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めぇでるコラム : 2017小学校受験 7ページ目

さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>ご家庭で楽しくできる受験準備(2)「話の読み聞かせ」のすばらしい効用 1

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        「めぇでる教育研究所」発行
 さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
             第7号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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ご家庭で楽しくできる受験準備
 (2)「話の読み聞かせ」のすばらしい効用 1
 
本を読んであげる「話の読み聞かせ」は、とても大切です。
ビデオやDVDなどで見る「フランダースの犬」や「アルプスの少女ハイジ」
などのアニメの作品は、映像と語りだけではなく、臨場感を盛りあげる音楽や
効果音まで駆使し、瞬く間に物語の世界へ誘い込まれ、楽しいものです。
これほど便利なものはありませんが、反面、幼児が疑問を抱いても、教えてく
れない不便な点もあります。
幼児には、ご両親の生の声が何よりです。
5歳頃になると、絵が主役であった絵本から、字の多い絵本に変わり、話も筋
道立てて進む物語になっていると思います。
 
ここで、お母さんに本を読んでもらっていることを少し考えてみましょう。
読んでもらっているときの子どもの頭の中は、どうなっているのでしょうか。
絵を見ながらですから、お母さんの読んでくれる言葉を絵に置き換える、映像
化するといった作業が、フルスピードで進んでいるのではないかと思います。
絵本や図鑑、テレビや実際に見た映像が浮かんでいるのでしょう。
ところが、聞いたことがない言葉が出てくるとストップがかかります。
「お母さん、オニタイジって、どういうこと?」
やさしいお母さんは、お子さんの言葉に置き換えて説明します。
そこでお子さんは意味を確かめ、納得し、新しい言葉を覚え、「語彙」が増え
ます。
 
そして、一人になると、まだ、字を読めないはずですが、何やらブツブツと言
いながら絵本を見ています。
あれは、本当に不思議ですね。
おそらく、読んでもらった本が面白かったから、お母さんの言葉を思い出しな
がら確かめているのだと思います。
絵を見ながら、記憶した言葉をもとに映像を描き、イメージ化しているのです。
考え、想像しているのです、しかも「言葉」でです。
これは、すごいと思いませんか。
それが証拠に子どもは、とかく同じ本を何回も繰り返し、飽きもせずに読んで
くれとせがみます。
それも読んでいる途中に、
「ママ、ありがとう。そこまででいいです」
といったことが、しばしば起こりがちです。
そのところを忘れてしまったのかどうかわかりませんが、話が進まなくなり、
イメージ化が中断してしまうのです。
読んでもらってつながったから、そこまででいいのでしょう、あとは覚えてい
ますから。
話を一所懸命に覚えようとしているのに違いありません。
そこから「記憶力」がつきます。
 
さらに繰り返し読んでもらうことで、描かれた映像は、より鮮明になり、そこ
から、「空想力や想像力」が培われるのではないでしょうか。
 
ところで、昔話を何か思い出してください。
昔話だけではありませんが、幼児の読む本は、「起承結」で成り立っているの
ではないでしょうか。
「起承転結」の「転」はなく、話は複雑になっていません。
 
江戸時代の漢学者、頼 山陽が、漢詩を説明するために「京都西陣帯屋の娘」
と題して、面白い例を残しています。
 
   京都西陣帯屋の娘   (起)
   姉は十八、妹は十六  (承)
   諸国の大名は刀で殺し (転)
   姉妹二人は目もとで殺す(結)
 
「ショコクノダイミョウって、ナンですか?」
余計なものが入ってくると、すっきりしなくなります。
帯屋の娘の話は、帯屋の娘で終わらなければ、子どもは承知しません。
桃太郎が、鬼退治をしたついでに、海賊までやっつけるとはなりません。
すっきりと終わって、「めでたし、めでたし」が、昔話には欠かせない決まり
です。
 
さらに物語は、「序破急」と快適なテンポで進みます。
浦島太郎の竜宮城で過ごしたひと時が、何十年であっても何ら差し支えありま
せん。
話は快く聞けるように仕組まれていますし、単純明快ですから、「話を理解す
る力」がついてきます。
 
しかも、話は、
「むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました」
で始まります。
「むかし、むかし」は、「いつ」と時間の設定ですが、いつのことだかわかり
ません。 
「あるところ」は「場所」ですが、どこだかわかりません。
「おじいさんとおばあさん」は「だれ」と大切な登場人物ですが、名前もさだ
かではありません。
みんな「あいまい」です。
その「あいまい」なままに、話は、「何を」「なぜ」「どのように」と展開し
ます。
これも考えてみると大変なことです。
 
時代はいつでも、場所はどこでも、名前がなくても、何ら不都合なことはあり
ません。
奈良時代であろうが平成時代であろうと、北海道だろうが沖縄であろうと、み
んな、「むかし、むかし、あるところで」で済ませてしまいます。
時代考証も、場所の設定も、登場する人物像をイメージ化する面倒な説明もあ
りませんから、すっきりとした気持ちで話に入っていけるのです。
 
これを仮に、
「江戸時代の元禄十五年、大晦日をむかえる二日前の朝、上総の国は蒲郡、大
字蒲、字大和村の一本杉の近くに、四代目の山之上太郎左衛門というじいさま
と花というばあさまが住んでいました」
とやられては、聞いてみようかなという気持ちにもなれないでしょう。
「ママ、もう眠いから……」
こうなるに違いありません。
 
ところで、昔話は、
   いつ(when)
   どこで(where)
   だれが(who)
   なにを(what)
   なぜ(why)
   どのように(how)
といった[5W+1H]から成り立っていますが、これは文章を書くときや情
報を伝える時の基本で、小説や新聞、テレビのニュースなども、この形式(フ
ォーム)で構成されています。
ということは、話を聞きながら[5W+1Hのフォーム]を、小さいときから
学んでいることになります。
これは、すごい知恵ではないでしょうか。
 
もちろん、子ども達が、「いつ、どこで、だれが」などと意識して聞いている
わけではないでしょうが、理路整然とセオリーどおりに話は進んでいきますか
ら、楽しく話を聞き、その話を覚えることで、筋や物事を考える、「思考力や
構成力」が、おのずと身についてきます。
 
そして、子どもは、話を覚えると話したがります。
誰かに聞いてもらいたいのです。
それには、自分自身が話をよく理解しなければできませんから、そのための訓
練が、自発的に始まります。
それが、「表現力」につながります。
しかも、「覚えなさい!」といわれて覚えたのでもなく、「話してみなさい!」
といわれて訓練したものでもありません。
自ら、積極的に努力して得た力です。
 
こんなに大切な能力開発を、誰にもいわれずに挑戦しているにもかかわらず、
「パパ、『桃太郎』の話、知っている?」
「ああ、知っているよ。桃太郎が猿と犬と雉の家来を連れて、鬼退治にいく話
だろう!」
と無造作に応じてしまっては、せっかく積んできたトレーニングの成果を試せ
ません。
子どもは、話したいのです。
成果を試したいのです。
 
「うん、パパも子どもの頃は、よく知っていたけど、どういう話だったかな?」
とやさしく受けてあげましょう。
お子さんは、一所懸命に話すはずです。
そして話し終えた時には一言、「よく覚えたな、偉いぞ!」とほめてあげるこ
とです。
お父さんにほめられて、不愉快になるはずはありません。
「よし、今度は『カチカチ山』を覚えるぞ!」
となり、新しい話に挑戦します。
記憶力どころか、「物事に取り組む意欲」を培うことになります。
しかも「自発的」にです。
 
猛暑の続く暑い夏も、もう一息でしょう。お子さんの健康管理には十分に気を
付けてください。
(次回は、「話の読み聞かせ」のすばらしい効用(2)」についてお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>ご家庭で楽しくできる受験準備(1)

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        「めぇでる教育研究所」発行
 さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
             第6号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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ご家庭で楽しくできる受験準備
(1)身につけてほしい話を聞く姿勢
 
今回からしばらく、家庭でできる受験準備の基本的なことについてお話しまし
ょう。
 
小学校の入学試験には、文字を使えませんから、ペーパーテストには答えは出
ていますが、設問は、どこにも書かれていません。
このことです……。
 
一回で説明を理解できなければ、それまでです。
設問が書かれていれば、難しい問題は後回しにして、時間があれば挑戦できま
すが、小学校の試験は、これができません。
まず、設問を聞き、「はじめ!」の合図で取り組み、「そこまで!」と声がか
かれば止めて、次の設問を聞きます。
「もう少しでできるぞ!」と続けていると説明を聞き逃すことになり、次の問
題に挑戦できません。
「約束を守る」の項目に、チェックが入る学校もあるようです。
そういったことから考えると、もっとも厳しい試験方法ではないでしょうか。
 
さらにやっかいなことには、慶應義塾幼稚舎のようにペーパーを用いない「行
動観察型」のテストでは、先生の指示を聞き取り、理解し、考えをまとめ、自
分自身の意見をいったり、話をしたり、思ったことを絵に描いたり、身体で表
現しなければなりません。
 
しかも、生まれて初めて入った場所で、初めて会った同年代の子ども達とグル
ープを組み、初対面の先生の指示を聞き、理解し、すぐに行動に移さなければ
なりません。
機敏に対応できる能力が求められます。
 
このように、話を聞く姿勢ができていなければ、小学校の入学試験には対応で
きません。ですから、まず、ご家庭で心がけてほしいのは、お子さんが「話を
きちんと聞けるようにする」ことです。
 
それには、ご両親が「お子さんの話をきちんと聞く姿勢」を示すことが大切で
す。
「こうしなさい!」「ああしなさい!」と注文をつけるのではなく、逆に、お
子さんの話に耳を傾けてあげる、話を聞いてあげることが大切なのです。
これは、簡単なようですが、あまりできていないのではないでしょうか。
幼児の話は一本道ではなく、あっちへ飛んだり、脱線したり、一回で完結せず
に、予想のつかない展開となりがちです。
そこを辛抱強く聞いてあげ、
「ケンイチ君、こういうことだったのね」
などと簡単にまとめてあげれば、
「何だ、そういうことか!」
と、本人は意識しなくても、話の仕方の学習にもなっているのです。
 
幼稚園や保育園から帰ってくるなり、
「ママ、あのね、きょう……」
などと話しはじめた時には、何はさておき聞いてあげましょう。
話したい意欲に燃えているのですから、「話の仕方の学習時間」と考えて、真
剣に聞いてほしいのです。
聞いてもらうと、子ども心にも快感が生じます。
そこから、「人の話はきちんと聞かなければいけないこと」も学習できるので
す。
お母さんは、「話をきちんと聞きましょう!」と、柳眉を逆立て命令している
わけではありませんが、お子さん自身は「話をきちんと聞く学習の基本」を学
んでいるわけです。
これも「教えない教育」の一つの例です。
話を聞いてもらえたお子さんは、身も心もすっきりとし、   
「ようし、今日は、プリントを5枚、頑張るぞ!」
となれば、一石二鳥ではありませんか。    
 
お母さんにも経験ありませんか。
会社から帰ってきたお父さんに、テレビのワイドショーなどで仕入れた情報を
披露しようとした時に、
「疲れているからあとにしてくれ!」
などといわれれば、むっとしませんか。
中には、切れるお母さんもいるようです。
お子さんも同じです。
切れますが、力関係でお母さんに勝てませんから、黙るしかないのです。
せっかくの学習チャンスを無駄にしています。
この無駄は、はかり知れない大きなものであることを肝に銘じておきましょう。
スキンシップにも影響がでます。
お子さんの話を聞けないお母さんは、命令と要求が多くなりがちです。
対話の反対は、沈黙ではなく「命令と要求」です。
子ども達がもっとも嫌がるお母さんであることに気づいてほしいですね。
 
ところで、お母さん、お子さんの赤ちゃん時代を思い出してください。
お子さんは、「ママ!」の一言で、一方的に会話を済ませてはいませんでした
か。
「お腹がすいた」
「水を飲みたい」
「おむつを取り替えて」
「汗をかいて気持ちが悪いの」
「日光浴をしたい」
「抱っこして」
「淋しいからそばにきて」
「テレビをつけて」
「頭が痛いの」
「お散歩に連れてって」
など、書き出すときりがありませんから止めますが、選択肢はこんなものでは
なかったはずです。
お母さん方は、「ママ!」の一言で、何を要求しているかを的確に判断し、適
切な処置をしていたのではないでしょうか。
このことを思い起こせば、つたない話でも、聞いてあげるのは楽ではありませ
んか。
お子さんが、「ねえ、ママ!」といったときには、素直に話を聞いてあげるよ
うに心がけましょう。
 
イエス・キリストも、「忙しい毎日の中で、その時にあたって最善の行動とは
何かを考えなければならない」とおっしゃっていますが、子どもの話をゆっく
り聞いてあげる、これもその時に最優先すべきことと考えるべきではでしょう
か。
何もキリストにお出まし願うこともありませんが(笑)。
 
もう一つ、思い出してほしいのです。
赤ちゃんが、なぜ、話せるようになったか、このことです。
自然に話せるようになったわけではありません。
狼少年の話を聞いたことがあると思います。
赤ちゃんの頃から狼に育てられた人間は、言葉をまったく話せなかった話です。
言葉は、その学習時期を過ぎると臨界期といって、どうにもならなくなり、身
につかないそうです。
ここでも、お母さんの涙ぐましい努力が、あったはずです。
 
「ママ、お水!」
と、お子さんがいったとします。
お母さんは、どのように対応されたか覚えているでしょう、それほど昔の話で
はありませんから。
「のどが渇いたので、お水が飲みたくなったのね!」
こういっていたはずです。
そこで、お子さんは、
「ノドガ カワク、ミズヲ ノミタイ」
といった言語の学習をしていたわけです。
この語りが、おうむがえしが、会話の学習の基礎となり、今のように話せるよ
うになったわけです。
しかも、「主語が『私』で、述語が『飲みたい』、目的語が『水』で、形容詞
が、副詞が……」と教えたわけではありませんが、かなり、理詰めに話せるよ
うになっています。
お母さんとの学習が、苦にならなかったからです。
なぜでしょうか。
 
それは、やはりお母さんが、話ができるように、やさしく対応してあげたから
です。
その心は、「まだ、話せないから」といった配慮があり、無理に教え込まなか
ったからではないでしょうか。 
話をじっくりと聞いてあげ、言葉のシャワーを繰り返し浴びせかけた結果であ
り、これも「教えない教育」であったわけです。  
誤解をされると困りますから繰り返し説明しますが、「教えない教育」は何も
教えないのではなく、教わっている本人が、意識することなく、楽しく、大変
な学習をしていることです。      
 
そして、面接で、丁寧な言葉で話してほしいとお考えでしたら、お母さん自身
が、響きのよい言葉を使うことです。
「ご飯よ、ケンちゃん!」ではなく、「ご飯ですよ、ケンジくん!」と話しま
しょう。
言葉遣いやあいさつは、一朝一夕に身につくものではありません。
親が率先して、よいお手本を見せることです。
 
さらに、指示は、正確に出すように心がけましょう。
「ねえ、ケンちゃん、あそこにある、あれとって!」
「あそこの、あれ」といわれても、わかっているのは指示を出したつもりのお
母さんだけで、聞いているお子さんには、何が何だかわかりません。
何だろうと迷っていると、
「何をぐずぐずしているの!」
と、怒気を含んだ催促になりかねません。
「これ、それ、あれ、どれ」といった「こ・そ・あ・ど言葉」は、使わないこ
とです。
「こ・そ・あ・ど言葉」は、文章が煩雑になるのをさけるために使う「代名詞」
です。
代わりの言葉ではなく、名詞をきちんと使いましょう。
 
「ケンジくん、ダイニングのテーブルの上にある料理の本を、お母さんのとこ
ろへ持ってきてください」と指示がきちんと出ていれば、
「いい加減に聞いたらまずいことになるぞ!」
と、お子さんもわかります。
 
   ◆話を聞いてあげる。 
   ◆きれいな言葉を使う。
   ◆指示をきちんと出す。
      
ご両親に、こういった配慮があれば、お子さんも、ご両親の願いに応えるはず
です。
心当たりがありましたら、早速、実行しましょう。
 
猛暑が続いています。清涼飲料水は控えめに、家で作った麦茶などで、渇きを
しのぎましょう。
(次回は、「本の読み聞かせの素晴らしい効用1」についてお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>幼児に必要なのは、 勉強ではなく学習です

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        「めぇでる教育研究所」発行
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             第5号
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幼児に必要なのは、 勉強ではなく学習です 
 
ある年の白百合学園小学校の親子面接で、こういった質問があったそうです。
「何かお勉強をしていますか。どういうお勉強ですか」
「…………?」
こうなってしまったお子さんが、多かったのではないでしょうか。
 
模擬親子面接で、こういった質問をするのはいやなのですが、どのような受験
準備をされているのか聞きたくなるときがあります。それは、ペーパーテスト
の成績は良いのですが、行動観察型のテストでは、それほど点数が取れていな
い場合です。幼児に「勉強をしていますか」とは聞けませんから、いけないと思いながら誘導尋問をします。
「幼稚園から帰ったら、どんなことをしますか」
「塾へ行ったり、お母さんとプリントのお勉強をしています」
「お勉強は楽しいですか」
ここで、お母さんを見るお子さんがいます。どうやら勉強が楽しくないようで
すね。
しかし、そうはいえませんから、お母さんの顔を見て、そして、うつむいてし
まいます。
後で、親子関係が険悪になると困りますから、
「楽しいようですね。ところで……」
と話を変えます。
多くの子ども達に聞いても、受験準備は勉強だといい、女の子は「お勉強」と
いいます。
しかし、どういった勉強をしているかまでは、説明できません。
話の記憶から数量、推理・思考、図形、構成と勉強している領域は広く、取り
組んでいる内容も複雑だからです。
学校側は、何を聞きたかったのでしょうか。
 
それはともかくとして、教育の二文字から「勉強と学習」といった二つの言葉
が浮かんできます。
では、勉強とは、どのような意味があるのでしょうか。
辞書を引くと、こう書いてあります。
 
「1.そうする事に抵抗を感じながらも、当面の学業や仕事などに身を
入れること。2.将来の大成・飛躍のために一時忍ばなければならない、
つらい経験」         (「新明解国語辞典」三省堂 刊)
 
この勉強という字から、思い出すのは、先に紹介した「すずめの学校」の歌で
す。
本当は、こういう歌なのです。     
 
     ♪チイチイパッパ チイパッパ
      雀の学校の先生は むちを振り振り チイパッパ
      生徒の雀は輪になって お口をそろえて チイパッパ
      まだまだいけない チイパッパ もう一度一緒に チイパッパ 
      チイチイパッパ チイパッパ♪  
          
何か暗い感じがしませんか。
発展途上国の日本が、先進国に追いつけ追い越せと、国をあげて教育に熱を入
れた、お国のための教育の姿です。
先生がむちを振り、先生のように鳴けと問答無用です。
「命令と要求」そのものではないでしょうか。
かつて、バブル経済全盛期の頃には、こういった指導をする教室もあったと聞
きます。お母さん方は、「もっと鍛えてください」などと、空恐ろしいことを
いって、子どもを預けたそうです。幼児は肉体的にも精神的にも、鍛える指導
に対処できる成長などしているわけでもなく、また、そのような時期ではあり
ません。これでは、幼子にとって勉強とは、まさに「つらい経験」になりがち
です。
そうではないでしょうか。
 
しかし、学習を辞書で引くとこう書いてあります。
 
「習い学ぶこと。とくに、学校などで系統的に勉強すること」
 (岩波国語辞典第三版 岩波書店 刊)
       
この「習い学ぶ」ことから、キリスト、釈迦、マホメッドと共に、世界の四大
聖人である孔子の話を思い出します。
「論語物語」の中にある「うぐいすの声」です。
テーマは君子に関することですが、学習について、息子の鯉(お祝いに王様か
ら鯉をいただいたのが命名の由来だそうです)に説明するシーンがあります。
論語を研究したことはないのですが、印象に残っています。もしかすると私の
誤解であって、専門家の先生から叱責を受けるかもしれませんが、「わたくし
流」に解釈して紹介しましょう。
文章は正確ではありませんが、ダイジェストすると、こういった話になります。
 
早春の朝、庭を散歩する孔子が、「ホーホケキョ」と鳴くうぐいすの声を聞き、
息子の鯉に、
「お父さんうぐいすが鳴いたね。今に、赤ちゃんうぐいすが鳴くよ」
というと、「ケッキョ!」と不器用に鳴く声が聞こえてきます。
「この赤ちゃんうぐいすは、親の鳴き方を一所懸命に真似て、繰り返し、繰り
返し練習するのだよ。赤ちゃんうぐいすにとって、学ぶということは、親の鳴
き方を真似するのであり、習うということは、何回も練習し、失敗を重ねるこ
とであって、やがて、親鳥のように、鳴けるようになるのだよ」
余談になりますが、ある年の夏に上高地へ行ったとき、大正池でうぐいすの親
子の鳴き声を聞きましたが、この話とそっくりで感激しました。
 
さて、幼児の教育は、勉強ではなくて学習ではないでしょうか。
受験勉強も「強いて勉める」のではなく、「学び習う」のが望ましく、また、
そうあるべきだと思います。
「そんなの理想でしょう。大人でも解けないような問題が出ていますよ。何で
あんなに難しい問題がでるのですか。できなければ合格しないということでし
ょう!」
柳眉を逆立て抗議するお母さんの姿が目に浮かびます。
ごもっともですといいたいのですが、難しい問題でも、きちんと段階を踏んで
いけば、できるようになります。多くの場合、取り組み方が間違っているから
できないだけです。
 
「二足直立歩行」など気取った表現ですが、歩けない我が子を、無理やり歩か
せようとしましたか。
十分に“はいはい”をさせ、つかまり立ちができ、少し歩いてはよろけて倒れ
る、これを繰り返すことで、やっと歩けるようになったわけです。発育段階を
無視せず、一歩一歩、ゆっくりと時間をかけて見守った、あたたかい愛情があ
ったからではないでしょうか。
また、しっかりと“はいはい”をして筋肉を鍛えるなど、さまざまな条件を乗
り越えた結果でもありますが、そこには「歩きたい」と願う本能があり、その
ために試行錯誤をいとわない意欲や行動力があったからです。
 
知的な能力を培うのも、同じだと思います。
幼児が、いろいろなことを知りたがるのは、一人で生きていくための知恵を備
えるためではないでしょうか。
 
幼児が、一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことによ
って学習していきます。いわゆる「体験学習」です。記憶力も大切な能力です
が、知的な能力は、記憶だけに頼った勉強だけで、身につくものではありませ
ん。
一度泳げるようになると、十数年泳がなくても、泳ごうと思えば泳げます。と
ころが、英単語などは使わなければ、簡単に忘れてしまいます。泳ぎは、体が
記憶している中枢神経系統に、記憶は大脳神経系統に属しているからだといわ
れています。学生時代に苦労して覚えた英単語、どこに隠れているのやら腹が
立ちませんか。
それはともかく、幼児は日常の家庭生活を通して、また、幼稚園や近所の友達
との関わりから、さまざまな能力が開発されていくのです。
 
さらに、幼児にとって大切なのは、「遊び」です。
幼児の遊びは、仕事です。
大人は仕事をするとき、報酬を考え取り組みますが、幼児の仕事には、金銭的
な報酬は何もありませんし、要求もしません。
しかし、一人で生きていくための知恵は確実に身につき、自立を促します。ゲ
ームをやっていて、つまらないからやめるといった遊びとは違います。ですか
ら全力をあげ、夢中になって取り組んでいるのです。
 
遊びには、一人遊びと仲間遊びがありますが、ここでは、一人遊びを考えてみ
ましょう。
一人遊びを見ていると、子どもが夢中になっている様子がよくわかります。
それも道具は、ウルトラマンと怪獣の人形だけで、大激戦が繰り広げられてい
ます。
円谷監督も顔負けの映像が、リアルタイムでポンポンと浮かんでいるのでしょ
う。
子どもの想像力や空想力は、大人の比ではありません。
台本を書いて、セットを組み、主演から脇役、対戦相手の怪獣、そして本人し
かわからない奇妙な効果音まで流し、監督までやっているのですから驚きです。
しかも、こんなにすごい想像力を働かしながらも、もっとおもしろく遊べる方
法はないものかと工夫しています。
ですから、子どもは遊びに夢中になれるのです。
どうしたらもっと面白くなるかと、いろいろなアイデアを考え、その中から、
「これが、いいぞ!」
と選び、遊びの場に引き出します。
やってみたところが今一だとすると、
「なんだ、おもしろくないな。カット、カット!」
と駄目出しをして、また新しい台本に挑戦し始めます。
「考え、実践し、評価し、新しい遊びを見つける」、幼児の遊びは、これの繰
り返しで、そこから新たな力が育まれていきます。
しかも、だれも教えていません。
教えてくれなくても、こんなに夢中になって取り組めるのです。
それは、一歩でも前進したい本能的な要求であり、そこから得た知恵が、自力
で生きる力になっているからです。
こういったすばらしい潜在能力を利用しない手はないと思います。
 
幼児の教育は、「体験学習」で培われ、「教えない教育」に基づいたものであ
るべきだと思います。
「教えない教育」とは、本人が教わっていると思わずに、たくさんのことを学
んでいる教育のことです。赤ちゃん時代から、お母さん方の育児の姿勢は、
「体験に基づいた教えない教育」に徹してきたはずです。
言葉を語りかけたとき、おむつを外したとき、スプーンやはしを使えるように
したとき、恐い顔をして、教え込んだでしょうか。
失敗しても怒らない、できるようになるまで忍の一字で待ってあげたはずです。
「うちの子は、まだできないから」
ときちんとお手本を見せるという愛情があったからこそ、お子さんもそれに応
えて成長したのではないでしょうか。
 
受験準備も同じです。
できる、できないだけにこだわらず、どうすれば楽しく学習できるか、一緒に
考えてあげましょう。
それには、遊びの感覚を取り入れることです。
机の上で問題集を広げてする受験勉強は、基本的な力が備わっていなければ、
苦痛になるだけです。
お母さんとの学習が面白ければ、そして、楽しければ、お子さんは、一所懸命
に挑戦するはずです。 
受験勉強の第一歩は、ここから始めるべきだと思います。
 
近所の雑木林に蝉など昆虫採集に来る子ども達、帽子をかぶっていない子がい
ます。お子さんはいかがですか。そして帰ってきたら、手洗い、うがいを励行
してください。良い習慣は、毎日の積み重ねから身につくものです。
(次回からは、「家庭でできる楽しい受験準備」についてお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>お子さんは、幼稚園(保育園)で、どのように評価されていますか。

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        「めぇでる教育研究所」発行
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             第4号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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お子さんは、幼稚園(保育園)で、どのように評価されていますか。
         
第二は、社会性や協調性といった集団生活への適応力です。
小学校は集団生活ですから、社会性や協調性が育まれていなければ、スタート
でつまずくことになりかねません。しかも、こういった能力は、多くの場合、
ご家庭で培われるものです。
 
ある年の光塩女子学院初等科の説明会で、
「行動観察のテストでのお子さんの様子は、日頃、かかわりのある周囲の大人、
特に、ご両親の社会性や付き合い方が反映されるといわれています。明るく、
けじめのある付き合いができるかどうかが表れるからです」
とおっしゃっていましたが、まさにその通りではないでしょうか。
 
長年、幼児教育に携わり教えられたのは、「お母さん方の子どもに与える影響
力には、計り知れないものがある」ということです。お母さん方の育児の姿勢
次第で、子どもは育つといっても、決してオーバーな表現ではありません。そ
れほど、お母さん方は、絶対的な力を持っているのですが、お母さん方自身が、
このことをあまり意識されていないのには、唖然としたものでした。
 
最近、公立、私立校を問わず、「KYJTママ」といって、「空気読めない自
己中ママ」が増えていると聞きますが、そういったことを踏まえ、どういった
子育てが集団生活への適応力を育まないかを考えてみました。     
◆チェックシート(1)
[チェック方法] 
はいの場合[○] いいえの場合[×] どっちともいえない場合[?]
 
 1.お子さんのやっていることを見ていると手を貸しがち。 [  ]
 2.お子さんのやっていることを見ていると口を出しがち。 [  ]
 3.他人の子どもはちっとも可愛くない。            [  ]
 4.けんかの原因をわが子だけから聞き、相手に談じ込む。 [   ]           
 5.公開模擬テストの偏差値に何が何でもこだわる。 [   ]
 6.入試に関するうわさが気にかかり心を痛める。   [   ]
 
いろいろと出ましたが、全部[×]であれば、理想的なお母さんになれますが、
いかがでしょうか。
[?]は、若干、その気配があるかもしれないという場合です。
5.6.については、今の段階では関心はないと思いますが、来年の今頃は、
おそらく心を悩ますことになるかもしれませんので、覚えておいてください。
少し、解説しておきましょう。
 
[1.過保護型のお母さん]
こういったタイプのお母さんに育てられると、お母さんが何でも手伝いますか
ら、お子さんは、我慢をするといった忍耐力に欠け、わがままになりがちです。
何事も自分一人で取り組む機会が少ないために、工夫する力、想像力や独創力
が育ちにくく、基本的な生活習慣も身についていない場合が多いですから、集
団生活への適応力にも、不十分なところがありがちです。
 
[2.過干渉型のお母さん]
「こうしなさい」「ダメ」「早くしなさい」など、命令、禁止、要求、抑制の
言葉が多い環境のため、自立心や自発性、積極的にやろうとする意欲が育ちに
くく、何かをするときに、お母さんの指示を待つ消極的な子どもになりやすい
ものです。
 
[3.溺愛型のお母さん]
お母さんの愛情を一身に受け幸せそうですが、愛情を注ぐお母さんが、情緒不
安定な場合が多く、そのため叱られはしないかと、絶えずお母さんの顔色を見
る子になりがちです。大人の前ではよい子でも、子どもらしさに欠け、陰で弱
い子をいじめるといった問題を起こす子どもになりやすいといえます。
 
[4.自己中心型のお母さん]
「学校が、先生が、友達が悪い!」と、何かにつけて他人のせいにし、責任を
取ろうとしませんから、子どもも真似をし、社会性や協調性に欠け、集団生活
になじめず、孤立する恐れがあります。いわゆる「自己中心型」(自己中)の
お母さんです。
“KYJTママ”-空気読めない自己中ママ-という言葉があると紹介しまし
たが、小学校が、もっとも歓迎しないお母さんです。
 
[5.知育偏重型のお母さん]
子どもの生まれ月、月齢や発育段階を考えずに、能力以上のことを要求するた
めに、何事にも自信が持てず、極端に失敗を恐れ、落ち着きがなく、積極的に
取り組む意欲が表れにくい子になりがちです。お母さんは、「何回言ったらわ
かるの!」などの言葉が多くなるようです。
 
[6.付和雷同型のお母さん]
親が選んだ受験にもかかわらず、「コネ次第」「出身者有利」「職業で決まり」
などいった怪情報に振り回され、「わが子をみてください」といった信念がな
いので、親子で受験地獄に陥りやすいといえます。「○○ちゃんは、できるの
に…」といった比較する言葉を不用意に使い、お子さんの心に傷を残すことに
なりがちです。
 
いかがでしょうか。
気の弱いお母さん方にとっては、気が滅入ってしまうような言葉ばかり出てき
ましたが、実際には、こういったお母さん方が、いるわけではありません。お
母さん方の心の中に潜んでいるのではないかと思われる、“潜在的な欲求”を
表したものです。これらが表面に出るか、きちんと押さえこむことができるか
で、お子さんの社会性や協調性は、培われていくものです。それが学校側のい
う育児の姿勢なのです。
 
公立、私立を問わず、小学校では、「知育・徳育・体育の三つの能力が、年齢
にふさわしく、バランスよく育っている気力のある子」を求めています。こう
いったお子さんに共通しているのは、社会性や協調性といった集団生活への適
応力がきちんと身についていることです。ご両親がバランスの取れた育児を心
がけた結果といえるわけです。バランスのよい育児とは、紹介しました6つの
タイプに偏らない育児のことです。
 
次に、日常生活で、どのような育児が行われているかをチェックしてみましょ
う。
偏った育児になっているかどうか、これだけでも判定できます。
 
◆チェックシート(二)
[チェック方法]
今回は、○か×で判定してください。
 
1. ご両親であいさつをしていますか。[  ]
2.お子さんはご両親の話をきちんと聞いていますか。[  ]
3.お子さんの話をきちんと聞いてあげていますか。[  ]
4.お子さんに呼ばれて「ハイ」と答えていますか。[  ]
5.お子さんが何かできるようになったとき褒めていますか。[  ]
6.お子さんが悪いことをしたときに本気になって叱りますか。[  ]
7.何かお手伝いをさせていますか。[  ]
8.お子さんは約束を守っていますか。[  ]
9.本を読んであげていますか。[  ]
10.「なぜ、どうして」に答えてあげていますか。[  ]
11.指示はきちんと出していますか。[  ]
12.お子さんが泣いても「駄目なことは駄目」といえますか。[  ]
13.「おんぶ」をせがまれると、いつでもおんぶしていますか。[  ]
14.「早くしなさい!」という言葉が多くありませんか。[  ]
15.何か欲しがったときにはすぐに与えますか。[  ]
16.お子さんに好き嫌いはありますか。[  ]
17.お子さんがテレビのチャンネル権を握っていませんか。[  ]
18.じっと座っているのを苦手としていませんか。[  ]
19.遊んで帰ってきたお子さんの洋服の汚れが気になりますか。[  ]
20.叱った後、後悔することはありますか。[  ]
 
チェックする項目は、望ましい育児の姿勢を中心に作ってみました。
[1]から[12]までは「はい」、[13]以降は「いいえ」が理想ですが、
いかがでしょうか。今度は、どちらともいえない「?」のマークはありません
が、是非とも、ご両親で頑張ってほしいことだからです。
 
前回お話しました生活習慣や、こういったことを毎日の生活の中で、ご両親が
心がけていけば、自ずと集団生活の適応力である「社会性」や「協調性」は培
われ、学校側の歓迎するお子さんに育っていくものです。
 
心配な点がありましたら、幼稚園や保育園の先生に、「私どもの子どもは、集
団生活に何か問題はないでしょうか」と聞いてみましょう。
「少し、問題があるようですね」といった答えがあった場合は、「大変、問題が
ある」と考え、ご両親の育児の姿勢をチェックする必要があると思います。
 
ところで、幼児教育に携わる者にとって、モンテッソーリの著書は必読の書で
すが、ある著書の中に、こういった言葉があります。
  
「親や教諭は、自分の考えや力で子どもを支配してはいけない。今、この子に
何をしてあげるべきか、何を成すべきではないか、ということを知らなくては
ならない。子どもが、今、成すべきこと、今、成し遂げるべきことを、自力で
させてあげることだ」
       
ここから、相良敦子氏の「ママ、ひとりでするのを手伝ってね!」(講談社 刊)
という名著が生まれたのですが、この本の題名のように、基本的な生活習慣や
集団生活への適応力などは、子どもが一人でできるように、一人で参加できる
ように手伝う姿勢が、大切ではないでしょうか。「命令と強制」だけでは、こ
ういった適正能力は育まれません。
なお、この本は、白百合学園小学校を受験されるお母さん方、特に、モンテッ
ソーリ教育に縁がなかった方には、是非、読んでほしいと思います。すると、
なぜ、本学園の入学試験の難易度が高いかがわかるからです。
 
  注 マリア・モンテッソーリ
イタリアのローマで医師として精神病院で働き、知的障害児へ感覚教育を実施
し知的水準を上げる効果をみせ、1907年に設立した貧困層の健常児を対象とし
た保護施設「子どもの家」において、独特の教育法を完成させた。以後、モン
テッソーリ教育を実施する施設は「子どもの家」と呼ばれるようになった。
 ウィキペディア フリー百科事典より
 
梅雨も開け、夏休みに入りました。
夏はこれからが本番です。通園中と同じようにタイムスケジュールをきちんと
守り、楽しく生活できるよう心がけましょう。
(次回は、「幼児に必要なのは、勉強ではなく学習です」についてお話しまし
ょう)
 

さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>お子さんは、朝起きてから寝るまで、どのくらいのことを自力でできますか。

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        「めぇでる教育研究所」発行
 さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
             第3号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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お子さんは、朝起きてから寝るまで、どのくらいのことを自力でできますか。
 
まず、基本的な生活習慣のことです。
一言でいえば、「誰の世話にもならず、自力で生きていくために培われた、年
齢にふさわしい適応能力」のことで、食事・睡眠・排泄・清潔感・衣服の着脱
の5つが基本といわれています。
これは皆さん方が、今まで手がけてきたことばかりではないでしょうか。
おそらく、3歳頃からお子さん自身が自分でやる機会も増え、できることも増
えていったと思います。
その時から賢明なお母さん方は、手を抜き始めたのではないでしょうか。
お子さんの自立の始まりです。
ですから、3歳を過ぎても子どものやっていることをみて、手を貸そうとすれ
ば過保護であり、口を挟もうとすれば過干渉の育児になり、実際に手を貸し、
口を出していると、いやな言葉ですが、超過保護であり、超過干渉の育児にな
りがちで、お子さんの自立は阻まれてしまいます。
お子さんを取り巻く環境はいかがでしょうか。
 
20項目あげてみましたが、早生まれのお子さんでは、まだ無理なことも入っ
ていますし、今の時点でこれらのすべてが、きちんとできていなければいけな
いということではありません。
受験を考えていないお子さんの場合は、年長になる来年の4月をめどにして間
に合いますが、受験されるお子さん方には、少し厳しくなりますが、幼児教室
の新学期が始まる、今年の11月を目安にして頑張ってみましょう。
目的は、自立心を養うことです。
幼児教室では、手のかかるお子さんは歓迎されませんし、入室テストで断られ
ることもあるからです。
 
 1.毎朝一人で起きられますか。
 2.歯磨き、洗顔を一人でできますか。
 3.風呂で体を洗い、洗髪できますか。※
 4.衣服の着脱はできますか。
 5.ボタンの掛け外しはできますか。
 6.食事は一人でできますか。
 7.箸やスプーンの持ち方に気になることはありますか。
 8.食事に時間はかかりますか。
 9.幼稚園へ行くときの準備は一人でできますか。
10.幼稚園から帰ってきたとき一人で着替えができますか。
11.外から帰ってきたとき、手洗い、うがいはできますか。
12.おもちゃ等遊んだものを片付けられますか。※
13.自分の身の回りの整理整頓はできますか。※
14.ハンカチやちり紙を使えますか。※
15.はさみで形の切り抜きができますか。
16.ひもを結べますか。(かたむすび)※
17.靴をはくことができますか。
18.玄関で靴をそろえて脱げますか。
19.毎朝決まった時間にトイレに行っていますか。
20.早寝、早起きをし、睡眠は10時間以上とっていますか。
        ※は無理をしないことです。
 
3.洗髪は、幼児にとっては大事業ですから急がせる必要はありません。
毎年、年長の夏に2泊3日の合宿に出かけていた頃の経験ですが、いやがる男
の子には、耳をしっかりと押さえさせ、シャンプーも少しだけつけて洗ってあ
げると、意外に「何だ、ぼくにもできる!」となり、合宿から帰ってきたわが
子の変わった様子に驚かれるお母さん方がいましたが、怖がるからやらせなか
った場合が多いものです。
 
7.箸を正しく持ち、他人の世話を受けずに食事ができることは、排泄と共に
集団生活でも最も大切なことです。
立教女学院小学校の説明会で、教頭の吉田太郎先生は「今年も箸を使うような
問題が出たとしても、できるだけ速く物をはさみ移動させることを競っている
のではなく、生活習慣としてみせていただきます」とおっしゃっていましたが、
箸をきちんと持って食事のできるお子さんは、筆記用具を正しく持てています
から、お母さん方の育児の姿勢、しつけがわかるわけで、決してタイムを争わ
せているわけではありません。
筆記用具の持ち方は書写の基本であり、小学校の勉強の初めの一歩につながる
大切な生活習慣であり、適正能力です。「点図形模写」などの出題の意図はこ
こになるのです。
 
11.幼児にとっては難しい習慣で、これこそご両親がしっかりとお手本を見
せることが大切です。
インフルエンザの防止のために、うがいを励行されたと思いますが、これが習
慣になっているようですね。
「外から帰ってきた時は、手を洗いましょう」は、清潔感を身につける大切な
習慣です。
 
13.整理整頓ですが、男の子は苦手ですね。
「まだ、小さいから、今にできるようになる」と思っているようではできるよ
うになりませんし、その度にうるさく注意するだけでは身につきません。
整理の仕方がわからない場合もあります。
「君は、まだ小さくてできないから、先生が手伝うよ」と一緒に片付けている
と、それが習慣になって1ヶ月もしないうちに自分から片付け始める子もいま
す。
おもちゃを箱に乱雑にしまう子は、片付ける手順がわからない場合が多いもの
です。
文句をいう前に、なぜできないか、その原因を考えてあげましょう。
そして、お父さん方にも一言、「置きっ放しにしないで! だらしがないんだ
から」などとお母さん方から苦情が出ていませんか。
お母さん方へ、お子さんの前で、こういった乱暴な言葉は、絶対に使わないで
ください。
小さい時から、父親の存在をないがしろにする言動は、厳に慎むべきです。
子ども達は、強いお母さんを歓迎しているわけではありません。
 
14.男の子は、手でこすって始末したり、ズボンで拭いたりしがちですが、
どうしてティッシュペーパーやハンカチを使うか、時間をかけて教えましょう。
衛生感覚を身につける大切な生活習慣です。
 
15の手作業、関係のないように思えますが、切る、折る、貼るといった作業
は、自立心と深いかかわりを持っています。
誰の手も借りずに、はさみを使えることは、脳と筋肉が、ある目的のために、
自主的に共同作業をやっていることになるからです。
自らやろうとする意欲の育まれていることがわかりますから、出題されるわけ
です。
 
こういった基本的な生活習慣の身についている子は、試行錯誤を積み重ね、工
夫し、努力をしていますから、自立心や自発性が培われ、それが集団生活への
適応力を育むもとにもなっているのです。
 
さらに、加えておきたいのは、「あいさつができますか」ということです。
「おはようございます」「いただきます」「ごちそうさま」「いってきます」
「ただいま」「ありがとう」「ごめんなさい」「おやすみなさい」は、ご両親
が率先して行うことで、きちんと身につくものです。
特に、「ありがとう」「ごめんなさい」と素直にいえる子は、情緒も安定していま
す。
あいさつは、人とのかかわりをスムーズに行うための潤滑油であり、次回にお
話します、集団生活への適応力にも大きな影響を与えるものです。
 
基本的な生活習慣は、自力で生活できる適応能力のことです。
小学校の入学試験は、「初めての所へ行って、初めて会った友達の中に入り、
初めて会った先生のいうことを聞き、適切に対応できるか」を判定されること
であり、頼りになるのは自分自身だけで、誰も助けてくれません。
「子離れできないお母さん」「お母さん離れのできないお子さん」では、入学
試験に対応できないことをご理解いただけたのではないでしょうか。
どこの学校でも、「基本的な生活習慣が身についているかをみたい」といって
いるのは、適応能力が身についているかを知りたいからです。
 
最近の説明会でよく聞く、「当たり前のことが当たり前にできない」の意味は、
知的な能力ではなく生活習慣のことです。
まず、こういったことからしっかりと育てていくことが、合格への道を歩むこ
とになるのです。
ただし、繰り返しお願いしておきますが、お子さんの生まれ月を無視すること
は、成長を阻害するおそれもありますから、慎重に取り組んでいただきたいと
思います。
 
猛暑が続いていますが、お子さんの健康管理には十分に気をつけてください。
(次回は、集団生活への適応力についてお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>先手必勝といっても、あおっているのではありません

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        「めぇでる教育研究所」発行
 さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
             第2号
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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先手必勝といっても、あおっているのではありません
 
今回を含めて今年の10月まで、17回配信できますが、この間に家庭でやら
なければならないことをしっかりと行い、身につけることができれば、11月
から始まる幼児教室の新年長クラスでの学習は、お子さんにとって楽しい教場
となるはずです。
これから6つのことについてお話しますが、どれから始めるかといった優先順
位はありません。
子ども達は幼稚園や保育園で、国語、算数、社会といったように、教科別に時
間を区切って学習しているわけではありませんが、あらゆる事柄に、先生や友
達と様々な関わりを持ちながら学んでいますから、ご家庭でも臨機応変に取り
組んでいただきたいと思います。
 
★お子さんは、自力でどのくらいのことができますか。
 基本的な生活習慣のことです。
 朝起きてから夜寝るまで、お母さんはどのくらい手を貸しているでしょうか。
 「自力でできることがたくさんあるお子さんの知的な能力は高い」といわれ
 ています。
 また、3歳過ぎてお子さんのやっていることを見て手を貸し、口を出すのは、
 過保護、過干渉の育児といわれ、お子さんの自立を妨げます。
 皆さん方はいかがでしょうか。
 
★お子さんは幼稚園や保育園へ通うことを楽しみにしていますか。
 社会性や協調性といった集団生活への適応力です。
 光塩女子学院初等科の説明会では、社会性のお手本はご両親とおっしゃって
 いました。
 「少し元気がありすぎるようですね」などといわれていませんか。
 「元気な子と無作法な子は違う」「明るい子とけじめのない子も違う」とも
 いわれていますが、お子さんはいかがですか。
 
★お子さんはお母さんの目を見て話を聞き、話をしていますか。
 話の聞ける子は相手の目を見ていますが、その瞳は輝いています。
 話をする子の表情は、いつも楽しそうです。
 幼稚園や保育園、外から帰ってきたときに、「ママ、あのね!」と話しかけ
 てきますか。
 そして、きちんと聞いてあげていますか。
 後で詳しくお話ししますが、「小学校の入試でもっとも大切なこと」と覚え
 ておいてください。
 
★折り紙やあやとり、点図形やお絵描きに興味を持っていますか。
 色を塗る、紙を切る、折り紙を折る、紐を結ぶ、糊で貼る、箸で摘むなどの
 手作業は、その年齢にふさわしい発達を遂げるもので、その時期を逃すと苦
 手意識を持ち、手をださなくなるともいわれています。
 また、点図形は、書写の基本練習にもなっており、多くの学校で出題されて
 いる訳は、ここにあるのです。
 絵は心の窓ともいわれ、描かれた1枚の絵からお子さんの情緒の発達状態も
 わかります。
 入試問題に絵を描かせる学校が増えていますが、絵はスケッチブックとクレ
 ヨンを与えて、すぐ描けるものではありません。 
 また、「手は第二の脳」ともいわれ、知的な能力の発達と深い関わりを持っ
 ています。
 お子さんは、「塗る・切る・折る・結ぶ・貼る・摘む・書く・描く」といっ
 た手作業に興味を示していますか。
 
★数量に関して直感力は働きますか。
 入学試験というと数量の問題が重視されているようですが、子ども達は数字
 を使い加減乗除で答えを出すわけではありません。
 直感で多少を見極めることから始め、○を使って答えを求めます。
 お子さんに、クッキーが3つと5つの入った皿を見せ、「多い方を食べてい
 いですよ」 といったとき、数えることなく5枚のクッキーの入った皿を取
 ることができるでしょうか。
 また、容量が同じ2つのコップの一方に、少しだけ多く入れておき、「多い
 方を飲んでいいですよ」といったとき、さっと多い方のコップを取れるでし
 ょうか。
 これは、決して卑しいことではなく、「about(アバウト) おおよそ
 の感じ=直感力」で判断した結果で、数量に関しては、まず、こういった直
 感力が働くことから始まります。
 お子さんは、いかがでしょうか。
 
★5分も歩かないうちに「おんぶ!」などといいませんか。
 現代っ子は、スタミナ不足といわれています。
 なぜ、赤ちゃんは「はいはい」を繰り返し、繰り返しするのでしょうか。
 ご存知のように、やがて歩き始めるための筋肉の鍛錬になっているわけです。
 幼児期には、敏感期といわれる「もっとも著しく発達する時期」があります。
 言葉の敏感期を逃すと、狼に育てられた少年のように話のできない人間にな
 ってしまいます。
 筋肉も同じで、身体全体を使い、遊ぶことで発達するものです。
 小学校に入ると余分なエネルギーをかけない省エネ運動を覚えますが、幼稚
 園時代は全力で身体を動かします。
 お子さんは、部屋で一人だけで遊ぶ省エネ運動に入っていませんか。
 
以上6つの項目を挙げてみました。
問題がなければ、ご両親の育児の姿勢にぶれはなく、お子さんは順調に育って
いるといえます。
「入学試験を控えている子どもにとって、知的な能力を鍛える項目がないよう
に思えますが」と心配なさる方もあるかもしれません。
ご安心ください。
こういったことがきちんとできるお子さんの知力は、十分に発達しているもの
です。
なぜなら、こういったことはすべて、自力でやらなければ身につかないことば
かりで、そのためには、試行錯誤を積み重ね、考え、工夫し、自発的に挑戦し、
自分のものにしているからです。「自分のものにする」、これは幼児が自力で
身につけた知恵です。
その知恵を土台にして、知的な能力は発達していくものです。
 
お母さん方も得意な料理は、レシピを見ないで、調味料も計量カップを使わず
に、作っているのではないでしょうか。
試行錯誤の結果、ご主人やお子さんが好む料理にできあがっているはずです。
それと同じです。
知的な訓練だけを先行させるのは、ともすると、その時期に必要な成長を支え
る、大切な手順を抜くことになり、なかなか理解できないことが起きがちで、
そこから苦手意識が幅を利かせることになるのです。
「プロセスの重視」、幼児の学習は育児と同様、プロセスをなおざりにするこ
とはできません。
かつて桐朋小学校の説明会で、「私どもは試験といえどもプロセスを重視して
います」とおっしゃったことがありますが、皆さんはどうお考えでしょうか。
来週から、6つの領域の基本的な学習のプロセスについてお話していきたいと
思います。
 
はっきりとしない天気が続いていますが、お子さんの健康管理には十分に気を
付けてください。
(次回は、「基本的な生活習慣」についてお話しましょう)
 

さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験> 創刊号

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さわやかお受験のススメ <現年中児 今から始める小学校受験> 創刊号
 
ここ数年、私立小学校への受験者は減る傾向にあるようです。
もっとも受験者の多い慶應義塾幼稚舎でも、2015年度(2014年11月
受験)は、男子908名(987名)、女子624名(620名)、
計1,532名(1,607名)で75名減、慶應義塾横浜初等部は、
男子650名(728名)、女子514名(529名)、計1,164名
(1,257名)で93名減、多くの小学校で受験者が減っているのは事実で
しょう。(カッコ内は2013年11月受験者数)
ところが、こういった現象にもかかわらず、私立小学校は増えています。全国
の私立小学校は213校、東京都53校と一番多く、神奈川県31校【日本大
学藤沢小学校 4月に開校】、埼玉県5校、千葉県9校、茨城県7校【開智望
小学校 4月に開校】の105校で、関東1都4県で全体の48%、約5割を
占めています。
 
受験者が減り学校が増えたことから、私学のお受験も楽になったと考える方が
増えていると聞きます。しかし、難関校は相変わらず難関校であり、年中から
2年間かけて慎重に準備しなければ、合格の二文字を得ることは出来ません。
事実、自宅学習を積み重ね、夏休みの講習会から幼児教室に通い、志望校への
合格を目指す保護者も増えているようですが、あと一歩及ばず、「もう少し早
く準備をしておけば……」と後悔する話をよく耳にするようになりました。何
が足りなかったのでしょうか。
 
思い出すのは、バブル経済全盛期に、私立小学校への受験が過熱気味で、一人
で何校も受験するのが当たり前の風潮になり、マスコミが「受験戦争の低年齢
化」と騒ぎ立てた時、あるミッション系の学校説明会で校長先生は、「入試に
必要な礼儀作法や知識を泥縄式に詰め込み、『受験準備、事足れりと』お考え
になるのは、誤りであることに気づいてほしい」とおっしゃったものでした。
小学校の入学試験は、速成は出来ないことを的確に表現した言葉です。「なぜ、
速成出来ないか」、それは私立小学校の望む子どもとは、「知力、徳力、体力
が年齢相応に育った気力のある子」で、試験を通してこれらを判定しているか
らです。
 
知力といえば、知的な能力と早合点される方が多く、勿論、理解力・判断力・
記憶力・推理思考力・観察力・思考力などをテストを通して判定しますが、こ
の知力の中には、幼児独特の成長の証である基本的な生活習慣や手先の巧緻性
なども含まれ、そこから自立心が培われているかもわかるのです。
 
徳力は、社会性や協調性といった集団生活への適応力が身に付いているか、つ
まり自律心が培われているかを判定します。自由保育では一斉に何かをする機
会が少ないせいでしょうか、現代っ子は、試験場でグループを組み、何かに挑
戦することが、どうやら苦手のようです。
 
体力は、持久力や耐久力、行動力、そして機敏性や俊敏性を問われる運動能力
を判定しますが、こういったことは日常生活で鍛えていくものですから、生活
環境がわかるのです。
 
そして、気力とは、耐久力や持続力があり、思いやりの心や譲る心が培われ、
そして明朗で快活な性格であるかをみているわけで、育児が過保護や過干渉で
ないことがわかるのです。
 
試験の方法も変わってきました。
平成4年から幼稚園の保育の方法が、これまでの一斉保育から自由保育になり、
ペーパーを使わない行動観察型の試験が増えてきました。詳しくは本文でお話
ししますが、「一人ひとりの個性を育てる」自由保育の方針が、試験の方法に
影響を与えた結果で、ペーパーテストでは判定出来なかったことが、行動観察
型の試験で可能になったのです。ペーパー試験しかやっていなかった立教小学
校は、今ではペーパーテストをやめ行動観察型に切り替え、男の子達が苦手な
ダンスまで試験に取り入れていますが、学校は何を判定しているか考えてみま
しょう。
 
また、あるミッション系の校長先生は、「人は躾や言葉遣い、挨拶や礼儀作法
を刷り込まれて生まれてくるわけではありませんから、私どもでは、子ども達
が嫌がっても強制的に教えます」とおっしゃっていましたが、そういったこと
がなおざりにされている子はいりませんということです。
 
さらに、自己中な風潮に対し、「訓練されていない個性は野性である」と言い
切った校長先生もいます。
 
こういったことを総合的に判定するのが小学校の入学試験です。集団生活の中
で、お子さんはどうあるべきか、親がしっかりと考え、やさしく、あるいは厳
しくしつける、ご両親の責任において、しっかり育児をしているかをみている
のです。基本的な生活習慣やしつけ、集団生活への適応力は、小学校生活をス
ムーズに過ごすための基礎、基本です。試験を受けるのはお子さんですが、判
定されているのはご両親です。こういったことは、付け焼刃では身につきませ
んから、速成は絶対に不可能なのです。
 
「ゆっくり、じっくり、的確に進めていく」、これが小学校受験のキーポイン
トです。年中の7月から10月にかけて、ご家庭でしっかりとやるべきことが
たくさんあり、この4カ月の地道な努力が、知力アップにもつながり、合格へ
の道を確実に歩めるのです。
 
来年の秋、希望する小学校から招待状を頂けるように、お役に立つ情報をお届
けいたします。頑張りましょう! 応援します。
 
 
平成27年7月
めぇでる教育研究所  所長 藤本 紀元
 

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