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めぇでるコラム 5ページ目
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>学校説明会で確かな情報を(3)
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「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
年長児のお子様をお持ちの方々へ
2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
<第46号>
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[入試情報]
雙葉小学校説明会
日 時 7月19日(金)、20日(土)
場 所 雙葉小学校
申 込 6月17日(月)午前10時から申し込みサイトよりお申し込みください。
詳しくはホームページをご覧ください。
学校説明会で確かな情報を (3)
★紹介したい説明会でのエピソード(2)
東日本大震災を受け、平成24年の49回目のメルマガでは、「説明会速報 立教小学校(6月9日)」で次の話を紹介していました。いずれは、いわゆるコロナ禍に関するエピソードが出てくるかもしれませんね。
震災に対していろいろと対応を考えている。
校舎は古いが理論上は震度7に耐えられる建物、震度5以上の予知情報が校内に流れるようになっている。
乾パン二千食、水や毛布の備蓄もあり、グランドの奥にある水車小屋の下には井戸があり水は豊富。立教大学が通勤難民四千人あまりを収容、乾パンを配り、学生食堂では炊き出しをした。
池袋周辺にいれば安全を確保できるので心配いただくことはない。現在、停電になっても発信できる緊急メールを準備している。
池袋周辺にいれば安全を確保できるので心配いただくことはない。現在、停電になっても発信できる緊急メールを準備している。
大学院には放射線物理学科の専門の先生がいて、給食の食材、水道水の放射能値を測定するなど、学院の組織的なバックアップもあるので安心できる体制にある。
(緊急メールは、現在完備されている)
その立教小学校も、立教学院創立150周年記念事業の一環として新校舎が建築されることとなりました。利用開始は2027年です。
さて、説明会へお子さんを連れてこないでほしいと明言している学校もありますが、そういった条件がある場合は別として、お子さんを会場へ連れていかなければならない事情のある方もいます。1時間から2時間ほどかかる学校もありますから、子どもは退屈します。
ある学校の説明会、体育館で行われたため、後ろの所に子ども達が遊べるような空間があったのです。そこで、子ども達が走り回りはじめました。うるさいのですが、親が注意をしません。
見かねた校長先生が、
「元気な子と不作法な子は違います」
とおっしゃったのですが、それでも注意する親が現われません。学校の教育方針と違うことをやっているにもかかわらず……、もっとも、出るに出られなくなってしまったのかも知れません。
これは、その逆の話ですが、赤ちゃんを胸に抱いたお母さんが、会場の外の廊下で立ったまま話を聞いていました。恥ずかしい話ですが、「遅刻しないように」などとおこがましくもアドバイスしている私自身が、渋滞に巻き込まれ5分ばかり遅刻したことで、偶然、この光景に出会ったのでした。先生との話の様子から、会場へ入るようにすすめられても、辞退しているようでした。終わって廊下に出た時、何と同じ所にお母さんがいるではありませんか。約1時間半、大変だったと思います。この学校の教育方針は、「心身ともに強く、心のやさしい子」の育成です。お母さんは、出身者ではなかったでしょうか。
この話も、機会があれば、必ず、紹介することにしています。
育児ないないづくし
暖房きかせて寒さがない 冷房きかせて暑さがない
おやつが過ぎて空腹がない 歩かせないので疲れがない
おもちゃのやり過ぎで興味がない テレビの見過ぎで考えない
何でもホイホイ我慢がない 点数以外に関心がない
わかっているけど行わない これではまともに育たない
育児を「育自」と置き換えて、育児を通して育自するお母さんを求めます。
こうおっしゃっていました。
育自は誤植ではありません、自らを育てることです。「育児を通して育自するお母さんになりましょう」と何やら偉そうに私は言っていますが、種を明かせば、その根拠はここにあるのです笑)。
次の話は、あるミッション系の学校で伺った話です。
母親の学歴が高くなる一方で、育児が下手になっているといわれています。核家族化、少子化の進む環境のもとでの育児ですから、決して母親だけの責任ではありません。バブル経済全盛期の頃に聞いた話ですから、かなり昔のことになりますが、今でも考えさせられてしまいます。子どもを取り巻く環境は、あまり変わっていないどころか、むしろ悪くなっていると思われるからです。
文言は正確ではありませんが、以下のような話でした。
現代の価値観は多様化したとはいえ、世界各国のシスターから、日本人といえば、商売に道徳は無用とばかりに、自己の利益だけを求めるイメージが強くなるばかりと聞かされています。その歪みを正すのが教育に携わる私たちの使命です。教育が、こうまで荒廃した原因は、あまりにも豊かになり過ぎ、お金が評価の基準になって、そこには精神的な絆がないからです。教育の危機は、心を大切にしないことから発しています。
学卒のママが多くなる一方で、いたわり合う心、思いやりの心を持った子が少なくなっているのはなぜでしょう。それは、心を育てるより知識を与えることに夢中になっているからです。無理に知識を詰め込もうとすると 過干渉になりがちで、素直な感情を押さえつけ、その結果、子どもの心は屈折してしまうのです。
30年以上前になりますが、すでに過保護、過干渉な育児の弊害を指摘しています。これは小学校受験だけではなく、早期教育や稽古事にもいえるのではないでしょうか。子どもが、あることを学習するために、ふさわしい成長をしていない状態で、いろいろなことを詰め込むのは、幼児に適した教育とはいえません。
では、幼児期にふさわしい教育とはどういうものでしょうか。
立教小学校の田中司元校長の話を、文言は正確ではありませんが紹介しましょう。
0歳から6歳までの幼児期は、人間の一生でいちばん大切な時期です。最も大切なのは、対話です。子どものいうことをよく聞き、やりたいことをしっかりとつかむことです。親がしっかりと聞いてくれ、受けとめてくれることで、子どもは安心感を持ちます。人間にとって安心感ほど大切なものはありません。対話の反対は沈黙ではなく、命令と要求です。家庭内で対話が成立する、これが育児でいちばん大切だと思います。
次は、本の読み聞かせです。現代の情報は映像で入ってきます。
映像は視覚と聴覚を通して、瞬時にわかる反面、頭の中でイメージを作る想像性が欠如していく気がします。読み聞かせをする母親の、話しかける父親の言葉を聞きながら情景や動物、人間の姿を思い浮べることが、人間にとっていちばん重要な能力だと思います。イメージする力を育てることは、文学的な分野と考えがちですが、自然科学的な発想は、少ないデータをもとに発展させ、それぞれの世界をイメージすることでできたわけです。
分子や原子は、どんな格好をしているか、太陽はどんな姿をし、宇宙はどのようになっているか見た者はいません。わずかな情報から科学者が創ったイメージの世界です。読み聞かせは、子どものイメージする力を育てるとともに、子どもの世界を一緒に楽しむ豊かな時間でもあるのです。
3番目は、ご家庭の中に自然を楽しむ文化をもってほしいのです。神様が創った自然の美しさ、素晴らしさにかなうものを、人間は作っていないと思います。気をつけないと、人間が作ったものだけに囲まれて生活することが可能な時代になりました。土を踏んだことのない子もいます。土、石、葉っぱ、虫、砂といった地球を作っていく素材を、子どもが肌で感じることが大切です。休日に、森や海岸、川原や野原へ、弁当とシートを持って出かけ、自然って美しいな、風って気持ちがいいぞ、葉っぱはきれいだ、石ころにはいろんな形があって面白いな、何もプログラムを作らずに、ゆったりと、そこにいるだけで素晴らしい、そういう自然の楽しみ方、それは非常に高い文化ではないかと思います。
対話、読み聞かせ、自然を楽しむ文化、考えさせられることばかりですが、特にお母さん方は、「対話と読み聞かせ」については、ついこの間までキチンと実行していたはずです。
お子さんの赤ちゃん時代です。
何もわからない乳飲み子に、一所懸命、話しかけませんでしたか。
赤ちゃん言葉を懸命に理解しようとしませんでしたか。
こういった姿は、無償のほほ笑みと共に、この世で最も美しい姿といわれています。
ところが、受験準備に夢中になりすぎると、「命令と要求」の日々になりがちです。でも今は、大丈夫なのです。心配なのは、夏休み以降です。
ちなみに、田中元校長が就任した年から、立教小学校はペーパーテストを廃止しました。
男の子の多くが苦手とする、音楽に合わせて体を動かすテストがあり、思わず笑ってしまいましたね。照れ屋で気が弱く繊細な神経の子が多いからです。運動会で楽しくダンスをしているのは女の子ではないでしょうか。お父さん方も何やら照れくさそうに踊っていますね(笑)。
2021年度から校長に就任した田代校長が副校長の時には、脳科学者の話を例に、18歳を超えると脳の成長の差はなくなるが、それまでは女子の成長が速いので、小中高が別学で、大学は共学が理想的な教育環境、「手前みそながら」と自慢されており、なるほどと納得できました。別学が禁止されていたアメリカでは、2006年に法が改正され、公立の学校でも別学を選択できるようになっているそうです。
最後に、平成9年6月に、白百合学園幼稚園が、創立以来、初めて説明会を開催したときにうかがった話を紹介しましょう。幼稚園を受験されるお母さん方への話ですが、小学校の受験も、基本的には同じことだからです。
あいにくの雨の中、熱心なお母さん方が、およそ500名、幼稚園のプレイルームは、立錐の余地なしといった状態でした。(第2回目以降は、学園内の講堂で行われていますから、園舎に入るという貴重な経験をしました!) 校訓である三訓、「従順、勤勉、愛徳」の説明、モンテッソーリ教育の目的、敏感期、縦割り保育のメリットを話された後に、幼稚園側が望む子ども像について、次のように話されたのでした。
私どもの希望しておりますのは、小さいときから、入園テストですとか、面接テストを受け訓練された子ではなく、むしろ日常の生活の中で、特に、お父さま、お母さまの、生きたお手本の中で育てられたお子さま方、それから年齢相応に基本的な生活習慣が、これは、まだ完全にできませんから、ある程度、身についているお子さま、明るく、素直で、いきいきしたお子さま、そういう子ども達を期待しております。
いかがでしょうか。
「お父さま、お母さまの生きたお手本の中で育てられたお子さま方」云々は、幼稚園、小学校の受験は、まだ、中間報告ですが、お子さんを通して、ご両親の育児の集大成を判定しているということです。
ところで、小学校の受験は、「はじめにご両親の育児の方針ありき」とお話しましたが、その根拠となっている話を紹介しましょう。残念ながら、今では手に入りませんが、慶應義塾幼稚舎が願書に同封していた小冊子「第一学年入学志願者心得 入学受験について」に書いてあったことです。
甚だ当たり前のことであるが、子供は手塩にかけて育てるものである。「両親が手塩にかけて、心を尽くして育ててきた我が子を、受け取らない学校があるなら、行かなくても一向に差し支えない」というように考えられないものであろうか
学校説明会は、建学の精神や教育理念を話すだけではなく、こういった育児についての話があることから、小学校の受験は、ご両親の育児の姿勢が問われていることが、おわかりいただけたと思います。
問題集だけを頼りにし、机の上だけで受験準備はできません。子どもは、ご両親の作った環境で育っていきます。基本的な生活習慣やあいさつ、言葉遣い、運動能力といったものは、ご家庭できちんとやっていかなければ、幼児教室や塾などで、受験に必要なノウハウの指導を受けても身につかないでしょう。
だらだらと食事をし、衣服の着脱ができないようでは、暁星小学校のような俊敏性を求めるテストに対応できません。
すぐ疲れておんぶをせがむようでは、筑波大学附属小学校や昭和学院小学校のような熊歩き(四足歩き)をやれといってもできないでしょう。
自立心や意欲が培われていないと、かつての白百合学園小学校のように立ったままで試験を受けることも難しいのではないでしょうか。
過保護になっていれば、話を理解し、素早く、積極的に取り組まなければならない幼稚舎のような、行動観察型の試験をクリアできるとは考えにくいことです。
学校側が試験を通して知りたいのは、「知育、徳育、体育の三つの能力が、就学前の子どもにふさわしく、バランスよく培われているか」であり、知的な能力だけを判定しているのではありません。こういった能力を育み、意欲のある子に育てるのはご両親であり、試験を受けるのはお子さん自身ですが、判定されているのはご両親であることを、納得いただけたのではないでしょうか。
数々のエピソードは、以前にもお話ししました「心を鍛える賢い子どもの育て方」などから一部を紹介したものです。説明会への参加とは別に、各校のホームページや学校案内のパンフレットだけでなく、こういった書籍なども前もってお読み頂き、万全の態勢で秋に向かってほしいと願っています。
めぇでる教育研究所のホームページ、「出版物・問題集のご案内」もご覧ください。
(次回は、「よくある質問」についてお話しましょう)
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2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第八章(2)何にもないのかな 水無月
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「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-第29号-
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第八章 (2) 何にもないのかな 水 無 月
★★しみじみとうまいにぎり飯★★
日本人に生まれてよかったなと思うことはたくさんありますが、米の飯を食べられるのも、その一つです。米の飯ほどうまいものはありません。寿司や鰻重、すき焼きなどでは、魚や鰻、肉が主役になり、称賛を浴びがちですが、どっこい、縁の下の力持ちは、何といっても「ご飯」です。米が、まずけりゃ話になりません。トロだろうが、天然物だろうが、霜降りだろうが、米に袖にされたら、もういけません。やっぱり、米は偉い。
しかし、何と言ってもしみじみと米のうまさがわかるのは、「にぎり飯」ではないでしょうか。
炊きたてのご飯を、手につけた塩で握り、海苔をまいて食べる。中身は、梅干しやかつお節があれば、もう、それで十分。こんなに簡単で、安く出来上がり、満腹感を味わえる食べ物は、他にあるでしょうか。にぎり飯、というよりは、「おにぎり」の方がふさわしいかもしれませんが、このおにぎりには、忘れがたい思い出がしみ込んでいます。
何事も便利になった現代ですが、便利になりすぎると、失うものも出てきます。
このことを考えるべきではないでしょうか。
何事も工夫しなくなると、受け身になりがちです。コンビニやスーパーなどで売っているおにぎりを、子どもに食べさせるのも考えものです。
お母さんやお父さんの手作りだからこそ、「おにぎり」であり美味いのです。
手作りだからこそ愛情が伝わるのではないでしょうか。
ちなみに、東日本では「おむすび」、西日本では「おにぎり」と呼ばれていたそうですが、コンビニのCMの影響もあり「おにぎり」優勢のように感じます。
さて、おにぎりの主役であるお米はいつから日本の主食になったのでしょうか。
稲はもともと中国南部の山岳地帯で生まれたとされています。そこから北へ広がったものが、現在の日本で食べられているお米の短粒種“ジャポニカ米”です。“ジャポニカ米”は縄文時代後期に中国から北九州に伝わり、そこから長い年月をかけ、明治時代になりやっと北海道まで伝わりました。ということは、お米が日本全国で主食になったのは、今からおよそ140年前、明治時代からだったのです。5月は田植えの季節です。美味しいお米ができる秋が楽しみですね。
(平成25年5月時の「聖徳大学附属小学校のホームページ」より)
ところで、小学校入学後のことで気になる給食・お弁当問題。
時代の流れで、お弁当持参だった学校も注文弁当や給食を導入する学校が増えてきました。
とは言え、弁当は、おふくろの味です。
おふくろの味は真心であり、世界に一つしかない専用のレストランで調理され、しかも好みに合う美味しいメニューしかありません。その弁当ですが、やはり、ご飯ですね(笑)。
手間はかかりますが、機会を見つけてはお弁当を食べさせてあげたいものです。
★★衣替え★★
幼稚園児から学生さん、お父さん方のスーツまで、見事に様変わりする衣替えは、ご存知のごとく6月1日と10月1日です。
衣替えの起こりは、宮中の行事として始まったもので、平安朝では、旧暦の4月1日と10月1日に行われていましたが、室町時代から複雑になり、江戸時代のお武家さんの世界では、何と年4回も衣替えをしていたのです。
4月1日から5月4日までと9月1日から9月8日までは袷(あわせ-裏地のついた着物)、
5月5日から8月末日までは帷子(かたびら-裏地のない単衣仕立ての着物)、
9月9日から3月末日までは綿入れ(表布と裏布の間に綿を入れた着物)を着るように定められていました。
冷暖房の施設もなかった時代ですから、衣替えで対処するのが生活の知恵だったのでしょう。
現在のようになったのは明治以降で、学校や官公庁、銀行やデパートなど制服を着る業界では、この日を境に冬装束から夏装束に改めます。
かつては、夏服に変わると、梅雨の湿った陽気にうんざりする心に、さわやかな涼風を肌に送り10月には冬服に着替え、やってくる冬将軍に備えて気を引き締めたものですが、今は、通勤、通学も冷暖房完備の電車ですし、家に帰ればクーラー、ヒーターと至れり尽くせりですから、ファッションとしての要素が強くなっているのではないでしょうか。
ところで、この衣替えには、衣類を虫やかびから守る大切な仕事が待ち受けています。お子さまに、お手伝いをさせましょう。常にクローゼットで対応できるご家庭でも敢えて「防虫剤を入れて、収納する」という体験をさせてあげましょう。小さいときから、このような季節を肌で感じることができる仕事は貴重です。整理整頓を苦手とする大人が増えているようですが、その原因は、幼児期の体験の差にあるのではないでしょうか。
衣類だけではなく、部屋の模様替えも一緒にやって、気分転換をしてみるのもいいですね。子ども心にも、親の手伝いをするのはうれしいものです。そして、何よりの収穫は、特にお母さんがこういった家事を、笑顔でテキパキと片付けていく姿を見て、子ども達はたくさんのことを学んでいます。「子は親の背を見て育つ」は、まさに名言ではないでしょうか。
以前に紹介した、世界的なベストセラーにもなったドロシー・ロー・ノルトの「子どもが育つ魔法の言葉」を思い出してください。この本こそ、親になる前に私が出会いたかった数々の著書の一冊です。
この時期、不安定な気候が続くことがあります。そして梅雨。
そんな時、お母さんの笑顔こそ、うっとうしい季節を乗り越える清涼剤であることを、忘れないでほしいですね。お父さんの笑顔もですが(笑)。
(次回は「父の日、その他」についてお話しましょう)
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、制作したものです】
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>学校説明会で確かな情報を(2)
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「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
年長児のお子様をお持ちの方々へ
2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
<第45号>
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学校説明会で確かな情報を (2)
★説明会情報★
昭和学院小学校
2024年度オープンスクール日程
第1回オープンスクール・学校説明会 5月18日(土)
第2回オープンスクール・学校説明会 6月12日(水)
第3回ナイト学校説明会 7月12日(金)
第4回オープンスクール・入試説明会 9月 7日(土)
第5回オープンスクール・入試報告会 1月18日(土)
運動会 5月25日(土)
体験教室(年長児のみ定員160名) 6月29日(土)
学芸発表会 10月 5日(土)
紹介したい説明会でのエピソード(1)
施設見学会をしているときに、「?」といったものに出会うときがあります。
例えば、
学習院初等科の入試説明会は四谷の初等科で行われますが、体育館へ渡る廊下は道路の下を貫通させたものですから、かなりの勾配になっており、しかも狭いため、「おさない・かけない・しゃべらない・もどらない」と混乱をさけるために4つの約束の語頭をつなげた「おかしもの約束」の標語が掲げられています。これは阪神・淡路大震災以後、消防庁による教育安全指導のガイドラインに紹介されたことから、防災教育の標語として全国に普及したもので、当初は「おはし(おかし)」(「は」は走らない)だったが、津波による避難の原則でもある「戻らない」が追加されたそうです。 (synodos.jp/fukkou/10522 より)
かつて早稲田実業学校初等部のホームページにも「おかしもの約束を守り、警察署、消防署の協力のもとに、子ども達が安全に避難できるように指導している」と出ていました。
沖縄のとよみ小学校では「おかしもちの約束」があり、「ち」は「近づかない」だそうですが、海に囲まれているだけに切実な思いが伝わってきます。
自然災害だけは、何とか穏便に願いたいものですが、同時に、その時はどうすればよいか、子ども自身でできることは、普段からきちんと教えておく、これも親の大切な仕事です。
さて、今回からエピソードについてお話しますが、何と言っても四ツ谷の雙葉小学校の説明会ですね。
開催されたのは、昭和61年9とかなり昔のことになりますが、とても参考になるので、お付き合いください。
やめていた説明会を再開した理由は、妙なうわさを学校側が否定することにあったのです。
以来、平成元年まで続け、その後、実施していませんでしたが、同18年から再開されました。コロナ禍はオンラインでの説明会でしたが、今では学校での開催に戻っています。
さて、再開された時のことですが、「何か不祥事があったのでは!」と危惧していたのですが、大勢の人々を収容する施設がなかったのが直接の理由で、新しく講堂ができたために再開したとのことでした。
話を戻しましょう。
うわさといったものが、どういうものであるかを明白にしてくれた説明会でしたから、当時のメモを紹介しましょう。
雙葉小学校説明会
日 時 昭和61年9月26日(金)
場 所 小学校ホール 5階 参加者 約500名
およそ10年ぶりに再開された説明会でもあり、5階のホールは超満員で熱気にあふれていました。
入学定員に対して多数の応募者があるため、心ならずもテストを行っている事情を説明され、テストに関しては、特別に勉強しなくてもできる問題を作っており、総合的に判断して知能点だけではなく、「子どもらしく、一所懸命に頑張る意欲のあるお子さん、コツコツ努力をするお子さん」を求めており、内向的な性格でも頑張るお子さんであれば歓迎すると、雙葉小学校の求める子ども像について、具体的に話されました。
ついで、悪質なうわさが広まっていることに関して、雙葉学園はミッション系の学校であり、キリストの精神に反するような不正入学が許されるわけがないと明言された後に、
(1)受験と宗教は別問題で、僧侶の娘さんも入学している。
(2)学校関係者の紹介がないと不利とは、単なるうわさ。紹介者を通して面会することはあるが、それが考査に有利になることはない。
(3)お金を積むと入れるという裏口入学は、これもまったくの嘘。正規のお金(考査料)以外は、一銭も受け取らない。合格を発表する前に、考査料以外、頂くことはない。
この三点について強調され、つまらぬうわさに惑わされないようにとの注意がありました。
また、大学への進学率が高いことから、小学校の時に入れておけばと考える方が多いのですが、授業に関して特別なカリキュラムはなく、たまたま、そのような結果が出ているだけですから、進学校とお考えにならないでくださいと述べられました。
(この件については、毎年、説明会で力説されていますし、入学されたほとんどのお母さん方も「のんびりとした学校です」とおっしゃっています。)
なお、登校時間は、年間を通して午前8時15分、四ツ谷駅のラッシュアワーは8時からで、その時間に通学できるかどうか、慎重に考えてくださいとのことでした。
裏口入学を策したお母さんが不合格になり、「どうなっているのか!」と、直接、学校へ電話をしたことから事件が発覚し、驚いた学校側が事実無根と否定するための説明会でもあったのです。
当時のうわさとして、
「どこそこの神父さんの紹介状がなければダメ」
「信者の娘さん、絶対有利」
「合否は親の職業で決まり」
などがありましたが、今でも根強く残っているようです。
再開された説明会でも、うわさに過ぎないと否定されました。
うわさは、単なるうわさに過ぎないと、惑わされない強い信念を持つことも大切です。
それを支えるのはお父さんの役目ですから、きちんとサポートしてください。
お母さん方は、こういったうわさを信じてしまうくらい一所懸命になっていることがあります。
ちなみに、校庭の一角には、幼稚園、小学校に在籍されてから聖心女子学院へ進まれた上皇后美智子さまが、ご成婚(昭和34年4月10日)前に来校され、記念樹として贈られたメタセコイヤの苗木3本の内1本が、修道院の裏側に中高の校舎と頭を並べるほど成長した姿を見ることができます。
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平成13年に白百合学園小学校が、創立以来、初めての説明会を開催したときも、何か不祥事があったのではと思いましたが、そういったことはなく、受験されるご父母の強い要望によりとのことでした。
平成25年まで学校見学会だけ行っていた横浜雙葉小学校は、26年から説明会を再開しましたが、これは昭和60年代に開催していたときにうかがった話です。
本校の入学試験は、「一日体験入学方式」ともいわれ、昼休みにお弁当を食べる時間が設けられていました。文言は正確ではありませんが、話の内容を再現すると、こうなるのです。
「お弁当は、いつもお母さんが作ってくれるのですか」
「ウウン、今日は特別なの」
「そうですか、それでは、おいしいでしょうね」
「ウン、でも、残しちゃダメといわれたの」
「どうしてですか」
「残すと点数が悪くなるから」
「……?」
残すと、どうして減点されるのでしょうか。
初めて来た所で、知らない子どもばかりの中で食べるのですから、緊張して残す子もいるかもしれません。
それよりも、弁当を食べることで、子ども達はいろいろなサインを出していると思います。
ご家庭の教育方針がどうなっているのか、これほどわかりやすいものはないでしょう。
食事は三度のことですから、絶対に、つけ焼刃はききません。
基本的な生活習慣が、きちんと身についているかを判定することも、小学校の入学試験では、大切なポイントだからです。
学校側が見たいのは、
「集団生活の中で、子どもはどうあるべきかを、親がしっかりと考えて、やさしく、あるいは厳しくしつけることを、ご両親の責任において教育しているかどうか」
ではないでしょうか。
今の話と似ていますが、以前、紹介しましたが大切なことですから繰り返します。
国立市にある桐朋学園小学校の説明会で、当時の校長であった鈴村先生が、たまたま会場に現われ、こういった話をされたのです。
本校は、仙川にある姉妹校、桐朋小学校と同様、面接をやっていませんが、その理由として、
「親御さんに『趣味は何ですか』とお尋ねしても、本当は、競輪、競馬が大好きでも『読書と音楽鑑賞です』と取り繕うでしょう。でも、私どもでは、お子さんを二日間預かりますから、どういった育児をなさっているかわかります。ですから、私どもは面接をしません」
と、例によって文言は正確ではありませんが、こうおっしゃったのです。
試験を受けているのはお子さんですが、判定されているのはご両親であることが、よくわかる話ではないでしょうか。
(次回は、「学校説明会で確かな情報を (3)」についてお話しましょう)
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2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第八章(1)何にもないのかな 水無月
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「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-第28号-
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第八章 (1) 何にもないのかな 水 無 月
暦の上では、6月から夏です。夏の読み方は、「暑(あつ)」の転化したものといわれていますが、他にも「生(な)る」「暑(ねつ)」などの転化したものという説もあるそうです。
水無月(みなづき)のいわれは、たくさんあります。
旧暦6月は、梅雨も終わり、炎天下の酷暑の季節に入り、文字通り、水もかれつきるという説と、逆に、田植えも終わり、田に水を張る月「水張り月」「水月」からきた説、また、農家のもっとも重要なイベントでもあった田植えが終わったことから「皆仕月(みなしつき)」「皆月(みなつき)」からきた説、そして、雷が多い季節から「かみなり月」の「か」と「り」をとり、「みな月」という説もあるそうです。最後の「ゴロ合わせ」ではなく「語呂合わせ」がおかしいですね。
★★大切な田植えの時です★★
6月といったら、「何といっても……」というものがありません。
毎日、雨が降り、むし暑くて、うっとうしい梅雨です。
この梅雨のいわれですが、梅の実が熟する頃に降る雨から梅雨、湿っぽくて黴(かび)が生えやすい気候から黴雨、この他に梅雨を「つゆ」と読む場合もあります。しとしとと降る雨が、木々の梢や葉にまとわりつき、露となって落ちていく様子から“つゆ”とも呼ばれたのではないかと私流に思い込み、趣のある言葉で好きなのですが、諸説があって本当のことはわからないようです。
梅雨前線が、日本列島にどっしりと腰をすえ、うんざりする毎日になります。
しかし、この時期に、しっかりと雨が降らなくては、困るものがあります。
お米です。
田植えの季節です。
菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)、柏の葉は、端午の節句の専売特許ではありません。昔の5月は、今の6月頃にあたります。今のように、機械で苗を植えるのと違い、田植えは、お百姓さんが、苗を1本1本、手で植えていました。
ですから、時間はかかり、田んぼが広ければ、人手もたくさん必要になります。
まさに、猫の手も借りたいほどの忙しさです。
「米」という字は、「八と十と八」からできています。お米は、種から芽を出した苗を田んぼに植えて収穫し精米するまでに、人の手を八十八回わずらわすといわれるほど、手がかかるのです。
さらに、天気にも左右されます。
ご存知のように、稲は水稲(すいとう)といって水田で栽培しますから、梅雨にたくさん雨が降らなければ、田植えはできません。ちなみに、水稲より大量の水を必要としない畑で栽培する稲、陸稲(おかぼ)もありますが、水稲に比べ品質は劣り収穫量も少ないため、日陰の存在に甘んじているようです。
そして、夏に日照りが悪いと、稲はきちんと育ちません。
しかし、日が照りすぎても、田んぼの水が干上がって、稲は駄目になります。
また、稲は順調に育っても、収穫前に台風がきて、たわわに実った稲穂が強風になぎ倒され、豪雨で水に浸かってしまっては使いものになりません。自然とのかかわりは、宿命的な因果関係のごとく厳しいですから、神頼みにならざるを得ないのです。
そこで、昔の人は知恵を絞り、田植えが無事に済み、たっぷりとお水をいただき、夏にはしっかりとお日さまに顔を出してもらい、稲が立派に育って、秋には、おいしいお米がたくさんとれるようにと、神様にお祈りをしたわけです。
米作りは、やり直しのきかない真剣勝負、人生そのものといえるのではないでしょうか。
そのお祈りをするのは女性の役目で、早乙女(さおとめ)と呼ばれ、田植えをする間、悪いことが起きないように、屋根を菖蒲の葉で作った小屋に集まり、肉食を断つなどして身を清め、精進潔斎をし、一晩中、お祈りをしました。ですから、昔の5月5日は、夏負けをしないように、匂いの強い草で、魔物を追い出す日であり、田植えの準備の日でもあったのです。
ところで、浄瑠璃といえば近松門左衛門、そのすぐれた伝統芸能を観賞する機会はほとんどありませんが、残された名作を本で読むことはできます。代表作の一つ、どうしようもない放蕩無頼で、典型的な自己中の不良青年、与兵衛を描いた「女殺油地獄」の中に、「五月五日の一夜を女の家と言うぞかし」とあり、男の祭りではなく、無事に田植えを行えるよう祈願する女性の祭りであることがわかります。
その田植えですが、本当に、大変な仕事です。
泥んこの田んぼに足をつけたまま、幅1メートルほどの範囲を、10センチ間隔ほどに苗を植えていくのです、腰をかがめて。これを30分程続けると、完全に腰にきます。伸ばすと、ボリッと音がするほど、筋肉は、まいってしまいます。
毎年、天皇陛下が苗を植える「お田植え」、お姿をテレビで拝見しています。
収穫された米は、宮中祭祀に使われたり、伊勢神宮に奉納されるそうです。
「豊葦原(とよあしはら)の瑞穂(みずほ)の実る国(神意によって稲が豊かに実り、栄える国)」、これは日本国の美称として使われる言葉ですが、皇室の儀式とはいえ、無理をなさらないでほしいですね。
最近、小学生が体験授業として、田植えをやる学校が増えているようですが、米を作ることが大変な作業であることを実感できれば、「いただきます」の本当の意味、「ありがたくいただきます」と感謝の気持ちを表していることも理解できるのではないでしょうか。
さて、夏になると、稲のまわりに雑草が生えますが、これを取り除くのも一苦労です。また、腰をまげて、手で雑草を取ります。これが、かんかん照りの太陽のもとでの作業ですから、田んぼの水は、それこそ生ぬるく、草いきれで、むっとする匂いには、泣かされます。人の血を吸う蛭(ひる)もいて、環境のよい仕事場ではありません。日本の夏は高温多湿であるだけに、少しでも手を抜くと雑草が生え、稲の成長を妨げますから手入れが大変で、まるでわが子を育てるのと同じだとお百姓さんに聞いたことがあります。
子育ても手を抜いた分、親が考えもしなかった色に染まってしまうものです。
「手を抜く」といっても育児を放棄するのではなく、ちょっとした思い違いから、親子の絆にひびの入ることもあるものです。「おかしいな?」と感じた時は、親から子どもに話しかけるべきではないでしょうか。そういう時は、子ども自身も迷っているはずだからです。
話を元に戻しましょう。
そして最後の収穫。これも1株、1株、鎌(かま)で刈っていきます。繰り返しますが、お百姓さんの腰が曲がるわけです。刈った稲を、今度は、天日で乾かします。それを脱穀機で稲穂を取り、もみ殻にして、これを精米機にかけ、やっとお米になるのです。
農業の機械化というのでしょうか、田植えから脱穀まで、全部、機械でできるそうですから、これは、すごい省力化です。しかも、無人のトラクターというのも実用になっています。そういえば、最近、腰の曲がったお百姓さんを、あまり、見かけません。
★★てるてる坊主★★
この月は、しっかりと雨が降ってくれなくては困りますが、雨が降ってほしくない時もあります。
子どもの頃、遠足や運動会の前日に、てるてる坊主を作ったものでした。今でも、この風習は残っているようです。天気にしてくれた時には、目、鼻、口をつけてあげた記憶があります。
てるてる坊主
作詞 浅原 鏡村 作曲 中山 晋平
(1)てるてる坊主 てる坊主 明日天気にしておくれ
いつかの夢の空のように はれたら金の鈴あげよ
(2)てるてる坊主 てる坊主 明日天気にしておくれ
私の願いを聞いたなら 甘いお酒をたんと飲ましょ
(3)てるてる坊主 てる坊主 明日天気にしておくれ
それでも曇って泣いたなら そなたの首をチョンと切るぞ
(注 浅原鏡村は、小説家浅原六郎の別名)
幼子の「どうしても晴れてほしいなぁ!」という気持ちが伝わってきます。
「しかし、しかしです」と何も興奮することはありませんが、「てるてる坊主は、坊主ではなく娘さんです!」と聞けば、「ナヌ!?」となりませんか。発祥の地は、またしても中国でした。
てるてる坊主の起源は、中国で掃晴娘(そうせいじょ)とよばれる、ほうきを持った女性の紙人形をつるす風習からきている。娘がほうきで晴れ気を掃きよせ、晴天や幸運を招き寄せようとするまじないで、平安時代に日本へ入ってからは、なぜか坊主に代わってしまった。
(日本の年中行事百科2 夏 民具で見る日本人のくらしQ&A P14
監修 岩井 宏實 河出書房新社 刊)
お坊さんの頭は、つるつるで、何やら光り輝いていますし、明日の天気は神頼み、いや、この場合は仏頼みで、晴れのイメージにつながったのでしょうか。
ところで、今はどうかわかりませんが、一時期、小学校の音楽の教科書の中にはなく、ラジオなどで流す場合は3番をカットするケースがあったようです。
その理由は、歌詞の3番に、
「それでも曇って泣いたなら そなたの首をチョンと切るぞ」
とありますが、それは自分の願いを聞き届けさせようとする「脅迫信仰」であって、童謡らしくない残酷な表現だからだそうです。
作詞者のイメージとしては、残酷に処刑するのではなく、「晴れなかったら承知しないからね!」と、どうしても晴れてほしい切実な願い、その気持ちを表現したかったのではないでしょうか。
映画やテレビ、漫画、ゲームなどでは、もっと残酷な場面を映像で見せつけているではありませんか。詩は、イメージです。こんなことまで規制されるのは、情操教育を考えると、首を傾げたくなります。残酷な犯罪は、きちんとイメージできないから起きるのではないでしょうか。
ですから、「イメージ化できる」ことは、非常に大切な感性です。感性こそ、子どもの時から様々な経験を積み重ね、磨いていくものです。
以前にもお話しましたが、イメージ化を培う力は、読書と何事にも自力で挑戦する生活体験です。
文字を読み取り、その世界を作り上げる作業は、人格を築き上げる大切な学習です。若者の活字離れが指摘され久しくなりますが、思考力や思想を構築する力が劣るわけです。お子さんに本を読む習慣を身にけさせるには、本の読み聞かせと、ご両親の読書をする姿をしっかりと見せておくことです。
そして、何事も自力で挑戦する意欲を育てましょう。失敗を恐れる子にしてはいけません。「為せば成る」ではありませんが、試行錯誤を積み重ねることから、工夫する力も忍耐力も育まれます。
「そんなこともできないのは、駄目な子なの!」
などという保護者がいると聞きますが、「できるように頑張る子に育てるのが親の仕事」です。
幼児教育に携わってきて感じるのは、多くの場合、お母さんがあまりにも不用意に、子どもに劣等感を植え付ける言葉を投げがちです。同じ言葉をご主人に言われれば、柳眉を逆立て、猛烈に反撃するでしょうに。
ご両親のさじ加減で、お子さんの潜在能力は開発されることを肝に銘じてほしいものです。
蛇足になりますが、「為せば成る」は、本当はもっと長い文章で、その頭文字の5個をとったものです。
江戸時代の後期、米沢藩主の上杉鷹山が、家臣に教訓として「為せば成る。為さねばならぬ何事も。成らぬは人の為さぬなりけり」と詠み与えたものですが、それより以前に、武田信玄が「為せば成る、為さねばならぬ。成る業を成らぬと捨つる人の儚(はかな)さ」と、よく似た歌を詠んでおり、鷹山の言葉は、これを変えたものだといわれているそうです。(「故事ことわざ辞典」より)
ところで、これは最近、知ったことですが、4番まであった「てるてる坊主」を、何と作曲者が1番を削除し、今の形にしたとか。その1番の歌とは、
(1)てるてる坊主 てる坊主
あした天気にしておくれ
もしも曇って 泣いてたら
空をながめて みんなで泣こう
(www.tenki.jp/suppl/usagida/2015/05/14/3771.htmlより)
作詞家ではありません、作曲家の中山晋平です。
何ともやさしくて、いいと思いませんか。詳しいことをお知りになりたい方、「てるてる坊主」で検索すると、いろんな情報にヒットできます。
(次回は、「しみじみとうまいにぎり飯」他についてお話しましょう)
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、制作したものです】
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>学校説明会で確かな情報を (1)
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「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
年長児のお子様をお持ちの方々へ
2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
<第44号>
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<説明会情報>
成蹊小学校
・運動会
2024年5月18日(土)
・第1回学校説明会
2024年6月15日(土)
・オープンスクール
2024年6月20日(木)
・第2回学校説明会
2024年9月2日(月)
・文化祭
2024年10月13日(日)
詳しくは、ホームページをご覧下さい。
学校説明会で確かな情報を (1)
小学校の受験で最も重視されるのは、「志望理由」です。
出身者の方には問題ありませんが、そうでない方々には、学校に関する情報、例えば、建学の精神や教育方針、その学校ならではの特色、主な年間行事やクラブ活動、合宿などの校外活動、学童保育、併設校への進学状況、併設校のない場合の進学実績やそのための対策、通学時間やご主人の転勤にともなう復学制度、自己推薦や単願等応募の方法などわからないことが多いと思います。
そういったハンディキャップを解消するために行われているのが学校説明会です。過去には説明会をやっていない学校もありましたが、現在では、ほとんどの学校で開催しています。
最近の傾向として、夏休み前に学校説明会を、休み後に入試説明会と2回行う学校が増えてきました。しかし、幼稚舎、雙葉小学校のように学校説明会だけ行っているところもあります。そして、Webでの事前予約の必要な学校が多くなりました。当日になって気づいても手の打ちようがありませんから、注意してください。
東日本大震災後、自然災害が注目され、多くの方が通学に不安を感じているのではないでしょうか。各学校のホームページにも「災害対策」が掲載されていますが、大切なのは、「我が家の災害対策」で、「登校・下校時に災害が起きた時の対策」です。学校側が公表する対策を、わが子の通学に、どのように活かせるか、慎重に考慮するのも保護者の義務です。今年もその説明があると思いますので、正しい情報をもとに不安を解消しておきましょう。しかし、何といっても大切なのは、お子さん自身の自立心と行動力です。そういった育児に徹することも親の仕事ではないでしょうか。
また、学童保育、アフター・スクールに力を入れる学校が増えています。日本女子大学附属豊明小学校、聖心女子学院初等科もそのひとつです。お母さん方がお仕事をもっている場合、具体的にどのようになっているか、情報を確認しておきましょう。
横浜雙葉小学校は、学外のアフタースクールと提携しました。授業後はスクールバスで施設まで送迎しています。
日本女子大学附属豊明小学校は、5月11日(土)に行われる学校説明会は既に受付終了していますが、5月27日(土)に行われるオープンスクールは、5月12日(日)から受付となっています。2023年は早い段階で満席になりましたので、興味があるご家庭はまず予約しておくことをお勧めします。
運動会は9月28日(土)に西生田の大学のグランドで開催されます。いずれも事前申込制。
雙葉小学校は、7月19日(金)、20日(土)に開催。Webで事前申し込み(6月17日10時~)。
白百合学園小学校は、5月18日に授業公開が開催されますが、既に満席となっています(本メルマガ発行時)。学校説明会が6月29日(土)、学校見学会が9月7日(土)にそれぞれ行われます。
聖心女子学院初等科は、第1回学校説明会を6月8日(土)、第2回を9月7日(土)に実施。オープンスクールが8月に予定されています。いずれもHPから予約が必要です。
青山学院初等部の第1回目説明会は5月18日(土)に実施されます。若干空きがあるようです(本メルマガ発行時点)。同じ内容で第2回説明会が9月7日(土)に実施されます。いずれも保護者のみ。親子で校舎を見学できる「オープンスクール」が6月29日(土)に実施。
東洋英和女学院小学部は、6月13日(木)に学校説明会、6月19日(水)にオープンスクールを実施。
東京女学館小学校は、5月18日(土)には運動会が公開されます。7月6日(土)に説明会が予定されています。なお、昨年5月に夕方から行われた説明会は本年度は実施されないようです(3月に実施済み)。
立教小学校は今年も3回開催。第1回6月6日(木)、第2回6月29日(土)、第3回9月7日(土)です。「(1)(2)(3)はそれぞれ内容が異なる」と明記されています。事前の申し込みはありませんが、対象は保護者のみとなっています。
慶應義塾幼稚舎は、学校説明会が7月1日(月)~7日(金)に動画配信の形で実施。学校見学会が7月8日(土)に実施されます。
なお、動画配信以前は、1時間程度、自尊館(講堂)で行われていました。
都会では珍しくなった土のグランドと真中に立つ大きな欅、毎年、七夕飾りを見ることができます。自尊館のエントランスには、福澤諭吉直筆の書「人間萬事戯来戯去」(人生は本来戯れにすぎないと悟ること KEIO YOCHISHA SCHOOL GUIDEより)の額が掲げられています。
成蹊小学校の説明会は、当初は、大学の合同授業などで使う大きな教室でやっていましたが、やがて小学校の体育館になり、それでも入場しきれなくなり学校近くの武蔵野市民文化会館で行っていました。平成26年からは学園内で開催しています。
初めて授業参観で校舎に入ったとき、何やらうなぎの寝床といっては失礼でしょうけれど、そんな感じがしましたが、新装成った校舎は、むかしの面影を一新し、すばらしい環境になっています。
第1回説明会が6月15日(土)に行われます。
日出学園小学校は、昼間、参加できないお父さん方に「お父さんのための説明会」を5月22日(水)、23日(木)に6時から開催します。運動会は6月1日(土)、授業体験会は6月に22日(土)に実施。
日出学園小学校のように夜の説明会もあります。
昭和学院小学校が7月12日(金)に、2020年4月より校名を小野学園小学校から変更した品川翔英小学校は6月21日(金)にナイト(学校)説明会を開催。
江戸川学園取手小学校は、5月25日(土)に学校説明会および1日体験入学があります。
暁星小学校の説明会日程は発表されていませんが、夏に行われることが多いの
で、HPをこまめにチェックしましょう。
(以上の情報は、5月10日(金)現在のものです)
まず、こういった説明会や公開授業などの日程を正確につかんでおくことが大切です。
ホームページを利用すれば、説明会の開催日時や入試日程、学校の歴史や建学の精神、参加できる学校行事などの他、学校によっては、「よくあるQ&A」も用意されており、簡単に検索できますから大いに利用しましょう。
説明会では、学校案内や要覧などの配布があり、市販されているガイドブックなどからは得られない情報も公開され、そういった資料をもとに、学校の沿革や教育内容などの詳しい解説が行われています。
9月以降の説明会では願書も配布され、具体的な入試日程の説明や願書記入上の注意、健康調査書に関する諸注意、考査料の振込みに関する注意などを詳しく解説する学校もあります。
また、立教小学校や立教女学院小学校、成蹊小学校、白百合学園小学校のように授業を公開する学校もあります。
上記学校の参加者はほとんどが保護者対象となっていますが、国府台女子学院小学部、昭和学院小学校などのように、説明会中にお子さんを預かってくれるところもあります。
説明会は5月から始まる学校が多く、9月以降に集中して開かれていましたが、最近は、6月、7月に行う学校が増えていますから注意が必要です。こういった情報をしっかりと確保しておくことも、ご両親の大切な役目です。学校によっては、面接で説明会に参加した感想を聞かれたり、アンケート用紙に記入を求めたりすることもあります。
多くの学校では、質疑応答の時間を設けていますが、特別に時間を設定していない学校もあります。しかし、説明会終了後、個人的に質問をする機会はありますから、何か問題のある場合は、この時間を利用し解消しておきたいものです。「母子(父子)家庭は不利」「共働きの家庭は不利」「信者は有利」「出身者、兄弟姉妹がいれば有利」など、いわゆる噂に心を痛めている方々は、直接、処方箋をいただいて、つまらない悩みは解決しておきましょう。
学校によっては、「心配事がある場合は、電話で問い合わせてほしい」と、相談の窓口のあることを説明しているほどです。しかし、電話で済ませるより、説明会で直接、お聞きしておくべきでしょう。もしかすると、面接の時に再度、お会いするかもしれないからです。
かつては、入学後、経済的な心配が起きた場合には、奨学金制度のあることを公表している学校もありましたが、青山学院初等部のホームページのQ&Aの欄にも、「学費等の支援給付制度が定められている」と発表しています。
また、転勤の可能性のある場合、復学できるか確かめておきましょう。
問題を抱え込まずに積極的に利用し、すっきりとした気持ちで秋を迎えたいものです。
ところで、説明会は、小学校の講堂や体育館で行われると思われがちですが、外部でやっている学校もあります、早稲田実業学校初等部等です。
早稲田実業学校初等部が第一回目の説明会を行ったときは、国立の初等部の校舎は建築中で、大学の大隈講堂を使用しましたが、満員になるほど参加者が多く、初等部内には収容できる施設はないようですから、ここで開催することになったのでしょう。入学式も、当講堂で行われました。建物が古くなったために改築されていた2年間は文京シビックの大ホールで開催されたこともありました。今年は6月9日(日)に大隈講堂で開催される予定です。
学校見学会は7月20日(土)に実施。
思い出に残っているのは、学習院初等科の説明会です。
当初、男児と女児に分けて四ツ谷の迎賓館のすぐそばにある初等科の正堂(講堂のこと)で行っていました。現在、初等科の建物は新築されましたが、当時の校舎内はかなりの年月を経ており、歩く廊下はぎしぎしと音がし、質実剛健を教育目標とする学校らしい雰囲気を感じたものです。また、正堂の正面には菊の御紋が二つ蒼然と輝き、皇室の方々が通われる学校であることが伝わってきたものでした。こういった学校の歴史や雰囲気を実感できた貴重な体験でした。
5月の学校説明会は受付終了ですが、入試説明会が9月2日からWEBで、学校見学会が9月7日(土)に行われます。
◆参加するときの注意点
説明会へ参加するときに注意してほしいことをお話しましょう。
・筆記用具、メモ用紙を持参する。
・上履きが必要な場合がありますから、スリッパ、靴を入れる袋を持参する
かどうかを確かめておく。
・雨の日は、雨傘用のビニール袋を学校側で用意しているとは限りません。
特に、梅雨にさしかかる時期ですから用意しておきましょう。
・ハイヒールで廊下を歩くとき、音に注意を。立教小学校は禁止しています。
Q・なぜ、ハイヒールでの来校は禁止されているのですか。
A・学校の校庭は人工芝になっています。その上をハイヒールなど、かかとの高い靴で歩くと、人工芝を傷つけてしまいます。また、ハイヒールなどかかとの高い靴で校舎内を歩くと、大きな音がする可能性が考えられ、授業などの学校生活に影響する可能性が考えられます。
従って、ハイヒールなどかかとの高い靴での来校は、ご遠慮いただいております。もし、ハイヒールなどかかとの高い靴を履いてこられた場合には、校内に入る際に、運動靴などにお履き替えいただきたいと考えています。ご配慮をお願いいたします。
(立教小学校ホームページ 「よくいただく質問」より)
・学校によっては、お子さんを連れてくることを遠慮してほしいという場合がありますから確認を。
・お子さん同伴の場合は、むずかることもありますから、いつでも外に出られるように、後方の出入口の席に座る気配りを。1時間から長いところでは2時間にもなりますから、退屈しない工夫を。
「受験生ならびにお子様のご来場はお断りします」等明記されている学校もありますので、よく確認してください。
・授業参観の場合は、同伴者と絶対に話をしないこと。生徒は授業中です。
これが守られていません。「学校側では、ひそかにチェックしている」ということはないとは思いますが、こういった怪情報は広めたいですね、生徒のためにも。
最後のことについては、あきれてしまった経験があります。
昭和61年、雙葉小学校が説明会を再開した時でした。
会場は5階のホールでしたから階段を上ることになりますが、各階の踊り場に立て札があり、そこには文言は正確ではありませんが、「生徒は授業中です。静粛に願います」と書かれてあったのです。
階段をおしゃべりしながら歩く、お母さん方の無神経さを理解できませんでした。学校側に、先を読まれているのですから。友達と一緒に参加されるお母さん方、厳に慎んでください。
また、立教小学校など授業参観をかねている場合、始業時間前に集合しますから、朝の交通状態を頭に入れておきましょう。
利用する交通機関は、通勤・通学時間で混雑していますし、時間も通常よりかかります。
駅からタクシーでと思っていても、簡単に乗れるとは限りません。
もちろん、自家用車での来校は禁止されています。どこの学校にも、車を収容する広い駐車場はないからです。
ところで、授業参観の場合、1年生の教室が人気の的になりがちですが、高学年の教室は空いていますから、じっくりと見学できます。ある学校で、非常に厳しい先生の態度に接し、「やるじゃないですか!」と感動さえ覚えたものです。見学者がいようがいまいが眼中にない先生の態度が、建学の精神そのものだったからです。
連休、いかがでしたか。しばらく、調子が狂うかもしれません。気をつけてあげましょう。
(次回は、「学校説明会で確かな情報を(2)」を紹介しましょう)
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2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第7章(4)端午の節句です 皐月
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「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-第27号-
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第7章 端午の節句です(4)
★★五月に読んであげたい本★★
「桃太郎」や「金太郎」は、おなじみのむかし話ですからさて置き、こわい話を紹介しましょう。
◆めしを食わぬよめ◆ 松谷 みよ子 著
むかし、ある村に、たいそうけちな男がいました。嫁に食わせる飯がもったいないから、飯を食わぬ嫁を探してくれというのです。
ある日のこと、十六、七の姉さまが訪ねてきて、ご飯を食べずに働くから嫁にしてくれという。暮らしてみると、ご飯を食べず、しかも働き者です。ところが、毎日、米もみそも減っています。不思議に思った男は、次の日、仕事に出かけたふりをして、戸のふし穴からのぞいてみたところ、髪をほどいた頭の中に、大きな口があり、飯にみそをつけ、にぎっては放りこみ、大がまの飯を全部、食べてしまったのです。
男は、夕方になると、知らぬふりをして家に帰り、別れ話をすると、にわかに髪をふりみだし、頭の口をパックリとあけて、恐ろしい山姥(やまんば)になったのです。逃げ出そうとする男をつまみあげ、ふろ桶の中へ放りこみ、桶に帯をかけて背負うと、山へむかって走りだしました。男は、何とか助かろうと、桶から顔を出してみると、頭の上に木の枝があったのでとびつき、木からすべりおり、山をかけおり、ふもとまで来たのですが、気づいた山姥が、追いかけてきます。男は、そばの草むらに逃げ込みました。そこには、菖蒲がたくさん生えていたのです。
「魔除けの菖蒲にはかなわない」と、山姥は悔しそうにいい、山へ帰って行ったのです。
菖蒲が魔除けの草として、五月の節句に飾られるようになったのは、この時からだといわれています。
五月のはなし ももたろう 松谷 みよ子/吉沢 和夫 監修
日本民話の会 編 国土社 刊
話によっては、蓬(よもぎ)も生えている草むらになっているものや、風呂桶ではなく背負いかごのもあります。面白いことに、「この日が、実は、5月5日であった」という話も残っています。
子どもは、こわい話を聞きたがりますが、本当は、こわがりなのです。話だけでは、頭に大口がある姿を想像できませんから聞いていますが、本の場合は絵がありますから、こわがります。
ある時、絵本を見せながら読んだところ、こわそうな顔をして聞いていました。
喜怒哀楽の情緒も分化されてくる時期ですから、こわいものには、本当にこわがり始めます。
この話でも、頭の口で食べるところでは、
「これからこわーくなるから、こわい人は……、耳を、ふさいで、いいのだよー」
といかにもこわそうにいうと、耳をふさいで下を向くのは、男の子が多いですね。食い入るように話を聞いているのは、案外、女の子なのです。肝が座っているのですね、小さい頃から。
あまり恐怖感を与えるのも考えものですが、こういった刺激を与え、情緒を育んでいくことも、昔話の大切な役目ではないでしょうか。恐怖感も、きちんと結末で拭ってくれる配慮がしてあるからです。
探してみるものですね。この話を見つけたときは、本当にうれしくなりました。
鯉のぼりの制作者は、意外にも、お侍さんだったのです。
◆コイのぼりのはじまり◆(伝説 墨田区)
江戸時代のことです。
端午の節句が近づいたある日、江戸の町を一人の侍が歩いていました。武家屋敷の庭には、祝いの旗や、のぼりが立てられ、道では、侍の子が、紙のかぶとをかぶり、しょうぶで作った刀を振り回していますが、町人の住む町の子ども達は、かぶとも、しょうぶの刀も差していないことに気づいたのです。
染め物屋の家からは、のぼりを立ててくれとせがむ子どもの声が聞こえました。
「あれは、お侍さんが立てるものだからできない」と話しますが、納得しないで、泣きじゃくっているではありませんか。
そこへ、お侍が入って来て、大きな紙4枚と太い筆を借り、1枚の紙に大きなコイを描き、別の紙には、反対向きのコイを描きあげました。2枚の絵を合わせると、1匹のコイになるのです。もう1匹描くから、節句の前日までに、黒と赤に染め上げてほしいといって店を出たのです。
約束の日に染め上げ、日に干していると、やってきた侍は、はさみと針を借り、向きの違うコイ同士を、袋縫いに縫い合わせると、黒と赤の2匹のコイになったのです。長いさおの先につけて、家の前に立てさせました。五月晴れの空を、風に吹かれる真ゴイと緋ゴイ。周りには、町人や武士の子ども達も集まり嬉しそうです。
お侍さんの名は赤荻柳和、武士というよりは俳句を作ることで知られた、心のやさしい人だったそうです。こうして、次の年の5月5日から、江戸の町にはコイのぼりが、武士の家にも町人の家にも、立てられるようなったのです。
これが、コイのぼりの始まりだそうです。
県別ふるさとの民話18 東京都の民話 日本児童文学者協会編 偕成社刊
夏もちかづく 八十八夜
野にも山にも 若葉がしげる
あれに見えるは 茶摘みじゃないか
あかねだすきに すげの笠
小学校唱歌「茶つみ」の歌です。最近ではあまり聞かれなくなりましたが、女の子が「せっせっせーのよいよいよい」といってから、この歌をうたいながら遊ぶ、手遊びがありました。
「八十八夜」「若葉」「茶摘み」「すげの笠」といいますと、かつては夏の近いことを実感したものです。しかし、今はどうでしょうか。こういった風物詩も、「テレビで拝見」で終わっているようです。もっともテレビさえ見ていないご家庭も増えているように感じます。
季節を感じる余裕がなくなってしまったのでしょうか、もったいないと思います。
自然が、四季折々の変化を告げてくれるのは、本当に有り難いことだからです。
この歌にある「八十八夜」は、暦の上で、立春の日(2月4日頃)から数えて八十八日目、5月2日頃のことで、茶摘みが始まる季節です。
新しい芽を摘んで作った新茶売りの話があります。
◆お茶屋とふるい屋と古鉄屋(ふるがねや)◆(山梨県の話)
ある日、一人のお茶売りが、「新茶ぁ、おいしい新茶だよ!」と、売り歩いていく後から、「ふるいー、ふるいー」といってふるい屋が歩いていきます。
「ふるい」とは、粉や砂など細かなものを、網目を通して落としたり、選り分けする道具です。「新茶、ふるい」と売り声が並ぶと、新茶なのか古いのかわからず、誰も出てきません。
お茶屋さんは、新茶が売れないと怒りましたが、ふるい屋さんも、
「ここは天下の往来、文句があるなら、お前さんこそ、どこかへ行ってくれ」
とけんかを始めました。
そこへ、古鉄(ふるかね)屋さんが、通りかかり仲裁に入ったのです。古鉄屋さんは、いらなくなった金物を買い取る商売です。二人から訳を聞くと、これから三人で売り歩こうといい、順番は、
「お茶屋さん、ふるい屋さん、私だ」という。
言われて三人が売り声をあげると、
「新茶ぁ、ふるいー、古鉄ぇ(ふるかねぇ)!」
となり、今度はいい商いができたのでした。
日づけのあるお話365日
五月のむかしの話 谷 真介 編・著 金の星社 刊
この話に出てくる「ふるい屋」「古鉄(ふるがね)屋」も、説明がないとわからない仕事ですね。かつて、こういった行商屋さんが、金魚、風鈴、豆腐、納豆、アイスキャンディーなどを売りに来たものです。その他に、鍋やかまなどにできた穴を修理する「いかけ屋」さん。道の片隅にござを敷き、その上に道具を並べ、小さなふいご(携帯用送風機)で火をおこし、焼けた鉄の棒で金属同士をくっつけてしまう「半田付け(はんだづけ)」をしていました。
落語にも「売り声」という噺があり、お茶屋さんに代わり「魚屋」さんで、いわしを売っていたと記憶しています。「いわし、ふるいー、ふるかねえ!」
どうしても紹介しておきたい話があるのですが、季節感が希薄なのです。棚ぼた式に出世する話、こういったうまい話は、あるところにはあるものです。観音さまのご利益なのですが、運命は、本当に、どなたが決めるのでしょう。この話は、「今昔物語」の巻16の第28話に出ている他、古本説話集、宇治拾遺物語、雑談集にも、「長谷寺観音の霊験譚」として残されています。思いがけない交換から利益を得ることを主題にした致富譚(ちふたん)の一つで、原作を読むのは、少々しんどいですが、子ども向けに翻訳された本は、おもしろく読めます。芥川龍之介の愛読書であることもわかります。
◆わらしべ長者◆ 阿部 律子 著
むかし、あるところに、お父にもお母にも死なれ、独りぼっちの貧乏な若者がいました。
ある日、村の観音さまに祈っているうちに寝てしまったのですが、夢の中に観音さまが現われ、
「ここから東に行き、初めに手につかんだものを大切にすべし」
と、お告げがあったのです。
急いで戻ろうとしたとき、石につまずき転びましたが、起き上がると、片手にわらしべを握っていたのです。観音さまのお告げは、このことかもしれないとわらしべを懐にしまい、東の方に歩いて行くと、1匹のあぶが飛んできたので捕まえ、わらしべの先にくくりつけました。すると、牛車に乗っていた男の子が欲しいというのであげると、ただでもらってはと、みかんを3つくれたのです。
しばらくいくと、男が道端に倒れていて、水がほしいという。みかんを差し出すと、お礼に反物をくれたのでした。これも観音さまのお陰かもしれないと、なおも東へ向かって行くと都に出たのです。
すると、倒れた馬を囲んで、人々が騒いでいました。馬の持ち主が、若者に、急用があるので、馬をやるから好きなようにしてくれというので、ただでもらうわけにはと、反物をあげたのです。
若者は、馬を引きながら、さらに東の方へ行くと、大きな家から、旅支度をした主人が出てきて馬をくれ、もし、3年たってもわしがもどらなかったら、この家も畑も、お前にやると言い、返事も聞かずに行ってしまったのです。若者は、田畑を耕しながら、主人の帰りを待ったのですが、帰ってきませんでしたので、若者は、その屋敷に住み、やがて、わらしべ長者と呼ばれる大金持ちになったのです。
(わらしべ 米や麦など稲科植物の茎を乾燥させたもの。引用者注)
日本むかしばなし 12
ふしぎなゆめ 民話の研究会 編 田木 宗太 絵 ポプラ社 刊
このように、安物が高価な物と交換されていく話は、ヨーロッパにはあまり見られず、なぜか、インド、ベトナム、朝鮮、日本といったように東南アジアに分布しているようです。そういえば、インドの原始仏典「ジャータカ」には、ねずみ1匹から交換が始まり、豪商の婿さまに納まる出世物語が収められています。
「ジャータカ物語」や「パンチャタントラ物語」(世界で最も古い子ども向けの物語集)もお勧めしたいのですが、最近、図書館でも見かけなくなりました。
パソコンで検索すると、かなり出版されているようです。あらすじを紹介しているものもあり、内容を把握できますから、のぞいてみましょう。
(次回は、「何もないのかな 水無月」についてお話しましょう)
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、制作したものです】
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する -合否を判定する必須十項目-★★[10]社会性に関する問題
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「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
年長児のお子様をお持ちの方々へ
2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
<第43号>
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◆説明会情報
立教女学院小学校 学校説明会
2024年6月1日(土)
東洋英和女学院小学部 学校説明会・公開授業
2024年6月13日(木) 2回実施
日本女子大学附属豊明小学校 学校説明会
2024年5月11日(土)
青山学院初等部 第1回学校説明会
2024年5月18日(土)9時、13時の2回
聖心女子学院初等科 第1回学校説明会
2024年6月8日(土)
千葉日本大学第一小学校 学校見学会
2024年6月14日(金)
詳しくは、ホームページを御覧になり、しっかりと情報を確認しておきま
しょう。
★★入試問題を分析する★★
[10] 社会性に関する問題
5、6名のグループで遊び、その様子から社会性、協調性といった集団生活への適応力を評価する問題です。ごっこ遊び、絵画や制作など、いろいろな形で行われますが、かつて出題された「電車ごっこ」を取り上げ、どういった形で展開し採点されるか分析してみましょう。
★[電車ごっこ]
「今から、電車ごっこをして遊びます。この遊びには、運転手さん、車掌さん、駅長さんに、お客さんが必要ですね。最初に、誰が、どの役をするのかを、みんなで相談して決めてください。そして、どうやって遊べば楽しいか、話し合って決めましょう。電車は、このロープを輪にしたものを使います。相談ができたグループから、代表を決めてロープを取りにきてください。わかりました
か。では、始めてください」
こういった説明を聞き、相談をして、電車ごっこを始めます。
ごっこ遊びは、幼稚園や保育園などでやっている遊びですから、遊びそのものには問題ありませんが、何といっても集まったメンバーは、今日が初めてのご対面です。これが問題ですね。名前、幼稚園(保育園)名、家族構成、性格、趣味、得意な遊びなど、データなしの遊びとなります。全員同じ条件ですが、普段からリーダーシップをとっている子ども達は、やりますね。
「運転手と車掌、駅長さんは、一人ずつだから、順番に代ったらいいと思います」
「その順番だけど、ゼッケンの番号順はどうですか」
「背の高さ順でも、いいじゃない?」と背の高い子がいうかもしれません。体の特徴を武器にしていますね。
「(ぼくは、背が低いからお客になってしまう。そうは、させないぞ!)ジャンケンが、いいな。勝ち負けで、決めるから、いいと思います!」
こう思っているかどうかはわかりませんが、自分の考えを言える子、いいですね。
こうなれば、意見はドンドンと出ます。殊勲賞は口火を切った子ですが、このグループは早くまとまります。
「最初にいった君が、代表でロープもらってきたら!」
「賛成!」
こういけば理想的です。
黙ったまま、まったく進まないグループ、積極性に欠ける子ども達が、集まる場合もあるそうです。
「…………」
「……」
これでは採点できませんから先生は盛んに促しますが、反応はありません。
何も言いませんから、参加意欲、発言内容、行動力、全部なし、社会性、協調性は[0]になります。偶然の組み合わせとはいえ、惨めな結果になってしまいます。
「ぼくは、運転手しかやりたくない!」
こんな無茶をいう子もいるそうです。古い言葉ですが、乳母日傘(おんばひがさ)型ですね。こういう子ばかりでは、収拾がつかなくなります。乳母日傘型とは、「乳母をつけ、日傘をさしかける、というように子どもを大事に育てること」で、過ぎると過保護になる育児のことです。
「私、決まったものなら何でもいいの!」
こういう女の子もいるそうです。一見よさそうですが、あなた任せで積極性に欠けるのではないでしょうか。
こういう子もいるようです。ジャンケンで決めることになり、ジャンケンをして負けると、「ジャンケンは止めて、他のやり方がいいな!」などと平気でルールを破る子、自己中心型です。普段の家庭での振る舞いをチェックしてみましょう。
いろいろと見せてくれるそうです。小学校側としては、グループ活動を盛り上げるために積極的に参加する意欲、相談する様子や発言の頻度、内容、ルールを守って遊ぶ様子などから、社会性や協調性を評価しますが、これも保護者の育児の結果ではないでしょうか。
過保護な環境ではわがままなお山の大将に、過干渉な環境では消極的に、自立心が弱ければ、あなた任せになりがちです。
これについては、以前にもお話ししましたが、幼稚園や保育園の先生に聞いてみることです。
「うちの子、園での様子はどうですか?」
「そうですね、どちらかといえば、集団生活への適応力に、少々問題がありますね」
この場合の「少々」は、「ものすごく問題あり」と考えて、育児の姿勢や子どもを取り巻く環境に、何か問題点はないか、チェックが必要です。社会性、協調性といった集団生活への適応力は、6歳頃までに身につくと言われています。
義務教育が始まる時期と、一致しているわけです。
「少し、内気なところもあるようです」
こういった答えがある場合は、お父さんやお母さんが構い過ぎているはずですから、過干渉の鎖を切ってあげましょう。
「元気すぎる時も、ありますね」
この場合は、わがままで、チームワークを乱しているかもしれませんから、何事も思うようにならないことをお父さんがしっかりと教えてあげるのが良いでしょう。
子どもは遊ばせると、育てられた環境がわかるものです。
ペーパーテストではわかりにくいことですが、遊びや行動観察のテストで、子ども自身が親の育児の姿勢をきちんと見せてくれます。子ども達は、演技などできませんから普段の姿が表れるのです。
ところで、こういったテスト中にもめごとが起こりやすいようです。
もちろん、行動観察が中心になっている慶應義塾幼稚舎のように、試験に先立ち、「走らない・前の人を抜かさない・うるさくしない」と注意しますが、テンションの上がってしまう子ども達もいますから、ちょっとしたことでいさかいが起きるようです。
そんな時どうしたらいいのでしょうか。
女の子は毅然として原因を指摘するそうですが、男の子は案外、腰砕けになる話をよく耳にします。
「どうしたのですか!」と聞かれた時に状況を説明できれば、先生方も適切に対処してくれますが、口ごもり、まごまごしていると、そのままになる場合もあるようです。
制限時間内の試験で、先生方も進行状況には、神経を使っているはずだからです。
やはり過保護、過干渉の環境では、うまく対応できないのではないでしょうか。
自分が悪くなければ先生にきちんと伝える、行動観察型のテストでは、こういったことも大切です。
普段から幼い子ども達は、おかれた状況のもとで、いろいろなことを考えているのですから、それを言葉で表す機会をたくさん作ってあげることも大切ではないでしょうか。
「対話」です。
話し過ぎ(かなと思っている)の保護者は、よい聞き手になってあげましょう。
歌い、踊る試験もあります。
幼稚園や保育園で楽しそうに歌い踊る子ども達は、間違いなくお父さん、お母さん方が、子ども達と一緒に楽しく歌い、踊っています。ですから、初めての場所で、知らない友達や先生の前でもできるのです。なぜなら、子ども達の小さな胸の中には、お父さんやお母さんと歌い、踊った楽しい思い出が、いっぱい残されているからです。
知識だけ詰め込まれた子ども達は、こういったことが苦手でもあるようですね。
「話す・歌う・踊る・描く」は、子ども達の大切な表現手段であることを、忘れてはいけないと思います。
表現できることから積極的に挑戦する意欲や好奇心が、みんなで楽しく歌い踊ることから協調性などが、間違いなく育まれている証であり、学校側の狙いも、ここにあるのです。
運動会には、親子でダンスをする種目がありますが、お子さんの様子はいかがですか。
内気で、はにかみ屋である男の子は、苦手ではないでしょうか。
特にお母さん方が、楽しく相手をしてあげることで、シャイの鎖を断ち切ってあげることもできます。
社会性や協調性といった集団生活への適応力を育む場が、幼稚園であり保育園です。
家庭のあたたかい環境で育てられた子ども達が、初めて集団生活の訓練を受ける教場です。
幼稚園へ通うことは法律で決められてはいませんが、何事もマイペースでは、教育は成り立ちません。
国府台女子学院の平田史郎学院長は、かつて説明会で「訓練されていない個性は野性である。」とおっしゃっていました。教育の第一歩は共に生きる、共生を学ぶことから始まります。訓練されていない個性では、困るのは子ども自身です。社会性の問題の目的は、どこにあるかご理解いただけたのではないでしょうか。
(次回は、「学校説明会で確かな情報を」についてお話しましょう。)
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2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第7章(3)端午の節句です 皐月
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「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-第26号-
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第7章(3)端午の節句です
★★竜とドラゴンは、どこが違うのかな★★
「先生、竜って、どこにいるのかな?」
映画「ジュラシックパーク」を見た子どもが、こう質問したものです。絶滅したはずの恐竜が動き回っているのですから、不思議に思ったのでしょう。
ゴジラの時も、同じような質問を受けました。人間の脳は、動くものを見ることで刺激を受け、新しい思考が始まるようです。空想の怪獣が動くことで、新しい疑問を感じるのでしょう。
竜といえば、芥川龍之介の小説「龍」や、上野の不忍池に、夜な夜な水を飲みに現れたという名工、左甚五郎の彫った「龍」などから、名前には親近感がありますが、存在感はありません。困ったとき、頼りになるのは広辞苑、心強い味方です。
それによると、「竜は、インド神話で蛇を神格化した人面蛇身の半神、中国では神霊視される鱗虫(蛇などうろこのある虫)の長」であり、その姿は、多国籍軍のような寄せ集めとはいいませんが、ものすごく複雑なのです。
「頭はラクダ、角は鹿、眼は兎、耳は牛、うなじ(首筋)は蛇、うろこは鯉、爪は鷹、手のひらは虎に、それぞれ似ている」
といわれているようです。これだけ集まれば、さて、どのような性格になるのでしょうか、想像もつきません。棲息地は人里離れた、何やら訳ありの深い淵。
しかも、水の中で、おとなしくしているだけではありません。空さえ飛んでみせ、天にも昇ります。昇天の際には、雲を起こし、雨を呼び、強風を吹かせて、稲妻を光らせ、雷まで響かせる、いかにも不思議な存在です。
そのせいでしょうか、竜を使った四字熟語には、威勢のよい、縁起のよいものがたくさんあります。
新明解「四字熟語辞典」によると、「竜章鳳姿」は、威厳に満ちた立派な容姿、「竜躍雲津」は、竜が空高く舞い上がり、銀河まで昇っていくように出世すること、「龍虎相搏(そうはく)」「龍虎あいうつ」でおなじみの強いもの同士が戦う
こと、「竜象之力」は、水中の竜や陸上の象のように、他に突出した力のことを表します。
もっとも、「竜頭蛇尾」と、初めは勢いもよいのですが、終わりの方ではふるわなくなる竜もいるようです。
幕末の志士といえば、忘れられないのが坂本龍馬ですが、その龍馬にふさわしい故事があります。「竜馬(りゅうめ)の躓(つまず)き」、竜馬は足の速い駿馬のことですが、駿馬でも何かのはずみで躓くことがあるという意味で、類似語は「猿も木から落ちる」です。ちなみに英語では、“A horse may stumblethough he has four legs”「4本足の馬も時には転ぶ」だそうです。(「故
事ことわざ辞典」より)
また、「逆鱗(げきりん)」ということばがありますが、この「鱗(うろこ)」は、竜のあごの下に逆さまに生えるもので、これに触れると竜は怒り狂うといわれ、中国の古典「韓非子」に、天子(国を治める者)を竜にたとえ、天子から激しい怒りをかうことを「逆鱗に触れる」と記されています。
しかし、東洋では、姿形からして何やら憎みきれない善玉的存在です。日本では、「竜神様」といい立派な神さまですし、「辰」として干支にも入っています。「独眼竜」といえば、おなじみの武将、伊達政宗です。
ところが、西洋になると、一変して悪玉となるから面白いですね。
ドラゴンで表す西洋の竜は、悪の化身です。聖書の「黙示録」に、「年を経た蛇」として登場します。そういえば、禁断の木の実を食べさせようと誘ったのは、蛇でした。このドラゴンを退治するために、英雄が登場します。これでは完全な悪役に徹することになるのですが、竜が「宝の守護者」としての伝説があるのですから、やはり、摩訶不思議な伝説上の産物なんですね。
楽しい童話があります。竜に会いたいと願っていた子どもが、会えたばかりか竜を感激させ、その背中にのって空を飛ぶ、浜田広介の「竜の目に涙」です。
以前にも紹介しました「泣いた赤鬼」とともに子どもに読んであげたい本です。
★★五月五日は、母の日ですって…!?★★
「エッ、ウッソー!」と、いいたくなるでしょうが、嘘ではありません、本当の話です。
昭和23年(1948)7月20日発布の法律第一七八号、国民の祝日に関する法律(祝日法)には、「子どもの人格を重んじ、子どもの幸福をはかるとともに、母に感謝する日」と定められている。
(年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P100)
つまり、子どもの日は「法律的には母に感謝する日」でもあるのです。
「それでは、どうして、五月の第二日曜日が母の日で、カーネーションを贈るようになったのですか?」当然の疑問です。以下のような経緯があったのです。
アメリカのウエストヴァージニアの教会に、ミス・ジャービスという女教師がいて、日曜学校の説教のとき、モーセの十戒の一つ「汝の父母を敬え」の章の解説に「母の恩の深いことを人に悟らせる方法を考えよ」と教えていた。
彼女が亡くなり、その追悼式が命日に行われたとき、一人娘のアンナ・ジャービスは、母が好きだったという白いカーネーションを母に捧げることで母の教えを伝えていこうと思い、信者たちに白いカーネーションを配った。信者たちはそれを胸に飾り、教えの通り母への感謝を示したのである。
この話を聞いたデパート経営者ジョン・ワナメーカーが、1908年5月の第二日曜日に母を讃える記念会を催して、アンナの話を人々に伝えた。これがレディー・ファーストの国アメリカで大反響を呼び、1914年に、議会の決議を経て、ウィルソン大統領により国民の祝日として、5月の第二日曜日を「母の日」と決めたのである。
(年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P100-101)
カーネーションの花言葉は「母の愛情」です。これも当然ながら意味があります。
カーネーションは、十字架にかけられたキリストを見送った聖母マリアが落とした涙のあとに生じた可憐な花ともいわれ、母性愛の象徴となった。そしてそれはキリストの復活につながり、復活したキリストと共に生まれた花として、愛と喜びのシンボルとなった。白いカーネーションは生前のキリストとマリアの涙、赤いカーネーションは復活したキリストである。
(年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P102)
バレンタインデーのチョコレートはチョコレート屋さん、母の日のカーネーションは花屋さん、クリスマスのデコレーション・ケーキはお菓子屋さんの企みという感じがしますが、発案者のアンナさんは、こういった商業化、コマーシャリズムには反対で、心を痛めていたそうです。
★★花言葉★★
花言葉に関しては、お母さんの方が詳しいのではないでしょうか。母の日のカーネーションにちなみ、年中行事に関係のある花を選んでみました。
冬(12月-2月)
[そば]懐かしい思い出 ◆(そばののど越しと香りがわかります)
[松]不老長寿 同情 慈悲
[竹]節度 節操のある
[梅]高潔 上品 忍耐 忠実 独立 厳しい美しさ あでやかさ 気品
[裏白]無限に ◆(縁起物の門松と鏡餅だけに納得できます)
[ゆず]温情 太平 ◆(鏡餅の存在を暗示しています)
[福寿草]幸福 幸せを招く 永久の幸福 回想 思い出 悲しき思い出
[椿]幸福 謙遜(赤)気取らない美しさ 控えめな愛
(白)申し分ない愛らしさ 理想的な愛情 冷ややかな美し
さ
[せり]清廉潔白 ◆(せりのおひたしは、まさにこの味です)
[ナズナ]すべてを捧げます
[御形(母子草)]いつも思う 優しい人 永遠の思い
「はこべら」 ランデブー 愛らしさ
[仏の座]調和 輝く心
[すずな]助け
[すずしろ]潔白 ◆(以上は春の七草です)
[大豆]親睦 ◆(鬼と親睦を図るわけではありません)
[ひいらぎ]機知 先見 用心
春(3月-5月)
[桃]天下無敵 チャーミング(花、しだれ桃)私はあなたのとりこ(実)愛
嬌
[橘]純潔 ◆(お雛様は天下無敵と純潔に守られています)
[よもぎ]幸福 平和
[菜の花]快活な愛 小さな幸せ
[桜]純潔 精神美 淡白 ◆(かつて日本民族の矜持、プライドでした!)
[しょうぶ]やさしい心 忍耐 あなたを信じる
[柏]勇敢 独立 自由
[栴檀]意見の相違
[タンポポ]前途洋々 威厳 ◆(全く逆の花言葉もあります)
[チューリップ] 博愛 名声(黄) 実らぬ恋(紫) 不滅の愛(白)
長く待ちました(斑入り) 美しい目
夏(6月-8月)
[あじさい]移り気 高慢 辛抱強い愛情 元気な女 無情
[朝顔]愛情 愛情の絆 平静 結束 短い愛
[ひまわり]私の目はあなただけを見つめる 憧れ 崇拝 熱愛 光輝 愛慕
[笹]ささやかな幸せ ◆(「ささやか」、響きのいい言葉ですね)
[なす]よい語らい 優美 希望
[きゅうり]しゃれ ◆(……!)
[ほおずき]いつわり ぎまん ◆(漢字で書くと[鬼灯/酸漿]です)
秋(9月-11月)
[萩]思い 思案 柔軟な精神
[すすき(尾花)]活力 心が通じる 永久 忍耐
[葛]治療
[女郎花]親切 美人 はかない恋 永久 忍耐
[撫子]永遠の愛情 純愛
[藤袴]ためらい 思いやり
[桔梗]変わらぬ恋 従順 ◆(秋の七草)
[秋桜(コスモス)]乙女の真心 乙女の愛情(ピンク) 少女の純愛(赤)
調和(白) 美麗 純潔 誠実
[菊]ろうたけた愛 わずかな愛(黄) 真実 誠実(白)
私を信頼してください(濃色)
[葉鶏頭]情愛 見栄坊 ◆(ケイトウというあだ名の友人がいましたが、
納得!)
[彼岸花]悲しい思い出 情熱 独立 再会 あきらめ
[しゅうかいどう]片思い
[赤飯]節操 粋 健康 あなたのために役立ちたい
[白粉花]あなたを思う 内気、臆病 ◆(新 秋の七草)
[榊]不明(やはり、神さまに似合うのはこれでしょう 花言葉 北斗 多一
郎) ◆([不明]なのではなく、[不明]が花言葉です)
[栗]真心 豪華 満足
「さつま芋」乙女の純真 ◆(可憐な花です)
花言葉はたくさんあり選択に迷いましたが、ここでは花言葉のいわれを紹介するのではありませんから、年中行事に関係のあるものから選んでみました。掲載した花言葉は、すべて「Yahoo! Japan」から検索したものです。「和紙つれづれ花言葉」は、出典を明らかにした親切な作品になっていましたが、検索したところヒットしませんでしたので、今回は「花言葉由来 hananokotoba.com/」
にもお世話になりました。
(次回は、「五月に読んであげたい本」についてお話しましょう)
【本メールマガジンは、「私家版 情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話情操豊かな子どもを育てるには 上・下 藤本 紀元 著」をもとに編集、制作したものです】
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2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>★★入試問題を分析する -合否を判定する必須十項目-★★[9]運動に関する問題
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「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
年長児のお子様をお持ちの方々へ
2025年度入試(2024年秋に実施)を成功に導く手引きです。
<第42号>
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★説明会情報
昭和学院小学校(第1~3回オープンスクール・説明会)
2024年5月18日(土)9:00~11:00
6月12日(土)9:00~11:00
7月12日(金)18:30~19:30
江戸川学園取手小学校
2024年5月11日(土)10::00~11:30 オンライン
5月25日(土)10::00~11:30
詳しくは、各校のホームページをご覧下さい。
「学校情報 HPを読んでみましょう」
各学校のホームページが更新され、今年も読み応えがあります。特に、国語ではどういった授業が展開されているか、興味のあるところです。
昭和学院小学校の視写(名作を原稿用紙に書き込む)、日出学園小学校の書写、「書き取りタイム」、聖学院小学校の「作家の時間」など、面白い取り組みがあります。
聖学院では通常授業の他に、1年生から6年生まで週1時間「表現」の科目を特設、「作家の時間」と呼ばれ、自由なテーマで文章を書き、クラスメートの前で読み上げ、みんなから評価をもらう形式は傑作。先生とのやり取りで終わる作文と違い、多数の読み手を意識し、興味を持ってもらうことがポイント。
英語に力を入れている本校ですが、きちんと国語力を培う姿勢が伝わってきました。
英語や情報教育に注目しがちですが、すべての学問の基本は国語です。どういった授業を進めているか、調べてみませんか。
[9] 運動に関する問題
運動には、集団で行うものと個別に行うものがあります。
[集団で行う運動]
先生と同じ体操を機敏にこなす模倣体操、タンバリンのリズムに合わせて行進をしながらスキップやケンケン、ケンパー、グーパーなどをするもの。
左右の手を開いて、親指から順番に閉じたり、開いたりする指の屈伸、片足一本で立つ片足バランスや登り棒、縄跳び、ボールをついたり投げたり、ドリブルをするボール遊び、かけっこ、ジグザグ行進などをします。
これは試験ですが競争ではありません。
先生のやっていることをよく見て、その通りにできるかどうか、指示行動です。
スキップ、ケンケン、ケンパー、グーパーなどは、幼稚園でやっていて得意だろうと思っていたのですが、そうでもないようです。
また友だちとこういった遊びをすることが、少なくなっているのではないでしょうか。
少子化の影響で近所に同年齢の仲間がいない、また、不幸なことですが、幼児を取り巻く屋外での環境は決して安全とはいえず、家での一人遊びが増えているようですが、やはり不自然ですね。
しかし、やってできないことはありません。
ご両親の出番ですね、お子さんも喜びます。
お父さんやお母さんと一緒にやってできるようになっていれば、教室でも簡単にでき、先生方も他のことに時間を有効に利用できます。
巧緻性と同様、教室や塾にお任せだけでは、効率のよい受験準備はできません。
そして実際の入学試験で、お父さんやお母さんと一緒にやった運動が出たとき、子どもたちは間違いなく一所懸命にやります。
楽しい思い出が残っているはずだからです。
かつて、このようなことがありました。
ボールを使う運動が出題される男子校の受験で、お父さんは海外へ単身赴任中。
通い始めてから3か月ほどたった時、少し太めであったお母さんがスリムになってきたので、お子さんに聞いたところ、毎日のように近所の公園でボール遊びをしているとのことでした。
見事に合格しましたが、ご挨拶にみえた初対面のお父さんが、一番うれしそうでした。
お父さんができなかった分、お母さんが一所懸命に取り組んだので、お子さんには楽しかったに違いありません。
難しい問題にもギブアップせず、懸命に挑んできたのは、こういったお母さんの頑張り、スキンシップがあったからでした。
逆に苦しい思い出しか残っていない場合は、
「先生、これ試験ですか。試験でなかったらやりたくありません」
こうなるのではないでしょうか。
前にも紹介しましたが、説明会で聞いた本当にあった話です。
難易度の高い小学校でしたから、かなり厳しい受験準備に追われ、子どもの目にも、日常生活の全てが受験に結びついていると映っていたのでしょう。
話をされたシスターは、悲しそうにおっしゃっていましたが、帰るとき電車で一緒になったお母さん方が、「難しい問題が出るのだから、仕方がないでしょうに!」(この語尾、いやですね)などと、なぜか高い偏差値の話で盛り上がっていました。
「準備に適切でないところがあるのでは、とお母さん方は考えないのでしょうか」と言いたくなりましたが、偏差値だけをあげる準備に夢中になっているお母さん方は、聞く耳を持たないものです。
ご両親が心を一つにして受験に取り組んでいるとは、とても思えません。
大人だけが夢中になっているケースが、多いものです。
しかし、子どもにとって負担になるだけの準備は、やがて、壁にぶつかります。
チックの症状などが出てくるようでは、誰のための受験なのでしょうか。
また運動は知的な能力と関係ないからと無関心な方がいますが、それは間違いです。
知育、徳育、体育の3つの能力が、年齢にふさわしく、バランスよく育っていなければ、偏った発育をしがちです。
お薦めしたいのは、縄跳びやボールつきです。
縄跳び、これは全身運動ですから、体重計恐怖症の保護者にも効果があります。
ボールつき、これも全身のバランスが必要ですから、ぜい肉を取り除いてくれ、心地よい汗は、ストレスの解消にもなります。
サッカーが盛んですから、けるのは上手ですが、つくのは苦手ですね。
親が見本を示して、一緒に汗を流しましょう。
繰り返しますが、第三者だけに任せるものではありません。
試験に出るからではなく、これくらいの運動ができないようでは心配です。
中には息切れする子がいますね。
スタミナ不足です。
最近、こういった男の子が増えているようですが、持久力を見るテストもあります。「やめ」と言われるまで縄跳びを跳び続ける、などの内容です。
スタミナ不足は取り組む意欲にも悪い影響を与えます。
お子さんと一緒に歩いてみましょう。
5分もしない内に、
「パパ、おんぶ!」
とせがむようでは、お子さんは運動不足です。
「床にかかれた印に従いケンケンパーをしながら進み、乾いた雑巾で敷いてあるマットまで雑巾がけをし、そばに置いてあるかごに雑巾を入れ、箱からドッジボールを取り出し、ラインの前で後向きになり、ボールをつきながら後向きで進み、ボールを箱にしまい、車輪のついた丸い板に正座し、手でこぎながらジグザグにかかれた線の通りに、置かれている椅子にぶつからないように進む」
かつて、ある名門校で実施された運動テストです。
学校側の出題意図を考えてみましょう。
通学時間に1時間かかる場合、これで息切れするようでは、
「無理ではないでしょうか!」
となるのは当然です。
ところで、以前、巧緻性のところでお話ししたことですが、お子さんは筆記用具をきちんと持って、しっかりとした線を書いていますか?
弱々しく頼りない線を引くようでは、腕の筋肉の発達不足、つまりは運動不足が考えられます。
チェックしてみましょう。
[個別で行う運動]
跳び箱、平均台、マットなどを使った運動をいくつか組み合わせて、先生の模範演技を見てから一人ひとり行うものです。
「先ず、ケンパーで平均台の側まで行き、平均台を渡り、真ん中で1回ぐるりと回ってからまた進みます。下りたところの円の中で『やめ!』と言われるまでボールをつきます。次に跳び箱にのぼり、元気に飛び下り、最後にマットの上で芋虫ゴロゴロをしてマットの外に出て、得意なポーズをやって終わりです。先生のやるのを、よく見ていてください」
かなり、きついです。
しかも、しっかりと模範演技を見ていないと、どうにもなりません。
指示の理解と積極的に挑戦する意欲、行動力を見ているのでしょう。
こういったことを、いきなり本番でやるのは無理ですし、「お父さんの出番です」などと言われても、マットの代用品はありますが、跳び箱、平均台は、家にないからできないのではと思われがちですが、その心配はありません。
普段から、体を動かし、筋肉に刺激を与えていれば、対応できます。
基礎体力さえついていれば、順応性の高い子どもには、難しいことではありません。
ところで素朴な疑問ですが、途中で忘れてしまった場合、どうすればいいのでしょう。
先生に聞いても、いいのでしょうか。
最初の挑戦者は、こういう心配もありますね。
聞くのはまずいでしょうが、自分で覚えている通り、堂々とやるべきでしょう。
また、途中で平均台から落ちてしまった場合、やり直ししてもいいのでしょうか。
いいと思いますね。
チャレンジ精神です。
失敗を恐れる子など、子どもらしくありません。
落ちて泣く子もいるそうです。
なぜ、泣くのでしょうか。
たかだか平均台から、落ちただけではありませんか。
泣くのは、落ちたら駄目、失敗したら減点されることを知っているからでしょう。
悲しくなりますね、こういうことで泣き顔をみせるのは……。
小さいときから失敗するのは、悪いことだなどと教え込まれたら、「失敗は成功のもと」とは言えなくなるではありませんか。
苦手なことが増えるのは、失敗を恐れるからではないでしょうか。
平均台から落ちても、
「先生、やりなおしてもいいですか!」
笑っていえる子、絶対に合格すると思います。
信じていますよ、試験監督の先生方!
やはり、体を動かすことは、第三者だけに任せっぱなしはよくないと思います。
ゴルフは年を取ってからでもできますが、幼児期は二度と戻ってきません。
夏休みは体力づくりにも考慮してください。
頑張りましょう。
スキンシップですよ、お父さん、お母さん!
(次回は、「社会性に関する問題」についてお話しましょう。)
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2025さわやかお受験のススメ<保護者編>第7章(2)端午の節句です 皐月
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「めぇでる教育研究所」発行
2025さわやかお受験のススメ<保護者編>
「情操教育歳時記 日本の年中行事と昔話」
豊かな心を培う賢い子どもの育て方
-第25号-
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第7章(2)端午の節句です
★★なぜ、菖蒲湯なのでしょうか★★
菖蒲が邪気を払ういわれは、中国の古くからの言い伝えで、王様が殺した不忠の家来の魂が、毒蛇となって災いをもたらしたので、香りが強く、頭のところが赤く、青い葉の形が蛇に似ている菖蒲を酒に入れて飲んだところ、悪魔を降伏させる術を授かり、蛇を退治した話によるものです。
昔は節分の時に、玄関に柊や鰯の頭を飾りましたが、あれと同じです。鬼や悪魔は、香りの強いものを苦手としていました。そういえば、ヨーロッパのモンスターの代表ドラキュラの苦手とするものは、十字架と太陽とにんにくです。
また、菖蒲が侍の家で大切にされたのは、武芸、軍事などを尊ぶ「尚武(武芸、軍事などを尊ぶこと)」と同音だからでした。
燕子花(かきつばた)は菖蒲(あやめ)と花がよく似ているため、「源氏物語」のなかで、―いずれがあやめか、かきつばた―と書かれて以来、酷似していることをいう雅言(がげん)となった。万葉集では加吉都播多(かきつばた)、安夜女具佐(あやめぐさ)とはっきり区別されている。
(花暦「花にかかわる十二の短編」P121 澤田ふじ子 著 徳間文庫 刊)
万葉仮名は、漢字本来の意味から離れて、仮名のように読みますから面白いですね。
雅言は、「洗練された言語、特に和歌などに用いられる古代、特に平安時代の言葉」(広辞苑)で、「いずれがあやめか、かきつばた」は、美人が大勢いて優劣がつけられないたとえだと、軽薄に思い込んでいたのですが、美人に限らず、選択に迷うことのたとえなんですね(笑)。かきつばたは、今は「杜若」と書きますが、難しくて読めません。
なお、あやめは、きれいな花を咲かせる花菖蒲のことで、葉は剣型で似ていますが、菖蒲湯として用いられることはありません。以前、「26日のクリスマスケーキ」を紹介しましたが、同じ意味で「6日の菖蒲」があります。
菖蒲が6日に届いたのでは、節句に間に合わないので、そこから「時期に遅れて間に合わないこと」をいうそうです。
(知らない日本語 教養が試される341語 P321 谷沢 永一 著
幻冬社 刊)
★★粽(ちまき)のルーツは……?★★
物事には、何事も訳ありで、端午の節句に粽を作るのは、このような言い伝えがあるのです。(以下、抄訳です)
屈原(くつげん)は、楚の時代に、人々に愛された清廉潔白な憂国の詩人で、淵に身を投げ、命を絶った人ですが、そのなきがらを守り屈原の故郷まで運んだのは鯉でした。
その日が、紀元前278年5月5日。命日になると、楚の人々は、竹の筒に米を入れて川に投げ、屈原の霊に捧げ、無事に運んでくれた忠義な鯉に、感謝の気持ちを表したのです。
ところが、屈原の死後、300年経った時のことです。ある人の所に他人に身をやつした屈原が現われ、投げ入れてくれる竹筒の米は、淵に棲む主である竜に全部食べられてしまうので、竜の恐れる「楝(おうち)の葉っぱ」で米を包み、五色の糸で結んでほしいと告げたのです。そこで、屈原をとむらい、鯉に感謝してつくった「楝の葉で包み、五色の糸でしばった米」が、粽の始まりです。
楝は、栴檀(せんだん)の昔の言い方で、香りがあるので虫もつかず、竜も嫌いであったのです。粽は、古くは「茅(ちがや)」の葉で巻いたから「ちまき」といい、五色の糸は、鯉のぼりの吹流しにも出てきましたが、竜の恐れた色です。端午の節句に粽を作るのは、このような言い伝えがあるのです。
(年中行事を「科学」する 永田久著 日本経済新聞社刊 P110-113)
笹の葉、ではなかったんですね。
そして、驚いたことに、毎年、6月の第1日曜日に長崎で行われている「竜船競渡(けいと)ドラゴンレース」は、淵に身を投げた屈原を、一刻も早く救うために、速く舟を漕ぐことを争うイベントなのです。
鯉のぼり、粽、競渡、いずれも、今からおよそ二千年前の中国の戦国時代にあった出来事が、現在まで伝えられているなどとは信じがたいのですが、本当の話です。
故事、ことわざ、慣用句、私たちの祖先が残してくれた英知でもあるのですが、書物の中で、イライラしながら出番を待っているのではないでしょうか。簡単に手に入り、利用できる貴重な文化遺産でもあるのですが……。
栴檀はビャクダンの異称ですが、「栴檀は双葉より芳し」といって、発芽の頃から早くも香気があるように、大成する人物は、幼いときから人並みはずれて優れたところがあるたとえに用います。
同義語として、「実のなる木は、花から知れる」や「蛇は寸にして人を呑む」があり、対義語は「大器晩成」です。ちなみに英語では、「栴檀は双葉より芳し」は“Itearly pricks that will be a thorn”(茨になる木は早くから刺す)、「大器晩成」は“Who goes slowly goes far”がわかりやすいですね。
★★柏餅のルーツも中国でしょうか★★
今は、粽よりも柏餅が、メインです。これも中国から伝わってきたと思っていましたが、何と、日本生まれなのです。
柏の木は新芽が出ない限り古い葉は落ちないので、家系が絶えないという縁起をかついで柏の葉で包んだ柏餅を食べる。
柏餅は、楝(おうち)の葉の代わりに柏の葉を使ったことから生まれたもので、江戸時代中期頃に作られたといわれている。柏の葉の表を外にするのが味噌入り、裏を表にするのが餡入りという。
(年中行事を「科学」する 永田 久 著 日本経済新聞社 刊 P113)
ところで、子どもの頃に歌った懐かしい歌に「背くらべ」があります。最後に、富士山の出てくるところがすごいですね。
背くらべ
作詞 海野 厚
作曲 中山 晋平
(一) 柱のきずは おととしの 五月五日の背くらべ
ちまき食べ食べ 兄さんが 計ってくれた 背のたけ
きのう比べりゃ 何のこと やっと羽織の 紐のたけ
(二) 柱に凭(もた)れりゃ すぐ見える 遠いお山も 背くらべ
雲の上まで 顔だして てんでに背伸び していても
雪の帽子を ぬいでさえ 一はやっぱり 富士の山
粽のわからない子が、増えているのではないでしょうか。鉄筋コンクリート建てでは「柱」も見あたりませんし、きずが残るほど背比べをする兄弟、姉妹もいないでしょうね。この歌もあまり歌われていないような気もします。
しかし、その歳、その時でなければ歌わない、大切な歌があります。それは、成長をつづる「心の歌」です。
お父さん、お母さん、思い出してください。小学校時代に歌った歌に、思い出が残っているのではないでしょうか。
★★鍾馗さまって、わかりますか★★
ひな祭りには、おひな様を飾りましたが、男の節句は、鯉のぼりだけではありません。外には旗やのぼり、家には、かぶとや武者人形も飾りました。武者人形は、男らしい姿と気性にあやかりたいと願って飾られたものですが、昔の人気者は、大きな目をして黒いひげを生やした鍾馗(しょうき)でした。今は、どうでしょうか。金太郎、桃太郎は、よく見かけますが、最近、鍾馗は見られなくなったようです。
鍾馗は、中国の魔除けの神さまで、かの有名な玄宗皇帝(唐の時代)が、病気にかかり夢うつつの時に、皇帝と楊貴妃が大切にしていた宝物を盗み、逃げようとした悪い鬼を退治。目を覚ました皇帝は、熱も下がり、病気も治っていたので、夢で見た姿を口述しながら描かせたのが鍾馗だそうです。三国志の英雄、関雲は鍾馗のようだと想像しています。このような豪傑は、今風ではないのでしょうね。
ところで、マリアの教えを建学の精神とする男子だけの学校でサッカーの強い暁星小学校は、「鍛える教育」を実践していますが、その具体的な目標として、佐藤前校長は、桃太郎や金太郎など日本昔話のキャラクターである「気は優しくて力持ち」を掲げていました。
やはり、幼いこの時期にこそ昔話をたくさん読んであげ、正義感や弱い者いじめをしてはいけないことを、きちんと学習すべきではないでしょうか。
(次回は、「竜とドラゴン 他」についてお話しましょう)
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