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めぇでるコラム

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さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>幼児に必要なのは、 勉強ではなく学習です 

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ現年中児 今から始める小学校受験
            第5
 現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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幼児に必要なのは、 勉強ではなく学習です 
 
ある年の白百合学園小学校の親子面接で、こういった質問があったそうです。
「何かお勉強をしていますか。どういうお勉強ですか」
「…………?」
こうなってしまったお子さんが、多かったのではないでしょうか。
 
模擬親子面接で、こういった質問をするのは控えますが、どのような受験準備
をされているのか聞きたくなるときがあります。それは、ペーパーテストの成
績は良いのですが、行動観察型のテストでは、それほど点数が取れていない場
合です。幼児に「勉強をしていますか」とは聞けませんから、いけないと思い
ながら誘導尋問をします。
「幼稚園から帰ったら、どんなことをしますか」
「お教室へ行ったり、お母さんとプリントのお勉強をしています」
「お勉強は楽しいですか」
ここで、お母さんを見るお子さんがいます。どうやら勉強が楽しくないようで
すね。
しかし、そうはいえませんから、お母さんの顔を見て、そして、うつむいてし
まいます。
後で、親子関係が険悪になると困りますから、
「楽しいようですね。ところで……」
と話を変えます。
多くの子ども達に聞いても、受験準備は勉強だといい、女の子は「お勉強」と
いいます。
しかし、どういった勉強をしているかまでは、説明できません。
話の記憶から数量、推理・思考、図形、構成と勉強している領域は広く、取り
組んでいる内容も複雑だからです。
学校側は、何を聞きたかったのでしょうか。
                      
それはともかくとして、教育の二文字から「勉強と学習」といった二つの言葉
が浮かんできます。
では、勉強とは、どのような意味があるのでしょうか。
辞書を引くと、こう書いてあります。
 
「1.そうする事に抵抗を感じながらも、当面の学業や仕事などに身
を入れること。
 2.将来の大成・飛躍のために一時忍ばなければならない、つらい経験」
   (「新明解国語辞典」三省堂 刊)
 
この勉強という字から、思い出すのは、先に紹介した「すずめの学校」の歌で
す。
本当は、こういう歌なのです。
 
     ♪チイチイパッパ チイパッパ
      雀の学校の先生は むちを振り振り チイパッパ
      生徒の雀は輪になって お口をそろえて チイパッパ
      まだまだいけない チイパッパ もう一度一緒に チイパッパ 
      チイチイパッパ チイパッパ♪  
 
何か暗い感じがしませんか。
発展途上国の日本が、先進国に追いつけ追い越せと、国をあげて教育に熱を入
れた、お国のための教育の姿です。
先生がむちを振り、先生のように鳴けと問答無用です。
「命令と要求」そのものではないでしょうか。
かつて、バブル経済全盛期の頃には、こういった指導をする教室もあったと聞
きます。お母さん方は、「もっと鍛えてください」などと、空恐ろしいことをい
って、子どもを預けたそうです。幼児は肉体的にも精神的にも、鍛える指導に
対処できる成長などしているわけでもなく、また、そのような時期ではありま
せん。これでは、幼子にとって勉強とは、まさに「つらい経験」になりがちで
す。
そうではないでしょうか。
 
しかし、学習を辞書で引くとこう書いてあります。
 
     「習い学ぶこと。とくに、学校などで系統的に勉強すること」
             (岩波国語辞典第三版 岩波書店 刊)
 
この「習い学ぶ」ことから、キリスト、釈迦、マホメッドと共に、世界の四大
聖人である孔子の話を思い出します。
「論語物語」の中にある「うぐいすの声」です。
テーマは君子に関することですが、学習について、息子の鯉(お祝いに王様か
ら鯉をいただいたのが命名の由来だそうです)に説明するシーンがあります。
論語を研究したことはないのですが、印象に残っています。もしかすると私の
誤解であって、専門家の先生から叱責を受けるかもしれませんが、「わたくし流」
に解釈して紹介しましょう。
文言は正確ではありませんが、ダイジェストすると、こういった話になります。
 
早春の朝、庭を散歩する孔子が、「ホーホケキョ」と鳴くうぐいすの声を聞き、
息子の鯉に、
「お父さんうぐいすが鳴いたね。今に、赤ちゃんうぐいすが鳴くよ」
というと、「ケッキョ!」と不器用に鳴く声が聞こえてきます。
「この赤ちゃんうぐいすは、親の鳴き方を一所懸命に真似て、繰り返し、繰り
返し練習するのだよ。赤ちゃんうぐいすにとって、学ぶということは、親の鳴
き方を真似するのであり、習うということは、何回も練習し、失敗を重ねるこ
とであって、やがて、親鳥のように、鳴けるようになるのだよ」
余談になりますが、ある年の夏に上高地へ行ったとき、大正池でうぐいすの親
子の鳴き声を聞きましたが、この話とそっくりで感激しました。
 
このように、幼児の教育は、勉強ではなくて学習ではないでしょうか。
受験勉強も「強いて勉める」のではなく、「学び習う」のが望ましく、また、そ
うあるべきだと思います。
「そんなの理想でしょう。大人でも解けないような問題が出ていますよ。何で
あんなに難しい問題がでるのですか。できなければ合格しないということでし
ょう!」
柳眉を逆立て抗議するお母さんの姿が目に浮かびます。
ごもっともですといいたいのですが、難しい問題でも、きちんと段階を踏んで
いけば、できるようになります。多くの場合、取り組み方が間違っているから
できないだけです。
 
「二足直立歩行」など気取った表現ですが、歩けない我が子を、無理やり歩か
せようとしましたか。
十分に“はいはい”をさせ、つかまり立ちができ、少し歩いてはよろけて倒れ
る、これを繰り返すことで、やっと歩けるようになったわけです。発育段階を
無視せず、一歩一歩、ゆっくりと時間をかけて見守った、あたたかい愛情があ
ったからではないでしょうか。
また、しっかりと“はいはい”をして筋肉を鍛えるなど、さまざまな条件を乗
り越えた結果でもありますが、そこには「歩きたい」と願う本能があり、その
ために試行錯誤をいとわない意欲や行動力があったからです。
 
知的な能力を培うのも、同じだと思います。
幼児が、いろいろなことを知りたがるのは、一人で生きていくための知恵を備
えるためではないでしょうか。
 
幼児が、一つの能力を身につけるには、それにふさわしい体験を積むことによ
って学習していきます。いわゆる「体験学習」です。記憶力も大切な能力です
が、知的な能力は、記憶だけに頼った勉強だけで、身につくものではありませ
ん。
一度泳げるようになると、十数年泳がなくても、泳ごうと思えば泳げます。と
ころが、英単語などは使わなければ、簡単に忘れてしまいます。泳ぎは、体が
記憶している中枢神経系統に、記憶は大脳神経系統に属しているからだといわ
れています。学生時代に苦労して覚えた英単語、どこに隠れているのやら腹が
立ちませんか。
それはともかく、幼児は日常の家庭生活を通して、また、幼稚園や近所の友達
との関わりから、さまざまな能力が開発されていくのです。
 
さらに、幼児にとって大切なのは、「遊び」です。
幼児の遊びは、仕事です。
大人は仕事をするとき、報酬を考え取り組みますが、幼児の仕事には、金銭的
な報酬は何もありませんし、要求もしません。
しかし、一人で生きていくための知恵は確実に身につき、自立を促します。ゲ
ームをやっていて、つまらないからやめるといった遊びとは違います。ですか
ら全力をあげ、夢中になって取り組んでいるのです。
 
遊びには、一人遊びと仲間遊びがありますが、ここでは、一人遊びを考えてみ
ましょう。
一人遊びを見ていると、子どもが夢中になっている様子がよくわかります。
それも道具は、ウルトラマンと怪獣の人形だけで、大激戦が繰り広げられてい
ます。
円谷監督も顔負けの映像が、リアルタイムでポンポンと浮かんでいるのでしょ
う。
子どもの想像力や空想力は、大人の比ではありません。
台本を書いて、セットを組み、主演から脇役、対戦相手の怪獣、そして本人し
かわからない奇妙な効果音まで流し、監督までやっているのですから驚きです。
しかも、こんなにすごい想像力を働かしながらも、もっとおもしろく遊べる方
法はないものかと工夫しています。
ですから、子どもは遊びに夢中になれるのです。
どうしたらもっと面白くなるかと、いろいろなアイデアを考え、その中から、
「これが、いいぞ!」
と選び、遊びの場に引き出します。
やってみたところが今一だとすると、
「なんだ、おもしろくないな。カット、カット!」
と駄目出しをして、また新しい台本に挑戦し始めます。
「考え、実践し、評価し、新しい遊びを見つける」、幼児の遊びは、これの繰り
返しで、そこから新たな力が育まれていきます。
しかも、だれも教えていません。
教えてくれなくても、こんなに夢中になって取り組めるのです。
それは、一歩でも前進したい本能的な要求であり、そこから得た知恵が、自力
で生きる力になっているからです。
こういったすばらしい潜在能力を利用しない手はないと思います。
 
幼児の教育は、「体験学習」で培われ、「教えない教育」に基づいたものである
べきだと思います。
「教えない教育」とは、本人が教わっていると思わずに、たくさんのことを学
んでいる教育のことです。赤ちゃん時代から、お母さん方の育児の姿勢は、「体
験に基づいた教えない教育」に徹してきたはずです。
言葉を語りかけたとき、おむつを外したとき、スプーンやはしを使えるように
したとき、恐い顔をして、教え込んだでしょうか。
失敗しても怒らない、できるようになるまで「忍の一字」で待ってあげたはず
です。
「うちの子は、まだできないから」
ときちんとお手本を見せるという愛情があったからこそ、お子さんもそれに応
えて成長したのではないでしょうか。
 
受験準備も同じです。
できる、できないだけにこだわらず、どうすれば楽しく学習できるか、一緒に
考えてあげましょう。
それには、遊びの感覚を取り入れることです。
机の上で問題集を広げてする受験勉強は、基本的な力が備わっていなければ、
苦痛になるだけです。
お母さんとの学習が面白ければ、そして楽しければ、お子さんは、一所懸命に
挑戦するはずです。 
受験勉強の第一歩は、ここから始めるべきだと思います。
 
猛暑にも負けずに、近所の雑木林に蝉など昆虫採集に来る子ども達、水筒を持
っていますが、帽子をかぶっていない子がいます。お子さんはいかがですか。
外から帰ってきた時は、手洗い、うがいを励行してください。良い習慣は、毎
日の積み重ねから身につくものだからです。
  (次回からは、「家庭でできる楽しい受験準備」についてお話しましょう)

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さわやかお受験のススメ<小学校受験編>◆◆試験当日の留意点◆◆

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            最終回
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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◆◆試験当日の留意点◆◆
 
季節の変わり目、真夏日が続き、朝晩、気温の変化の激しい初秋ですが、体調
を崩しやすいですから、お子さんの健康管理には、十分注意してください。
 
今回は、試験当日の留意点とご両親の心構えについてお話しましょう。
 
1 募集要項を読み直し、持参するものの一覧表を作っておき、慎重にチェック
をしましょう。
受験票、面接票、当日のスケジュール表(出願後に学校側から送られてきた
資料)、募集要項、上履き(学校によってはご両親用も)、運動靴
(雨天の場合は雨具の他に、お子さんの着替えやソックスなど)、
携帯電話(万一の交通事故に備え)、スイカ、パスモなど。
親子一緒の控室のところは、お子さんが静かに待てるようなものも用意する
といいでしょう。
 
2 当日は、いつもと変わらない朝を迎えてください。
学習院のように試験当日に両親面接があると、ご両親が緊張しがちです。
いつもは「行ってくるよ」と会社へ出かけるお父さんが、一所懸命に駄洒
落を飛ばすのですが、全くうけなくて、かえって、「パパ、どうしたの?」
と怪しまれてしまったと、笑いながら話してくれたお父さんがいました。
いつもと同じように、平常心を心がけましょう。
 
3 いかなる場合でも、遅刻は認められません。
特に、バスを利用する場合は、注意が必要です。
朝は、渋滞する可能性がありますから、事前によく調べておきましょう。
説明会でも開始間際にタクシーで、あわてふためきながらやって来るお母
さん方を見ました。
事故による渋滞や電車の遅れなどの場合は、他の交通手段も考えておきた
いものです。
そして、携帯電話で学校に問い合わせ、指示を求めましょう。
そのためにも電話番号を登録しておくことです。
ただし、校門の所で必ず、電源を切ることをお忘れなく。
 
4 所定の手続きを指示に従い、あわてずに行いましょう。
頭をひねるような難しいことはありませんが、時間ぎりぎりに到着となる
と、気のあせりからミスをしがちで、そういったときは、いつもと違った
ご両親になっているものです。
そばで見ているお子さんは、どういった心境になるでしょうか。
控室で一息入れずに試験場へ向かい、すぐにテストです。
まわりは、知らない子ばかりです。
お子さんがいつものような状態で、テストを受けられるはずはありません。
それまで全力を尽くしてきたとしても、この一瞬で、すべてが台無しにな
る可能性もあります。
十分な配慮が必要です。
 
5 服装は、動きやすく、着馴れたものを。
新品の革靴をはかせるようなことはやめましょう。
学校へ着けば履きかえるのですから。
靴擦れでもしたら、運動テストどころではありません。
髪の毛の長い女の子は、運動の時に困らないようにしておきましょう。
リボンが気になりマット運動ができなかった話を聞いたことがあります。
袖の長いブラウスなどは、制作の時に邪魔になることも考慮しておきまし
ょう。
女の子は、お気に入りのブラウスなどを着せると、汚れが気になり、集中
できません。
 
6 テストの前に用便をすませておきましょう。
幼児教室へ通っている方は、教室へ入る前に、必ず、やっていると思いま
す。
校舎見学の機会がない場合は特に、集合時間間際でトイレの場所を慌てて探
すことのないよう、時間に余裕を持って行くようにしましょう。
テスト中にトイレとなると、それまでです。
 
7 いつものように教室へ送り出しましょう。
控室で、「話をきちんと聞くのですよ」などと、くどくど注意するお母さん
方がいるようです。
そういうことが、みんなプレッシャーになってしまいます。
また、大勢の子どもを見て、驚き、緊張している様子が見えたときは、お
子さんが、もっとも安心する態度で接してあげましょう。
よく聞く話ですが、しゃがんで、お子さんの目を見ながら手を握ってあげ、
「いつもと同じなのよ」
というのが効果的なようです。
お子さんの性格によっても違いますが、こういったことも起こりえると考
えておきましょう。
 
8 万一の急病に備え、常備薬を持参しましょう。
幼稚園の遊戯会、ピアノなどの発表会の前の晩に、熱を出した経験のある
お子さんは注意が必要です。
直前に、インフルエンザなどの感染症にかかった場合は、必ず学校側に連絡
し、指示に従ってください。
 
9 テストの時間によっては、昼食の用意をしておきましょう。
近所のレストランなどをあてにしていると、「日曜日で休み」となりかねま
せん。
一口で食べられるサンドイッチやおにぎり、飲み物も自動販売機などで購
入せず、小さい水筒などを用意しておきたいものです。
 
10幼稚園や保育園、幼児教室などの友達と会うことも考えられます。
緊張しているときに友達と会うと、ほっとして舞い上がるお子さんがいま
す。
あいさつ程度にし、お子さん同士がふざけ合うことのないようにしましょ
う。
 
11行動観察や運動テストなどで、子ども同士のトラブルが起こる場合もありま
す。
先生から事情を聞かれたときは、はっきりと答えることです。
男の子は、これが苦手なようです。
 
12お子さんがテスト中の控室では、たとえ友達や顔見知りの人がいても、お互
いに遠慮して話し込まずに、本を持参し静かに読むようにしましょう。
「携帯電話の電源は切るか、マナーモードにしてください」とある場合は、
スマートフォンも使用禁止です。
 
入試本番まであとわずか、風邪を引かないように注意しましょう。
お子さん、お母さんはもちろんのこと、お父さん、外出先から帰ったときは、
必ず、手洗いとうがいを励行してください。
そして、お母さん、お子さんにとっては、お母さんの明るい笑顔が頼りです。
精神的なコンディションを崩さないことも、ご両親の大切な役目です。
ここが正念場と考え、頑張ってください。
 
ご両親の心構え
★アフターケアも慎重に★ 
昨年の7月から始まった「さわやかお受験のススメ 小学校受験編」も、最終
回を迎えました。
長い間、つたない連載を読んでいただいた方に、お願いをしておきたいことが
あります。
言うまでもなく小学校の受験は、お兄さんやお姉さんが在学している場合はと
もかく、ご両親が我が子のためによかれと考えてはじめたことです。
もとより、子どもたちが、
「ぼくは、幼稚舎へ行きたい」
「私は、雙葉へ……」
と、希望されたわけではありません。
にもかかわらず、子どもたちは、一所懸命に頑張りました。
年中の頃から、受験勉強をはじめ、そして今、直前の講習会を終え、最終特訓
を経て、試験を迎えようとしています。
 
考えてみると、これはたいへんなことです。
基礎指導から実践指導、集団指導や個別指導、冬、春、夏の講習会、毎月行わ
れた公開模擬テスト、絵画教室などなど、同年代の子ども達が、ほとんど経験
しないことをやってきたことになります。
それに加えて家庭学習があります。
これが、子どもたちには、もっとも厳しかったのではないでしょうか。
とかく、お母さん方は、合格の二文字のために熱くなりがちです。
「なぜ、ぼくだけ、勉強しなくてはいけないのかな?」
と子どもたちに疑問を持たせてしまったことも、あったのではと思います。
でも、お母さん方の気持ちに応え、頑張りました。
子どもたちは、本当にえらいと褒めてあげたい。
 
ですから、全員に、希望された学校から招待状が送られて来て欲しいと思わざ
るを得ません。
それほど子どもたちは頑張り、頑張り続けたのですから。
しかし、残念ながら、すべての子どもたちに、招待状が送られてくるわけでは
ありません。
「試験前なのに縁起でもない!」とお腹立ちの方も、心を静めてお読みくださ
い。
 
都心の幼稚園によっては、全員が受験というところもありますが、そういった
環境であれば、幼稚園側の配慮もあるでしょうし、ご両親もお子さんも、それ
なりの指導をきちんと受けられていると思います。
しかし、普通の幼稚園や保育園からの受験の場合は、そうはいかないのではな
いでしょうか。
わが子、一人だけが受験といったことも考えられます。
 
一昔前は、受験を意識させないで済ませるように、また、合格しなかったこと
を、子どもたちにわからないように配慮したものです。
しかし、現状では難しいのではないでしょうか。
数校受験する子どもたちもたくさんいますから、わかっているはずです。
合格すれば何ら問題はありませんが、結果が出なかった場合は、傷つく恐れも
あるでしょう。
このことです……。
 
今は、学校内で合格を発表せずに郵送やWebで知らせるところが増えてきまし
たが、以前は、ほとんどの学校が校内に掲示していたものです。
私は、できる限り発表を見に行きました。
合格された方は、掲示板の前からいつまでも去ろうとしません。
不合格の方は、悄然と去っていきます。
気障で申し訳ありませんが、「倍率十倍の難関校」の文字からは浮かばない、厳
しい現実を実感させられたものでした。
 
そんなときに、ある学校で、とんでもない親子を見てしまったのです。
お母さんが早足で出口に向かい、お子さんが、
「ママ、ごめんね!」
と、泣きながら追いかけていくのです。
若いお母さんは、一言も口をきかず、むっとした顔をして出ていってしまいま
した。
こんな残酷な仕打ちは、いくら親でも許せません。
いちばん傷ついているのはお子さん自身であることに気づかない親であれば、
受験などする資格はないと思いました。
 
最近は、携帯電話で、大声で知らせている母親もいます。
気持ちはわかりますが、ぐっと喜びをかみしめて、そっと知らせる配慮も必要
です。
立場が逆であった場合のことも考えましょう。
 
ところで、不合格のときはお子さんに、どのように説明するか決めているでし
ょうか。
残念ながら合格しなかったご両親からは、
「公立の小学校から通知は来ますから、子どもには、私学の合否については知
らせないことにしています」
と、答える方が多いものです。
みなさん、お子さんにあった方法で対処なさることと思いますが、注意してほ
しいのは、ちょっとした言葉なのです。
 
「○○ちゃんは入ったのに、何で、あなたは駄目なんでしょう」
お母さんは、わが子をかわいそうに思い、つぶやいたこの一言で、お子さんは、
深く傷つき、劣等感を持ちがちなのです。
不用意な言葉が、お子さんに与える影響を考えてあげましょう。
とにかく、お子さんは、頑張ったのですから。
 
頑張ったことは、必ず、将来、芽を吹きます。
正しい指導を受けてさえいれば、子どもたちは、同年代の子が体験しなかった
ことを、たくさん学習しています。
国語の領域でいえば、「話の記憶」は、小学校の中学年から高学年にかけて学習
する長文読解の問題を、文字を使わず、耳から聞き取るだけで挑戦してきまし
た。
算数の領域では、「数」の問題で、1年生で習う足し算、引き算、2年生で習う
掛け算、3年生で習う割り算、4年生で習う分数まで、数字や+-×÷などの
記号を使わずに学習してきました。
さらに、話を聞く姿勢、指示を理解し迅速に対応する行動力、自分で頑張る意
欲などを身につけたはずです。
 
ご両親も、心を一つにして、お子さんをバックアップしてきました。
学校を選んだ段階で育児をふりかえり、やはり間違っていなかったと確認し、
このことには反省しなければいけないと、話し合われたのではないでしょうか。
受験をしなければ、こういった経験をすることはなかったはずです。
驚かすようで申し訳ありませんが、これから先、ご両親が、これ程までに心を
一つにして、何かに取り組むということは、あまりないのではと思います。
まさに、育児のゴールデンアワーでもあったわけです。
 
文言は正確ではありませんが、慶應義塾幼稚舎の舎長を辞任され教諭に戻られ
た加藤三明先生は、説明会でこうおっしゃっていました。
 
 「受験に合格しなかった方は、もしかすると親子ともども、敗北感を味わう
ことになるかもしれま
 せん。しかし、これはあくまでも幼稚舎の受験に限ったことで、人生の敗北
ではありません。ま
して、子どもがそういうことを思い続けていたら、本当に恐ろしいことで
す。われわれが5歳の子に、本来は行うべきではない入学試験という罪な
ものを施していて言うのもなんですが、小学校受験をぜひ、最終目的だと
思わないでいただきたい。まだまだ、ほんの人生の始まりです。小学校の
受験で、お子様をスポイルしないでほしいというのが、私の願いです」
 
5歳の秋は、お子さんの人生の終着点ではなく、通過点と考えましょう。
不合格という結果を、お子さんが背負っていくことのないようにしてあげてく
ださい。
小学校の受験は、ご両親がお考えになり始めたことですから、終わりもきちん
と対処していただきたいと思います。
 
この連載を通して、ご両親、特にお母さん方にわかっていただきたかったのは、
「過保護や過干渉な育児から、子どもたちを解放する」ことでした。
過保護な育児では、わがままな子になりがちで、相手を思いやる気持ちは育ま
れません。
過干渉な育児では、消極的で依頼心の強い子になりがちで、積極的に物事に取
り組む意欲は育ちません。
これから、小学校での集団生活を通して、共に生きる「共生」を学んでいくこ
とが大切です。
それには、相手を思いやる気持ちが育まれていなければ、スムーズに対応でき
ません。
また、学校生活を楽しくすごし、学習面で好奇心という触角を張りめぐらせ、
いろいろなことを学んでいくには、積極的に取り組む意欲が育まれていること
が大切です。
 
家庭学習で、お母さん方は、この2つのことを教えてきたと思います。
できない問題があっても、明日できればいいと励ましませんでしたか。
できるようになったとき、一緒に喜び、褒めてあげたでしょう。
子どもたちは、お母さん方のやさしい気持ちに応え、ステップアップしてきた
のではないでしょうか。
お母さん方の頑張れと励ます言葉とやさしい気持ちから、子ども達の心に「思
いやりの気持ち」と「できるまで頑張る意欲」が育ってきたのです。
 
この2つが育っていれば、たとえ不合格になっても、子どもたちは大きく成長
しているはずです。
同年代の子どもで、こういったことを経験できるのは、私学の小学校が最も多
い東京都でさえ、就学児童およそ10万人前後の内、応募者を公表していない
学校もあり推定に過ぎませんが、応募者は約1万5、6千名程ですから、受験
準備をするのも限られた子どもたちなのです。
しかし、正しい指導を受けられた子ども達は、十分にエキスを与えられた根と
同じように、必ず、芽を出し、ご両親が期待する花を咲かせます。
子どもたちを信じて、試験場に送り出してあげてください。
運悪く、結果が出なくても、あたたかく見守ってあげるご両親であって欲しい
と思います。
 
「あしたは、今日より、きのうより」は、今は亡き、いずみたく氏の作曲され
た某財団法人の社歌の題名で、断りもなく私の座右の銘にさせていただいてい
ます。
また、「育児しながら育自するお母さん」であれば、親子の絆は、生涯、ほころ
びることはありません。
この二つこそ、子育ての鉄則ではないでしょうか。
 
さらに一言、拙著のメールマガジン「日本の年中行事と昔話」の4月に出てき
ました、剣豪、塚原卜伝の作とも言われている剣の極意を紹介しましょう。
「映るとも 月も思はず 映すとも 水も思はぬ 広沢の池」
これは理想的な親子関係をあらわしているのではないでしょうか、私の勝手な
解釈ですが。「子は親の背を見て育つ」、口でうるさくいうより、良いお手本を
見せることが大切だと思います。
       
皆さま方に、希望された小学校から、招待状が届くことを、心からお祈り申し
上げます。
ベストを尽くせるように頑張ってください。
ご健闘を祈ります。
 
最後まで、拙文をお読みいただきまして有難うございました。
      令和元年10月吉日
           めぇでる教育研究所 所 長 藤本 紀元

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>入試直前の心構え

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第65
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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★★入試直前の心構え ★★
 
既に模擬面接も終え、面接の心構えもできていると思いますが、合否のカギを
握るといわれている「志望理由」について、念入りにチェックし、自然に話せ
るように練習をしてください。プレッシャーをかけるようで申し訳ありません
が、小学校受験合否のポイントは、「お父さん方の志望理由5割、子どもの成長
度5割」であることを思い出し、頑張りましょう。お子さんのためです。
 
入試直前の心構え
★ベストコンディションを作る 
入試直前、何とかベストコンディションで試験を受けさせてあげたいと、お母
さん方は計画を立てることでしょう。例えば、外から帰ってきたときは、手を
洗い、うがいをさせることから、栄養のバランスを考えた食事、早寝、早起き
をさせ、睡眠時間を十分にとるなど、配慮しなければならないことがたくさん
あります。
 
その1つに、時間の管理があります。
朝、8時半から試験が始まる場合、起きてから学校までかかる時間を逆算し、
その時間帯に合わせ、生活のリズムを作り直す必要があります。人間の脳は、
目を覚ますと、すぐにフル回転するものではなく、スイッチを入れれば、パッ
と光る電球のようにはいかず、柔軟なお子さんの頭でも、2、3時間かかると
もいわれているようです。こういった試験時間に対処できるコンディション作
りも親の大切な役目となります。
 
◆家庭学習について 
家庭学習をどのように進め、ベストの状態を保っていくかも難しい問題となり
ます。直前のことですから、もう苦手な問題は克服されていると思いますが、
「あなたはできる。これだけ頑張ったのだから大丈夫ですよ!」とあたたかい
言葉で励ましてください。
 
そして、ここが大切なのですが、得意な問題の場合、お子さんも自信がありま
すから、お母さんの読んでいる設問を、よく聞いていないこともありがちです。
「お母さんが読み終わるまでしっかりと聞き、始めといわれたら始め、終わり
といわれたら、きちんと止めること」、この約束を徹底することです。点図形、
模写、同図形(異図形)発見、系列完成、図形、しりとりなど、設問を聞かなく
てもできる問題があります。しかし、最後まで聞かないと指示される記号(○、
×、//など)がわかりません。皆が出来るやさしい問題であれば、このミス
を挽回することは不可能でしょう。
 
さらに、次のページに移る指示があっても、その問題にこだわっていると、明
らかにチェックの入る学校もあると聞きます。
また、制作や、ごっこ遊び、運動テストなども、話を聞いていなければ、うま
くできません。最後まで聞かずに勝手にやり始めると、当然、「指示の理解」や
「約束事を守れるか」などにチェックが入ります。
「先生のいうことを聞いてから始める、そしてやめる」、これを徹底させましょ
う。
 
「何回、教えたらわかるの!」
「これができなければダメなの!」
「そんなことができなければ、小学生になれません!」
メールマガジンをお読みになっていらっしゃる皆さん方は、こういった言葉を
使っていないと信じていますが、励ましているつもりが、逆の効果になってし
まうものです。
 
試験場でできない問題があると、トイレにいってしまう子どもがいるそうです。
なぜでしょうか。
「先生、トイレ!」
と言われれば、先生はトイレに連れて行くしかないでしょう。
「その時間にいなかったから、問題をやらなかった」
と言い訳を作っているとしたら、これは恐ろしいことではありませんか。5歳
の子どもが言い訳を考える、こんな気持ちに追い込んではかわいそうです。お
母さんが怖いのです。最近は、怖いお父さんもいるようですね。
中には、「できない!」といって泣きだす子ども達もいると聞きます。
ご両親方の合格をさせたいという気持ちは、痛いほどわかりますが、言葉がけ
には十分に注意しましょう。不用意な言葉は、自信を失わせます。情緒が不安
定になるような言葉は、絶対に使わないでください。
 
また、テスト会場で、隣の子の答案をのぞくお子さんがいるそうです。これは、
いわゆるカンニングではありません。正解であるにもかかわらず、隣の子の答
えを見て訂正してしまうのです。
なぜでしょうか……。やはり、自信が無いのです。
 
隣の答案をのぞく子にしないためにも、
「あなたが思ったとおりでいいのですよ」
と、自分の考えたことに自信を持たせましょう。
「お母さんは、一所懸命に考えて頑張る子、大好きなの。それでもわからなけ
れば、仕方がないことなのよ」
と、笑って励ましてください。
ただし、「一所懸命、考えてもわからない場合」と、約束しましょう。
 
よくできるお子さんでも、できない問題にぶつかるとパニックになってしまう
ケースがあるようです。
できる子だけに、厄介なのです。「できない」ことにこだわり、次の問題に取り
組めないのです。こういったことも十分に考えられますから、「あなたが考えて
もできないような問題なら、他の子もできませんよ。大丈夫、自信を持って、
次の問題に挑戦しましょう」といった言葉がけも必要ではないでしょうか。
 
 ◆試験についての説明 
次に、試験について、どう説明するかです。
以前は、子ども達に試験といったイメージを与えないようにしたものですが、
これだけ情報が広がり、いろいろと体験をしていると、そうはいかないでしょ
う。受験する学校での公開模擬テストやホームグラウンド以外の教室や、他の
幼児教室、塾などで試験を受けることから、お子さん自身も心積もりはできて
いるかと思いますが、やはり、プレッシャーはかかります。心身共に強い子ど
もは、そうはいません。「頑張れ!」といわれれば、本当に頑張る子もいれば、
その一言で駄目になってしまう子もいます。
ピアノなどのお稽古ごとの発表会や幼稚園のお遊戯会などの前夜になると、突
然、腹痛や発熱する神経過敏なお子さんには、「今日は、いつもの教室と違って、
ここの学校でやるのですよ」といった説明がいいのではないでしょうか。控室
でゼッケンをつけ試験場に入り、テストの内容も、ほとんどの場合、教室で受
けているのと同じだからです。「パパ(ママ)の言うとおりだ!」と安心し、そ
して頑張るのが子ども達です。お子さんの性格をよく知っているのはご両親で
すから、こういったことにも注意し、当日の朝を迎えてあげましょう。
 
 ◆怪情報、うわさについて 
一時ほどではなくなりましたが、厄介なことが一つあります。それは、怪情報、
うわさです。
以前、昭和60年代に開かれた四谷雙葉小学校の説明会の様子を紹介しました
が、うわさとは、多くの場合、根も葉もない、単なるうわさに過ぎません。当
事者であるお母さん方は、とかくわらをもつかみたくなる心境になりやすいで
しょうが、そこにつけ込むのがうわさです。後で思い出すと「ナンダ!」とな
るものばかりのはずです。
「受験する前に、もう合格者は決まっている!」
「紹介者がなければ駄目!」
といったことが本当なら、受験料を取る学校は、まさに詐欺行為ではありませ
んか。司直が許すわけがないのです。税務署も同様です。
 
「紹介者がなければ駄目!」
といったことが本当であれば、暁星小学校の説明会でも、「紹介状や推薦状は必
要ありません。本人の実力を第一とする」とおっしゃったことが、うそになり
ます。マリア様が、うそをお見逃しになるわけがありません。
 
また、青山学院初等部のホームページのQ&Aのコーナーには、
Q「紹介状や推薦状の必要はありますか」
A「必要ありませんし、用意されても受け取りません」
とあります。
 
さらに、幼稚舎のホーページのQ&Aコーナーには、
A「入学試験に関して、舎長および教職員との面会は一切できません」
と掲示されていますが、ほとんどの学校で、校長先生はもちろんのこと、教職
員の方々が、受験に関する面談に応じることはありませんし、お断りしている
はずです。
 
気になるうわさに心を痛めるようでしたら、お父さんに聞いてみましょう。お
そらく、一笑されるはずですから。お願いしますよ、お父さん!
 
「暑さ寒さも彼岸まで」とは、猛暑を経験しただけに、ありがたいものですが、
初秋は、とかく気候が不順になりがちとはいえ、昨年と同様、今年も少し異常
ではないでしょうか。健康管理には、十分、注意してあげましょう。そして、
お母さん、保護者であることを忘れずに、頑張ってください!
 
昔の曲ですが、大橋節夫作詞、作曲の「幸せはここに」(YouTubeで聴けます)
があります。
    秋の夜は更けて すだく虫の音に
    疲れた心いやす わが家の窓辺
    静かに ほのぼのと 幸せはここに
お子さんの寝顔を見ながら、すだく虫の音に、耳を傾ける余裕を持ちましょう。
 
世界第2位のアイルランドに快勝、やってくれましたね。ラグビーファンには、
奇跡というより快心の戦いでした。高校時代に来日したオールブラックスに、
全く歯が立たなかったことを記憶しているだけに、嬉しかったですね。ラグビ
ーの試合終了をノーサイド(no side)といいますが、戦いが終わると敵味方が
なくなるという意味。両チームとも2列に並んだ選手の間を拍手で迎えられな
がら退場しましたが、さすが紳士のスポーツといわれるだけあって感激しまし
た。しかし、あのビールの飲みっぷりも見事でした(笑)。
 (次回は、「当日の留意点とご両親の心構え」についてお話しましょう)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>後半の説明会より

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第64
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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後半の説明会より
6月に肋骨を痛め手術をしたため、後半はどこの学校にも参加できず、編集部
員に参加してもらった白百合学園小学校と、昨年6月7日に行われた立教小学
校の佐々木学校長の話の一部を紹介しましょう。
 
白百合学園小学校 学校説明会
日 時 令和元年年6月22日(土) 10:00―11:20
場 所 学園講堂   参加者 推定約800名
    
 9時半受付開始前に、飯田橋と九段下方面からの参加者の列ができていまし
た。2階席にも入った様子なので、800名以上になったのではないでしょうか。
 入り口で、説明会参加票(ホームページからダウンロードして保護者名と住
所を記入して持参。個人情報は説明会参加の有無だけに使用との説明書き有り)
を提出し、資料を受け取り入場。
 説明会に先立ち、司会者が入り口で配布された資料について、封筒の中には
本日の次第、学園報(学期に1回幼、小、中、高の保護者に配布)、大樹(月に
1回小学校の保護者に向けて発行)、学校案内(建学の精神、教育目標、202
0年度の児童募集について)、文集しらゆり(1年生から6年生までの作文、感
想文など)が入っているとの説明がありました。
 
 昨年度まで副校長であった根本徳子先生が校長先生になり、初めての説明会。
ご挨拶のお話にも緊張の感じられる中、粛々と進められました。
 また、昨年に続き3年生の合唱、「1年桜組の1年間」という映像の上映に加
え、6年生3名による「最上級生として」というテーマの発表がありました。
いずれも入学してからの子供たちの様子がよくわかる、すばらしいものでした。
 
  次 第
   10:08~10:20  根本徳子学校長挨拶 建学の精神と教育方針
   10:21~10:38  学校紹介の映像「1年桜組の1年間」
   10:38~10:45  最上級生として(6年生の発表)
   10:45~11:05  本校の教育活動 やすくら けいこ 教頭先生 他
   11:07~11:15  3年生の歌
   11:15~11:18  連絡
 
学校長挨拶 建学の精神と教育方針  根本 徳子校長
 「お早うございます。本日は朝早くから、こんなにたくさんお集まり頂きま
して有難うございました。私が校長の根本でございます。私共の学校について
よりよくわかっていただけるために、映像、発表などを交えながら進めさせて
いただきたいと思います。初めに、私からは、私共の建学の精神、教育方針に
ついてお話し申し上げます」との挨拶から始まりました。  (以下、要約)
 
 白百合学園はフランスにあるシャルトル聖パウロ修道女会を設立母体として
いる。その修道女会創設の時の修道女たちの心を受け継ぎ、子供たちに神の愛
に仕え、時代の要請にこたえるような教育をすることを精神として続けている。
 
 まず創立当初の様子を。
 シャルトル聖パウロ修道女会は、フランスパリからかなり離れたルヴェヴィ
ル・ラ・シュナルというたいへん小さな町が発祥の地になっている。17世紀
末、戦争などで苦しく貧しい中で子供たちの教育がおろそかになっていた。そ
の状況に心を痛めたルイ・ショウベイ神父が子供たちのために学校を始めよう
と決意し、神父様の思いを受けた4人の娘たちが子供たちを集めて手芸などの
手の仕事を教えることを始めた。それと同時に、その村に病人がいると見舞い
や看護などの、人々の苦しみに共感した献身的な愛のある活動をしていた。こ
の写真(写真を上映)は当時の建物と教室で、この小さな教室が原点。その教室
から始まって、300年以上になり今の私たちの教育につながっている。その
建物は今も残っており、私はかつて訪れたことがある。その教室を見たときに
今の教育につながることを感じながら、身の引き締まる思いをしたことを思い
出す。
 
 日本での活動は、1878年(明治11年)5月28日に、函館の港に到着し
たフランスの3名の修道女から始まっている。当初は言葉や習慣などに大きな
戸惑いを感じながらも、子供たちの教育を始めた。十分な施設もなく苦労しつ
つも、創立当初の精神を受け継ぎ、隣人への愛をつくすという修道女たちの熱
い思いがあった。その3人の修道女の働きが各地方に広がり白百合学園の教育
事業の原点となり、現在、北海道から九州まで7校の姉妹校がある。函館から
3年後、1881年(明治14年)に東京に学校が設立された。それから現在ま
で伝えられ今年が141年目。
 
 その修道女の思いを現在私たちがどのように子供たちに伝えているか。
 社会から顧みられない人々や敬遠されがちな場所を優先して奉仕するという
修道女の精神を基盤とし、助けを必要としている人々に思いをはせながら、自
分に何ができるかを考えて実践していく設立当初の修道女の心を受け継ぎなが
ら、時代の要請に応えて教育を行っている。キリスト教の精神に根ざした価値
観を養いながら神と人の前に歩み、愛の心をもって社会に奉仕できる女性を育
てるということである。聖書の教えを言問いながら、一人一人の存在をかけが
えのないものとして大切にし、ほかの人の幸せをも願って喜んで働くことので
きる女性を育てている。
 
 具体的な目標としては、校訓の「従順、勤勉、愛徳」の3つの言葉に集約し
ている。
 児童が自分の行動に結びつけられるように、「従順」は「すすんでみがこう正
しい心」と低学年でもわかるような言葉に 自分の良心の声に耳を傾けながら、
素直に従い、より良いものを求めて、みんなが喜んでいけるような子供たちに
なってほしいと思っている。「勤勉」は、「すすんでなんでも一生懸命」に置き
換えている。自分から進んで行動に移すこと、他人や保護者に声をかけてもら
うのではなく自分から行動に移し、与えられた自分の力を磨き人のために役立
てられるような、そこに喜びを見いだせられるような子供に育てたいと思って
いる。「愛徳」は、「すすんで親切喜んで」と子供たちは考えている。自分も大
切にされ、周りの人々も大切にし、周りの人の気持ちを受け入れ、お互いに大
切にしあう。ほかの人のために何か自分が尽くせることを考えて行動に移し、
それが喜びにつながるように、そういう子供たちを育てていきたいと思ってい
る。今年度は従順にスポットライトをあてて、教師一丸となって子供の指導に
当たっている。
 
 「いろいろな情報や説明会での話、資料などに目を通していただき、私共の
学校を一層ご理解いただき、入学をお考えいただければ大変うれしく存じます。」
と終わりの言葉がありました。
 
 
ビデオ上映「1年生さくら組の1年間」
 一昨年までは「野に咲く白ゆりのように」で、学年全体の1年間の様子を紹
介したものでしたが、昨年からは、一昨年入学した1年桜組の1年間を追って
紹介したもので、保護者の方々には、我が子の入学後の生活をわかりやすくイ
メージできるものとなっています。1年生の生活の様子の中で上級生とのつな
がりも感じられ、また、1年間の行事のタイトルをフランス語で紹介している
ところが、1年からフランス語をやっている学校らしく、学校の特色もよくわ
かるものでした。
 
6年生による発表
 平成26年から始まった試みです。最初の生徒は学校の魅力として宗教のこ
とを挙げ、キリスト教から学んだこと、感じたことを発表してくれました。2
番目の生徒は「妹」というタイトルで、妹とお姉さまと呼び合う学年を超えて
のつながりや姉妹校のことについて、3番目の生徒は1年生の世話をすること
や、休み時間の過ごし方などの学校生活についてでした。いずれも児童の視点
からの発表ということもあり、非常に参考になりました。
 
本校の教育活動  やすくら けいこ 教頭先生  
 先程の映像と6年生の作文から、本校の教育活動の一部がお分かりいただけ
たと思う。私の方からは日々の教育活動についてお話をする。(先生方の名前漢
字で紹介されませんでしたので平仮名で表記しました)
 
 本校は併設幼稚園から60名、小学校から60名の120名でスタートする
が、最初はゆっくりと丁寧に指導していく。約2週間は送り迎えをお願いする。
その間には教員や上級生からたくさんのことを教わる。様々なことに興味関心
を示し、感じたり考えたり、自分から取り組む姿勢を身につけられるように、
発達段階に応じて指導している。
 各教室には子供たちの目指す白百合生の姿として「より良いものを求めて、
自分から動ける子」という言葉が掲げられている。本校の授業はすべて白百合
生の姿を意識し、お子様たちが主体的に学びを深めるための基盤と考えている。
お子様方が学習内容の基礎基本を確実に理解し、思考の広がりを発展させてい
くためには、一人一人が自分の考えを持ちお互いに学びあえる学習集団である
ことが必要。そのために、自分の考えを的確に書き表す力や、みんなで話し合
ったことをわかりやすく表現する力を身につけるように指導している。また、
授業で学び、理解していく喜びを味わうことが大切と考え、家庭学習では授業
で興味深く感じたことを調べるなど、予習よりも復習を重視している。家庭学
習は本来ご家庭で行われるものであるが、習慣づけをするために、週に1回学
校へ提出する家庭学習を通して、私たちはお子様方の学習状況を把握している。
高学年になっていくに従い、自分の苦手なところ、深く勉強していきたいとこ
ろを見つけて自分から学習に向かう姿勢を身に着けていくことはとても大切な
ことと考えている。塾に通い、与えられた学習をこなしていくのではなく、自
ら学ぶ力を小学校時代に身につけていくことで、進学した時の大きな力になる
と思っている。
 作文、読書指導にも力を入れ1年生から日記指導をしている。文章を書くこ
とに慣れ、自分の考えを綴ることを重ねていくうちに、作文、感想文などでは
豊かな表現力が発揮されている。お手元の文集しらゆりに掲載されているもの
は、学校で書いたものであり、大人の手は一切入っていない。子供たちの心の
成長を感じることができる。読書指導では、本校指定の必読書を設けたり、推
薦図書をはじめ司書教員の読み聞かせなど、本に親しむ場を多く作っている。
1年生は授業の中だけでの貸し出しなので、1年間に120冊ほどだが、学校
全体では一番多い子供は700冊もの本を借りているようだ。読書離れが叫ば
れているが、本校の生徒はたいへんよく読書をしている。表現力の教科は外国
語の教科においても培われている。2012年から、中学生の体育でダンスの
授業が必修化されたが、本校は42年前から取り入れている。ダンスの授業は
学年が上がるにしたがって、教師の指導から離れて自分たちの振り付けを考え
て作り上げるようになっていく。ダンスの授業は単なる技術の習得ではなく、
ダンスを通して自己表現力を伸ばしたり、友たちとのコミュニケーションを豊
かにしたりすることにもなる。友達と踊ることの楽しさを体感できるように指
導している。
 また、自主性を発揮する場面は委員会やクラブなどの特別活動や総合の時間
でも行う。児童が新しい企画を考えて全校に呼び掛けたり掲示をしたり、積極
的に活動している。姉妹校との交流会も児童の企画で進められている。
 
 次に異年齢集団の活動について。
 1年生から6年生までの縦割りメンバーで構成される白百合タイムの活動が
ある。各グループは各学年5人ずつで構成され、1グループ30人で全校児童
が24グループに分かれて活動する。5、6年生が企画する中で、上級生はリ
ーダーとして下級生を導き、下級生も上級生から多くのことを学んでいる。学
年に応じて、リーダーシップや自主性、協力、思いやり、コミュニケーション
を学んでいる。上級生と下級生のかかわりから、学年を超えた交流を深めてい
る。校内の清掃も縦割りのメンバーで行っている。
 
 次に本校の専科制について。
 専科教員全員が副担任として各学年に配属され、担任副担任が共に学級指導
に当たり、多くの目で児童を見守り、いろいろな側面から優れたところを見い
だせるように、全教師が一人一人を大切に思い、細やかな指導を心がけている。
保護者の方ともよい関係を築きながら、お子様方の望ましい成長のために、保
護者と学校が同じ方向を目指しながら教育している。
 
 最後に、一貫校に通う良さは、一生の友を得られることではないかと思う。
それが一番の宝物であり、本校教員の中にも卒業生が数名いるが、今でも変わ
らぬ交流をしていることがうかがえ、うらやましいと思っている。小学校で楽
しく充実した学校生活を過ごし、さらに高校卒業まで同じ経験や思いを共有し
ているからだと思う。また、多くの卒業生が母となり、わが娘を母校の白百合
に入れたいと思ってくださる学校であり続けたいと思い、日々の指導に当たっ
ている。
 
宗教教育 くぼた先生
 キリスト教は2つのことを大切にしている。一つは、「1人の神(三位一体の
神)を信じること」、もう一つは「隣人愛(周りの人を大切にする)」である。こ
れを含めたキリスト教の考えが建学の精神のもととなっており、これが学校生
活の教育活動、生活指導の基本となっている。
 学校の生活では、お祈りをたくさんする。朝礼、食事の時、帰りの会など。
特に朝礼では朝礼担当者が自分でお祈りを作ってそれを唱えている。また今月
の言葉といって、聖書の言葉や聖人の言葉を皆で唱えている。
 次に宗教行事について。よろこびのミサ、クリスマスミサをこの講堂で行う。
また、イグナチオ教会や神田教会に行ってミサにあずかることもある。また、
ミサではないが、ロザリオの集い、亡くなられた方への祈りの会のようなお祈
りを中心とした行事を行っている。例えばクリスマスミサの場合は、クリスマ
スの本当の意味、イエス様のお生まれになったことを宗教の時間に教える。そ
のような準備をして、学校全体で宗教行事を行っている。宗教の時間では、1
年生は特にお祈りを教えている。6年生の授業では、たとえ話を通してグルー
プで話し合いをしてわかったことをまとめたりすることで、宗教への理解を深
めている。
 
外国語教育  やくわ先生
 フランス語は1年生から、英語は3年生から、2つの外国語を、日本人とネ
イティブ教師によるチームティーチングの体制で指導。
 子供たちが会話や活動を通して、言語の面白さや楽しさを味わうことを第一
に、自分の考えを伝えたり他人の思いを受け入れたり、お互いを尊重しあう心
を育てたいと考えている。また、英語やフランス語でのお祈り、聖書の言葉の
斉唱や聖歌など、カトリック学校ならではの外国語との関りも大切にしている。
英語では基本的な表現にはじまり、日常で使える英語を習得できるよう、自分
の思いや考えなど子供たちの伝えたいという気持ちを大切にし、自分の言葉で
表現できることを目指している。授業ではグループやペアでの活動をする中で、
友達と一緒に学ぶ楽しさを感じながら英語が身につくように指導をしている。
 本校では修道女たちの心を今に引き継ぐ建学の精神に基づき、学園創立当初
よりフランス語教育を続けている。フランス語は英語に比べて日常生活で触れ
る機会が少なく、ほぼ全員の生徒が学校でのみ学習しているので、授業内で十
分な習得が図れるように、より丁寧な指導を行っている。授業ではフランス語
で伝える機会を積極的に設け、言葉を通して通じ合える喜びを実際に感じられ
る活動を大切にしている。生活科の子供祭りでフランス人学校の方々と一緒に
遊ぶ活動や、併設高校の交換留学生と共に行う日本文化についての活動を続け
ている。その他、フランスの現地の小学校と交流を行っている。本日配布の大
樹にも掲載されているので読んでほしい。 
 フランス語は併設中学校でも3年間必修として学習し、高校では第一外国語
として選択し、それぞれの進路に応じて大学受験の科目とすることもできる。
数多くの卒業生がフランス語を生かして各方面で活躍している。
 フランス語と英語の2つの言語を学ぶことにより、本校の児童は外国への関
心を深めており、日本語を介さずに新しい言葉を理解する場面も見られ、相互
に良い影響を与えている。言葉は外の世界への窓、その窓がいくつもあること
で、視野がさらに広がる。新しい文化や多様な考え方、価値観を知ることで様々
な発見をし、それを認め合うことで他者に対して開かれた人間に育ってほしい
と考えながら日々の指導を行っている。9月の学校見学会では、フランス語と
英語、2つの体験コーナーを設けているので、ぜひ参加してほしい。
 
登下校時の安全と防犯防災
 入学を機に長い距離を通うことになると思う。基本的には公共の交通機関と
徒歩で通学してもらう。2週間は保護者と共に登下校してもらい、自宅から本
校までの登下校の仕方、交通ルールやマナーをお子様と確認してもらう。最寄
り駅からは決められた通学路を通るように指導し、職員が定期的に巡回してい
る。近隣に在住の保護者の皆様にも協力して頂き、交通安全運動週間などには
安全マナー指導に当たってもらっている。近隣の学校関係者や地域の人の目も
多いところ。九段下、飯田橋の両駅前には警察官常駐の派出所もあり、周辺地
域で事件事故が起こった場合は麹町警察署、消防署と連携してパトロール強化
等に当たってもらっている。学校では警備員が常駐して校内に出入りする人を
確実に把握し、学校内外の出入り口周辺には複数の防犯カメラを設置し、職員
室や事務室でも監視している。
 通学している児童は全員が防犯ブザーと学校指定のGPS端末を所持し、位置
情報見守りサービスにも加入頂くようになった。保護者の皆様のスマートフォ
ンやタブレットからお子様の所在地が確認できると共に、学校以外の任意に指
定したエリアに到達通過したときに自動配信メールが送られてくるもの。
 本校では台風や大雪が心配される状況などでは事前登録された複数連絡先に
学校連絡網で迅速に配信する。すでに学校に登校している場合を想定し、縦割
りグループでまとまって下校する訓練を年に複数回実施している。約700名
の児童を路線による通学方面別の班に、さらに下車駅などによる少人数の縦割
りグループに分け、中上級生のリーダーが率いて一緒に下校する。
 防災面では地震や火災に備えて、避難訓練や引き渡し訓練を定期的に実施し
ている。緊急地震速報受信システムは導入済みで、備蓄物資、施設の充実にも
力を入れている。その他低中学年では警察署、消防、警備会社による防災体験
や防犯教室なども積極的に計画実施して意識を高めるように図っている。職員
は救命技能講習や侵入者対応訓練を受講し、非常時に少しでも対応できるよう
にしている。これで十分ということは決してないが、日常的な交通安全から、
防犯防災まで、少しでも安心してお子様方を学校にお預け頂けるように善処し
てまいりたい。
 
3年生による合唱(約10分間)
今年も天使の歌声で、「あの空はどうして青いのかしら」、児童によるフランス
語の解説と共に「アビニョンの橋」を、小学校のチャイムにもなっているとい
う「雨の奇跡」の3曲を歌ってくれました。
    
最後に、司会者からの連絡。            
 学校見学会 9月7日(土)午前9時から11時まで受付、お子様同伴可。
参加票が必要。
 展覧会 2月8日(土)・9日(日)
 
終了後、解散。質問のある方は残って、水色の腕章を付けた本校教員に尋ねる
ことができました。ロビーには、ランドセル、制服、などが展示され、願書の
販売もされていました。
                (レポート 福井 文責 藤本)
 
本校の教育について 立教小学校 佐々木 正 学校長
 お子様の誕生から今日まで、深い愛情を惜しみなく注ぎ、子育てという人と
して最も尊いものをなさっていらっしゃる、人としての土台作りをなされてい
る保護者の皆様には深く敬意を表したい。皆様は、この世界へ運んで頂いたお
子様を育て導いていらっしゃる。時が経つのを忘れるほど、お子様を見つめら
れたのではないだろうか。首がまだ座らない間、怖くて抱っこできなかったが、
首も座りお子さんを抱っこし、小さな生きものを実感したのではないだろうか。
泣いた、笑った、ハイハイした、ヨチヨチ歩いたと、お子様を中心に子育てを
されてきたと思う。何らの報酬を求めない家族の愛ではないか。お子様がそこ
にいるだけで、お子様に注がれる無条件の愛が尊い。
 
 校門を入って直ぐ左に、本校設立3年目、1950年の母の日に除幕式が行われ
た小さな母子像がある。その台座には「汝を生めるものを喜ばせよ」と記され
ている。私達がお預かりしたお子さん達に、まず気づいてほしいことは、保護
者やたくさんの皆さん方から、惜しみなく注がれた愛のことだ。
 そして、その像に向き合うように建てられているのが、本学院の創設者ウイ
リアムズ主教の像。困難な時代に神の愛と自由を伝えようと、安政の大獄があ
った1859年に来日。10年以上の苦難の時期を祈りながら待ち1874年、
今から144年前、立教学院の基を創られた方。この方が教えてくださった神
の愛を土台とし、保護者の方々の愛を手本として歩んできた。その道が立教小
学校の歩んできた71年間の愛の教育と呼ばれるものだ。
 
 私は「愛は聞くこと」、人間の聞く行為は、自らを無にしてしっかりと向かい
合って聞く、そのことから始まると考えている。お子さまが言葉を話さない頃
から、その泣き声を聞き分け、何が必要なのかを的確にわかったお母様、お父
様方のような聞き方のことだ。
 立教小学校の愛の教育は、沢山の愛に支えられ、お子さまが自立した自分、
アイ“I”英語の自分という意味を育てる教育だ。そして人を愛し、互いに愛し
合う価値を尊び、実践する人と成長することを目指している。人は愛されてい
るという実感によって、自分の存在の意味がわかってくる。安心して自分の世
界を広げていこうと挑戦する力が湧いてくる。
 真の学びはいつも変容を伴う。それは今までの自分を変えていくというチャ
レンジだ。そのチャレンジに進む勇気は、人との競争では身につかないものだ
と考えている。点数の競争、勝ち負けの世界では、常に気になるのは結果であ
り、失敗であり、そこに安心して自分を変えていく本当の学ぶ楽しさは、身に
つかない。人と手をつなぐこと、人の良さに気づくと共に、自分の良さを安心
して出していける。仲間と一緒に賢くなっていこうと学び合う経験からチャレ
ンジを楽しむ勇気が備わってくると私は確信している。(「立教の教育」から一
部要約)              (レポート 文責 藤本)
 
以前にも紹介しましたが、「教育のもとは家庭の教えで芽を出し、学校の教えで
花が咲き、世の教えで実がなる」、これは明治初期に文部省から配布された[家
庭の心得]ですが、学校の選択は、ご両親が手塩にかけて育ててきた芽に、ど
んな花を咲かせてあげたいのか、これに尽きるのではないでしょうか。頑張っ
てください。
         (次回は、「直前の心構え」についてお話し致します)

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>合否のカギを握るのは お父さんの志望理由2

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第63
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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合否のカギを握るのは お父さんの志望理由2
 
今回は、地元千葉県の5校を取り上げてみました。国府台女子学院小学部は、
第52号「志望理由の決め方(2)」でお話ししましたが、その時、まだ購読さ
れていない方から、「国府台をお願いします」とメールをいただきましたので、
再度紹介いたします。
 
国府台女子学院小学部
国府台女子学院のことを、千葉の白百合学園とさえおっしゃるお母さん方がい
ます。小学部の入学試験の難しさといい、大学への進学状況を見ても、「さもあ
りなん」と思わざるをえないほど実績を上げています。
 
価値観が多様化し、社会全般が「エニシング・ゴーズ、何でもあり」の風潮を
歓迎するムードがありますが、そういったウイルスに感染することなく、小さ
い頃から一つの価値観に基づいた教育を受けさせたい、そう考えるご両親が増
えていることも事実です。
 
仏教に基づく教育を行い、女子だけの、高校までの一貫教育校です。
月毎に行われる仏教行事は、本学院の教育理念である「敬虔・勤勉・高雅」を
身につけるための、貴重で重要な教養、教化となっています。「教養は、徳をみ
がき、人格を高めること」で、「教化は、キョウゲと読み、人を教え、よい影響
を与えて善に導くこと」だそうです。となると、校是である「敬虔・勤勉・高
雅」を、どのように解釈するかが問題になってきます。
 
学校案内の「よい子の誓い 10の指針」には、具体的な目標が掲げられてい
ますが、わたくし流に考えると、こうなります。
「敬虔」は、仏につつしんで仕えることから、深く敬って態度をつつしむさま。
「勤勉」は、勤めて骨を折ることから、何事も一所懸命。
「高雅」は、気高く、雅(みやび)やかなことから、だれからも愛される気品。
 
このように置き換えてみると、わかりやすいのではないでしょうか。「つつまし
く、一所懸命に頑張る、心のやさしい子」といった子ども像が浮かんできます。
そういった子どもに育ってほしいと考え、育児の基本にしているご両親であれ
ば、学校の教育方針と一致していることになります。
以前、教育理念を俳句もどきに、
     ひたむきで 慎み深く みやびやか
などとお母さん方に紹介したことがありました(笑)。
 
24年の説明会は、小学部、改築中のため中高の校舎内で行われ、そのおかげ
で素晴らしい慈母観音像を拝することができ、何とも優美なお姿に、しばし見
とれてしまいました。25年の説明会は新装なった寿光殿(講堂)で行われま
したが、ホールは中高の校舎と直結しているため、またしても、慈母観音像に
お会いできました。説明会に参加すればお会いできる、「七夕の彦星ではないで
すか」と無礼を省みず思ってしまいました。こんなことを言っては罰が当たる
かもしれませんが、まさに、「直向きで 慎み深く 雅やか」でした(笑)。
余談になりますが、広隆寺(京都)や中宮寺(奈良)の弥勒菩薩を始め、日本
の仏像の優しいお顔と優美なお姿には、お粗末な言葉ですが、心が和みます。
 
ある年の説明会で、平田史郎学院長は、不作法で言葉遣いの乱暴な者を評して、
「訓練されていない個性は野性である」とおっしゃっていました。
創立記念日に招かれ、講堂に案内されたとき、左手に数珠を持ち、私の左側に、
腰をかがめながら先導してくれた児童のその姿は、何とも優雅であったことが
印象に残っています。また、1年生が、きちんと挨拶をするのにも驚かされま
した。宗教教育は、形から入って心を作っていくものと思っていましたが、納
得したものです。
 
女子だけの環境については、「女子だけだからいいのです。女の子しかいないの
で、男子のする仕事までやることになり、体験の幅が豊かになります」といわ
れ、共学にする予定は、まったくないと断言しています。説明会でも、女子の
理系に進む「リケジョ」現象は、右上がりで進んでいることを、入学実績をあ
げ指摘していましたが、詳しくは高等部のHPを開き「進学実績」をご覧くださ
い。
 
こういったことをヒントに、「宗教教育」「女子だけの教育環境」「高校までの一
貫教育制度」に期待することをまとめてみましょう。
 
日出学園小学校 
教育理念と目標 
   ここから大きく育つ、生きる力。
   自主性  向上心  想像力  好奇心
小学校6年間を通じて「なおく・あかるく・むつまじく」の校訓をもとに、
人間教育の実践をしています。
 
「なおく」とは、正しいこと正しくないこと、良いこと悪いことが判断で
きること。
「あかるく」とは、笑顔を絶やさず感動を体験しながら、一生懸命取り組
むこと。
「むつまじく」とは、文字通り仲良くする、共に生きる、共生のこと。
健康で潤いのある人間性や想像力を養い、基礎学力の定着を図る、これが本校
の目標です。具体的な内容に関しては、平山淳子学校長のあいさつを参考にし
てください。 
 
「日出学園は昭和9年(今上陛下が誕生した翌年、市川が市となった年)に市
川在住の有志によって創設されました。その中心になった青木要吉は若い日に
アメリカに留学し民主主義と自由主義を肌で感じ、その体験から生徒の特性を
伸長することに重点をおいた私塾的な雰囲気をもつ寺小屋のような少人数、男
女共学の教育を目指していたと聞いています。
人間形成の土台づくりは、児童期の体験で決まると思います。小学校では、学
校行事の関わりの中から楽しさ、悔しさなどいろいろな想いを体験してもらい、
その都度いろいろなことを考えて前に進んでほしいと願っています。そのため
に、異学年交流・宿泊合宿など集団の中で、友だち・下級生・上級生という立
場で物事を考え行動し、そのような体験の中から社会性や共感性などを身につ
けてほしいと常々思っております」
 
教科では、国語力の向上に力を注ぎ、現在、約54、000冊の蔵書があり、
恵まれた環境の中で、考え、思い、学び、表現するための手立てである「言葉
の力」をつけさせ、「生きる力」へとつなげていけるように指導していること。
また、「書は人なり、心を写す力」とも言われているように、正しい「書写力」
を身につけることが一番の目標で、低学年のうちから、一点一画、ていねいに
書く習慣を身につけるように心がけている学校です。
 
創立者の信念でもあった「昼食はお母さんの手作りのお弁当」は、少し形を変
え、ネットで注文し、購買部で購入できるシステムをはじめました。働くお母
さん方への支援、これも歓迎されているようです。
 
共学で、高校までのゆとりのある一貫教育で、大学受験は、本人の実力次第。
なお、中学受験に関しては、従来から、受験対策のノウハウは充実しており、
HPの中学校合格状況に、その実績を見ることができます。小学校は地元で安全
に通学、中学から東京の学校へと考えているご両親も多いようです。
 
聖徳大学附属小学校
中学から女子校ですから、男子は受験することになります。かなりの進学実績
をあげていますから、充実した進学体制をあげても良いのではないでしょうか。
幼児教室対象の説明会でも、外部の優秀な指導者を招いていると聞いたことも
あります。
 
最近、日本女子大学附属豊明小学校、聖心女子学院初等科をはじめ、学童保育
やアフタースクールが盛んですが、本校の「放課後スクール」の大きな特徴と
して、車でのお迎えを容認していることでしょう。ただし、学校の前の道路は
狭いですから、いろいろと制約があるようです。お仕事を持っているお母さん
方には強い味方になるのではないでしょうか。
 
校名の聖徳の由来は、聖徳太子の道徳や礼節などに対する思慮の深さを教育の
基礎とし、豊かな人間づくりを実現したい思いから。読み方を変えたのは、聖
徳太子に深い尊敬の念からで、「しょうとく」と読むのを控え「せいとく」とし
たそうです。
 
「思いやりと、礼を尽くす、こまやかな心を学ぶ」を目指す小笠原礼法宗家の
指導による礼法教育、明和班、全校生が一緒に食事をする「食堂(じきどう)」
など、学園の「礼節」「知育」「勤労」の3つの教育方針について、どのように
期待するかをまとめてみましょう。
 
女子の場合は、中高を別学で過ごし、大学で共学も可能です。
礼法教育は、1年生から6年生まで、年間指導計画があり、電車の中で化粧を
している女性や、歩きながら物を食べている無作法者に見せたいほど、日本古
来の文化が伝承されている学校です。これも欠かせない志望理由になるのでは
ないでしょうか。
 
千葉日本大学第一小学校
創立時は男子だけの別学でしたが、平成8年4月から共学校になり、大学まで
の一貫教育校です。共学が自然で、受験を考えなければ16年間のゆとりのあ
る教育環境で、自分の進む道を、ゆとりを持って学べることでしょう。
 
本校の児童は、一定の内部進学規定を満たすことで、学園の2つの中学校へ約
70%、2つの高校へは90%以上、そして大学へは60%の生徒が進んでい
ます。(令和元年9月のHPより)
 
本校の校訓「真(まっすぐに) 健(すこやかに) 和(なごやかに)を、わ
たし流に、心を表す言葉と
して考えると、
 真は「飾り気のない、偽りのない心」
 健は「すこやかな精神」
 和は「おだやかな心」
となりますが、いかがでしょか。
 
本校の特色として、「学習習慣の定着と学力向上」とありますが、年間の授業時
間数は、本校は13教科で6676時間、公立校は5645時間と、かなり多
いこと。
また、創立以来、英語教育に力を入れ、5、6年生は英語で日記を書き、卒業
時に6年生全員が実用英語技能検定5級合格を目指しています。
そして、縦割りグループによる学年を超えたユニークな「さくら活動」でしょ
う。
こういったことからまとめてみましょう。
 
余談になりますが、アメリカンフットボール部の不祥事、併設の小学校、中学
校、高等学校の子ども達の心を深く傷つけたことに、思い至らないのかと腹が
立ちましたね。小学校は大学の理工学部と交流があり、楽しく語り合う写真を
見たことがあります、残念!
 
昭和学院小学校
教育目標に「知・徳・体の全人教育(知識だけにかたよった教育ではなく、性
格教育、情操教育なども重視する教育)を掲げていますが、開校以来、少数の
児童(1学年2クラス)に行き届いた教育を行うことを目標に、道徳教育を重
視し、児童の基本的生活習慣の形成に力を注いでいます。それが、校是「明敏
謙譲」の狙いであり、教育目標に表れています。「学校案内」には、「明敏とは
活力を持って未来を開くこと、謙譲とは英知を持って社会に生きること」で、
「明朗にして健康で、自主性に富み、謙虚で豊かな人間を育てること」と説明
されています。
 
鈴木裕子校長は、就任の挨拶で、こうおっしゃっていました。
「高い学力とやさしい心」を目標に私たちは日々の教育に力を注いでいます。
その基盤となるのは子ども同士、子どもと教師、保護者の方々とのあたたかい
人間関係です。私たちが挨拶を大切にし、思いやりの言葉が行き交う風土を大
切にするのは、品位と節度ある態度に裏打ちされた人間関係こそ「知・徳・体」
のバランスの取れた21世紀型の人づくりに欠かせない資質と考えるからです。
これからも「明敏謙譲」の建学の精神のもとに、心と体と頭を磨き、謙虚さを
備えた心身ともに健康な子を育ててまいります。
 
 「心と体と頭を磨き」、響きのいい言葉ですね。「頭を磨き」が先行すると、頭
でっかちな子になりがちです。子どもが望むのではなく、親がそう仕向けるこ
とに問題ありですね。
 
 「明敏謙譲」、例によって、育児の姿勢としてわたし流に考えるとこうなりま
す。
 「謙譲」とは、「へりくだること」という意味で、「謙譲の美徳」ともいいます
が、最近は、お目にかかれない言葉となりました。むしろ、「謙虚」の方がおな
じみかも知れません。「自分が偉いものと思わず、素直に他に学ぶ気持ちがある
こと」という意味です。すると校是の「明敏」は、「明朗にして健康で、自主性
に富む」ですから、「元気で、明るく、自力で挑戦する子」に、「謙譲」は「謙
虚で心の豊かな人間を育てる」ですから、「素直な子」と置き換えることができ
るでしょう。
 
独自の国語教育、伝統の図書館教育に加え、「視写」があります。
この字を見た時、文章修行の駆け出し時代を思い出しました。お世話になって
いたある出版社の編集部の方から、「松本清張の短編を視写してごらん、参考に
なるよ」と言われたものでした。文章をそのまま写すことです。お手本は、芥
川賞を受賞した「或る『小倉日記』伝」でしたが、参考になりました。おそら
く子ども達は、名文を写し、記憶し、漢字を覚え、語彙も増えるといったよう
に、楽しい学習をしているのではないでしょうか。当然、やっていると思いま
すが、音読を加えれば効果抜群、などとおこがましい限りですが(笑)。
 
幼稚園では、年少から英語を正課にしていることについて、受験されるお母さ
ん方から、「英語の勉強について、何らかの準備をしておかなくても、ついてい
けるでしょうか」と質問を受けることがあります。附属の幼稚園では、年少か
ら正課として英語を保育に取り入れ、年少組は週1回30分程度、年中、年長
組は週5日40分程度行っています。3年間でかなり力がついていると考え、
入学後、英語を学んでいない子どもにとって、それがハンデになるのではと考
えるのも当然ではないでしょうか。
それについて鈴木裕子校長は、
 「本校では、ESL用に開発された『グレープシード』という英語のカリキュラ
ムを使用しています。入学時には個々のバックグランドにより英語力がまちま
ちな児童たちですが、少人数制の英語授業を通し、ほぼ1年で経験に由来する
差はなくなります」
とおっしゃっていますから、心配ないようです。
 注 ESL(English as a Second Language)
 英語を母語としない人のための英語教育を目的としたプログラム
 
また、本校のアフタースクールには12講座の内、英語の授業が3講座設けら
れており、これを利用することで、ハンデをなくす対策になっているのではな
いでしょうか。本校のアフタースクールは半端ではなく徹底していますから、
学校側も自信を持って対応できると考えているようです、私見ですが。
 
共学で、高校までの一貫教育校と期待する教育内容からまとめてみましょう。
日出学園と同様、中学受験のノウハウは充実しており、HPを見ると進学状況を
見ることができます。これは、現在共学ですが、それ以前は、中高は女子だけ
の別学であったため、男子は受験を控えていたためです。念の為、お断りして
おきますが、面接で「中学受験を目指しています」は、そういう考えを持って
いても、言う必要はありません。
 
2回に分けて、「私学の建学の精神、教育方針の理解の仕方」について、「おと
うさん、おかあさんの受験対策」(めぇでる教育研究所 刊)からピックアップ
して紹介しましたが、これは、あくまでも「わたし流の考え」にすぎません。こ
ういった解釈を情報として公表するのには、少し、心配があります。それは、
幼稚舎が作文をやめ、面接を廃止した理由が、あまりにも「傾向と対策化され
ている現状から意味がないと判断したから」とおっしゃったことと同じ理由か
らです。一つの考え方、ヒントとしてお読みいただき、ご自身の言葉でお話し
できるようにしていただきたいと、老婆心ながらお願いしておきたいと思いま
す。
 (次回は「後半の説明会より 白百合学園小学校他」を予定しています)
 
急に涼しくなりましたが、暑かった夏の疲れが出る頃です。家庭学習は無理を
せず、体調を崩さないように、ゆったりと構えて取り組みましょう。無理は禁
物です。
 
千葉県を襲った台風15号のもたらした大規模停電が復旧しないまま、16日、
敬老の日も大雨が。「予想外の規模」では済まされないでしょう。ボランテイア
にも参加できない高齢者が言ってなんですが。現地の方々、頑張ってください。

さわやかお受験のススメ<小学校受験編>合否の鍵を握るのは、お父さん方の志望理由 1

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        「めぇでる教育研究所」発行
2020さわやかお受験のススメ小学校受験編
            第62
 年長児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
 
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合否の鍵を握るのは、お父さん方の志望理由 1
 
志望理由のまとめ方について、模擬面接をしていて少し気にかかることがあり
ましたので、付け加えておきましょう。それは何かと言いますと、お父さん方
の志望理由に、あまり説得力がないことです。
 
例えば、雙葉小学校を志望されるお父さん方との面接を再現すると、こうなり
がちです。
「お父さんにお伺いします。本校を志望される理由をお聞かせください」
「はい、校訓である『徳においては純真に、義務においては堅実に』に賛同し
て受験しました」
「では、お子さんに、普段の生活で、どのように教えていますか」
と尋ねると具体的な説明がありません。
 
小学校の案内書やガイドブックに書かれている建学の精神や校訓を、そのまま
おっしゃる方が多いのですが、これでは学校側を納得させることは不可能では
ないでしょうか。
既に、志望理由も明確になっているはずですが、もう一度、原点に戻り、以下
のように、学園全体の教育体制について考えてみましょう。
ただし、ここでいう共学は小学校の場合で、中高は別学の学校も含まれている
ことをお断りしておきます。
また、慶應義塾幼稚舎、桐朋小学校、桐朋学園小学校は、面接はありませんが、
志望理
由をまとめる参考にしてください。
 
白百合学園小学校、東洋英和女学院小学部、聖心女子学院初等科、立教小学校、
立教女学院小学校など。
1.宗教教育 2.別学 3.大学までの一貫教育 4.賛同できる教育方針
1から4について、どういったことを期待しているかを書いてみましょう。
4については、例えば、白百合学園小学校の場合、
学園の校訓である三徳、 勤勉・従順・愛徳について、
  従順…すすんでみがこう正しい心
  勤勉…すすんでなんでもいっしょうけんめい
  愛徳…すすんで親切よろこんで
ということですが、これをわたし流に、従順は「素直」、勤勉は「一所懸命頑張る」、
愛徳は「思いやり」と置き換えると、いずれも皆さん方が育児で大切にしている
ことではないでしょうか。
 
青山学院初等部、淑徳小学校、聖学院小学校、玉川学園小学部など。
1.宗教教育 2.共学 3.大学までの一貫教育 4.賛同できる教育方針
4について、青山学院初等部のスクールモットー「あなた方は世の光、あなた
方は地の塩である」は、幼児の場合ですから、「世の光」は自立していること、
「地の塩」は協調性や社会性といった集団生活への適応力と考えると、「5つの
約束」の意味がよく理解できるのではないでしょうか。
  5つの約束
  ・しんせつにします
  ・しょうじきにします
  ・れいぎただしくします
  ・よくかんがえてします
  ・じぶんのことはじぶんでします
「『しんせつにしよう』ではなく『しんせつにします』と自ら発信していること
だ。ここに初等部教育の原点がある」と説明会でも部長は言っていましたが、
ポイントは、自立と自律、そして集団生活への適応力ですが、育児で大切にし
ていることではないでしょうか。
さらに、ランドセルなし、通信簿もありませんが、こういったことも視野に入
れる必要はないでしょうか。
ホームページの「国内短期留学 止揚学園」を見てください。「すべては教場」、
初等部はこういった教育をする学校でもあるのです。
 
慶應義塾幼稚舎、学習院初等科、成蹊小学校、早稲田実業学校初等部、千葉日
本大学第一小学校、桐蔭学園小学部など。
1.共学 2.大学までの一貫教育 3.賛同できる教育方針
 例 慶應義塾幼稚舎
  独立自尊について   
  一年生が入学した時に「三つの約束」をします。
  ・うそをつかない。
  ・お父さん、お母さん、先生のいいつけを守る。
  ・自分でできることは自分でする。
この三つの約束こそ、独立自尊の精神を身につけるための第一歩です。
皆さん方は、普段からお子さんに、
「うそをついてはいけません」「約束は守りなさい」「自分でできることは自分で
しなさい。お母さんを頼っても知りませんよ!」と言ってきかせ、実践している
のではないでしょうか。
お母さんの教えこそ、まさに「独立自尊の精神」そのものではありませんか。
 
日本女子大学附属豊明小学校、川村小学校など。
 1.別学 2.大学までの一貫教育 3.賛同できる教育方針
 例 日本女子大学附属豊明小学校
   三綱領 信念徹底・自発創生・共同奉仕について、 
     ○ 信念徹底(正しいと考えたことはやりとげる)
     ○ 自発創生(自ら考え、工夫し、実行する)
     ○ 共同奉仕(心を合わせて皆のために仕事をする)
わたし流に解釈すれば、
○ 信念徹底は、はじめたことは途中でギブアップせずに、最後まで頑張る子
○ 自発創生は、夢中になって遊び、楽しく遊ぶ工夫のできる子
○ 共同奉仕、友達と仲良く遊べる情緒の安定している子
となりますが、こういったことを大切にしていれば、三綱領を育児に取り入れ
ているとはいえないでしょうか、難しく考える必要はないと思います。
 
雙葉小学校 田園調布雙葉小学校 横浜雙葉小学校 光塩女子学院初等科 暁
星小学校など。
1.宗教教育 2.別学 3.高校までの一貫教育 4.賛同できる教育方針
雙葉小学校については、しばしば紹介してきましたので、ここでは暁星小学校
を取り上げますが、雙葉小学校に対して一言付け加えておきましょう。それは
「バラはバラらしく、スミレはスミレらしく、その人らしく生きる。自分で自
由に学び、決定することができ、責任のとれる人に育てていく」、例年、校長先
生のおっしゃっていたことですが、どうしたことか、平成30年と31年の説
明会で伺えませんでした。私は大好きなのですが(笑)。
 
例 暁星小学校
「鍛える教育」の究極の目的は、日本昔話のキャラクターである「気は優しくて
力持ち」の男子の育成です。
もやしっ子を解消するために始めたサッカーを考えてみましょう。サッカーは
11人で戦いますが、ボールをキープした選手は、相手を自分に引きつけてお
き、ギリギリのところでパスをして味方にボールをつなぎ、最後にゴールへ蹴
りこめるのは、たった一人です。旺盛なファイトとフェアーな精神、チームワ
ークの育成、しかし、学業をおろそかにしていると、優秀な選手でも練習に参
加させてもらえない「練停」があり、文武両道、ここに暁星学園の教育目標が
表れていないでしょうか。
 
27年の説明会では、現役で東京大学と早稲田大学に入った二人の出身者の小
学校時代の体験をつづった作文を朗読、東大生は聖歌隊、早大生はサッカー部
の話でしたが、いつもの校長の話と異なり厳しい「文武両道」の話は参考にな
りました。
特に運動の得意な子でなくてもやればうまくなる話は、自ら挑戦する意欲こそ、
鍛える教育の原点であることや、部員のすべてが東大をはじめ難関校を目指す
中での切磋琢磨する話は、説得力がありました。
 
模擬面接でも、「小学校は親が良かれと選んであげるが、大学は自らの力で挑戦
すべきだ」とおっしゃるお父さん方が多く、二人の話はこれを裏づける頼もしい
もので、こういったことも参考にされてはいかがでしょうか。
 
「れんてい」という言葉は、サッカー部出身の学生さんの話にあったので、「練
習参加停止」のことではないかと思い、勝手に「練停」と当て字を書きましたが、
説明会で先生に伺ったところ、「練停」でいいそうです。
 
台風15号が関東地方を直撃。西日本の水害といい、自然災害は、穏便に済ま
せてもらいたいものです。一日も早い復興を、頑張ってください。「台風一過」
といえば、爽やかな秋晴れを想像しますが、この猛暑、川越は連日36度、暑
いですね。
 (次回は、「合否のカギを握るのは お父さんの志望理由2」についてお話
しましょう)

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