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さわやかお受験のススメ<小学校受験編>■■[2]5つの試験形式■■ペーパーテスト 2

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    「めぇでる教育研究所」発行
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
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■■[2]5つの試験形式■■ 
ペーパーテスト (2)
 
正直にいって、下のような先生が恐いのです。
お母さんは、何とか力をつけさせようと夢中になってしまい、自分のいってい
ること、やっていることが、わからなくなるようですね。たとえば、難易度の
高い「図形」の問題などで、子どもがよく理解できていないときに、こういっ
たことが起きがちです。お母さん自身は、説明したことでお子さんも理解でき
たと思い、問題に取り組むのですができません。1回ぐらいの間違いは許容範
囲ですが、何回も同じ間違いが続くと、お母さんの顔つきも変わり、
 「何回、教えたらわかるの!」
 「こんな簡単な問題が、どうしてできないの!」
と、なりがちなのです。
幼児が「わからない」というときは、本当にわからない、理解できていないの
です。このことをしっかりと肝に銘じ、お母さんの説明が不十分であることを
考え、お子さんがわかるように工夫してあげることが大切で、お子さんを責め
るべきではありません。
 
また、昨日教えたことが、今日になるとできない場合もあります。それはお子
さん自身が経験していないことを、記憶だけに頼って憶えさせている場合が多
いからではないでしょうか。子どもは、興味や関心のないことをやっても、す
ぐに忘れがちなものです。
 
ですから、幼児は、机の上だけで知的な訓練をするのは、適切な方法ではあり
ません。お母さんのやり方が間違っています。それを棚に上げて、思わず子ど
もの頭を叩いてしまうお母さんもいるようですが、何も悪いことをしていない
にもかかわらず、いくらお腹を痛めたからといって、手を上げる権利は、母親
といえどもありません。子どものためにもいっておきたいことがあります。
お母さんの子どもの頃、どうだったかということです。冷静に聞いてください、
冷静に。
 
ここでおさまると、まだ、両者の歩み寄る機会は残されています。しかし、こ
の線を越えて、怒鳴り散らしてまで勉強を続けると、子どもも切れますが、耐
えるしかありません。お母さんに見捨てられれば、子どもは生きていけません。
 「ボク、本当にお母さんの子かな?」
こうなったらトラウマになりかねません。
 
昔は「子をもって知る親の恩」といいましたが、最近では、受験準備に熱が入
りすぎると、「合格の二文字のために忘れる子どもの心」ともいわれているよ
うです。わが子を虐待して殺してしまう、鬼のような親がいるご時勢です。訂
正、鬼もわが子を手にかけなかった話が残っていますから、犬畜生にも劣る親
とします。ですから、「受験を始めて忘れてしまう子どもの心」になるようで
は、受験をする資格はないと考えましょう。先人の知恵でもある「三つ子の魂
百まで」を、絶対に忘れないでください。小さい時に経験したことで、お子さ
んの性格は築かれていくからです。
 
子どもをプリント漬けにし、来る日も来る日も、毎日、何時間も、入試問題集
を広げ、猛練習をして力がついたと思うのは錯覚です。類似問題を数こなせば、
できるようになるでしょう。しかし、この方法は、一種の条件反射的なトレー
ニングです。これで考える力がつくでしょうか、疑問だと思います。行動観察
型のテストでは、対応できないでしょう。自ら考え、答えを導く力は、年月を
かけ、試行錯誤を積み重ねながらできたカリキュラムがあり、それをよく理解
している先生方の的確な指導のもとで身につくものなのだからです。
 
なぜ、このような受験準備が、行われてしまうのでしょうか。
例えば、慶應義塾幼稚舎に入れば、余程のことがない限り、大学まで行けます。
子どもの努力次第では、医学部へ進める可能性さえあります。子どもの将来の
ためと考えるのも、無理からぬ親心です。
さらに、合格すれば、受験準備はこれっきりです。
場合によっては、中学、高校、大学と3回も受験戦争に参加させられる可能性
もあるわけですから。
「手のかからぬ内に入れてしまおう!」
このことです……。
思春期になり、難しい年齢になっての受験は、正直いって、しんどい話です。
身体は大人に近くなっても、精神年齢はそれ以下といったアンバランスな成長
をしている子、かなり見かけます。同じような大人も結構いますから、説得力
に欠けますけれど……。
 
さらにです。
年齢が下がれば下がるほど、能力の差は出にくいものです。ここで何とか手を
つくせば、志望校へ入学できるのではと考えるのも当然でしょう。しかし、厳
しい現実が控えています。お子さんの将来を案ずる親心は、どなたの心にも強
く、深く、ひそんでいます。ですから倍率は高くなり、10倍を越える学校も
あるほどです。
 
この現実を考えると、生半可な受験準備では、合格などありえないと考えるの
も無理からぬことで、かなりハードな受験準備が、待っていることになりがち
です。しかし、受験勉強をさせられる子どもの立場になると大変です。先にも
お話ししましたように、何事もそうですが、過熱気味になると当事者は、自分
のやっていることが、わからなくなる仕組みになっています。「合格」の二文
字に、冷静さを失いがちですが、受験生のお母さん方全部が、こうなるわけで
はなく、ごく、一部のお母さん方であって、熱心すぎるだけで悪気はないので
す。ペーパーテストを行わない小学校はこういうことも考慮しているのではな
いでしょうか。誤解されると困るのでいっておきますが、「ペーパーテストが
悪い」といっているのではなく、「準備の仕方」に、とかく問題がありがちだ
といいたいのです。
 
また、ペーパーテストがないから問題集などやらなくてもいいと思っている方
がいると聞きますが、それはとんでもない間違いで、必ず、クリアしなければ
ならないハードルがあり、そのために問題集は必要です。問題に○や×をつけ
るだけではなく、行動観察型の試験のように、「どうしてそうなったか」など、
言葉で説明する口頭試問に対する準備です。
 
ところで、最近の入試問題を読むと、「幼稚園での生活能力があればできるテ
ストを実施したい」と考える学校が増えているのは確かで、これは歓迎すべき
ですね。
たとえば、部屋の一角にじゅうたんが敷いてあり、机の上に紙に包まれたお菓
子が置いてあって、ペットボトルに入った麦茶らしきものとコップが用意され、
「さぁ、おやつですよ」といった試験がありますが、チェックポイントは、以
下のようになっていると思います。
まず、手を洗い、ハンカチで拭き、たたんでポケットにしまえるか。
靴を脱いで、キチンと揃えられるか。
包装紙でくるまれたお菓子を出すのにてこずらないか。
せんべいやクッキーであれば、ボロボロとこぼさないで食べられるか。
ペットボトルから、うまく麦茶をコップに注げるか。
「いただきます」、「ごちそうさま」をいえるか。
後片付けができるか。
みんな「……か」と、クエッション・マーク付きです。
これがテストです、何を評価しているのでしょうか。
 
さらに、この話をどう思われますか。
教育者、特に小学校の先生方は、見るところが違います。テストが始まると、
子どもたちの姿勢と筆記用具の持ち方を見るそうです。姿勢がよければ、ご両
親がよいお手本を見せており、筆記用具を正しく持てていれば、おはしをきち
んと持って食事をしているはずですから、育児の方針がわかるというのです。
テレビを付けっ放しで食事をし、ダラダラ時間をかけていると、直ぐに腰が砕
けて、姿勢も崩れがちです。これは、お父さんにも責任の一端、ありです。特
に、朝食です。テレビを聞きながら新聞を読みながら、ご飯を胃袋に流しこん
でいませんか。親が、お手本です。
 
これは、しつけ以前の基本的な生活習慣です。
ですから、直そうと思っても、直ぐにというわけにはいかないものです。食事
は毎日のことですから、おざなりにしていると、お子さんは学習の第一歩で苦
しむことになります。知識を詰め込むより、こういった生活習慣を大切に育て
ているお母さんは、お子さんから尊敬されます。
なぜなら、お母さんの手を借りずにできることは、子ども心にも嬉しいからで
す。間違いなく、「自分でやろうとする意欲」が育ちます。
 
ペーパーテストといっても、知的能力だけを判定しているのではありません。
受験生は、幼児です。
親の育児の姿勢を評価しています。
このことをきちんと心に納めておかなくては、合格の二文字はありえません。
 
机の上だけで、記憶に頼った知識の詰込みばかりやっていると、頭でっかちで、
偏った経験しかしていない子になりがちで、被害者は子ども自身です。ペーパ
ーテストが中心になっている学校を受験される場合は、こういった結果が残る
ような準備だけは、避けてほしいと願っています。
 
これからの毎日の体験は、お子さんの心に残ることを忘れないでいただきたい
のです。
年中から年長にかけては、将来の学習意欲も培われていく大切な時であり、人
格を形成する重要な時期でもあるからです。
「三つ子の魂百まで」は英語で、“The leopard cannot change his spots”
(豹は斑点を変えることはできない)というそうですが、洋の東西を問わず育
児の鉄則ではないでしょうか。
 
  (次回は、個別テストについてお話しましょう)
 

 


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さわやかお受験のススメ<小学校受験編>■■[2]5つの試験形式■■(2)個別テスト

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さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
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■■[2]5つの試験形式■■ 
(2) 個別テスト
 
文字通り、先生と一対一、個別で行われるテストです。口頭試問と考えたらい
いでしょう。
しかし、幼児のことですから、言葉だけでは答え切れません。おはじきやプレ
ート、絵、時には本物や、それに近い物を使って出題され、おはじきを置いた
り、絵に指を差して答えたり、プレートで指示された形を作ったりします。学
校によっては、いくつもの部屋を回り、何人もの先生とお話しする場合もあり
ます。
 
この形式では、ペーパーテストと異なり、設問を聞き逃しても、「それまで!」、
ゲームセットとはなりません。勇気があればの話ですが、聞き直しができます。
幼児のテストは、こういった個別テストが適しているのかもしれませんが、答
える子どもたちには、つらいことになります。口頭試問の場合、問題を聞き、
考え、言葉で答えるからです。ペーパーテストでは、答えがわからなくても、
適当に印をつけても正解になる場合もあります。時には、偶然が支配する幸運
もあります。個別テストには、それがなく、全部、自分でやらなければなりま
せん。育てられている環境そのものが、ズバリ顔を見せます。
 
育児が過保護や過干渉になっていると、親離れができていませんから困るでし
ょう。
「ママ、手伝って!」
「どうしたらいいの、ママ!」
そんなことをいっても、誰も手を貸してくれません。態度も、オドオドとして
落ち着きがないでしょう。
こういった子育てをしているお母さん方は、臆面もなくおっしゃるそうです。
「私となら何でもできるのに。やっぱり、コネなんだわ!」
少し解説が必要ですね。その子は、お母さんと一緒であれば、何でもできる抜
群の能力の持ち主だそうです。しかし、試験を受けたのですが、合格しません
でした。ですから、落ちたのは成績ではなく、出身者ではないから、また、紹
介者、つまり、コネクションがないために、合格しなかったとおっしゃりたい
らしいのです。出身者だけを入学させたくても収容人員は限られていますし、
紹介者がいれば合格するのであれば、受験料を取ることは詐欺行為になります。
ですから、こういった怪情報は、単なるうわさに過ぎません。
慶應義塾幼稚舎や青山学院初等部のホームページには、「推薦状や紹介状は必
要ない」、「用意しても受け取らない」と公表していますし、暁星小学校の説
明会でも「紹介状や推薦状は必要ない。本人の実力を第一とする」とおっしゃ
っていました。
 
小学校の入学試験の狙いは、お母さんのもとを離れて、「一人で、どれだけの
ことができるか」であり、頼りになるのは自分だけです。こういうお母さん方
が、面接で、
「お子さんを育てるにあたって、どういったことに気をつけていますか」
と聞かれたとします。すると、お母さんが、格好よく、
「子どもの自主性を育てることに留意しています」
と答えたら、先生方は「……!?」となるでしょうね。
 
個別試験に対して、入学試験問題集を買い込んで試験に備えるのは、試験があ
る以上、やらねばなりませんが、子どもの発育状態、生まれ月、これを考えず
にやってしまうと、困ったことになりかねません。
 
例えば、一枚の絵を見て自分で話を作る問題があります、創作です。うまくで
きないと、お母さんが作った話を記憶させるようです。大人の考えた話や発想
は、大人のものですから、子どもは抵抗を感じるのではないでしょうか。うま
くでき過ぎているからです。それを覚えさせるそうですが、自分で考えたもの
ではなく、お母さんの創作ですから、ついていけません。そして、記憶させら
れた話は、忘れやすいものです。しかし、お母さんの前では、大丈夫なのです。
何回も繰り返し教え込まれるのですから、覚えるでしょう。
 
ところが、小学校の入学試験は、生まれて初めて入った場所で、初めて会った
先生のいうことを聞き、いろいろなことをしなければなりません。場所が変わ
り相手が変わると、うまくいかないものです。プレッシャーが、かかるからで
すね。大人の世界でもあるでしょう、ブルペン(野球場にある投球練習所)エ
ースです。練習では豪速球、生きたボールを投げるのですが、マウンドに立つ
と平凡なボールを投げては、ノックアウトされるピッチャーのことです。
 
さらに、問題集にあるとおりの絵が出てくる幸運は、ほとんどありません。た
とえ幸運に恵まれても、先生は、お母さんに教えられたとおりに、聞いてくれ
る保証もありません。同じような問題でも、ちょっとひねられると、それで、
おしまいです。先生方も、そこを見ていると思います。子ども自身の考えかど
うかですね。ですから、単に記憶させるだけでは駄目なのです。
 
ペーパーテストは、答えがあっていても、子ども自身の考えかどうか、わから
ない場合もあります。
個別テストは、ここが、はっきりとわかります。これが、いいですね。子ども
が自信を持って答えられるのは、日常生活で、きちんと体験していることだか
らです。
 
また、親の教育に対する姿勢も、はっきりと表れます。
「うちの子、引っ込み思案で、消極的だから、個別テストに向いていないわ」
とおっしゃるお母さんがいますが、子どもが好き好んでそうなったのではなく、
お母さんの育児の姿勢がそのまま表れているだけです。試験の形式だけで学校
を選ぶようでは、本末転倒な話で出発点から誤りです。
 
私学には、独自の建学の精神、教育理念があります。ご両親の教育に対する考
え方と、学校の教育方針に共通認識があり、限りなく近いことが、学校選びの
条件です。小学校の教育は、家庭と学校とお子さんの三人四脚で行われるもの
であり、決して忘れてはならないことです。
 
ところで、女の子で、一人っ子であると、消極的になりやすいものです。しか
し、過保護から身についた甘えん坊や、過干渉からなってしまった消極的な性
格から出る引っ込み思案とは、違います。一人っ子でも、自分でやるべきこと
を、きちんとさせているお母さんに育てられていると、一所懸命に取り組みま
す。わからない問題にぶつかっても、簡単にあきらめません。精一杯、挑戦し
たのですが、できなかったとしても、
「わかりません」
という顔に、悔しさこそあれ、明るいそうです。普段の生活が、そのまま出て
いるからです。失敗を恐れずに、一所懸命に考え、頑張り、挑戦する意欲のあ
る子に育てたいと考えているご両親の姿が、そこにあるからです。学校側の求
めている子は、こういう子です。自分で考えていることを、自分の言葉で話せ
る子です。
 
前にもお話しましたが、最近は、こういった問題が増えています。
 
◇机の上に半そでのYシャツと、近くの箱に500mlのペットボトルとプ
 ラスチックのコップ3個、黄色と赤色のリボンが入っている。
  ・Yシャツを着て、ボタンを留めましょう。
  ・箱からペットボトルを出し3個のコップに同じになるように水を
   入れましょう。
  ・終わったらペットボトルに黄色いリボンでちょう結びをしましょう。
  ・最後にYシャツを脱いで、たたんでください。
 
基本的な生活習慣やしつけ、自立心までわかります。個別テストからは、子ど
もの生育史をみることができるのです。それが、ご両親の育児の姿勢であり、
学校側のいう「ご家庭の教育方針」です。こういったことを理解していないと、
ご両親が面接で、どんなに格好のいいことをいっても、そうでないことをお子
さんが、きちんと見せるものです。
 
個別テストでは、自立心や自律心がどの程度、培われているかもはっきりと表
れます。「自分の考えを言葉で表す」のは、幼い子どもたちには、とても難し
いことですが、基本は、ご両親との対話から培われるものです。「対話の反対
は沈黙ではなく、命令と強制です」とおっしゃったのは、立教小学校の元校長
であった田中司先生で、ペーパーテストを廃止した方です。「こうしなさい!」
「それはだめ!」などと一方通行では、対話は成り立ちません。お子さんとの
対話を弾ませることから、言葉で考え、表現する力は培われます。
 
お子さんは、ご両親の目を見ながら楽しく話をしているでしょうか。
 
    (次回は、集団テストについてお話しましょう)

 


さわやかお受験のススメ<小学校受験編>■■[2]5つの試験形式■■ペーパーテスト 1

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    「めぇでる教育研究所」発行
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■■[2]5つの試験形式■■
  ペーパーテスト 1
 
有名小学校の入学試験は、5つの試験形式から構成されています。
 
   1. ペーパーテスト
   2. 個別テスト
   3. 集団テスト
   4. 運動テスト
   5. 面接テスト
 
昔は、ペーパーテストだけの小学校もありましたが、今は、ありません。
逆に、ペーパーテストを廃止した小学校もあります。
個別テストのない小学校もあります。
5つ、全部やってしまう小学校もあります。
面接テストをやっていない小学校もあり、いろいろです。
推薦状と面接だけの学校もあります。
それは、私立の小学校ですから、「建学の精神」や「教育方針」に、いろいろ
な特徴があり、それによって教育が行われていますから、試験にもその学校独
自の自前のカラーがあって、当然なのです。
 
しかし、どこの学校も知的な能力だけで、合否の判定をしているわけではあり
ません。育児の集大成、まだ中間報告ですが、そこを見ているのです。その集
大成を判定する5つのテスト形式について具体的にお話しましょう。
 
1.ペーパーテスト 
20人から30人程のグループで、オーディオの音声や動画、または口頭での
説明を聞きながら、一斉に答える筆記テストです。皆さん方も経験済みの、お
馴染みのテスト形式です。しかし、これは大変です。
幼児は、原則として、文字を読めないし書けません。ですから、プリントのど
こを見ても、文字で書かれた設問は、ありません。おかしな話ですが、絵や図
形などを使いダミーも含めて、答えが描かれています。そして説明を聞いて、
用意された筆記用具を使い、○や△、□や×などの記号を書いたり、線を引い
たり、色を塗って答えるわけです。
 
「常識の領域」に、こんな問題があります。
B4判の大きさのプリントに、門松や節分、七夕、七五三、クリスマスといっ
た四季を代表する行事が描かれていて、解答はクレヨンを使いなさいと指示が
あり、
「春の仲間にはピンク色で○を、夏の仲間には青色で△をつけなさい」
といったコメントが、スピーカーから流れてきます。
これが、設問です。
一回きりで、後は、静かに時は流れるだけです。
当然、時間は限られています。30秒ぐらいで解答します。
「春は、○だったかな?」
などと悩んでいたら駄目です、そんな余裕はありません。
「何かいっていたな?」
などとぼんやりしていると、最悪の状態になってしまいます。
設問を聞き逃せば、それでおしまい、ゲームセットです。
設問は、どこにも書かれていないからです。
前にも紹介しましたが、中学、高校、大学の試験のように、わからない問題は
飛ばしておいて、
「後でやろう!」といったことは、絶対にできません。
 
そういったことを考えれば、いちばん厳しい条件の試験ではないでしょうか。
指示を正確に聞き取り、できるだけ速やかに解答しなければ得点になりません。
こんなことはないと思いますが、その時に、ちょっと耳がかゆいと気を散らし
たら、それまでです。時間がくれば、次の問題に移りますから、まさに「待っ
たなし」なのです。
 
さらに、テストが始まると同時に、普段の生活習慣やしつけなど育児の姿勢が
わかります。話を静かに聞く姿勢が身についているか、筆記用具を正しく持っ
ているかなど、いろいろな様子が表れるからです。先程お話した「育児の集大
成」です。単に、常識や記憶力を見ているのではありません。こう考えると、
問題集だけやって「受験準備、こと足れり」とはならないことを、ご理解いた
だけるのではないでしょうか。
 
ところで、ペーパーテストに問題点はないのでしょうか。
ペーパーテストのメリットは、子どものあらゆる能力を判定することはできま
せんが、ある面は確実に評価できることでしょう。しかも手っ取り早いし、試
験官の数も少なくて済みますし、ペーパーに答えが残りますから判定も公平で
す。ですから、ペーパーテストを行う小学校が多いわけです。誤解を招くと困
りますから断っておきますが、他の試験は不公平というのではありません。
 
先程もお話ししましたが、ペーパーテストだけを実施している小学校はなくな
りました。かつて、ペーパーテストだけを実施していた立教小学校は、現在で
はペーパーテストを廃止し、運動テストや制作に加え、ここ数年、シャイな男
の子の苦手な「ダンス」まで取り入れています。なぜでしょうか。
 
以前にお話しましたが、ペーパーテストだけでは、社会性や協調性、自主性、
基本的な生活習慣やしつけなどは判定できないからです。逆に、知的能力だけ
が高い、偏った経験を持つ子の集団になる可能性もあるからです。 
 
あるミッション系の学校の説明会で、こういった話を聞いたことがありました。
ペーパーテストの結果に従って、高得点者から順番に合格者を選んだところ、
早生れの子どもが少なくなり、翌年から生年月日順に切り替えたそうです。当
然でしょうね。4月2日生まれと翌年の4月1日生まれは、学年が一緒です。
1年間の差がありますから、早生れの子には、ハンディキャップになります。
生年月日順は、その配慮があるわけです。願書の受付順や五十音別に受験番号
をつける場合は、年齢の配慮がない学校が多いでしょう。
初めて、「年齢への配慮をしている」と公表したのは、桐朋小学校ではなかっ
たでしょうか。「統計的な処理をしている」と年刊雑誌「桐朋教育」に記載が
あったようです。しかし、今では、多くの小学校で月齢への配慮をしていると
言っていますから、早生れのお子さんも心配はありませんが、昭和学院小学校
のように「募集人員 約105名(男女)」といった場合は、男女を問わず、
成績順に合格を決めることもありますから、注意が必要です。説明会へ参加し、
きちんと確かめておきましょう。
 
もう一つ問題があります。
それは、ペーパーテストの対策、受験準備、これが過激になりがちなことです。
試験の難易度が高く、生半可な準備では、とてもクリアできない小学校もあり
ます。きちんとしたカリキュラムのもとに指導を受けているお子さんは、心配
ないでしょうが、少し気になる話を耳にします。幼児教室や塾を掛け持ちする
子もいるようです。指導方針が違っていれば、お子さんは混乱するだけです。
 
たとえば、こんなことはないと信じていますが、数を数える問題で、A教室で
は「線などを引かないで数える」と教わり、B塾では「線を引いて数える」とい
ったように、全く相反する数え方を教われば、迷ってしまうのはお子さんです。
皆さん方は、どちらが正しい指導方法だと思いますか。
 
たくさん受けさせれば効果があるとでも考えているとすれば、それは大きな間
違いです。そういったお母さん方は、うわさにも弱いようで、親子で受験地獄
に陥りがちです。受験地獄など、あるわけはないのですが……。
 
家に帰ると、お母さんが先生です。最近は、お父さんが力を入れている家庭も
増えてきました。 このことです……。ペーパーテストに対する過激な受験準
備、ここに問題があるようです。
 
次回は、「ペーパーテスト2」についてお話しましょう。

 


さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>有名小学校の入学試験とは

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有名小学校の入学試験とは
 
■■[1]求められる四つのパワー■■
 
過去にNHKの「お入学」の放映で、全国区に昇格したかどうかはわかりません
が、私立の名門小学校の受験騒動、話題になりました。過熱気味であった私立
志向も、バブル経済が弾けて静かになったようです。しかし、学習指導要領も
「ゆとりの教育」から「心の教育」に改訂されるなど、公教育の指針は安定し
ないことから、私立志向は根強く息吹いています。
 
その証といっては何ですが、埼玉県には、私立小学校は浦和ルーテル学院小学
校、1校しかありませんでしたが、今では、4-4-4制を導入した開智小学校
(岩槻市)、水族館とプラネタリウムのあるさとえ学園(さいたま市)、英語
のシャワーで世界に発信を目指す西武学園文理小学校(狭山市)、中高別学か
ら共学にシフトチェンジした星野学園(川越市)も小学校を開設し5校になり
ました。
 
さらに、副都心線を利用すると、埼玉の川越から渋谷まで乗り換えなしで50
分となり、青山学院初等部、東京女学館小学校、慶應義塾幼稚舎、聖心女子学
院初等科などを受験する子どもたちも増えました。
 
また、東急東横線が副都心線と相互乗り入れを開始し、元町・中華街まで乗り
換えなしで行けるようになり、東京と神奈川の県境にある多摩川の下流地域に
住む人には不利といわれた横浜雙葉小学校などへの受験も増えているのではな
いでしょうか。
 
東京都は54校[東京農業大学稲花(とうか)小学校が平成31年4月に開校]、
神奈川県は28校、千葉県は8校、茨城県には開智望小学校が開校し茨城県南
部で3校と、私学の受け入れ態勢には、目を見張るものがあります。(「お受
験じょうほう 私立小学校一覧」より)
 
そして、書店をのぞくと入学試験問題集も、たくさん売られています。中には、
「こんな難しい問題、本当にできる子いるのかな?」と、首を傾げたくなるの
もあります。しかし、問題集を読んでいると、学校側がどのような子どもを求
めているかがわかってきます。うわさでは、「頭脳明晰成績優秀名門家庭の子
女」だけを求めているといわれているそうですが、そんなことはありません。
 
「知力・徳力・体力・気力が、学齢期にふさわしく、バランスよく育っている
子」です。この4つの能力は、小学校受験に必要な基本的な力ですが、一朝一
夕に身につくものではありません。何もできなかった赤ちゃんを、根気よく、
忍の一字で育ててこられた皆さま方ですから、納得していただけると思います。
受験準備は、育児と同様、一歩一歩、確実に前進を目指す、地道な努力が必要
です。
 
では、学校側は、この4つの能力を、どのように判定しているのでしょうか。
 
第1は知力です。
これについては、わかりやすい解説がありますので紹介しましょう。
 
 「知能の定義には、いろいろありますが、ここではその中身を、知覚力・記
 憶力・言語能力・数能力・思考力としておきましょう。
  知覚力は、見たり聞いたりするものを、注意深く受け止める能力です。
  記憶力は、覚えこむ力・覚えている力・忘れたものを思い出す力で、観察
 力・弁別力もこの中に入ります。
  言語能力は、語彙力・表現力などです。
  数能力は、数・量・図形・空間に関する能力です。
  思考力は、推理力・構成力・判断力(洞察力・見通す能力)などを含みま
 す。思考力には、答えをいくつも考えられる拡散思考能力(創造的思考力)
 もあります」
 
 「ママ、生まれたらこんなふうに育ててね」 P.224
   (家庭教育システム研究会 著 横山ふさ子 画 サンマーク出版 刊)
 
「画」とありますように、この本は漫画です。サブタイトルが「赤ちゃんは親
を選べません」と、何とも厳しいのです。このタイトルに惹かれて買ったので
すが、内容はわかりやすく、これからママになる方に推薦したい本の一冊です。
 
第2は徳力です。
これは言うまでもなく、社会性や協調性といった「集団生活への適応力」です。
集団生活は人との関わりの中で培われていくものですから、自主的に取り組む
姿勢や自身をコントロールする自己統制力が養われてきます。
家では許されることでも、集団生活では認められないことを、幼稚園や保育園
での生活を通して経験し、少しオーバーではありますが、「共生、共に生きる
こと」を学んでいるはずです。
グループ別に行われる行動観察系のテストや運動テストなどで、日常の生活環
境や体験が姿を現します。過保護であればわがままに、過干渉であれば消極的
な態度になりがちです。
 
また、一つの例として、ペーパーテストでも、指示されたことをきちんと守ら
ないと、大きなマイナス点になります。
「始め!」 と言われる前に始めてしまったり、「止め!」 と言われても止め
られなくては、人の言うことを聞く姿勢ができていないと判定されるでしょう。
規則や約束を守ることは、集団生活をスムーズに進めるために、欠くことので
きないルールです。
公開模擬テストを受けて、「社会性や協調性に問題あり」とチェックが入った
場合は、通っている幼稚園や保育園の先生に相談しましょう。
「少し、問題がありますね!」
といった返事があった場合は、「大いに問題あり!」と受け取り、お子さんを
取り巻く環境を、ご両親で見直す必要があります。多くの場合、ご両親の育児
の姿勢に、その原因があるからです。
 
第3は体力です。
指示を理解し体で表現する理解力、機敏性や俊敏性を問う運動能力、どれだけ
頑張れるかといった持久力や耐久力などが判定されます。
もちろん、通学に必要な体力が培われているかも大切なポイントになります。
もやしっ子を鍛え直すために始めた暁星小学校のサッカーを持ち出すまでもな
く、現代っ子はスタミナ不足です。都会から原っぱが姿を消し、車が子どもの
足代わりとなっている生活が、スタミナをつける源を奪っているようです。
 
スタミナ不足は、単に体力的な面だけではなく、持久力や耐久力を培う「頑張
る意欲」にも、大きな影響を与えていることを、もっと真剣に考えるべきでは
ないでしょうか。集中力に欠け、すぐに飽きてしまうお子さんは、体力不足に
も原因があるとも言われています。
 
5分も歩かない内に「おんぶ!」と言うようでは心配です。夏休みから秋の試
験当日まで、大変なエネルギーを必要とします。それをクリアしなければ、小
学校の試験に挑戦できません。
ボールつきや縄跳びは、全身を使いますし、微妙なバランス感覚を養う運動で
す。目標を立てて挑戦し、続けることで力がつく、「持続こそ力を育む」こと
を、体験を通して学習させるべきだと思います。お子さんの運動能力をチェッ
クし、問題があれば、お父さんの出番です。
 
第4は気力です。
まだ、実感はわかないかも知れませんが、5歳の秋を制する決め手は、「気力」
です。 そして、これだけは、何十冊の問題集をこなすだけで身につくもので
はありません。本人の自覚です。本人にやる気力がわかなければ、本当に頑張
る力はつきません。モチベーションを上げる、これも、ご両親の育児の姿勢と
深い関わりがあります。
早稲田実業学校初等部の説明会で「学校見学会には、是非、お子様と一緒に来
てほしい。この学校へ行きたいとお子さんのモチベーションを上げることがで
きるからです」とおっしゃっていました。新型コロナウイルス感染症の影響で
状況が変化していますが、オープンスクールを実施する学校が増えてきました
から、こういった機会を利用することも大切ではないでしょうか。
ところで、過保護や過干渉な環境で育てられていると、白百合学園小学校、立
教女学院小学校、光塩女子学院初等科のように、ペーパーの枚数が多く、限ら
れた時間内に取り組む試験には、俊敏に対応できません。
また、かつて慶應義塾幼稚舎が出題した、イーゼルを立てて絵を描くといった、
初めて経験することには、手が出ないでしょう。
 
成蹊小学校のように、反復運動を繰り返したり、「止め」と言われるまで続け
るようなす運動テストに耐えられないと思います。
 
ここで言う気力とは、自分一人でやり遂げた体験、体験学習を豊富に積んでい
くことから身についた「意慾」のことです。
ご両親が失敗を恐れずに、積極的にチャレンジさせ、自立心を身につけるよう
に心がけていれば、自ずと備わってくるものです。ご両親は、叱ることが少な
く、励ます言葉が多く、大らかな心を持っているはずです。お子さんのお手本
は、ご両親です。そういったご両親であれば、お子さんもできないからと言い
訳をすることもなく頑張ります。むやみに叱らないご両親からは、相手を思い
やる心が育ちます。
 
誤解されては困りますが、「何事にも叱ってはいけない」と言っているのでは
ありません。約束を守らない、嘘をついたときなどは、真剣に叱ります。「叱
るべきときは叱り、褒めるべきときは褒める」ご両親のことです。
 
自分でやり遂げた経験がたくさんあると、達成したときの快感を味わっていま
すから、何かに取り組もうとする意欲が育っています。
そして、いろいろなことを体験しているお子さんは、過去に出題された問題集
をやってみると、これと同じことを、普段、家庭や幼稚園、保育園で、一人遊
びや仲間遊びを通して、何らかの形でやっていることに気づくはずです。
 
幼児を対象にした試験は、大学などの入学試験とは違います。誤解を恐れずに
いえば、必要なのは、記憶だけに基づいた知識の量ではなく、体験をふまえて
培われた知恵の量だと思います。
 
すでに、公開模擬テストを受けられた方でしたら、ご存知のように、ペーパー
テストの出題範囲は、ほとんどの場合、以下の10項目になっているはずで
す。
 
   1話の記憶  2数量   3常識   4推理・思考  5記憶力
   6構成力   7巧緻性  8社会性  9言語    10運動
 
先にあげた4つの力を、ペーパーテストや行動観察、面接を通して、こういっ
た項目に分けて判定しているわけです。小学校側も、この10項目内で判定し
ていると思います。来年の春には発売される今年度の問題集をお買いになると、
納得できるでしょう。10項目については、12月以降に解説する予定です。
 
以上の4つの力に加え、慶應義塾幼稚舎、桐朋小学校、桐朋学園小学校などを
除き、ご両親には面接があるわけです。その学校を選んだ理由をきちんと話す
ことで、合否の判定が行われます。小学校の入学試験は、試験を受けるのはお
子さん自身ですが、「判定されるのはご両親の育児の姿勢である」と言われる
のは、こういった仕組みになっているからです。推薦制度を取り入れる学校も
増えてきましたが、その条件は、やはり、育児の姿勢を重視しており、決して
安易なものではありません。
 
最後に、東日本大震災は、電車通学する子ども達に大きな課題を与えました。
暁星小学校の説明会では、生徒全員の寝袋を用意していることや、慶應義塾幼
稚舎では、プールの水を飲料水に還元できる機器や、自家発電装置を設置した
話などもあり、どこの学校も十分な対策を立てていると説明していますから、
心配はないでしょう。
 
今、子どもたちに求められているのは、災害時に対応できる気力と体力です。
東日本大震災が起きた年、成蹊小学校の説明会で8時間かけて自宅にたどり着
いた、1年生の書いた作文を披露しましたが、親切な女性3名の温かい応援が
あったとはいえ、まさに、幼いなりに、気力と体力を振り絞った「自奮、自励」
(成蹊小学校の教育理念の一つ)の体験談でした。
来年の学校選びには、登下校時に地震が起きたことを想定して、それに対処で
きる気力と体力を充実させる育児を心がけることも、学校選びの大切な条件に
なるのではないでしょうか。
 
次回からは、実際に行われている入学試験についてお話します。
かなり、すごいことをやっています。しかし、きちんと段階を踏んで学習し理
解していけば、そんなに心配するものではありません。
 
そのためにも、まず、試験の形式から説明しましょう。
 
     (次回は、試験の形式についてお話ししましょう)

 


さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>なぜ、ペーパーテストを行わない学校が増えたのでしょうか

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    「めぇでる教育研究所」発行
さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>
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 2022さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
 
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なぜ、ペーパーテストを行わない学校が増えたのでしょうか
 
いささか古い話で恐縮ですが、平成4年の秋のことです。
慶應義塾幼稚舎の試験を受けてきた子ども達が、こういったのです。
 「先生、ペーパーは1枚だけでした」
事実、その年のペーパーテストは、「話の記憶」1枚だけでした。
 
同じ年の12月のことです。
今度は、お茶の水女子大学附属小学校の試験を受けてきた女の子が、
 「先生、試験はありませんでした」
正しくは、「ペーパーテストはありませんでした」ですが、入試形式の突然の
変化がありました。
その原因を探してみると、新しい保育の形が影響していることが分かってきま
した。
 
この年から新しい学習指導要領が実施され、同時に幼稚園の保育も「幼稚園教
育要領」の改訂が行われ、今までの一斉保育から自由保育となり、一人ひとり
の個性を伸ばしていく保育に変わりました。ですから、皆さんのお子さんが通
っている幼稚園の保育は自由保育で、ここに注目してみると、おぼろげながら、
ペーパーテストを廃止した理由の一端がわかってきたのです。
 
ご存知のように、自由保育といっても自由奔放、何でもありの保育ではありま
せん。簡潔に言えば、みんなで一斉に同じことを強制的にやるのはやめ、自発
的に活動できるように導く保育のことです。例えば、知識や理解力を培うにも、
自分自身で考えたり、工夫する機会や経験をたくさん持たせたり、自分勝手な
考えではなく、客観的なものの見方や考え方を身につけるように指導する保育
のことです。
 
つまり、一斉保育は他律の保育で、自由保育は自律の保育のことです。他律と
自律の保育については、わかりやすい歌があります。
童謡「雀の学校」(清水かつら 作詩 広田龍太郎 作曲)です。
 
 チイチイパッパ チイパッパ       雀の学校の 先生は 
 むちを振り振り チイパッパ       チイチイパッパ チイパッパ
 生徒の雀は 輪になって         お口をそろえて チイパッパ
 まだまだいけない チイパッパ      もう一度一緒に チイパッパ
 チイチイパッパ チイパッパ
 
先生がムチを振りながら、「こっちを向きなさい!」とやるのが他律の保育で、
自由保育にはムチを持った先生はいません。こういった保育内容をふまえ、こ
こからは独自の解釈ですから、深くお考えにならずに、読み流してください。
 
新指導要領の狙いは、偏差値教育の弊害などを見直すことでした。
大胆に言えば、今までの学習指導の基本的な考え方は、ペーパーテストのよう
に持ち点を100として、「これもできない、あれもダメ」と点数を引く減点
方式であり、主に知力だけを判定したものでした。改訂された「幼稚園教育要
領」では、持ち点ゼロから始め、子ども一人ひとりの個性を見極め、「これも
できた、あれもいいぞ」と点を積み重ね、合計で何点取れたかと点数を積み重
ねていく保育に変えましたが、ペーパーを使わない行動観察型のテストは、こ
の加点方式なのです。
 
ペーパーテストは、取れた点数で子どもの限られた能力を評価しますから、個
性の出る幕はありませんが、行動観察型のテストは、絵を描いたり、自分の意
見を発表したり、課題に取り組む子ども達の様子を観察し採点しますから、プ
ロセスを重視し個々の能力を評価します。つまり、個性の尊重です。
 
また、こんな定義はありませんが、計算の問題から考えてみました。ヒントに
なったのは、「ママ、生まれたらこんなふうに育ててね」(家庭教育システム
研究会 著 横山ふさ子 画 サンマーク出版 刊) の育児の本で、「画」と
あるように漫画です。
1+9=□は、答えは1つしかありませんから、全員で同じことに取り組む集
中思考型保育、□+□=10は、答えが11通りありますから、一人ひとりを
育てていく拡散思考型保育と考えると
  一斉保育(他律の集中思考型保育)→減点方式→ペーパーテスト
  自由保育(自律の拡散思考型保育)→加点方式→行動観察型テスト
となり、幼稚園の保育の方針が、他律の一斉保育から自律の自由保育に変わっ
たことから、小学校の入学試験の形式も減点方式だけではなく、加点方式を加
えたと言えるのではないでしょうか。
 
ペーパーテストを実施している学校も、制作や課題遊び、自由遊び、運動テス
トなどを通して、社会性や協調性など集団生活への適応力を評価、採点し、バ
ランスの取れた成長をしているかを判定しています。ですから、入試に必要な
知識なるものを、記憶だけに頼って詰め込む知育偏重型の受験対策は、どこの
学校からも歓迎されないと言えるわけです。
 
前回でもお話ししましたが、現在、国立附属校では、筑波大学附属小学校を除
き、お茶の水女子大学附属小学校、東京学芸大学附属竹早小学校等はペーパー
テストをやっていません。私立校では、慶應義塾幼稚舎、青山学院初等部、学
習院初等科、成城学園初等学校、桐朋学園小学校、川村小学校などもやってい
ません。(令和2年10月現在)
 
おもしろいのは、以前は運動テストもなく、ペーパーテストしかやっていなか
った立教小学校が、今ではペーパーテストを廃止して行動観察型に切り替え、
運動テストはもちろんのこと、男の子が苦手とするダンスまで取り入れていま
す。以前の学校説明会で、文言は正確ではありませんが、「私学がよい子を取
り合った時期があったが、それは間違いでした」と指摘され、「取りっこでは
なく分けっこの時期に入った」とおっしゃっていました。
 
少し古くなりますが、「ペーパーテストを廃止した理由」を公表した学校があ
ります。慶應義塾幼稚舎の舎長が、以前、こうおっしゃったのです。これはわ
かりやすい話ですから紹介しておきましょう。余談になりますが、舎長は校長
のことで、東洋英和女学院小学部、青山学院初等部は部長、学習院初等科は科
長、光塩女子学院初等科は校長、国府台女子学院小学部は副学院長の名称とな
ります。
 
 「受験という現象がある以上、その競争の社会の中で、人より抜きん出て勝
利を占めようと、どんどんエスカレートします。競争社会は、結果を争うわけ
です。だから、私たちは、結果を争うようなテストをしません。結果を点数に
直して、点数で序列をつけるような教育をしていない。点数で子どもの序列を
しないということは、ペーパーテストはしませんというのが、一番わかりやす
いということです」
(週間ポスト 平成6年4月3日号)
 
辞任されて教員に復帰された加藤三明元舎長は説明会で、毎年「幼稚舎の教育
目標は、他人との競争ではなく自分との戦いである」とおっしゃっていました。
 
さらに注目したいのは、東京女学館小学校です。
平成12年に就任された田浦桂三校長(同15年に退任)は、面接と推薦状だけ
で入学を決めるAO方式(アドミッションズ オフィス)を始めました。文言
は正確ではありませんが、「受験のために子ども達に大きな負担をかけたのは、
塾や親の責任ではなく、そういう環境を作った学校にある」と言い切った方で
す。募集人員80名中、AO方式20名からスタートし、令和2年10月現在、
AO方式約45名(内約3名「国際枠」)、一般入試約35名になっています。
「やがてはすべて、この方式に変えていきたいと」先生は抱負を語っていまし
たが、もし、これが実現すると、「私学もやがて抽選で!」といった夢のよう
な話……まあ、夢でしょうけれど。子ども達のために頑張ってほしいと期待し
ています。残念ながら大学は、在学生全員が卒業した2016年3月に閉鎖さ
れました。
 
ところで、皆さんご存知のごとく、平成14年度から実施されていた学習指導
要領ですが、学習内容が削減された問題などを含め、早々と改訂されました。
しかし、すべてが悪かったわけではありません。「ゆとりの教育」を目指し、
私学の大きな特徴であった週五日制、英語教育も始まりました。少人数制に至
っては、私立の小学校は都心の公立校にかなわなくなっているでしょう。この
状態を「公立校の逆襲が始まった」と、東洋英和女学院小学部の寺澤東彦元部
長は説明会でおっしゃっていました。ですから、私学には脅威でもあったわけ
です。
 
事実、日本女子大学附属豊明小学校、立教女学院小学校、東洋英和女学院小学
部、青山学院初等部、成蹊小学校、昭和学院小学校、日出学園小学校、国府台
女子学院小学部など、最近の私学の環境整備には、目を見張るものがあります。
 
また、桐朋小学校は1クラス24人、成蹊小学校では4年生まで1クラス28
人、日出小学校は2年生まで25、26人編成の少人数制を実施するなど、私
学ならではの対策が顕著になっているのも事実です。
 
学校も増えています。2013年に慶應義塾横浜初等部、2014年4月には
茨城県取手市に江戸川学園取手小学校、そして2015年4月には神奈川県藤
沢市に日本大学藤沢小学校が、茨城県つくばみらい市には開智望(のぞみ)小
学校が開校され、2016年4月には千葉県流山市に国際暁星流山小学校が、
2019年4月には東京農業大学稲花小学校が開校しました。受験者が減る中
で、なぜ新しく私学が創立されるのでしょうか。誤解を恐れずに言えば、画一
的な教育よりユニークな教育環境で、わが子を学ばせたいと希望する保護者が
増えているからではないでしょうか。
 
そこで問題になるのは、志望校の選び方です。
それは何かと言えば、小学校選びは聖書の「始めに言葉ありき」ではありませ
んが、「始めにご家庭の教育方針ありき」であるべきです。これが「始めに名
門校ありき」では、かつてバブル経済全盛期の頃、マスコミがお受験騒動と指
摘したように、ブランド志向によって起きた「受験戦争の低年齢化」、「幼い
子どもを受験戦士に仕立てていいのか」などと批判の対象になりかねないから
です。
本当は、こういったことが起きること自体、異常なのですが、いわゆる「受験
地獄」に陥らないためには、ご両親でよく話し合いをし、受験に取り組むこと
が大切です。
 
「教育は、家庭の教えで芽を出し、学校の教えで花が咲き、社会の教えで実が
なる」
これは明治初期に文部省から高等科(現在の5、6年生)の家庭に配布された
ものですが、「どんな花を咲かせたいのか」、これこそ学校選びの基本ではな
いでしょうか。
 
小学校の受験は、前回説明しましたスケ―ジュールをもとに、慎重に計画を立
て、「ゆっくり、じっくり、しっかり」と、ゆとりをもって挑戦するものであ
ることを、肝に銘じて頂きたいのです。
 
 
(次回は、「求められる4つのパワー」についてお話しましょう)
 

 


さわやかお受験のススメ<現年中児 今から始める小学校受験>最近の入学試験の傾向

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最近の入学試験の傾向 
 
小学校の試験を目指す皆様方ですから、既に、ご承知と思いますが、最近の傾
向として、ペーパーテストを実施しない学校が増えてきたことです。
その経緯については、あとで詳しく紹介するとして、ここ数年間の出題傾向に
ついて、簡単に触れておきましょう。
 
ペーパーテストを行わない学校は、慶應義塾幼稚舎、青山学院初等部、学習院
初等科、立教小学校、桐朋学園小学校、川村小学校などで、いわゆる行動観察
型のテストを実施しています。
「ペーパーテストを行わずに、何がわかるのですか?」と、疑問視する方も大
勢いらっしゃるようです。
ところが、これがよくわかる仕掛けになっているのです。
仕掛けといっては失礼になるかもしれませんが、ある年の桐朋学園小学校の学
校説明会で、たまたま顔を出された校長先生が、面接についておもしろい話を
してくれたのでした。
 
「私どもが面接をしないのは、親御さんに『趣味は何ですか』とうかがっても、
本当は競輪や競馬が大好きでも『読書、音楽鑑賞です』とおっしゃるでしょう。
だから面接をしません。しかし、私どもでは二日間、お子さんを預かりますか
ら、どのような家庭環境で育てられているかわかるのです」
 
文言は正確ではありませんが、内容は間違いありません。
その通りではないでしょうか。
子ども達は演技ができませんから、育てられた環境を、そのまま正直に、試験
会場で見せることになります。
基本的な生活習慣やしつけ、言葉遣いから社会性や協調性といった集団への適
応力など、手に取るようにわかるのではないでしょうか。
ですから、「ペーパーテストがないから受験準備は楽だわ!」などと考えるの
は、とんでもない誤解で、行動観察型の試験は、ペーパーテストより難しいと
ころがあります。
なぜなら、先生方の言葉を聞き取り、理解し、考え、自分の言葉で表現したり、
絵を描いたり、行動する、それが行動観察型の試験だからです。
どういった準備が必要だとお考えでしょうか。
 
ペーパーテストを実施している学校は、暁星小学校、雙葉小学校、白百合学園
小学校、東洋英和女学院小学部、聖心女子学院初等科(一時期、ペーパーテス
トをやめていたのですが)、立教女学院小学校、光塩女子学院初等科、国府台
女子学院小学部などです。
このように学校名をあげてみると、何かお気づきのことはありませんか。
そうです、何とも不思議なことに、宗教教育を行っている学校が多いのです。
しかも、いずれも、いわゆる名門校ですから、試験問題の難易度は、高いこと
も共通しています。
なぜ、難しい問題が出題されるのでしょうか。
 
おそらく、過去問といわれている、以前に出題された問題を集めた本などを使
い、繰り返し問題を解くといった受験準備ではなく、基礎知識をきちんと身に
つけ、問題を解く力を備えてほしいと、学校側は考えているのではないでしょ
うか。
 
簡単に説明するのは難しいのですが、わかりやすい話だと思いますので紹介し
ましょう。
試験問題の中に、「四方図形」があります。
これは、テーブルの上に置かれた左手をあげた縫いぐるみを、前後左右から見
ると、どのように見えるかといった問題です。
この場合、四つの方向から見ることになりますから、四つの違った答えがある
わけです。
つまり、学校側は、答えは一つだけではなく、いろいろな方向、立場からもの
を見て判断する、そういった力を持つ子どもを求めているのではないでしょう
か。 
 
さらに、こういった問題がありました。
 
・雙葉小学校
 お皿に入っているプラスチックの玩具の宝石20個ほどを、細かく分かれて
 いる箱に、塗り箸でつまんで入れる。
 
・白百合学園小学校
 プラスチック製の穴の空いた板に紐が通してあるお手本を見ながら、同じよ
 うに紐通しをする。(暁星小学校でも出題されました。)
 
・暁星小学校
 机の上に弁当箱、弁当箱のふた、弁当袋、箸、箸箱、箸箱のふた、校内着、
 半袖のポロシャツ、ハンカチ、ティッシュ、本、靴下などがバラバラに置か
 れ、それをファスナー付きのカバンの中にきれいに詰める。
 
 靴を脱いで、机にある折り紙をとってきて、好きなものを折る。
 (5個折らせた年もありましたし、少し力の必要な折り方が出題されたこと
 もあります)
 
・青山学院初等部
 靴を脱いで手を洗いにいき、椅子をテーブル代わりにして、煎餅、クッキー、
 お茶を自分で用意し、いただく。食べ終えたらゴミを分けて捨て、後片付け
 をし、席で待つ。
 
・日本女子大学附属豊明小学校
 いろいろなビーズの入ったトレーから、自分のお皿にできるだけ多くのビー
 ズを塗り箸で移す。
 細い紐にビーズを通して端を結びネックレスを作る。
 クーピーで絵を濃淡に塗り分ける。
 
・東洋英和女学院小学部
 机に置いてあるカゴの中から、弁当箱とハンカチをとってくる。
 次にテスターが持っているカゴから、ピンポン玉2個と豆を箸で取り、弁当
 箱に入れる。そして、テスターの手本どおりにハンカチで箸と弁当箱を包み、
 指示された机に置く。
 
・立教女学院小学校
 塗り箸で、さいころの形をしたキューブを隣の紙のお皿に移す。
 
・千葉日本大学第一小学校
 教室の後ろのテスターのところに並び、洋服をハンガーごと持ってくる。ハ
 ンガーから洋服を取り、着ている服の上からきる。ボタンを1つかける。ボ
 タンを外し、着た服を脱ぎ、ハンガーにかけテスターのところへ持って行く。
 
・早稲田実業学校初等部
 靴を脱いでじゅうたんに上がり、お手本を見て封筒を作る。作り終えたら机
 の中から雑巾を出して手を拭いたあと、机を拭き、たたんで机の中にしまう。
 
・田園調布雙葉小学校
 持参した服に着替え、着ていた服を風呂敷で包む。
 
・横浜雙葉小学校
 お友達と床に正座して、おしゃべりをせずに、持参した弁当を食べる。
 
・日出学園小学校
 ふわふわボール6個を箸でつかみ、弁当箱に入れナフキンで包む。
 
 
学校側は、何を見ているか、おわかりいただけたと思います。
基本的な生活習慣が、きちんと身についているかを知りたいわけです。
基本的な生活習慣はしつけであり、それは、ご家庭の育児の姿勢でもあるわけ
です。
東洋英和女学院小学部の寺澤東彦前部長は、「しつけや言葉遣いは、生まれる
前に刷り込まれているわけではないから、強制的に教え込まなければならない」
とおっしゃっていますし、国府台女子学院の平田史郎学院長は、「訓練されて
いない個性は野性である」とさえいっています。
両校とも宗教教育を行う女子だけの学校です。
ご家庭の教育に何を求めているのでしょうか、受験準備のポイントは、ここに
あると思います。
つまり、知識だけ身についた偏った子どもではなく、知・徳・体の三つの能力
が、年齢相応にバランスよく育った気力のある子を望んでいるのです。
 
ですから、小学校受験でもっとも大切なことは、就学前の子どもにふさわしい
基本的な生活習慣やしつけ、挨拶、言葉遣いなどを、きちんと身につけておく
ことなのです。
今からしっかりと計画を立てて、一つ一つ階段を上るように、地道な努力を積
み重ねていくことが求められています。
いわゆる、付け焼き刃などは、絶対に効きません。
 
かつてのバブル経済全盛期の頃で、私立志向が過熱気味な状態にあったときで
した。
あるミッション系の学校説明会で、校長先生は、こうおっしゃったものです。
 
「受験に必要な知識や礼儀作法なるものを泥縄式に詰め込んで、受験準備、こ
と足れりとお考えになるのは、間違いであることに気づいてほしい」
 
昔の話ですから文言は正確ではありませんが、内容は間違いありません。
このことではないでしょうか。
泥縄式とは、「泥棒を見てから縄をなうことで、事が起こってからあわてて、
その対策に手をつけることをあざけていう言葉」ですが、特に、幼児の受験の
場合、泥縄式は、絶対に通用しません。
これからの毎日の生活の積み重ねが、来年の秋に実を結ぶことを、肝に銘じて
いただきたいのです。
 
(次回は、「なぜ、ペーパーテストを廃止する学校が増えたか」
                       についてお話しましょう)

 


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