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めぇでるコラム : 2018小学校受験: 2016年11月
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>集団テスト
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「めぇでる教育研究所」発行
2018さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
(第22号)
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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(3)集団テスト
10名から20名位のグループで、部屋に置かれている遊び道具、ボールや縄
跳び、積み木や輪投げなどを使い、各人が自由に遊んでいる様子や、先生のま
ねをして踊ったり、熊や象などの動物のまねをしているところを観察するもの
や、話を聞いて、話の続きを想像して絵に描いたり、全く条件を与えられない
で好きな絵を描いたりします。
テストの狙いは、遊んでいる様子から自発性を、何かを作ったり、絵を描いた
りすることから表現力や創造力、巧緻性などを見ます。巧緻性は、きめ細かく
上手にできていることで、「手は第二の脳」(11号~14号)で詳しくお話しま
したから省略しますが、一言でいえば、普段、両手を使う作業をやっているか
を見るわけです。親の手を借りずに、どのくらい自分自身でできるか、自立心
ですね。さらに、基本的な生活習慣も関わっています。もちろん、積極的に参
加する意欲や自主性もわかりますから、手を抜けません。
また、たとえば、クリスマス・ツリーなどを作る課題を与えられ、5、6名の
友だちとグループを組み、相談をしながら、自分の考えをいい、相手の意見に
も耳をかたむけながら、仲良く作り上げていく問題もあります。社会性や協調
性が培われているかを見る行動観察型のテストです。
[自由遊び]
「好きな道具を選んで、自由に遊びなさい」
といわれて戸惑う子がいます。子どもは遊びが仕事ですから、信じられません
ね。その原因は、日常生活が何から何まで管理されていることにあるのではな
いでしょうか。お母さんの指示どおりにしないと、お母さんの気持ちが済まな
いようで、その心は、無事に〇〇小学校へ入るためです。これでは、学校側が
求めている自発性や自主性は、育たないと思いますね。お子さんの通っている
幼稚園は、自由保育です。お母さんのやっていることは、管理育児です。こん
な言葉はないでしょうけれど、保育の方針に逆らっています。
遊んでいるときに、子ども本来の姿が表れるもので、そこを学校側はみたいの
です。みんなが自分の好きな遊びに熱中している時に、お母さんの子だけが、
何やら不安気に、ボーッとしていると、先生方は、どう思うでしょうか。育児
が過干渉である証で、自分の意志を持たない「受験サイボーグ戦士」と思われ
るかもしれません。その心配なしとは言えませんね。
こんな子もいるそうです。今、ボールで遊んでいたと思ったら、今度は縄跳び、
と思う間もなく輪投げです。一ヶ所にジッとできません。これは、この時期に
見られる子どもの成長を現す一面で、目移りではなく、好奇心が旺盛なのです。
とは言っても、次から次へと手を出し、人が遊んでいるおもちゃを横取りした
り、いくつも独占したり、あげくのはてには散らかしっぱなしはどうでしょう
か。
これでは、好奇心が旺盛とは言えません。単なるわがままか、飽きっぽいだけ
で、育児が過保護になっている証拠です。
遊ばせると、子どもの育てられている環境はわかります。幼児の試験は、これ
が最も適切ではないでしょうか。子どもたちは、全身で育てられている環境を
表します。無心に遊ぶ、ちょっとしたしぐさから、育児の姿勢が伝わってくる
ものです。
[身体表現]
先生のやっている動作をまねる、いわゆる身体表現です。
たとえば、あざらしの歩き方をまねたりします。これは、かなり、難しいです
ね。両手で体重を支え、両足をそろえて伸ばし、両手を交互に出しながら前に
進みます。まさに、あざらしさんです。腕力と腹筋を使いますから、かなりき
ついですね。もちろん、あざらしそっくりにできればいいのですが、それだけ
ではありません。これも積極的に参加する意欲があるかどうかです。ちょっぴ
り照れながらも、顔を真っ赤にして挑戦する子、いいですね。
幼児は自分の考えを表すときに、言葉だけでは十分でない場合、どうするでし
ょうか。身体全体を使って表現しようとするものです。しかし、これは表現す
る対象をよく観察していないとできません。あざらしを見たことのない子に、
まねられるでしょうか。たとえお手本があっても、ぎごちないでしょう。見た
ことのある子は、「不思議な歩き方だな?」と思うはずです。「思う」とは、
注意を呼び起こされることです。「どこが、どう違うのかな?」と観察を始め
ます。
幼児の学習は、これが基本です。
興味があれば、細かいところまで見極めようとします。他の動物との違いを見
つけられれば、素晴らしい学習になります。大切なのは、実物を見ることです。
同じところと異なったところを見つける、「類似差異」の見分けです。そこか
ら、新しい知識が備わってきます。机の上で、いろいろと知識を詰め込まれて
も、あざらしを見たことがなければ、はつらつと表現できるでしょうか。この
テストの目的は、生活体験、自分を取り巻くものへの関心や、そういったもの
に対する観察力ではないかと思います。
かつて、アメリカでベストセラーとなった「人生に必要な知恵はすべて幼稚園
の砂場で学んだ」の第1章 私の生活信条(クレド)に、「不思議だな、と思
う気持ちを大切にすること。(中略)ディックとジェーンを主人公にした子供
の本で最初に覚えた言葉を思い出そう。何よりも大切な意味を持つ言葉。“見
てごらん”」があります。(“ ”は藤本)幼児に大切なのは、教え込むよ
り、疑問の芽を育ててあげることではないでしょうか。
読んでいて兼好法師の「徒然草」とよく似た考え方があり驚きましたが、著者
のロバート・フルガムは牧師であったことから、「なるほど!」と肯けたもの
でした。
[共同制作]
クリスマス・ツリーを作ることを考えてみましょう。折り紙、モール、きびが
ら、発泡スチロール、リボン、厚紙などの材料から、セロテープやのりなどの
接着剤、はさみ、穴あけパンチ、ホチキスといった道具が用意され、相談しな
がら作ります。共同制作です。
「制作、得意なんです、私に任せといて!」
「苦手なんだ、はさみを使うの。手を出さないで見てよう!」
そうはいきません。みんなで相談しながら作ります。自主制作ではありません、
共同制作です。
最近、日出学園小学校では、4、5人のグループで模造紙1枚とクレヨン1箱
だけ用意し、課題を与え、相談しながら絵を描かせていますが、昨年は「弁当
箱」でした。クレヨン1箱ということは、同じ色は2本ないことです。さあ、
どうすれば絵は完成するのでしょうか。
これは、本当に大変です。考えてください、全員、今日、初めて会ったのです。
幼稚園や保育園、幼児教室や近所の気心のわかりあった友だちではありません。
名前も性格も技量も趣味も、全く、わからない集りです。ですから、育てられ
ている環境が、姿を現します。
「自分のことは自分でしなさい!」
と、ご両親が自主性を培う育児に徹していれば、自分からやります。一丁しか
ない挟み、一本しかない黄色のクレヨン、どうすれば使えるかを考えます。
過保護、過干渉な育児では、自分の考えを言い、積極的に参加できるでしょう
か、できないと思いますね。学校側の狙いは、ここにあるのではないでしょう
か。
[お絵描き]
少し古い話でなんですが、ある年の幼稚舎の試験に、こういうのがありました。
教室に紙を貼ったイーゼルが立てかけてあり、その前に数種類の絵具が用意さ
れ、絵を描かせたのです。学校の狙いは、何でしょう。絵の巧拙でしょうか。
それはないと思います、挑戦する意欲だと思います。そうでしょう、4、5歳
の幼児が、イーゼルを使って絵を描く機会があるでしょうか。ほとんどの子ど
もは、「何だろう、これは?」となるに違いありません。新しいもの、未知な
るものに挑戦する意欲です。積極的に挑戦する子の好奇心は、旺盛です。これ
ですね。
体中から好奇心という触角を出して、うるさいほど知りたがるのが子どもです。
こういう子は、やります。筆につけすぎた絵具をボタボタ落としながらでも。
手や顔どころか、服まで絵具だらけになるかもしれませんが、幼稚舎の試験は、
体操着に着替えてしますから心配ありません。どうして、体操着に着替えるの
でしょうか、受験される方は、これを考えましょう。
ところで、「なぜ、イーゼルで絵を描かせたのですか」の質問に、「子どもの
表情を見たかったのです」とおっしゃった当時の舎長のコメントが印象に残っ
ています。なぜなら、一心に絵を描いている子ども達の表情は、実に生き生き
としているからです。知的能力だけではなく、身体全体から表われる子どもら
しい成長の証(あかし)を見ているのです。ここがポイントではないでしょう
か。
制作、絵画は、完成した作品の巧拙だけを見極めるのではありません。積極的
に楽しく取り組む意欲や共同で作業を進める協調性です。協調性は、社会性と
共に、大切な集団生活への適応力を育むものです。
ペーパーテストは満点を取っても、集団テストの苦手な子を、学校は歓迎する
とは考えにくいことです。社会性がどのくらい培われているか、子どもは態度
で示します。過保護、過干渉の環境では、意欲や集団生活への適応力に問題あ
りと判定されないでしょうか。
通っている幼稚園の先生や保育士さんに聞いてみましょう。「集団生活に、少
し心配な点がありますね」などの答があった場合は、「ものすごく心配な点が
ある」と受け取り、お子さんに対する育児の姿勢、取り巻く環境を総点検する
必要があります。
繰り返しますが、「ご両親の育児の姿勢」を総合的に判定するのが、小学校の
入学試験です。このことを、肝に銘じておくべきではないでしょうか。
(次回は、運動テストについてお話しましょう)
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>個別テスト
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「めぇでる教育研究所」発行
2018さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
(第21号)
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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■■[2]5つの試験形式■■
(2) 個別テスト
文字通り、先生と一対一、個別で行われるテストです。口頭試問と考えたらい
いでしょう。
しかし、幼児のことですから、言葉だけでは答え切れません。おはじきやプレ
ート、絵、時には本物や、それに近い物を使って出題され、おはじきを置いた
り、絵に指を差して答えたり、プレートで指示された形を作ったりします。学
校によっては、いくつもの部屋を回り、何人もの先生とお話しする場合もあり
ます。
この形式では、ペーパーテストと異なり、設問を聞き逃しても、「それまで!」、
ゲームセットとはなりません。勇気があればの話ですが、聞き直しができます。
幼児のテストは、こういった個別テストが適しているのではないでしょうか。
しかし、答える子ども達には、つらいことになります。口頭試問の場合、問題
を聞き、考え、言葉で答えるからです。ペーパーテストでは、答えがわからな
くても、適当に印をつけても正解になる場合もあります。時には、偶然が支配
する幸運もあります。個別テストには、それがなく、全部、自分でやらなけれ
ばなりません。育てられている環境そのものが、ズバリ顔を見せます。
育児が過保護や過干渉になっていると、親離れができていませんから困るでし
ょう。
「ママ、手伝って!」
「どうしたらいいの、ママ!」
そんなことを言っても、誰も手を貸してくれません。態度も、オドオドとして
落ち着きがないでしょう。
こういった子育てをしているお母さん方は、おくめんもなくおっしゃるそうで
す。
「私となら何でもできるのに。やっぱり、コネなんだわ!」
少し解説が必要ですね。その子は、お母さんと一緒であれば、何でもできる抜
群の能力の持ち主だそうです。しかし、試験を受けたのですが、合格しません
でした。ですから、落ちたのは成績ではなく、出身者ではないから、また、紹
介者、つまり、コネクションがないために、合格しなかったとおっしゃりたい
らしいのです。出身者だけを入学させたくても収容人員は限られていますし、
紹介者がいれば合格するのであれば、受験料を取ることは詐欺行為になります。
ですから、こういった怪情報は、単なる噂に過ぎません。
慶應義塾幼稚舎や青山学院初等部のホームページをご覧ください。「推薦状や
紹介状は必要ない」、「用意しても受け取らない」と公表しています。
小学校の入学試験の狙いは、お母さんのもとを離れて、「一人で、どれだけの
ことができるか」であり、頼りになるのは自分だけです。 こういうお母さん
方が、面接で、
「お子さんを育てるにあたって、どういったことに気をつけていますか」
と聞かれたとします。すると、お母さんが、格好よく、
「子どもの自主性を育てることに留意しています」
と答えたら、先生方は「……!?」となるでしょうね。
個別試験に対して、入学試験問題集を買い込んで試験に備えるのは、試験があ
る以上、やらねばなりませんが、子どもの発育状態、生まれ月、これを考えず
にやってしまうと、困ったことになりかねません。
例えば、一枚の絵を見て自分で話を作る問題があります、創作です。うまくで
きないと、お母さんが作った話を記憶させるようです。大人の考えた話や発想
は、大人のものですから、子どもは抵抗を感じるのではないでしょうか。うま
くでき過ぎているからです。それを覚えさせるそうですが、自分で考えたもの
ではなく、お母さんの創作ですから、ついていけません。そして、記憶させら
れた話は、忘れやすいものです。しかし、お母さんの前では、大丈夫なのです。
何回も繰り返し教え込まれるのですから、覚えるでしょう。
ところが、小学校の入学試験は、生まれて初めて入った場所で、初めて会った
先生のいうことを聞き、いろいろなことをしなければなりません。場所が変わ
り相手が変わると、うまくいかないものです。プレッシャーが、かかるからで
すね。大人の世界でもあるでしょう、ブルペン・エースです。練習では豪速球、
生きたボールを投げるのですが、マウンドに立つと平凡なボールを投げては、
ノックアウトされるピッチャーのことです。
さらに、問題集にある通りの絵が出てくる幸運は、ほとんどありません。たと
え幸運に恵まれても、先生は、お母さんに教えられたとおりに、聞いてくれる
保証もありません。同じような問題でも、ちょっとひねられると、それで、お
しまいです。先生方も、そこを見ていると思います。子ども自身の考えかどう
かですね。ですから、単に記憶させるだけでは駄目なのです。
ペーパーテストは、答えがあっていても、子ども自身の考えかどうか、わから
ない場合もあります。
個別テストは、ここが、はっきりとわかります。これが、いいですね。子ども
が自信を持って答えられるのは、日常生活で、きちんと体験していることです。
また、親の教育に対する姿勢も、はっきりと表れます。
「うちの子、引っ込み思案で、消極的だから、個別テストに向いていないわ」
とおっしゃるお母さんがいますが、子どもが好き好んでそうなったのではなく、
お母さんの育児の姿勢がそのまま表れているだけです。試験の形式だけで学校
を選ぶようでは、本末転倒な話で出発点から誤りです。
私学には、独自の建学の精神、教育理念があります。ご両親の教育に対する考
え方と、学校の教育方針に共通認識があり、限りなく近いことが、学校選びの
条件です。小学校の教育は、家庭と学校とお子さんの三人四脚で行われるもの
であり、決して忘れてはならないことです。
ところで、女の子で、一人っ子であると、消極的になりやすいものです。しか
し、過保護から身についた甘えん坊や、過干渉からなってしまった消極的な性
格から出る引っ込み思案とは、違います。一人っ子でも、自分でやるべきこと
を、きちんとさせているお母さんに育てられていると、一所懸命に取り組みま
す。わからない問題にぶつかっても、簡単にあきらめません。精一杯、挑戦し
たのですが、できなかったとしても、
「わかりません」
という顔に、悔しさこそあれ、明るいそうです。普段の生活が、そのまま出て
いるからです。失敗を恐れずに、一所懸命に考え、頑張り、挑戦する意欲のあ
る子に育てたいと考えているご両親の姿が、そこにあるからです。学校側の求
めている子は、こういう子です。自分で考えていることを、自分の言葉で話せ
る子です。
前にもお話しましたが、最近は、こういった問題が増えています。
◇机の上に半そでのYシャツと、近くの箱に500mlのペットボトルとプラスチ
ックのコップ
3個、黄色と赤色のリボンが入っている。
・Yシャツを着て、ボタンを留めましょう。
・箱からペットボトルを出し3個のコップに同じになるように水を入れまし
ょう。
・終わったらペットボトルに黄色いリボンでちょう結びをしましょう。
・最後にYシャツを脱いで、たたんでください。
基本的な生活習慣やしつけ、自立心までわかります。個別テストからは、子ど
もの生育史をみることができるのです。それが、ご両親の育児の姿勢であり、
学校側のいう「ご家庭の教育方針」です。こういったことを理解していないと、
ご両親が面接で、どんなに格好のいいことをいっても、そうでないことをお子
さんが、きちんと見せるものです。
個別テストでは、自立心や自律心がどの程度、培われているかもはっきりと表
れます。「自分の考えを言葉で表す」のは、幼い子ども達には、とても難しい
ことですが、基本は、ご両親との対話から培われるものです。「対話の反対は
沈黙ではなく、命令と強制です」とおっしゃったのは、立教小学校の元校長で
あった田中司先生で、ペーパーテストを廃止した方です。「こうしなさい」
「それはだめ」などと一方通行では、対話は成り立ちません。お子さんとの対
話を弾ませることから、言葉で考え、表現する力は培われます。
お子さんは、ご両親の目を見ながら楽しく話をしているでしょうか。
(次回は、集団テストについてお話しましょう)
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>ペーパーテスト 2
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「めぇでる教育研究所」発行
2018さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
(第20号)
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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■■[2]5つの試験形式■■
ペーパーテスト 2
正直にいって、この先生が恐いのです。
お母さんは、何とか力をつけようと夢中になってしまい、自分の言っているこ
と、やっていることが、わからなくなるようですね。たとえば、難易度の高い
「図形」の問題などで、子どもがよく理解できていないときに、こういったこ
とが起きがちです。お母さん自身は、説明したことでお子さんも理解できたと
思い、問題に取り組むのですができません。1回ぐらいの間違いは許容範囲で
すが、何回も同じ間違いが続くと、お母さんの顔つきも変わり、
「何回、教えたらわかるの!」
「こんな簡単な問題が、どうしてできないの!」
と、なりがちなのです。
幼児が「わからない」と言うときは、本当にわからない、理解できていないの
です。このことをしっかりと肝に銘じ、お母さんの説明が不十分であることを
考え、お子さんがわかるように工夫してあげることが大切で、お子さんを責め
るべきではありません。
また、昨日教えたことが、今日になるとできない場合もあります。それはお子
さん自身が経験していないことを、記憶だけに頼って憶えさせている場合が多
いからではないでしょうか。子どもは、興味や関心のないことをやっても、す
ぐに忘れがちなものです。
ですから、幼児は、机の上だけで知的な訓練をするのは、適切な方法ではあり
ません。お母さんのやり方が間違っています。それを棚に上げて、思わず子ど
もの頭を叩いてしまうお母さんもいるようですが、何も悪いことをしていない
にもかかわらず、いくらお腹を痛めたからといって、手を上げる権利は、母親
といえどもありません。子どものためにも言っておきたいことがあります。
お母さんの子どもの頃、どうだったかということです。冷静に聞いてください、
冷静に。
ここでおさまると、まだ、両者の歩み寄る機会は残されています。しかし、こ
の線を越えて、怒鳴り散らしてまで勉強を続けると、子どもも切れますが、耐
えるしかありません。お母さんに怒られることは、本当に辛いことなのです。
「ボク、本当にお母さんの子かな?」
こうなったらトラウマになりかねません。
昔は「子をもって知る親の恩」と言いましたが、最近では、受験準備に熱が入
りすぎると、「合格の二文字のために忘れる子どもの心」とも言われているよ
うです。わが子を虐待して殺してしまう、鬼のような親がいるご時勢です。訂
正、鬼もわが子を手にかけなかった話が残っていますから、畜生にも劣る人で
なしの親と言い換えますが、「受験を始めて忘れてしまう子どもの心」になる
ようでは、受験をする資格はないと考えましょう。先人の知恵でもある「三つ
子の魂百まで」を、絶対に忘れないでください。小さい時に経験したことで、
お子さんの性格は築かれていくからです。
子どもをプリント漬けにし、来る日も来る日も、毎日、何時間も、入試問題集
を広げ、猛練習をして力がついたと思うのは錯覚です。類似問題を数こなせば、
できるようになるでしょう。しかし、この方法は、一種の条件反射的なトレー
ニングです。これで考える力がつくでしょうか、疑問だと思います。行動観察
型のテストでは、対応できないでしょう。自ら考え、答えを導く力は、年月を
かけ、試行錯誤を積み重ねながらできたカリキュラムがあり、それをよく理解
している先生方の的確な指導のもとで身につくものなのだからです。
なぜ、このような受験準備が、行われてしまうのでしょうか。
例えば、幼稚舎に入れば、余程のことがない限り、大学まで行けます。子ども
の努力次第では、医学部へ進める可能性さえあります。子どもの将来のためと
考えるのも、無理からぬ親心です。
さらに、合格すれば、受験準備はこれっきりです。
場合によっては、中学、高校、大学と3回も受験戦争に参加させられる可能性
もあるわけですから。
「手のかからぬ内に入れてしまおう!」
このことです……。
思春期になり、難しい年齢になっての受験は、正直いって、しんどい話です。
身体は大人に近くなっても、精神年齢はそれ以下といったアンバランスな成長
をしている子、かなり見かけます。同じような大人も結構いますから、説得力
に欠けますけれど……。
さらにです。
年齢が下がれば下がるほど、能力の差は出にくいものです。ここで何とか手を
つくせば、志望校へ入学できるのではと考えるのも当然でしょう。しかし、厳
しい現実が控えています。お子さんの将来を案ずる親心は、どなたの心にも強
く、深く、ひそんでいます。ですから倍率は高くなり、10倍を越える学校も
あるほどです。
この現実を考えると、生半可な受験準備では、合格などありえないと考えるの
も無理からぬことで、かなりハードな受験準備が、待っていることになりがち
です。しかし、受験勉強をさせられる子どもの立場になると大変です。先にも
お話しましたように、何事もそうですが、過熱気味になると当事者は、自分の
やっていることが、わからなくなる仕組みになっています。「合格」の二文字
に、冷静さを失いがちですが、受験生のお母さん方全部が、こうなるわけでは
なく、ごく、一部のお母さん方であって、熱心すぎるだけで悪気はないのです。
こういう被害を子どもたちが受けないためにも、ペーパーテストのなくなるの
は、歓迎すべきことではないでしょうか。誤解されると困るので言っておきま
すが、「ペーパーテストが悪い」と言っているのではなく、「準備の仕方」に、
とかく問題がありがちだと言いたいのです。
また、ペーパーテストがないから問題集などやらなくてもいいと思っている方
がいると聞きますが、それはとんでもない間違いで、必ず、クリアしなければ
ならないハードルがあり、そのために問題集は必要です。問題に○や×をつけ
るだけではなく、行動観察型の試験のように、「どうしてそうなったか」など、
言葉で説明する口頭試問に対する準備です。
ところで、最近の入試問題を読むと、「家庭や幼稚園での生活能力があればで
きるテストを実施したい」と考える学校が増えているのは確かで、これは歓迎
すべきですね。
たとえば、部屋の一角にじゅうたんが敷いてあり、机の上に紙に包まれたお菓
子が置いてあって、ペットボトルに入った麦茶らしきものとコップが用意され、
「さぁ、おやつですよ」といった試験がありますが、チェックポイントは、以
下のようになっていると思います。
まず、靴を脱いで、キチンと揃えられるか。
お菓子を食べる前に、ハンカチで手の汚れをぬぐえるか。
包装紙でくるまれたお菓子を出すのにてこずらないか。
せんべいやクッキーであれば、ボロボロとこぼさないで食べられるか。
ペットボトルから、うまく麦茶をコップに注げるか。
「いただきます」、「ごちそうさま」を言えるか。
後片付けができるか。
みんな「……か」と、クエッション・マーク付きです。
これがテストです、何を評価しているのでしょうか。
さらに、この話をどう思われますか。
教育者、特に小学校の先生方は、見るところが違います。テストが始まると、
子どもたちの姿勢と筆記用具の持ち方を見るそうです。姿勢がよければ、ご両
親がよいお手本を見せており、筆記用具を正しく持てていれば、おはしをきち
んと持って食事をしているはずですから、育児の方針がわかるというのです。
テレビを付けっ放しで食事をし、ダラダラ時間をかけていると、直ぐに腰が砕
けて、姿勢も崩れがちです。これは、お父さんにも責任の一端、ありです。特
に、朝食です。テレビを見ながら、新聞を読みながら、ご飯を胃袋に流しこん
でいませんか。親が、お手本です。
これは、しつけ以前の基本的な生活習慣です。
ですから、直そうと思っても、直ぐにというわけにはいかないものです。食事
は毎日のことですから、おざなりにしていると、お子さんは学習の第一歩で苦
しむことになります。知識を詰め込むより、こういった生活習慣を大切に育て
ているお母さんは、お子さんから尊敬されます。
なぜなら、お母さんの手を借りずにできることは、子ども心にも嬉しいからで
す。間違いなく、「自分でやろうとする意欲」が育ちます。
ペーパーテストといっても、知的能力だけを判定しているのではありません。
受験生は、幼児です。
親の育児の姿勢を評価しています。
このことをきちんと心に納めておかなくては、合格の二文字はありえません。
机の上だけで、記憶に頼った知識の詰込みばかりやっていると、頭でっかちで、
偏った経験しかしていない子になりがちで、被害者は、言うまでもなく子ども
自身です。ペーパーテストが中心になっている学校を受験される場合は、こう
いった結果が残るような準備だけは、避けてほしいと願っています。
これからの毎日の体験は、お子さんの心に残ることを忘れないでいただきたい
のです。
年中から年長にかけては、将来の学習意欲も培われていく大切な時であり、人
格を形成する重要な時期でもあるからです。「三つ子の魂百まで」は英語で、
“The leopard cannot change his spots” (豹は斑点を変えることはできない)
というそうですが、洋の東西を問わず育児の鉄則ではないでしょうか。
(次回は、個別テストについてお話しましょう)
さわやかお受験のススメ<小学校受験編>ペーパーテスト 1
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「めぇでる教育研究所」発行
2018さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
(第19号)
現年中児のお子さまをお持ちの小学校受験をお考えの皆様を応援します!!
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■■[2]5つの試験形式■■
ペーパーテスト 1
有名小学校の入学試験は、5つの試験形式から構成されています。
1 ペーパーテスト
2 個別テスト
3 集団テスト
4 運動テスト
5 面接テスト
昔は、ペーパーテストだけの小学校もありましたが、今は、ありません。
逆に、ペーパーテストを廃止した小学校もあります。
個別テストのない小学校もあります。
5つ、全部やってしまう小学校もあります。
面接テストをやっていない小学校もあり、いろいろです。
推薦状と面接だけの学校もあります。
それは、私立の小学校ですから、「建学の精神」や「教育方針」に、いろいろ
な特徴があり、それによって教育が行われていますから、試験にも、その学校
独自の自前のカラーがあって、当然なのです。
しかし、どこの学校も知的な能力だけで、合否の判定をしているわけではあり
ません。育児の集大成、まだ中間報告ですが、そこを見ているのです。その集
大成を判定する5つのテスト形式について具体的にお話しましょう。
1.ペーパーテスト
20人から30人程のグループで、オーディオの音声や動画、または口頭での
説明を聞きながら、一斉に答える筆記テストです。皆さん方も経験済みの、お
馴染みのテスト形式です。しかし、これは大変です。
幼児は、原則として、文字を読めないし書けません。ですから、プリントのど
こを見ても、文字で書かれた設問は、ありません。おかしな話ですが、絵や図
形などを使いダミーも含めて、全部、答えが描かれています。そして説明を聞
いて、用意された筆記用具を使い、○や△、□や×などの記号を書いたり、線
を引いたり、色を塗って答えるわけです。
「常識の領域」に、こんな問題があります。
B4判の大きさのプリントに、門松や節分、七夕、七五三、クリスマスといっ
た四季を代表する行事が描かれていて、解答はクレヨンを使いなさいと指示が
あり、
「春の仲間にはピンク色で○を、夏の仲間には青色で△をつけなさい」
といったコメントが、スピーカーから流れてきます。
これが、設問です。
一回きりで、後は、静かに時は流れるだけです。
当然、時間は限られています。30秒ぐらいで解答します。
「春は、○だったかな?」
などと悩んでいたら駄目です、そんな余裕はありません。
「何かいっていたな?」
などとぼんやりしていると、最悪の状態になってしまいます。
設問を聞き逃せば、それでおしまい、ゲームセットです。
設問は、どこにも書かれていないからです。
前にもお話ししましたが、中学、高校、大学の試験のように、わからない問題
は飛ばしておいて、
「後でやろう!」といったことは、絶対にできません。
そういったことを考えれば、いちばん厳しい条件の試験ではないでしょうか。
指示を正確に聞き取り、できるだけ速やかに解答しなければ得点になりません。
こんなことはないと思いますが、その時に、ちょっと耳がかゆいと気を散らし
たら、それまでです。時間がくれば、次の問題に移りますから、まさに「待っ
たなし」なのです。
さらに、テストが始まると同時に、普段の生活習慣やしつけなど育児の姿勢が
わかります。話を静かに聞く姿勢が身についているか、筆記用具を正しく持っ
ているかなど、いろいろな様子が表れるからです。先程お話した「育児の集大
成」です。単に、常識や記憶力を見ているのではありません。こう考えると、
問題集だけやって「受験準備、こと足れり」とはならないことを、ご理解いた
だけるのではないでしょうか。
ところで、ペーパーテストに問題点はないのでしょうか。
ペーパーテストのメリットは、子どものあらゆる能力を判定することはできま
せんが、ある面は確実に評価できることでしょう。しかも手っ取り早いし、試
験官の数も少なくて済みますし、ペーパーに答えが残りますから判定も公平で
す。ですから、ペーパーテストを行う小学校が多いわけです。誤解を招くと困
りますから断っておきますが、他の試験は不公平というのではありません。
先程もお話しましたが、ペーパーテストだけを実施している小学校はなくなり
ました。かつて、ペーパーテストだけを実施していた立教小学校は、現在では
ペーパーテストを廃止し、運動テストや制作に加え、ここ数年、シャイな男の
子の苦手な「ダンス」まで取り入れています。なぜでしょうか。
以前にお話しましたが、ペーパーテストだけでは、社会性や協調性、自主性、
基本的な生活習慣やしつけなどは判定できないからです。逆に、知的能力だけ
が高い、偏った経験を持つ子の集団になる可能性もあるからです。
あるミッション系の学校の説明会で、こういった話を聞いたことがありました。
ペーパーテストの結果に従って、高得点者から順番に合格者を選んだところ、
早生れの子どもが少なくなり、翌年から生年月日順に切り替えたそうです。当
然でしょうね。4月2日生まれと翌年の4月1日生まれは、学年が一緒です。
1年間の差がありますから、早生れの子には、ハンディキャップになります。
生年月日順は、その配慮があるわけです。願書の受付順や五十音別に受験番号
をつける場合は、年齢の配慮はありません。
初めて、「年齢への配慮をしている」と公表したのは、桐朋小学校ではなかっ
たでしょうか。確か「統計的な処理をしている」と年刊雑誌「桐朋教育」で読
んだ記憶があります。しかし、今では、多くの小学校で月齢への配慮をしてい
ると言っていますから、早生れのお子さんも心配はありませんが、桐蔭学園小
学部のように「募集人員 第1回 男女約95名 第2回 男女約15名」
(平成28年11月1日現在)といった場合は、男女を問わず、成績順に合格
を決めますから、注意が必要です。説明会へ参加し、きちんと確かめておきま
しょう。
もう一つ問題があります。
それは、ペーパーテストの対策、受験準備、これが過激になりがちなことです。
試験の難易度が高く、生半可な準備では、とてもクリアできない小学校もあり
ます。きちんとしたカリキュラムのもとに指導を受けているお子さんは、心配
ないでしょうが、少し気になる話を耳にします。幼児教室や塾を掛け持ちする
子もいるようです。指導方針が違っていれば、お子さんは混乱するだけです。
たとえば、こんなことはないと信じていますが、数を数える問題で、A教室で
は「線などを引かないで数える」と教わり、B塾では「線を引いて数える」とい
ったように、全く相反する数え方を教われば、迷ってしまうのはお子さんです。
皆さん方は、どちらが正しい指導方法だと思いますか。
たくさん受けさせれば効果があるとでも考えているとすれば、それは大きな間
違いです。そういったお母さん方は、うわさにも弱いようで、親子で受験地獄
に陥りがちです。受験地獄など、あるわけはないのですが……。
家に帰ると、お母さんが先生です。最近は、お父さんが力を入れている家庭も
増えてきました。 このことです……。ペーパーテストに対する過激な受験準
備、ここに問題があるようです。
次回は、「ペーパーテスト2」についてお話しましょう。
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