、大変な違いです。                                       
 
事の起こりは万葉集で、山上憶良が秋の七種の草花を詠んだことから、秋の七
草といわれるようになったのです。
 
 秋の野に 咲きたる花を 指(おゆび)折り かき数ふれば 七草の花
 芽子(はぎ)の花 尾花 葛花(くずばな) 瞿麦(なでしこ)の花
 女郎花(おみなえし)また藤袴 朝貌(あさがお)が花
                                  
 (万葉集八巻 山上憶良)
                               
朝貌の花は、現在では桔梗のことです。
芽子といい瞿麦といい朝貌といい、昔の字は、秋の七草にしてはゴツゴツした
感じを受けませんか。何だか花の名前の感じがしません。今の方が、親しめま
す。いや、もっと現実的な秋の七草があります。
 
昭和10年、菊池寛、高浜虚子などの文人や学者の推薦によって新聞社が選ん
だ「新秋の七草」があります。菊、葉鶏頭(はげいとう)、秋桜(コスモス)、
彼岸花、赤飯(あかまんま)、白粉花(おしろいばな)、秋海棠(しゅうかいど
う)の七草です。山上憶良と比べると、色彩豊かで華やかで、人手がかかって
いる感じがします。
 
平成にふさわしい「秋の七草」は、インターネットの投票によると、春の七草
でご紹介した左大臣四辻善成(平安時代)の真似をするとこうなります。
 
    ハギ キキョウ  コスモス ススキ ヒガンバナ
                  リンドウ ナデシコ 秋の七草
 
しかし、本来の七草は、人の手にかかることをこばむ野草という感じが伝わっ
てきますが、いかがでしょうか。                                     
 
話は変わりますが、秋桜(コスモス)、漢字で書くと日本産まれのようですが、
何とメキシコ産です。
コスモスは、一見、葉もきゃしゃで弱々しく、花もたおやかですから、責任を
もって、きちんと保護してあげなくてはと思いがちですが、茎は太く、本当は、
強いのです。台風でなぎ倒されても、いつのまにか窮屈な姿勢ながらも、花を
咲かせます。さすが、メキシコ産と納得しているのは、私だけでしょうか。
「秋桜」と書いて「コスモス」と、今までになかった読み方が広まったのは、
山口百恵さんのヒット曲「秋桜(コスモス)」(1977年 昭和52年)か
らだそうで、作詞、作曲者のさだ まさし氏は、「小春日和」と名づけていた
とか。嫁ぐ娘が母を思う曲で、
 
   ♪突然涙こぼし元気でと 何度も何度も繰り返す母
    ありがとうの言葉をかみしめながら 生きてみます私なりに
    こんな小春日和の穏やかな日は もう少しあなたの子供で いさせて
    ください♪
 
泣かされましたね、男のくせに。(赤面)
もう一つのヒット曲「プレイバックPart2」にはびっくり。あんなリズムで歌
える歌手は、当時、いませんでしたから。「馬鹿にしないでよ そっちのせい
よ! Play back Play back!」と蓮っ葉なセリフが、かわいかったですね
(笑)。旧伸芽会にお世話になっていた時、教室のあったマンションに三浦夫
妻が住んでおり、長男の小学校受験で、私がお世話をする可能性もあったので
すが、引っ越しをされ実現しませんでした。(残念!)
 
 
 
★★重陽って、五節句の一つではないのですか★★
 
9月といえば重陽の節句、とならないのが不思議です。
3月の「ひな祭りですね」を思い出してください。9月9日を重陽といい、陰
暦9月9日の節句で、「9」は陰陽道では、陽の数とされており、この2つの
数を重ねた日で、菊の節句ともいわれていると紹介しました。陰陽道では、こ
のように奇数を尊び、「9」を最高の数と考え、天の数、天子様の数として、
神聖視されていました。それでしたら、大変な日ではありませんか。
しかし、何かお祝いをした記憶がないのです。
 
 この日は菊の節句である。平安時代に菊は「翁草」「千代見草」「齢草(よ
 わいぐさ)」などといわれ、重陽の節句に寒菊の酒宴が催された。「菊酒」
 といって、酒に菊の花をひたして飲むと、長生きできるといわれ、また「菊
 の着せ綿」といって、前の晩に菊にかぶせて露にしめらせた綿で身体を拭く
 と長寿を保つといわれた。
 (年中行事を「科学」する 永田久 著 日本経済新聞社 刊 P180-181)
 
このように菊は、古くから薬用植物として珍重されていましたが、菊の芯を集
めて作る枕を菊枕や幽人枕(ゆうじんちん)ともいって、香りが高く、頭痛を
治し、邪気を払うといわれ珍重されていたそうです。
そういえば、「菊政宗」という日本酒がありますが、命名のいわれは、これで
しょう。菊正宗の純米酒は「上善如水(じょうぜん水のごとし)」で絶品です。
適量をたしなめば、酒も良薬の一種に違いないのですが、適量をたしなむのは
至難の業で、意志の強い持ち主でなければ難しいですね。苦労しています(笑)。
 
脱線しますが、千利休は「酒盃の銘」で、「一盃は、人、酒を呑む。二盃は、
酒、酒を呑む。三盃は、酒、人を呑む」といっていますが、けだし、名言です
ね。酒が人を呑むと虎に変身しますが、なぜ、酔っぱらいを虎というのか、親
父の話では、酒のことを「ささ」といい、笹の生えているところに虎がいるか
らだといっていましたが、酔っぱらいを収容する所を「トラ箱」というのもう
なずけますね。
 
蛇足ですが、「上善如水」は5月に紹介しましたが、老子道徳8章にある「水
は万物を潤し、利を与え、自分を主張することなく、器に添って形を変え、争
わず、流れに逆らわない。老子の無為自然の生き方」をいうもので、新潟の白
龍酒造にも「上善如水」があり、何だか名酒を賛美するための言葉のようです
が、とんでもない誤りで、酒飲みがカッコつけて飲むための言い訳にすぎませ
ん(笑)。
                        
 「菊」は漢名(中国での名称)の「菊」を音読みしたもので、「菊」の漢字
 は「散らばった米を一ヶ所に集める」の意味があり、菊の花弁を米に見立て
 たもの。また、漢名の「菊」は、「究極、最終」を意味し、1年の一番終わ
 りに咲くことから名づけられた。                
          (www.hana300.com/kiku00.htmlより)
 
日本の国花は、桜と菊です。
桜に始まり菊で終わる、自然に恵まれた日本を象徴する花であり、国花にふさ
わしい花であることも肯けます。
 
菊は、その姿が、端整で、美しく、香りにも、何ともいえない気品があります。
古くから菊は、竹、梅、蘭と合わせて四君子(しくんし)といわれ、水墨画の
画材によく使われていました。
菊の品評会などで見る菊は、華やかなムードに包まれ 十分に手間暇のかかっ
ている感じが、匂い出ています。菊人形も、ここまでやるかと、文句のつけよ
うのない作品もあり、うならされます。
いずれも、秋の風物詩として欠かせません。
                   
しかし、人里離れた山あいに、ひっそりと咲く、小さな野菊、あれも、いいで
すね。
香もふくいくとして、観賞用の人工菊に、絶対に負けません。寒さに強く、晩
秋から初冬にかけて、けなげにも咲き続けています。花は、ひっそりと咲いて
いるからこそ、もののあわれを誘います。
女性も、ひっそりと、ひかえめがいいのですが、今風ではありません。これを
いうのには、勇気がいります。「ますらお不在」といわれそうだからです。
「ますらお」は「丈夫・益荒男」と書き、強くて、堂々とした、立派な男子の
ことです。
 
ところで、皇室の菊の御紋章、あれは十六葉八重表菊で、後鳥羽上皇が、特に
菊を好まれたために定められたものです。
そして、欲しい人には最高の価値がある勲章、舌をかみそうですが、大勲位菊
花大綬章は、朝日と菊の花を表しています。
この勲章を、断る方がいます。確固たる理由があるのでしょう。そういった話
を聞くたびに、なぜか、さわやかな気持ちになります。もっとも、私自身、勲
章をもらえる条件が何もなく、ひがんでいるにすぎないのですが(笑)。
 
リーズナブルな刺身についているプラスチック製の菊、あれは単なる飾り物で
すが、上等な刺身には、食用の生菊が、さん然と輝いています。これは高価な
ものですから、必ず、頂きましょう。菊の花をむしって、小皿の醤油に散らし、
刺身と一緒に食べます。
菊は、わさび、生姜、レモン、酢橘(すだち)、蓼(たで)と同様、食中毒や
食材の腐食を防ぐ自然の優れものです。これらの菊は、観賞用とは異なり食用
として栽培されたもので、さっと湯がいて三杯酢で食べても、おひたしにして
も、なかなかおつなものです。
 
ところで、刺身をのせている「刺身のつま」というのでしょうか、面白い存在で
すね。
ほとんどが大根か海藻(おごのり)ですが、あれがついていないと、何か物足
りない感じがします。しかし、ほとんどの方は、決して、好んで、食べません。
明治生まれの親父は、それこそ一本も残さず食べていましたから、私も残せま
せん。主役の鮪や鯛の刺身を引き立たせる脇役を立派に果たしているのですが、
刺身のなくなった後の姿は、何とも哀れです。「人間、引き際が大切だと教え
ているのではないでしょうか」などと、「よいしょ」することもありませんが、
何かかばってあげたくなりませんか(笑)。
 
話を戻して、五十円硬貨の表のデザインは、何と菊です。さらに、兵庫県の県
花は、野路菊(のじぎく)です。ご存知のことと思いますが、菊は献花に用いま
すから、病気の見舞いには、タブーの花となっています。
 
日本の三大怪談話は、「四谷怪談」「番町皿屋敷」「牡丹燈籠」ですが、「1
枚、2枚……」と夜な夜な皿を数える幽霊の名は「お菊」だからいいのであっ
て、「おなべ」「おくま」「おとら」ではさまにならないという話を阿刀田高
氏の本で読んだのですが、「アッハッハ!」と笑っただけで、出典を控えません
でした、済みません。こういった幽霊なら、寝苦しい丑三つ時(午前2時ごろ)
に出てほしいですね。丑三つ時は、幽霊の出動時間です(笑)。
 
最後に、ことわざを一つ。
  「春蘭秋菊 ともに 廃すべからず」(両者ともに優れており捨てがたい)
蘭と菊は、四君子の二つです。 
島根県にも清水寺があることを、五木寛之氏の「百寺巡礼 第8巻」(講談社 
刊)を読んで知り、素晴らしい三重塔を見ようとパソコンで検索していた時に、
島根県江津市のホームページで、この解説を読んだのですが、わかりやすいの
で紹介しましょう。
 
 中国では、「梅」「蘭」「竹」「菊」の4種の草木は「四君子」と呼ばれ、
 古来より人々に愛されています。「君子」とは人徳・学識・礼儀に優れた人
 のことですが、「梅蘭竹菊」は気品の高い美しさを備え、梅は高潔、蘭は清
 逸、竹は節操、菊は淡泊と「君子」に似た特徴をもっていることから、草木
 の中の「四君子」に例えられています。
         筆者注 清逸(せいいつ) 清く浮世離れしていること
  (島根県江津市のホームページ http://www.city.gotsu.lg.jp/6490.html)
 
5月にも紹介しました「六日の菖蒲」、それに加えて「六日の菖蒲、十日の菊」
があります。菖蒲は5月5日の端午の節句に、菊は9月9日の重陽の節句に用
いるもので、6日と10日では間に合わないことから、「時期に遅れて役に立
たないこと」のたとえです。類義語としては「後の祭り」「夏炉冬扇」、ちな
みに英語では“a day after fair”だそうです。
         (kotowaza-all guide com 故事ことわざ辞典より)
 
暑いですね。川越は、今日(11日)は36度を超えそうです。ベランダで洗
濯物を干す家内は重装備。朝6時頃散歩をしましたが、空気そのものが暑かっ
たですね。今年は、里帰りをする方が少ないようで、車庫の車も出番がなく、
暑そうでした。
 
    (次回は、「菊花の約」などについてお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>ご家庭で楽しくできる受験準備(1) 身につけてほしい話を聞く姿勢

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    「めぇでる教育研究所」発行
さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
        第6号
  現年中児のお子さまをお持ちの方へ
小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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ご家庭で楽しくできる受験準備
(1) 身につけてほしい話を聞く姿勢
 
 
今回からしばらく、家庭でできる受験準備の基本的なことについてお話しまし
ょう。
 
小学校の入学試験には、文字を使えませんから、ペーパーテストには答えは出
ていますが、設問は、どこにも書かれていません。
このことです……。
 
一回で説明を理解できなければ、それまでです。
設問が書かれていれば、難しい問題は後回しにして、時間があれば挑戦できま
すが、小学校の試験は、これができません。
まず、設問を聞き、「はじめ!」の合図で取り組み、「そこまで!」と声がか
かればやめて、次の設問を聞きます。
「もう少しでできるぞ!」と続けていると説明を聞き逃すことになり、次の問
題に挑戦できません。
「約束を守る」の項目に、チェックが入る学校もあるようです。
そういったことから考えると、もっとも厳しい試験方法ではないでしょうか。
 
さらにやっかいなことには、慶應義塾幼稚舎のようにペーパーを用いない「行
動観察型」のテストでは、先生の指示を聞き取り、理解し、考えをまとめ、自
分自身の意見をいったり、話をしたり、思ったことを絵に描いたり、身体で表
現しなければなりません。
 
しかも、生まれて初めて入った場所で、初めて会った同年代の子ども達とグル
ープを組み、初対面の先生の指示を聞き、理解し、すぐに行動に移さなければ
なりません。
機敏に対応できる能力が求められます。
 
このように、話を聞く姿勢ができていなければ、小学校の入学試験には対応で
きません。ですから、まず、ご家庭で心がけてほしいのは、お子さんが「話を
きちんと聞けるようにする」ことです。
 
それには、ご両親が「お子さんの話をきちんと聞く姿勢」を示すことが大切で
す。
「こうしなさい!」「こうしなければダメ!」と注文をつけるのではなく、逆
に、お子さんの話に耳を傾けてあげる、話を聞いてあげることが大切なのです。
これは、簡単なようですが、あまりできていないのではないでしょうか。
幼児の話は一本道ではなく、あっちへ飛んだり、脱線したり、一回で完結せず
に、予想のつかない展開となりがちです。
そこを辛抱強く聞いてあげ、
「ケンイチ君、こういうことだったのね」
などと簡単にまとめてあげれば、
「何だ、そういうことか!」
と、本人は意識しなくても、話の仕方の学習にもなっているのです。  
 
幼稚園や保育園から帰ってくるなり、
「ママ、あのね、きょう……」
などと話しはじめた時には、何はさておき聞いてあげましょう。
話したい意欲に燃えているのですから、「話の仕方の学習時間」と考えて、真
剣に聞いてほしいのです。
聞いてもらうと、子ども心にも快感が生じます。
そこから、「人の話はきちんと聞かなければいけないこと」も学習できるので
す。お母さんは、「話をきちんと聞きましょう!」と、柳眉を逆立て命令して
いるわけではありませんが、お子さん自身は「話をきちんと聞く学習の基本」
を学んでいるわけです。
これも「教えない教育」の一つの例です。
話を聞いてもらえたお子さんは、身も心もすっきりとし、
「ようし、今日は、プリントを5枚、頑張るぞ!」
となれば、一石二鳥ではありませんか。
 
お母さんにも経験ありませんか。
会社から帰ってきたお父さんに、テレビのワイドショーなどで仕入れた情報を
披露しようとした時に、
「疲れているからあとにしてくれ!」
などといわれれば、ムッとしませんか。
中には、切れるお母さんもいるようです。
お子さんも同じです。
切れますが、力関係でお母さんに勝てませんから、黙るしかないのです。
せっかくの学習チャンスを無駄にしています。
この無駄は、はかり知れない大きなものであることを肝に銘じておきましょう。
スキンシップにも影響がでます。
お子さんの話を聞けないお母さんは、命令と要求が多くなりがちです。
立教小学校の説明会で、「対話の反対は沈黙ではなく、命令と要求」とおっし
ゃったのは、田中司元校長でしたが、幼児の場合は、まさにその通りではない
でしょうか。
お子さんが急に黙ったり、プッとふくれたり、不満げな様子を示す時は、「命
令や要求が実行されている」と考えましょう。
子ども達が、もっとも嫌がるお母さんであることに気づいてほしいですね。
 
ところで、お母さん、お子さんの赤ちゃん時代を思い出してください。
お子さんは、「ママ!」の一言で、一方的に会話を済ませてはいませんでした
か。
「お腹がすいた」
「水を飲みたい」
「おむつを取り替えて」
「汗をかいて気持ちが悪いの」
「日光浴をしたい」
「抱っこして」
「淋しいからそばにきて」
「テレビをつけて」
「頭が痛いの」
「お散歩に連れてって」
など、書き出すときりがありませんからやめますが、選択肢はこんなものでは
なかったはずです。
お母さん方は、「ママ!」の一言で、何を要求しているかを的確に判断し、適
切な処置をしていたのではないでしょうか。
このことを思い起こせば、つたない話でも、聞いてあげるのは楽ではありませ
んか。
お子さんが、「ねえ、ママ!」といったときには、素直に話を聞いてあげるよ
うに心がけましょう。
 
イエス・キリストも、「忙しい毎日の中で、その時にあたって最善の行動とは
何かを考えなければならない」とおっしゃっていますが、子どもの話をゆっく
り聞いてあげる、これもその時に最優先すべきことと考えるべきではでしょう
か。何もキリストにお出まし願うこともありませんが(笑)。
 
もう一つ、思い出してほしいのです。
赤ちゃんが、なぜ、話せるようになったか、このことです。
自然に話せるようになったわけではありません。
映画「ジャングルブック」は、赤ちゃんの頃から狼達に育てられ、言葉をまっ
たく話せなかった少年が主人公でした。
言葉は、その学習時期を過ぎると臨界期といって、どうにもならなくなり、身
につかないそうです。
ここでも、お母さんの涙ぐましい努力が、あったはずです。
 
「ママ、おみじゅ!」
と、お子さんがいったとします。
お母さんは、どのように対応されたか覚えているでしょう、それほど昔の話で
はありませんから。
「のどが渇いたので、お水が飲みたくなったのね!」
こういっていたはずです。
そこで、お子さんは、
「ノドガ カワク、ミズヲ ノミタイ」
といった言語の学習をしていたわけです。
この語りが、おうむがえしが、会話の学習の基礎となり、今のように話せるよ
うになったわけです。
しかも、「主語が『私』で、述語が『飲みたい』、目的語が『水』で、形容詞
が、副詞が……」と教えたわけではありませんが、かなり、理詰めに話せるよ
うになっています。
お母さんとの学習が、苦にならなかったからです。
なぜでしょうか。
 
それは、やはりお母さんが、話ができるように、やさしく対応してあげたから
です。
その心は、「まだ、話せないから」といった配慮があり、無理に教え込まなか
ったからではないでしょうか。 
話をじっくりと聞いてあげ、言葉のシャワーを繰り返し浴びせかけた結果であ
り、これも「教えない教育」であったわけです。  
誤解をされると困りますから繰り返し説明しますが、「教えない教育」は何も
教えないのではなく、教わっている本人が、意識することなく、楽しく、大変
な学習をしていることです。
 
そして、面接で、丁寧な言葉で話してほしいとお考えでしたら、お母さん自身
が、響きのよい言葉を使うことです。
「ご飯よ、ケンちゃん!」ではなく、「ご飯ですよ、ケンジくん!」と話しま
しょう。
言葉遣いやあいさつは、一朝一夕に身につくものではありません。
親が率先して、よいお手本を見せることです。
 
さらに、指示は、正確に出すように心がけましょう。
「ねえ、ケンちゃん、あそこにある、あれとって!」
「あそこの、あれ」といわれても、わかっているのは指示を出したつもりのお
母さんだけで、聞いているお子さんには、何が何だかわかりません。
何だろうと迷っていると、
「何をぐずぐずしているの!」
と、怒気を含んだ催促になりかねません。
「これ、それ、あれ、どれ」といった「こ・そ・あ・ど言葉」は、使わないこ
とです。
「こ・そ・あ・ど言葉」は、文章が煩雑になるのをさけるために使う「代名詞」
です。
代わりの言葉ではなく、名詞をきちんと使いましょう。
 
「ケンジくん、ダイニングのテーブルの上にある料理の本を、お母さんのとこ
ろへ持ってきてください」と指示がきちんと出ていれば、
「いい加減に聞いたらまずいことになるぞ!」
と、お子さんもわかります。
 
   ◆話を聞いてあげる。 
   ◆きれいな言葉を使う。
   ◆指示をきちんと出す。
      
ご両親に、こういった配慮があれば、お子さんも、ご両親の願いに応えるはず
です。
心当たりがありましたら、早速、実行しましょう。
 
暑い日が続くようです。清涼飲料水は控えめに、家で作った麦茶などで、渇き
をしのぎましょう。
 
(次回は、「本の読み聞かせの素晴らしい効用 1」についてお話しましょう)

 


さわやかお受験のススメ<小学校受験編>過去の説明会より

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        「めぇでる教育研究所」発行
2021さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第57号
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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過去の説明会より
 
 
○説明会情報○
 昭和学院小学校 オープンスクール開催予定
   9月5日(土) 9日(水) 12日(土)
    HPから申し込み受け付け中(8月4日現在)
 
 日出学園小学校 学校説明会
    9月19日(土) 現時点(8月4日) 開催予定
      
 いずれもHPでご確認ください。
 
 
 
今回も、過去に行われた説明会での情報を紹介しましょう。
 
「共学がいいか、別学がいいか」、徹底的に分析をしてくれたのが立教小学校
の田代教頭で、ここ数年の話をまとめてみました。教頭は、その容貌と話し方
から、大変な熱血漢である印象を受けますが、おそらく、子ども達から「金八
先生」などと親しまれているのではないでしょうか。
 
「本校にはどんな男の子がいるか。男の子は単純で、雑駁で、ずぼらで、締ま
りがなく、言葉遣いは悪いし、けんかは日常茶飯事だが、私は好きだ。
 脳科学者の話では、すべてに当てはまるわけではないが、脳の厚さは、女性
は11歳で最大になるのに比べ、男性は18ヶ月遅れるとか、実証されている
そうだ。成熟差を中学生で比べると、1年半から2年間ほど遅れるそうで、我
々が教えていてもそれは感じる。
 アメリカでは1932年に公立校の男女別学を禁止していた。しかし、20
06年10月に法改正がなされ、公立校で別学、共学を選択できるようになっ
た。脳の発達や思考、得意分野の違いをまったく無視し、同じ条件で教育した
ことに問題があるということで、別学が増えていく。
 イギリスの研究者の話では、男女別学では、性別による固定観念を打ち崩し
やすいが、共学ではこれが難しいといっている。歌を歌う場合、共学では恥ず
かしがってほとんど歌わない。男子校の合唱は一つの特徴でもある。女子校で
は今はやりの『リケジョ(理系女子)』ではないが、数学や科学を好む学生が
増えてきた。別学では男子らしさ、女子らしさという固定観念がなくなるので
はといわれてきている。共学では逆に強調され、男女別学の良さが見直されて
来ている。アメリカの真似をするのが大好きな日本だから、文科省が力を入れ
ている中高一貫教育も、今に中高一貫男子校、女子校を作り出すかもしれない、
公立校の。我々は小中高大学までの一貫教育で男子校。皆さん方は、すでに先
見の明があるといえる。それを申し上げておきたい。18歳をこえると脳の成
長の差はなくなるそうだ。小中高で男女が分かれていて、大学で共学というの
は理想的な教育制度で、手前みそながら何ですが……」(会場から笑い声が起
こりました!)
 
リケジョについては、国府台女子学院の平田史郎学院長は、進学実績からその
傾向にあるとおっしゃっていましたが、「女子だけだからいいのです。共学に
する考えはありません」と力説していた学院長、やはり科学的な根拠があった
わけです。もしかすると、公立校での中高一貫男子校、女子校の誕生は、案外
早い時期に実現するかもしれませんね。
ところが、聖徳大学附属女子中学、高校は、2021年4月より共学の進学校
を目指し、学校名を「光英(こうえい)VERITAS(ヴェリタス)中学校高等学校」
に変更、生まれ変わりますが、これで益々、国府台女子学院は貴重な存在にな
りますね。
 
そして、どんな家庭のお子さんがほしいかについて、
「最後に、いつもお願いしていることだが、どんな家庭のお子さんがほしいか、
メモをとるような話ではないが、訓練によって鍛えられた子どもではなく、話
の読み聞かせや自然の中で五感を使った遊びの体験やお手伝いを重視する家庭。
それらを基にして、豊かな会話をもっている家庭、そういう日常生活を大切に
している家庭で、社会のルールを守る社会性や協調性を厳しくしつけられてい
る家庭の男の子が欲しい。なぜなら、学校は社会性を訓練する場、男が成長し
て父親になった時、知性を発揮できるように、キリスト教の精神に基づき行え
る心の豊かさ、自分に対して優しさという知性を身につける場であり、こうい
ったことを理解し協力してくれるご家庭の子、男の子なら誰でも結構」
 
学校選びの基本は、「ご両親がどんな男に育てたいのか、そのためにはどうい
った教育、環境が必要であるかではないでしょうか」とおっしゃっていました
が、「はじめにご家庭の教育方針ありき」と言ってきた私は、素直にうなずい
てしまいました。
以前、紹介しました「教育の道は家庭の教えで芽を出し、学校の教えで花が咲
き、世間の教えで実がなる」、明治時代、高等小学校(現在の5,6年生)の
親に配られた「家庭心得」ではありませんが、そのとおりですね。高学歴者の
不祥事が伝えられるたびに、「世間の教え」をないがしろにした結果ではない
かと考えますが、今までの努力は何だったのだろうと、他人事ながらもったい
ないと思いますね。
 
次は、早稲田実業初等部の求める子ども像です。
 
『どんな子どもに来てほしいか、いろいろとあるが主だったことを言うと、第
1に早実大好き、早稲田大学に進んで勉強したいと思う子。2つ目に規則正し
い生活ができる。もう一つ大切なことは、自分のことは自分でできるお子さん。
これができていないと宿泊学習が始まると辛くなる。中学で体験したことだが、
宿泊合宿のときの荷物作り、親御さんが詰めてしまう。忘れ物が出ても名前が
書いていないからわからないので処理するしかない。自分でやらないからわか
らない。3つ目は人の話を最後までしっかりと聞くことができる。4つ目は物
事に最後まで取り組むことのできる子を期待している。
 基本的な生活習慣は、ご家庭で教えて頂きたい。しつけの問題になるが、教
え方に問題があるのではないか。ご両親共に子どもと接する時間が少なくて忙
しい。うまくできないと早くしなければならないから、お母さん方はすぐに手
を貸してしまう。そうではなく言葉をかける。言葉を理解し自分でやることが
大切。だから時間はかかる。手を貸すと「また貸してくれる」と子どもは考え
る。その時はスムーズに通過できるが、後々それが癖になる。言葉を主体にし
て見守り、時間をあげて言葉で考えさせて、自分でできることを中心に考え、
できたところでしっかりと褒める。その繰り返しが大切。褒められると次に生
きてくる。また褒められたいという気持ちになる。そういうことを大切にして
ほしい。幼い時に身に付いたしつけ、習慣は、子どもにとって大切な宝物にな
る」
 
そして、モチベーションの上げ方について。
「学校見学会が9月2日(日)に行われるが、初等部を見学できるのはこの日
だけ。是非ともお子さんと一緒に来てほしい。お子さんが自分の目で見ること
が大事。私の願いは、お子さんが『この学校に来て学びたい、勉強したい、一
緒に友だちと遊びたい』と思うだけでも、これからの受験勉強の励みとなり、
お子さんのモチベーションも上がる。それを狙っている部分もあるので、『勉
強しなさい!』と言ってもモチベーションは上がらず、そのへんはなかなか難
しい。そのためにも是非、一緒に来てほしい」
           (早稲田実業学校初等部 橋詰 敏長 校長)
今年は、動画による説明会で、HPから見ることができ、10月31日まで視聴
可能です。
見学会は9月5日(土)9:00~12:00の予定、変更ありと出ています
から、HPで確認をしてからお出かけください。
 
また、森国校長は、「早稲田実業学校の伝統と歴史は、校是「去華就実」のも
とで形成されてきた。上辺だけの華やかさではなく実をとる、外面より内面の
美しさを求める精神を大切にし、社会の各方面で貢献できる人材の育成を目指
している。校訓の「三敬主義」は、他者を、自己を、事物を敬うことの大切さ
を説いてきた。謙虚で優しく、自重自立し、全てのことに敬う心をもって取り
組む誠実な姿勢を示すもの。こういった理念を受け継ぐ初等部6年間は、一人
ひとりの個性を尊重し、確かな学力を身につけ、自ら学び、考え、創り出し、
表現する力を育て、人間性豊かな児童を育てる」ことを目標に掲げている」と
おっしゃっていました。
 
 
 
最後に、竹田敏伸舎長に代わった幼稚舎、幼稚舎の教育の特徴「6年間担任に
持ち上がり制と教科別専科制」について詳しい話がありましたが、願書に「福
翁自伝の感想」を書いたこともあり、今年もあるのではと考え、大島誠一前舎
長の話を紹介しておきましょう。
 
「幼稚舎教育を通じて、子ども達にどういった人になって欲しいかというと、
『人生を楽しむ人になってほしい』『社会を肯定的に見る人になってほしい』
『自分の能力を生かして人の役に立つ人になってほしい』と私は願っている。
人生を楽しむといっても、ただ、その場その場を面白おかしく生きるというの
ではない。日々、辛い努力を積み重ねることも大切で、辛いことに辛抱するこ
とも大事だ。しかし、究極的には『自分の仕事を楽しむ』ことだ。
福澤諭吉が示した慶應義塾の目的に、『社会の先導者たらんとすることを欲す
るものなり』という語句がある。しかし、始めからリーダーになることを目指
すのではない。仕事に喜びを感じ、自分の好きなことをやっている内によい仕
事ができる。その結果として周りに支えられリーダーになっていくという考え
だ。もちろん、自分が嫌なこともやらなくてはならないだろう。しかし、やっ
ていることが楽しくなければ継続することは難しく、ましてやよい仕事ができ
るとは思わない。楽しいからこそ人から見れば辛いことも、たいして辛いと思
わずにできるのだろう。会社の組織の中で高い位置につくことができなくても、
あるいは先導者となり得なくても、年老いた時に、『自分の人生はよかった』
と思えるような生き方を私は大切にしたいと考えている。
こういった考えは、福澤諭吉の生き方そのものだと思う。福澤の生き方は、最
初から立身出世位を目指したものではない。「知りたい、見てみたい、やって
みたい」という気持ちが凝縮した人生だったと思う。幼稚舎という学校を理解
していただくには、ここで私がくどくど申すより、福澤が自らの人生を振り返
った『福翁自伝』を読んでいただければご理解いただけるものだと考える。是
非、一読されることをお薦めしたい。そして『福翁自伝』は、幼稚舎を受験す
るだけではなく、自分の生き方を考える上でも素晴らしい書物だと思っている
ので、多くの方々に読んでほしいと思っている」
 
『福翁自伝』はわかりませんが、明治初期に発売された「学問のすすめ」は、
300万部以上売り上げ、超ベストセラーになっています。ちなみに、世界一
のベストセラーは「聖書」で、約3880億冊だそうです。
      (「マナビゲート 2016」P39 大学通信 発行より)
 
21日(金)・22日(土)は雙葉小学校の説明会です。校庭の一角には、幼
稚園、小学校に在籍されてから聖心女子学院へ進まれた上皇后美智子様が、ご
成婚の記念に植樹されたメタセコイヤの3本の内の1本が、校舎と頭を揃える
ほどに成長した姿を見ることができます。
 
梅雨もやっと明け。8月に入っての梅雨明けは、関東甲信越地方では13年ぶ
り。家庭学習も一段とペースが上がってきたのではないでしょうか。夏期講習
会で身につけたリズムを崩さないように、暑い最中、休養も十分取り頑張りま
しょう。
    (次回は「よくある質問について」お話ししましょう)

 


さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>面接ケース・スタディー(6)

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         「めぇでる教育研究所」発行
   「2021さわやかお受験のススメ<幼稚園受験編>」
            第40号
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〔説明会情報〕
8月30日(土)に行われる予定の雙葉小学校附属幼稚園の説明会は、新型ウ
イルス感染症拡散防止のため中止、恒例の園庭開放も中止となりました。そこ
で初めて行われた説明会の様子をお伝えしましょう。
 
2018年7月28日(土)11時より、雙葉学園中高講堂で、開園以来はじ
めて雙葉小学校附属幼稚園の説明会が行われました。台風15号の直撃も心配
されましたが、帰り際に雨に降られただけで、無事終了。参加者は推定550
名。一斉保育と自由保育の兼ね合いがうまくいっており、学園の一人ひとりの
個性を尊重する方針が伝わってきました。良かったのは、スライドで見た、男
の子が中高の体育科の教員の指導で野球をやっていた様子で、男子同士の関わ
りにも配慮されていることもわかりました。映像はありませんでしたがサッカ
ーもやり、難しいルールのなども学んでいるとか。また、子どもたちが持って
登園するバスケット、中身はお母さん手作りの弁当でした。
ところで、「他校を受験した場合は、小学校への推薦権を失い、一般の方と同
じ試験を受けることになります」との説明がありました。昔の話ですから真偽
の程は確かではありませんが、幼稚舎へ合格した女の子が、お茶の水女子大学
附属小学校へ合格したために辞退し、補欠が動いた話を聞いたことがあります。
推薦権を放棄する方がいるとは信じがたいですね。隣りのお母さん、メモを取
る手を休め「エッ……!」と驚いていました、私も同じですが(笑)。
所要時間37分、質疑応答、園舎見学がなかったとはいえ、私が知る限り、説
明会の最短時間でした。
 
 
 
 面接 ケース・スタディ編(6)
    お子さんが口を閉ざしてしまったら
 
 
「こんにちは」
「………」
「お名前を教えてください」
「………」
「いくつになりましたか」
「………」
何を聞かれても黙ってしまい、答えられないお子さんもいます。
そんな時、お母さんはどうしますか。
 
しつこく質問を続ける先生はいません。
お子さんを緊張させるだけですから。
先生方は、お父さんに質問をし、様子を見ながら、また、お子さんに質問を試
みてくれるはずです。
問題は、その時のお父さんとお母さんの態度だと思います。
簡単に答えを教えたり、口を閉ざすわが子を見て取り乱したりするようでは、
保護者とはいえないでしょう。
 
最近は、お父さんが口をはさむようです。
特にお嬢さんの場合、お父さんは落ち着きをなくしがちです。
「お名前を聞かれているんだよ、教えてあげなさい」
この程度は、許容範囲です。
年齢を聞かれて、
「ほら、○○ちゃんは、3つでしょ」
このお父さんのアドバイス、どう思いますか。
回答を教えているのですから、駄目ですね。
しかも、わが子を「○○ちゃん」というのもどうでしょうか。
人前ですから、チャンはいただけません。
わが子を人様に紹介する時、「娘の○○です」というのではないでしょうか。
ここでも、普段の顔が表れるようです。
もし、呼び捨てにされた経験がなければ、お子さんはびっくりするでしょう。
お子さんの名前の呼び方、いかがですか。
 
しかし、黙り込んでしまったお子さんを、黙って見ているのも困ります。
冷たい親だと思われかねません。
幼児は、初対面の人と話をするのは苦手ですから、きっかけを作ってあげまし
ょう。
やはり、お母さんがいいでしょう。
「先生は、あなたと初めて会ったからお名前がわからないのよ。教えてあげま
しょうね」
これくらいなら、許されます。
それでも話ができなければ、無理強いする必要はないと思います。
 
ましてや、答えられなければ駄目だと思い込み、先生を見たり、わが子を見た
り、きょろきょろと落ち着きのない様子は、見苦しいものです。
信じられないことですが、口を閉ざしたわが子を、にらみつけるお母さんもい
るそうです。
保護者として、絶対にやってはいけないことの一つです。
 
しかし、こういった状態になっても、保護者の力でバックアップできる可能性
は、残されています。
 
こういうお母さんがいたそうです。
「お母さまにうかがいます。お子さんの長所と短所をお聞かせください」
こう聞かれたお母さんは、
「はい、長所は、元気で明るいことなのですが、初対面の方とお話をするのが
苦手で、慣れるのに少し時間がかかるところが短所かもしれません。普段は、
こういったことはないのですが、やはり、緊張してしまったようです。申し訳
ありませんでした」 
このお母さんの回答から、わが子を思う心が伝わってこないでしょうか。
また、口をきけなくなった原因もわかります。
最後の「申し訳ありませんでした」の一言が、「責任は、私にあります」と、
緊張する雰囲気を作った自分自身を反省していることになりませんか。
お母さんの謙虚な気持ちが伝わってきます。
 
こんな時に、
「長所は、元気で、明るく、活発なことで、短所は、少し、はしゃぎ過ぎると
ころです」
などと、紋切り型に答えるお母さんとでは、先生方に与える印象は、いかがで
しょうか。
お子さんのことを考えていないお母さんということになりますね。
 
そして、こういう長所があるから合格、こういう短所があるから不合格という
のも、考えにくいことです。
そうではないでしょうか。
お子さんは、これから伸びる可能性を、いっぱい持っています。
まだ、まだ、小さな、小さな芽です。
たかだか2、3年の履歴書しかもっていない幼子です。
幼稚園側が、そういったことだけに、こだわるわけはないと思います。
 
何が起こるかわからないのが幼児の面接です。
口を閉ざしてしまったわが子に、親として成すべきことは何か。
おわかりいただけたと思います。
保護者としての心構えを、常に、忘れないことが大切ではないでしょうか。
 
しのぎやすい日が続きましたが、梅雨も開け、猛暑が戻ってきます。8月の梅
雨明け、関東甲信越地方では13年ぶり。暑さはまだこれからです。うっとう
しい毎日が続きますが、お母さんの笑顔が、そんな気持ちを吹き飛ばしてくれ
ます。お子さんもお母さんも、体調を崩さないように気をつけましょう。
 
  (次回は、面接ケース・スタディ編(7)をお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<保護者編>第 11章 お月見です長月(1)

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2021さわやかお受験のススメ<保護者編>
         ~紀元じぃの子育て春秋~
     「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
       豊かな心を培う賢い子どもの育て方
           -第40号
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第11章 お月見です   長 月(1)
 
 
暦の上では、今月から秋です。
秋の読み方は、「黄熱(あかり 稲が成熟する)からとの説が一般的ですが、
秋空が「あきらか(清明)」である、収穫が「飽き満る」、草木の葉が「紅
(あか)く」なるなどの説もあるようです。
長月(ながつき)のいわれは、秋も深まり、次第に夜が長くなっていくから
「夜長月」の略が、わかりやすいですね。
これにもいろいろな説があり、「稲刈月(いねかりづき)」の「い」と「り」
を略して「ねかづき」が「ながつき」となったものや、「稲熟月(いねあか
りつき)」が略されたという説もあるそうです。
 
 
 
★★お月見ですね★★
 
9月といったら、お月見ですね。
天保暦でいうと、8月15日にあたり、今のグレゴリオ暦では、9月の15日
から20日頃が見頃です。
 
秋の澄んだ夜空に、こうこうと輝く満月を観賞する習慣は、古くから中国にあ
り、それが平安時代に貴族の間に伝わり、やがて、武士や庶民にも広まったも
のです。昔は、「中秋の名月」といい、月を眺めながら、和歌を詠み、お酒を
酌み交わし、秋の夜を過ごしました。何やら風流な趣が伝わってきそうですが、
お百姓さんは、それどころではありません。何しろ日本は、農耕民族でしたか
ら、とにかく自然が頼みの綱です。
 
お月さまは、お百姓さんにとって、お日さまと同様、大変な存在でもあったの
です。
ご存知のように月は、およそ1ヵ月の間に丸くなり、また、だんだんと欠けて
いきます。新月から1週間程で半月になり、15日程で満月に、1週間後には
半月となり、再び新月に、これの繰り返しです。そこで昔の人は、満ち欠けす
る月の形から、1ヵ月のおよその日にちを知ることができ、それをもとに農作
業の時期、段取りを行っていました。 
また、月の明かりで、夜遅くまで農作業ができたのです。言ってみれば、お月
さんは暦であり、時計であり、夜間の照明器具でもあったわけですから、感謝
の心は、現代では考えられないほど、深かったに違いありません。
 
さらに、旧暦の8月といえば、稲にとっては、夏の暑いお日さまを、さんさん
と受け、しっかりと実をつける時です。しかし、台風が来ると、折角、丹精を
込めて育ててきた稲は、強風と豪雨でメチャメチャになってしまいます。私の
小学校時代(昭和20年代)の日本の景気は、米の収穫量で決まりですから、
何とか穏便にと思うのは、当然でしょう。
台風一過の秋晴れのもとで、すっかり水を被ってしまった田んぼを、ぼう然と
眺めていたお百姓さんの姿を、何回も見ましたが、子ども心にも悔しい思いを
したものでした。ですから、お月さまに、すすきや秋の花とおだんごや果物、
芋などを供えて、自然が荒れないようにお祈りを捧げたのです。
 
なお、十五夜を見た場合には、旧暦の9月13日(現在の10月17日頃)の
十三夜も見なければならないといわれています。1回しか見ないお月見を「片
見月」といい、不吉なことが起こると嫌われていたからだそうです。十三夜は、
栗や豆を備えることから「栗名月」「豆名月」ともいい、十五夜が中国から伝
来したものに対し、十三夜は日本のオリジナルな風習です。
また、「十三夜に曇りなし」ともいわれ、晴れの夜が多く、秋の澄んだ夜空に、
こうこうと輝く月を見ることができます。丁度、10月の下旬にあたり、秋た
けなわの頃だからです。お子さんと一緒に「片見月」とならないように、確か
めてみましょう。こういった話をするだけでも、お子さんには、楽しい思い出
となるものです。
 
ご覧になったかと思いますが、2015年は、7月に2回、2日と31日に満
月が現われました。これをブルームーンと呼び、2、3年に1度の割合で起こ
り、2018年1月と3月にもみられた天体現象です。ブルームーンの名称の
由来は、英語の慣用句に“once in a blue moon”(珍しいことやまれなことの
たとえ)があり、まれな現象を「ブルームーン」ということだからだそうです。
次回の年間2回のブルームーンは2027年、年1回は今年10月2日と31
日だそうです。
 
「月光」といえば、ベートーベンの「ムーンライト・ソナタ 月光」を思い浮
かべる方が多いのではないでしょうか。私はグレン・ミラーの作曲した「ムー
ンライト・セレナード」で、ミラーの生涯を描いた「グレン・ミラー物語」を
1週間、毎日、映画館に通って観たものでした。「真珠の首飾り」「茶色の小
瓶」「イン・ザ・ムード」などの演奏も楽しみでしたが、全盛時代のジャズの
王様、ルイ・アームストロングの率いる、ほれぼれするようなメンバーの熱演
を観ることができたからです。曲は「ベージン・ストリート・ブルース」で、
ドラムのジーン・クルーパーとコージー・コールのドラム合戦は、何回観ても
飽きませんでした。入口のお姉さんと顔見知りになり、「私も長い間この仕事
をやっているけど、学生さんのような人は初めて!」とあきれ顔でいわれまし
た(笑)。
この頃から、ドラムに憧れていたのです、高校1年生の時でした。
 
 
 
★★なぜ、すすきを飾るのでしょうか★★
 
すすきは、姿、形から見ても稲科の仲間だとわかります。
あの白い花穂が、いいですね。別名「尾花」といいますが、本当に漢字は説得
力があります。これは、子どもの頃に、お百姓さんから聞いた話ですが、今で
もよく覚えています。なぜ、お月さまにすすきを飾るのか、その理由ですが、
すすきの尾花は、細くて長く、まるでほうきのようですから、秋風に揺れなが
ら、その穂で、しっかりと神さまを捕まえ、豊作をお願いしたいからだといっ
ていました。今は、郊外に出かけないと見られなくなりましたが、子どもの頃
には、そうですね、見上げるほどの高さですから、2メートルぐらいになるの
もあり、これなら神さまを絶対に逃さないと思ったものです。       
 
 
                                
★★なぜ、お供え物に芋があったのでしょうか★★
 
米で作ったおだんごや果物、それに採れたての野菜などを供えたものです。
母からよく聞いた話ですが、お日さまには天照大神(あまてらすおおみかみ)
が、お月さまには月読命(つきよみのみこと)という神さまがお住みになり、
お日さまを浴びていろいろな物が育つように、お月さまの光にも不思議なエネ
ルギーがあって、その光を浴びた物を食べると、健康で長生きするからだとい
っていました。
「かぐや姫」のラストシーンで、月の光で侍が、ばたばた倒れますが、あれを
思い出し納得していました。数々の怪獣を一撃で倒すウルトラマンのスペシウ
ム光線ではありませんが、月光の威力に感嘆したものです。あの場面には、い
つも魅せられていました、UFOの世界です。こういった空想は、時代を超越
し、夢があります。科学が、1つ1つ、その根拠を壊していますけれど、サン
タのプレゼントと共に、幼児期の楽しい夢であり、一緒に楽しんであげるもの
ではないでしょうか。  
                      
このウルトラマンに目下、孫がはまっていて、「それはバルタン星人だろう」
と言ったら、「おじいちゃん、何で怪獣の名前を知っているの?」と尊敬され
てしまいました。もう40年前になりますが、長男が夢中になって遊んでいた
もので、いまだ人気が衰えないようですね。女の子には、リカちゃん人形が人
気の的で、サンタの代わりに買いに出かけたものでしたが、新作、マサト君が
出た年は手に入れるのに苦労したことを思い出しました(笑)。
 
ところで、子どもの頃ですから、「夜露」がよくわかりませんでした。供えて
ある果物や芋が、夜露に濡れて、月の明かりで光っているのです。神秘的でし
た。ですから、夜露に光る果物を食べると、何やら力がつくような気がしまし
たし、おいしいと思いました。感動して、母の話を信じていたものです。
「神秘的……」、響きのいい言葉ではありませんか。「迷信だ」といって信じ
ない大人は結構ですが、そういって子どもの夢を簡単に壊すようでは、空想力
や想像力も育たないのではないかと思いますね。
 【注】 古事記には天照大御神、日本書紀には天照大神と明記されています。
 
今では、お月見に、だんごやすすきなどをお供えする家庭も少ないでしょうが、
芋を飾る話はさらに聞かないのではありませんか。ところが、私の子どもの頃
は、芋は、欠かせなかったようでした。
しかし、どうしてお月さまに芋を供えたのか、このことです。おだんごや果物
は、納得できましたが、芋はわかりませんでした。お月さまと芋は、どう考え
ても結びつきません。
これも、じいさまから聞いた話ですが、米が主食になる前は、里芋や山芋が主
食でした。今は、さつま芋掘りは、秋の観光イベントに欠かせないものですが、
その収穫が、ちょうど十五夜の頃でしたから、感謝の気持ちを表しお供えをし
たそうです。お月見は、芋などの畑作の収穫祭でもあったわけですね。それで、
中秋の名月を「芋名月」ともいったのです。
 
川越は、さつま芋の名産地で、秋には小さな子ども達が、芋掘りにやってきま
す。
盛り付けの鮮やかな和食「芋ご膳」からソフト・クリームまで、美味しいもの
がたくさんありますが、戦後の食糧難の時代に、朝、昼、晩と三食、さつま芋
を食べた世代ですから、見ただけで胸焼けがし、どうしても手が出ません。な
どと言いながら、さつま芋から作った地ビールだけは、飲んでいます(笑)。
妙にこだわりますが、ソフト・クリームは、正しくはsoft  ice  cream です。
 
ところで、「栗よりうまい十三里」ともいいますが、この語源、川越に住んで
40数年になるというのに知りませんでした。酒の話が楽しいドイツ文学者、
高橋義孝教授の随筆に、「目からうろこ」の話がありました。正確には「目か
らうろこが落ちる」で、英語では“The scales fall from one’s eyes”だそ
うです。(「故事ことわざ辞典」より)
 
 くりよりうまい十三里、すなわちさつまいもの集散地は埼玉県の川越で、川
越は江戸から十三里へだたっているから、九里と四里とを合わせて十三里、川
越ということになり、その川越の名産物さつまいもは栗よりもうまいというこ
となのである。
      (「叱言たわごと独り言」高橋義孝 著 新潮文庫 刊)
 
叱言、「こごと」と読みます。辞書では「小言」となりますが、文学の世界で
は、正式な表現でなくても、その文学者独自の考え方、表現が許されるからで
す。小言は軽く聞き流せますが、叱言はかなり怖いですね(笑)。
 
 
 
★★なぜ、お月さまにうさぎが…?★★
 
今の小学生は、笑ってばかにしますが、私の子どもの頃は、宇宙船アポロなど
は、想像外のことでしたから、月にうさぎが住んでいると信じていました、あ
る時期までは。うさぎが跳ねているように、また、杵(きね)を持ち、餅をつ
いているようにも見えました。
 
           うさぎ うさぎ   なに見て跳ねる     
           十五夜お月さん見て 跳ねる     
 
文部省唱歌です、牧歌的で、いいではありませんか。
 
ところで、私の子どもの頃のおじいさんたちは、本当に話がうまかったのです。
いま聞くと、吹き出したくなるものばかりでしょうが、夢がありました。これ
もその一つなのですが、お月さまにうさぎが住んでいる証拠は、
「満月の晩に見てみ、うさぎが餅をついているように見えるのは、あれは、う
さぎの国の旗、国旗だ。お月さんはうさぎの国だと、宣告しているのだよ」
といったものでした。戦後のことでしたが、戦争は、命を的にした領土の争奪
戦ですから説得力もありました。それで、私が、
「じゃ、おじいちゃん、地球を月のうさぎが見たら、どんな旗に見えるのかな
?」「そりゃ、人間に決まっとるがな」
理屈でなくて、何だかおかしな話でしたが、本当のような気がするのです。う
さぎが住んでいるから「うさぎの旗」、人間が住んでいるから「人間の旗」な
のだそうです。おじいちゃんの頭に浮かぶ人間は、絶対に日本人です。そして、
日の丸の旗を持っているに違いありません。もしかしなくても、旗を持ってい
るのは兵隊さんです。おじいちゃんにとって日本は、神州不滅の国でしたから。
こういったお年寄りとの楽しい会話が、懐かしく思い出されます。昔のお年寄
りは、一家の生活の一部を、きちんと担っていたのではないでしょうか、それ
も、尊敬されて、です……。
 
うさぎの住んでいる満月を見ながら、すすきやおだんごを飾り、自然に感謝す
る心は、小さい時に、きちんと育んでおきたいものだと思います。これも情操
教育に欠かせない、大切な行事ではないでしょうか。
満月を、星を、しみじみと眺めたことはありますか。お子さんと一緒に、夜空
を探索してみましょう。
澄んだ秋の空には、お子さんと共有できるロマンがあふれています。星座にま
つわる伝説を知る機会になるかもしれません。3つの星が並ぶオリオン座と宵
の明星、金星しか識別できませんから、偉そうなことはいえませんが(笑)。
             
ところで、外国の人々も、うさぎだと見ているのでしょうか。天の川と同じく、
いろいろな見方があるもので、想像のつかないものもあり、見る位置により、
こんなに違うものかと驚かされました。
 
中国では、うさぎが薬草を作っているとも、ひきがえるやかにがすんでいる
ともいわれています。ヨーロッパや北アメリカでは、女の人の横顔やロバ、
インドや南アメリカではワニ、中東ではライオン、アフリカではうさぎがひ
っかいた傷に見えるそうです。
(心を育てる 子ども歳時記12ヵ月 監修 橋本裕之 講談社 刊 P83)
 
やはり、世界中の人々も、こうこうと輝く満月に、いろいろな思いを抱いてい
たのですね。
海外へ出かけたとき、お月さまがどのように見えるか、お子さんと一緒に眺め
てみるのも、いい思い出になるかも知れません。満天の星の主役は、北斗七星
や南十字星、オリオン座などのようですが、お月さまも加えてみてはいかがで
しょうか。手軽に出かけられませんが、南極では、逆さまに見えるそうです。
 
長男が小学生の頃、「お父さん、どうしてうさぎさんは、いつも同じ格好をし
ているのかな」とかなり大人を困らせる質問をしたものです。話をよく聞いて
みると、常に表だけ見えて、裏側はどうなっているかなんですね。言われてみ
ればその通りで、大人は不思議に思いませんが、そこが探求心の旺盛な子ども
のことですから、困り果てました。友人に星座に詳しいロマンチストがいるの
を思い出し、聞いたところ、「月の自転周期と月が地球の周り回る公転周期が
一致しているから、常に表しか見えない」といわれ、子どもにどう説明したか
思い出せませんが、多分、いい加減な話で煙に巻いたのではないかと思います
(笑)。
皆さんは、どう説明しますか。
 
最後に、お月さまといえば、文部省唱歌の「月」(詩曲 作者不詳)を、懐かし
く思い出します。
 
1. 出た 出た 月が まるい まるい まんまるい 盆のような月が
2. 隠れた雲に 黒い 黒い 真っ黒い 墨のような 雲に
3. また出た 月が まるい まるい まんまるい 盆のような月が
 
といっても、しみじみと眺めた、詩情豊かなといった高尚なものではなく、つ
まらない遊びなのですが、なぜか、思い出すのです。この歌詞を、逆さまから
歌うだけの、ばかげた話ですが、これがおかしくって……。
 
1.たで たで がきつ いるま いるま いるまんま なうよのんぼ
  がきつ
2.たれくか にもく いろく いろく いろっくま なうよのみす にもく
 
みんなで、なぜだか、ゲラゲラ笑いながら、品悪く歌って、面白がっていたの
です。
「いーるま いーるま いるまんま」とか「いーろく いーろく いろっくま」
と声を張り上げて。
今、歌ってみても、笑っちゃいますね、ばかばかしくて(大笑い)。何しろ、戦
後の何もない時代でしたから、こんなことでも楽しかったんですね。この歌を
聞くと、いつもお腹をすかしていた、あの頃を思い出します。
 
遅かった梅雨も明け、これからが夏本番。8月に入り梅雨明けは、関東甲信越
地方では13年ぶり。川越も3年前の8月1日に38度を超えましたが、体温
より高いですから、後期高齢者には、きつかったですね。 猛暑もほどほどに
願いたいものです。
 
   (次回は、「秋の七草」などについてお話しましょう)

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